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カナディアン・ロッキードライブ 第十四章 あとがき [カナディアンロッキー旅行記]

- あとがきに代えて -

「カナダ」への憧れを抱いたのはいつのことだったのだろう。
記憶の紐を手繰り寄せれば、今から30数年も前。オストドがまだその「トド」たる片鱗すら感じさせなかった純真・無垢の小学生の頃だったろう。
「へっ?あんたが純真・無垢?・・・・・」と噴出している失礼なメストド1号。
「えっ~!信じられない。」と我が愛娘のメストド2号さえもほざいている。
なにしろ、父親になった頃の写真を見て、「これだぁ~れ?」と失礼なことを言う輩なのだから、今がどのように変わってしまったのか想像を絶するであろう。
確かに今はトドのごとく寝そべり、食欲も旺盛でドクターストップも無視をし、堕落した生活態度からみれば彼女達の弁もわかるような気がする。(あくまでも「気」がするだけである。-念のためー)
「憧れ」を心に封印し、10余年の月日が流れ、ツアーコンダクターとして日本はもとより、海外を飛びまわってはや数年。「面倒くさいVIP客がいるから、彼に押し付けよう」という一部の暗躍によりカナダに初上陸。その頃、既に「旅」をすることに慣れ新鮮さを感じていなかったオストドを優しく包んでくれたのが、カナディアン・ロッキーであった。その雄大でかつ尊厳な佇まいは見る者を全てその魅力の虜にする。
6月に訪れた際は、ブラックベアーの小熊が道路際に座りこんで、たんぽぽを頬張っていたし、7月に訪れた際は早朝ホテル玄関前で深呼吸をしているオストドの至近距離にエルクが現れ、木々の葉を食んでいたし、8月はロッキーがその姿を陽光で輝かしながらオストドを迎えてくれ、10月の時などは、道に撒かれていた滑り止めの塩つぶを舐めに山から滅多に見ることの出来ないマウンテン・ゴードがバスの行く手をさえぎっていた。年に4回もロッキーを訪れる幸運に感謝したときである。
あれから、また十余年の月日が流れ、よちよちと親の後をついて歩いていた愛娘も、親の目にもまぶしく美しく成人し、今回妻であるメストド1号とカナディアン・ロッキーを旅することができた。
ロッキーにたかが2泊の行程しか取れなかったが、カナディアン・ロッキーは晴れ渡り、その雄大な懐に私たち夫婦を抱いてくれたのである。
「やあ、久しぶりだね。その女性は誰かな?」「妻だよ」オストドの心の中にロッキーが話しかけ、答えた瞬間。メストドの心の中に「ようこそ!歓迎するよ!」と姿なき声が聴こえたらしい。「幻聴?」といぶかる輩もいるだろうが、そんなことどうでもいい事だ。カナディアン・ロッキーは確かに其処にあるわけだし、その雄姿に魅入られる全ての人々を優しくそして時には厳しくその懐に抱いてくれるのだから・・・・・・Fin。


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