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「ちょっとだけ人より長い・・・・夏休み!」-8章 [闘病記]

- 展望浴場で気分は最高!-

毎日の日課が入浴。病棟の各階にも風呂場はあるが、やはり大浴場には叶わない。洗面器に入浴セットを入れ、最上階にある展望浴場に向かうには、ナースステーションの前を過ぎなければならない。エレベーターを待っているとナースから声がかかる。「オストドさん。お風呂?気をつけてね。」これが超ベテランナースなら「はいよ~!」で済ませてしまうところだが、若いナースに声をかけられるものなら、「心配だったら、一緒に入る?」とついオヤジ根性丸出し。「そこからは、別料金だよ!」とか、「病気。悪化しても知らないよ!」とか切り返される。「残念!」と答え、そそくさと浴場へ行く。私が入る時間帯は1泊2日の人間ドックに入っている人々と大体一緒の時間。ある人は「そのマーク何?」と聞いてきたので、「ガンなもので、放射線治療のマークです。」と答えるとバツの悪そうな顔をする。真昼間の新宿の街を歩いている人々を見下ろしながらの入浴は天国にいる気分である。

-「退院するの~?」-

退院を数日後に控えたある日、病棟の婦長が部屋にやって来た。妻も少しずつ貯まった荷物を持って帰ると言う。「退院するの~?もっと入ればいいのに」と婦長の弁。検温と体重測定時に脱走する以外、私は手のかからない患者である。一度だけ夜間の見回りの際に、トイレから戻ってくると丁度、ナースが懐中電灯で覗き込んでいたので、後ろから「ワッ!」と驚かしたぐらい。後で仕返しされたけど・・・・。(仕返し=採血の注射痛かった。新人ナースの実験台=生贄とも言う)婦長に言わせれば、1人で二人分の部屋を独占し、手間のかからない患者は大歓迎だと言う。「完全にリハビリを済ませて退院すれば?」とも言われた。オストドも一瞬こころが動いた。何せ、ナースは1人を除き、みんな冗談が通じるし、融通が利く。好きなもののオンパレードの食事に真昼の入浴。しばし、考えたのだがやっぱり「退院」することにした。

-「ずるいよ!」-

この一言は同じ放射線治療仲間から浴びた言葉である。私だけ髪の毛が抜けないばかりでなく、抜け毛が少なくなったのである。おかげで、薄いながらも今でも自毛である。喫煙所の仲間達の見送りを受けて退院。人ごみを歩けば軽い目眩がまだ続いている。「タクシーで帰る?」と聞かれるが、ゆっくり電車で帰ることにした。26日ぶりに帰る我が家。娘が笑いながら出迎えてくれた。


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