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「トラブルコンダクター ものがたり」⑱「研修・・・・」(1) [暴露ばなし]

~「あいさつ」ははっきりと~
「皆様おはようございます。(深々とあたまを下げる)
このたびは私共○×ツーリスト主催の秘境○△×の旅にご参加賜りまして、誠にありがとうございます。
お世話役としてお供をさせていただきます。添乗員のオストドでございます。まだ若輩者でございますので、何かとご不自由やご迷惑をおかけする事もあるかと思いますが、精一杯努めさせていただきますので、何卒よろしくお願い申し上げます。(深々と頭を下げる)」
多分、ツアコンをやめた今でもこのような挨拶は当たり前に出来る。何故なら、恐れ多くも・・・自分で言ってどうする・・・・私は「ツアコン教官」だったことがあるのだ。
ツアコンの研修は「あいさつの始まり、あいさつに終る」つまり、まず座学の際にも、
「1人ずつ」このように挨拶の練習からスタートする。そして、待ちに待った「OJT」に移る。今はどうか知らないが・・・・2~3泊ほどのツアーに行く。
大型バスを借り切り、10~20名程度の生徒を引き連れ、教官が数名。勿論「審査」も兼ねるので、会社のお偉いさんも一緒に行く。
まず、朝の『発声」から練習させるわけだ。
研修室では声がでるようになっても、いざ、マイクを握り、バスの揺れにその身を預けての「朝のおしゃべりタイム」は難しいものである。早口になってしまう者、どもる者。声が小さい者。ツアー名や旅行社名を間違える者など様々いる。
もちろん「こいつを添乗に出して大丈夫か?」との会社の審査もあるわけだから、審査を受ける人間も大変だが、そのクラスを受け持つ「教官役」も大変である。
「生徒」の中には自分より年上もいるし、可愛い女の子もいるのだが、心を鬼にしなければならない。「やる気あるのか~!」は当たり前の言葉。「やめてしまえ!」「バカヤロー」は日常茶飯事。これも、「プロ」としての自覚は勿論のことであるが、「お客様に快適な旅」を楽しんでいただき、「安全」にご自宅へお戻りいただくためでもある。
だから、例え可愛い女の子でも『罵詈雑言』の攻撃を浴びることになる。

~地獄のOJT~
可哀想なのだが、研修費用は実費。つまり研修中のお給料はない。
そのくせ、あの資料この資料と購入する資料は山のようにある。
勿論、会社にくる交通費や資格取得に関する費用も実費。
まあ、一流の添乗員(フリー)になれば、1日20000円は最低稼げる。
一応、「特A」を与えられていた私の場合には、今から10数年ほど前で、1日20000円の日当だった。(今ではそんな稼ぎはないのだが・・・)
2週間ほどの座学と資格を取得する事が出来た者(ここまでは全員通る)は、地獄のOJTへの『参加命令』が発令される。
意気揚々と集合場所である『都内のとある駅のとある場所」に集まってくる。
我々「教官」の集合時間は午前5時。(もちろん近くのホテルに宿泊している)生徒・・・いや、資格えお取得しているので、訓練生はの集合は午前8時・・・・。
ここに落とし穴がある。座学の1時間目で「集合時間の遅くとも2時間前には・・・・・」と教えてある。どこの旅行社も「T/Cスタンバイ時間」は設定していない。設定されているのは、お客様の集合時間だけである。
つまり、訓練生の「やる気」を見るための第一関門なのだ。
意外だったのが、一番乗りは「劣等生のK」である。彼のスタンバイ時間は5時20分。
早速、「服装チェック」「持ち物チェック」を行う。
服装は「自由」と伝えてあるのだが、会社の訓練なのだから、スーツ着用が当たり前のこと。我々教官は全て「制服」を着用し、腕章・ネームタッグ・バインダー・社旗を持っている。
ここで「減点」を受けたものは・・・・恐ろしい罰が宿舎で待っているのである。
ここで当時の添乗員スタンバイ時間を記しておくことにする。
国内・・・・バスの場合、1時間前。列車の場合、1時間前。飛行機の場合、2時間前。
海外・・・・大体、2時間前。だがなるべく集合時間の3時間前にはスタンバイ。
今では悲しいかな先に来て待っているのは『お客様』のほうみたいだが・・・・。
早速、ここでちょっと「コーヒータイム」ならぬ、「トイレタイム」と称して訓練生の動向をチェックする。教えのとおりに行動するなら、バス配車場所にバスの確認に走り・・・
会社にスタンバイ・集合完了の電話連絡をしなければならない。
会社では、「審査」にあたるお偉いさんが電話の前で待機している・・・・・・
わざと隠れる教官役もいる。つまり、迷子をどのように探し出すか?も大事な役目になるからだ。探しにいかせた「女性訓練生」が真っ赤な顔をしながら、『迷子』を捜し出してきた。どうやら、男子トイレに隠れていたSを「トイレの中」まで捜し出してきたらしい・・・・・「うん。いい添乗員になれるぞ」と一応褒めておく。
『休憩』を終え、訓練生全員に確認を取る。「バスを確認してきた者」「配車はどこだ」
「会社に連絡したか」大体ここでほぼ全員に「X」マークが1個はつく。
「全員。バスに乗車!」「あの~お偉いさんが・・・」「ああ、いいからほっとけ!」と全員バスに乗り込む。会社に立ち寄り、お偉いさんが乗り込む。「電話連絡」をしなかった数名が「喚き倒される」・・・まあ、自業自得。
ウォーミングアップが終ったのでこれからが、「地獄」がスタートするのである。


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