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「父親を辞める日・・・・」1章 親の役割・・・・ [「父親を辞める日・・・・」]

父親の役割と母親の役割・・・

「母校」とか「母港」と言うように・・・・母親は子供にとって大きな存在。
夫である私も・・・仕事と言う航海に毎日出港(出勤)し・・・社会と言う荒波を乗り越え、「会社」と言う船を時には操船し・・時には水夫のように働き・・・ヘトヘトになって帰ってゆく。
穏やかな航海の日もあれば・・・時にはとてつもない大波に飲まれることもある。それでも・・・男と言う生き物は帰巣本能があるのかないのか定かではないが・・・まっすぐ母港(家)を目指し帰ってゆく者もあるし、寄港ばかりで・・・偶にしか帰らないなんていうのもいる。
まあ・私の場合はその前者に属すると自分では思っている。稀にではあるが・・・遠洋航海(出張)に出ることはあっても
母港へ帰港する際は全速力で帰る。ポンコツのエンジンの出力を最大限に上げ・・・一杯の獲物(土産)を抱え、大漁旗を高々と靡かせ帰ってゆく・・・。
そして・・・妻に抱かれ眠りにつき・・・英気を養い、愛情の籠もった食事と言う燃料を詰め込み・・・また出港してゆくのだ。子供たちだってそうだろう・・・「疲れたら帰っておいで」そんな思いを胸に笑顔で見送る母の想いを精一杯張り出した帆に風を受けるがごとく、学校そして職場・・そして遊びに出かけてゆくのだろう。
仲間の間では・・・「伝書鳩みたいだな・・・」と言われるけど・・・私にとって居心地がいいから・・・帰るだけだ。業界の仲間の一人は毎日のように朝帰りを繰り返し・・・奥さんに三行半を突きつけられ・・・家も取られ・・・放浪生活しているのも居る。そんな彼がぽつりと漏らした弱音と言う本音。
「いやぁ~帰る場所がないと寂しいよな・・・・」
私も解る。皆さんもご存知のとおり・・私には帰る「母港」がなかった。偶に寄港する港はただ・・・停泊する場所であって帰るべきところじゃない。大きな嵐に遭遇した少年と言う小さな一人乗りのヨットはただ・・岩陰に隠れ嵐を避けていた。

「男は強くあれ!」と言う言葉があるが、裏を返せば自分を戒め、奮い立たせる言葉だ。男というのは女性以上に弱い生き物なのだろう。

「俺は父親辞める・・・でも君は母親を辞めてはいけない。」
これは私が妻に言った言葉。身勝手な話だとは重々承知している。しかし・・・私が背負い続けている十字架を、私は嘗て娘と呼んでいた一人の若き女性とそのパ-トナーには背負わせたくない。それゆえ・・出した結論なのだ。
「隣の芝生は青く見えるもの・・・」と言うが、持たない者には持てる者の悩み、持てる者には持てない者の悩みなど解るはずもない。
「お前はいいよな!無借金の資金力豊富な会社の次期社長だし・・・親父の財産も相当なものだろ・・・いいなあ~」とよく言われる言葉のひとつ。
「でも・・・おかげで・・俺・・・職業選択の自由はなかったわけだし・・・・それに・・・経営を誤ってみろ・・・社員やその家族関係者を含めたら・・数百人が路頭に迷うことになる」 これは決まって私が言う言葉だ。
それに対し・・・無責任な奴ほど・・・「でもよ・・・所詮・・他人だろ・・・そんなの関係ないよ・・・業績が悪化したら・・適当に理由つけて・・・会社辞めさせればいいじゃないか」

こう言う奴とはこれ以上・・話しても無駄なことだ。私は社員やその家族・・関係者が私を必要と慕ってくれている限り、家族の一員と考えている。
私より年長者は兄貴や姉貴みたいな存在だし・・・私より年下の者は、可愛い弟や妹として接するつもりなのだから。
だから・・・「彼女と旅行に行きたいんで1週間休みいただけますか?」と素直に相談してくる者に対しては、対外的にそれでは拙い。「嘘も方便」と言うだろと諭し、適当な言い訳を考えてやり・・・休みを与える。
ソレデリフレッシュしてきた者は一生懸命働いてくれる。
「子供の運動会なんで・・・休みいただけますか?」と相談してきた者に対しては、「仕方ない。家族が大事なのは、みんな一緒だ。まあ・・面倒だから・・・風邪でも引いたことにしとけ!」とか言って休みを許可しておく。その者も普段n倍の仕事で答えてくれるようになれば・・・長期的に会社にとってプラスになる。
そんな人々全てが、私の「家族のようなもの」ではなく「家族の一員」なのだ。私には彼らの生活まで守る義務がある。
こんな重い十字架を「父親だった・・私」は「むすめだった・・若き女性」の肩に乗せたくは無い。

父親の存在なんて・・・母親の愛にくらべれば・・・水や空気のようなもの。有って当たり前・・・・のようなもの。
ある精神科の医師を務める友人に訪ねたことがある。

「そうさなあ・・・お前・・・病院に来なくて良かったわ・・・間違いなく精神分裂症でコレものよ・・・」 と鉄格子に捕まり揺さぶっている姿をしてみせる。
「そうかな・・俺・・まともだと思うだけどな・・・」
「まあ・・・年頃の娘を持つ父親にしちゃ・・症状は・・・そうだな・・・中位。」
「そうか・・・中位か・・・」
「どうだ・・・猫可愛がりするばかりじゃなくてさ・・・一回、奈落の底に突き落としてみろよ・・・・」
「はぁ?娘をか・・じょ・・冗談だろ!」
「まあ・・・冗談だけどな・・・でもよ・・・父親って一体なだと思う?」
「さあな・・・良く解らないんだよ・・・俺・・本当の親の愛知らないしな」
「簡単なことなんだけど・・お前・・サラリーマンとかの勤め人じゃないし・・・」
「まあな・・・」
「まあ・・・自分で考えて結論だすしかないよ・・・・そうでなきゃ・・・入院するか?」
「入院なんて・冗談じゃない・・・いいよ・・・自分で結論出すよ・・・・」

帰り際、友人が一冊の本をプレゼントしてくれた・・・・
そのタイトルはあえて・・・書かないけど・・・。

私は・・自由であるはずの不自由だった・・つまり・・・妻と娘の旅行中に結論を出すことにしたのだ。

「まず・・・妻は守らなければならない。次に・・・家族同然の社員や家族・・関係者か・・・」
「娘はどうすればいいのだろう・・・・」

そして・・・私は結論にたどり着いた。「そうだ・・・父親なんか辞めてしまえばいい。」
娘は自分の力で・・はばたいていけばいい。そして・・・傷つき疲れたときには・・・母親の翼に抱かれればいい。
私は・・・そんな妻や大勢の家族同然の人々を守ればいいだけだ。それぞれが自分の翼の中に傷つき疲れ果てた者を守っていてもいい・・・それを大きな翼で守れば全てが上手くいくはず・・・・
所詮・・・父親など・・・そんなものでいいはずだ。そう考えたとき・・・私の心の靄は少し晴れ間を見せだしたのだ。
母親である妻に対抗しようとするのが間違いなのだ。自分のお腹を痛め・・・出産し、慈しみ子育てをする女性。
そんな女性にに勝てるはずがない。

私は友人に本を返した・・・「あるがとう」の一言を添えて・・・・


「父親を辞める日・・・・」2章へ・・・・「これからパパになるあなたへ」に・・・・続く。





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