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「父親を辞める日・・・・」3章 これからママになるあなたへ・・・・ [「父親を辞める日・・・・」]

これからママになる貴女。そして・・・ママになる予備軍の貴女へ・・・・

どうか・・・お願いですから・・・・貴女から生まれるお子さんを慈しみ大事に育ててあげてください。
どうか・・・お願いですから・・・・私のように親の愛を知らない子供にはしないであげてください。
どうか・・・どうか・・・お願いですから・・・・・その子がひとり立ち出来るその日まで・・・・大事に育ててあげてください。
どうか・・・どうか・・・どうか・・・・お願いです。

どうか・・・お願いですから・・・人を愛する素晴らしさを教えてあげてください。
どうか・・・お願いですから・・・人を慈しむ素晴らしさを教えてあげてください。
どうか・・・どうか・・・お願いですから・・・・これから出会う人と仲良くすることを教えてあげてください。
どうか・・・どうか・・・・どうか・・・お願いですから・・・・・

どうか・・・お願いですから・・・・産まれ来るその子が貴女を必要としていることを忘れないでください。
どうか・・・お願いですから・・・・産まれ来るその子にとって、親の愛情に勝る物などないことを忘れないでください。
どうか・・・どうか・・・お願いですから・・・・産まれ来るその子を大きな愛で包んであげてください。
どうか・・・どうか・・・・どうか・・・お願いですから・・・・・

どうか・・・お願いですから・・・・産まれ来るその子を絶対に手放さないでください。
どうか・・・お願いですから・・・・産まれ来るその子の夢を取り上げないでください。
どうか・・・どうか・・・お願いですから・・・・・傷つき疲れ果てて帰ってきたときには、そっと抱きしめてあげてください。
どうか・・・・どうか・・・どうか・・・・お願いですから・・・・・


育児ノイローゼの話・・・・

ある日のことだった。その頃、我が社では総工費百数十億円の巨大プロジェクトに参加していた。
そのうち十億円あまりが我が社の受け持分。まあ・・・実際には資材の大部分は共同購入品なので・・・実際には3億数千万円なのだけど・・・
そのプロジェクトにパパになりたての人間を配置したのは・・・私。それまで・・・数々のプロジェクトを成功させてきている

「あいつなら・・任せられますよ!大丈夫!」 私は彼が・・・ガラスの心臓の持ち主であることが解っていなかった。
施主は・・・・敢えて書かない。我が社は地下の大駐車場からその施主の本社が占める部分21フロアーを仕切らねばならない。施主の我侭で朝から作業に取り掛かったのが全てオジャンになり・・・散々やり直し・・・・
折角出来上がった部分も・・・・「セントラル階段を設けろ・・・内装は・・・・」 壊しているのか作っているのか判らない有様・・・その工事の総合指揮者に彼を当ててしまい・・・・数ヶ月が過ぎた頃だった。
私の携帯電話が鳴り響く・・・・実は数日前から・・・彼が行方不明になっていた。

「もしもし・・・Tです。」
「おお!T.心配してたんだぞ・・・お前・・・大丈夫なのか?どこか身体の具合でも悪いのか?」
「いえ・・・私なんか居なくても・・・・世の中どうにでもなりますよね?」

これは・・・緊急SOSだ。対応を間違えたら・・彼は死を選ぶかもしれない。そう判断した私は・・・

「お・・・お前・・どこにいるんだ?」
「・・・・駅のホームです。」
「すぐ・・・そこから離れろ・・・駅の構内から出て・・・そうだな・・・・近くにMと言う店がある。そこで待て!すぐ行くから・・・・」

幸い・・その駅までは車を飛ばせば・・・2~30分で着くことが出来る。スピード違反で捕まろうが・・・彼の命には代えることが出来ない。昔取った杵柄???で愛車をぶっ飛ばす。会社の社有車で捕まったら・・会社に傷が付く。

「絶対・・死ぬな!どんなことがあっても・・死ぬんじゃない。・・・・・お前は一人じゃないんだぞ!」

私はそう叫びながら運転していた。幸い・・・大人しく店で待っていたT。雑談を少し交わしながら彼の様子を観察すると・・・・「こいつ。俺に・・別れを言いに来たのか?」と思われるフシが感じられた。
会社を辞めるならそれも彼の選択肢。だが、彼は私に・・・いや人生に別れを告げにきたみたいだったのだ。

「なあ・・・海でも見に行かないか?」
「海ですか?」
「ああ・・・何か急に海が見たくなってな・・・・」

半ば強制的に車に彼を乗せ・・どおこがいいかな・・・そうだ・・・あそこだ。
車を走らせながら・・・・さりげなく・・家族や子供の話題に触れる。

「なあ・・・奥さんと赤ちゃんはどうだ?元気にしているのか?」
「ええ・・・・まあ・・・・・」

答えはそこにある。私は確信した。

駐車場に車を乗り入れ・・・近くのコーヒーショップでコーヒーを買い・・その海に繋がれ・・・その人生の終わりを待つ船を見ながらベンチに座った。

「なあ・・・この船すごいよな・・・何千回・・・往復したのかな・・・・津軽の海を・・・それに・・あれは・・・南極観測船だしな
・・・・あれらの船に乗り込んだ乗組員も凄いけど・・・家族も・・特に奥さん連中は良く耐え忍んだよな・・・・」
「はあ・・そうですよね・・・まだ・・・家に帰れるだけ・・・マシですかね・・・俺らの商売」
「うん。そうだな・・・・幸いと言うかウチの会社・・・海外出張とか島流しとかないからな・・・・あっても・・・数日で女房と子供の顔をみられるしな・・・なあ・・・ずばり聞いてもいいか?仕事上でトラブルでも抱えているのか?」
「いえ・・・・・」
「そうだよな・・・お前がこなしてきた数々のプロジェクトに比べりゃ・・・今のところなんざ・・・屁の河童みたいなもんだしな・・・・・もしかして・・・奥さんか子供に何かあったのか?良かったら・・話してみないか?」

彼がポツリ・・・ポツリ・・語り始めたことは長くなるので・・・・ここでは略させていただくが、1回の流産。そして出産。
ただ・・・泣き喚く赤ちゃん。彼女には相談できる人間が居なかった。そして・・・・育児ノイローゼになり・・・彼の携帯に度々届くメール。「早く帰ってきて・・・・」ただ・・・それだけ・・・
彼は責任感故そして・・・特殊プロジェクトのため・・監理業務の打ち合わせは深夜に及ぶこと・・・・そして・・・彼自身どうしていいか解らず・・・私に助けを求めてきたのだった。
後で聞いた話だけど・・・「ああ・・・どうにかなるさ!」と私が言ったら・・彼はそのまま電車に飛び込むところだったそうだ。

「なあ・・・良かったら今度の休み・・いや・・・明日・・俺も休みとるからさ・・・うちに奥さんと赤ちゃんも連れて来ないか?」
「えっ?」
「うちの奥さん・・一応子育ての大先輩だもんな・・・俺・・・子供が産まれた頃なんざ・・・・年間300日以上家に帰ってなかったんだぜ・・・だから・・・娘を風呂に入れたのは・・・片手でお釣りが来るし・・・おしめも替えたことないし・・・そういや・・・・俺・・・育児なんてしたことないわ・・・・それに・・・一緒に風呂に入ったこともないしな・・・・引っ張るって聞いたものだから・・・引きちぎられたら大変だろ?大事なとこ・・・まだ・・・男でいたいしな・・・でも・・・今考えれば・・・惜しかったよな・・・今なんか一緒に入るかって聞いたら・・・お父さんのエッチ!って言われるし・・・・」
「そ・・そうなんですか・・・でも・・・先輩の奥さんはそれだけ・・・出来ているから・・・」
「馬鹿!うちの奥さんだって・・・・ノイローゼ経験者だぜ・・・・娘・・何回殺されかけたか・・・今考えれば恐ろしいけどな」
「本当にいいんですか?お邪魔して・・・・」
「ああ・・・何なら・・・今から奥さんと赤ちゃん迎えに行くか?」

我が家に来た時・・・彼の奥さんは相当暗い顔をしていた。勿論事情を全て飲み込んだ妻は、

「じゃあ・・・気晴らしに行って来るから・・・新米パパと子育てを全くしなかったあなたで一日・・・赤ちゃんの世話よろしく!」

正直・・・二人して右往左往した。私は育児経験ゼロだし・・・彼も奥さんの大変さを十二分に味わったのだ。

「なあ・・可愛い寝顔だよな・・・お前。この子のためにさ・・・・死んだつもりで・・・もう一回頑張れよ・・・いくら転んでもいいじゃないか・・そのたび立ち上がる気力があれば・・大丈夫。しかし・・・・育児って大変だよな・・・・」
「そうですね・・・・」
「女は弱し・・・妻は強し・・・そして・・・母は最強!これが一番じゃないかな・・・・理想の家庭ってさ・・・」
「はい・・・・」
「疲れたらいつでも相談乗るからさ・・・ただ・・・ある程度ペナルティーは発生するけど・・仕方ないよな」
「ええ・・・・投げ出したわけですから・・・・」
「うん。・・・しばらく・・・・俺の下でリハビリしてさ・・・そうしたら・・・仲間のところ紹介する。そこで・・・一からやり直すんだ・・・・そして・・・・一人前になったら・・・いつでも戻ってきていいからな!」
「はい。」
「しかし・・・・悪魔と天使だな・・・赤ちゃんって・・・・」
「そうですね・・・・」

しばらくして・・・妻と戻ってきた彼の奥さんには、最初に会った頃のような笑顔が戻り・・・・すっかり母親の顔になっていた。彼らが帰った後・・妻に何て言ったのか訊ねた。

「あのね・・・・妊娠しているときは、お腹は重いし、邪魔だし・・・早く産まれて!って思ったでしょ。でも・・・産まれたらお願いだから・・お腹の中に戻ってって思うでしょって・・・・」
「それだけ?」
「うん。あとは・・・赤ちゃんは泣くのが商売なんだから・・・・泣くたびにオロオロしてたら駄目!神経質になると赤ちゃんはもっと・・神経質になって泣くの!ってね・・・」
「へえ~そういうもの・・・・・」
「うん。それから・・・貴女はまだいいわよ・・・うちなんか年間で30日くらいしか旦那が帰ってこなかったってね・・・・」
「ひ・・ひどい・・・だってしょうがないじゃん・・・・・俺・・・・・必死に働いてた・・・」
「解ってる・・・だから・・・貴女は幸せなのよって・・・・言ったら・・・穏やかになったわ・・・・」

きっと・・・・これから・・・貴女ももしかしたら・・・・そう言う兆候が現れるかもしれないけど・・・そうなったら・・・先輩ママに相談すれば・・・・きっと間違えた答えにはたどり着かないはずだと・・・・・
ただ・・・・で~んと構えていればいいと思う。決してオロオロ振り回されないように・・・・
愛する貴女のそのお子さんの為にも・・・・・


「父親を辞める日」第4章・・・・・へ続く・・・・



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