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「父親を辞める日・・・・」 第6章 [「父親を辞める日・・・・」]

「娘への・・・妻からの通告」

「あなたがいいと思うなら勝手にしなさい。その代わり、今後、一切援助を求めないこと。」

「はぁ~そんな風に言ったの?」

「うん・・・親も説得できない・・なんだっけ・・・ミジンコ男だっけ?」

「なんか・・ミジンコも・・・勿体ないような・・・そうだ・・・ミトコンドリアで充分。」

「それにね娘の話を聞くと、ただ恋愛ごっこがしたいだけ。結婚式ごっこがしたいだけ。そうとしか思えない。」

「ふ~ん。まあ・・・俺はどのみち結婚式には出る気はないし・・・また、出る資格もないけどね。」

「なんで?出る資格はあるでしょ?」

「いや・・・そもそも祝福する気がないし・・・それに父親辞めた宣言したじゃない。」

「まだ・・娘には宣言してないでしょう・・・」

「うん・・最後の切り札。でさ・・・本人はなんと言っている?」

「とりあえず・・・話は延期するって・・・だから・・ごっこな訳よ」

「そうだな・・・本気なら駆け落ちでも何でもすればいい訳だもんな」

「そう・・あたしたちみたいに・・・」

「その節は苦労かけました・・・」

「いえいえ・・・なかなか善戦したからいいんじゃない・・・」

まあ・・・嘗て娘と呼んでいた若き女性である人間が幸せになって欲しい。

それは・・嘗て父と名乗っていた自分の願いでもある。

ただ・・・相手の男に「誠意」が感じられない。

真の優しさ・・・

「優しい人だよ」と嘗て娘と呼んでいた若き女性は言うのだが・・・本当の優しさとは何だろう?

「君の夢の実現のために応援する」と宣言したのなら、必死に働き・・その少ない給料をやりくりしながら

勉強をする人間の邪魔などしないのが当たり前のことだと思う。

先日も大事なTOEICの試験の前日の夜もそうだった・・・

「明日・・大事な試験なんだから・・・早く寝たほうがいい・・・」

普通・・・大事な試験の前に睡眠不足にするような長電話をする奴なんか・・・真の優しさではない。

仮に・・・相手から電話があったにせよ・・・

「明日・・大事な試験だろ・・・睡眠不足は大敵なんだから・・・」と諭すのが真の優しさ・・・・

「寝不足で・・・ボロボロだった・・・途中で・・お腹は痛くなるしね・・・」

「だから・・・言ったはずだけど・・・・大事な試験前なんだから・・・寝不足は敵だって!」

「解ってる・・解っているけど・・・」

「だったら・・・泣き言いうんじゃない。それに・・・今年はゴーストライターもしない。自力でやれ・・・」

「えっ?そ・・そんなぁ~」

「君の為にならないからな!」

うわべだけの優しさは・・・真の優しさではない。偽の優しさだと私は思う。

真のやさしさとは・・・自己犠牲をも伴うことを厭わず・・・相手に無償の安らぎを与えることではないだろうか・・・


「突き放すことも・・・愛情のひとつ」

過保護に育った子供に見られる現象。つまり・・・他人依存症。

私もそんなに完璧な人間ではない。ギャンブルもやらないと言えば嘘になるし、有害だと知っているのだが

タバコも吸う。アルコールも以前ほどではないにしろ・・・口にする。

イライラしているときは・・・・ちょっとしたことでも怒鳴り散らすし・・・欠点だらけの人間。

今までの人生を振り返っても・・・赤面することが多いくらい。駄目な男。

でも・・・ひとつだけ・・今、考えれば・・・人生の半分以上を自力で切り開いて歩んできた。

転職もしたけど・・・「それらは全て・・・自己のスキルアップのためと家族を養うため」のものだった。

「人間関係が上手くいかないから・・・」と逃げ出すことはしたことがない。

「夢は実現するもの」が私の信条のひとつ。

そういえば・・・妻と初めて乗った国際線は・・・エコノミークラスの尻尾・・つまり格安な席。

「いつか・・・ファーストクラスに乗せるからね!」 そう宣言した私に妻は微笑みながら・・コクン!と頷いた。

私は・・「夢」を口にすると・・・それを実現させようとする力が沸く。

そんな私の遺伝子を受け継いでいるのなら、嘗て娘と呼んでいた若き女性が、抱えている「大きな夢」を

叶えるのにどうすればいいのか解っているだろう。

「今までさ・・・うちら・・過保護だったよね?」

「うん・・・小学校のときの夏休みの宿題・・・今でも思い出すよ・・」

ドリルとかは筆跡でバレるので・・・予めノートに答えを書いた(適当に間違えて・・・)ものを本人に写させ・・・

その間に・・図画や工作が私が担当。読書感想文は妻が下書きを書いたくらい・・・・

今でも・・依存症は相変わらずみたいだ。

「なあ・・・ここいらで突き放すのも・・・愛情だよな?」

「そうねえ~そうしようか・・・そうでもしないと・・・子育てとか押し付けられそうだもの・・・」

「はぁ?」

「うん・・・養育料払うからって・・言ってたし」

「俺には・・幼稚園から私立に行かせるから・・・援助よろしくって言ってたぞ・・・・」

そろそろ・・・やっぱり・・・突き放す時期が来たようである。


「父親を辞める日・・・・」 第7章 へ・・・続く。




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