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「父親を辞める日・・・・」 第8章 「勝手に出ていけとは言いつつも・・・・」 [「父親を辞める日・・・・」]

「勝手に出ていけとは言いつつも・・・・」

そろそろ・・・嘗て娘と呼んでいた若い女性も“巣立ち”の秒読み態勢らしい。
何せ・・・“母娘の冷戦”状態だったので、私の思考回路は自宅へ戻るたびにその“働き”を止める。

「男は便利な生き物よねえ~仕事に逃げられるんだから・・・・」 

確かにそうだ。部下にある程度任せてしまえばいい“仕事”まで自分でわざと抱え込んでしまう。
おかげで・・・トリプル進行どころか・・・5本も同時進行の仕事を抱え込んでいる。
そして・・・ボロボロ状態になり、家へ戻る。でも、オーバーワーク気味なのか、寝付けない日々が続き、
“かかりつけの医者”から、“睡眠薬”を1か月分ずつ処方してもらっている。
その“お薬”を飲むことにより私は深い睡眠を得る事が出来、なんとか生きているのだ。
「父親を辞めた」宣言をしたくせに、「安月給の奴に家族を養えるわけがないだろ」とか「あの年齢のときには、俺は部長職だった・・・」とか「生活設計が甘すぎる」とか・・・散々、頭の中を浮かんでは消え、消えては浮かぶ。

「まあ~勝手にすればいいさ。法律では自由が認められているわけだし・・・・」
「いいの?そんなこと言っても・・・」
「うん。その代わり、そんな奴の身元保証人も辞めさせてもらうし、金銭的・精神的なサポートもしない。」
「そうよね~私でもそうするもの・・・」

そう・・ほざいてはみたものの・・・もう一人の“自分”の内なる声が聞こえてくる。

「お前、自他共に認める”超親馬鹿”だったはずだが・・・」

着々と巣立ちのために準備をする“ヒナ”。社会の厳しさ辛さ。そして・・逆風に立ち向かう力を教え忘れている。
そこへ・・・最近、仕事の忙しくなった妻も”仕事が忙しい”を口実にするようになった。

「会ってくれるって言ったじゃん!」
「今・・忙しいから・・・」
「嘘つき!じゃあ・・結果報告だけにするわ!」
「結果報告もいらない!勝手にしなさい・・・」

こんなやりとりで“冷戦状態”に突入した母娘。お互い・・・話をしたいとの思いは一緒のはず・・・・

「なあ~会ってやれば?」
「ずるい!あんたはどうするのよ・・・」
「父親辞めさせていただきましたから・・・義務はないでしょ・・・権利もね!」
「私も忙しいんだけど・・それにあいつ(娘)の態度には腹が立つのよねえ~」
「うん。それは解るけどねえ~でもさ・・・“クモの糸”は一本くらい垂らしておいてやらないと、何をしでかすか解らないもんな・・・・追い込みすぎはいけないような気が・・・・」
「そうかしら?」
「うん。ミトコンドリアDNAで言えば・・・代々進化増殖する傾向があるもの・・・」
「何それ?」
「ああ~アンタのお母さんも凄いけどね。」
「そうねえ~崖の上に立たせて包丁を突き付けるような感じだったもの・・・・」
「うん。俺もなかなか慣れないんだよね。お父さんとはウマが合うんだけど・・・・」
「まあ~同じミトコンドリアDNAを持つのを嫁さんにしてしまった男連合だもんね」
「そんなところだけど・・・そのミトコンドリアDNA進化しているような・・・気がするから・・心配なんだよな」
「確かにそう言われれば・・・アレ(娘)を追い詰めると何をやらかすか解らないような気が・・・・」
「でしょ?まあ・・アンタに全権委任するからさ・・・会ってやんなよ!」
「アンタは?」
「仕事が・・・ド・ピークでねえ~」

やはり・・・私は超親馬鹿どころか・・・世界一いや宇宙一なのかもしれない。“親馬鹿”みたいだ。
「勝手にすればいい」とほざいておきながら・・・陰でその行く末を案じている。
親離れできないのではなく親離れさせたくない・・・それが本音なのかもしれない。

「父親を辞める日・・・・」 第9章へ・・・続く(多分・・・)
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