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オストド&メストド1号そして2号の旅。「津軽海峡・・冬景色」 ③ [日本のお正月]



「もう限界だぁ~」 そうオストドが音を上げたのは、岩手山SAだった。
「えっ?」 寝ていたはずのメストド1号が聴き返す。
「あれ?寝てたでしょ?」
「寝てないわよ!途中、土砂降りあったでしょ?」
「あるわけないじゃん。ああ・・あれか?途中、凍結防止剤撒いてたの!それを追い越したから・・・」

どうやら・・本人は起きていたつもりらしかったが、寝ていたのだ。そうでなかったら、オストドは文句を言われていたか、一発くらい殴られていたかもしれない。何しろ、ちょっと滑ったのだ。どうやら、スピードを知らず知らずに上げていたのだろう。

「ここどこ?」
「岩手山SAだけど・・・」
「あれ?宮城県は?」
「寝ていた間に通り過ぎてきたけど・・・」

ここまでの道中も色々あった。蓮田SAでは、ホテルの社長への手土産を買ってきたし、上河内SAでは、

「餃子が食べたい!」と喚く、メストド2号にメストド1号が、「屋根の上に縛り付けるぞ」と脅し、安達太良SAでは、「小腹が空いたぁ~」と喚くので、お菓子を与え、給油をした。長者原SAでは、牛タンが食べたいとほざき、
テンションが上がっていたのだが、いつの間にか寝ていたので、ここまですっ飛んできたのだ。
吸いたいタバコも吸えず、ひたすら・・眠気と戦いそれでなくても、満身創痍のオストド。
この先は雪道が待っている。多分、ここで夜が明けるまで寝なければ、途中で事故を起こし、目的地が温泉からあの世になってしまう危険性があったのだ。

「ここで・・仮眠する。でも、腹減ったぁ~」
「あたしも・・・減ったかな・・・娘は?」
「起こして聞いてみるか・・・」
「いい!起こすと煩いから寝かせておきましょう!」
「ご尤も・・・」

オストドはメストド1号が所用を足している間に、ニコチンを供給する。身体には悪いのは充分理解はしている。
折角、禁煙を始めた時も、職人’sが悪魔と化し、オストドの机の上に“貢物”と称したタバコの山を築いたのだ。
それと同時に、悪魔と化した職人’sの大ボスがこうほざいたのだ・・・

「いきなり止めると・・・禁断症状が出て大変だぞ・・・やせ我慢しないで・・ホレ!」

それでなくても、ストレスの塊が常に頭上から降り注ぐ。きっとそのストレスの源の息の根を止めるか、自らの息の根を止めねば、常にその塊に頭上を直撃され続けるのだ。

「ホラホラ・・無理しないで!コッチの世界に戻っておいで・・・・」

悪魔に魂を乗っ取られた職人7sの“巧みなそして見事と言うべき連係プレー”(仕事でも生かしてくれ!)により、“節煙生活”に切り替えたつもりが、すっかりヘビーに戻っている。
“所用”を終えたメストド1号と共にソバを食すことにした。とにかく、一瞬で凍えた身体を温めねばならない。
そうしないと・・・オストドは毛布1枚で寝るのだ。寝袋は2個しかない。寝袋1個にフカフカの布団。それに毛布を1枚を既に、メストド2号が使用している。残された寝袋は、脂肪の厚みから言っても、やせ我慢の見地から言っても、愛妻家(恐妻家?)の見地から言っても、メストド1号に快く譲らねばならない。
何しろ、オストドは“この群れ”唯一のオスである。
環境保護の観点で、アイドリングはしない。そうすると、車内温度はどれくらいまで下がるのだろう。
LLビーンの“氷点下40度”まで耐えられると言う防寒着を着こみ、毛布一枚でグルグル巻にしてもらい、オストドは眠りの世界に引き込まれてゆく。


オストドの手・・・赤いのがその防寒着。


岩手山SAにて・・・

温かい朝食を摂り、高速道路上での最後の給油をする。この先、青森インターを出るまで、ガソリンスタンドはないとの情報は掴んである。多分、走ろうと思えば走れるかもしれないが、念のため満タン給油をする。

「お気を付けて・・・・」

そう言われて、ガソリンスタンドのスタッフに見送られ、一路、青森ICを目指す。
途中、確か湯瀬PAに立ち寄る。オストドは大事な事を思い出したのだ。
つまり、食後の一服もしてないし、“所用”も我慢の限界に近付いている。
防寒着を着こんだまでは良かったが、サンダルのまま外へ飛び出す。
我慢の限界が刻一刻とそこに迫ってきているのだ。

「うわぁ~冷たい・・いや・・痛い!」そう叫びながら、除雪車が行き交うPAをトイレめがけて、そろりそろりと亀みたいに進んでゆく。
“所用”を済ませ、一服しているとトイレ掃除に来ていたおばちゃんが出てきたので、少々立ち話をする。

「ねえ・・おばちゃん・・これ?何日分の雪?」
「一晩に決まっているべさ!」
「うわぁお・・・昨夜通過しなくて良かった・・・」
「んっだ!にいちゃんどこから来た!」
「東京・・・」
「これぽっちで驚くでね。一晩っさで60cmは軽く降るんだ・・・」
「へえ~じゃあさ・・・」

オストドは無料化の話を切りだしてみた。除雪の費用はどうするのだろうと言う疑問があった。

「よぐわからねえけどぉ~金がなければ除雪なねえな!」
「そんじゃ通行止め?」
「多分・・・」

この時、オストドは気付かなかったのだが、帰り道に嫌!と言う目に遭わされることになったのだが・・・・


オストド&メストド1号そして2号の旅。「津軽海峡・・冬景色」 ④へ続く・・・・


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アールグレイ

オストドさんの旅行記面白いです!!続きが読みたいです。
by アールグレイ (2010-01-16 18:40) 

たくちゃん

お疲れさまでした。どこのお父さんも大変ですね。今日、朝里川温泉スキー場から帰ってきました。圧雪が間に合わず、上の方はクローズでした。以前、奥様がこの辺りのご出身というのを読んだなぁと思いました。
by たくちゃん (2010-01-16 23:20) 

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