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オストド&メストドの“行きはいいんだけどね! in 万座温泉”① [2010・春のはずの旅行記]

- プロローグは突然に!-

普段は忘れっぽいメストド1号。そのくせ、オストド&メストド2号が忘れると”容赦”がない。
メストド2号が、“巣立ち”の時を迎え、仮住まいで“自活”を始めた。
まあ、今ではすっかりメストド2号の居ない“棲家”の雰囲気にも慣れてきた。

「全くどこのどいつだ!バレンタインデーにホワイトデーなんか考え出したの!」

そう言いながらも、バレンタインデーの前には、ソワソワするのは、オスの習性であり、バレンタインデーが過ぎれば、今度は顔面蒼白。いや・・・懐の財布を取り出し、ヒーフーミーと数えだすのは、オスの哀しき性である。

「ったく・・どこの馬鹿だ?三倍返しなんて言い出したの!出てこい!殴るから・・・」

そう言いながらも、せっせと貯めた“なけなしの小遣い”を数えだす。
そして、貰ったチョコレートの大半をメストドに食い散らかされても、“お返し”はしなければならない。

「何がいいかな?花束は・・・・無理か・・・花殺しの名人だもんな・・」

そう言いながら、花屋の前を行き過ぎる。何しろ、オストドの行動範囲は狭い。
いや、狭くはない。納入すべき機器の検査だと言っては、アチラコチラに出没するし、「作業服のどこが悪い!」と言いながら、新宿や銀座界隈にも出没もする。ミキモトブティックの会員でもあるし、到底、その場所に現れる“格好でも、風体でもないくせに、表参道や原宿も闊歩しているし、青山や六本木でもメシを喰っていることもある。

「困ったな・・何にしよ?」

バレンタインデーの収穫の山のうち、食い散らかされた高級チョコの空箱と、お子ちゃま仕様のチョコレートの山を眺め、ため息をひとつ付く。

「どうしたの?ため息なんか・・・」

「いや・・疲れかな?今までの人生の中でこんなに(頭が)働いたことないからさ・・・」

「そうね・・疲れたわよねえ~温泉入りたいね!」

メストド1号がその場に居なければ、オストドは階下の住人さんの迷惑を顧みず、狂喜乱舞していたかもしれない。必死に踊りたがる自分を抑え込んだ。

「いいねえ~。私を温泉に連れて行ってか・・・そういや、どこかで似たようなタイトルの映画あったな・・・」

こうして、ホワイトデーの当日は“お食事”だけで、誤魔化しして“温泉”へ行けばいいのでは?と考えた。
だが、“敵もサルモノ。引っ掻くモノ”である。
昔から、少ない小遣いをやりくりして、オストドの小遣いに比較すると、ちょっと割高感が否めない宝飾品をプレゼントしても、いつも答えは同じだった。

「ありがと!でもね・・今度、買う時は相談してくれる?」

オストドの忘れっぽい脳みそも“同じ言い草”をされれば、嫌でも覚えてしまう。それに、「好きなモン買ってあげるよ」というには、悲しいかなオストドの財布は、薄すぎる。
メストド1号の口癖は、「あなたの物は、私のモノ。私のモノは、私のモノ」。
オストドがガンを患い、入院した時もそうだった。「もしかしたら?」と疑念が拭えなかったので、メストド1号にヘソクリを全てブチ込んだ財布を渡した。退院しても、ガン保険や所得補償保険、ついでに満額支給されたお給料2カ月分も、全て綺麗さっぱりに“行方不明”になった。
まあ、入院中は“駄々っ子”の“我儘し放題”。「大部屋は嫌だ」と駄々を捏ね、「アレ買って来い!コレ!持ってこい!・・あっ!タバコも買って来いついでに・・TVカード買うから、お金置いて行け!」とか散々やらかしたので、当然の報いと言われれば、返す言葉がない。
なので、一応お伺いを立てねば、温泉の宿泊代は、それこそ“水の泡”となり、石鹸の泡と共に消えてしまう。

「ねえ!ホワイトデーは、温泉でいいかな?」

「どこ?」

「勿論!温泉成分重視!喰い物は二の次になるけど・・・」

「いいわね!でも・・・」

「当日はちゃんと“お食事”に行きますよ・・」

「ならいいわ!」

「ついでにさ・・メストド2号もそれでいいか聴いておいて・・・」

メストド2号は“休日出勤”で、システム変更に対応しないといけないと言う。まあ・・全国共通どこでもなんでも券
別名・・現ナマともお金とも言うが、それが一番喜びそうである。何しろ、メストド2号は“ちゃっかり者”なので、
“歩くお財布”が同行すれば、底なしに“カード”を切らされる恐れがある。“歩くお財布”は、その歩みを止め、薄ぺらいお財布から、一枚抜き取って渡しておくことにすればよい。まあ、温泉に連れていくより、安上がりになってしまうが、怨むなら“休日出勤”を言い渡した張本人か、システムの変更を突然言い出し、地獄の3月を迎えさせた会社の上司を恨んで貰わねばなるまい。案の定・・・・

「私も行きたかったよぉ~」

そう“泣き”の電話がはいってきたのは、オストドとメストド1号が、目的地である“万座温泉”に向かって車を走らせているときだった。

「しょうがないわよね・・・無理をしないで、頑張りなさい!」

延々30分近くメストド1号が、携帯で電話している時、ひたすら・・オストドは安全運転?をしながら、田の車を追い立て、払いのけていたのだ。

「お腹が一杯で眠いよなぁ~」

そうほざきながら、法定速度をなぜか追い越し車線で順守している車を払いのけ、深夜の高速道路をぶっ飛ばしていたのである。


-睡魔と闘い・・道路犬を嗅ぎ分けて・・・-

「遅いなぁ~ガソリン入れる時間なくなっちゃうよ!あれほど・・7時って言ったのにな!」

そうほざいていたのは、土曜日の午後7時を廻ったところ、いつもの朝と同じ様に、家の玄関を出た。
出たまでは同じだが、いsつものダンヒルのショルダーを肩にかけ、小旅行に持って行く、カバンを手に取り、
ついでに2個の寝袋と、防寒靴。おまけにメストド1号の防寒着を車に押し込み、追手に察知されない様に巧みに隠す。それでなくても、職人’sに見つかれば、“強制的”に拉致され、現場の小屋に喰いちぎれない“鎖”で繋がれてしまう。オストドは連休を取るつもりだが、“職人’sに明日はない”。ライフラインに携わっていると、“休日”は、働かされ、ついでに平日もコキ使われる。オストドの口癖は「死ぬまで働け!」である。
身体さえ丈夫で、色を見分けられ、やるべきことを瞬時に判断出来なくても、その数十秒後には、“理解”できれば、“職人’s”は、眠る様に“永遠の眠り”につくまで、働く事が出来る。ただし、彼等を待ち受けるのは、今までコキ浸かっていた後輩である“職人’s”に散々コキ使われ、罵倒される日々が待っているのだけれど・・・
従って、彼等にはバレるわけにはいかない。何しろ、我が社の伝統と言うのか、恐ろしい事にハネムーン先まで、“お仕事”の電話が追いかける。その企みの急先鋒・・・海外に逃亡しようが、どこに隠れ様が、見つけ出し
お仕事の電話を掛けるのである。その首謀者故、時には“反乱”の矛先が我が身に降りかかってくる。

「今から電車に乗るから・・・」

メストド1号から、待望の電話が入る。だが、オフィスを空けるわけにはいかなかったので、我が社の御用達のガソリンスタンドに電話を入れると社長がでた。

「社長!何時までだっけ?」 その声には、取りに来てくれないかな?ついでに届けて!と匂わせている。

「忙しいんでしょ?」

「そうなんだよね・・・間に合いそうもないか・・・」

「ウチの若いもん向かわせますから・・・」

これで終わりである。コレだけで、“飼い主”そっくりの腹っぺらしの車は、“その胃袋”を満たされ、ついでにエンジン廻り、足回りの点検まで終え、後は、逃亡に備え、会社の車庫の片隅で、その“出番”を待つ。
様子を窺いに次々とオストドの専用執務室にやってくる。“職人’s”を欺き、脱出するのは、至難と思われたが、
“ご挨拶”で頂いたビール券の存在を思い出したので、「これで・・飲めば?ついでに・・つまみ代」と千円札を2枚掴ませる。これで、酒盛りが始まり、“監視の目”が緩めば脱出可能なのだ。
メストド1号が到着し、車に買いこんで来たスーパーの袋を放りこむ。まあ、毎日の様に現れるので、職人’sは警戒しない。いつもの様に帰宅するフリをして、会社から逃げ出したのである。

「さてと・・腹減った!」

「そうね・・」

途中、ガストに立ち寄り時間調整をする。首都高に上がろうとした時、運悪く“職人’sを乗せた社有車とすれ違う慌てて、携帯の電源をブチ切り、向こうが気付かないうちに首都高を駆け上がる。

「あっ!娘から電話あったみたい・・・」

「掛けてみれば?」

オストドは、一路首都高を外環方面へ向けて車を走らせていた。メストド1号が2号と話しをしている間に、外環に進路を移し、着実に関越道方面へ進んでいた。

「あっ!ヤバッ!」

「えっ?」

「覆面・・中国では道路犬が現れた・・・」

「判るの?」

「まあね・・・赤色灯廻っているモン・・・」

巧みにすり抜け、近くのSAに逃げ込む。RVばかり停まっている所へ、滑り込みエンジンを切り、寝た振りをする。しばらくして、パトカーが赤色灯を廻し、“物色”しながらノロノロ走っている。

「うちかな?」

「どうだろ?」

「身に覚えは?」

「あるに決まっているじゃん!現行犯で捕まってないから大丈夫だとおもうけどね・・・」

オストド&メストド1号は、頭から毛布を被り眠ったふりをしていた・・・

二人して、ムクリと起き出し、トイレに行くために車外にでたのは、それから10分後のことだった。




オストド&メストドの“行きはいいんだけどね! in 万座温泉”②へ続く・・・
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かずっちゃ

ご無沙汰しておりました。
オストドさん、メストド1号さんと万座温泉に行かれたんですね。
今回は物語調の旅行記。面白いです!
『行きはいいんだけどね』で、帰りに渋滞と。
その顛末が書かれるわけですね。
続きが楽しみです!
by かずっちゃ (2010-03-23 17:38) 

chunta

行きは良いはずだから
逃げ切れ(?)ましたよね?
by chunta (2010-03-24 00:52) 

りりー

りりーの旦那です。女房不調なので代理で訪問します・・
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by りりー (2010-03-24 02:07) 

inacyan

所沢の高速隊はやる気有りすぎですからね~(^^;)
群馬は前橋から水上間が危ないんです!!お気を付け下さいね。
あと上信道も危険かな特に80キロ制限区間がですが…
今週は毎日前橋~所沢間を使っているんで気をつけていますよ~(^^)
by inacyan (2010-03-24 08:28) 

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