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飛んで!飛んで!飛んで!飛んで!イスタンブール! ⑭  [2010 夏 イスタンブールの旅]

第13章 イスタンブールの街を歩く。

― イスタンブールの夜は激しく ①-

無事にリザベーションが終った。泣いても笑っても最後の晩。明日は朝食を終えたら、

空港行きのリムジンバスに乗って、イスタンブールから、カイロを経由して日本へ。

“出稼ぎ”に戻らなければならない。

オストドとメストド1号のチケットは、イスタンブール発券になっているわけだから、

航空券上では、成田でストップオーバー。つまり、滞在中になっているのである。

「しかし・・・どんどん遠くなっていくわね。発券地が・・・・」

「まあね。当分はイスタンブール発券かな?エジプト航空に何度乗ることやら・・・」

「聴きたかったんだけどね?何で・・エジプト航空なわけ?」

「極論から言えば、安いから・・・あと、スタアラだしね!」

オストド&メストド1号は、なんちゃって“☆G”(☆ゴールドメンバー)。

そう言えば、ANAにせっせとマイルを貯めているけど、国内線以外は、最近ANAには乗って居ない。

「予算には限りあるしね。財務省としましては,安い方がありがたいわね。」

「でしょ?コスト&パフォーマンス。パフォマンスは置いておいても、マイルはがっちり稼ぐ!」

「いいのかな?ANAには乗ってないのに・・・」

「いいんじゃない?ルールは守っているもの・・・」

部屋の鍵を開ける。一旦、部屋に戻り、プールへ行くために着替えることにしたのである。

水着の上にTシャツを着て、サンダル履きでラウンジへ出かける。

まあ、ちゃんとチェックは済んでいる。西洋人に許されるのなら、トドの暴挙?も許される。

「サー&マーム!何を飲まれます?」

すっかり顔なじみになったウエイター氏が尋ねてくる。

飲み物をオーダーして、ケーキ等を物色する。優雅とは程遠い格好はしているけど、

ボスフォラス海峡を眼下に眺めながらのティータイムは格別なものである。

「さてと・・・腹一杯になったしね・・・」

「そうね・・・泳ぐのよ!解っているわよね?」

「も・・・勿論!」

プールサイドへ行き、カウンターでタオルを2枚借りる。

「何か飲む?」

「今はいいわね・・・」

「あっそう・・・」

木陰にデッキチェアーを確保して、メストド1号は読書をはじめ、オストドはヒューマンウォッチング。

「ちくしょー」

「何か言った?」

「いや・・別に・・・泳いで来よう!」

オストドは深~く後悔していたのだ。毎日ちゃんとプールに通えばよかった。

多分、こう書けば、大概の男性陣なら解っていただけるはずである。思わず、帰りのフライトが

延々とキャンセルにならないか?と思ったくらいである。

あちらこちらにぶつかりながら、プールサイドへ歩いてゆく。何故だか理由は書かないけど、

大体、そんなものである。幸いプールに落ちずに済んだのは、運よく?と言った方がいいのか、

オストドのすぐ眼の前を歩いている・・とあるモノに見とれていたおかげで、目の中に段差が入って

きたからでしかない。

未だに謎が解明されない事がある。これは後輩連中に謎ときを依頼しているのだが、

一向に答えが返って来ない。

「何故!ロシア系の女性は若い時と、年を重ねてからの体型がこうも変わるのか?」である。

プールである程度泳ぎ、そう・・ある程度である。プールの浮力はたかが知れている。

オストドが溺れるのが早いか?それともプールの水を飲み干すのが早いか?だ。

それでもある程度の距離を、障害物の美女やら、将来美人になるよなぁ~と思いたくなる女の子やら、

ここで水泳教室するなよ!と言いたくなる親子とかを避けながら泳ぐ。

メストド1号はもっと泳げと言うが、夜に備えて体力を温存せねばならない。

まあ、これ以上、プールサイドに居ると、日本への帰国を延ばしたくなるので、ほどほどにしておく。

メストド1号を促し、足早に部屋へ戻ることにした。

多分、あと1時間も目の保養?をしていれば、帰りたくなくなる症候群になりかねない。

「さてと・・晩飯はラウンジでいいか?メンドーだし。」

「タダだしねえ~の間違いじゃ・・・」

「まあね!それにホテルの入り口だしね。次の目的地は・・・」

まあ、夕食を摂らねばならないほど、お腹は減っていない。

いや、正しく言えば、秋口には強制ダイエットが待っているわけだから、今から準備をしておいた方が

良いと、身体がそう訴えているのかもしれない。

意地汚い話になるのだが、ダイエットをせねばならない。そんな事は嫌と言うほど承知はしている。

承知はしているのだが、特に“対価を払って”のビュッフェとなると、承知していることさえ忘れてしまう。

「喰わなきゃ損だよな・・・」とか、「喰うアホウ!に観るアホウ!同じアホなら喰わなきゃ損!」とか

年々、食べる総量は減っては来ているのだが、どうも喰い意地だけは一向に治る気配はない。

「まあ、オストドの場合、あんまり空腹になると、我を忘れるのよねぇ~」と言いながら、

ほどほどにエサを与えるのが、飼育係の仕事らしい。

いくら、プールでせっせと泳いだと言っても、目の保養?をしながらである。

たかだか・・100いや・・200メートルほど潜水をしていたに過ぎない。

「あんまり腹減ってない・・・」

「おや?珍しい事もあるわね?」

「そう?水飲み過ぎたかな・・・」

この辺で切り上げておくのがベターであり、ベストである。何しろ、息を吸いこまねばならない所で、

目は水中でのハプニングを凝視していて、間違えてプール水をたらふく飲む羽目になったとは、

言う訳にはいかないのである。

「いい傾向だこと・・・これを機に本格的ダイエットする気になったのね?」

首をブンブンと横に振りたい衝動に駆られたが、しぶしぶ頷くしかないのである。

「まあね・・ちょっと・・体重落とさないと、足が・・・」

「悲鳴を上げているんでしょ?」

「そういうことかな・・」 

取りあえず、ラウンジへ行く。勿論そのままナイトクラブへ出かける算段をしているので、

メストドもナイトクラブ用に持ってきた・・・もとい、トランクに投げ入れたままのドレスアップをし、

オストドもTシャツに水着とか、カジュアルシャツにズボンといった服装ではなく、それなりの

服装に着替え、暑いのを承知でサマージャケットなんぞに袖を通している。

数時間前とは、全然雰囲気が変わったオストド&メストド1号に、ウエイター氏は尤も眺めの良い

窓際ノテーブルに案内してくれた。

「サー&マーム!お飲み物はいかがいたします?」

本来なら、ハッピーアワーだから、何を飲んでも良い。飲めるだけ飲んで、喰えるだけ喰っても良い。

「いいのかなぁ~オストド。」

「何が?」

オストドはキンキンに冷えたグラス。レモンが浮かんでいるコーラが注がれたグラスを手に持っている。

「だってね!一番安いレートで入れたんでしょ?予約・・・」

「まあね!ガーデンビューの格安レート。つまり、最低宿泊料金だけど・・・」

「それが・・まず、ボスフォラスビューにエグゼクティブフロアーだし・・・」

「まあねぇ~ヒルトンの罠に嵌って良かったでしょ?」

「うん。」

オストドはなんちゃって“GVIP”なのだ。そもそも・・年に数泊しかしないオストド&メストド1号。

泊まらない年もある。一番ランクの下の会員だったのだが、毎回の様にヒルトンに宿泊する際は、

エグゼクティブフロアーに宿泊予約を入れていたからだろうか?それとも、バンコクのコンラッドで、

生意気にもリバビュースィートなんぞを2度ほど利用し、更には空港⇔ホテル間を、リムジンの

オーダーを入れているせいなのか?いきなり、シルバーVIPにランクアップを勝手にされた。

その際に“なんちゃってG”へのオファーがあったので、罠に嵌ってみようと言う気になったのだ。

「元取れたわよねえ~」

「まあね・・・コロンボヒルトン覚えている?」

「勿論、前回はシティービューだったけど、ウエルカムフルーツにチョコレート、お寿司・・・」

「うん。その前はコーナースィートにアップグレードされたしね・・・」

「今回も凄いわよね。毎日違うフルーツあるんだもの・・・」

「まあね。桃でしょ・・バナナに今日はリンゴ・・・」

「そう言えば・・エレベーターの前にあったリンゴ。誰か持って行って食べているのかな?」

「えっ?」

「だって・・朝うず高く積んであったのが、少なくなっているもの・・・」

「そうか!あのリンゴ喰い放題だったのか・・・おっ!そろそろ・・行かないと!」

「そうね!何時くらいになるのかしら?」

「結構・・遅くまでやっているらしいけど。バンドショーとかはパス!荷造りもあるし・・・」

「やっていただけるのかしら?」

「やりません!じゃなかった・・やらない。ぐちゃぐちゃに詰め込むのは出来るけど・・・」

「そうよねえ~昔からそうだった。あっ!」

「何?」

「思い出したわ!カナダへ添乗で行った時、メープルシロップの瓶を洋服でグルグルと・・・」

「ああ!そんなこともあったな・・・」

「一瓶割れてて大変だったんだぞ!」

「その節は・・お手数おかけいたしまして!」

「どういたしまして・・・」

「それじゃあ~行きますか?奥様!」

腕を差し出すオストド。日本では素知らぬ顔をして歩くのだが、異国の地では俄かジェントルマンに

変貌するのである。まあ、日本で腕を組んだり、手をつないで歩くのは、メストド1号が“所有権”を

暗に示している時とか迷子になりそうな時、もしくは、メストド1号が疲れた時等である。

まあ、偶にオストドが足を怪我して以来、オストドの杖の代わりになるときぐらいだ。

「痛む?」

「大丈夫・・・一応、痛み止めのクリーム塗って、飲み薬飲んだし・・」

顔見知りになったホテルの従業員と挨拶を交わしながら、玄関を出る。

ものの数分。しかも、ガードマンが守るホテルの敷地を出て、わずか1分。

微笑みを浮かべたウエイター氏に迎え入れられる。

「サー。ご予約は?」

「勿論あるよ。オストドだけど・・・」

「オストド様・・・ハイ。それではこちらへ・・・」

この時までは、ま・さ・かステージ正面。遮る群衆の頭がない席に案内されるとは、夢にも・・・

そう、夢にも思わなかったのである。お食事付きではなく、ドリンクにフルーツ盛り合わせ付き

そうオーダーしてあったからかもしれない。こじんまりとしたテーブルだが、ステージ真正面。

それもカブリ付きの席に案内される。

「おっ!日本人の団体さんがいるわ!あれ・・ツアーかな?」

「いいのかな?」

「何で?」

「後ろの席の人の視線が痛いんだけど・・・」

「それはね。きっと食事付きより、利益率が良いからかも・・・それとも親日国家だからかな?」

「真相は?」

「そんなもん知らないよ!あれ・・・」

「えっ?」

「ま・・まさか・・・うちらのテーブル用かな?あの国旗・・・」

オストドとメストド1号の座ったテーブルには、日の丸とトルコの国旗が仲良く並んだのだ。

「ああ・・・・」

「何か仰いました?」

「何でも・・・」

そう、一応、日本国籍を有しているわけだから、ここは羽目を外すことなく、大人しくせねばと

心に誓う。まあ、後で、代わりにメストド1号がステージ上に引っ張り上げられる羽目になる。


第14章 イスタンブールの街を歩く。イスタンブールの夜は激しく ②へ続く・・・


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コメント 2

nyankome

>ボスフォラス海峡を眼下に眺めながらのティータイム
優雅ですね~。
by nyankome (2010-11-10 18:28) 

inacyan

見とれるほどのお尻・・・最近お目にかかってませんね\(´▽`)/
by inacyan (2010-11-11 08:52) 

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