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飛んで!飛んで!飛んで!飛んで!イスタンブール! ⑰ [2010 夏 イスタンブールの旅]

第16章 国内線並みのチェックイン時間と貸し切り?

「ええと・・エジプト航空は何処かいな・・・」

「調べてなかったの?」

「まあねえ~」

インフォメーションボードを眺めながら、ため息をひとつ吐く。

オストドとメストド1号を乗せ、イスタンブールを飛び立つエジプト航空の出発時間は、14:00発。

遅くても3時間前にはカウンターがオープンになると踏んでいたのだが、

「おかしいなぁ~後の便はもうカウンターオープンしているのに・・・・」

「まさかとは思うけど・・飛ぶわよねえ~」

「どうだろ?ここまでくれば・・・ケ・セラ・セラだな・・・」

「何便だっけ?」

「MS738便。ったくぅ~一服したいな・・・」

「してくれば?」

「いいの?」

「機嫌が悪くなるよりわねえ~」

メストド1号に荷物を預けると、パスポートとE-チケットを握りしめ、外へ飛び出す。

まさか・・それが繰り返されることになろうとは、夢にも思わなかった。

結局、カウンターがオープンされたのが、11時45分。

「やっと・・かよ・・・・」

「もう1時間寝れたわよねえ~」

「だね・・今度は11時のバスで充分だな・・・」

イスタンブール~カイロ間とカイロ~成田間の2枚のビジネスクラスのボーディングパスと

ラウンジのインビテーションカードを、それぞれ受け取る。

預け入れるのは、スーツケースのみ。一応、万一に備えて1泊分の着替えを入れ、少々重い

キャリーを引っ張って歩くのは、オストドの旅のスタイルである。

「さてと・・・ラウンジでも行こうか!それとも免税品でも見る?」

「いいわ!娘の出国税は買ってあるし・・・」

「でした・・じゃあ・・・」





「さてと・・・・」

「えっ?」

「喰えるうちに喰っておく・・・」



「どうせ・・2時間10分のフライトなんだよ!まともなモン出るとは思えないし・・・」

「そうかな?」

「ミールリクエスト入れてないしね・・・・どんなもん喰わされるか・・・」

止せばよかったのである。どうせまともなミールなんぞ出ないと勝手に判断してしまったのだ。

まあ、出発前にエジプト航空に確認したのだが、よく判らないとの回答だったのもあるのだが、

スイーツを手当たり次第、2頭ノトドは胃袋に押し込んでしまったわけだ。

「さてと・・ゲートに行こうか?」

「そうねえ~」

「スモーキングルームあるかな・・・」

柱に貼ってある見取り図が悪いのか?それともオストドの鼻が利かなくなったのか?

スモーキングルームを見つける事が出来なかった。

まあ、この旅にはJTから発売されているゼロスタイルと言うおしゃぶりを持ってきているので、

さっきから、咥えっぱなしになってはいるのだけれど、儀式が出来ない分。少々、不安がある。

「まあ、我慢するのね!」

「う~う。カイロに着いたら思い切り吸ってやる。」

「はいはい・・お好きなだけどうぞ!」

「インシャラーこれも神の思し召しかな・・・」

まあ、嘆いていても仕方がない。カイロまでわずかあと・・3時間。長くても4時間我慢すればいい。

「きっと・・カイロにはあるよ!豪勢なスモーキングラウンジ・・・・」

そう自分に言い聞かせると、ゲートへ向かう事にした。

「んっ?おかしいな・・・」

「何が?」

「さっきから・・インフォメーションボード見ているんだけど・・ゲートが見るたびに違う。」

「えっ?」

「ボーディングには、208と書いてあるでしょ?ボードには・・おや、また変わった。」

208→210→208・・・めまぐるしく変わり、最終的には210になった。

ゲートのそばの椅子に腰かけ、ゲートオープンを待っていると、日本語が聴こえてくる。

「ったく・・・あいつら・・ビジネスクラスじゃねえだろうな・・・」

「機嫌悪いわねえ~」

「まあね。あんなにでかいモン持ち込むのか?ハタ迷惑な・・・」

「ホラ!おしゃぶり咥えてなさい!いい子だから・・・」

まあ、今更思い出すと赤面することも、ツアコン時代にはやってきているので、オストドに彼等を

責める資格はない。資格はないのだけれど、そういう輩がいると、同じ日本人として、

酷い仕打ちを受けるケースがある。エアーカナダでは、CAにボーディングパスをひったくられたし、

その昔では、イエローだのジャップだの言われると、カ~ッとして殴りかかったものである。

「やれやれ・・・とばっちりを受けない様にしねえと・・・」

ひとりごとをポツンと呟くと、優先搭乗でB732-800の機内へさっさと避難することにした。







「おかしいなぁ~」

「何がかしら?」

「どう見渡しても・・・ビジネスクラス。俺らだけだけど・・・・・」

「あらら・・本当!貸し切ったの?」

「まさか・・・」



ウエルカム・ドリンク(アルコールは積んでいない。)を飲みながら、エコノミーへ進んでいく人々の

ちょっと痛い視線を感じる。

「ありゃりゃ・・ドア閉めちゃった。道理で・・カウンターも専用だったのか・・・」

「えっ?」

「後ろ誰も居なかったでしょ?貸し切りだぁ~ただし、ビジネスクラスだけだけど・・・・」

14:00 ドアクローズ。エコノミークラスはほぼ満席なのだろう。振り返るとごちゃごちゃしている。

何やら、収めきれない荷物をビジネスクラスに入れさせろとでも交渉しているみたいだ。

「どうするのかな?」

「入れさせてあげればいいのにねえ~」

「まあね・・難しいけど・・・神の思し召し次第じゃないかな・・・」

結局、荷物は収納させて貰えなかったみたいだったけど、オストドには関係がない。

14:08 プッシュバックが開始され、ソロソロと行くのか?と思いきや36Lに向かって

「おいおい!いいのか?」と言いたくなるスピードで突っ走ってゆく。

ウエルカムドリンクのお代りは?と尋ねられるが、ノンサンクス!と答えておく。

もしかすると、グラスの中身を飲み干す前に離陸しそうだからだ。



離陸の瞬間。オストドは気絶していた。メストド1号も気絶していたから知らないけど、

気が付けばイスタンブールの街並みが小さく眼下に見える。

「あれ?行き先間違えて乗ったかな?」と思いたくなるのだが、このまま飛んでいくと、黒海の上空

そして、ロシアへ向かう羽目になる。

機体は黒海寸前で右へ大きく旋回し、本来の目的地であるカイロへ向かいだした。

そのまま、放っておいてくれれば寝て入れば済む距離だし、お腹も一杯なのだが、







CAがトレーを2個運んできた。デザートが2種類。メストド1号はチョコレートケーキを選択したので、

オストドの前には残ったもう一方が置かれる。

「誰よ!碌なもん出ないって言ったの?」

「俺?俺は喰うけど・・・」

「あたしは・・チョコレートケーキだけでいいかな・・・」

ここでもオストドの勘は狂ったのである。これぐらいなら二人分は行けるな!と判断したのだ。

メインデッシュなんぞないと過去の短時間路線の搭乗の記憶からそう思ったわけだ。

メストド1号はチョコレートケーキだけを食べ、オストドが残りを平らげたのだ。

「んっ?」

「どうしたの?」

「何やら・・・悪い予感と言うか、得体の知れない匂いが漂っている・・・」

「ま・さ・か・・・メインディッシュあるの?」

「そうだとしても・・・ウップ!もう入らない!」

メインディッシュは固辞することにした。きっとクルーの誰かが食べるのだろう。

まさか、たかだか2時間ちょっとのフライトで、フルコースがあるとは、恐るべしである。

まあ、それは来年の教訓にすればよいことである。





食後のコーヒーを優雅?な気分とラウンジで、あれだけ喰わなきゃ良かったと後悔しながら、

啜っていると眼下には茶色い世界が拡がりはじめ、機体は静かに高度を下げ始めていた。





15:08 カイロ国際空港にランディング。

「あれ?ターミナルはあっちなんだけど・・・」

「ターミナルに着かないのかしら?」

「みたいだねえ~久しぶりにタラップかな・・・」

機体は沖止めにされた。タラップが横付けされるのを見ていると、どうやらバス移動らしい。

CAがカーテンを閉め、エコノミークラスからの乗客をブロックしている。

真っ先にタラップを降りると、誘導されたバスに乗りこむ。バスはオストドとメストド1号だけを乗せると、

ドライバー氏はバスをターミナルへ向け走らせ始めた。

「勿体ないオバケが出るよぉ~」

「そうよねえ~いいのかしら?」

「だよねえ~こっちは二人で1台のバス。残りは1台にギュウギュウ詰めかぁ~」





バスを降り、トランスファーカウンターへ向かう。パスポートとカイロ~成田間のボーディングパスを

カウンターで差し出す。

「ハウメニバッゲージ?」聞かれたのはこれだけだった。

「わん!」確かにオストドはそう言ったのである。何しろ、ニコチンの補充がまだなので、少々

いや・・大分、気が立っているのである。犬が啼く様に、「わん!」と答えたのだ。

係員からパスポートとそして、スタンプの押されたボーディングパスとラウンジのインビカードを

受け取ると、まっしぐらにスモーキングルーム目指して小走りに走るオストドと、

苦笑しながらも置いていかれて溜まるか!というメストド1号の姿がそこにはあったのだ。


第17章 “デレイしやがるんなら・・・もっとせんかい!”へ続く・・・・






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りりー

こんばんは^^☆
by りりー (2010-12-27 19:59) 

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