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オストド&メストド1号・・・飛んでイスタンブール再び・・・③ [2011・夏 イスタンブールの旅]

第二章 - 空の旅人 - 

「さてと・・・行きますかぁ~タバコも買わなきゃ!」

「あたしは・・口紅を買うんだぁ~」

「へっ?この前も・・・」

「オレンジ色を買うのよ!」

これ以上、触らぬ神に祟り無しよばかりに、揃ってANAHOUSEへ行く。

「何カートンにしようかな?ええと・・2カートンは免税持込できるし・・滞在中は・・・」

「4カートン買えばいいでしょ!余れば・・税金払えばいいんでしょ!」

仰るとおりとばかりに、4カートンをANAカードで購入。1カートン2500円が、4カートンで

9000円。おまけを2個もらうが、邪魔だからいらないとは言えなかった。

メストド1号はチャンネルじゃなかった。シャネルの売り場に居て、店員相手に物色中だった。

「ANAカードで10%引きだった・・・」

すると店員が「すみません。シャネルは割引除外で・・・」

「いいのよ。それください。」

そう言いながら、オストドを横目で睨むメストド1号がそこには居た。

「さてと・・買うもんかったけど・・そういや・・お嬢(2号)のは?」

「今年は頼まれてないけど・・・」

「買わなくていいのかな?」

「いいんじゃない。」

「あっそ・・じゃあ・・行きますか?」

「どこへ?」

「あっちのラウンジ・・・」

「また食べるの?」

「食べない!タバコ吸う・・・時間あるしね・・・」

購買力に火が点いたメストド1号ほど恐ろしいものはない。

スリランカへ出かけた時も、「ちょっと買おうかなぁ~」で1万ドルも買ったのだ。

君子危うきに近寄らずではないが、"逃避モード”をオストドのちょっと古ぼけた頭脳コンピューターが

危険信号を発していた。

第4サテライトのANAラウンジへ行き、タバコを吸う。呆れているのか、諦めているのか?

それとも無の極致の域に達しているのか?

もうひとつ言えば、オストドが暴れる危険性があるので、仕方がないと思っているのか?

まあ、いずれかだろうとは思うが、オストドの飼育係兼調教係(時にはであるが・・・)の

メストド1号としては、放し飼いにするわけにはいかないので、オストドにくっついてくる。

取りあえず、タバコを2本。これくらいで取りあえず止めておく。何しろ閉鎖的環境で、

旅立ち前の最後になるかもしれない"儀式”には、少々難がある。

まあ、屁理屈もここまでくれば、我ながらも呆れてしまうが、第5サテライトのスモーキングエリアより

どうも閉塞感は拭えないので、さっさとラウンジを後にして、ゲート付近に移動しておくことにした。

記憶によれば、搭乗ゲートの近くにもスモーキングルームがあったはずだ。

"記憶”どおりの所で、いつもの"儀式”を行い、32ゲートより優先搭乗でさっさと機内に入る。

18時10分ドアクローズ。18時15分にスポットより押し出されたB767300ERは、いつもの逆で

猛烈な睡魔に襲われ、眠りに点いたオストドと意識が朦朧としながらも、オストドに聞かれた際に

答えられる様にと起きているメストド1号を乗せ、18時40分にANA915便は空へ舞い上がった。

ただ、滑走路16Rだったのか、34Lだったのか定かではないらしい。

残念ながら、記憶にはウエルカムドリンクで冷たいお茶をいただいて、爆睡モードに入り、

機内食を準備する微かな匂いに鼻をヒクヒクさせて、起き出し、梅酒のオンザロックを頂きながら、

アペタイザーに、"愛媛産鱸のマリネを薔薇に見立てて 酢橘の香りとともに”を二人前喰らい、

メインデイッシュには、牛フィレ肉のステーキ。ブレッドをムシャムシャと食べながらも、優しいCAさんが

「ごはんもありますけど?」と親切んおか?それとも無意識に「ご飯くれなきゃ、取って食うぞ!」と目で

訴えたのが判ったのか?定かではないけど、メストド1号のお新香を横取りして、貪り・・・・

デザートのアイスクリームを楽しみにしていたのだが、襲ってくる"睡魔”に満腹が加わって、多少の

アルコールはオストドを深い眠りの世界に引きずり込むには、充分過ぎたのだった。

「はら・・起きて!起きろ!コノヤロー」

「う・・・う~ん。」

「最終着陸態勢に入るんだって・・・」

いつもと逆バージョン。22:15(JPT00:15)滑走路01Lに滑らかに着陸した。

「ふわぁ~あ!よく寝た・・・」

「鼾かいて寝てたわよ!」

「へえ~」

「へえじゃなくて・・この後どうなるの?」

「ええとぉ~トランスファーカウンターへ行けばいいんじゃない?その前に"儀式”だけど・・・」

勝手知ったるバンコク・スワンナプーム空港と歩き出し、オストドの鼻検知器が、スモーキングルームが

近いことを知らせる。

いつもの様に一服の儀式を終えると、何かが違う。

「あれ?何かが違う!」

「えっ?」

「記憶によれば、自由にデッパチとアライブ・・行き来できたんだけどなぁ~」

オストドは、出発をデッパチと呼び、到着をアライブと言う。

ツアコン時代からこう言っているので、いくら直されても、直らない。

前は自由にエスカレーターで上り下り出来た。タバコを吸わない人には問題がないが、

これでデッパチにスモーキングルームがなかったら、オストドの"儀式”は成立せず、乗る機体は

呪われた機体となり、ノタノタと道を歩いていて、車に轢かれる確立より、墜落する確立の方が

高くなる。仮に墜落しなくても、目的地変更にエンジントラブルなどは起こるかもしれない。

「くそぉ~スワナプームお前もか!」

「スワンナ・プーム!でしょ!」

「そうそう・・それ!ったく・・3レターも忘れかけているんだから・・・」

「英語は大丈夫なんでしょうね?」

「上品な奴は・・ムリだな!悪口なら・・任せて!」

「も~う!」

保安検査場の入口でEチケットを見せて、保安検査を受ける。

「ノーラックトップ?」

「イエース!」

さっさとピンポンゲートを潜り抜け、外したベルトと時計を身につけ、デッパチフロアーへ上がる。

「行けるのかな?」

記憶を頼りにエスカレーターの上から階下を覗くと、保安検査場になっていた。

「前のほうがよかったなぁ~ゲートに向かう寸前のほうが・・・」

「何で変わったのかしら?」

「さあね。想像はできるけど・・おおよそ"どこかのバカのせい”ざんしょ!」

「お口が悪すぎませんこと?」

「アイスクリームの時、起こしてくれなかったからねえ~口も悪くなる。」

オストドの場合は、しょっちゅう"ヤブを突いてヘビ”を出す。

「あのね!鼾を掻いていたのは誰?」

「普通・・・起こすでしょ?」

「お疲れかと思って・・バニラと抹茶。美味しかった!」

「う~うっ!」

悔やんでも後の祭り。ANAのCAのせいではないが、もうちょっとテンポ良くしてくれてもと、

逆恨みしたところで始まらない。

「タバコ吸うわよね?」

「Do not hear an obvious thing!」(決まりきった事を聞くな!」

「へっ?」

「オフコースだな・・でも、どこかな?仕方ないインフォメーションで聞くか・・・」

どうやら、同類は多いらしい。インフォメーションディスクの上には、”案内”のボードがあった。

しかし、オストドの目には先客が邪魔していて、ボードが目に入らなかった。

いや、入らなかったのではなく。見なかったが正解かもしれない。

「Where can I smoke a cigarette?」

「Is it written here?」

「Because I was true, and you were a beautiful , I did not catch sight elsewhere」

「Really?Thank you. By the way, is it your wife that there is there?」

「Is it so?」

「She glares at this!」

「It is dangerous; bye-bye!」

オストドは慌ててメストド1号の所へ戻った。

「どこだって?」

「ゲートの所らしいけど・・・行って見れば判るでしょ・・・」

書いてあったゲートへ降りてみる。どうやら使われていないゲートらしく、長々と寝そべっている人。

歩きつかれて座っている人もいる。

スモーキングルームに飛び込み、一服。

「ねえ!他に何を聞いてた?」

「何も・・・鈍らになってないか英語を使ってみた・・あはは」

まあ、オカマさんではない事を祈ってはいたのだが、それはどーでもいい話である。

「さてと・・・ラウンジにでも行くか」

「何か食べる気じゃ・・・」

「I do not eat. Is an in-flight meal mind not to feed?」

「あん?日本語で言え!」

「喰わない。喰ったら機内食没収ざんしょ?」

「勿論!少しはダイエットしなきゃねえ~機内食どころじゃなくて1日1食・・・」

「ワァ~オ!」

TGのラウンジへ飛び込む。メストド1号がトイレに行った隙に、何か詰め込むか?とも考えたが、

「空腹こそ最大の調味料よねえ~」の言葉に素直に頷くしかない。

「空腹こそ・・・か。どうせ大したモン出ないけどな・・・」

コーラを前にしばし考え込む。若い頃はブロイラー路線でも平気だったのだが、

新陳代謝は相当落ちている。勢いに任せて食すると、また、薬漬けの日々になる。

「そろそろ・・空飛ぶ食欲魔人をやめて、空飛ぶ元食欲魔人」とするべきか悩む。



そこへメストド1号が戻ってくる。

「奥様はコーヒーですかね?」

「ええ!チョコあった?」

「ない。いや・・ないと思う。食べ物には近づかなかったから・・・」

「ヨダレが・・・」

「はあ?自分で取ってきな!セルフサービスだから・・・ここ!」

コーラを飲んでいると、また、睡魔が襲ってきはじめた。ちょっと意識がなくなる。

「ほら!"儀式”するんでしょ?行くわよ!」

その声に促され、半分意識朦朧となり歩いてゆく。

どこをどうやって乗ったのか知らないが、"儀式”を済ませると身体は勝手にゲートへ向かい、

そのまま機中の人となった。何しろ、気づいたら、最前列8Hにおとなしく座っていた。















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