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僕と“う”と“な”の物語 -第一章 第一話 ー  [僕と“う”と“な”の物語]

ー 第一章 僕と“う”の出会い ―

僕と”う”が出会ったのは、僕がまだ高校1年生でひょんな事。いや違う。

運命のいたずらとでも言うべきか、それとも普段の行いの悪さと言えばよいのだろうか?

その頃の僕は、突き上げられる衝動のままに行動していた報いなのか、

何しろ、高校入学時点で“退学候補ナンバーワン”に数えられていた。

制服を着なければならない式典である入学式も、私服で出かけて式にも出して貰えず、

ついでに他校の生徒との喧嘩は日常茶飯事だった。

僕の身体の中に流れる血は、日本オオカミの野生の血が流れているとさえ、

本気で信じていたくらいだ。

自分でも、「一体どうして?」と思えるくらいに“本能のまま”にその日を送っていたし、

よく言われたのが、「類は友を呼ぶ!」と言われるくらいに、仲間達と群れを形成し、

悪行三昧の日々で、鑑別所や少年院に放り込まれなかったのが、不思議なくらい

自由奔放な日々を送っていた。

停学処分なんざ僕や仲間達にとって、“特別なお休み”とさえ自負していたくらいだし、

僕や仲間達が学校の近くの商店街を歩けば、いきなりシャッターを下ろされる店さえ、

あったくらいだ。それだけ、ちょっとした有名人の僕達だったわけだが、気まぐれか

それとも、神様の思し召しなのか?僕達一味は、夏休み直前の期末試験休みに学校に

呼び出され、もしかすると“永遠の夏休み”をもらえるのでは?と期待に胸を躍らされて

学校の中にある。一般生徒の間では、“恐怖部屋”とも“矯正施設”とも言われる生活指導室。

まあ、僕達にとっては、他の生徒たちより遥かに少ない1学期の出席日数のうち、

大半を過ごしていた。“指定席のある部屋”に鞄を投げ込み、その真ん前にある高等部の

職員室に出頭したわけだ。

「ったく・・・お前らは・・・・」

「はい?」

「しかも、委員長のお前は他の模範にならなきゃいけないんだぞ!」

「ですから・・・他の模範となるべくしてですね・・・・」

「はあ?ど・・・どこがだ!このバカチン!」

そもそも・・・そうだ。僕は委員長になりたかったわけではない。

ただ単に、早く学校から帰りたかった。いや、ここは正確に記さねばなるまい。

僕が帰るところはどこにもなかった。

あるのは、ポケットに中にあるキャッシュカードだけで繋がっているだけの

世間体と自分の保身しか考えない僕の養父と呼んでいいのか?

よくわからないけど、とにかく僕の“保護者面”をして、僕の気持ちや人格などすべてを

否定し、あたかも“モノ”扱いする人と、水商売上がりで、後日、僕の仲間になったY曰く、

「ブルドックだなあれは・・・」

確かにそう言われればそう言う気がする。

僕は“おやじ”が珍しく家にいるときは、冷凍食品の食事を与えられ、居ないときは、

食事の代わりにお金を貰って、外食するのが当たり前になっていたし、家の風呂にも入れず

「お前は小さい頃から銭湯が好きだったな!」

そう言われ、病気の時でも、銭湯に通い、コインランドリーで洗濯をしながら、過ごしてきていた。

いつごろからっだったろう。僕は家に寄り付かなくなり、どんどん現実から逃避をする様になった。

家に行くのは、お金を貰いに行くか、一応、生存報告に行くくらいだった。

ひょんな事からスナックのママに拾われ、僕は温かい食事と洗濯をしなくなって済み、ついでに

暖かい寝床も手に入れていた。

だから、帰るは間違いであり、ただ刺激を求めるために街に繰り出したかった。

「いいか!だれかが立候補するまで誰も帰さん!いいな!」

うんざりしたけだるい時間がただ過ぎていくだけだったので、“行動”を起こしただけだ。

「ったく・・・俺の立場にもなってみろ!いいか!全クラスの中で委員長が・・・・」

そもそもの原因は、夏休みに彼女が居ないとなぁ~とせっせとナンパして、

今で言う合コンまでこぎつけたのはいいのだけど、仲間である大岩クンが早まって

いや、湧き上がる劣情を抑えきれなくなり、事もあろうにいきなり押し倒したのが、

原因と言えば原因だった。

「いいか!お前ら・・・・発情中のネコじゃあるまいし・・・」

僕達の頭には、雨あられのごとく、竹刀が降ってきていた。

「そこでだ・・・お前らを停学にしても、特別な休みと誤解している様だし・・・」

「はあ・・・」

「いいか!学年主任先生の特別なご配慮で2週間!」

「えっ!2週間もお休み・・・」

「馬鹿モン!話は最後まで聞け!2週間先生の実家で強制労働の刑とする!」

「はあああああ・・・・・」

「いいか!明日!朝8時に登校すること!バスで・・・・」

「バス?護送車の間違えでは・・・・」

こうして、僕は仲間たちと本当に些細な“ひょんな事”から、宿敵である学年主任の実家へ

護送されてゆき、炎天下の中、屋根の修理をさせられたり、畑の雑草取りをさせられたり、

元スケ番の巫女さんが住む鎮守の森こと別名魔女の森で監視下におかれていた。

そう・・・ひょんな事がさらに重なり続けて、時が流れ僕は神主見習いとして、鎮守の森で唯一

生息を許された人間の姿をしているオスオオカミになっていった。

他のオスと言えば、鶏の“委員長”と鯉の“委員長”だけだった。

いつの間にか元スケ番の巫女さんと結ばれた僕はこれから始まるとんでもない・・・・

いや、退屈しない未来を生きることになるとは、まだ過去の僕は知る由はなかった。

― 第一章 僕と“う”の出会い 第二話へ続く -
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inacyan

プロローグでしょうかね(^-^)
続きが楽しみです。
by inacyan (2012-12-22 15:57) 

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