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僕と“う”と“な”の物語 -第一章 第二話 ー  [僕と“う”と“な”の物語]

ー 僕と“う”の出会い 第二話 -

「なあ!”う”!僕との出会いを覚えているか?」

「わ・忘れたなりよ・・・・」

僕の大切な人のそばで肉まんを頬張りながら、“う”は、すっとぼけているに違いない。

“う”も僕と同じで、都合が悪いとすっ呆ける癖がある。

「嘘だね!覚えているくせに・・・クソ狐!」

「お・・・覚えてないなりよ!聞くななり!」

「ふ~ん!もうババアだから物忘れ激しくなったのかな?」

「ババアではないなり!」

「じゃあ!覚えているよな?俺・・・記憶の糸が絡み合っちゃって・・・」

「仕方ないなりね~ちゃんと覚えておくなり。」

「覚えておくからさ!お前ちょっと書くの代わってくれないか?」

「高いなりよ~」

「じゃあ!お前だけクリスマスのチキンはなし・・と・・・・」

「汚いなりよ・・・仕方がないなり・・・・」

「じゃあ!任せるかな?」

「あたちの生まれた頃から、書くなりか?」

「それじゃあ~大変だからやめておけ!読む方も大変だし・・・・」

「じゃあ!どこからなりか?」

「そうねえ~そもそもお前は何故?九尾になったんだっけ?」

「子供を殺され続けたなりよ・・・」

「そうだったな・・・ええとぉ~次はと・・・」

「代わるなりよ!答えるの面倒なり!」

「最初から素直に言えばいいものを・・・・」

僕は筆を“う”に任せることにした。

「あたちは・・・打てないなりよ!」

「鉛筆咥えてキーを押したらどうだ?」

「無理なり!ちょっと・・失礼するなり!」

「お・・おい!」

僕の身体の中は“う”で満たされてゆく。僕は慌ててセーフティーロックをかける事にした。

「皆様!“う”なりよ!よろしくなり。あたちは・・・・元、怨霊とも悪霊とも言われたなりよ!」

(うんうん。その調子だぞ!“う”)

「昔。今からずーっと昔。あたちは母親狐だったなりよ!普通の・・・・」

(うんうん。)

「あたちの子供達は全て人間に殺されたなり。毛皮にされたり・・・・」

(そうだったのか・・・)

「あたちは人間は元々嫌いだったけど、恨んだなりよ・・・・」

(だろうなぁ~)

「あたちも殺されて・・・あたちは怨霊になったなり!」

(ふむふむ・・・)

「散々、人間を苦しめたり、呪い殺したりしたなりよ。」

(おー怖っ・・・)

「それから・・しばらくしてなり。小さな祠に封印されたなりよ!」

(俺じゃねえ~ぞ!)

「あたちはそこで何百年間か知らないなりが、寝ていたなりよ!」

(やはり・・・ババアじゃねえか・・・)

「あたちの祠が、人間に壊されて、あたちは目覚めたなりよ・・・」

(ふんふん・・・記憶が蘇ってきたぞ!)

「目覚めた…あたちはまた、人間に復讐を始めたなりよ!」

(へえ~放っておけばよかったかな?)

「最初に憑りついたのが、目覚めてから最初で最後だったなりが・・・」

(どんくさい奴だったんだな・・・・)

「運が悪かったなりよ!まさか、コレとぶつかるなりとは・・・」

(うんうん。大変だったな!死闘までにはならなかったけど・・・・)

「もういいなりか?」

“う”は僕の身体を抜け出して呟いた。

「そうねえ~思い出したぞ!」

「やれやれなり・・・・肉まん。もう一個いいなりか?」

「ああ!仲良く1個ずつな・・・ここからは引き取るから・・・」

僕と“う”は最初は対峙する間柄だった。

その頃の僕は、小さな・・・そう、鎮守の森の中にある神社で、“ひょん”な事から、

そう“ひょん”な事から・・・・僕は、エセ神主としてお祓いをしていた頃だった。

その頃のことは、僕たちのシリーズで書いてあるので、詳しくは書かない。

気になる方はそっちを読んでいただくことをお勧めする。(時間はかかるけど・・・)

僕は最初にも書いたけど、日本狼の末裔。僕の身体の中には、その血が流れている。

だから、怯まない。大麻を振り回し、九尾の狐の動きを封じてしまったわけだ。

「お腹減ったなりよ!」

「はい?肉まん喰っただろ?」

「あれは朝ごはんなりよ・・・・お昼は?」

「化けモンのくせに・・・いや、霊のくせに三食喰うのか・・・・」

「この世は体力がいるなりよ!お腹減ったら力だせないなり!」

「はいはい・・・冷蔵庫にから揚げ入っているぞ!俺のじゃないけど・・・」

「揚げたてがいいなり!」

「ゼータク言うと・・・・喰うな!」

「じゃあ!我慢するなり!」

三頭は仲良く冷蔵庫からから揚げを取出して食べている。

話を戻さねばなるまい。僕は九尾の狐の動きを封じたのだが、トンデモナイ約束をした。

九頭の子供・・・つまり、オオカミの血を引き継ぐ子供を約束したのだが、まだその約束を

果たせずにいる。“う”は行き場がないので、僕のそばに居ついてから、もう30年を超える。

ちょっと時空をさかのぼると、僕が引き取らないとトンデモナイ事が起きそうだったし、

“う”の願いでもあった。おかげで僕は窮地を脱出したこともあったし、僕にも解らない事も

乗り越えて来てしまったのは、きっと・・・“う”のおかげなんだろうか・・・・


僕と“う”と“な”の物語 -第一章 第三話 ー に続く。

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inacyan

年賀状を拝見し直ぐ分かりました(o^_')b 社名の謂れが(*゚∀゚*)

by inacyan (2013-01-08 10:43) 

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