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僕と“う”と“な”の物語 -第一章 第五話 ー   [僕と“う”と“な”の物語]

-神様の宿題 2-

「う~ん・・・・・」

僕は頭を抱え込んでいた。別に頭が痛いわけでも体調が悪いわけでもなく、強いて言えば、

正確が悪いのと頭が悪いのと、顔が悪いぐらい。血圧だけを取り上げれば、

「健康優良中年」と医者が言うくらいだから、多分、その点は信じてもよさそうだ。

まあ、偶に“血液検査”するからと言われても、生活態度を改めることは一切しないで、

逆に暴食に走ることもあり、検査に引っ掛かり・・・・高い高脂血症の薬を処方される羽目に

陥ることもあるぐらいだ。

「どうしたなり?」

「いつ・・・終わるのかなぁ~この・・・宿題の山」

「終わるときは、終えるときなりよ!」

「はい?」(何を言いたいんだ?クソ狐)

「終わるときは終えるときなりよ!わかるなりか?」

「解らん・・・・」(だ・か・ら・・・何を言いたいんだ!クソ狐)

「その宿題の山を片づけたとき・・・」

「それで?」

「お前は俗世から解放され・・・・」

「続きは?」

「その時に解るなりよ!その時に・・・・」

「俗世ねえ~まあ、俺の場合はさしずめ・・・・賊世かな?」

「結構・・・・お世話になったなりしね。マッポ・・・だったなりか?」

「まっぽ?ああ・・・警察かぁ~そういえば、よく鬼ごっこしてたな・・・」

「どじって捕まることもあったなりね。」

「余計な事思い出させんじゃねえよ!」

僕は相当のワルだった。いや、不良とのレッテルを貼られていたこともある。

ただ、一言だけ弁明させてもらうなら、誰も好き好んで“ワル”の道へ進むわけではない。

僕はある一時期いや、生まれてから、“ヒト”として扱われたことはなかった。

特に僕は望まれてこの世に生を受けたわけではないと思う。

本当の両親と言えばいいのか?そもなければ、唯の遺伝子上の両親は、

酷い人たちだった。種だった人は、女癖が悪く。他の女性の所へ行っていたし、

僕をこの残酷いや、暗闇に閉ざされた世界に、産み落としすぐ、別の男性の元へ

走って行ったヒトではなく、鬼がいた。

僕は生まれる前から、すでに“モノ”とされ、生まれると同時に、僕は遺伝子上の父親の

上司だった義父と遺伝子上の生みの母の姉である義母夫婦に“モノ”として、贈呈されたのだ。

今、考えてみても僕はヒトではなかった。モノだった。

あれは、確か幼稚園の頃、僕は自転車に乗っていて、自動車にはねられた。

僕を無謀な運転ではねた運転手は、親父さんの地盤を引き継ぎ、今では某区の区議。

まあ、そんなことはどうでもいい話で、僕は半年もの間。ギブスを填められ、寝たきり生活を

余儀なくされていたある日のことだ。

僕は“見舞い”と称してやってきた遺伝子上でも本当の祖母にひどい言葉を投げかけたらしい。

まあ、そのおかげ?で、祖母からその発言をいいつけられた。義母に殴る蹴るの暴行を受けた。

慌てたお手伝いさんが、近所に住む僕のだいすきだった“近所のおばあちゃん”の捨身の守りや、

近所のおじさんたちの制止がなければ、僕はそれこそ生死の境を彷徨っていたに違いない。

そんな鬼が義父を裏切り、別の男の元に走ったのは、小学校4年生くらいだった。

僕がヒトではなく、モノだと思い知らされたのは、確かこのころだった。

義父の末妹に僕は出生の秘密を教えられ、僕はヒトではない。モノなのだと悟らされたわけだ。

僕は生まれたから、モノ”扱いだったのだ。だから、水は低きに流れる如く、その場に留まることなく、

ひたすら低き方へ流れて行った。確かに自分自身が悪いのかもしれないが、

その“引き金”を引いたのは、“大人たちの身勝手”だったのは、間違いない事実だ。

「でもな!鑑別所にも年少にも送られたことはねえぞ!お目玉はくらったけど・・・」

「家庭裁判所には送られたなりが・・・」

「大きなお世話っ!敵討ちしただけだし・・・」

「半殺しにしたなりが・・・」

「あのな!人聞き悪いこと言うな!相手がエモノ持ってたから・・・正当防衛!」

「政党?ってあの選挙・・・」

「そっちじゃなくて、正当。つまりだ自らに降りかかる災難を避けるための手段・・・」

「上手いこと言うなりねぇ~そう仕向けたのは知っているなりよ!」

「家庭裁判所かぁ~あの時は正直、良くて鑑別所。悪けりゃ年少か刑務所覚悟したけど・・」

「運がいいなり!まあ!あたちのお蔭だけど・・・・」

「だったら!捕まらない様に逃がせば良かっただろう?」

「全員は無理だったなりよ!全員ボロボロだったもの」

「違いないなぁ~何しろ、一人あたり5~10人。しかも相手は・・・・」

「オートバイに鉄パイプだったものなりね」

「よく覚えてやがるな!もう一個肉まん喰うか?」

「食べるなり・・・」

僕はその頃、死を恐れていなかった。いや、逆に望んでいた気がする。

自ら、死を“とある理由”により、選べなくなってしまった。だから、他人に委ねるしかないと、

考えていたところへ、運命の悪戯というべきか、数奇な宿命と言えばいいのか?

とある事件が起きた。そして、とある事件が起き、僕は敵討ちに立ち上がった。

本当は僕一人でやるつもりだったのだけど、仲間たちも巻き込んでしまったのだ。

僕や仲間たちは、その“ツケ”を払わされることになったのだが、それはどうでもいい話で、

その事件のために、自ら命を絶った一人の女の子と、一人で復讐に出かけ、その時の傷が

基になり、死んでしまった仲間の一人を僕は忘れることができそうもない。

「なあ!あの事件って防ぎ様が無かったのかな?」

「そうなりね・・・それは定められた運命としか言えないなりよ!」

「そうすると・・・あいつらは定められた運命で、刑務所に送られたわけか・・・」

「そうなるなりね。タマ潰されてムショ送りとは・・・」

「可哀そうか?」

「自業自得なりよ!」

「自業自得かぁ~あいつらはオカマになっちゃったけど・・・・あっ!」

「なんなり?」

「宿題の答えのヒントが解った気がする」

「ヒントなりか?」

「自業自得・・・つまり、自分で造り出してきたモノ・・・・つまり、負の遺産」

「そうなりよ!負の遺産を返さないといけないなり。」

「なるほどね・・・」

僕は腕組をして“負の遺産”を思い出しはじめていた。でも、思い出せば思い出すほど

頭は見えない力に締め付けられ強烈な頭痛に悩まされることになった。

「頭痛ぇ~」

「風邪なりか?」

「違うわ!」

「じゃあ・・・知恵熱?」

「そんなところかもしれないけど・・・・」

どうやら僕は途方もない宿題という負の遺産を片づけねばならないらしい。

「そもそも・・・あの時からだよな!今は慣れたけど・・・」

「なんなり?」

「ヒトではなくモノ扱いさ・・・」

「主はオオカミなりよ!それも誇り高き日本オオカミの血が流れる」

「まあな・・・」

僕は自分の生き方に後悔はしない。

モノにはモノの意地があるからだ。

僕と“う”と“な”の物語 -第一章 第六話 ーに続く。
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