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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第三章-  [2013.親馬鹿旅]

-天国・・・いや、ちょっと地獄?3-

ふと・・時計を見ると、出発まで時間がない。

いや、あり得ない話をすれば、タバコを吸わない。とか、

ラウンジで、♪おそばぁ美味しいぃ~おにぎり・・・♪と鳴っている腹の虫を我慢させるとか

そう、すべてを我慢するのなら、時間はタップリと残っている。

残っていることは残っているのだが、「ありえないでしょ!そんな話」と我慢する気はない。

そうなれば、眺めの良い(飛行機が眺められるだけだが・・・)ラウンジを諦め、ゲート近くの

ラウンジへ向かうことにした。ゲートは43番。つまり、眺めの良いラウンジからは遠い。

そこから、ゲートへ向かっても良いのだが、過去の“お呼び出し寸前”よりは、大人しく

ゲート階の一階下にあるラウンジで、ソバを啜り、おにぎりを飲み込み・・・

出発前の安全のための儀式と称した、ニコチン補給に費やした方が賢明である。

オストドの頭の中にある旧式で今にも壊れそうな計算装置はそう答えを、瞬時に吐き出した。

ANAラウンジに入る前にスモーキングルームを見つけると、真っ先に飛び込む。

「ふうっ・・・ウマッ!」

「・・・・・」

メストド1号は、オストドが禁断症状を晒さぬ様に、それなりの量の喫煙を許してくれる。

いや、ただ、自分が被害に巻き込まれない様にしているのか、よくわからないけど、

スモーキングルームを見つけると、「どうぞ!」とドアを指す。

2本立て続けに吸い、今度は空腹を黙らせねばならない。

何しろ、オストドの胃袋は、持ち主の言うことも聞いたためしはない。

ラウンジ嬢にボーディングパスを提示して、ラウンジへ闖入する。

「奥様!何をお召し上がりになられます?」

「ええと・・ジュース。」

オストオdは用意されているジュースを確認すると、席へ逆戻りした。

「奥様!ジュースは、生憎アップルと・・・・」

「アップルでいいわ。」

「ミネラルウォーターはいかがです?」

「いただこうかしら・・・・」

「お食事は?」

「機内食食べるから・・・」

「お蕎麦はいかがです?かき揚げにきつね・・山菜とか・・・」

「あたし、今日の昼は麺類の日だったんだけど・・・・」

「じゃあ・・サンドイッチなんぞ・・・」

「お菓子をいただくわ。」

「ラジャー!」

まずは、メストド1号の飲み物とオストドのコーラーを運ぶ。次にメストド1号のお菓子を

更に盛り付けて運んでおく。

「ご苦労様・・・・いいわ!食べても・・・」

きっと、オストドはまるでエサを欲しがる犬の様な眼をしていたのかもしれない。

お許しも出たので、お蕎麦コーナーでかき揚げ蕎麦を頼み、出来上がる間に

おにぎりを吟味しに出かける。

結局、おにぎりを三個とお蕎麦を持って席に戻ることにした。

本来なら、っこにサンドイッチその他が山盛りとしたいところだが、自重している素振りを

嘘でもいいので見せないと、旅行中腹の肉を掴まれるか?冷ややかな視線を食事の度に

味わうおそれがあるからだ。

「えへへ・・・自重していました。

「自重ねえ~」

その言葉には、少々トゲがあったけど、聞こえないフリをしておく。それが正しい選択だと、

オストドは長い期間をかけて習得している。

無事に、それらのモノを腹に収め、時計を見る。何しろ、離陸前には大事な儀式を行わねば、

いくらアラーの神にフライトの安全を祈るコーランが流れ様が、異教徒には、ほぼ関係ない。

まあ、関係するとすれば、無事に着くかどうかだけである。

あとは、無様な姿で生き恥を晒したくないし、ましてや、生きたままサメやフカに喰われるのは、

御免こうむるくらいだろう。

「そろそろ・・・」

「トイレに行ってこなきゃ・・・・」

ラウンジを出て、スモーキングルームへ向かう。異教徒であるオストドには、ありがたいはずの

コーランなんぞ効くわけがないし、ゲンを担いでの一服の儀式だ。

この後の、乗換地であるカイロには、スモーカー専用のラウンジもあるし、アテネでは、ニコチン

補充とスケジュール調整とメストド1号の休憩のために、24時間ほどスケジュール空白期間が

設けられているから、多少遅れが出てもスケジュールのヤリクリは付くはずだ。

出発前の大事な儀式。まあ、もしかしたらこれが最後の一服という毎度おなじみなのだが、

これを怠るわけにはいかない。(人は屁理屈という・・・・)

43ゲートに向かうとすでに優先搭乗が始まっていた。長いエコノミークラスの列を尻目に

さっさとゲートを通ってゆく。

ボーディングブリッジが混み合っている。

「あん?」

「何やってんのあれ?」

「さあねえ~よほど日本人は信用されていないんだな・・・さもなきゃ・・・」

「さもなきゃ?」

「まあ・・テロ対策じゃない?」

入念な?機内持ち込み手荷物検査とボディータッチの検査を受け、機内に潜り込む。

「けっ!」

「何?」

「ファーストクラスはどうやら乗員の休憩場所らしいよ・・・」

「うちらは?」

「ビジネスクラスの最前列と・・・・あった・・・」

ところが、頭上の荷物入れは、既にクルーのバックと書類類が入っている。

オストドの無言の圧力を感じたのか?クルーがバックを別の場所に移動させる。

そこへキャリーと荷物を収納する。日本人CAの質も相当と言っていいほど下がっている。

何しろ、「ジャケトをお預かりしましょうか?」の声はかからない。

ジャケットを脱ぎ、CAを見ると慌てて飛んできた。さも迷惑そうな顔を一瞬したが、

「貴重品類は入っていませんか?」

「いいえ・・お願いしますね。」

オストドは、キャリーに詰め込んできた機内用ノフリースを着る。

新聞を2誌と週刊誌を1冊受け取り、ウエルカムドリンクをいただく。



こうして・・・フルフラットではなくなった。チープなロングフライトに出発した。

プッシュバックは定刻よりも2分早い。RUWAY16Rへ向け、近距離線と併用されている

B777-200型。オンボロ機体はヨタヨタと進みだした。

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第四章-へ続く。


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