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「やられたら・・・やり返す」(第一章その3) [血みどろ?の争い]

― 哀れな・・・・ ―

「哀れだ!あれじゃ・・・親父は浮かばれないっ!」

葬儀の打ち合わせを終えると、オストドはメストド1号を乗せた車を自宅へ向けた。

「しっかりやれ!」これが親父が最後にオストドに教えたことだ。

「しっかりやれ!って言ってたもんな・・・よぉ~し!徹底的にやってやる。」

オストドは決意を固めた。

何しろ、親父の後妻は、愛情のカケラも見えないヒト。いや、鬼だった。

職業に貴賤はない!とオストドは思っているが、「飲み屋風情の女」こう言わせてもらうが、

「金目当てで、親父に近づいた女だ。まだ、お妾さん程度なら許せるし、住み込みの家政婦でも

一向に構わなかった。そんな“鬼”が、父やオストドの人生を狂わせたのだ。

そんな状況が嫌で、オストドは家に寄り付かなくなったのだし、仲間たちも庇ってくれたのだ。

あれは、親父が発病して、病院へ強制入院させたときのことだった。

「何十億も持っているって言うから・・・・・」

オストドが、病院に書類にサインを貰いに行った際、洗濯物を持って帰るという”鬼”を

車に乗せて、送って行くときのことだ。

「はあ?何のこと?」 オストドは恍けた。

「あのね!あたしに・・・何十億も持っているような事言ったのよ・・・だから・・・・」

「ふう~ん!真に受けたんだ?」

「だってさ・・・札入れにはいつも・・・・」

「万券がギッシリだったからね・・・」

「あの親父は、わたしを騙したんだ!」

「でもさ・・・考えてもみたら?他の年寄みたいに少ない年金生活じゃないし・・・・」

「いいや・・・」

「それに、毎月200万以上の収入あるじゃん!恵まれているでしょ?」

「あんたには・・・億単位の金を渡したのに・・・・」

「借入金!間違えちゃいけないよ!おやじの投資・・・・」

オストドは、推定だった考えが、この時確信に変わった。

「この女は、親父を愛してなんかいない。愛しているのは、親父の金だけだ・・・・」

多分、この後、遺産分割協議があるだろうが、和解協議では決着がつかないと思う。

きっと、霊安室で最後にこの“鬼”は、きっと父にこう語りかけていたのだろう。

「死んでくれてありがとう!お金は私が貰ってあげるからと。・・・・」

オストドは、受けた恩は、ちゃんと返す。それが自分なりの心情である。

でも、もうひとつ、。「やられたら・・・やり返す。それも、千倍返しだ!」

ここで、断言をさせてもらうと、親父の遺産が欲しいわけではない。

いや、欲しくないと言えば、嘘になる。

その遺産で、オストドは援助を必要とするための、基金でも何でもよい。

父の名前を付けた援助団体を作り、困窮している日本いや、世界中の未来ある子供たちを

助けたい。いや、助けねばならない。

育て方は間違えたかもしれないが、父が私にしてくれたこと。

それを私は、後世に伝えるのが義務であり、私の生きる糧なのかもしれない。

一人でも多くの子供たちに未来を与え、生きることの素晴らしさを伝えねば、神の意志にさえ

背くことになるのだろう。

「親父!カタキは取ってやる!最後に満足な食事を与えられなかった分とかな!」

父はいま、西にあるという、極楽浄土を目指して、歩いている頃だろう。

「任せろよ!」

オストドは西の空に向かい叫び、そして、ここに復讐の鬼と化す。

「後悔するがよい!法に従い、そして、法の抜け穴を利用して、駆逐してやるからな!」

そして・・・通夜の日を迎えた。

ー第2章 通夜の夜にへ続く―
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