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僕たちに明日はあるのか?VOL11  [ぼくたちのシリーズ完結編]

ー ここまでのあらすじ -

僕はある決断をへて、沖縄へ行くフェリーに乗り込んだ。

少なくとも、帰る気は無くなっていた。いや、帰る場所すら無いと思い込んで

船に乗り、この辺なら僕の魂の抜けた。きっと海水でぶくぶく状態に膨れた

屍は、僕の計算上ではどこへのたどり着かず、静かに海底の奥底に沈むはずと

確信して、飛び込もうとした時に、お節介にも止めたジュニアと殴り合いになり、

「うちに来い!」と強引に連れていかれ、ジュニアの家に居候させてもらい、

「神様と呼べ」というジュニアパパの猛特訓を受けて、いつの間にか僕は

空を飛び始めていた。

「ユーはイングリッシュスタディ・・・」しろと言うケビンの命令と

「スタディ・イン・ザ・ベッド」の有難い?かどうかはさておき、僕はリンダから

ブロークンだけど、いつの間にかそれなりに話せる様になったのだから、

「やぱり神様なのだろうか?」と思ったりしていたわけだ。

まあ・・・佐々木クンは、さぞかし拷問されたみたいだ。

-空の向こうに 3-

「た・・・太陽がぁぁぁぁぁ~」

「どうしたの?[黒ハート]

「き・・・きいろぉ~見え・・・・る。」

「大げさねえ~[黒ハート]

「今日は初ソロだって言ったでしょ・・・・腰が・・・・」

「やあねえ~[黒ハート]えっち[黒ハート]

「ど・・・どっちがぁ~」

それから、2時間後。僕は空の上に浮かんでいた。

最初のソロフライトは、空港の外周を廻る。どこを探しても、僚機であるはずの

ジュニアが操縦する機体もましてや、ケビンの操縦する機体は見えない。

ひとりぼっちの空の上だけど、地上では豆粒ほどにしか見えないと思うけど、

周回を廻り、ランディングするだけ、わずか数分の空の旅になるのだ。

「タワー・ナンシーナイナーナイナー・・・」

僕はタワーコントロール。つまり、空港の管制塔に着陸の許可を求めた。

最初のソロフライトは、ちゃんとタキシングできるか?ちゃんと離陸できるのか?

そして、決められたパターンを飛行できるのか?そして、着陸。そして、

決められた駐機場に戻れるのか?それが問われる。

因みに、プロペラ機とジェット機の周回経路は違う。プロペラなら、「よいしょ!」と

ラダー操作や操縦桿を操作すれば、済む話だけど、ジェット機はそうはいかない。

でも、所要時間は違う。

「あはっ!いたいた・・・」

空のうえから見ていると、あれは絶対ジュニアしかいない。ヨタヨタと滑走路に侵入し

ヨタヨタとまるでへびがのたくっている。

「あいつは・・・昨日!腰使いすぎたのか・・・人の事は言えないけど・・・」

その時、僕の機体はヨタついた。

「あっ!」と言い終わるか終わらないうちに、ケビンの罵声が響いてきた。

「シン!ランデイグ・アボート。タッチアンドゴー!」

まあ、最終着陸態勢にはいっているのによそ見をしたからなのか?

それとも、風の影響なのか?

待たされてい出発予定の民間機のパイロットには申し訳ないとは思うけど、

あちらはプロで、こちらはアマチュアなので、でっかい図体に大量の航空燃料を

詰め込んだ機体の上に、堕ちられるよりマシだろう。

「タワー・リクエスト・タッチアンドゴー」

まあ、タワーも苦々しく思ってはいても、さっさと今上がっていったアマチュアと

これから降りてくるアマチュアをどうにかしないと、大惨事になりかねないから

「さっさとタッチアンドゴーで再上昇して、周回パターンに入れ!」と指示を

送ってきた。

「怒っているよねぇ~きっと・・・」

アイドルに絞った回転数を上げ。少々ハードになったけど。再び沖縄の空へ浮かんだ。

僕の機体とジュニアが操縦する機体が、安全圏内に避難すると、出発機は離陸できる

でも、順番に降りないと、着陸機は上空でホールドしなければならない。

「また・・・バツ当番だな・・・きっと・・・」

僕は目の前を飛ぶジュニアの機体を目で追った。

「一発で降りろよ!そうでなきゃ・・・甲板掃除も加わるかもしれない。」

結局、ジュニアも焦りからか、ミス・ド・アプローチになり、管制の指示で、

一度、海上の訓練空域へ追い出された。僕はなんとか、着陸に成功して、

グランドの指示を受け、駐機場へ戻ってきた。

エンジンを止め、最終チェックを行ない、機外へ出ると、冷や汗か暑さの

せいか?汗がどっと噴き出してきたけど、車輪止めを忘れては、ペンキ塗りも

追加されると思ったので、しっかり機外点検を怠るわけにはいかない。

「「ふう~あいつ・・・どうしているかな?」ジュニアはまだ降りてこない。

お怒りモードの民間機の離着陸の嵐が過ぎ去ったときに、やっと帰って来た。

勿論、僕とジュニアはケビンから、たっぷりとお叱りを受けたのは、言うまでもない。

僕は、最終着陸態勢に入っていたときの、よそ見。ジュニアも同じ。仲良く2時間の

補習教習が待っていたのだ。まあ、バツ当番は管制官たちの車の洗車だけで済んだので、

ラッキーと言わざるを得ないだろう。

まさか、その日の夜にケビンから、「青天霹靂」な発言が出るとは、予想すら出来なかった。

僕とジュニアがその話を聞いたのは、僕が演奏しているクラブの片隅で、

僕は出番と出番の間の休憩時間で、ジュニアはガールフレンドとのデート中だった。

- 空の向こうに 4-に続く












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