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僕たちに明日はあるのか?VOL13 [ぼくたちのシリーズ完結編]

- 空の向こうに 6 -

「問題は・・・ペーパーテストだよな!」

「シンは、喋れる様になったろ・・・」

「バカ!問題はリーディング&グラマーだ。」

「グラマー?って・・こっちか・・・」

ジュニアは、自分の胸の前で、ある曲線を描いて見せた。

「違う!って・・・」

「あはは・・・判っている!ジョークだ!」

「笑えないけど・・・な。」

そして、泣いても笑っても・・多分、これっきりの試験になった。

「物理」だけなら、なんとかなる。いや、学年トップの成績を

収めた「物理」は、全試験パーフェクトで来ている。

物理だけなら、何とかなる。飛行力学はバッチリだけど、

一抹の不安があるとすれば、僕のブロークンイングリッシュと

ペーパー試験だけだった。

ジュニアの方は、1回だけ着陸の際に、不運があったので、

今回の試験は受けられない。何しろ、五体が満足ではないので、

航空身体検査で落とされる。

「シン!ガンバレよ・・・」と背中を押されたけど、

僕には一抹の不安があった。

口述試験は、何とかパスした。実機による試験官同乗による試験も

何とかなった。でも、やはり、ペーパーテストだった。

合格点にわずか1問分だけ足りなかったのだ。

「残念だったな・・・シン」

「仕方ないよな・・・こんなもんだ。」

「また受ければいい。それより・・クロカン行くか?」

「お前・・・その怪我じゃ無理だろ!」

「俺は・・パッセンジャーだ。操縦はお前がやる」

「はあ?いいけど・・・ライセンス」

「補習と言うんだろ!ジャパニーズでは・・・」

「ああ・・・だけど・・・」

「ボスが飛んで来いってよ・・・」

「へっ?あれ・・・飛んだことないぞ!」

僕は驚いた。

何しろ、訓練で飛んでいた機体ではない。

「む・・・無理じゃねえか・・・アレ」

「コーパイ席見ろ!ダディーが乗っているだろ・・」

「あっ・・・なるほど・・・じゃあ!大丈夫・・かな?」

ケビンに「いや!」と言うくらい2時間ほど怒鳴られながら、

離陸そして、着陸を繰り返し、エプロンに戻ってくると

懐かしい面々である悪たれ連の連中が首を長くして待っていた。

その足元には、「引率」してきた兄さんが、何故か「簀巻状態」で

口には、猿轡がされていた。

「よう!」

「よう!じゃねえや・・・この大馬鹿野郎!」

「悪かったって・・・それより・・・何だソレ!」

「ああ・・コレ?お前の飛行機に載せて、東シナ海にでも放り込むかって・・・」

後で聞いた話では、ゲロゲロ状態だった悪たれ連を鼻で笑っていたそうだ。

まあ、陸に上がった途端、ボコボコにされて、この姿だったわけだ。

「いいけどねえ~海洋汚染になるだろ?」と

僕は兄さんこと学年主任の上に座った。

「じゃあ!ミンチ状態にしてサメのエサとか・・・」佐々木クンが笑った。

「ミンチ?どうやって・・ココには調理道具ねえけど・・・」

「「そいつのプロペラでずばっと・・・」

「やだなぁ~ねえ・・・兄さん。じゃなかった学年主任?」笑いながら

僕は兄さんの猿轡をほどいた。

「ヤ・・ヤメロ!バカ共」兄さんの第一声だった。

「どうせおれら馬鹿ですから・・・そうだ!」

「なんだ・・ブチョー?」

「戦闘機のエンジンで砕くか?」

「いいねえ~どうせ、卒業までに処分する予定だったし・・・」

「おーい!ジュニア!」呆れてみていたジュニアを呼び寄せた。

「みんな!コイツ!もウチの学校に来るって・・新メンバーのジュニア!」

僕はみんなにジュニアを紹介した。

「おい!ジュニア!手伝えっ!」

僕たちは、もう一度、喚き散らしながら、真っ青な顔をしている兄さんんい猿轡を

もう一度はめ込み。担ぎ上げた。

「ところで・・・兄さん!佐々木達がお世話になった様で・・・」

ウンウンと課を縦に振り続ける兄さん。

「オン!は返さないとダメですよねえ~」

その時に僕たちは。近くに止めてあった戦闘機のエンジンに近づいていた。

「今晩のビールでもいいけど・・・」佐々木クンが止めなければ、

僕が止めても、きっとエンジンの中に投げ込まれるところだったろう。

何度、海に落とそうかと思ったに違いないからだ。

まあ、「ミンチ」の掃除も面倒だし、ジュニアの歓迎会もあるし、

巫女’sの飲み代にリリー’sの飲み代で、僕の昨夜の稼ぎはなくなっていたのだ。

猿轡を再び外すと、兄さんが諦めきった顔で、「出す!」と言ったので、

そのまま、離陸準備をしている。つい、さっきまで飛んできた機体の客席最前列に

放り込み、ジュニアがその横に座った。

「で・・・誰が乗るんだ?時間もあるしな・・・」

「そりゃ~ね。まずは・・・美希センセイだろ・・・紗栄子さんい・・・」

悪たれ連の連中だけで、2回。巫女’sにリリー’sで、2回。

これが、コーパー席に座る。ボスことケビンが決定したことだった。

ジュニアは全フライトに勉強のためにのることになったのだ。

「チェックコンプリート。スタンバイOK!」外部点検を終え、

僕はキャプテンシートに滑り込んだ。

「OK!リクエストクリアランス!」

ケビンがタワーにコンタクトを行った。

「シン!OK!タキシング!ライトサイドクリアーランウエイ・・・」

「ラジャー」

僕は、左側の障害物を確認した。

「レフトクリアー。」

スロットルを注意深く押し出し、タキシングに入った。

滑走路エンドに近づくと、タワーから離陸許可が出た。

「ナンシーナイナー・・・・クリアーフォーテイクオフ!」

「テイクオフ!」

スロットルをテイクオフの位置に押し込み、この日で最後になるだろう

フライトのため、片手で操縦桿を握り、スロットルを右手で握っていた。

- 空の向こうに 7- に続く。


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