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僕たちに明日はあるのか VOL21 [ぼくたちのシリーズ完結編]

- 帰京 3 -

「お・・・お前ら!ちょっと待て!」

帰りかけた。いや、正確に言えば、赤子の手をを引っ張るみたいに

ジュニアを誘導し、ジュニアが散々あちたこちらで迷惑をかけた

大量の荷物を分け合って持って歩く一行を止めた。

何故なら、僕はこの後、横浜に連行され、中華街の楊ママこと横浜のママに

それなりに怒られる。同行する面々を考えれば、味方は多分居ない。

いや、仮に僕の味方につこうとした時点で、細切れにされて中華の材料に

されないまでも、それなりの「無言の圧」は喰らうはずだ。

しかも、僕はどの顔で優子の運転する車なのか?巫女’sの運転する車で、

横浜までの道中を過ごせばいいのか判らない。

強いて言えば、いっそのこと「この飛行機堕ちてくれねえかな?」とさえ

思ったのだ。

僕の頭の中のコンピューターは、瞬時に計算をして、仲間たちも道連れに

する様にと答えを出したのだ。

「なあ!お前ら。ジュニアの歓迎会やらねえか・・・中華街で・・・」

「いいねえ~」との声が一言上がるか・・と思ったのだけど、

完全に無視をされた。

いや、佐々木クンが送ってきた合図によれば、先に根回しをされているらしい。

僕は囚人が引き立てられるかの如く、駐車場まで連れて行かれ、優子が運転する

車の助手席のドアが開けられたので、そこへ乗り込む。

この後、駐車場から出ていく。学校のボロバスが見えた。

多分。窓にしがみつくように外を見ているのは、ジュニアだろう。

運転するのは、ミサ。紗栄子と美希。そして優子は僕の後ろに乗り込んだ。

「み・・・みんな・・・行くわけ?」恐る恐る僕は尋ねた。

ママだけなら何とかなるかもしれないけど、巫女’S&リリー’sまで揃うのは

正直阻止したい気分だった。

車は首都高を抜け、横浜へ入ってゆく。中華街近くの駐車場に入った。

駐車場には、あの・・・糞ったれのマネージャーが僕を待ち構えていた。

「Q太郎坊ちゃま!」

「坊ちゃまだけは・・・んっぐ!」

僕は後ろから、美希と紗栄子に羽交い絞めにされ、ついでに口を塞がれた。

「お坊ちゃま・・・このたびはおめでとうございます。そして、おかえりなさい。」

「んっぐんぐ・・・んっぐ・・・」(放せ!この野郎をぶちのめすんだから・・・)

「優子お嬢様もご懐妊おめでとうございます。」

優子はモジモジしながら・・・赤くなった。

僕は羽交い絞めにされたまま、優子を指さして、

「んっぐんっぐんっぐ・・・んっぐ」(赤くなってやんの・・・)

でも、言葉にならなくても判ったみたいで、僕のみぞおちには鋭い一発が入った。

「んっげ・・・・」

「お坊ちゃま・・・皆さん。奥様がお待ちですので・・・・」

「そっちは・・後。腹減った・・・」

「いいえ。奥様が先に・・と仰っておりますので・・・」

楊ママが待ち構える。オフィスに僕と優子は通され、その他の

巫女’sとリリー’sは、VIPフロアーに案内されていった。

「Q・・・この子は・・・・」

一発喰らうかと覚悟する間もなく、僕は楊ママの胸の中へ

このままだと・・・きっと窒息死する。そう思った瞬間。

僕は息を吸う事を許された。

「全く・・・この子たちは・・・」

楊ママのお説教が始まろうとしていた。

「この子たち」つまり、怒られるのは僕だけではない。

「やった・・・」僕はつい。叫んでしまった。

「Q!」

まあ、楊ママからのお小言は、20分ほど続いたけど、

僕のお腹が「「ぐうっ~」と鳴った。

「まだ?」

「反省しているの?」

「お・な・か・す・い・た・・・・」

「判ったわ・・・ご飯の前にシャワーを浴びてらっしゃい。」

机の上のボタンを押すと、新しい服に靴を持ったマネージャーが入ってきた。

ついでに、もう一人が押してきたワゴンには、小腹を満たすべくのお茶と

飲茶が乗っていた。

「本当にパパになれるのかしら・・・成長を感じないわね。でも・・」

楊ママは僕ではなく、優子に向かっていった。

「優子!」

「はい・・・」

「おめでとう!でも・・・もう駄目よ!」

「何を・・・・」

「この子の操縦する飛行機!大事にしなさい!」

「は・・はい。」

僕がシャワールームに消え、シャワーを浴びて出てくると、

優子も新しいチャイナドレスを仕立ててもらったものに

着替えていた。

義替えを終わり、鎮守の森から「はるばる」運ばれてきていた神泉の入った

水筒を受け取るとゴクゴクと飲みほした。

「ねえ?」

「なあに?」

「あのさ・・・この後・・・ご飯食べるだけだよね?」

「そうだと思うけど・・・」

「何で・・新しい服に着替えているんだろう?」

「さあ・・・・連れてこいと言われただけだから・・・」

「ごはん・・だけ。食べさせてくれればいいんだけど・・・」

そこへドレスアップしたミサが呼びに入ってきた。

ミサが着替えているということは、巫女’sそしてリリー’sも

着替えていることを意味する。

「ねえ・・・もしかして・・・」

「みなさんお待ちですよ・・・」

「皆さん?という事は・・・」僕は考えた。

本能としては、「このまま逃げろ!」という信号」が出ている。

「ねえ。あいつらくらいだよね。居るの・・・」

「いいえ・・・他にもゲストが・・・」

「げっ・・・・」僕はママの意図を理解した。本能は正しかった。

「優子・・・見世物になる気ある?」

「えっ・・・ま・さ・か・・・・」

「その・・・まさかみたい。」

- 鎮守の森へ・・・1に続く -






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