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僕たちに明日はあるのか?VOL12 [ぼくたちのシリーズ完結編]

- 空の向こうに 4 -

ケビンは「陽気な飛行機ヤロウ」。真偽のほどは定かではなかったけど、

「それなりの武勇」の持ち主。メンタルだけは「繊細」ではない。

何でも、「繊細なメンタルの持ち主」は、ミサイルを撃ったり、機銃を

撃たねばならない時など、「ファイター」には、一瞬の判断とっさに行わねば

ならないらしい。でも、テクニックには、繊細さも求められるらしいのだから、

僕やジュニアから見れば、まるで「雲の上の人」に見える。

今は「実戦にはロートル過ぎだ」と言っているし、現に「教育」が主な仕事だ。

ついでに言えば、僕とジュニアはケビンに連れられ、とある所へ一度行った。

まあ、「耐G」と言われる訓練に、空きがあったので、いつの間にか

「にわか候補生」として、「耐G訓練」を受けた。

ついでに、パラシュートの使い方も習ったし、実践に近い降下訓練も受けた。

おまけに「健康診断」いや正確には「航空身体検査」まで、終えていたのだ。

成績は、「ドッコイドッコイ」と言ったところだ。

まあ、骨折はしなかったけど、擦り傷・切り傷は当たり前で、二人共。

「もう!いや!」と言うほど、ドロ水の中に落ち、その度に頭から散々水を

かけられていた。

大声で言えないけど、ファイターつまり、戦闘機にも乗せてもらった。

多分、パラシュート訓練も耐G訓練もそのためだったのだろう。

洋上にある基地から相当離れた。まあ、一言で言えば、「堕ちても一般人に迷惑」を

多分、掛けない所に連れて行かれたこともある。

僕とジュニアはそれぞれ別のパイロットの操縦する機体に乗り込み、ほんの数分だけ、

「ユーハブ!」といきなり操縦桿を握らされたのだ。

僕にとって、幸いだったのが、愛読書だった「ファントム無頼」だったので、

操縦桿いや、スティックを握り、ちょこまかと指示に従い、動かした。

まあ、幸福だったのはここまでで、模擬戦で急上昇に急降下そしてロール地獄が、

僕たちを待っていた。道理で、ケビンが、「ションベン漏らすなよ!」と

言っていたのを、思い出したのは、時既に遅しだったけど、ジュニアは涙と鼻水と

小便を漏らし、僕は悲鳴は上げていたけど冷や汗くらいで済んだのは、きっと

僕の組んだパイロットの腕が良かっただけかもしれないけど、放心状態だったのは

確かな話だった。

その後、僕たちは「計器飛行」の訓練を受け、地上に戻らされたのだ。

まあ、「バツ当番」も毎日の様にあり、ついでに「遥かに続く」マラソンが

僕とジュニアは、走るのは早くなったはずだけど・・・

そんなある日にケビンから話があると呼び出されたのだ。

僕とジュニアニハ、予期しない話だったのだ。

「あと・・・ワンウィーク!」

僕たちは耳を疑った。ケビンは、このままでは「空」から降りることになるので、

「民間エアライン」に転籍するとのことだ。

サエママのことを考えれば、いつ戦場に旦那を送り出すのか?そんな不安の日は

無くなるので、めでたいお話。これを機に太平洋を越えた「本土」へ移るわけで、

問題はジュニアだった。ジュニアは、ミックス。つまりハーフ&ハーフなので、

色々あるわけだ。

聞いたところによると、ジュニアの親戚の家は、僕たちの学校のすぐ近くにある。

「なあ、ジュニア!ウチの学校に来るか?」と僕はいつの間にか、そう言っていた。

僕が通っていた学校は、「バカでも入れる学校」だったし、本人たちは隠していたけど、

ハーフちゃんも実は沢山いる。

まあ、「踏み絵」の儀式だけは教えなきゃいけないけど、これは仕方がない。

この「踏み絵の儀式」は、簡単なことだ、例えば僕たちのリクレーションでは、

よくお相手になっている「チョン校」と呼んでいた学校とヤルときは、必ず、

「お互い様」で、「ハーフ」が真っ先に口火を切る。それだけのことだ。

まあ、当分、いや、いずれ、ぶち当たるとは思えるけど、その時だけ「先陣」を

務めることになるけど、運悪くぶち当たるとすれば、「女の子の取り合い合戦」が

あったときくらいで、ここ2~3年はやっていない。

もしかしたら、ハーフちゃん効果もあり、僕たち悪たれ連のナンパ率は上がるかも

しれない。

「ベンキョー難しいんだろ・・・」

「平気平気・・・実はな・・・」

まあ、僕たちの悪たれ連こと「社会関係奉仕部」に所属すれば、嫌でも3年で追い出して

くれるだろう。

「ホントにダイジョウブなのか?」

「まあな・・・タイガク喰らわなきゃだけど・・・その時はママの所へ帰ればいい。」

その時だった。

ウエイトレスのリンダが僕を呼びに来た。

「ピアノマン!シゴト・・ね。」

僕は時計を見たけど、まだ、次のステージまで充分な時間があったはずだった。

まあ、訝る僕の腕に手を掴む。周りを見回すと、他のメンバーはまだ飲んでいるのだ。

「いいから・・・[黒ハート]

まあ、更衣室で「その充分な時間」を過ごし、僕はちょっとフラフラの状態で、

ステージに向かう羽目になったのだけど、これが、リンダとの別れになるとは、

夢にも思わなかった。

その頃、悪たれ連のメンバーは、僕が乗った船に乗り込み、ゲロゲロ状態で、

こっちへ向かっていたのを、僕は知らなかった。

「んっ?」

美希がいつもの席にいない。そう気づいたときに、クラブのドアが開き、

美希と紗栄子、そして来るわけがないと思っていた巫女’sの面々が入ってきた。

そこに居ないのは、優子とミサだけだった。

「やっぱり・・・・来るわけないよ・・な。」

僕はその時まだ「ある重大な事」を知らずにいたのだ。

-空の向こうに 5-へ続く。

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