オストド&メストド1号・・・飛んでイスタンブール再び・・・① [2011・夏 イスタンブールの旅]
まえがきに代えて・・・・
どうもオストドはつくづく・・・トラブルコンダクターがふさわしいみたいだ。
「来年の夏は優雅に行けるよ!」とのたまった。
まさか、自分が社長に就任するとも99・9%は思わず、思ったとしても、
「また・・フェニックスのごとく蘇るよなきっと・・・」と
楽観視していたのもまた事実である。
早々にイスタンブールから、出稼ぎ?のため日本へ帰ってくるチケットをエジプト航空から、
直買いをし・・・・「後はホテルだけだな!」とのたまっていたのである。
まさか・・・エジプトで政変が起ころうとは思わなかったし、ま・さ・か自分が乗るべきフライトが、
殆どフライトキャンセルを喰らうことになるとは思わなかった。
「ねえ!大丈夫かな?」
「何が?飛ぶんじゃない・・きっと・・・」
と・こ・ろ・が・・・そのかすかな希望も打ち砕かれることになった。
「オストド様・・フライトがキャンセルになりまして・・・」
「あっそう?」(アンタから電話貰う前から知っているわ!)
「そこで・・・」
エジプト航空からの提案は、復路を使用しない払い戻しであった。
「やだ!イスタンブールまで責任を持って戻してよね!」
交渉はすべて強気で行かねばならない。復路のチケットなら考えたくもないが、
ヨーロッパ経由も東南アジア経由もある。お金に余裕があれば、直行便も買うことができる。
「ご出発は予定通りで?」
「ええ・・・」(ちゃんと取れよなぁ~)
「そうなりますと・・・バンコク発の当社便で・・・・」
「えっ?飛んでいるの?」
「ええ・・日本便だけは・・・・」
「ツアーが組まれないから・・・キャンセルね?」
「左様でございます。」
「あちゃあ~」
「でも、イスタンブール到着は予定通りの便にお乗りいただけますし・・・」
「あっそう・・・」(どうとでもして・・・)
「それではそれでスケジュール・・・」
「ちょ・・・ちょっと待って!バンコクまでは?」
「スターアライアンスでお取りすることになるかと・・・・」
「どこ?」
「全日空さんかタイ航空さんになるかと・・・」
「あっそう・・・ならいいや!」
「で・・お帰りの・・・」
「ああ!勝手にするから・・・」
「ご出発までには・・・」
「決まっているでしょ?普通・・・・」
「ですよねえ~」
ここでオストドはどうするべきか悩んだが、H○Sの海外発券ディスクに電話してみた。
エジプト航空から買ったチケットに比べれば、割高での手配になる。
だから、フライトキャンセルが始まった時に、確認をしたのだ。あの時は、GW明けには運行再開と
予約係はそうほざいていたし、それを信じたオストドも悪い。イスタンブールまでの復路を約束させ、
さっさとキャンセルをしてもらい他のエアーに切り替えれば良かったのだ。
「ええと・・・復路の予約変更がお一人100ユーロになりますが・・・」
「いいよ!それで・・・」
購入したのは、オーストリア航空のビジネスクラス。
イスタンブールからは、コードシェア便でウィーンへ飛び、ウィーンから、成田へ飛ぶことになる。
「あ~あ!行きは南廻りで、帰りはシベリアンルートだ・・・あはは・・・」
「あははじゃないわよ!差額は・・・・」
「俺の社長就任祝いじゃ駄目かな?」
「えっ?なったの?」
「みたい・・・・辞令は相変わらずないけどね・・・ウチの会社・・・」
「それはそれで・・・おめでとうかな?」
「ボーナスないけど?」
「えっ?」
「給料は多少上がるらしいけど・・・ボーナスはないんだって・・・ケチだよな・・・」
「はぁぁぁぁぁぁ・・・・いくらなの?」
「何が?」
「お給料!」
「さあねえ~どのくらいいただけるんでしょ・・・」
「聴いてないの?」
「聴いても・・貰うまでは判らないのが・・ウチの会社でしょ?」
「まあね・・・それで今度は何回?」
何回とは飛行機を何度乗ればいいのかを聞いている。去年の夏は、SQでシンガポール
そして、スリランカへ飛び、エミレーツに乗り換えてドバイを経由してイスタンブールへたどり着いた。
復路は、カイロ経由だけだったので計6回だったのだ。
「5回!去年より少ないよ・・・ところで、ホテルは?」
「任せるわよ・・・」
「じゃあ・・ヒルトンでいいか・・メンドーだし・・・」
一応、”なんちゃってゴールド”メンバーなので、それなりに遇してくれるヒルトンは真っ先に候補に
上がる。早速、ヒルトンの公式ページを覗いてみると・・またもや、「クソったれ!」とほざかずには
いられなかった。
「ヒルトンごときで・・・あ~あ!こんなに高くなっちゃったのか・・・ん?」
よく見ると、3軒しかなかったはずなのに、5軒に増えている。
「ええと・・ヒルトン・イスタンブールにコンラッドにSAだったよな・・」
ダブルツリーバイヒルトンが2軒もオープンさせていた。
「ええと・・・おや、こっちは使い勝手が良さそうだけど・・シャワーのみか・・・ええと・・・」
オストドの目を釘付けにしたのは、モダにオープンしたダブルツリー・モダ。
「ふう~ん。アクセスは何とかなるとして・・・おっ!安い!ジュニアスィートでこの値段かぁ~」
迷う暇はなかった。後はモダが一体どうやっていけば良いのか?調べればすむ。
3泊をジュニアスィートで予約をし、日本への出稼ぎ便出発が早いので、ワオ・イスタンブール
エグゼクティブルームを1泊予約した。
「と・・ところでモダってどこだ?あ・・・あった・・・カドゥキョイの近くか・・・・」
昨年滞在したのは、ヨーロッパサイド。今回はアジアサイドの滞在になる。
「ふんふん・・面白そうかも・・・」
ところが、メストド1号に話をしてみると・・・
「どこが面白いわけ?」
日本を出発して30時間以上、ベッドに横たわることはできない。つまり、自称"眠り姫”であり、
オストド言うところの、ナマケモノ目メストド科にとっては、睡眠は重要な要素なわけだ。
空港から1時間に一本のシャトルバスかもしくは、タクシーを飛ばし、休むことなく。1時間に1本の
フェリーに飛び乗り、わずか20分足らずで着いてしまい、終点でないので起こしてもらえない
途中下船をし、ホテルまでテクシー。つまり10分"も”歩くのだ。
「何の因果かしら?」
「ツアーよりよっぽどいいと思うけどね。」
営業妨害になるので、敢えて書かないけど、ツアコン出身のオストドでさえ、「めちゃくちゃだぁ~」と喚く。
ツアーには自由はほとんどないけど、せめてもの救いは、"他人に干渉されることはない”ことだ。
だ・か・ら・・他人によく聞かれるのが・・・・
「どこをご覧になりました?」とか「アクティビティーは?」とか聞かれるのだが、
「別に!ブラブラして・・・プールサイドで水着の美女を眺めて・・・・・後は昼寝かな?」と
毎回答える様にしている。
これこそが、究極の贅沢。時間を無駄に使い、公園で優しい風に包まれ、チャイを飲む。
火照った身体を冷やすべく、プールに飛び込めば、息が続く限り沈んでいるのは、別に言いとして、
時間本来の流れを取り戻すためにだけ、旅に出る。
「それで?今度の目的は?」
「いつも通りかな?今年はサバサンド喰って、一日に一箇所だけどこか観るか?メンドーだけど・・・」
さて、今度の旅はどうなるのだろう?
問題はただひとつ。社長に就任してしまったので、休みが取れるかどうか?
何しろ、「休みくれなきゃ!辞めてやる!」はもう通用しないのだから・・・・・
どうもオストドはつくづく・・・トラブルコンダクターがふさわしいみたいだ。
「来年の夏は優雅に行けるよ!」とのたまった。
まさか、自分が社長に就任するとも99・9%は思わず、思ったとしても、
「また・・フェニックスのごとく蘇るよなきっと・・・」と
楽観視していたのもまた事実である。
早々にイスタンブールから、出稼ぎ?のため日本へ帰ってくるチケットをエジプト航空から、
直買いをし・・・・「後はホテルだけだな!」とのたまっていたのである。
まさか・・・エジプトで政変が起ころうとは思わなかったし、ま・さ・か自分が乗るべきフライトが、
殆どフライトキャンセルを喰らうことになるとは思わなかった。
「ねえ!大丈夫かな?」
「何が?飛ぶんじゃない・・きっと・・・」
と・こ・ろ・が・・・そのかすかな希望も打ち砕かれることになった。
「オストド様・・フライトがキャンセルになりまして・・・」
「あっそう?」(アンタから電話貰う前から知っているわ!)
「そこで・・・」
エジプト航空からの提案は、復路を使用しない払い戻しであった。
「やだ!イスタンブールまで責任を持って戻してよね!」
交渉はすべて強気で行かねばならない。復路のチケットなら考えたくもないが、
ヨーロッパ経由も東南アジア経由もある。お金に余裕があれば、直行便も買うことができる。
「ご出発は予定通りで?」
「ええ・・・」(ちゃんと取れよなぁ~)
「そうなりますと・・・バンコク発の当社便で・・・・」
「えっ?飛んでいるの?」
「ええ・・日本便だけは・・・・」
「ツアーが組まれないから・・・キャンセルね?」
「左様でございます。」
「あちゃあ~」
「でも、イスタンブール到着は予定通りの便にお乗りいただけますし・・・」
「あっそう・・・」(どうとでもして・・・)
「それではそれでスケジュール・・・」
「ちょ・・・ちょっと待って!バンコクまでは?」
「スターアライアンスでお取りすることになるかと・・・・」
「どこ?」
「全日空さんかタイ航空さんになるかと・・・」
「あっそう・・・ならいいや!」
「で・・お帰りの・・・」
「ああ!勝手にするから・・・」
「ご出発までには・・・」
「決まっているでしょ?普通・・・・」
「ですよねえ~」
ここでオストドはどうするべきか悩んだが、H○Sの海外発券ディスクに電話してみた。
エジプト航空から買ったチケットに比べれば、割高での手配になる。
だから、フライトキャンセルが始まった時に、確認をしたのだ。あの時は、GW明けには運行再開と
予約係はそうほざいていたし、それを信じたオストドも悪い。イスタンブールまでの復路を約束させ、
さっさとキャンセルをしてもらい他のエアーに切り替えれば良かったのだ。
「ええと・・・復路の予約変更がお一人100ユーロになりますが・・・」
「いいよ!それで・・・」
購入したのは、オーストリア航空のビジネスクラス。
イスタンブールからは、コードシェア便でウィーンへ飛び、ウィーンから、成田へ飛ぶことになる。
「あ~あ!行きは南廻りで、帰りはシベリアンルートだ・・・あはは・・・」
「あははじゃないわよ!差額は・・・・」
「俺の社長就任祝いじゃ駄目かな?」
「えっ?なったの?」
「みたい・・・・辞令は相変わらずないけどね・・・ウチの会社・・・」
「それはそれで・・・おめでとうかな?」
「ボーナスないけど?」
「えっ?」
「給料は多少上がるらしいけど・・・ボーナスはないんだって・・・ケチだよな・・・」
「はぁぁぁぁぁぁ・・・・いくらなの?」
「何が?」
「お給料!」
「さあねえ~どのくらいいただけるんでしょ・・・」
「聴いてないの?」
「聴いても・・貰うまでは判らないのが・・ウチの会社でしょ?」
「まあね・・・それで今度は何回?」
何回とは飛行機を何度乗ればいいのかを聞いている。去年の夏は、SQでシンガポール
そして、スリランカへ飛び、エミレーツに乗り換えてドバイを経由してイスタンブールへたどり着いた。
復路は、カイロ経由だけだったので計6回だったのだ。
「5回!去年より少ないよ・・・ところで、ホテルは?」
「任せるわよ・・・」
「じゃあ・・ヒルトンでいいか・・メンドーだし・・・」
一応、”なんちゃってゴールド”メンバーなので、それなりに遇してくれるヒルトンは真っ先に候補に
上がる。早速、ヒルトンの公式ページを覗いてみると・・またもや、「クソったれ!」とほざかずには
いられなかった。
「ヒルトンごときで・・・あ~あ!こんなに高くなっちゃったのか・・・ん?」
よく見ると、3軒しかなかったはずなのに、5軒に増えている。
「ええと・・ヒルトン・イスタンブールにコンラッドにSAだったよな・・」
ダブルツリーバイヒルトンが2軒もオープンさせていた。
「ええと・・・おや、こっちは使い勝手が良さそうだけど・・シャワーのみか・・・ええと・・・」
オストドの目を釘付けにしたのは、モダにオープンしたダブルツリー・モダ。
「ふう~ん。アクセスは何とかなるとして・・・おっ!安い!ジュニアスィートでこの値段かぁ~」
迷う暇はなかった。後はモダが一体どうやっていけば良いのか?調べればすむ。
3泊をジュニアスィートで予約をし、日本への出稼ぎ便出発が早いので、ワオ・イスタンブール
エグゼクティブルームを1泊予約した。
「と・・ところでモダってどこだ?あ・・・あった・・・カドゥキョイの近くか・・・・」
昨年滞在したのは、ヨーロッパサイド。今回はアジアサイドの滞在になる。
「ふんふん・・面白そうかも・・・」
ところが、メストド1号に話をしてみると・・・
「どこが面白いわけ?」
日本を出発して30時間以上、ベッドに横たわることはできない。つまり、自称"眠り姫”であり、
オストド言うところの、ナマケモノ目メストド科にとっては、睡眠は重要な要素なわけだ。
空港から1時間に一本のシャトルバスかもしくは、タクシーを飛ばし、休むことなく。1時間に1本の
フェリーに飛び乗り、わずか20分足らずで着いてしまい、終点でないので起こしてもらえない
途中下船をし、ホテルまでテクシー。つまり10分"も”歩くのだ。
「何の因果かしら?」
「ツアーよりよっぽどいいと思うけどね。」
営業妨害になるので、敢えて書かないけど、ツアコン出身のオストドでさえ、「めちゃくちゃだぁ~」と喚く。
ツアーには自由はほとんどないけど、せめてもの救いは、"他人に干渉されることはない”ことだ。
だ・か・ら・・他人によく聞かれるのが・・・・
「どこをご覧になりました?」とか「アクティビティーは?」とか聞かれるのだが、
「別に!ブラブラして・・・プールサイドで水着の美女を眺めて・・・・・後は昼寝かな?」と
毎回答える様にしている。
これこそが、究極の贅沢。時間を無駄に使い、公園で優しい風に包まれ、チャイを飲む。
火照った身体を冷やすべく、プールに飛び込めば、息が続く限り沈んでいるのは、別に言いとして、
時間本来の流れを取り戻すためにだけ、旅に出る。
「それで?今度の目的は?」
「いつも通りかな?今年はサバサンド喰って、一日に一箇所だけどこか観るか?メンドーだけど・・・」
さて、今度の旅はどうなるのだろう?
問題はただひとつ。社長に就任してしまったので、休みが取れるかどうか?
何しろ、「休みくれなきゃ!辞めてやる!」はもう通用しないのだから・・・・・
オストド&メストド1号・・・飛んでイスタンブール再び・・・② [2011・夏 イスタンブールの旅]
第1章 - 旅立ちの朝に -
「行くのね?」
「行くさ・・・」
オストドは夢の中を彷徨っていた。自宅のベッドではない。とある所である。
夢は醒めるもの。壊れるもの・・・である。
いやでも、容赦なくときは流れ、セットしておいた目覚ましがイヤホーンから聞こえてくるので、
起きないわけ・・・にはいかない。
「あちゃぁ~もう・・・こんな時間かぁ~」
色っぽい話ではない。見積もりを仕上げ、「こんなもんかぁ~」と電子入札書を送り、
週3日参加している。「どうやったら会社を潰せるのか?」講習に参加して、いつもの様に
自宅に帰るのを諦め、とあるサウナみたいな所で朝を迎えたのだ。
「ったく・・・色っぽい話なら良かったんだが・・イテテ・・・」
万一を想定して、既にアシスタントにPCのパスワードは教えてある。
ついでに、放り込んだ入札書の開札には間に合わないので、その作業を頼んである。
「ええとぉ~これで・・・いいか?」
オストドがバカンス中でも、会社は動く。動くとなれば、緊急連絡が入る。
緊急連絡が入るとすれば、連絡可能な時間とか搭乗予定の飛行機などを教えねばならない。
まあ、外国へでも逃亡してしまえば、帰国などしなくて済む。
後日談にはなるけど、従業員の一人が血を吐いて緊急入院したのだが、
「ふんふん・・生きているんだね。じゃあ・・いいか?」
こんな風に片付けたりもすることが出来る。この件は出発後に起きた話だ。
「それじゃあ・・・いいかな?」
「仕方ないですねえ~携帯切らないでくださいよ?」
「メイビー!」(多分・・・
「はあ?」
オストドはさっさと会社を抜け出し、体調不良の身体にムチを一発いれて、自宅目指して愛車を駆る。
高速を飛ばしながら、家に電話を入れる。
「何か要る?」
「そうねえ~任せる。」
昼食なのかなんだかわからない時間ではあるが、冷やし中華を仕入れ、自宅へ戻る。
「準備出来た?」
「こっちはねえ~あと・・・少しかな?」
「了解っ!」
冷やし中華を流し込み、E-チケットと去年使い残したトルコリラと、乗り継ぎ地であるバンコクで
「もしかしたら・・使うかもな!」とタイ・バーツとUSドルを取り出す。
「これくらいあればいいかな?でも、しばらく行くし・・・今が底かもしれないし・・・」
去年の使い残しが735トルコリラある。大体、昨年の経験でいえば、足りるはず。
「あっ!いけねえ~忘れてたぁ~」
クレジットカードのセキュリティー解除をしておかなければならない。
稀に・・・そう、稀ではあるが、使えない事態に陥ることがある。
取り越し苦労で終わればよいが、一度喰らったことがあるので、必ず電話をする。
高額な買い物をする(されるの間違いか?)恐れがある場合には、一時的に与信を引き上げる。
クレジットカード会社に2枚のゴールドカードのセキュリティー解除を依頼する。
「いつご出発ですか?」
「今日・・・」
「はあ?」
「これから行くの!タイとエジプトとトルコとオーストリア・・・・」
無事、セキュリティーを解除してもらう。
「これでよし!」
「ええとぉ~忘れ物は・・・・」
「お金とカードとパスポートとEチケットにホテルバウチャーがあれば・・・後は命か・・・・」
「そうねえ~いずれ・・身体壊すわよ?」
「かもな・・・」
どうやら、地雷原を踏んだらしいので、話を濁す。
「あっ!」
「あん?」
「誕生日忘れてたでしょ?」
「忘れてません!帰ってこない奴が悪い・・・でも・・・」
仕方がないので、メストド1号に代筆してもらい、誕生日祝いと称して、少しばかりのお金と
白ワインを4本にチーズ等を買いこんでおく。
「早く言えばいいのに・・そうすりゃ生まれ年のワインなんぞ手配したのに・・・・」
「おやぁ?」
「あん?」
「羽振りがいいこと・・・」
「一応、社長だからね・・・痩せても枯れても・・代表して取り締まられろ役・・・」
「そのお腹じゃぁ~100年くらいかな?枯れるまで・・・」
「ジョーダン言っちゃいけません。死んでますその頃は・・あはは」
メストド1号を促し、家を早々に出発することにした。
「もう行くの?」
「帰ってくるとき・・渋滞だったもの・・・」
家を出て、京葉道路・東関東自動車道を乗り継ぎ、とあるホテルの駐車場へ車を放り込む。
「いいのかな?」
「いいんではないんでしょうか?黙ってればわからないし・・・」
ホテルの送迎バスは出てしまった後だったので、メストド1号に尋ねる。
「ええと・・送迎バスはあと1時間待ち。お茶でもするかタクシーとどっちがいい?」
「お茶はねえ~ラウンジでも飲めるんだし・・・タクシー!」
丁度、停車していたタクシーに乗り込み、第一ターミナルビルへ行くよう促す。
2000円をちょっと欠けるくらいだったし、感じがいいドライバーさんだったので、お釣りはチップ。
「さてと・・・買い物もあるけど・・・先にチェックインかな?」
カウンターでチェックインを終わらせ、カートを引き摺りながら歩く。
「ええとぉ~おもちゃ売り場はどこだ?」
「はあ?」
「会社のアシスタントに頼まれているんだよね・・・」
飛行機のミニチュアよりもマグネットタイプのほうが良かろうと勝手に判断する。
「次はと・・ユニクロ・・・」
「えっ?」
ユニクロデフリースのパーカーを購入。これで風邪をひかずに済む。
「ねえ!お腹すかない?」
「そうこなくちゃ・・って・・・珍しい。」
気が変わらぬうちにと専用手荷物検査場をすり抜け、出国審査を済ませる。
「やっぱ・・ヤローよりは・・・」
ちゃっかりと、女性係官の列に並ぶ。これは習性なのだから、仕方がない。
「さてと・・・どっちに行くかな?」
「えっ?」
「見晴らしが良いほうがいいよね?」
第5サテライトのラウンジへ向かう。
「ハラヘリハラ・・・・・か・・・」
「何か言った?」
「言わない・・・・」
途中、免税店を歩きながら覗くと、最近吸っているKENT MINTEKが売っている。
「あっ!あった!やっと・・・メジャーリーグに昇格された気分!」
「はあ?」
「買わなきゃ・・・」
「後でいいでしょ?そんなもん。」
メストド1号はあまり、腹が空いたとは言わない。2~3日位食べなくても死なないわよ。と
常に言っている位だ。だ・か・ら・・その分、腹が空いたときは機嫌が悪くなる。
「さすがは・・空飛ぶ食欲魔人の妻だな・・・」
「何か言いました?あなた・・・」
これは質問ではない。喧嘩を売るなら買ってやると言う一種の脅し?文句である。
「い・・いや・・・そうだな。後で買えばいいか・・・無くなったら泣くけど・・・」
こうなればひたすら、ラウンジへ直行するだけである。
ラウンジへ飛び込むとオストドはかき揚げそばを注文し、メストド1号は山菜そばを注文。
「お代わりしようかな?」
「あら?機内食を召し上がらないのね?ついでに旅行中も一日一食・・・」
「そんなぁ~殺生な!」
「じゃあ!サンドウィッチだけね!ただし・・・・」
「判ってます。食べ過ぎません!」
それでも・・取ってきたモノ勝ちとも思ったが、"食生活改善ナントカ”を握られている。
握られている以上、ステーキを目の前にぶら下げられて、「ワン!」としか、ほざけないのなら、
ここは絶えがたきを耐え、忍びがたきを忍ばなければならない。
まあ、昔より新陳代謝も相当落ちたので、多少は節食しなければならない。
「さてと・・・・」
「まだ食べる気じゃないわよね?」
「いいや・・出発前の儀式!これ忘れると・・・最悪・・」
「判ったわよ!これから飛行機に乗る人たちに聞こえる様に堕ちると言わないの・・・」
「まだそこまでは言ってないけど・・・・」
「おだまり!」
こうしてオストドはスモーキングエリアに立て篭もり、メストド1号は化粧室へと向かった。
「ついでに・・電話してくるわね!」
「電話?どこへ?ま・さか・・・保健所?」
「保健所じゃないでしょ?生ゴミ・・いや・・粗大ゴミでもないし・・・」
「じゃあどこへ?ウチの会社じゃないよね?」
メストド1号が買収されているかもしれない。つまり、旅先に仕事を持ってこられる危険性もある。
「違うわよ!昨日、母の誕生日だったの!覚えている?」
「・・でした。あれ?昨日電話しなかったの?」
「したの!それがさ・・・・」
「えっ!入院してたの?何で言わないんだよ!」
「あたしだって昨日聞いたの!」
「誰から?お父さん?何で言ってこなかったんだろう・・・・」
これが本当なら親不孝な話である。いや、メストド1号に親不孝をさせたことにもなる。
「タ○ユキから・・ホントにアレは・・・どうしようもない。」
「へっ?」
「のらくろ・・じゃなかった。のらりくらり逃げようとしてさ!」
「ふんふん・・・」
このとき、一瞬ではあったが可愛い甥っ子が窮地いや、崖に立たされ、刃物を突きつけられている。
そんな姿がオストドの脳裏を掠めた。まあ、ある意味。義母とメストド1号の性格はその点で言えば、
ソックリであり、義父同様に怒りが静まるのを祈るか、火に油を注がない様にしなければならない。
でも・・それが出来れば苦労はしない。一言多いのは持って生まれた性格と、一画多すぎる故に、
姓名判断で「一言多い性格でしょ!」と言われたことを鮮明に覚えている。
「可哀想に・・・」
「何か言った?」
「問い詰めたんでしょ?」
「当たり前じゃない!口止めされてたみたいだけど・・・」
「まあ、無理だわ!それで?容態は?いや・・・病名は?」
「軽い脳梗塞だって・・・治療プログラムを終えて退院らしいけど・・・」
「らしい?」
「そう!それで確認するの!」
「あいよぉ~アレも可哀想に・・・・両方から怒られる運命だな・・・あはは」
「まあね!怒らない様に言っておくわ!」
オストドはタバコを吸い、ついでにトイレへ行く。トイレから出てきても、メストド1号は笑顔で
喋っていた。笑顔なわけだから、親不孝させずに済んだのだと安堵で胸を撫で下ろした。
オストド&メストド1号・・・飛んでイスタンブール再び・・・③ 空の旅人へ続く。
「行くのね?」
「行くさ・・・」
オストドは夢の中を彷徨っていた。自宅のベッドではない。とある所である。
夢は醒めるもの。壊れるもの・・・である。
いやでも、容赦なくときは流れ、セットしておいた目覚ましがイヤホーンから聞こえてくるので、
起きないわけ・・・にはいかない。
「あちゃぁ~もう・・・こんな時間かぁ~」
色っぽい話ではない。見積もりを仕上げ、「こんなもんかぁ~」と電子入札書を送り、
週3日参加している。「どうやったら会社を潰せるのか?」講習に参加して、いつもの様に
自宅に帰るのを諦め、とあるサウナみたいな所で朝を迎えたのだ。
「ったく・・・色っぽい話なら良かったんだが・・イテテ・・・」
万一を想定して、既にアシスタントにPCのパスワードは教えてある。
ついでに、放り込んだ入札書の開札には間に合わないので、その作業を頼んである。
「ええとぉ~これで・・・いいか?」
オストドがバカンス中でも、会社は動く。動くとなれば、緊急連絡が入る。
緊急連絡が入るとすれば、連絡可能な時間とか搭乗予定の飛行機などを教えねばならない。
まあ、外国へでも逃亡してしまえば、帰国などしなくて済む。
後日談にはなるけど、従業員の一人が血を吐いて緊急入院したのだが、
「ふんふん・・生きているんだね。じゃあ・・いいか?」
こんな風に片付けたりもすることが出来る。この件は出発後に起きた話だ。
「それじゃあ・・・いいかな?」
「仕方ないですねえ~携帯切らないでくださいよ?」
「メイビー!」(多分・・・
「はあ?」
オストドはさっさと会社を抜け出し、体調不良の身体にムチを一発いれて、自宅目指して愛車を駆る。
高速を飛ばしながら、家に電話を入れる。
「何か要る?」
「そうねえ~任せる。」
昼食なのかなんだかわからない時間ではあるが、冷やし中華を仕入れ、自宅へ戻る。
「準備出来た?」
「こっちはねえ~あと・・・少しかな?」
「了解っ!」
冷やし中華を流し込み、E-チケットと去年使い残したトルコリラと、乗り継ぎ地であるバンコクで
「もしかしたら・・使うかもな!」とタイ・バーツとUSドルを取り出す。
「これくらいあればいいかな?でも、しばらく行くし・・・今が底かもしれないし・・・」
去年の使い残しが735トルコリラある。大体、昨年の経験でいえば、足りるはず。
「あっ!いけねえ~忘れてたぁ~」
クレジットカードのセキュリティー解除をしておかなければならない。
稀に・・・そう、稀ではあるが、使えない事態に陥ることがある。
取り越し苦労で終わればよいが、一度喰らったことがあるので、必ず電話をする。
高額な買い物をする(されるの間違いか?)恐れがある場合には、一時的に与信を引き上げる。
クレジットカード会社に2枚のゴールドカードのセキュリティー解除を依頼する。
「いつご出発ですか?」
「今日・・・」
「はあ?」
「これから行くの!タイとエジプトとトルコとオーストリア・・・・」
無事、セキュリティーを解除してもらう。
「これでよし!」
「ええとぉ~忘れ物は・・・・」
「お金とカードとパスポートとEチケットにホテルバウチャーがあれば・・・後は命か・・・・」
「そうねえ~いずれ・・身体壊すわよ?」
「かもな・・・」
どうやら、地雷原を踏んだらしいので、話を濁す。
「あっ!」
「あん?」
「誕生日忘れてたでしょ?」
「忘れてません!帰ってこない奴が悪い・・・でも・・・」
仕方がないので、メストド1号に代筆してもらい、誕生日祝いと称して、少しばかりのお金と
白ワインを4本にチーズ等を買いこんでおく。
「早く言えばいいのに・・そうすりゃ生まれ年のワインなんぞ手配したのに・・・・」
「おやぁ?」
「あん?」
「羽振りがいいこと・・・」
「一応、社長だからね・・・痩せても枯れても・・代表して取り締まられろ役・・・」
「そのお腹じゃぁ~100年くらいかな?枯れるまで・・・」
「ジョーダン言っちゃいけません。死んでますその頃は・・あはは」
メストド1号を促し、家を早々に出発することにした。
「もう行くの?」
「帰ってくるとき・・渋滞だったもの・・・」
家を出て、京葉道路・東関東自動車道を乗り継ぎ、とあるホテルの駐車場へ車を放り込む。
「いいのかな?」
「いいんではないんでしょうか?黙ってればわからないし・・・」
ホテルの送迎バスは出てしまった後だったので、メストド1号に尋ねる。
「ええと・・送迎バスはあと1時間待ち。お茶でもするかタクシーとどっちがいい?」
「お茶はねえ~ラウンジでも飲めるんだし・・・タクシー!」
丁度、停車していたタクシーに乗り込み、第一ターミナルビルへ行くよう促す。
2000円をちょっと欠けるくらいだったし、感じがいいドライバーさんだったので、お釣りはチップ。
「さてと・・・買い物もあるけど・・・先にチェックインかな?」
カウンターでチェックインを終わらせ、カートを引き摺りながら歩く。
「ええとぉ~おもちゃ売り場はどこだ?」
「はあ?」
「会社のアシスタントに頼まれているんだよね・・・」
飛行機のミニチュアよりもマグネットタイプのほうが良かろうと勝手に判断する。
「次はと・・ユニクロ・・・」
「えっ?」
ユニクロデフリースのパーカーを購入。これで風邪をひかずに済む。
「ねえ!お腹すかない?」
「そうこなくちゃ・・って・・・珍しい。」
気が変わらぬうちにと専用手荷物検査場をすり抜け、出国審査を済ませる。
「やっぱ・・ヤローよりは・・・」
ちゃっかりと、女性係官の列に並ぶ。これは習性なのだから、仕方がない。
「さてと・・・どっちに行くかな?」
「えっ?」
「見晴らしが良いほうがいいよね?」
第5サテライトのラウンジへ向かう。
「ハラヘリハラ・・・・・か・・・」
「何か言った?」
「言わない・・・・」
途中、免税店を歩きながら覗くと、最近吸っているKENT MINTEKが売っている。
「あっ!あった!やっと・・・メジャーリーグに昇格された気分!」
「はあ?」
「買わなきゃ・・・」
「後でいいでしょ?そんなもん。」
メストド1号はあまり、腹が空いたとは言わない。2~3日位食べなくても死なないわよ。と
常に言っている位だ。だ・か・ら・・その分、腹が空いたときは機嫌が悪くなる。
「さすがは・・空飛ぶ食欲魔人の妻だな・・・」
「何か言いました?あなた・・・」
これは質問ではない。喧嘩を売るなら買ってやると言う一種の脅し?文句である。
「い・・いや・・・そうだな。後で買えばいいか・・・無くなったら泣くけど・・・」
こうなればひたすら、ラウンジへ直行するだけである。
ラウンジへ飛び込むとオストドはかき揚げそばを注文し、メストド1号は山菜そばを注文。
「お代わりしようかな?」
「あら?機内食を召し上がらないのね?ついでに旅行中も一日一食・・・」
「そんなぁ~殺生な!」
「じゃあ!サンドウィッチだけね!ただし・・・・」
「判ってます。食べ過ぎません!」
それでも・・取ってきたモノ勝ちとも思ったが、"食生活改善ナントカ”を握られている。
握られている以上、ステーキを目の前にぶら下げられて、「ワン!」としか、ほざけないのなら、
ここは絶えがたきを耐え、忍びがたきを忍ばなければならない。
まあ、昔より新陳代謝も相当落ちたので、多少は節食しなければならない。
「さてと・・・・」
「まだ食べる気じゃないわよね?」
「いいや・・出発前の儀式!これ忘れると・・・最悪・・」
「判ったわよ!これから飛行機に乗る人たちに聞こえる様に堕ちると言わないの・・・」
「まだそこまでは言ってないけど・・・・」
「おだまり!」
こうしてオストドはスモーキングエリアに立て篭もり、メストド1号は化粧室へと向かった。
「ついでに・・電話してくるわね!」
「電話?どこへ?ま・さか・・・保健所?」
「保健所じゃないでしょ?生ゴミ・・いや・・粗大ゴミでもないし・・・」
「じゃあどこへ?ウチの会社じゃないよね?」
メストド1号が買収されているかもしれない。つまり、旅先に仕事を持ってこられる危険性もある。
「違うわよ!昨日、母の誕生日だったの!覚えている?」
「・・でした。あれ?昨日電話しなかったの?」
「したの!それがさ・・・・」
「えっ!入院してたの?何で言わないんだよ!」
「あたしだって昨日聞いたの!」
「誰から?お父さん?何で言ってこなかったんだろう・・・・」
これが本当なら親不孝な話である。いや、メストド1号に親不孝をさせたことにもなる。
「タ○ユキから・・ホントにアレは・・・どうしようもない。」
「へっ?」
「のらくろ・・じゃなかった。のらりくらり逃げようとしてさ!」
「ふんふん・・・」
このとき、一瞬ではあったが可愛い甥っ子が窮地いや、崖に立たされ、刃物を突きつけられている。
そんな姿がオストドの脳裏を掠めた。まあ、ある意味。義母とメストド1号の性格はその点で言えば、
ソックリであり、義父同様に怒りが静まるのを祈るか、火に油を注がない様にしなければならない。
でも・・それが出来れば苦労はしない。一言多いのは持って生まれた性格と、一画多すぎる故に、
姓名判断で「一言多い性格でしょ!」と言われたことを鮮明に覚えている。
「可哀想に・・・」
「何か言った?」
「問い詰めたんでしょ?」
「当たり前じゃない!口止めされてたみたいだけど・・・」
「まあ、無理だわ!それで?容態は?いや・・・病名は?」
「軽い脳梗塞だって・・・治療プログラムを終えて退院らしいけど・・・」
「らしい?」
「そう!それで確認するの!」
「あいよぉ~アレも可哀想に・・・・両方から怒られる運命だな・・・あはは」
「まあね!怒らない様に言っておくわ!」
オストドはタバコを吸い、ついでにトイレへ行く。トイレから出てきても、メストド1号は笑顔で
喋っていた。笑顔なわけだから、親不孝させずに済んだのだと安堵で胸を撫で下ろした。
オストド&メストド1号・・・飛んでイスタンブール再び・・・③ 空の旅人へ続く。
オストド&メストド1号・・・飛んでイスタンブール再び・・・③ [2011・夏 イスタンブールの旅]
第二章 - 空の旅人 -
「さてと・・・行きますかぁ~タバコも買わなきゃ!」
「あたしは・・口紅を買うんだぁ~」
「へっ?この前も・・・」
「オレンジ色を買うのよ!」
これ以上、触らぬ神に祟り無しよばかりに、揃ってANAHOUSEへ行く。
「何カートンにしようかな?ええと・・2カートンは免税持込できるし・・滞在中は・・・」
「4カートン買えばいいでしょ!余れば・・税金払えばいいんでしょ!」
仰るとおりとばかりに、4カートンをANAカードで購入。1カートン2500円が、4カートンで
9000円。おまけを2個もらうが、邪魔だからいらないとは言えなかった。
メストド1号はチャンネルじゃなかった。シャネルの売り場に居て、店員相手に物色中だった。
「ANAカードで10%引きだった・・・」
すると店員が「すみません。シャネルは割引除外で・・・」
「いいのよ。それください。」
そう言いながら、オストドを横目で睨むメストド1号がそこには居た。
「さてと・・買うもんかったけど・・そういや・・お嬢(2号)のは?」
「今年は頼まれてないけど・・・」
「買わなくていいのかな?」
「いいんじゃない。」
「あっそ・・じゃあ・・行きますか?」
「どこへ?」
「あっちのラウンジ・・・」
「また食べるの?」
「食べない!タバコ吸う・・・時間あるしね・・・」
購買力に火が点いたメストド1号ほど恐ろしいものはない。
スリランカへ出かけた時も、「ちょっと買おうかなぁ~」で1万ドルも買ったのだ。
君子危うきに近寄らずではないが、"逃避モード”をオストドのちょっと古ぼけた頭脳コンピューターが
危険信号を発していた。
第4サテライトのANAラウンジへ行き、タバコを吸う。呆れているのか、諦めているのか?
それとも無の極致の域に達しているのか?
もうひとつ言えば、オストドが暴れる危険性があるので、仕方がないと思っているのか?
まあ、いずれかだろうとは思うが、オストドの飼育係兼調教係(時にはであるが・・・)の
メストド1号としては、放し飼いにするわけにはいかないので、オストドにくっついてくる。
取りあえず、タバコを2本。これくらいで取りあえず止めておく。何しろ閉鎖的環境で、
旅立ち前の最後になるかもしれない"儀式”には、少々難がある。
まあ、屁理屈もここまでくれば、我ながらも呆れてしまうが、第5サテライトのスモーキングエリアより
どうも閉塞感は拭えないので、さっさとラウンジを後にして、ゲート付近に移動しておくことにした。
記憶によれば、搭乗ゲートの近くにもスモーキングルームがあったはずだ。
"記憶”どおりの所で、いつもの"儀式”を行い、32ゲートより優先搭乗でさっさと機内に入る。
18時10分ドアクローズ。18時15分にスポットより押し出されたB767300ERは、いつもの逆で
猛烈な睡魔に襲われ、眠りに点いたオストドと意識が朦朧としながらも、オストドに聞かれた際に
答えられる様にと起きているメストド1号を乗せ、18時40分にANA915便は空へ舞い上がった。
ただ、滑走路16Rだったのか、34Lだったのか定かではないらしい。
残念ながら、記憶にはウエルカムドリンクで冷たいお茶をいただいて、爆睡モードに入り、
機内食を準備する微かな匂いに鼻をヒクヒクさせて、起き出し、梅酒のオンザロックを頂きながら、
アペタイザーに、"愛媛産鱸のマリネを薔薇に見立てて 酢橘の香りとともに”を二人前喰らい、
メインデイッシュには、牛フィレ肉のステーキ。ブレッドをムシャムシャと食べながらも、優しいCAさんが
「ごはんもありますけど?」と親切んおか?それとも無意識に「ご飯くれなきゃ、取って食うぞ!」と目で
訴えたのが判ったのか?定かではないけど、メストド1号のお新香を横取りして、貪り・・・・
デザートのアイスクリームを楽しみにしていたのだが、襲ってくる"睡魔”に満腹が加わって、多少の
アルコールはオストドを深い眠りの世界に引きずり込むには、充分過ぎたのだった。
「はら・・起きて!起きろ!コノヤロー」
「う・・・う~ん。」
「最終着陸態勢に入るんだって・・・」
いつもと逆バージョン。22:15(JPT00:15)滑走路01Lに滑らかに着陸した。
「ふわぁ~あ!よく寝た・・・」
「鼾かいて寝てたわよ!」
「へえ~」
「へえじゃなくて・・この後どうなるの?」
「ええとぉ~トランスファーカウンターへ行けばいいんじゃない?その前に"儀式”だけど・・・」
勝手知ったるバンコク・スワンナプーム空港と歩き出し、オストドの鼻検知器が、スモーキングルームが
近いことを知らせる。
いつもの様に一服の儀式を終えると、何かが違う。
「あれ?何かが違う!」
「えっ?」
「記憶によれば、自由にデッパチとアライブ・・行き来できたんだけどなぁ~」
オストドは、出発をデッパチと呼び、到着をアライブと言う。
ツアコン時代からこう言っているので、いくら直されても、直らない。
前は自由にエスカレーターで上り下り出来た。タバコを吸わない人には問題がないが、
これでデッパチにスモーキングルームがなかったら、オストドの"儀式”は成立せず、乗る機体は
呪われた機体となり、ノタノタと道を歩いていて、車に轢かれる確立より、墜落する確立の方が
高くなる。仮に墜落しなくても、目的地変更にエンジントラブルなどは起こるかもしれない。
「くそぉ~スワナプームお前もか!」
「スワンナ・プーム!でしょ!」
「そうそう・・それ!ったく・・3レターも忘れかけているんだから・・・」
「英語は大丈夫なんでしょうね?」
「上品な奴は・・ムリだな!悪口なら・・任せて!」
「も~う!」
保安検査場の入口でEチケットを見せて、保安検査を受ける。
「ノーラックトップ?」
「イエース!」
さっさとピンポンゲートを潜り抜け、外したベルトと時計を身につけ、デッパチフロアーへ上がる。
「行けるのかな?」
記憶を頼りにエスカレーターの上から階下を覗くと、保安検査場になっていた。
「前のほうがよかったなぁ~ゲートに向かう寸前のほうが・・・」
「何で変わったのかしら?」
「さあね。想像はできるけど・・おおよそ"どこかのバカのせい”ざんしょ!」
「お口が悪すぎませんこと?」
「アイスクリームの時、起こしてくれなかったからねえ~口も悪くなる。」
オストドの場合は、しょっちゅう"ヤブを突いてヘビ”を出す。
「あのね!鼾を掻いていたのは誰?」
「普通・・・起こすでしょ?」
「お疲れかと思って・・バニラと抹茶。美味しかった!」
「う~うっ!」
悔やんでも後の祭り。ANAのCAのせいではないが、もうちょっとテンポ良くしてくれてもと、
逆恨みしたところで始まらない。
「タバコ吸うわよね?」
「Do not hear an obvious thing!」(決まりきった事を聞くな!」
「へっ?」
「オフコースだな・・でも、どこかな?仕方ないインフォメーションで聞くか・・・」
どうやら、同類は多いらしい。インフォメーションディスクの上には、”案内”のボードがあった。
しかし、オストドの目には先客が邪魔していて、ボードが目に入らなかった。
いや、入らなかったのではなく。見なかったが正解かもしれない。
「Where can I smoke a cigarette?」
「Is it written here?」
「Because I was true, and you were a beautiful , I did not catch sight elsewhere」
「Really?Thank you. By the way, is it your wife that there is there?」
「Is it so?」
「She glares at this!」
「It is dangerous; bye-bye!」
オストドは慌ててメストド1号の所へ戻った。
「どこだって?」
「ゲートの所らしいけど・・・行って見れば判るでしょ・・・」
書いてあったゲートへ降りてみる。どうやら使われていないゲートらしく、長々と寝そべっている人。
歩きつかれて座っている人もいる。
スモーキングルームに飛び込み、一服。
「ねえ!他に何を聞いてた?」
「何も・・・鈍らになってないか英語を使ってみた・・あはは」
まあ、オカマさんではない事を祈ってはいたのだが、それはどーでもいい話である。
「さてと・・・ラウンジにでも行くか」
「何か食べる気じゃ・・・」
「I do not eat. Is an in-flight meal mind not to feed?」
「あん?日本語で言え!」
「喰わない。喰ったら機内食没収ざんしょ?」
「勿論!少しはダイエットしなきゃねえ~機内食どころじゃなくて1日1食・・・」
「ワァ~オ!」
TGのラウンジへ飛び込む。メストド1号がトイレに行った隙に、何か詰め込むか?とも考えたが、
「空腹こそ最大の調味料よねえ~」の言葉に素直に頷くしかない。
「空腹こそ・・・か。どうせ大したモン出ないけどな・・・」
コーラを前にしばし考え込む。若い頃はブロイラー路線でも平気だったのだが、
新陳代謝は相当落ちている。勢いに任せて食すると、また、薬漬けの日々になる。
「そろそろ・・空飛ぶ食欲魔人をやめて、空飛ぶ元食欲魔人」とするべきか悩む。
そこへメストド1号が戻ってくる。
「奥様はコーヒーですかね?」
「ええ!チョコあった?」
「ない。いや・・ないと思う。食べ物には近づかなかったから・・・」
「ヨダレが・・・」
「はあ?自分で取ってきな!セルフサービスだから・・・ここ!」
コーラを飲んでいると、また、睡魔が襲ってきはじめた。ちょっと意識がなくなる。
「ほら!"儀式”するんでしょ?行くわよ!」
その声に促され、半分意識朦朧となり歩いてゆく。
どこをどうやって乗ったのか知らないが、"儀式”を済ませると身体は勝手にゲートへ向かい、
そのまま機中の人となった。何しろ、気づいたら、最前列8Hにおとなしく座っていた。
「さてと・・・行きますかぁ~タバコも買わなきゃ!」
「あたしは・・口紅を買うんだぁ~」
「へっ?この前も・・・」
「オレンジ色を買うのよ!」
これ以上、触らぬ神に祟り無しよばかりに、揃ってANAHOUSEへ行く。
「何カートンにしようかな?ええと・・2カートンは免税持込できるし・・滞在中は・・・」
「4カートン買えばいいでしょ!余れば・・税金払えばいいんでしょ!」
仰るとおりとばかりに、4カートンをANAカードで購入。1カートン2500円が、4カートンで
9000円。おまけを2個もらうが、邪魔だからいらないとは言えなかった。
メストド1号はチャンネルじゃなかった。シャネルの売り場に居て、店員相手に物色中だった。
「ANAカードで10%引きだった・・・」
すると店員が「すみません。シャネルは割引除外で・・・」
「いいのよ。それください。」
そう言いながら、オストドを横目で睨むメストド1号がそこには居た。
「さてと・・買うもんかったけど・・そういや・・お嬢(2号)のは?」
「今年は頼まれてないけど・・・」
「買わなくていいのかな?」
「いいんじゃない。」
「あっそ・・じゃあ・・行きますか?」
「どこへ?」
「あっちのラウンジ・・・」
「また食べるの?」
「食べない!タバコ吸う・・・時間あるしね・・・」
購買力に火が点いたメストド1号ほど恐ろしいものはない。
スリランカへ出かけた時も、「ちょっと買おうかなぁ~」で1万ドルも買ったのだ。
君子危うきに近寄らずではないが、"逃避モード”をオストドのちょっと古ぼけた頭脳コンピューターが
危険信号を発していた。
第4サテライトのANAラウンジへ行き、タバコを吸う。呆れているのか、諦めているのか?
それとも無の極致の域に達しているのか?
もうひとつ言えば、オストドが暴れる危険性があるので、仕方がないと思っているのか?
まあ、いずれかだろうとは思うが、オストドの飼育係兼調教係(時にはであるが・・・)の
メストド1号としては、放し飼いにするわけにはいかないので、オストドにくっついてくる。
取りあえず、タバコを2本。これくらいで取りあえず止めておく。何しろ閉鎖的環境で、
旅立ち前の最後になるかもしれない"儀式”には、少々難がある。
まあ、屁理屈もここまでくれば、我ながらも呆れてしまうが、第5サテライトのスモーキングエリアより
どうも閉塞感は拭えないので、さっさとラウンジを後にして、ゲート付近に移動しておくことにした。
記憶によれば、搭乗ゲートの近くにもスモーキングルームがあったはずだ。
"記憶”どおりの所で、いつもの"儀式”を行い、32ゲートより優先搭乗でさっさと機内に入る。
18時10分ドアクローズ。18時15分にスポットより押し出されたB767300ERは、いつもの逆で
猛烈な睡魔に襲われ、眠りに点いたオストドと意識が朦朧としながらも、オストドに聞かれた際に
答えられる様にと起きているメストド1号を乗せ、18時40分にANA915便は空へ舞い上がった。
ただ、滑走路16Rだったのか、34Lだったのか定かではないらしい。
残念ながら、記憶にはウエルカムドリンクで冷たいお茶をいただいて、爆睡モードに入り、
機内食を準備する微かな匂いに鼻をヒクヒクさせて、起き出し、梅酒のオンザロックを頂きながら、
アペタイザーに、"愛媛産鱸のマリネを薔薇に見立てて 酢橘の香りとともに”を二人前喰らい、
メインデイッシュには、牛フィレ肉のステーキ。ブレッドをムシャムシャと食べながらも、優しいCAさんが
「ごはんもありますけど?」と親切んおか?それとも無意識に「ご飯くれなきゃ、取って食うぞ!」と目で
訴えたのが判ったのか?定かではないけど、メストド1号のお新香を横取りして、貪り・・・・
デザートのアイスクリームを楽しみにしていたのだが、襲ってくる"睡魔”に満腹が加わって、多少の
アルコールはオストドを深い眠りの世界に引きずり込むには、充分過ぎたのだった。
「はら・・起きて!起きろ!コノヤロー」
「う・・・う~ん。」
「最終着陸態勢に入るんだって・・・」
いつもと逆バージョン。22:15(JPT00:15)滑走路01Lに滑らかに着陸した。
「ふわぁ~あ!よく寝た・・・」
「鼾かいて寝てたわよ!」
「へえ~」
「へえじゃなくて・・この後どうなるの?」
「ええとぉ~トランスファーカウンターへ行けばいいんじゃない?その前に"儀式”だけど・・・」
勝手知ったるバンコク・スワンナプーム空港と歩き出し、オストドの鼻検知器が、スモーキングルームが
近いことを知らせる。
いつもの様に一服の儀式を終えると、何かが違う。
「あれ?何かが違う!」
「えっ?」
「記憶によれば、自由にデッパチとアライブ・・行き来できたんだけどなぁ~」
オストドは、出発をデッパチと呼び、到着をアライブと言う。
ツアコン時代からこう言っているので、いくら直されても、直らない。
前は自由にエスカレーターで上り下り出来た。タバコを吸わない人には問題がないが、
これでデッパチにスモーキングルームがなかったら、オストドの"儀式”は成立せず、乗る機体は
呪われた機体となり、ノタノタと道を歩いていて、車に轢かれる確立より、墜落する確立の方が
高くなる。仮に墜落しなくても、目的地変更にエンジントラブルなどは起こるかもしれない。
「くそぉ~スワナプームお前もか!」
「スワンナ・プーム!でしょ!」
「そうそう・・それ!ったく・・3レターも忘れかけているんだから・・・」
「英語は大丈夫なんでしょうね?」
「上品な奴は・・ムリだな!悪口なら・・任せて!」
「も~う!」
保安検査場の入口でEチケットを見せて、保安検査を受ける。
「ノーラックトップ?」
「イエース!」
さっさとピンポンゲートを潜り抜け、外したベルトと時計を身につけ、デッパチフロアーへ上がる。
「行けるのかな?」
記憶を頼りにエスカレーターの上から階下を覗くと、保安検査場になっていた。
「前のほうがよかったなぁ~ゲートに向かう寸前のほうが・・・」
「何で変わったのかしら?」
「さあね。想像はできるけど・・おおよそ"どこかのバカのせい”ざんしょ!」
「お口が悪すぎませんこと?」
「アイスクリームの時、起こしてくれなかったからねえ~口も悪くなる。」
オストドの場合は、しょっちゅう"ヤブを突いてヘビ”を出す。
「あのね!鼾を掻いていたのは誰?」
「普通・・・起こすでしょ?」
「お疲れかと思って・・バニラと抹茶。美味しかった!」
「う~うっ!」
悔やんでも後の祭り。ANAのCAのせいではないが、もうちょっとテンポ良くしてくれてもと、
逆恨みしたところで始まらない。
「タバコ吸うわよね?」
「Do not hear an obvious thing!」(決まりきった事を聞くな!」
「へっ?」
「オフコースだな・・でも、どこかな?仕方ないインフォメーションで聞くか・・・」
どうやら、同類は多いらしい。インフォメーションディスクの上には、”案内”のボードがあった。
しかし、オストドの目には先客が邪魔していて、ボードが目に入らなかった。
いや、入らなかったのではなく。見なかったが正解かもしれない。
「Where can I smoke a cigarette?」
「Is it written here?」
「Because I was true, and you were a beautiful , I did not catch sight elsewhere」
「Really?Thank you. By the way, is it your wife that there is there?」
「Is it so?」
「She glares at this!」
「It is dangerous; bye-bye!」
オストドは慌ててメストド1号の所へ戻った。
「どこだって?」
「ゲートの所らしいけど・・・行って見れば判るでしょ・・・」
書いてあったゲートへ降りてみる。どうやら使われていないゲートらしく、長々と寝そべっている人。
歩きつかれて座っている人もいる。
スモーキングルームに飛び込み、一服。
「ねえ!他に何を聞いてた?」
「何も・・・鈍らになってないか英語を使ってみた・・あはは」
まあ、オカマさんではない事を祈ってはいたのだが、それはどーでもいい話である。
「さてと・・・ラウンジにでも行くか」
「何か食べる気じゃ・・・」
「I do not eat. Is an in-flight meal mind not to feed?」
「あん?日本語で言え!」
「喰わない。喰ったら機内食没収ざんしょ?」
「勿論!少しはダイエットしなきゃねえ~機内食どころじゃなくて1日1食・・・」
「ワァ~オ!」
TGのラウンジへ飛び込む。メストド1号がトイレに行った隙に、何か詰め込むか?とも考えたが、
「空腹こそ最大の調味料よねえ~」の言葉に素直に頷くしかない。
「空腹こそ・・・か。どうせ大したモン出ないけどな・・・」
コーラを前にしばし考え込む。若い頃はブロイラー路線でも平気だったのだが、
新陳代謝は相当落ちている。勢いに任せて食すると、また、薬漬けの日々になる。
「そろそろ・・空飛ぶ食欲魔人をやめて、空飛ぶ元食欲魔人」とするべきか悩む。
そこへメストド1号が戻ってくる。
「奥様はコーヒーですかね?」
「ええ!チョコあった?」
「ない。いや・・ないと思う。食べ物には近づかなかったから・・・」
「ヨダレが・・・」
「はあ?自分で取ってきな!セルフサービスだから・・・ここ!」
コーラを飲んでいると、また、睡魔が襲ってきはじめた。ちょっと意識がなくなる。
「ほら!"儀式”するんでしょ?行くわよ!」
その声に促され、半分意識朦朧となり歩いてゆく。
どこをどうやって乗ったのか知らないが、"儀式”を済ませると身体は勝手にゲートへ向かい、
そのまま機中の人となった。何しろ、気づいたら、最前列8Hにおとなしく座っていた。