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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -まえがきに代えてー [2013.親馬鹿旅]

-まえがきに代えてー

それは、何気ない一本の電話。いや、SKYPなわけだから電話とは、また違う。

「一時帰国したいんだけどさぁ~」

「ねえ!そうほざいているけど・・・」

「帰ってくるな!こっちで行く!」

どこがどんなでそんな羽目になったのか?

毎週末の生存確認で、メストド1号と2号のSKYPでのやりとりは、スピーカーを通じて

オストドの耳にも飛び込んでくるわけだ。

その横で「さあて・・今年もエーゲ海クルーズに行こうかなぁ~。いや、エーゲ海に浮かぶ

島々に滞在するのもよさそうだし・・・」などとほざきながら、キーボードを叩いていたのだ。

「えっ?」

「クルーズもいいけどね・・・やっぱり・・・飛ぶのが面白い!」

「えっ?」

「おっ・・・これだ・・・予約しちまえ!」

「えっ!・・・ええっ~」

「もう、チケット取っちゃったからね!」

そんな一言で始まった旅だった。

今回のルートは、チケット保持の関係から、成田/カイロ/アテネのビジネスクラスチケットが、

ワンウェイ分残っており、そこにアテネ/ミュンヘン/モントリオールの往復と、更に、アテネ/

カイロ/成田の往復をそれぞれ、エアーカナダとエジプトエアーでビジネスクラス発券をした。

「い・・一体いくら?」

「いいじゃん・・・」

お気楽にもほどがあるらしいが、メストド1号も悪い気はしてなかった様だ。

「そうねえ~」といいながら、娘にカナダに行くとその場で告げているではないか。

こうして、カナダへ行くのにわざわざ遠回りもいい所の旅がスタートしようとしていた。

何しろ、全行程7泊8日。そのうち、機中泊が3泊。積算マイルで言えば、

片道がトータル14248マイル。往復で28496マイル。都合8回も飛行機に乗る計算だ。

SKYPを終えたメストド1号が、オストドに「どれだけ乗るのぉ~」と聞くのも無理もない話だろう。

「ええとぉ~アテネで往復一泊ずつで、あとは・・・モントリオールに2泊・・・・」

「・・・・・・・」

絶句するのも無理がない話だ。ここまで来ると、親馬鹿に超が付き、更には飛行機オタクと

ののしられても仕方がないと我ながらも思う。

「いいじゃん!どうせ・・・機中泊はフルフラットだし・・・」

これが、そもそもの間違いだったと気が付くのは、出発日が近づきエジプトエアーの担当者から、

恐る恐るかけてきた。携帯電話が鳴る寸前までオストドはノー天気でいたのだから・・・・

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」第一章に続く。
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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第一章- [2013.親馬鹿旅]

-天国・・・いや、ちょっと地獄?1-

「ったく・・・着いたら、着いたって電話くらいしろよな!」

口には出さなかったけど、オストドは成田空港第一ターミナルの出発階より、ワンフロアー上

喫煙所でちょっとイライラしていた。

話はその数時間前、いや数日前まで遡らねばならない。

出発を間近に控えたある日。一本の電話がオストドのプライベート携帯に飛び込んできた。

「社長!お出にならないのですか?」

「嫌な予感がするんだけど・・・・」

着信を告げる携帯を見ると、エジプト航空からである。

「やっぱり・・・」

でも、出ないわけにはいかない。碌な事が重ならない様にしなければならなかった。

何しろ、今回の旅は前回とは違う。エジプト航空を乗り継ぎ、EUにたどり着いたと思ったら、

翌日には、EUの別の玄関口から飛び立ち、大西洋を飛び越えねばならない。

「被害は最小限度だよなぁ~」

予約通りのフライトであれば、連絡してくるはずはない。

相当の遅れかそれとも早発にスケジュール変更か、運行スケジュールの変更が決まったのだ。

もし、運行スケジュールの変更なら、頼み込んで他社へ特別に振り替えて貰って出発し、

どこかの都市でスケジュールを間に合わせる必要があるからだ。

「もしもし・・・・」

「こちらエジプト航空の・・・・」

「やっぱり・・何か?」

「フライトスケジュールの変更のご連絡ですが・・・」

「えっ?」

「お帰りのアテネ/カイロ間・・・・」

少しほっとしたのも、束の間のことだった。

オストドが所有しているチケットは、ビジネスクラスには違いないのだが、

その中でもエジプト航空のチケットは、安い。更に、払い戻し不可等の諸条件が付いている

オストドのチケットはベリーどころではない。前回、アテネからエーゲ海クルーズに乗り込み、

帰国から使用を始めたチケットは、アテネ/カイロ/成田の往復で、円高の影響もあり発券手数料を

含めても、確か一人17万円くらいだった。

それで、積算マイルで言えば往復で16600マイルもANAのマイルとして貯まるのだ。

更に今回の帰国のチケットは、発券手数料とわざわざ赤坂まで足をのばす手間をかけ、

ANAカード決済によるマイル獲得より、WEB発券でヒルトンVISAカードで決済する方を

選んでいるのである。

「出発時刻が予定より25分遅れまして・・・・・」

「それだけなら・・・」

「あと・・もう一つと言いますか・・・こっちの方が・・・」

「も・・もしかして?」

「機材変更が発生しまして・・・」

「はあ?」

「もう一つ申し上げると・・・・」

「はぁぁぁぁぁぁぁ~」

オストドが恐れていたことが発生したのだ。

同じビジネスクラスとはいえ、費用対効果で言えば、天国から地獄へ真っ逆さまに

突き落された気分だった。

それでも、淡い期待は搭乗する寸前まであったのは紛れもない事実だった。

その淡い期待とは、オストドもメストド1号もとりあえず・・・“なんちゃって☆G”なわけだから、

3クラス運行への切り替えになれば、C→Fへグレードアップされるか?

それとも・・僅かな追加料金を支払えば、Fクラスへアップしてもらえるかもしれない。

そんな期待だったわけだ。まだまだ修行が足りないと言われれば、

その通りだと言わざるを得ないが、その時点までは持っていたのだった。

何しろ、フルフラットでぐっすりお休みどころか、旧型のそれもシートピッチの狭い機体。

リクライニングもエコノミークラスとほとんど変わらない。

むしろ、空席が多いそうだから、エコノミークラスを3席独占できれば、横になれる。

でも、「運行されない!」と通達を受ける恐れはなくなったのだから、ヨシとしなければ

ならないのが、神の思し召しなのだ。

アラーの神は、その気紛れさ故に、以前は、運行停止のため、復路チケットの払い戻しを

勧められたが、頑なに拒み、成田/バンコク間をANAのビジネスに振り替えてもらい、

日本線休止のため、振り替えられたB777-300ERで、諦めていたフルフラットに乗れた。

だが、その時も出発まで間がなく、仕方なくオーストリア航空のビジネスを買い直し、

余計な出費を強いられ、イスタンブールへ舞い戻り、その次はまだ運行休止だったので、

英国航空が安かったので、買ったのは良かったが、またもやアラーの神の気紛れを受け、

ユーロコントロールによる出発遅延で、ヒースロー空港で係員の迎えもなかったので、

空港職員とバトル寸前までいき、走るに走って成田行きに飛び乗った。

挙句の果てに荷物は、意図的としか思えないが、積み込まれていなかった。

何しろ、成田で航空会社職員のご丁寧なお迎えを受ける羽目になったのだから。

「もう・・しばらくは、イスタンブールはいいよね。エーゲ海クルーズでもするか・・・」

それが、昨年のことだった。ルート変更・払い戻し不可のチケットだったのだが、

英国航空に電話を掛け、無理やり追加料金の支払いで、ロンドン/イスタンブール間を

ロンドン/アテネに代えてもらい。帰りのフライトを探していたら、エジプト航空が運行再開。

渡りに船とばかりに、安さにつられて買っってしまった。自分の考えの甘さがつくづく・・・

そう、つくづく・・・恨めしかったのだ。

「もうひとつ・・・お知らせすると・・・」

「まだあるの?」

「年末に入っている予約ですが・・・・」

「ま・・まさか・・・それも・・・オンボロシート?」

「はい。左様で・・・」

「それじゃあ~ますますお客が載らないと思うけどねえ~週2便しかないのに・・・」

「せめて、3便にして、機材を戻してもらわないと・・・・」

「だよねえ~」

これで、約6000マイル。おおよそ片道1万キロを3回も、窮屈で寝苦しいシートで、

飛ぶ羽目になったのだ。ただ、唯一の救いは、アテネで往復共に、1泊。

そう1泊のホテルを確保してあることだけだ。

電話を切り、頭を抱えるオストド。その光景を見た秘書嬢曰く、

「行くの止めになさいますか?」

「とんでもない!」とオストドは首を横に振った。

何しろ、エアーカナダのWEBで仕入れた航空券も、ホテルもまでが・・・・

ノーリファンド。つまり、返金は受けられないし、夏までにアテネに戻らねばならない。

戻らねばならないのは、ループのどつぼに居るということだ。

「チクショーと言っても仕方がないよな・・・・」

オストドはまだ、この時アラーの神がさらに試練?を与えようとはこの時はまだ思いもしなかった。

まあ、その辺は本編でゆっくりと暴露させていただくことにして、ひとまず・・そう。

出発をしなければ先に進まないのである。

28,May,2013 11:00

「ねえ!悪いけど・・・荷物の積み込み手伝ってくれる?」

クソ重いスーツケースが2個。何しろ何回も計量したが、1個は22.2キロもあるのだ。

それに機内持ち込みのキャリーがひとつ。これには荷物が延着した場合に備えて、着換えや

先日、伊勢で買い求めてきた。メストド2号へのお土産というべきか、お守り代わりの真珠の

ネックレスとピアスが入っている。そのほかにもメストド1号の化粧品等も詰め込まれ、

ほぼ10キロ近くになっている。

とても、一人で車に詰め込めるわけはない。車に詰め込むまでに、エレベーターに積み込み、

一階まで降ろし、駐車場まで引き摺り・・・・

そんな事を行ったら、オストドは出発前に病院へ寄らなければならない運命になりそうだ。

「はい?」

「いやぁ~何しろ手は、二本しかないじゃん・・・」

「そうですね。普通・・・・」

「雨が降りそうだしねぇ~」

「ですねえ~」

そんなわけで、積み込むまでを手伝ってもらうことにした。

一応、名誉のために言っておくけど、重いモノは自分で運び、キャリーのみを降ろしてもらった

ただそれだけである。

車に荷物を積み込んで一息付くと、雨が降り出してきた。

「助かったよ!雨が降り出してきたもの・・・・」

「何時に出られます?」

「そうねえ~4時半ごろに出るかな・・・・」

こうして、オストドは一人。成田空港へ車で向かい。メストド1号は、仕事のため、定時に上がり

スカイライナーで成田空港で合流することになっている。

某ホテルの玄関へ乗り付け、荷物をベルボーイに託す。駐車場に車を停めてホテルの専用バスで

空港へ向かう。

そう、間違ってもホテル名は書いてはいけない。何しろ、ノーチェックでその便宜を供与してくれている。

間違っても、1泊あたり、400円とか屋内駐車場とは書けない。

そうでなければ、この技は使えなくなってしまう可能性がないとは言えないからだ。

ホテル発の専用バスにただ一人だけ乗り込み、ターミナルで降ろしてもらうと、ちょうど、

仕事を終えたはずのメストド1号を乗せたスカイライナーが出発する時間だった。

「さてと・・・・どうすんべ・・・あっそうだ。」

オストドは荷物を積み込んだカートを押しながら、おしゃぶりを買いに薬局へ向かうことにした。

何しろ、ニコチン中毒者に13時間の喫煙は少々つらい。

最近、コンビニではみかけなくなったJTで販売している“ゼロ”は、オストドの精神安定剤。

ニコチンが切れて、暴動を起こすか?さもなきゃ、機内で火をつける恐れがあり、

瞬く間に機内に潜伏している謎のガードマンに取り押さえられる恐れがある。

そんなリウクが、410円で防げるのなら、安い買い物だと思う。

何しろ、Drに、「人間辞めるか?タバコを止めるか?」と聞かれて、「人間辞める」と答えたほどだ。

無事におしゃぶりを入手して、スモーキングコーナーへ向かう。

「ふうっ~うま!」

缶コーヒーを飲み、タバコを吸っていると、業務用の携帯が鳴る。

オストドの現在の生業は、不動産貸付業。不動産仲介業者からである。

「この時間なら宜しいんでしたね?」

「まあね・・・」

「出物があるんですけど・・・・」

そんなやり取りがしばらく続く。メストド1号には、成田空港到着のメールは送ってあるが、

スカイライナーに乗り込んだとは返ってきていない。

「おっと・・・カウンターに行かなきゃ!」

オストドがカウンターへ向かったのは、メストド1号を乗せているはずのスカイライナーが、

到着する時間だった。

「ったく・・・着いたら、着いたって電話くらいしろよな!」

口には出さなかったけど、もうチェックインが始まっている。その時にメストド1号から、

メールが届いた。そこには、一言。“着いた”とだけ書かれてあった。

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第二章-へ多分・・続く。




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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第二章- [2013.親馬鹿旅]

-天国・・・いや、ちょっと地獄?2-

「着いた?これだけ・・・じゃあ・・機嫌悪そうだな・・・」

オストドは声にならない声を漏らし、ついでに大きなため息を一つ吐いた。

何しろ、オストドは拘束&呪縛とさまざまなストレスから解放され、優雅?とは言えないけど、

嘗てないほどのの自由人いや、自由なトドになっている。

何しろ、埃まみれ、塵まみれ、騒音と罵声が飛び交い、油断すれば頭上からモノが落ちてくるか

はたまた、地面に掘られた穴ぼこに落ちるか、足場から転落するか?

さもなきゃ、職人’sの面々に、人柱として埋められるのか?それとも・・・・

数え上げれば切りがない世界から、「持病発作の病気療養のため」という錦の御旗ともいえる

「それじゃあ~仕方ないか!」と唸らせる“大義名分”を振りかざし、エンジニアの誇りいや、埃を

ポイと投げ捨てて、勝手気ままな自由の世界に身を置いている。

「ちょっと、お伊勢まいりに行ってくる。」と言いながら、愛車を飛ばすことも朝飯前になった。

もう一方のメストド1号は、某メガバンクに勤めているので、月末は忙しいらしい。

「えっ?うそでしょう・・・」

「いや、本当!仕方ないじゃん!」

それで、今日の出発が決まったわけだから、、きっと仕事を途中で放り出して来る羽目になった。

多分、オストドの推理は正しいはずだ。

「カウンターに居る」とだけメールを送るとすかさず、「南?北?」トメールが返ってくる。

オストドは最近、ターミナルだけしか確認していない。何しろ、勝手知ったるナントカで、

勝手に体が動くわけだ。

「ええとぉ~どっちだったっけ・・・・」

出口の表示を確認して、メストド1号にメールを打ち返す。

「南・・・・」

しばらくすると、メストド1号が姿を現した。

「やはり・・・気をつけねば!」

オストドの旧式の警戒システムのスイッチが自動モードに入った。

何しろ、オストドの警戒システムは旧式故に、ときどきヘマをやらかすのが欠点なので、

さらに安全装置のモードをオンj状態に入れとかねばならない。

「DNAの成せる業は恐ろしいもんな・・・」とポツリとまた、今度は声に出し、ついでに

ため息を二つ吐き出した。

「あいつ・・・大丈夫だろうなぁ~」と今度はメストド2号に思いを巡らす。

メストド2号はメストド一族の女系の血が色濃く出ている。

仲が良いときは比較的ラクなのだが、喧嘩の勃発もある。

「少しは成長しております様に・・・」

オストドは、神に祈りをささげることにした。多分、生贄が必要だったら、その辺の

ノー天気で歩いている5~6人くらいなら、差し出しても良いとさえ思うくらいだ。

「お・・・お疲れっ!」

「お疲れなんてものじゃないわよ!ヒンシュクものよ!」

「何で?定時まで仕事してきたじゃん!」

「今日に限ってさぁ~次から次へと・・・次長の小言もあってさ・・・」

「何があったの?」

「大体、計算式の入った表をあのアホ次長が・・・・」

「削除してしまったのが敗因とか?」

「そう・・・・」

「それより、チェックイン始まっているから・・・」

こうなれば、一刻も早く、チェックインしてモロモロの用事を済ませ、出国せねばなるまい。

エジプト航空のカウンターへ赴き、さっさとチェックインを済ませることにした。

「バルグヘッドの空きある?」

「ございますが・・・ご予約は9A・Cで・・・」

「8は入らないの・・予約では・・・・」

「ですよねえ~」

カタカタとコンピュターを叩いていたが、ボーディングパスは、成田/カイロとカイロ/アテネを

はじき出してきたのだが、肝心のクレームタッグが出てこない。

「しょ・・少々おまちください。別ので出しますので・・・」

別の端末でタッグを叩き出し、
ソウトドがここまで運び込んできた荷物に取り付けられ、無事にベルトコンベアーで、

運ばれてゆく。

「ちょっと・・聞きたいんだけど・・・機体は・・・・」

「ええ・・・」

「雲泥の差だよねえ~13時間・・・・」

「私的には相当落ちるかと・・・」

別に飛行機が落ちるわけではない。つまり、シートの質が落ち、快適性は大幅に

ダウンすることを覚悟しなければならない。

「ったく・・・こんな僻地には、最新鋭はいらないってか・・・・」

「・・・・・・・」

「ままいいや・・・ありがとう。」

「お気をつけていってらっしゃいませ!」

軽くボディングパスを持った手を振ると、オストドはキャリーを引き摺り、メストド1号の許へ

歩き出す。

「どうせ・・一服するんでしょう?」

「ご名答!」

先に外へ出ているのだ。

スモーキングルームへ入り、タバコに火を点ける。ここまでくれば、あとは出発するだけ

「あのね・・・」

「はい?」

「お金下ろしてないけど?いくら?」

「そうねえ~ユーロはあるし・・・タクシー代くらいかな・・あとは、チップ・・・」

「いくら?」

「5万もあれば足りるでしょ・・・娘に置くのなら別だけど・・・・」

「置かない!」

「なんで?」

「金くれコールなかったもの・・・・」

「いるんじゃないのかな?」

「さあねえ~要るのなら言ってくるはずでしょ!」

オストドは思案をした。取敢えず、オストドのサイフには、20万強入っている。

VISAのキャッシュマシンもあるだろうし、当面のお金はこれで足りるだろう。

「それじゃあ~ATMによって、両替・・・」

ATMから現金を引き出すメストド1号。

そういえば、昔。メストド2号はATMを、お金の自動販売機とのたまっていた。

そのことをふいに思いだし、笑いがこみ上げてきた。

いつもの両替所に向かうが、すでに時遅し、もう閉まっている。

「だから・・・日本は観光後進国と言われるんだよな・・・」

ぶつくさと言いながら、☆Gのついたカードを見せ、プライオリティーゾーンで、手荷物検査を受け、

さっさと出国してしまうことにした。何しろ、ヘビースモーカーのオストド。

自宅を出発する際に開けた“KENTのiブーストは、もう空になりかけてきている。

ANAの免税店に立ち寄り、4カートン仕入れる。市価では、16400円だが、ここでは1万円。

更に、ANAカードの提示で9000円おまけに決済もANAカードにすれば、マイルも貯まる。

おまけの腕時計を2個も貰う。まあ、これは誰かに押し付けるか?プレゼントしてしまえばよい。

「さてと・・何か要る?」

「要らない!ブランドには関心すらないしね・・・・」

「じゃあ!ラウンジにでも行って・・・」

「そのお腹で言うのね?」

「じ・・自重はしますけど、腹減った!」

出国してしまえば、こちのもん!とオストドはメストド1号とキャリーを引き摺りながら、

さっさとANAラウンジへ向かったのだった。

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第三章-へ続く。多分・・・・
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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第三章-  [2013.親馬鹿旅]

-天国・・・いや、ちょっと地獄?3-

ふと・・時計を見ると、出発まで時間がない。

いや、あり得ない話をすれば、タバコを吸わない。とか、

ラウンジで、♪おそばぁ美味しいぃ~おにぎり・・・♪と鳴っている腹の虫を我慢させるとか

そう、すべてを我慢するのなら、時間はタップリと残っている。

残っていることは残っているのだが、「ありえないでしょ!そんな話」と我慢する気はない。

そうなれば、眺めの良い(飛行機が眺められるだけだが・・・)ラウンジを諦め、ゲート近くの

ラウンジへ向かうことにした。ゲートは43番。つまり、眺めの良いラウンジからは遠い。

そこから、ゲートへ向かっても良いのだが、過去の“お呼び出し寸前”よりは、大人しく

ゲート階の一階下にあるラウンジで、ソバを啜り、おにぎりを飲み込み・・・

出発前の安全のための儀式と称した、ニコチン補給に費やした方が賢明である。

オストドの頭の中にある旧式で今にも壊れそうな計算装置はそう答えを、瞬時に吐き出した。

ANAラウンジに入る前にスモーキングルームを見つけると、真っ先に飛び込む。

「ふうっ・・・ウマッ!」

「・・・・・」

メストド1号は、オストドが禁断症状を晒さぬ様に、それなりの量の喫煙を許してくれる。

いや、ただ、自分が被害に巻き込まれない様にしているのか、よくわからないけど、

スモーキングルームを見つけると、「どうぞ!」とドアを指す。

2本立て続けに吸い、今度は空腹を黙らせねばならない。

何しろ、オストドの胃袋は、持ち主の言うことも聞いたためしはない。

ラウンジ嬢にボーディングパスを提示して、ラウンジへ闖入する。

「奥様!何をお召し上がりになられます?」

「ええと・・ジュース。」

オストオdは用意されているジュースを確認すると、席へ逆戻りした。

「奥様!ジュースは、生憎アップルと・・・・」

「アップルでいいわ。」

「ミネラルウォーターはいかがです?」

「いただこうかしら・・・・」

「お食事は?」

「機内食食べるから・・・」

「お蕎麦はいかがです?かき揚げにきつね・・山菜とか・・・」

「あたし、今日の昼は麺類の日だったんだけど・・・・」

「じゃあ・・サンドイッチなんぞ・・・」

「お菓子をいただくわ。」

「ラジャー!」

まずは、メストド1号の飲み物とオストドのコーラーを運ぶ。次にメストド1号のお菓子を

更に盛り付けて運んでおく。

「ご苦労様・・・・いいわ!食べても・・・」

きっと、オストドはまるでエサを欲しがる犬の様な眼をしていたのかもしれない。

お許しも出たので、お蕎麦コーナーでかき揚げ蕎麦を頼み、出来上がる間に

おにぎりを吟味しに出かける。

結局、おにぎりを三個とお蕎麦を持って席に戻ることにした。

本来なら、っこにサンドイッチその他が山盛りとしたいところだが、自重している素振りを

嘘でもいいので見せないと、旅行中腹の肉を掴まれるか?冷ややかな視線を食事の度に

味わうおそれがあるからだ。

「えへへ・・・自重していました。

「自重ねえ~」

その言葉には、少々トゲがあったけど、聞こえないフリをしておく。それが正しい選択だと、

オストドは長い期間をかけて習得している。

無事に、それらのモノを腹に収め、時計を見る。何しろ、離陸前には大事な儀式を行わねば、

いくらアラーの神にフライトの安全を祈るコーランが流れ様が、異教徒には、ほぼ関係ない。

まあ、関係するとすれば、無事に着くかどうかだけである。

あとは、無様な姿で生き恥を晒したくないし、ましてや、生きたままサメやフカに喰われるのは、

御免こうむるくらいだろう。

「そろそろ・・・」

「トイレに行ってこなきゃ・・・・」

ラウンジを出て、スモーキングルームへ向かう。異教徒であるオストドには、ありがたいはずの

コーランなんぞ効くわけがないし、ゲンを担いでの一服の儀式だ。

この後の、乗換地であるカイロには、スモーカー専用のラウンジもあるし、アテネでは、ニコチン

補充とスケジュール調整とメストド1号の休憩のために、24時間ほどスケジュール空白期間が

設けられているから、多少遅れが出てもスケジュールのヤリクリは付くはずだ。

出発前の大事な儀式。まあ、もしかしたらこれが最後の一服という毎度おなじみなのだが、

これを怠るわけにはいかない。(人は屁理屈という・・・・)

43ゲートに向かうとすでに優先搭乗が始まっていた。長いエコノミークラスの列を尻目に

さっさとゲートを通ってゆく。

ボーディングブリッジが混み合っている。

「あん?」

「何やってんのあれ?」

「さあねえ~よほど日本人は信用されていないんだな・・・さもなきゃ・・・」

「さもなきゃ?」

「まあ・・テロ対策じゃない?」

入念な?機内持ち込み手荷物検査とボディータッチの検査を受け、機内に潜り込む。

「けっ!」

「何?」

「ファーストクラスはどうやら乗員の休憩場所らしいよ・・・」

「うちらは?」

「ビジネスクラスの最前列と・・・・あった・・・」

ところが、頭上の荷物入れは、既にクルーのバックと書類類が入っている。

オストドの無言の圧力を感じたのか?クルーがバックを別の場所に移動させる。

そこへキャリーと荷物を収納する。日本人CAの質も相当と言っていいほど下がっている。

何しろ、「ジャケトをお預かりしましょうか?」の声はかからない。

ジャケットを脱ぎ、CAを見ると慌てて飛んできた。さも迷惑そうな顔を一瞬したが、

「貴重品類は入っていませんか?」

「いいえ・・お願いしますね。」

オストドは、キャリーに詰め込んできた機内用ノフリースを着る。

新聞を2誌と週刊誌を1冊受け取り、ウエルカムドリンクをいただく。



こうして・・・フルフラットではなくなった。チープなロングフライトに出発した。

プッシュバックは定刻よりも2分早い。RUWAY16Rへ向け、近距離線と併用されている

B777-200型。オンボロ機体はヨタヨタと進みだした。

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第四章-へ続く。


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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第四章-  [2013.親馬鹿旅]

-天国・・・いや、ちょっと地獄?4-

RUNWAY16Rに正対すると、一気にパワを解き放ち、それでも、「大丈夫かしらん?」と

思いたくなる様に駄馬はなかなか駿馬にはあらない。

「ええとぉ~飛行機の事故で尤も・・・・」

「あのね!縁起でもないことを・・・」

「寝てた方がましかぁ~」

離陸時に寝込むのは、オストドのクセである。酷ければ、機内サービスを受けずに、

寝過ごしてしまうことさえある。

特に、機内食タイムに寝込んでいると、起こしてくれてもいいのに、メストド1号は起こさない。

従って、セーフティモードを起動して、浅い睡眠に入る。

ふと気が付くと、既にシートベルトのサインは消え、CAたちの気配で危うく起きだす。

「寝ててもよかったのに・・・・」

「機内食喰わずに眠れるわけないでしょ・・・・」

例えが悪いけど・・・その辺のファミレスの方が、もっとマシと思えるものでも、

喉を通るであろう物体は、腹に収めるのが、オストドである。

「オストド様。お食事の前に何かお飲物はいかがです?」

CAがカートを押してやってくる。

最初にメニューをくれれば、何を飲むと決めておけるけど、メニュー配布の前にドリンクの

サービスとは、少々手間がお互いにかかる。

幸いなことにエジプト航空には、アルコール類が積み込まれていないので、迷う事はない。

「コークプリーズ。」

「ウイズ アイス?」

「イエース。アイスアンドレモンプリーズ。」と答える。

愛想は良いCAがニコリと微笑むと、コップにアイスとレモンを投入し、少量のコークを注ぎ、

「あとは勝手にどうぞ!」とばかりに、コーラの缶を置いてくれる。

メストド1号は、何故かスパークリングウォーターがお気に入りらしく、

「スパークリングウォータープリーズ。」と答え、「ソーダでいいか?」と聞き返されている。

飲み物とアーモンドの袋とメニューを貰う。

本来なら、同じB777でも、フルフラットになる300ERに比べて、シートピッチは狭く、

リクライニングの角度もエコノミークラスに毛が生えた程度しかない。

何しろ、近距離路線に使用している機体を、東京便運航再開に合わせて、それを転用している。

ニューヨーク路線と併用していた頃に比べると、どうしても雲泥の差は生じてしまう。

「まあ、エコにダウングレードにならなかっただけ・・・・」

「相当、質は下がったわねえ~眠れるかな?」

「俺は薬で寝るから・・・いいけど。でも、安眠は無理そうだな・・・」



「あまり・・・食欲はわかないけど・・・」

「こんなもんじゃない?欧米系と比べちゃ・・・」

「問題はお味よね!」

「その辺のファミレスの方が口には合うけど、何せ高度1万メートルだからね・・・」



「何か・・さっさと喰って寝ろって感じがするけど・・・」

「まあねえ~前菜喰わないの?貰っていい・・・」

ワゴンに乗ってメインが運ばれてくる。

オストドは迷わずお肉を選択、メストド1号のはチキンなのかフィッシュなのかだ。

「待て!食べるな!」

「はい?ああ・・・写真ね!」


(メストド1号のメイン)


(オストドのメイン)

「選択ミスしたかな?」

「美味しくない・・・・」

「口に合わないにとめておく・・・欧米系が懐かしくなってきた。」

「帰りもエジプト航空だったっけ・・・」

「何しろ・・・チープだったんで・・・フルフラットじゃなくなるとは思わなかったけど、」

「帰りもこのシート?」

「そうらしいよ!掴んだ情報じゃぁ年末のフライトもだけど・・・・」

「・・・・・・・」

「まあ、ミュンヘン~モントリオール間は、フルフラットらしいけど・・・」

「らしい?」

「断言はやめておく・・名に亜あるか解らないから・・」

「どういう意味?」

「まともに飛ぶかとかね・・・」

「あたし・・・休み1日しか多く取ってきてませんけど?」

「大丈夫ざんしょ・・メイビー。」

食事を終えるころにCAが再びドリンクのカートを押してやってくる。

「オストド様・・・」

「コークプリーズ。」

「ウイズアイスアンドレモン?」

「イエス」

ドリンクのお代わりを貰い、簡単に行程を説明することにした。

何しろ、今回の最終目的地は、カナダ・モントリオール。

本来なら、太平洋を飛び越え、アメリカ大陸を横断すればよいのだが、

海外発券のループに入っているのと、お休みの関係、チケットの有効期限等の制約があり、

成田からエジプトのカイロへ飛び、トランジットを経て、ギリシャのアテネへ飛び、

一泊だけしたら、ドイツ・ミュンヘンから、大西洋を飛び越え、目的地へ向かう。

その、往復が今回の旅程で、モントリオールには、わずか2泊の強行日程だ。

メストド1号はいつの間にか眠りの世界に入っている。オストドは自力睡眠を諦め、

ロヒプノールを取出し、強制的な睡眠に入ることにした。

何しろ、次にベッドに横たわれるのは、24時間以上も先の計算になる。

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第五章に続く・・・・


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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第五章-  [2013.親馬鹿旅]

-天国・・・いや、ちょっと地獄?5-

「何時間眠れたのかな・・・今、どの辺?」

ガソゴソと起きだし、客室の照明が落とされているので、読書灯を点ける。

ついでに、パーソナルモニターに目をやれば、まだ2時間ほどしか眠っていない。

「やっぱりな・・・エジプト航空のバカヤロー」とぽつんと呟く。

これがフルフラット状態なら、オストドは深い眠りの底にいたはずだった。

「チクショーフルフラットなら・・・もう一錠飲むか・・仕方がない。」

もう一錠。睡眠導入剤を配られていたミネラルウォーターで飲む。

どうやら、退屈にしていたのだろうかCAが飛んでくる。

「サーお飲物でもお持ちしましょうか?」

「コークをね。」

「ついでにスナックはいかがです?」

メニューを取り出すと、オニギリなんぞが書かれているが、自分のお腹の肉を摘み、

ため息を一つ吐き出した。

「フゥ~スナックはいいや・・・」

確か、オストドはダイエット宣言をしていたのだが、あっさりと放棄し、折角落とした体重は

既にお腹の肉が見事にリバンドしたと証明している。

運ばれたコークを飲み干し、数独を少々解いていると、眠気が襲ってきた。

「もう少しだけ眠るか・・」

オストドはフルフラットノシートとは、比べ物にならない座席で、少しでもラクに眠れる位置を

探しだし、また浅い眠りにつくことにした。

「やっぱり・・・トランジトホテルを要求してみるか・・」と呟きながら眠りについた。

次にオストドが目覚めたのは、ギャレーから漂ってくる暖められたパンの香りと通路を行き合う

CAたちの気配のどちらかだった。

メストド1号を叩き起こす。いつのまにかオストドはマクラを奪取されており、オストドは空席から、

マクラをかき集めてきていた。

「朝飯らしいけど・・・いや、カイロ時間で言えば、お夜食かな!」




オストドは和食をチョイス


メストド1号はパンケーキにつられたのだが・・・・

「これって・・・パンケーキ?」

「今川焼の気もするけど・・・」

「アンコは入ってないわねえ~残念っ!」

食欲の湧くモノではなかったが、喉に流し込めるときに流し込み、胃袋はそれを果たして、

食い物だと認識するのかしらんと思える代物を流し込む。

「ところで・・・トランジットホテル要求する?」

「メンドーいなってきたかな。」

「結構、時間あるよぉ~」

「いらない。どうせラウンジもあるしね。」

まあ、気が変わるかもしれないおで、この辺にして、食後の一眠りをする。

カイロ時間 5月30日午前3時55分。カイロ空港RUNWAY23Cにドスンと着陸。

「この時間だと・・・でも、期待は良くないよねえ~」

案の定、バスにてターミナルへ送られる。本来なら、ビジネスクラス客だけが乗るはずの

バスにエコノミークラスのお客が紛れ込んでくる。

これは、もたもたしている他のビジネスクラスのお客を待っていたわけだ。

バス到着から、トランスファーカウンターへ向かう途中に再度確認するも、トランジットホテルは

メンドーなのと、乗り遅れ(寝過ごし)を心配してなのか、「ノー」と答えが返ってきた。

トランスファーカウンターで、乗り継ぎのボーディングパスを提示して、手荷物検査を

受ける。本来なら、ジップロックの袋に放り込んだ液体は出すべきだが、やる気があるのか

解らない係員はそのまま通れと合図を送ってきた。

多分、日本人ふぜいにテロは起こせないと思っているのか?それとも、親日家なのか?

まあ、やる気がないとみるのが、妥当だと思う。

キャリーを引き摺り、Fにある。スモーキングラウンジへ向かう。

中にはお客は誰一人おらず、男性係員はタバコを吸っていた。







朝も空けてくると、お腹の虫が鳴る。まあ、機内食を食べるので、少量だけいただく。


通路を行き交う人々。ラウンジも混み始める

「さてと・・・混んできたし、ブラブラ行きますかぁ~」

「まだ、時間あるでしょ?」

「だってさ・・・立って飲み食いしている人可哀そうでしょ・・・」



免税店をブラブラと覗き、ゲートへ向かうことにした。

問題がなえばあと数時間で一息付けるアテネに着く。

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第六章-へ続く・・・・多分


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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第六章-  [2013.親馬鹿旅]

-天国・・・いや、ちょっと地獄?6-

「ホテルの方がよかったのかな?」

「だね・・・ラウンジの係員も頭に少し来ているんだけど・・・」

「トラブルはなしよ!」

「ぶん殴っちゃダメか・・・やっぱり・・・」

毎回、エジプト航空のラウンジでは不愉快な思いをする。

決まって、オストドを不愉快にさせるのは、場末のバーくらいがお似合いなウェイターだ。

いずれ、ぶん殴るか、なにがしかの制裁を加えてやりたいほどだ。

読者方もカイロ空港内のエジプト航空のスモーキングラウンジを利用した人がいれば、

「多分・・アノヤローだ。」とお気づきかもしれない。

一見すると、ゲイかホモにしかみえない背は低め、メガネをかけており、自分が気に入った客

その客のためなら、他の客に使用されているテーブルを奪取し、飲み物やら、食べ物を運ぶ。

「大体さぁ~・・・・・・」

「ったく・・・寝不足?」

「そりゃあ~フルフラットではなかったし・・・・」

「もうちょっとだからね・・・辛抱」

「了解・・・・」

成田のエジプト航空のカウンターで貰った乗り継ぎのボーディングパスには、搭乗口が

記入されていない。

記入されていても、コロコロとゲートが変わる可能性があるので、随時確認が必要なのだが、

「やっぱり・・・Hかぁ~バスだよ・・・バス。」

Hは、階下に降りることになる。降りてしまうとスモーキングポイントは見当たらない。

まあ、探す気にもならない。何しろ、カイロに到着して開けたタバコは既に底を尽き始めている。

つまり、たっぷりとニコチンを供給過多になるくらい。いわば、吸いダメをしている。

階下に降り、もう一度ゲート案内を確認すると、H1の表示になっている。

手荷物検査を受け、ゲートへ向かうことにした。


ここから、バスで出発です。

「また・・バスか・・・まあ、仕方ない。あちいけど・・・」

カイロを経由するときは、気を付けねばならないのは、乗り継ぎのボーディングパスを

持っていても、必ずスタンプを押してもらわねばならない。

そうしないと、「ビザは?」と尋ねられ、すったもんだする羽目になる。

結構、こういう嫌がらせを食らうことが、イスラム圏では偶にある。

何しろ、成田のセキュリティーを受け、搭乗ゲートを抜け、ボーディングブリッジで

その洗礼をうけてきたのだ。

「もう・・・そろそろかな・・・」

「何が?」

「おさらばかな・・・あっ搭乗が始まるみたいだ。」

予想通り、ドアを出ると暑い。すぐさまバスに乗り込む。

幸いなのは、ビジネスクラスのチケットホルダーだから、バスからタラップを駆け上がることがで

出来る。

「早く・・・ウエルカムドリンクが欲しいな」と、ぽつんと呟くが、どんどんエコノミークラスのお客が

横を歩いてゆき、貰える気配もない。

まあ、幸いなのは、あまり好きではないエアバスではなく、B737-800型だけと言える。

ここで注記しなければいけないのは、ヨーロッパ系エアラインの短距離ビジネスクラスの

シートは、エコノミー3人掛けを2人で座る。エジプト航空のシートは、ボロではあるけど、

それなりの幅とピッチがある。それに多少ノゴージャス感を出すためか、シーtベルトの

金具が、金色に光っている。







「ウエルカムドリンク・・・ないのかぁ~」と言いながら、暴動を企て様かと考え始めると、

「ウエルカムドリンクはいかが?」とばkりに、目の前にグラスにジュースやミネラルウォーターを

載せたトレイが差し出される。



メストド1号はアップルジュースをチョイスして、オストドはオレンジジュースをチョイスした。

オレンジジュースは、まるでネクターの様にドロドロした液体だが、オストドの喉を確かに、

胃袋めがけて流れ込んでゆく。

機体は静かにタクシーウエイらしき所を通過してゆく、現在カイロ空港では新しい建物を

新築している様であり、いずれは炎天下でのタラップ搭乗はなくなると期待したいが、

どうなるかわからないのが、この国なのだろう。

RUNWAY21Cに正対すると、エンジンが唸り始め、まるで首元を抑えられていた駄々っ子が、

お菓子目指して一目散に飛んでゆく様に、カイロの空へ飛びあがってゆく。





「ああ・・腹減った!」

「えっ?あれだけ召しあがったでしょ?」

この召しあがったは、言葉の裏には、「あれだけ喰ったんだろ!腹の肉見てみろ!」という

言葉が隠されているはずだ。

「だって・・・もうじきお昼だけど・・・」

「それより、ピラミッド見える?」

「ええと・・・窓洗えよな・・・あっ!見えた!」



「しょぼ・・・3つしか見えない。」

水平飛行に入ると、まずエコノミークラスへ向かうカートが押し出されてくる。

「メシ・・・まあ、エサかな・・・出るだけありがたいと・・・」



「げっ・・・」

「何?」

「チキンでしょ・・これ・・・」

「仕方がないでしょ・・・・」

「これで長時間フライトなら、暴動もの・・・」

「はいはい・・・」

機内食の食べれる部分だけ(チキンあアレルギーなので、食べられない)を流し込み、

少し仮眠をするとCAに起こされる。ふと、窓の外を見ると、もうアテネ空港へのファイナル

アプローチに入るところだった。



「ボーディングウリッジかしら?」

「甘いね・・多分、沖止めでバスじゃないの・・・・LCCかよ・・・ココ」

案の定、エジプト航空の機体は沖止めされ、バスでの移動となった。

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第七章- へ続く
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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第七章-  [2013.親馬鹿旅]

- トランジット 1-

「ふうっ~やっと・・・中間地点」

「そうねえ~まだまだ・・・乗るのよね!」

「一服してもいいかなぁ~」

「どうぞ!」

大人しく1ユーロを支払いカートを引っ張り出す。つくづく思うのだが、コインを持っていない

人々のことを考えていないケースに良く遭遇する。

「どうせ自動販売機いや・・自動貸し出し機なんだからさぁ~札もOKにすればいいのに・・・」

ぶつぶつ言うのは、オストドである。だが、ここ最近ユーロ圏を旅しているので、

ユーロのコイン特に、1ユーロコインは旅の後半には、必ず確保している。

「ヨッコラセ!」とばかりに、ヘビータッグの付けられているスーツケースを2個と、キャリーを

カートに積み込み、肩からぶら下げている“ズタ袋”と呼んでいるコーチのショルダーバックを

最後に載せ、まずは一目散に建物の外へ向っている。

「ふうっ~生き返った・・・・」

タバコを立て続けに吸い、ニコチンの補給を完了する。

今晩一晩アテネに泊まる。それも市内ではなく空港の目の前にあるソフィテルホテルだ。

「結構・・ボリやがるんだけど・・・背に腹は代えられないしね!」

本来なら、接続が許せばミュンヘンまで飛びたかったのだが、何しろ“悪名高き”エジプト航空。

スケジュール通りに、事故もなく、荷物の紛失もなく、積み忘れもないで到着したのだから、

ここは敬意を払って、アラーの神様にでも御礼を申し上げなければいけないのかもしれない。

ほぼ1日。23時間ほど“時間の余裕”という選択を予め、計画しておいたのだ。

ホテルの敷地内にあるカート置き場にカートを捨てる。

まあ、1ユーロは、回収したりする手数料なのだろう。

寄ってくるドアボーイを制して、フロントでチェックインをする。

「スモーキングルームはあるかな?」

「お取りできますが、お部屋はご予約より狭くなりますが・・・」

「いいの!タバコが吸えればね・・・」

メストド1号のまなざしは、「この末期症状患者め!」という目をしているが、

ニコチンが切れたオストドは人格いや、トド格が変わる危険性を張らんでいるので、

「仕方がないわねえ~」と憐みの眼差しに変わる。何しろ、今回の旅はオストドにとって、

苦渋の選択の連続だったので、メストド1号にしてみると、多少同情してやってもいいか!と言う気

なのかもしれない。何しろ、成田空港を飛び立ってからは、オストドのご機嫌を覗っている気配を

感じているからだ。

「大体さぁ~」

「ストップ!納得したんでしょ?」

「会うだけだからね!どんな奴か解らないけど・・・爆発したらごめん!」

「その前にあたしがボコボコにするから大丈夫!」

「へっ?」

「あたしの方がキレるの早いかもね・・・」

「おいおい・・・まあ、奥様の目は確かだしねえ~」

「でしょ?」

出発の数週間前に遡るのだが、メストド2号が、「会って貰いたい人がいる」と言ってきたのだ。

「やだ。」と言わんばかりに、オストドは即座に首を横に振った。

メストド1号の説得にも耳を貸さず、「カナダでは自由行動にする!」と宣言したのだが、

気紛れからなのか?あきらめの境地なのか?まあ、多少複雑な境地ではあったのだが、

気に食わなければ、ボコボコにした上で、トランクにでも押しこめ、セントローレンスに沈めれば

気分が晴れるかもと、気が変わったのだ。

後から、聞いた話ではアッチじはアッチで相当緊張していたらしい。

そういえば、初めてメストド1号の家にご挨拶に行った時も、オストドもそうだったのかもしれない。

「まあ、任せるよ!アンタいや奥様の目は正しいからね!ところで・・・」

「何?」

「空港の売店に飲み物でも買いに行かないと・・・サービスのミネラルウォーターはこれだけ・・・」

オストドが、ミネラルウォーターの瓶を振って見せると、メストド1号も頷いた。

「そうねえ~足りないわよね!」

部屋の金庫に日本円を入れたサイフとパスポートとEチケット等を仕舞い、連れだって空港の

到着ロビーに向かう。オストドの見識が正しければ、知っている旅行者か、空港関係者を

相手にした売店や店が各空港には存在する。

そこで購入すれば、わざわざ“観光客価格”で売っているモノを買う必要はない。

「やっぱりね・・・あった・・・けど、今は買わない。」

「何で?」

「この後どうするか決めてないしね!市内にでも出る?大金払って・・・・」

オストドの記憶によれば、一人片道1000円ほど係ったはず。つまり、二人では2000円だし、

往復することを考えれば、空港でその分何かに有り付いた方が、得策かもしれない。

「そうねえ~どうせ・・・市内に行っても・・マックかそんなレベルなものしか食べないし・・・」

「空港探検でもする?ルフトのカウンターの場所も知りたいしね・・・何かあるかもしれない。」

オストドはどちらかと言えば、“石橋を叩く”部類だ。

まあ、“石橋を叩きすぎて壊してから、その上を渡る”のもしばしある。

そのくせ、観光とかの計画は無頓着に等しい。いや、観光すらメンドーなこともある。

今回の旅も観光の計画なんざオストドの作成した行程表には存在していない。

「よ・ろ・し・く!」と昨年暮れ間近に、トロントからモントリオールに拠点を移した娘でる

メストド2号に丸投げ状態である。強いて言えば、モントリオールオリンピックのメモリアルパークと

ノートルダム大聖堂に連れて行け!と言ったところだ。

これも、後から聞いた話によれば、メストド2号は大変困った様だが、オストドの関知すべきことでは、

ない。オストドがしなければならないのは、ツアコンとしての役目だから、乗り継ぎの誘導とか、

スケジュールの管理とか、そんな類だけに集中しておけばよい。

オストド&メストド1号がたどり着いたアテネ・エレフテリオス・ヴェニゼロス国際空港は、

スリーレターで表せば、ATHとなる。

今回の旅は、ここATHからMUC(ミュンヘン)に飛び、信じられないほどの乗り継ぎ時間で、

メストド2号の住む、モントリオールへ飛ぶ。

「さてと・・・・」

オストドにもメストド1号にも、ほとんど物欲はない。着るモノだって、ブランドである必要はない。

カバンやバッグの類もそうなのだが、利便性を追求する。まあ、その結果、ブランドにたどり着くのは、

許容の範囲としなければならない。

そんな2頭が覗く店と言えば、カバン屋(よく・・旅先でカバンやスーツケースが壊れることもある)

あとは、サングラスを横目でみたりするくらいだ。

何しろ、飛行機代やホテル代には、お金を掛けるけど、基本一人1万円のラインは崩さないので、

ユーロ圏等では、チープな旅をするし反面。、物価の安い所では、ラグジュアリーな旅をする。

従って、空港のお店を覗くというよりも、「何を食べる?」と店のメニューをチェックし、価格を

頭に入れて歩くのだ。

「今夜何を食う?」

「散々・・・食べてきたと思いますが?」

「晩メシ食べないと・・・暴動が起きる。胃袋の・・・・」

「はいはい・・・・」

「とりあえず・・・一服して考えるか?」

「はいはい・・・」

オストドのタバコは、赤ん坊に例えると、おしゃぶりやおっぱい。おしめにも近いかもしれない。

何しろ、完全なニコチン中毒者である。禁煙するくらいなら、命を絶ったほうがマシと言う輩だから、

暴動も起こしかねないので、適度なニコチンを供給させるのも、メストド1号の責務いや、使命とも

言える。

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第八章-へ続く。
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オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第八章- [2013.親馬鹿旅]

ートランジット2-

空港内をくまなく歩き、ニコチンを供給後、取敢えず、ミネラルウォーターの1.5L入りを

仕入れて一旦部屋に戻ることにした。部屋にあるサービスの一本とコレだけあれば、

コーヒーを入れたり、薬を服用したり、喉を潤す分は足りる計算だ。

部屋の冷蔵庫に放り込んだ途端、オストドは悪い予感が走った。

「ところで・・・晩御飯どうする?」

「喰うの?」

「喰う!じゃなければ・・・明日の飛行機で暴れるかもしれない。」

「仕方がないわね~」とばかりに、また部屋から空港へ向かう。



空港のセキュリティーが煩ければ、空港へは行かない。モンドーがメンドーでからであるが、

アテネの空港のセユリティーはまあまあだ。ターミナルビルに入るだけでも、セキュリティーの

チェックを受けなければならない空港もある中では、危機管理は?と尋ねたくなるけど、

オストドは、「晩御飯はマック・・・」と完全に決め込んでいた。

食べるのは決まって、ビックマック。あちらこちらの国に出かけると、真っ先に探す。

メストド1号に言わせると、「ジャンクフード中毒」らしい。

この日は大人しく、マックにありついたので、さっさと湯船に浸かり眠ることにした。

何しろ、この先アテネ―ミュンヘン―モントリオールへのフライトが待っている。

「問題は・・・ちゃんと荷物積まれるかどうかだ・・・」

「そうねえ~この前のブリティッシュいたいに・・・」

「うん。絶対あれはわざと積まなかったと思うよ・・・大丈夫かな?」

「こっちが聞きたい!」

「まあ!大丈夫っしょ・・・」

ここで論議しているのは、ミュンヘンで、1時間10分の乗り継ぎであることだ。

ユーロ圏にはすでに入国しているので、ミュンヘンまでは国内線とほぼ同じ。

ミュンヘンで出国手続きをして、ゲートへ向かわなければならない。

ラウンジも帰りまでお預けで、ヘタをすると大事な“離陸前の儀式”である一服お時間も怪しい。

それに手に入れたマップには、スモーキングスペースの記載はない。

あるのは、「ありましたよ!」という頼りない口コミだけである。

「まあ・・ なんとkなるっしょ!」と呟くとオストドもメストド1号も深い眠りに落ちたのだった。

05.31 ギリシャ時間 AM8:00

日本を出発して、足かけ3日目。今日も長い一日になる。地球を西肉かって飛べば、時差の関係で

一日は長くなるし、東に向かって飛べば、一日は短くなり、前日に到着してしまうという事さえある。

そういえば、昔。“前日に到着するハワイ!”なんて流行ったこともあった。

「今日も長いのよねえ~」

「まあね。帰りは短い日が続くけど・・・さてと・・身支度して・・・」

「荷物持って行く?」

「いや、一度部屋に帰ってくる。朝メシ朝メシ・・・あそこで食べるか?」

「そうねえ~あそこなら・・・」

偶に聞かれることなのだが、オストドの時差克服術は、至って簡単だ。

「腹が減っていようがいまいが、時間になったら喰う!」

体内時計を無理やり合わせるには、その時間になったら、食べ物を胃袋に押し込む。

ただ、最近、日本時間でもお腹が空くので、食べると必然的に、腹の廻りのお肉は増える。

メストド1号はオストドのお腹の肉を摘み、ため息を付く。まあ、言われなくても判っている。

新陳代謝が落ちたせいなのか?それとも、ある程度懐具合が良くなったので、身体。特に、

腹回りには宜しくないモノを、若いときに準じた量を押し込んでいるせである。

「まあ、昔みたいにさ・・・ファミレスで2人前は喰わなくなったけど・・・・」

「運動不足よね・・・このお腹・・・」

判っていてやめられないのは、食欲とタバコだ。

「まあ、大酒飲まなくなったから・・・・」

「あのまま、飲んでいたら今頃くたばっているわよ・・・・」

暴飲暴食。特にアルコールの摂取量で言えば、一晩で日本酒なら2升。ビールなら1ケース。

ウイスキーやブランデーなら、1本半から2本。

こんな生活も、胃潰瘍でドクターストップを食らった途端、飲めない体質になってしまった。

「まあ、いいや・・とにかく、朝ごはん!」

オストドとメストド1号が向かったのは、空港内出発カウンター奥のフードコートである。

自分の好きなものをせっせと皿に乗せ、スーパーのレジみたいなところで、料金を払う。



離陸する飛行機や到着する飛行機を眺めながら、胃袋に詰め込んでゆく。

「く・・・喰いすぎたぁ~おばちゃん・・・あんなに載せるんだもの。」

「はあ?」

締めて、26.15ユーロの朝食だった。

「さてと・・・一服して・・・」

空港のロビーの中にもスモーキングルームはあるが、ターミナルの外へ出て、一服する。

「何時の飛行機だっけ?」

「ええとぉ~午後1:05発だったけど・・20分遅くなって・・ゲッ!乗り継ぎ50分じゃん!」

「あたしは・・・走らないからね!」

「多分・・・いけるんじゃない?乗り遅れてもルフトが悪い。まあ、いざとなったら係員出すっしょ!」

「出てなければ?」

「その時はその時だぁ~」

部屋に戻り、チェックアウトをする。またこのホテルには4日後に戻る予定だ。

オストド&メストド1号「飛んで・・飛んで・・・また飛んでの旅。」 -第九章-へ続く
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