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オストドのひとりごと。「父の死・・・」 [血みどろ?の争い]

空飛ぶ食欲魔人ことオストドでございます。

本日も中年ポンポコ腹親父の拙いブログへようこそ!

皆様のご多幸とご健勝と諸願成就を御祈願させていただいて、本日もスタートでございます。

今回は当人から見れば、悲劇?他人から見れば、高みの見物のようなお話。

オストドのお父様。つまり、このブログで紹介している“人騒がせなお父様”でございます。

関係者が読んでいる可能性もございますので、一部伏字(腹に据えかねたらわかりませんけど)

にて、都度配信してまいりたいと思います。相続にまつわることも、お知らせいたしますので、

ヤバそうな方は最後まで、お付き合い賜れば幸いでございます。

それでは、序章のスタートでございます。

<序章>

父が死んだ。

公正証書ででも、きちんと遺言を残していなかった父。

それなりの財産を残して逝ってしまった父。

それは、それは・・・・平和な安穏として暮らしていたオストド。

そこへ、台風と共にその時は訪れた。

いや、台風ならまだ過ぎ去るのを待てば済む話だったのだが、

父は親不孝モノだった私に最後の試練を与えるべく、

私を荒れ狂う。いつ終わりを迎えるか判らない。大嵐の中にその慈しみをもって、

投げ込んでいったのかもしれない。

「死んだら・・・笑っちゃうだろうな!」

そんな不謹慎だったバカ息子を、“孤立無援な海”に放り込んだ。

でも、私はここに誓う。

「やられたら・・・」

「倍返し?」

「いや・・・1000倍返しだ。俺は・・・・」

「千倍公社だもんね!」

覚悟しておくがよい。

あくまでも、私は法律に従っただけなのだ。

法律はこの国に住む人間の守るべきルールなのだ。

法を犯したモノたちよ!覚悟するがいい。私には「不同意権」を有しているのだから・・・・・

ー続くー
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「やられたら・・・・やり返す。」(父の死 第1章) [血みどろ?の争い]

―第一章 親不孝者 1―

父が亡くなってもう10日以上となろうととしている。

台風26号の影響で、交通機関は止まり、私(オストド)は、社員(と言っても1名しかいない)に

「台風が過ぎて安全が確保されるまで、自宅にいなさい。」と社長命令を伝え、

メストド1号とテレビで、台風に関する情報を集めていた。

その時、父は苦しんでいたのだろう。でも、そんな事でさえ、まだ、私には連絡すらなかった。

最後に父に会ったのは、亡くなる数日前だった。

「見舞いに来てやって!」

「どこ?家それとも・・・・また、施設に入っているわけ?」

「いつものとこ・・・・〇階じゃなくて〇+1階」

「B病院(都立病院)?」

「そうじゃなくて・・・施設・・・」

「ああ!今忙しいからねえ~時間が取れたら行くよ!」

「できる限り早く来てやって!」

「判った。でも、スケジュールをやりくりするから、木曜か金曜じゃないと無理かなぁ~」

まだ、私は“来るべき時”がそこまで来ていることを知らなかった。

いや、薄々は感じていたかもしれないのだが、気づかなかったフリをしたかったのかもしれない。

「早く!ね!そうだ・・ついでに・・・兄さんを乗っけてきて!」

「多分・・乗らないんじゃない?俺の車!嫌われているしさ・・・・」

ここで言う“兄さん”とは、父の兄であり、“深い罠”に嵌められている私は、

元の関係に戻ることは不可能だと知っていたのだ。

「私が電話しておくから・・・」

「別の日でもいいんじゃない?」

冗談ではないと思ったのは、紛れもない事実であり、私は事の重大性を感じ始めていた。

結局、叔父である兄さんは、病院通院日で一緒に行くことはなかった。

私は情報を得るべく、父が築き上げた会社。つまり、数年前まで私が一応居たその職場に

電話を掛けた。もちろん電話の相手は、”情報屋”である。

その”情報屋”によれば、施設で肺炎になり、併設病院で治療を受け、また施設に戻った。

ただ、それだけだったのだが、見舞いに行く前日には、また、併設された病院へ移されていた。

父は狭い個室(それでも、1日1万円とは驚きの差額ベッド代だが・・・)に押し込まれ、

訪れた私を大きな目を見開いて、一瞬だけ見て、そして、涙を一粒こぼした。

第一章 2に続く
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「やられたら・・・・やり返す。」(父の死 第1章)その2 [血みどろ?の争い]

― なんで・・・ - (第一章その2)

不思議なそう・・・摩訶不思議なことは、この世にいくらでも存在する。

それを人は、摩訶不思議な事を、偶然とか奇跡という文字に置き換えてしまうらしい。

こう言っている。オストドでさえ、今までそんな言葉を使い、やり過ごしてきたことだろう。

父が亡くなった病院には、父は都合6日間ほど入院していたらしい。

らしいと言うのは、その入院記録も何もかもないのであって、父が肺炎になったことすら、

知らなかったし、また、知らせすら受けていないし、父が施設にそもそも居ることすらも、

私を含め、親族はだれも知らされていなかったのだ。

話を少し間に戻すと、摩訶不思議と思ったのは、オストドの以前の職場の同じ業界団体で、

“もみじ会”(ある人曰く、「お前らは、実も付けなきゃ、花も咲かせない。付くのは色気ばかり・・・」)の

メンバーだった。その時以来、仲良く今でも電話で下らない話をする仲間の奥さんも、

父と同じ病院に入院を、奇しくも同じ日にした。そして、父が亡くなる10時間12分前に、

愛する家族の元から、永遠別れをし、極楽浄土へ旅立ったのだ。

「なあ、おっちゃん!」

「なんだい。」

「何階だった?」

「2階だよ・・・・」

まさか、階まで同じとは、これまた摩訶不思議なものである。

「おたくさんも大変だったね・・・」

「いや・・・おっちゃんこそ!」

もっと言わせてもらえば、火葬場まで同じだった。ただ、おっちゃんの奥さんが、一日早かったが・・・

おっちゃんの奥さんは、大腸がんからくる転移だったらしい。

よほど、“もみじ会”は呪われているのか?それとも、メンバーの行いの悪さが、こんな状態に

なったのか?よく判らないけど、一つだけ判ることがある。

それは、旅立ちの瞬間の違いだろう。おっちゃんの奥様は、愛する旦那様であるおっちゃんとお子さんに

見守られ、旅立った。

オストドの父は、その間際まで、それも父の後妻からではなく、父の会社の人間からの電話で、

“その時”を知らされ、台風が過ぎ、オストドがメストド1号を乗せ、渋滞している道路を、

あの手この手で病院にたどり着いたときには、既に“死亡”が告げられ、事務的に着替えさせられた

病院の浴衣ですでに、黒い寝台車に収まっていたのだ。

「10時11分だった・・・・」

やはり、オストドは最大の親不孝者だったのだ。死に水も取ってやることすらできず、

父であり、様々な教えや教育を施してくれた父に何一つ、親孝行はするタイミングすら与えられなかった。

「〇〇葬祭な!そこにこれから連れて行くから・・・・」

「あそこだよね。いつもの・・・・」

オストドはこれまで、何人いや何十人、いや多分、何百はオーバーとしても、百数十人の通夜や

告別式に参列した。

あれだけ、可愛がってくれた叔父のときでさえ、涙がでなかったし、〇〇葬祭に向かう途中でも、

涙一筋も流れてこなかった。

〇〇葬祭に父を乗せた寝台車が先に着いていた。その時父は人からモノ扱いに代わっていた。

物置みたいな搬入口から〇〇葬祭の霊安室に運ばれた父。

私たちは別室に通され、お茶やコーヒーを出されたのだが、まだ釈然としていないオストド。

何しろ、まだ、“対面”することさえ、許されていない。

「先ずは、お顔を拝見されますか?」

その声に促され、オストドをはじめ、その場に居たメストド1号以外の、余計なモノまで、

父に会いに行ったのだ。

“霊安室”確かにそう書いてあった。でも、既に父は、霊安室とは名ばかりの、冷蔵庫の中に

薄い布団が掛けられ、顔には布きれが乗っていた。

「先ずは丘をを拝見されていない方から・・・・」

当たり前の話だ。仮にオストドが一番でなければ、メストド1号である。

「ご・・・長男様・・・」

オストドはその顔を見た。

穏やかそうでもあり、無念も感じられる顔で、脳裏にこびりついている父ではなかった。

「泣くまい・・人前ではなくな!」それが父がオストドに教えてくれた言葉だったのだが、

「お・・や・・・じ・・・・ごめん!」

その一言と共に、オストドの涙腺を頑丈に固めていたダムは崩れ去り、これ以上、父の顔を

見ていたら、オストドは多分、精神病院へ送られることになっていたかもしれない。

― その3へ続く ―
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「やられたら・・・やり返す」(第一章その3) [血みどろ?の争い]

― 哀れな・・・・ ―

「哀れだ!あれじゃ・・・親父は浮かばれないっ!」

葬儀の打ち合わせを終えると、オストドはメストド1号を乗せた車を自宅へ向けた。

「しっかりやれ!」これが親父が最後にオストドに教えたことだ。

「しっかりやれ!って言ってたもんな・・・よぉ~し!徹底的にやってやる。」

オストドは決意を固めた。

何しろ、親父の後妻は、愛情のカケラも見えないヒト。いや、鬼だった。

職業に貴賤はない!とオストドは思っているが、「飲み屋風情の女」こう言わせてもらうが、

「金目当てで、親父に近づいた女だ。まだ、お妾さん程度なら許せるし、住み込みの家政婦でも

一向に構わなかった。そんな“鬼”が、父やオストドの人生を狂わせたのだ。

そんな状況が嫌で、オストドは家に寄り付かなくなったのだし、仲間たちも庇ってくれたのだ。

あれは、親父が発病して、病院へ強制入院させたときのことだった。

「何十億も持っているって言うから・・・・・」

オストドが、病院に書類にサインを貰いに行った際、洗濯物を持って帰るという”鬼”を

車に乗せて、送って行くときのことだ。

「はあ?何のこと?」 オストドは恍けた。

「あのね!あたしに・・・何十億も持っているような事言ったのよ・・・だから・・・・」

「ふう~ん!真に受けたんだ?」

「だってさ・・・札入れにはいつも・・・・」

「万券がギッシリだったからね・・・」

「あの親父は、わたしを騙したんだ!」

「でもさ・・・考えてもみたら?他の年寄みたいに少ない年金生活じゃないし・・・・」

「いいや・・・」

「それに、毎月200万以上の収入あるじゃん!恵まれているでしょ?」

「あんたには・・・億単位の金を渡したのに・・・・」

「借入金!間違えちゃいけないよ!おやじの投資・・・・」

オストドは、推定だった考えが、この時確信に変わった。

「この女は、親父を愛してなんかいない。愛しているのは、親父の金だけだ・・・・」

多分、この後、遺産分割協議があるだろうが、和解協議では決着がつかないと思う。

きっと、霊安室で最後にこの“鬼”は、きっと父にこう語りかけていたのだろう。

「死んでくれてありがとう!お金は私が貰ってあげるからと。・・・・」

オストドは、受けた恩は、ちゃんと返す。それが自分なりの心情である。

でも、もうひとつ、。「やられたら・・・やり返す。それも、千倍返しだ!」

ここで、断言をさせてもらうと、親父の遺産が欲しいわけではない。

いや、欲しくないと言えば、嘘になる。

その遺産で、オストドは援助を必要とするための、基金でも何でもよい。

父の名前を付けた援助団体を作り、困窮している日本いや、世界中の未来ある子供たちを

助けたい。いや、助けねばならない。

育て方は間違えたかもしれないが、父が私にしてくれたこと。

それを私は、後世に伝えるのが義務であり、私の生きる糧なのかもしれない。

一人でも多くの子供たちに未来を与え、生きることの素晴らしさを伝えねば、神の意志にさえ

背くことになるのだろう。

「親父!カタキは取ってやる!最後に満足な食事を与えられなかった分とかな!」

父はいま、西にあるという、極楽浄土を目指して、歩いている頃だろう。

「任せろよ!」

オストドは西の空に向かい叫び、そして、ここに復讐の鬼と化す。

「後悔するがよい!法に従い、そして、法の抜け穴を利用して、駆逐してやるからな!」

そして・・・通夜の日を迎えた。

ー第2章 通夜の夜にへ続く―
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「やられたら・・・やり返す」 第2章 通夜の夜に・・・ [血みどろ?の争い]

― 戦いのゴング! ―

通夜の日。オストドは、前日のセミナーに何気なく出席と言うよりも、無理やり出席した。

何しろ、オストドは経営セミナーなんぞの講師をしていて、その日は、オストドがメイン講師の日

だったわけでから、ちゃんと“勤めねば”ならない。

まあ、「臨時休講にするか?」と言う声もかかったのだが、こちらから頼んで、平常の抗議を行った。

そうでなければ、通夜の夜の葬儀委員長の慇懃無礼いや、遺族に対する礼儀を欠いた行動に

殴りかかり、半殺しいや、完璧に殺していたかもしれない。そうすると、今頃オストドは、冷たい

牢屋の中で、審判の日を待っていたかもしれないのだが・・・・

―日本オオカミの血復活―

昔のオストドなら、多分、“若気の至り”で、葬儀委員長をぶち殺していただろう。

だが、オストドは狡猾になっのかもしれない。

「わざわざ・・・手を汚す必要はない。法的に抹殺してやるっ!」

復讐の鬼と化した日本オオカミの血。これは、誰にも止められない。

いや、止めに入ってきたとしても、その者にすらオストドは復讐の牙を振りかざすだろう。

オストドは、弔問客や親族すら帰った通夜の夜に、メストド1号と一晩中。父の亡骸に向かい

線香を炊き続けた。きっと、父は煙たかったかもしれないけど、それぐらいしか、もう出来ない。

話は少し時を遡る。

オストドは葬儀が行われる会場へ車を走らせた。

その前に、“白いYシャツがない”とか、”ハンカチが・・・”等、書く必要もないくらい皆様は

先刻ご承知のことだろう。

何しろ、現在スーツを着ることを拒否しているオストドは、“特別な事情”がない限り、

スーツに袖を通すこともなくなっているし、講師を務める時には、用意されている

高級かどうかはさておき、フルオーダーの服に着替える。

従って、「白のYシャツは捨てちゃっても・・・・」「YES!」となっても仕方がないことだと思う。

それに、今まで袖を通さなかった月がないくらい。あまた多くの葬儀に、弔いではなく、

あくまでも、お付き合いの域で葬儀に参列したYシャツには、袖を通したくなかったのも、

オストドのこだわりがそこにあったのかもしれない。

だから、新品で残っていたYシャツが半袖だったというポカがあったし、メストド1号が着替える

べき代物は、色物や柄モノでは、幾らなんでもそれはないんじゃないかと、買いに走り、

ついでに、「腹が減っては戦は出来ぬ!」とばかりに、牛丼を流し込み、礼服の上着と着替えを

詰め込んだバックと、オストドにしては大金と言えるであろう。某かのお金をサイフに詰め込み、

そのバックも車の後部座席に詰め込むと、父が待っている葬儀会場へ車を走らせながら、

「親父は殺されたんだ!仇は討たせてもらう!」

そう幾度も幾度も繰り返し、平静な顔で、復讐の牙をむき出しにしながら、車は会場へ滑り込んだ。

― 戦いのゴング その2へ続く ―
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「やられたら・・・やり返す」 第2章 通夜の夜に・・・ [血みどろ?の争い]

― 戦いのゴング 2 ―

「集合は始まる2時間前だって・・・」

オストドはすっかり失念していた。

いや、そうではない。「親父がさみしがっているかもしれない。」

そう思ったのも事実だし、祭壇をケチられたので、もし、入っている生花が少なければ、

友人たちの名前を使い、メストド1号の親族の名前も使ってでも、華やかな?最後の旅立ちに

してやらねば、男が廃る。いや、オストドはもはや、jyなくてそもそも人類ではない。

そうでなければ、身体を駆け巡る日本オオカミの血を穢すことになるし、寂しく逝かせてしまった

その償い切れない何かが、オストドを衝き動かしていたのだろう。

通夜開始の4時間前に会場に到着すると、オストドは目にしてはならないモノをみた。

駐車場の片隅に置かれていた。“父”を運んできた担架らしきもの。

そこには、死者への供養も感じられない。ただ、父の名前が無造作に書かれたモノ。

「こんなとこに頼みやがって・・・・」

それでも、今日は父が、仏様の元へ出立する儀式の幕が開く。

「死んじまったらモノ扱いか・・・・」

ぽつんとつぶやき、次々と運ばれてくる生花の山を見ていた。

そこへ、葬儀を取り仕切る葬祭デレクターが挨拶にやってきた。

「お早いお着きですね。」

「田舎に住んでいるしね・・・もう、アノ人は来ているかな?」

「まだですね。」まだ、若い女性のデレクターがそう呟いた。

「そうそう・・・注意事項があるからね!」

オストドは電話で話しきれなかった“複雑な関係2やら、を説明した。

何故なら、オストドの親族?のうち、騒動を起こす恐れがある者が居るからだ。

メストド1号も後に続けた・・・

「まだ、お若いでしょうし・・・良くも悪くも勉強になるでしょう・・・きっと!」

「はい?」

彼女にしてみれば、いい迷惑な話だろうが、こじれることも、充分オストドは感じていた。

「ところで、花は?」

「はい・・・ひっきりなしにご注文いただきまして、入りきるかどうか・・・・」

案内されて見ると、生花だけで、46も入っていたし、オストドが手配した。メストド2号の名の供物も

祭壇の前部に据え付けられていた。

「親父・・・良かったな・・・・こんなに一杯入って・・・」

祭壇に飾られた遺影は、30年以上前の写真だった。

「この頃は・・・クソ親父だったけど・・・カタキは討ってやるからな!」

オストドは何度も遺影に話しかけた。

何しろ、オストドが電話のために、席を外したときに、こともあろうに・・・・

「どうせ、燃やしてしまうんだから・・・・」

葬儀委員長と喪主である金に憑りつかれた亡者である親父の後妻の意向?で、

みとりあえず、見た目だけの安物棺桶と、最低クラスの霊柩車での出棺なのだ。

骨壺でさ、セットされている大理石のものから、安い焼き物に“格下げ”されてしまったのだ。

「きっと・・・親族はボロクソに言うかもな・・・・」

オストドは覚悟を決めた。

まずは、“敵”“味方”を判別しなければならないし、オストドは“完全アウェー”の状態で、

親父の仇を討たねばならない。

せめてもの、それが供養であるとすら、感じていた。

「そうだ・・・コレでいいかな?」

オストドは、何故かしらないが、本来なら喪主がしなければならない挨拶をする羽目になっていた。

オストオdが用意した原稿に目を通した葬祭デレクターは、OKを出した。

そこには、復讐の文字は書かれていない。親父への謝罪と最後の教えが記載されていた。

― 戦いのゴング 3―に続く
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「やられたら・・・やり返す」第2章通夜の夜に その3 [血みどろ?の争い]

― 戦いのゴング3 ―

通夜は“社葬”。つまり、オストドが前に勤務していた会社が取り仕切る。

でも、オストドは確信していた。

「社員全員出席できないで・・何が社葬だ!バカヤロー!」

だから、あれほど念を押したのだ。

「仕事・・・大丈夫?」と・・・・

葬儀の手順としては、まず、火葬場の予約から始まる。

だから・・・火葬場を予約前に、葬儀委員長である番頭に確認したのだ。

「せめて・・・みんなに送ってもらいたい。」

そんな、オストドの想いは、一瞬にして崩された。

何しろ、「大丈夫」と言っていたくせに、「あっ!その日は切り替えだった・・・」

ふざけた話である。

それに、親父は会長ではなかったはずだ。全ての役職を取り上げ、監査役にしていたくせに、

会社の体面だけで、会長とは、これまた親父が哀れだった。

以前、親父の希望を伝えたことがあった。

それは、密葬希望だった。義理で来る人は来てほしくない。これが、親父の頼みだった。

「そんなこと出来るか!社葬に決まっているだろ!それに準備はしてあるんだ!」

これには唖然としたものだった。何しろ、いつ死んでも(殺されてもが正しいだろう)

いい準備をしているとのことだった。

そういえば、誰かに聞いたことがある。

「葬儀は死んだ人のためではない。生きている人のためにやるものだ」と・・・・

「じゃあ・・・仕方ねえか!」

だから、今回は敢えて反論もせず、従ったわけだが、それにしてもお粗末だ。

社員の仕事の段取りもできない。棺や仏衣は燃やしてしまうから、体面を保てればいい。

いずれ、オストドはしっかり仇を討たねばならない。これは、オストドの最初で最後の親孝行の

戦いのゴングの始まりなのだから・・・・

親父の葬儀の日は雨だった。きっと、親父の悔し涙だったのだろう。

無造作に安置されている建物から、別の式場へ運ばれてきた親父。

一体どの様に運ばれてきたのだろう。きっと・・・尊厳も威厳もない。ただのモノだったのだろう。

今回、喪主を務める父の後妻の意向で、最後の旅の支度は省略され、その亡骸を清めてやる

そんな事すら出来ず、エレベーターで運ばれてきたストレッチャーに、父の亡骸は既に

“納棺師”を名乗る者によって。仏衣が着せられ、お粗末この上ない寝具の上に寝かされた

父の遺体はどんなに冷たかったのだろう。

何しろ、肌寒くなってきたのに、“合法的に機械的に殺します病院”(悪いがそう呼ばせてもらう)

から、浴衣一枚着せられ、薄い寝具だけで、冷蔵庫の中に居たのだ。

ふいに声を掛けられて振り向くと、遠縁にあたり、オストドの家庭教師なんぞを引き受けてくれた

某J大卒業で、父を唯一心から心配してくれた。オストドにとっては、兄貴みたいな存在だ。

「何か手伝う事あるかと思って・・・」

「ひろちゃん・・・親父が・・・・」

「うん!」

「死んだんじゃない。殺されたんだ。」

「気持ちはわかる。俺もそうだと思うけど、今はちゃんとしないと・・・浮かばれないよ!」

「判っている!きっと・・・仇は討つ!」

次から次へと弔問客がやってくる。知った顔を見つけては、挨拶に向かう。

「ったく・・・お前は・・・」

頭をカサで叩いた人もいた。オストドの記憶によれば、その昔父に連れられ、幼稚園の頃

出かけていった工事現場の作業責任者の人だった。

オストドが突発的に代取を辞めてしまったので、怒っていたのだ。

弔問に来てくれた人や手伝いに来てくれた昔の仲間で、今でも親交のある人やら、次から次へ

オストドは何回いや、何十回頭を下げて歩いたことだろう。

本来なら、葬儀委員長と喪主がするべきところを、オストドは一人で廻っていた。

「ご長男様。そろそろ・・納棺のお支度が・・・・」

「はい。」

納棺師2名が、親父に薄化粧を施し、まるで親父は眠っている様になった。

見てくれだけの、安い棺に入れられた親父の亡骸に、愛用していたスーツが掛けられた。

「どうだ!これ・・新橋で・・・・」

「へえ~そんなに安く?親父買い物上手いなぁ~」

そんなやりとりをしたスーツだった。Yシャツもネクタイもなし。親父が愛用していた杖もない。

きっと処分してしまったのだろう。親父の冷たくなった脚に足袋を履かせ、途中で脱げない様に

紐を結び、草鞋を履かせた。

「親父・・・ごめんな!こんなに冷たくなって・・・・」

オストドはあふれ出てくる涙を拭いもせず、最後の支度を終えると、静かに棺の蓋を閉めた。

「起きるんなら・・今のうちだぞ!明日には燃やされてしまうんだぞ!」

そう声を掛けて・・・・

「戦いのゴング」その4へ続く


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「やられたら・・・やり返す」第2章通夜の夜に その4 [血みどろ?の争い]

― 戦いのゴング その4 ―

♪きっと・・来るぅ~♪

おなじみのメロディーがオストドの頭に浮かんできた。

それまでは、XーJAPANのとある曲が流れていたのだが・・・

「嵐になる・・それも巨大級のだな・・・」

「えっ?そうかもね・・・」 メストド1号もどうやらそれを確信していた様だ。

「何しろ・・・アウェーじゃん・・・」

「うん・・・・」

「ひと騒ぎあるぞ・・・きっと・・・」

何しろ、オストドはイトコたちを扇動していたのだ。いや、止めきれないのを覚悟していた。

「仕方ねえよな・・・あっちが悪いんだから・・・・」

オストドは、チンケな祭壇とチンケな棺桶その他ほとんどケチられた事を、

予め、イトコに詫びを入れていたのだ。

「場合によっては・・・暴れるからな!それに・・・お前を・・・」

「了解っ!」

つまり、出来レースを予め仕組んでおいたのだ。

親族の大半がいない中、親父の納棺が終わり、もうすぐ通夜式が始まる。

葬祭ディレクターには、可哀そうだったが、「荒れること」をメストド1号がある程度は、

伝えてあるので、特に式の進行には響かない様にはなっている。

案の定、イトコや叔父、叔母たちがギリギリの時間にやってきた。

「なんなんだ・・・これは・・」

「長の席はどこなんだよ!おかしいじゃねえか・・・」

確かにそうだ。社葬なので、葬儀委員長たちの席側はいいとして、親族席の配列に問題があった。

最前列の中央から、喪主である親父の後妻、そして長男であるオストド。そしてメストド1号は

まだ許せるとしても、親族でもない後妻の娘とその子供が最前列にり座っている。

後妻の娘とその子供は、当家には関係はない。

「これでも大変だったらしいわよ・・・」

「へっ?」

「アレがさ・・・娘とその子供を横に座らせろって・・・」

「へえ~」

これは後で聞いた話だ。つまり、当家の面目をまとめて潰したわけだ。

まあ、叔父・叔母は車イスだったので、その席を用意出来ない事情もあるのだが、

「やっぱり・・やるしかねえよな!親父!」

オストドの涙はいつの間にか渇き、憎しみ、いや、復讐のオオカミになっていくのが判った。

「お導師様のご入場でございます。」

ちょっとした騒ぎが、うその様に落ち着くと、葬祭ディレクターが式の進行を進めた、

焼香の順は、まず・・・葬儀委員長。次に副委員長なのだが、これを忘れていたのもあったが、

喪主である後妻に続きオストドそして・・親族の焼香と続いた。

その後は、会社関係者、一般弔問客になる。

葬儀委員長、喪主、そして、オストドはその間立ち続け、挨拶をしなければならない。

オストドは弔問客の不思議さを感じた。

そこには、町内会の面々がいない。

つまり、後妻は「忌中」の紙すら家の玄関に貼っていなかったのだ。

何しろ、葬儀の打ち合わせの席で、香典返しを巡っての論争があったからだ。

「町内会の人たちにも・・・同じ物を出すのですか?」

「はあ?当たり前じゃん!」

「だって・・・包んできたって・・三千円くらいでしょ?」

「あのね・・・・」

つまり、香典返し・・・一個2625円の物を返し、さらに送迎バス、通夜振る舞いをしたら、

赤字になるというわけだ。

「チンケなこと言うな!」

しぶしぶ・・・香典返しには、同意したが、町内会には内緒にしたわけだ。

これは、オストドの取引先銀行の担当者が、偶然同じ町内会の出身で、その人のお父さんが、

親父を知っており、わざわざ家まで、貼り紙確認に行ってくれたので判ったことだが・・・・

「カ~ン!」

オストドの頭の中で、最終決戦を告げる戦いのゴングが打ち鳴らされた。

法律と言うルールしかない。無制限、無慈悲の戦いが今始まろうとしていた・・・・

― 第三章 誓い に続く―
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「やられたら・・・やり返す」第3章― 誓い ― [血みどろ?の争い]

― 第3章 誓い ― 通夜の夜の誓いは永遠の誓い (その1)

通夜が始まった。

オストドの主張通り、院居士の戒名が書かれた白木の位牌があった。

「これなら・・喜んでくれているかな?親父・・・・」

そう思えるほど。立派な戒名だ。

「お前!ナンボ包んだのよ!」

そう言われても不思議ではないほどの戒名だった。

お導師N師の読経の中、オストドはアウェー感が否めないが、長男として、葬儀委員長

そして喪主の次に焼香をする。

「親父・・判っているよ!悔しいだろっ!仇はきっと・・・・」

オストドは心の中で呟いていた。多分、タイムマシーンがあるのなら、きっと

過去に向かい。生意気盛りだったオストドをぶちのめしていたかもしれない。

まあ、後悔先に立たずというのは、オストドのためにあった言葉なのだろう。

せめてもの救いは、早くに母親を亡くした親父を可愛がってくれた叔母が、10日ほど前に

永久の旅へ出立したので、親父を憐れんで連れて行ってくれたのに違いない。

唯一、それだけが救いだった。

通夜式はあっという間に過ぎてゆき、200名ほど収容出来る。式場で、オストドは線香を炊き、

棺桶の中に眠る親父の顔を見ていた。

「具会一処か・・・・もう、会えるとは思わないけどな・・・親父は極楽浄土へ行けよ!」

オストドは固く誓ったのだ。この身が亡ぶ時には、餓鬼道へ落ちても構わないのだ。

「親父は殺されたんだ!きっと仇は討つ!」

こう書くと何を物騒な事を始めるのか?と思う方もいるだろうが、オストドはあくまで

合法的に親父を殺されたわけだから、そう・・・あくまでも、合法的に許される範囲で、

仇を討つことに決めたのだ。

「親父が受けたその・・・何十倍もの苦しみを与えてやるよ!いや・・千倍返し・・・・」

弔問客も次から次へと帰ってゆく。気が付けば、親父の後妻も挨拶もなしにいつの間にか、

姿を消していた。

まあ、居ると仮に言ってきても、慇懃無礼に追い払うつもりではいたので、一向に差し支えない。

夜間用出入り口の鍵も借りてあるし、寝る気は毛頭なかったが、寝具(布団一式)と洗面道具が

葬祭会社で2組用意してあった。

「Hちゃん・・そろそろ帰らないと拙いでしょ?明日は姪御さんの結婚式だし・・・」

最後にオストドの家庭教師でもあり、遠縁にあたる人を送り出した。

会場の外まで送ってゆくと、冷たい雨が降っていた。

スウェットの上下に着替えたオストドとメストド1号は、何度もその晩親父に話かけていた。

もう二度と起き上がることもできないし、喋ることすら出来ないのは、心のどこかで

判っていたはずだったのに・・・

「もう!いいんじゃないか?起きないと明日・・・燃やされちゃうんだぞ!」

「1500度だってよ!こんがり焼かれちまう前に・・・起きろ!隠れたきゃ・・・隠すから・・・」

何度話しかけても無駄なことと知りつつも、20分ごとに線香を炊き続けた。

親族控室は、オストドとメストド1号だけだった。

まあ、これが最後の“親子水入らず”になったのだから、不思議な気分だった。

オストドの身体の中を流れる。日本オオカミの血は沸騰を続けていた。

「きっと・・・仇は討つ!いいな!親父・・・それで勘弁してくれ!」

その時、他に誰もいるはずがない式場で、「ガタン!」と椅子が鳴った。

「親父!居るのか!居るんなら・・・少し話そうよ!」

それから・・・夜が開けるまで、オストドやメストド1号が話しかけると、まるで返事をしているように

「ガタン!」「ガタン」と物音が帰ってきた。

「よっぽど・・・悔しかったんだろ?判っている!仇は取らせてもらうぞ!」

「止めるのなら・・・今のうちに化けて出てこい!」

「仇を取っていいんだな!親父!」

最後にそう話しかけるとまるで、「YES!」と言うようにまた「ガタン!」と音が聞こえた。

後日談になるが、告別式が終わった夜に、親父が優しい顔をして、枕元に立った。

「俺との楽しい思い出だけ・・・覚えていてくれ!あとは・・・・お前のやるべき事をやれ!」

親父はそう言い残し、オストドと横に眠るめすとど1号の頭を撫でるとそのまま・・・消えていった。

「そろそろ・・・来るだろう・・・でもね。」

「なあに?」

「誰も俺らの朝飯の心配はしてくれてないだろうな・・・あはは」

「それだけ気が回るのはいないでしょ!あの中には・・・」

「だなぁ~腹減った。親父に線香をあげて何か買ってくるけど・・・」

「何でもいい・・・」

やはり、その予想は的中した。

お義理で後妻の弟夫婦が「お疲れ様でした・・・」と言ってはくれたが、やはり・・・・そこは

アウェーだったのだ。

喪主も葬儀委員長も式が始まる寸前にやってくるくらいだから、親父が哀れだった。

告別の儀が終わり、棺桶に眠る親父はまるで花畑に眠っている様だった。

何しろ、祭壇の花の数からいえば、親父が小柄で幸い?だったのかもしれない。

オストドなら、その半分も入りきれないことだったろう。

親父の顔の周りを白い菊で飾り、その上に幾重にも花が飾られて行く中で、オストドは必死に

親父の顔が花で埋まらない様に掻き分けていた。

「ご長男様・・・これを!」

それは、本当に最後の最後の1輪の花を、葬祭ディレクターの若い女性から、手渡された。

「親父・・・これでお別れだな!」そう呟きあふれる涙も拭わず、そっと親父の顔のそばに手向けた。

「それでは・・・そろそろ・・・」

親父の棺の蓋が閉められ、オストドの挨拶が始まった。それは戦いの宣言でもあった。

遺影をメストド1号に渡し、オストドは挨拶し始めた。

従姉に言わせると・・・

「K立派だったよ!紙を読まなきゃ・・・もっと立派だったけど。」

まあ、及第点だったのだろう。何しろ、オストドが挨拶しているときに、横に親父を感じていた。

親父も一緒に挨拶をしていたのだ。

「・・・しっかりやれ!」

オストドの耳の奥にそう告げて・・・・

― 誓い ― その2へ続く
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「やられたら・・・やり返す」第3章― 誓い ―その2 [血みどろ?の争い]

― 涙雨の中 ―

頭の中を何故か、あるメロディーが流れていた。

僕の遺族・親族の挨拶は、どんな評価を受けても、それは事実だし、終わってしまったことだから、

もうどうでもよい話だ。

僕は、人から見れば親不孝者と一言で片づけられても仕方がない生き方をしてきたし、

今更、その生き方を変えるつもりも、毛頭ない。

ただ、昨夜、親父に誓ったことだけは、日本オオカミの血に賭けてもやらねばならない。

外は、嵐の様だ。ただ、告別式にまでわざわざ多くの人々が集まってくれた。

これは、父の人柄だったのか?それとも、始まるであろう、相続じゃなく、争続の始まりを

見物しようと集まったのか?

そんなことはどうでもよい。今、僕はやることがある。

親父の遺影を持ち、貧相な棺の前に立ち、あらゆる魔物からその棺を守り、その朽ち果て

そして、多分、生前こんなに花等貰ったこともないであろう多くの花が供えられた親父を、

彷徨うことのない黄泉の国へ送り出さねばならない。

葬儀委員長が振り向き様に、後妻に話しかけた。

「前の奥さん(僕の育ての母で、別の男と駆け落ちしている)が入っているとか・・・」

「そんなはずはない!あたし・・聞いてないよ!」後妻は怒りが爆発していた。

僕は、不謹慎だけれど、それはそれで面白いかもしれないとさえ、思った。

何しろ、僕は母と言うものに恵まれていない。

生みの母は、僕産み捨てると、男とどこかへ行ったわけだし、本当の父でさえ、僕をまるで

ゴミの様に捨てた。そんなことはどうでもいい話で、いっそコインロッカーか川にでも捨てて

くれたほうが、僕は“しなくてもいい苦労”なんぞしなくて済んだと思う。

まあ、いっそのこと殺してくれた方が、僕にはどんなにありがたかったかもしれない。

育ての両親に何不自由なく育てられたのは、小学校3年生までで、僕はまたモノの様に、

育ての母親に捨てられた。その頃は恨んだりもしたのだが、今ではそれもどうでもよい話で、

僕の後ろには、僕を育てたことにより、しなくていいはずだった苦労や迷惑を散々かけてしまった

僕にとって、本当の父みたい。いや、それ以上に、僕を育ててくれた人が眠っている。

まあ、この親父の間違いがあったとすれば、僕の目の前で偉そうにふんぞり返り、弔問客にも

碌なあいさつすら出来ない。水商売上がりの女を家に引き込んだことぐらいだ。

僕は職業に貴賤はないと思っているが、目の前の人の皮を被った“餓鬼道の覇者”は、

親父がまだ存命中にこう僕にのたまったことがある。

「何十億も持っている様な話をしていたから、結婚してやったのにさ・・・」

これには、僕は開いた口が塞がらなかった。いや、いっそ始末してやろうかととも思ったが、

僕には守るべき人がいるので、そんな暴挙を犯さなかっただけだ。

「そろそろ・・・」

導師様を先頭にエレベーターまで親父の棺はストレッチャーに乗せられていた。

階下に降りると、そこからは、イトコと父の会社の若手の手によって、霊柩車へ運ばれ、

僕は遺影を持ち、霊柩車に続くハイヤーに、お導師様と葬儀委員長と共に乗り込んだ。

三台目・四台目は、イトコ達の車で、車いす組が運ばれ、最後にマイクロバスが続いた。

それでも、最後まで希望者全員は乗り込むことすら出来ず、まるで、僕の心の中の様に

嵐の中静かに、火葬場へ向け車列は進みだした。

火葬場へ向かう途中、親父が最後の時を過ごした病院の前を偶然通ることになった。

何でも、渋滞していたからだと言うが、僕はこんな病院つぶれてしまえ!と念じたのは、

言うまでもない話だ。

火葬場は、僕にとって三度目となる場所だった。

一度目は、叔父であり、僕が乳児の頃育ててくれた人で、二回目はイトコの嫁さん。

まさか、三度目が親父になるとは、思っていなかった。

ベルトコンベアー式に最後の読経と焼香が終わっても、僕はまだ控室にはいけない。

親父の棺に付き添い、火葬場の廊下を歩いていき、葬儀委員長のバカの言葉を借りれば、

1500度に達する炎の力により、その亡骸をこんがりと焼いてもらわねばならない。

親父の棺の上には、俗名g記入されたプレートが載かっており、いくつも並ぶ焼き場の

一番の窯の前で、その歩みが止まった。

「どうぞご確認ください!お名前あっていますか?」

「はい・・・」

ストレッチャに置かれた棺が窯に流し込む台に移された。

「最後にもう一度お顔を・・・・」

「いえ!結構です!散々見てきたから・・・さっさと・・・」

僕はまたスイッチがはいってしまった。こともあろうに、最後の最後くらい涙を流したらと思ったが、

親父をこれ以上惨めにしたくなかった。

「はい・・・」

僕はそう答えるしかなかった。何しろ、葬儀委員長でさえ、頷いているのだ。

「親父・・・ごめんな!」

僕はそうつぶやくと、棺は静かに窯の中へ入れられていったが、僕の目には涙があふれ、

その最後の瞬間を見ることができなかった。

「ち・・ちくしょう!」

「えっ?何か言った?」

「いや・・・」

僕は後悔の塊に今にも押しつぶされそうになった。

仇討はせねばなるまい。親父が極楽浄土へ行けるとするのなら、僕は餓鬼道に自ら進む。

そんなもので、親父の無念が晴らされ、極楽浄土で幸せな日々を送れるのなら、僕は自ら

餓鬼道に進んでも構わないもし・・許されるのなら、神様の許の雑用係でも、地獄めぐりの案内でも

なんでも構わない。

親父の亡骸が煙となり空へと昇ってゆく。僕は控室を抜け出すと、喫煙所へ歩んでいった。

「親父ぃ~これだけはやめられねえわ!」そう空に向かい呟いた。


「やられたら・・・やり返す」第3章― 誓い ―その3へ続く
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「やられたら・・・やり返す」第3章― 誓い ―その3 [血みどろ?の争い]

― 温かみ・・・ ―

親父が亡くなって数日経過したときだっただろうか?

オストドが幹事をしていて、今では幽霊会員になっているもみじ会のM氏から電話があった。

もみじ会とは、ご存じの方もいるだろうけど、もう一度説明しておくと、

「花も咲かなきゃ、実も付けない。付くのは“色気(色づくから来ているらしい)ばかりだな!」

こうして、“若手研鑽なんちゃら会”(入会時45歳未満であればよい)は、別名を“もみじ会”と

言われ、自分たちも変に?納得してそう名乗っていた。

つまり、「遊ぼうよ!会」みたいなもので、そこに年齢の垣根などなく、M氏は、僕を“Fちゃん!”

M氏を呼ぶときは、姓を省略して4文字ではなく、頭2文字で呼ぶ。

一番の年長者(僕より18歳も上)の人でさえ、僕を呼ぶときは、“Fちゃん!”だし、僕は僕で

親しみを込めて、“とっちゃん!”と呼ぶ。

そのM氏からの電話で、僕はひとつ教えてもらった。

それは、M氏のやはりお父上が亡くなった時に、町内会の世話役から言われた言葉らしい。

「いいかい!骨壺は、Fちゃんが抱いて帰るんだけど・・・・」

「そうなるのかな?」

「そうなるさ!だって熱いし、重い!長男なんだし・・そうなる!」

「へえ~まあ、そのくらいはやるけどね。」

「いいかい!Fちゃん!」

M氏にしては、珍しいほど神妙な口ぶりだった。

「多分!ハイヤーか何かだろうけど・・・」

「ハイヤー頼んであるよ!」

「Fちゃんは、そこに親父さんの骨壺を抱いて乗ることになる。」

「だろうね・・・」

「その時の温かみを忘れちゃいけないよ!それが、親が最後に子供にしてやれる温かみ・・・」

「そうなんだ・・・」

そんなやり取りを思い出していると、放送で呼び出しを受ける。

簡単に言えば、“こんがり焼きあがったので取りに来い!”と、現実に引き戻される。

導師様・葬儀委員長・位牌を持つ後妻に続き、僕は遺影を胸に続く。

親族や列席者を代表して、焼きあがった窯の前に行かねばならない。

「ご確認ください!間違いありませんね?」

それは、父の俗名が書かれた白いプラスチックの板だった。

つまり、窯の中で焼きあがった骨は誰のものかわからないので、焼きあがるまで、窯の前に

差し込まれていたもの。

「はい・・・」と答えると、係員がボタンを押し、暖かいいや熱風の空気があたりを包む。

導師の読経と鐘の音が続く中、合掌して見守ると、父はすでに小さな骨が砕け散り、

載せられていた台では、まだ骨が赤みを帯び燃えている様だった。

その後、親族や列席者が集う収骨室に向かう列で、係員を除けば僕は一番近くに父を感じた。

何しろ、まだ熱を帯びているので、暖かい空気が僕の背中めがけてやってくるのだ。

「親父・・・熱かっただろう!ごめんな!」声にならない声でそうつぶやく。

また、一体全体どうしたんだろうというくらいに、涙腺のダムが壊れたのか?

そう思うくらいに涙が溢れ、僕は前後を挟まれ、父の遺影を持つ手は震え続けた。

収骨室での騒動は覚えていない。本来ならば、喪主・遺族・親族、列席いただいた参列者へと

順番に進んでいくのだが、僕は名ばかりの喪主の後妻と共に、渡された菜箸で、見るも無残に

なった親父の骨を一番最初に拾い、骨壺に最初に収めると、車いすで参列している叔父や叔母

中でも、僕は一生頭が上がらない叔母を手助けし、収骨させねばならなかったからだ。

磁石の様なもので、棺に使われていた金具や釘と共に金属類は、係員によって“処理”され、

一巡するとまるで時間に追われている様に係員が残っている骨を菜箸でできるだけ拾い集め、

ちり取りのような金属製のモノに無造作に集め、親父の骨壺に流し終えると、最後にのど仏を

一通り見せ終えると、静かに骨壺に収められた“父の骨”の上に載せた。

「これが埋葬許可書ですから・・・無くすといけませんので、一緒に収めておきますね!」

あくまでも事務的にベルトコンベアー式に“火葬の偽”は終わった。

メストド1号は、「私・・・ここは絶対に嫌っ!」とそうオストドつまり僕に告げると、泣き出した。

確かにそういわれればそうだ。でも、遺族の感情等を考慮したら、火葬場は予定をこなす事も

出来ないからだ。

そういうオストドは今まで死んだら“ヒト扱いではなくモノ扱い”になる光景を幾く場面も見てきた。

添乗員時代にツアー客を連れ、とある山に、久々に登ったときに、ある救助隊員でもあり、

山岳ガイドからこう教えられたことがある。

「山で死んだらさぁ~ヒトから、モノになっちゃうからね!」

「えっ?」

「アレを見てごらん!」

指指されたところを見ると、物資を山小屋に運んでくるヘリコプターだった。

ヘリコプタには、物資が網の中に収められ、それを吊り下げているのだ。

「ヘリが付けれればいいさ・・・遺体はクルマれて包まれ、網の中に収められて・・・・」

「・・・・・・」

「でもね。ヘリが近づけない場所だったら・・・」

「どうなるんです?」

「そうさなあ~崖だったら・・幾重にも包んで、ザイルで降ろすか、最悪・・・・」

「最悪?」

「うん。二次災害の危険もあるからね。生きている人間はヒトだけど・・・死んだらモノだから・・・」

「はい?」

「最悪・・・誰も見てなきゃ!落とすんだよ!手で投げれなければ、蹴り落とすのさ・・・」

「でも・・・」

「うん!第三者には見られてない場合だけどね・・・仕方がないんだ!」

「仕方がない?」

「そう!生きているか!死んでいるか?だからね・・・」

「そういうものなんですかね?」

彼の講釈は延々と続き、その間にも鎖場をすり抜け、山小屋に着いたときには、

下界では考えられない値段のビールで乾杯をしたのだ。

阪神大震災の際もそうだった。

伊丹空港に飛来したヘリコプターには、いくつも積み上げられた棺桶が、彼の言う通りに、

網の中で重なり、“空輸”されてきた光景も見ていた。

「仕方がないじゃん・・・人口に対する火葬場の数は足りないし・・・・」

そう言いながらも、オストドも違和感は拭えなかったのだが、僕ことオストドには、

来るべきと時が来たのだった。

「ご長男様!骨壺をお持ちください。遺影はどなたか・・・・」

ここでオストドは苦汁の選択を迫られた。

つまり、今まで抱えていた父の遺影を他者に持たせなければならない。

葬儀委員長には持たせたくなかったし、妻であるメストド1号でもいけない。

何故なら、これは“家族”が執り行っている葬儀ではない。あくまでも、社葬なのだ。

「Tっ!」

僕の口から自然にこぼれたのがこの言葉だった。

親族からしてみれば、本家筋の人間であり、父の会社をゆくゆくは、葬儀委員長に変わり、

引き継いでいく人間なのだ。

「悪いけど・・頼めるかい!」

僕は白木の箱に見たくれだけの布袋を被せられた亡き父の遺骨が収められた。

小さいながら重くそして熱い“箱”を受け取ると、胸にしっかりと抱きかかえ、

参列者に一礼をし、殴りつける雨の中横付けされたハイヤーへ向かう。

ハイヤーの運転手が小さな座布団で、父の遺骨が入った箱を受け取ると、僕は指示通り

後部座席の真ん中に座り、その膝の上に父の遺骨が載せられた。

「暖かいよ!親父っ!これが・・・最後の愛情なんだね!」

そう呟くとしっかりと抱きかかえ、僕の右横には遺影を持ったTが乗り、僕の左横には、

位牌を持った後妻が乗り込み、助手席にお導師様が乗り込むと、また葬祭会場へ向け、

静かに車は走りだした。

「暖かいよ・・・」

僕は何度もそういいながら流れゆく景色をみていたのだった。

第3章― 誓い ―その4へ続く


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「やられたら・・・やり返す」第3章― 誓い ―その4 [血みどろ?の争い]

第3章― 誓い ―その4

父の葬儀はあっけなく終わった。

まるで夢を見ているようだが、厳しくそして金儲けの世界では正しかった人はもういない。

時に温かみのある人だった。そう聞くと確かにそうだったのかもしれない。

僕は膝の上に乗っけていた父の小さくなってしまった骨壺が収められたチンケな木箱を

大事に抱えていた。

本来なら、骨壺は大理石のものがふさわしいはずだったのだが、後妻がこんなチンケなありふれた

骨壺とそれに見合うチンケな箱に収めてしまったのだから、僕の怒りは頂点へ近づいていた。

僕の脳裏には、昨夜浴びた罵声とも聞こえる声がよみがえってきた。

「どうせ・・こいつは仏壇も祀れない」「口先だけだよ・・・」

何しろ、僕は気が狂っているそうだ。

嘗て勤めていた亡き父が築き、僕がバトンを受けた会社をポンと投げ捨てた。

廻りは焦ったらしい。何しろ、僕を社長の座から引きずり落とすのが目的で、飼い殺しにしようと

企んでいた連中からすれば、創業者の一族で何かあったとき(不払い等)の生贄にしようとする

輩の行動を僕は既に察知していたから、代表取締役の辞任届と退職願の2通を叩きつけて、

即日、会社から姿を消したのだ。

いや、姿を消したはオーバーかもしれない。その会社の前には、僕は今度は大家として、

関わることになったからだ。

まあ、いずれにせよ。対外的な説明理由が必要だ。会社からは“病気静養のため”のための辞任

辞職を打診され、僕は持病の喘息治療の名目を提示していたのだ。

それが、「気が狂った」と関係各社に伝わったらしい。僕にはすぐに注進が届くことも理解できない

アホの成せるワザなのだ。

昔の僕だったら、父の死は喜ばしい出来事だったかもしれない。

束縛、自由、様々なものを制限や制止されてきた僕だったからだ。

でも、実際にあれほど大きな存在だった父の姿が小さくなり、僕は虚勢を張る父をいつまでも

どこかで見ていたかったのかもしれなかった。

だから、あれほど僕の目からは、涙腺が壊れたとばかりに止めどなくなみだが溢れたのだろう。

おざなりの初七日&49日法要が済み、父の遺骨とはしばしの別れが訪れた。

今度会うときは、納骨の時なのだろう。

僕は早速自宅へ戻ると、仏壇を置く場所とスペースを確認すると、位牌(安置用と携帯用)その他

一斉に手配した。

仏壇は、モダン家具調のものにした。内部には造花のクローバーやら小さな白い花の造花を敷き、

悲しみというより、せめても天国へ旅立てる様にとの願いを込めた。

位牌も普通のモノではなく、クリスタル製に螺鈿文字とし、その他すべてのモノをクリスタルや

それにふさわしいモノを発注した。せめてもの罪滅ぼしだったのかもしれない。

父が亡くなって49日の日に、導師様を呼び、開眼供養と49日の正式供養を執り行ってもらった。

その席で、100か日供養を依頼して、来るはずもないと思ったが、列席者がいると困るので、

導師の所属するお寺の本堂での供養を依頼した。

あっという間に日々は流れてゆき、僕と妻だけで父の100か日法要が終わった。

用意された卒塔婆はお寺の供養塔に納めさせてもらい。何故だが、知らないけど僕と妻は

その場で導師様から、お守りを一つずつ頂いてきた。

まるで、亡き父がそう取り計らってくれたのかもしれない。

僕はこの間に父のメイン取引銀行に口座取引凍結依頼をかけたのだ。

何しろ、連日口座から現金が引き出されていたからだ。

これは法律で認められているというよりも、凍結しなければならないのだが、

多くの人々はそれをやり過ぎだと僕を罵った。

「こういうのを・・・四面楚歌と言うのかな・・・・」と言いながらも、彼らが罵るたびに僕には

怒りのエネルギーが注ぎ込まれているのを知らないらしい。

それに僕は自称アホウ(法)学部無法律(法律)学科を専攻した。

まあ、専らなのだが、法律の抜け道を探していたと言っても過言ではない。

だから、ツアコン時代には日本国憲法なら完全アウトだが、その訪れた国では、合法なら

お客の要望に応えていた。まあ、扱わなかったのは武器や麻薬の密輸くらいだったろう。

その国の政府公認?の売春館へ先生と呼ばれる方の要望を叶えるべく、手配もしたし、

そこで飛び交うお金のうち一部を手数料として受け取った(その国に所得税は納めているが・・)

まあ、法律を多少齧ったアウトローなのだが・・・

不思議なことに父の葬儀が終わると、毎晩僕の枕元に父が現れた。

父は僕にこう告げた。「楽しかった時のことだけ覚えていてほしい。そして・・・・」

僕はこう父に問いかけた。「分かっている!仇は討たせてもらうよ!あくまでも合法的に・・・」

父は微笑み頷くとその姿をを消していった。

もう一つ不思議なことに僕はそれ以来、悪夢に魘されることも無くなった。

まるで、父が敵討に燃える僕を守っていてくれているとしか思えない。

僕は誓った。例えそれが一度限りだったかもしれないが、認知の症状が進む父へ後妻が

しかも、僕の目の前で行った暴力。そして父や僕に対して、「誰が面倒みてやってんのよ!」という

暴言そして、脅し。その他にも色々やらかしてくれている。しかも、それらはすべて

法律によって禁止されている事項ばかりだ。

僕は復讐の鬼になる。でも、それはあくまでも合法的な復讐をする。

やられたら・・・やり返す。それも僕のモットーは“千倍公社”つまり千倍にして返す。

状況証拠も録音テープも自白もそして、金融機関から取り寄せた秘密兵器もある。

勿論、証人までも用意してある。

それが、いつ、何時全てが白日の下に晒されるのか?そして、老いた身に降りかかる

様々な民事訴訟に刑事訴訟の嵐。

僕は復讐の鬼になる。

あの日父が漏らした「いっそ・・・殺してくれないか?頼むから・・・・」の言葉を、

そう吐かせたあの後妻にも吐かせるために・・・・

第4章 相続は争続・・・ラウンド1戦いの序章へ続く。
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