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「真夏の夜の夢」第最終話 [高1・・・・の夏休み ちょっとえっちな話]

-心の翼を拡げて・・・3-

鎮守の森がバックミラーに小さくなる。・・・無性に僕は車から飛び降りたくなる衝動に駆られる。
涼しくなりつつある風は、あたり一面の稲穂を揺らし・・・・まるで・・稲穂たちが手を振っているように見える。
夏休み・・うるさいガキ共を引きつれ、一緒に登った村の大木・・・・小魚を追い回した小さな川の流れ
全てが僕の心のアルバムに映しだされている。
開け放った車の窓から・・・時折エンジン音にかき消されながらも小川のせせらぎがまた帰っておいでと僕に優しくささやく。
見覚えのある地区長の家・・・関戸のおばさんの家の横を走り過ぎ」・・・しばらくして街を抜ける。
街の小高い丘の上にあるのが・・・・優子が復職することになった病院。
僕が・・優子と恋に落ちなければ・・・・そして一緒にならなければ・・・・優子は今でも巫女のままでいられたのだが・・・

「ねえ・・・・約束・・・・忘れないで・・・・お願い・・・」
「約束・・・・・・なんだっけ?・・・・・」

僕はとぼけて見せた・・・・・優子は車を停めると・・・泣きべそをかきだした。
僕は優子を抱き寄せ・・キスをした。

「ごめん。忘れるわけないだろ・・・必ず・・今週末には帰るし・・・これからも帰り続ける。」
「ほ・・・本当に・・帰ってくるわよね。?」
「ああ・・優子のところへ・・必ず帰る。」
「絶対だからね・・・絶対・・そうしないと・・あたし・・・・」
「うん。絶対に帰ってくる・・・・迎えに来てくれるんだろ?」
「うん。絶対に迎えに来る!」

そんな話を、昨日から何回・・いや何十回繰り返しているのだろうか・・・・

「ねえ・・・」
「うん?」
「ねえ・・・・お願いだから・・・・・無茶はしないで・・・」
「ああ・・・解ってるよ・・・」
「ねえ・・・」
「うん・・・」
「ねえ・・・・絶対・・・・・」
「うん。」

途中、小さなパーキングエリアに立ち止まる。

「ねえ・・・腕時計・・・貸してくれる?」
「いいけど・・・・」

僕は腕時計を外し・・・優子に渡した。優子はハンドバックから・・・・ペアの腕時計を取り出すと、僕の渡した腕時計を大事そうに・・ハンカチに包み込んだ。

「ねえ・・・これ・・・もらってもいい?」
「いいけど・・・安物の傷だらけだけど・・・・・そんなのでいいの?」
「うん。宝物にするから・・・・」
「じゃあ・・・・コレも上げるよ・・・」

ポケットから愛用のZIPPOを取り出し・・・・優子に渡した。

「宝物が増えた・・・・・」
「ねえ・・・この時計してみて・・・・」
「ああ・・・」

優子とお揃いのペアの時計を腕にはめた。

「に・・似合うかな?」
「うん・・・コレで・・一緒の時が過ごせる・・・」
「そう・・・・」
「ねえ・・・・その指輪・・・どうするの?」
「優子は・・・どうする?」
「外さない・・・」
「だろ・・・だから・・俺も・・外さない。この指輪を外せるのは優子だけだ・・・・」
「うん。・・うれしい・・・」

僕は優子の肩を抱きしめ・・・・・

「必ず・・帰る。だから・・・待ってて・・・・」
「はい。」

優子は車を発信させた。もうすぐ・・僕の学校が近づいてくる・・・・
そうしたら・・・しばらく・・会えなくなってしまう・・・・

「ねえ・・・毎日」
「電話する。」
「ねえ・・・必ず・・だよ。」「それから・・・浮気は・・・・しょうがないよね・・・でも・・・本気は駄目だからね!」
「うん。」
「それから・・・」
「あ・・次の角・・右に曲がって・・・そうしたら・・・正門・・・」
「うん・・・・」

車は正門前にとうとう・・着いてしまいました・・・・いよいよ・・しばらくの別れのときです。
僕は車を降り・・・・運転席側に・・・・優子も車を降りてきて・・・・

「ねえ・・もう・・一回・・キスして・・・・あたしが・・ちゃんと・・帰れるように」
「えっ・・ここで・・・」
「お願い!・・・」
僕は優子を強く抱きしめ・・・・・正門の前・・・登校してくる奴等に冷やかされながら・・・・・・
熱い・・キスを交わしていると・・・・・・・・・

「こらぁ~1-Bの馬鹿委員長!・・そんなとこで・・・・キスしてるんじゃない。」
何も・・・・校内放送・・・で・・怒鳴んなくても・・・・・兄さん・・じゃない学年主任。

「まったく・・・キミの兄さん・・・おせっかいだよね。」
「うん。」
「じゃあ・・・気をつけて・・・金曜日に待ってるから・・・」
「うん。」

僕は車に乗り込もうとする優子を再び抱き寄せ・・・・・キスをした・・・先程より・・長く・・そして・・熱く。

「い・・いいかげんししろ!1-B委員長!それから・・・廻りで隠れてみている悪たれ連。まとめて生活指導室へ集合しろォ~!」

「じゃあね」
「ああ・・・気をつけて・・」

優子が車を走らせ・・・角を曲がるのを見届けていると・・・・近くの物陰から・・・・大岩・赤沼・青○・白○
佐伯・Y・Sが飛び出してくる。

「いやぁ~見せ付けてくれますな・・・委員長!」
「ああ・・・お前ら・・・・」
「さて・・・・お呼び出しですので・・・・行きますかね・・・・俺らの指定席」
「そうしますか・・・・まあ・・世話になったことだし・・・」
「たまには・・・・文句も言わさないと・・・・いけないしね・・・・・」

「ちんたら歩くな!悪たれ連・駈足で速やかに出頭せよ!」

こうして僕らの高一の夏休みは終りました。僕の指にはキラッと光る結婚指輪がはめられており・・・
僕の・・・・・真夏の夜の夢は・・・終わり・・・・・でも・・・・・僕には傷ついた翼を癒すことの出来る場所が見つかったのです。                            -FIN-
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