「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第55話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
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高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。
高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。
(回顧録)
「いい?これかrは振り返っちゃ駄目!前だけを見つめて歩いて行きなさい!いいわね・・・」
そう言われて・・ガムシャラに歩いてというより・・・小走りに走ってきました。
勿論、平坦な道ではなく・・・デコボコ道だったり、時には道なき道を切り開き、今日までひたすらに“我が道”を進んできましたが、人生もそろそろ・・中間地点。まだまだ・・これから進んで行きますが、ちょっとだけ立ち止まって
振り返ってみました。お恥ずかしい限りですけど・・・それでは、幼き日に封印しちゃった部分をちょっとだけ、振り返ってみたいと思います。
「狂騒曲 第5番」(4)
今日はいつもの営業でも“レン’sナイト”でもない。特別な一夜限りのスペシャルデー。
何しろ・・今日は、僕の初恋の人の誕生日。そして命日でもある。亡くなった日。僕はそこに確かにいたし、
動かず、喋らなくなり、段々冷たくなってゆきミーチャンを見つめ、泣きじゃくっていた記憶が蘇ってくる。
「でも・・どうして・・・今夜だけのためのタキシードを作ってくれたんだろう」
僕は不思議でならなかった。ステージ用の衣装なら、紗江子が4着も用意してくれているし、楊ママからも2着も届いている。楊ママとは、僕が横浜のママと呼んでいる。ミーチャンのお母さんである。
ミーチャンが亡くなってから、僕は楊ママと楊おじさんの家には遊びに行っていない。それでも、育ての母親に捨てられたあの日まで、僕は中華街にある横浜のパパとママのお店にしょっちゅう連れて行かれた。
楊おじさんに抱っこされ、厨房で楊ママが造ってくれたママのチャーハン。
そう言えば・・・楊おじさんは、「マイサン・・・Q太郎は息子だから・・・」と言っていたし、楊ママも僕を実の息子の様に可愛がってくれている。
「そうだ・・・今日はあの曲もいれなきゃ・・・ミーチャンも来るってどういう意味なんだろう・・・」
僕は、譜面を入れたカゴを引っ掻き廻し、“小さな恋のメロディー”の譜面を探していた。
「あった・・あった・・・これだ!」
紗江子ノベッドにひっくり返りながら・・楽譜をめくる。なんとかこれなら弾けるかもしれない。まあ・・多少のアレンジが必要だけど・・・
あとは曲のイメージをもう一度、掴んでおかねばならない。紗江子は譜面と一緒にレコードを買ってきてくれるので、ヘッドホンを付けて聴く。何度も聴いているうちに僕は涙腺が壊れちゃったんじゃないかと・・大粒の涙が溢れてとまらなかった。僕は突然頭に閃いたアレンジを五線紙に書きだした。マア・・アレンジと言っても、一部の部分をピアノバージョンに変えただけだけど・・・
僕は書きあげた譜面をテーブルに投げ出し、洗面台に向かう。ドレスシャツの袖ををめくり上げ、顔を洗い、鏡に向かい無理やり笑顔を作ってみた。そこには、僕でない僕が無理やり笑っているように見える。
書きあげた譜面と第一部用の譜面を持って階段を駆け降りる。
「こらぁ~階段は走っちゃ駄目だっていつも言っているわよねぇ~校則にも載っているけど」
美希が洗いあげた花瓶に薔薇の花束を移し換えながら言う。
それを聞いた紗江子は、思わず落としそうになったグラスを慌てて拾いながら続ける。
「えっ!高校生にもなって・・・まだ言われているの?小学生みたい・・・」
「小学生で悪うございました!ちょ・・ちょっとね・・・アレンジしたから・・・聴いてくれる?」
僕はピアノに座ると、今、一部アレンジし直し、書きあげた“小さな恋のメロディー”を弾きだした。
美希と紗江子は客席の前に座り、僕の奏でるピアノの音色を聴いてくたたのだ。
精一杯アレンジした曲を披露した僕は二人に率直な意見を聞いてみようと思った。
「どお?これ・・ミーチャンに捧げようと思うんだけどね・・・」
「・・・・・・」
「何もないの?」
店の照明は間接照明とピアノに向けられているスポットライト。そして各テーブルにはキャンドルがあるのだが、
今は灯していない。僕はピアノを離れると、二人の座っている客席のテーブルに向かった。
「ねえ・・どう?どうだった?」
「そ・・そうね・・・いいんじゃない・・ねえ~美希」
「う・・うん。羨ましいわ・・ミーチャン。そう・・・思わない?紗江子」
「う・・うん。」
「えっ?」
二人に近づき顔を覗き込む僕。二人の頬をとどめなく涙が溢れている。
「あっ!泣いてる!」
「ば・・ばか・・違うわよ!あ・・汗よ・・ねえ~美希。」
「そ・・そうよ!汗に決まってるでしょ・・・お化粧直さなくちゃ・・・」
「あのう・・・・・」
僕はまだ感想を聞いていない。ステージまであと少しの時間しか手直しの時間はない。
「良かったわ!とっても・・・・」
そう言うなり僕を抱きしめる美希。
「うん。これならミーチャン喜ぶわねきっと・・・」
今度は紗江子胸に抱きしめられる僕。
「えへへ・・・そう!今夜だけの1曲。スペシャルバージョン」
「じゃあ・・・もう弾かないの?この曲」
僕の顔を覗き込む美希。
「うん。直筆のこの譜面は明日ミーチャンのお墓に置いてくる!」
「そう・・・ミーチャンのためだけの曲ね・・・」
「まあね・・・」
お化粧直しに立ち上がる二人。この時まだ僕は知らなかったのだが、ピアノの向こう側には布を掛けた何かが置いてあった。何しろピアノの後ろの赤いサテンと同じ布だったので、解らなかったのだけれど・・・
二階へ足早に上がってゆく美希。そして紗江子が続く。何しろ、僕が東京に居ない時には、大抵、美希は紗江子の家に泊まるわけだから、お化粧道具もちゃんと用意されている。
ふと紗江子は階段を上がりかけたと思ったら、また降りてきた。そして僕にこう囁いたのだ。
「いい?レン。楊ママがお見えになったら、カウンターの上にある花束をお渡しするのよ・・・」
「なんで?」
「お馬鹿!今日はミーチャンのお誕生日でしょ!ミーチャンも連れられてくるから・・・」
「????」
そこが解らないんだ。だって・・ミーチャンはもう亡くなっちゃっているんだもの・・・
「いいから・・・お渡ししなさい!いいわね!」
「う・・うん・・・」
「それから・・・お見えになるまで・・・もっと心をこめて・・練習しときなさい。いいわね・」
「うん。解った!」
紗江子はそう言い残すと、二階へ上がってゆき、僕はピアノに戻り、第一部で引っ掛かりそうな所。特にどうしても1音外してしまう。エリーゼのためにと、小さな恋のメロディーを弾きまくったのだった。
「僕たちの・・・鬼クマ退治」第56章 「狂騒曲 第5番」(5)へ続く・・・・
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(回顧録)
「いい?これかrは振り返っちゃ駄目!前だけを見つめて歩いて行きなさい!いいわね・・・」
そう言われて・・ガムシャラに歩いてというより・・・小走りに走ってきました。
勿論、平坦な道ではなく・・・デコボコ道だったり、時には道なき道を切り開き、今日までひたすらに“我が道”を進んできましたが、人生もそろそろ・・中間地点。まだまだ・・これから進んで行きますが、ちょっとだけ立ち止まって
振り返ってみました。お恥ずかしい限りですけど・・・それでは、幼き日に封印しちゃった部分をちょっとだけ、振り返ってみたいと思います。
「狂騒曲 第5番」(4)
今日はいつもの営業でも“レン’sナイト”でもない。特別な一夜限りのスペシャルデー。
何しろ・・今日は、僕の初恋の人の誕生日。そして命日でもある。亡くなった日。僕はそこに確かにいたし、
動かず、喋らなくなり、段々冷たくなってゆきミーチャンを見つめ、泣きじゃくっていた記憶が蘇ってくる。
「でも・・どうして・・・今夜だけのためのタキシードを作ってくれたんだろう」
僕は不思議でならなかった。ステージ用の衣装なら、紗江子が4着も用意してくれているし、楊ママからも2着も届いている。楊ママとは、僕が横浜のママと呼んでいる。ミーチャンのお母さんである。
ミーチャンが亡くなってから、僕は楊ママと楊おじさんの家には遊びに行っていない。それでも、育ての母親に捨てられたあの日まで、僕は中華街にある横浜のパパとママのお店にしょっちゅう連れて行かれた。
楊おじさんに抱っこされ、厨房で楊ママが造ってくれたママのチャーハン。
そう言えば・・・楊おじさんは、「マイサン・・・Q太郎は息子だから・・・」と言っていたし、楊ママも僕を実の息子の様に可愛がってくれている。
「そうだ・・・今日はあの曲もいれなきゃ・・・ミーチャンも来るってどういう意味なんだろう・・・」
僕は、譜面を入れたカゴを引っ掻き廻し、“小さな恋のメロディー”の譜面を探していた。
「あった・・あった・・・これだ!」
紗江子ノベッドにひっくり返りながら・・楽譜をめくる。なんとかこれなら弾けるかもしれない。まあ・・多少のアレンジが必要だけど・・・
あとは曲のイメージをもう一度、掴んでおかねばならない。紗江子は譜面と一緒にレコードを買ってきてくれるので、ヘッドホンを付けて聴く。何度も聴いているうちに僕は涙腺が壊れちゃったんじゃないかと・・大粒の涙が溢れてとまらなかった。僕は突然頭に閃いたアレンジを五線紙に書きだした。マア・・アレンジと言っても、一部の部分をピアノバージョンに変えただけだけど・・・
僕は書きあげた譜面をテーブルに投げ出し、洗面台に向かう。ドレスシャツの袖ををめくり上げ、顔を洗い、鏡に向かい無理やり笑顔を作ってみた。そこには、僕でない僕が無理やり笑っているように見える。
書きあげた譜面と第一部用の譜面を持って階段を駆け降りる。
「こらぁ~階段は走っちゃ駄目だっていつも言っているわよねぇ~校則にも載っているけど」
美希が洗いあげた花瓶に薔薇の花束を移し換えながら言う。
それを聞いた紗江子は、思わず落としそうになったグラスを慌てて拾いながら続ける。
「えっ!高校生にもなって・・・まだ言われているの?小学生みたい・・・」
「小学生で悪うございました!ちょ・・ちょっとね・・・アレンジしたから・・・聴いてくれる?」
僕はピアノに座ると、今、一部アレンジし直し、書きあげた“小さな恋のメロディー”を弾きだした。
美希と紗江子は客席の前に座り、僕の奏でるピアノの音色を聴いてくたたのだ。
精一杯アレンジした曲を披露した僕は二人に率直な意見を聞いてみようと思った。
「どお?これ・・ミーチャンに捧げようと思うんだけどね・・・」
「・・・・・・」
「何もないの?」
店の照明は間接照明とピアノに向けられているスポットライト。そして各テーブルにはキャンドルがあるのだが、
今は灯していない。僕はピアノを離れると、二人の座っている客席のテーブルに向かった。
「ねえ・・どう?どうだった?」
「そ・・そうね・・・いいんじゃない・・ねえ~美希」
「う・・うん。羨ましいわ・・ミーチャン。そう・・・思わない?紗江子」
「う・・うん。」
「えっ?」
二人に近づき顔を覗き込む僕。二人の頬をとどめなく涙が溢れている。
「あっ!泣いてる!」
「ば・・ばか・・違うわよ!あ・・汗よ・・ねえ~美希。」
「そ・・そうよ!汗に決まってるでしょ・・・お化粧直さなくちゃ・・・」
「あのう・・・・・」
僕はまだ感想を聞いていない。ステージまであと少しの時間しか手直しの時間はない。
「良かったわ!とっても・・・・」
そう言うなり僕を抱きしめる美希。
「うん。これならミーチャン喜ぶわねきっと・・・」
今度は紗江子胸に抱きしめられる僕。
「えへへ・・・そう!今夜だけの1曲。スペシャルバージョン」
「じゃあ・・・もう弾かないの?この曲」
僕の顔を覗き込む美希。
「うん。直筆のこの譜面は明日ミーチャンのお墓に置いてくる!」
「そう・・・ミーチャンのためだけの曲ね・・・」
「まあね・・・」
お化粧直しに立ち上がる二人。この時まだ僕は知らなかったのだが、ピアノの向こう側には布を掛けた何かが置いてあった。何しろピアノの後ろの赤いサテンと同じ布だったので、解らなかったのだけれど・・・
二階へ足早に上がってゆく美希。そして紗江子が続く。何しろ、僕が東京に居ない時には、大抵、美希は紗江子の家に泊まるわけだから、お化粧道具もちゃんと用意されている。
ふと紗江子は階段を上がりかけたと思ったら、また降りてきた。そして僕にこう囁いたのだ。
「いい?レン。楊ママがお見えになったら、カウンターの上にある花束をお渡しするのよ・・・」
「なんで?」
「お馬鹿!今日はミーチャンのお誕生日でしょ!ミーチャンも連れられてくるから・・・」
「????」
そこが解らないんだ。だって・・ミーチャンはもう亡くなっちゃっているんだもの・・・
「いいから・・・お渡ししなさい!いいわね!」
「う・・うん・・・」
「それから・・・お見えになるまで・・・もっと心をこめて・・練習しときなさい。いいわね・」
「うん。解った!」
紗江子はそう言い残すと、二階へ上がってゆき、僕はピアノに戻り、第一部で引っ掛かりそうな所。特にどうしても1音外してしまう。エリーゼのためにと、小さな恋のメロディーを弾きまくったのだった。
「僕たちの・・・鬼クマ退治」第56章 「狂騒曲 第5番」(5)へ続く・・・・
くちボン様
早速そして、いつもご訪問&Niceありがとうございます!(●^o^●)
by 空飛ぶ食欲魔人 (2009-11-10 20:49)
トメサン様
いつもご訪問&Niceありがとうございます!(●^o^●)
by 空飛ぶ食欲魔人 (2009-11-11 07:45)
hamu5様
いつもご訪問&Niceありがとうございます!(●^o^●)
by 空飛ぶ食欲魔人 (2009-11-11 08:37)
livly-cu様
いつもご訪問&Niceありがとうございます!(●^o^●)
by 空飛ぶ食欲魔人 (2009-11-11 09:04)
竜眼寺 暁様
いつもご訪問&Niceありがとうございます!(●^o^●)
by 空飛ぶ食欲魔人 (2009-11-11 09:50)
kaoru様
いつもご訪問&Niceaありがとうございます!(●^o^●)
by 空飛ぶ食欲魔人 (2009-11-12 09:38)
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by 過去最高記録更新中!何もしないでなぜ儲かる!?秘密の方法を限定公開中。今すぐクリック! (2010-04-16 11:51)