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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第67話      [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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オオカミ少年 ②

「なあ~大沢!」
「なんだ?」
「お前もやるねえ~ただの秀才だけかと思ってたけど・・・」
「いいんだよ!短い青春楽しまなかったら、嘘だろ?」
「まあねえ~まあ・・いいや!もう一冊スペシャルプレゼントするからさ!」
「おう!」
「ついでに・・“被害届”だして学校に“貸し”作っておけ!」
「貸し?」
「ああ・・・推薦の時に返してもらえ!」
「いいねえ!早速、被害届出しておくわ!」

大沢クンは僕たちの学園に来るべき人間じゃなかった。本当は、もっと上位校に行けたのだが、本命の学校の入試で“とんでもないミス”をやらかして、その動揺を隠しきれずに、公立の進学校も受験失敗をして、僕たちの“ちんぴら養成学校”へ来ることになったらしい。本来は僕たちの“影部隊”である。忍者部隊にいるはずもない人間なんだが、どうも、親が“頭のネジを巻きすぎたらしく壊れてしまった”のだと本人は言っている。まさか、入学式で新入生代表。つまり、主席入学した奴とは思えない。まあ、彼の居るクラスは、僕たちの“腐ったリンゴ”クラスではなく、純粋培養クラスに所属しているのだが、2年生からは、“間違い”で理系に進む僕たちと同じクラスになるのかも知れないけど・・・・
今度の鬼クマ退治作戦においても、彼が一肌も二肌も脱いでくれたので、敵さんの“昨夜の行状”も全て、逐一報告が届いている。何しろ彼はこのグランドのすぐそばに住んでいるのだから・・・

美希こと佐山先生が、何やら鬼クマと弱小サッカー部の監督に“薬らしきもの”と紙コップを渡して、何やら喋っている。因みに仕掛けてあったお酒には、下剤ではなく、腸の働きを弱める。つまり、下痢止めが入っていたのだ。
佐々木のおばちゃん(僕たちの仲間の佐々木クンとは、関係ない)が、ただの下剤では面白くないだろうと一ひねり加えたモノ。一体、このおばちゃんの正体は何者なんだろう。現代版の魔女かもしれない。
何しろ、僕の棲家のある鎮守の森の集落に住む人々は、医者に行く前に必ず、このおばちゃんの作る薬の世話になっているし、僕もこのおばちゃんには、“酷い目”に合っている。
おばちゃんの作ってきた“強壮剤”というのか、精力剤と言えばいいのか?よく解らないけど、僕は手渡された一週間分の薬を飲んでしまったから、太陽が黄色く見えるほど、僕の本能は、目覚めてしまったのだ。
一週間分飲んでしまった僕が悪いのではない。佐々木のおばちゃんが「さっさと飲め!」と言うから、手渡されたモノを全部飲んでしまったわけで・・・先に用量をちゃんと説明してくれていれば、いくら僕だって、そんな事はしなかったと思うのだけど、自信はあまりない。
まあ、佐々木のおばちゃんが作った薬を溶かしこんでいるのが、第一ロケット。
さっき、飲ませた薬、本人たちは“精力剤”と思って飲んでいるのだが、これが二種類に分けた第二ロケット。
そして、今、美希が届けたのが、遅効性の下剤である第三ロケットだ。
効き目は遅いのだけど、その効能は抜群との事。一度、キー先生には悪いが、“人体実験”させてもらったら、朝飲んで3時間目までは、なんともなく。その後、午後最終授業である7時限目まで、トイレに籠ったきりだったそうだ。因みに、この時も大沢クンをはじめとする。忍者部隊が“暗躍”したのだ。

「よし!飲んだ!」
「何か言ったか?部長!」
「ああ・・大沢!きっちり時間計れよ!今から3時間くらいで効くだろ!」
「了解!」

薬を飲んだ鬼クマと弱小サッカー部の監督が、教職員用のプレハブもどきの“レストルーム”へ消えてゆく。
どうやら、学年主任である兄さんとキー先生こと僕たちの可哀そうな“田中先生”と他の普通科1年の担任たちに絞りあげられに行ったのだ。

「ええとぉ~社会関係奉仕部の部長!速やかに前に来て頂戴![黒ハート]
「は~い!」

僕は美希の元へ駆けてゆく。何しろ、300名の普通科1年をこれ以上、野放しにしておくと、寒空の中。本当に暴動が起きるかもしれない。

「はい!何でしょう・・・」
「計画通りに行ったわね!」
「ええ!後は・・仕上がりの待つばかり・・・」
「それより・・どうする?何をやらせようか?」
「そうですねえ~」

僕はグランドを見渡した・・・ここは、無駄に広いグランドである。何しろ1周800メートルもあるトラックがあるくらいだ。その他にもサブグランドが道の向こうに広がっている。きっと、自衛隊だかなんだか知らないけど、基地が閉鎖されれば、住宅地として売り出せば、ボロ儲け出来るに違いない。

「いいんじゃないんですか・・・そうだ!いっその事!ボール10個でドッチボール大会しましょうか?」
「ドッチボールねえ~」
「暴動抑えなきゃ・・それに・・・あと、2時間ちょっとで薬が効きだすと思うんで・・・」
「解ったわ・・・じゃあ・・・任せる!私もちょっと・・覗いて、救護所へ行かないと・・・」
「了解!」

僕は演台に駆けあがり、マイクを手にした。

「ええとぉ~諸君!寒いのにご苦労さまぁ~佐々木ぃ~2・3人で何でもいいからボール10個!」
「何でもいいんだな!」
「ああ・・・頼む!」

佐々木クンとY・白○がグランドの隅にある用具入れに駆けてゆく。

「ええとぉ~諸君!これから・・“ザ・サバイバル!ドッチボールを行う!ルールは簡単だ!A~Cまでの諸君は、Aチーム。D~Fまでの諸君はBチーム。佐々木クンがどんなボールを持ってくるか知らないけど・・・最後のひとりになった方が勝ち!使用するボールは段々、数が増える!いいな・・・」
「おう!」
「参加賞くらいあるんだろうな!」
「そうだな・・・勝ち残ったチームには、景品を出す!負けた方にもな!」

まあ・・元々。全員に1冊ずつ配って、僕たちは裏本のバイトを止めるつもりだった。最近、ルートがバレかかっているとの通告を受け、仕入れは既に止めている。在庫数は50種類にも及び、500冊を超えている。
まあ・・タップリ稼がせてもらったので、この辺が潮時かもしれない。ちょっと早いけどみんなに利益還元のクリスマスプレゼントだ。

「お~い!部長ぉ~こんなのしかなかったぜ・・・」
「佐々木ぃ~上等だよ・・・じゃあ・・・まずは・・・1個から始めるぞ!」
「おう!」

その頃、“レストハウス”では、今にも“殴り合い”に発展するんではと言うくらい、喧々諤々とやっていたらしい。
ちょっとだけ・・・覗いてみることにしよう。

「あのですね!先生方自分の立場お解りですかな?」

馬鹿な鬼クマはこう啖呵を切ったのだ。

「ええ!知ってますよ!少なくともあなたよりはね・・・」
「何を~」
「いいですか・・・何で、マイクを使わなかったのか?とお聞きしているんです。」
「田中先生でしたな・俺はは理事長の甥ですぞ・・・」
「だから、どうしたんです?」
「良くも・・私にそんな口が利けると・・・」
「何を言う・・関係ないことを喋る前に質問に答えたらどうなんだ!」

これにキー先生の我慢の尾が切れた。いや、切れたフリをしたのだ。

「あなたは、困ればすぐそれだ・・いいですか・・・・」

学年主任である兄さんは、やっと重たい口を開いた。

「私たちは教師や教官と言う職種の違いがあるにせよ、彼等は教え子です。」
「それが・・どうしました?」
「ここ最近、あなたの言動は異常過ぎる。退学した渡辺クンの例もあるし・・・」
「そうそう・・真昼間からお酒を飲んで絡んできましたわよねえ~熊田教官!あの時、階段から落ちたんでしたっけ?」
「そうなんですか?佐山先生!」
「ええ。私が社会関係奉仕部の部長クンと打ち合わせに出かける際でしたわ・・・」
「煩い!黙れっ!」
「いいえ・・黙りません!あの時、部長クンが落としたのではなく、あなたが勝手に階段を踏み外して落ちて行ったんですよ・・・それをこともあろうに・・試験の邪魔までされて・・・」
「えっ!そうなんですか?そりゃあ・・聞き捨てならないですな!うちのクラス委員長ですからな・・・」
「あいつらは嘘を言っているんだ!特に部長でしたっけ?あいつは嘘つきの塊だ!」
「そうですか?部長は悪さはしますけど、嘘は付かないんですよ・・」
「そうそう・・仮に彼があなたの仰るとおり、嘘つきだとしても・・大沢が嘘を付くはずがない。」

こんなやりとりが行われていたのは、後で教えてもらうとして、僕は10個目のボールを、コートに投げ入れた。

負け組は転がってきたボールを奪い合い、まだ“生き残っている”奴に敵、味方関係なく狙いを付け、投げ込んでいる。生きている奴にヒットすれば、生き代えれる“ゾンビ方式”ただ、手にしたボールには注意しなければならない。
サッカーボールは受ける方は、手を使って構わないのだが、投げる時には、蹴らなければならないし、
バレーボールは、蹴ってはいけない。ソフトテニスのボールは、投げた奴を打ち返し、誰かがコレをキャッチしなければ、そのまま生きて残れる。ドッチボールと言ってもソフト野球とサッカーとバレーボールが入り乱れている。
まあ、300名の心はひとつに纏まっている。心なしかコートが微妙に“レストハウス”に近づいている。
特にサッカー部とサッカー部出身のヤマに至ってはボールを持ってウロウロしている。
いずれ、グランドに出てくるであろう鬼クマとサッカー部の監督の姿が見えれば、強烈なシュートが襲う手筈になっているのだ。バレーボールは、バレー部がしっかり押さえこみ、その時を僕たちはわあわあ言いながらも、静かに待っている。“的役”である忍者部隊もそのときを待っている。3個のバレーボールと3個のサッカーボール。そして4個のソフトテニスの球が一斉に鬼クマと監督目指して・・あたかも、的外れの様に飛んでゆくのだ。

「なあ・・そろそろ・・時間じゃねえか?」

佐々木クンが僕の横にやってくる。

「ああ・・・確かにな!」
「効き目悪いのかな?」
「そりゃあ・・あれだけの体格だからな!キーとは違うって・・・」

“レストハウス”のドアが開き、美希が僕のそばを通り抜けながら・・・

そろそろ・・限界みたいよ!」

そう囁いて救護所へ向かてゆく。
予定通り、フィールドを横切り、慌てて救護所へ薬を貰いにでもいくのであろう。監督と鬼クマが飛び出してきた。
如何せん、まだゲームは続行中なのだ。予定通り忍者部隊の面々が、“おとり役”となり、ちょうどグランドを走り抜け様としていく鬼クマと監督めがけて渾身の力で“的をはずれたボール”は、新たな的目指して飛んでゆく。
何しろ、忍者部隊は全員。地面に転んだフリをしたのだ。
次々と“新たな的”目指して飛んでゆく球は、次々とヒットしてゆく。特にサッカー部の連中が蹴った球はことごとく、監督を直撃してゆき、鬼クマにはバレーボール3個とソウトテニスの強烈な打球が襲いかかる。
それでも、彼等は必死だったのだ。何しろ、じわじわ効きだした腹痛を止めなければ、僕たちに対抗すらできない。それで、救護所目指して駆けてゆく。

「しかし・・哀れなもんだ!」
「うんうん・・・効き目が遅かったけどな・・・」

兄さんが僕に合図を寄越した。そろそろ“休憩”タイムという作戦Bに取り掛かるときが来た様だ・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第68話 “穴の中へようこそ!”①へ続く・・・・・  
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