「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第73話 “水責めの鬼クマと理事長先生の決断” [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
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“水責めの鬼クマと理事長先生の決断”
「あ~あ!腰痛ぇ~。帰っていいか!部長!」
あちらこちらから声が聴こえる。確かに、全員帰り仕度を始めているのだ。彼等だってそうだし、僕たちも帰りたいところだ。
「学年主任先生・・どうします?」
「お前らだけで・・・上がるか?」
「無理ですねえ~多分。あっ!先輩たち止めなくていいんですか?」
放送部の先輩たちは集音マイクを穴に近付け、鬼クマの“断末魔”が聴こえてくるのを待っていた。そして、新聞の先輩たちは、合宿所の中で“証拠写真”をパチパチと撮っていることだろう。
「いいさ!奴等にもスクープ必要なんだろ?」
「何だろと言われましても・・・」
「お前の差し金だろ?良かったわ!身内になれて・・・」
「僕も同じですねえ~」
そこへ理事長先生を乗せたさも“高級そうなハイヤー”が、合宿所のそばにブレーキ音を立てて止まった。
「あっあぁぁぁ~・・グランド整備が大変ですねえ~誰がやるんですか?」
「どうせ・・サッカー部は対外試合禁止になるだろうから、奴らにやらせるさ!」
「良かった!僕たち“遠征”で忙しいですから・・・」
目の前に停まったハイヤーから、運転手さんがドアを開ける暇もないくらいに、理事長先生が飛び出してきた。
「けしからん!熊田教官はどこかね!」
「理事長先生!こんにちわ!」
「おお!確か・・部長クンだったな!熊田教官はどこに居るのかね?」
「ご案内したほうがいいですか?」
僕は兄さんこと学年主任に向かって聞いた。首を縦に振ると、兄さんは軽く会釈したのち、校長先生たちを呼びに走っていった。
「お前等!ちょっと待っててくれ!頼むよ!理事長先生、ご案内しますから・・どうぞ!こちらへ」
「なんじゃ・・どこへ連れてゆく。」
「すぐそこです。足元に気を付けてください。カエルや蛇が出没しますし、ぬかるんでいるので・・・」
「蛇?んんでそんなもんがココに居るのだ?」
「さあ~判りません。熊田教官にお聞きになったらいかがです?どうぞ・・こちらに」
僕の手の先。本来ならないはずの穴を覗きこむ理事長先生。そこへ知らせを聞いて駆けつけてきた“狸”こと校長先生がわざわざ恐縮とばかりに頭を下げた。
「理事長先生!とんでもない事になりまして・・・」
「おお!校長先生!説明してくれんか?どうして・・・お・・じゃない。熊田クンが穴の中に居るのかね?」
「ここでは生徒も居りますので、あちらで今まで確認した事項を申し上げます。」
校長先生が今にも頭から湯気が立ちあがりそうな理事長先生を、合宿所へご案内した。
「なあ!部長!」
「何でしょうか?学年主任先生!」
「これから、緊急会議らしい。それで、先生方みんなそちらへ出席せねばならない。」
「でしょうねえ~」
「そうなると・・お前等しかここには居ない。」
「ですねえ~了解です。会議が終るまでに、片付けておきます!」
「お~い!みんな集合!」
「おう!」
僕の廻りに社会関係奉仕部。忍者部隊。具通過選抜チームが集まった。みんなと言っていいほど、鬼クマには竹刀で殴られている。殴られていないのは、大沢クンぐらいのものだけど、彼も親友であった渡辺クンを失っている。
「さてと・・まずは蛇の皆さんにご退場いただきますか?なあ・・佐々木!」
「そうだな?でもどうやって?」
「さっきと同じさ。竹竿刺しておけば、昇ってくるだろ?とりあえず、水一回止めてくれ!」
「了解!Y・赤沼。水止めてきてくれ!」
「ああ・・・」
僕たちは竹竿を穴の中に何本も立てた。集めた“青大将”は全部で20匹。まあ・・何匹かは鬼クマの下敷きになって死んでいるかもしれない。次々にスルスルと昇ってくる青大将。それらを登ってくるそばから、尻尾を掴んで振りまわす社会関係奉仕部の面々。グルングルンと振りまわし、ある程度弱ったらフェンスの外へ次々と投げてゆく。
「なあ~何匹目だ?」
「今・・16匹。残りは上がってきそうにないなぁ~」
「ところで・・鬼クマ生きているかな?」
「サオで叩いて見るか?」
「ああ・・・放水付きでな!」
「判った!」
普段のカタキとばかりにサオで鬼クマを叩く者。そして放水隊がjホースの筒先を揃えて鬼クマの顔面に放水を開始した。
「熊田きょうかぁぁぁぁぁぁん!生きてますかぁぁぁぁぁぁ・・・死んでいるんなら・・埋めますよぉぉぉぉぉぉ~」
その声が聴こえたのか熊田教官はしぶとく生きていた。ちょっと身体を揺さぶっていたのだ。
「生きてますかぁ?」
「生きてて悪いか!ボケ共!」
「おやまあ・・・口が悪い。今の状況判ります?生かすも殺すも僕たちの自由なんですよ?」
「て・・てめえら・・・」
「それに・・さっき、叔父さんでしたっけ?理事長先生がお見えになって穴を覗かれてゆきました。」
「何!り・・理事長!?・・叔父がかぁ?」
「ええ!それで、後始末を僕たちに託されて行ってしまいましたけど・・・どうします?」
「どうしますって・・馬鹿!ここから出せ!」
「全く、それが人に助けを求める人間の口からでた言葉とは思えませんね・・・埋めちゃいましょうか?」
「ば・・馬鹿!悪かった!助けてくれ!」
「そういえば・・蛇に咬まれませんでしたか?」
「あっちこっち咬まれた・・・」
「じゃあ・・やばいや!さっき蛇だけ出したんですけど・・ヤマガカシが居ましたから、動かないで!大人しくしててください。いいですね!」
「判った・・・」
「これから、監督を助け上げた方法を使いますが、まだ蛇が居るかもしれないので、ロープを投げ入れます。まず、太いロープで身体を結んでください。次にロープを輪っかにして足にそれぞれ掛けてくださいね!」
「判った・・・それで・・」
「あとは、注水しながら、引っ張り上げます!無理して登らないでください。毒が廻るといけないからぁ~」
「ああ・・・さっさと上げてくれ!」
放水隊が6本のホースを持って穴の廻りに待機した。先ほどと同じ様に梯子を穴の中央に掛けると僕は2本のザイルと綱引き用のロープを穴に投げ入れた。
「いいですかぁ~これから引っ張りあげますよぉぉぉ~」
「ああ・・やってくれ!」
6本のホースから、穴の中にどんどん水が入れられる。
「よし!引っ張れぇぇぇぇ~」
僕たちはそのまま鬼クマをストレートに救出する気は更々無かった。忍者部隊が細工したもう片方の綱引き用のロープ。僕の計算が正しければ、途中で過負荷を掛けてやれば切れる様に細工してあったし、二本投げ入れたザイルのうち、大沢クンが引っ張る方は、彼の手によってザイルが切られる様になっている。
それに・・・途中まで引き上げた後、何回かドロ水の中に落ちてもらうことになっている。
「よぉうし!もうちょっとだぁ~」
僕の掛け声に一斉にロープが離される。ニヤリと僕が笑った瞬間、鬼クマは怯えた眼をしながら、穴の奥へ落ちてゆく。悲鳴にもならない小さな声を上げながら頭から、泥水の中へ落ちて行ったのだ。
「ヤバイ!綱引きのロープが切れた!全員ザイルを引っ張れ!」
「おう!」
ちょっと持ちあがったとき一本のザイルが切られた。そのはずみで、また、鬼クマは泥水の中へ沈んでゆく。
そろそろ限界に近いはずだ。殺してしまったら、洒落にもならない。渾身の力で片足だけ結ばれている鬼クマを引っ張りあげる。途中、運が悪く。そう運が悪くである。そうでなければ・・・悪魔の申し子の怨念のせいである。
「ぎゃぁぁぁぁぁ・・・・」
鬼クマの悲鳴が響いた・・・穴の上に掛けられた梯子の上では、千切れた綱引きのロープを梯子に結ぶ作業のため、佐々木クンとYが乗っていて、結び終った途端、その悲劇は起きた。まあ・・サッカー部の監督は両足を、その不幸な事故により、骨折していたのだが、鬼クマは一本だけ綺麗に折れ曲がったのだ。
「教官!大丈夫ですかぁぁぁ~」
「寄るな!あっちへ行け!」
「そうですか・・お友達忘れてますよ!」
グランドに投げ出された熊田教官の顔の上に、哀れにも犠牲になった“青大将”の死骸を4匹乗せた。
死因はどう考えても、“圧迫死”だ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ・・殺される!」
「殺しませんよ!もう・・死んでますから・・その蛇!」
そう呟いた途端、合宿所のドアが開き、兄さんこと学年主任とキー先生が飛び出してきた。
「先生方!なんとか・・救出しましたぁ~」
「ご苦労!熊田教官!歩けます?」
「こ・・こいつらに足を折られたぁ~」
「やだな!事故ですよ・・・事故!なあ・・みんな!」
一斉に不敵な笑いを浮かべ、頷く救出チーム。兄さんもキー先生も笑いをこらえようがない。
何しろ、熊田教官のジャージはボロボロに裂け、ジャージと言うよりも、ボロ切れを纏っていると言った方が正しいくらいである。
「じゃあ・・教官!そろそろ始めますか?決闘!」
「か・・勘弁してくれ・・・」
「仕方ないな!じゃあ・・不戦勝でいいですね。お~い!担架持ってきてくれ!」
届いた担架に載せ、ついでにその腹に“青大将”の死骸を載せる。まあ、病院に運ぶ際にも、どんな蛇に咬まれたか?通知しなければならない・・・
「終ったな!」
「まだ・・お楽しみはこれからですよ!兄さん!」
僕はまだ何かやるのか?という顔の兄さんを促し、合宿所のドアを開けて、担架を見送った。
「お前・・・」
「男の子ですもん!徹底的にやれ!これ・・学校の方針でしたよね!」
苦笑いを浮かべる兄さんの腹の底は読める。多分、僕の兄さんになった事で、自分がターゲットにならないで済んだことを神様と優子に感謝しているに違いない。
「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第74話 “痴漢に仕立て上げられた・・・生贄”に続く・・・・
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“水責めの鬼クマと理事長先生の決断”
「あ~あ!腰痛ぇ~。帰っていいか!部長!」
あちらこちらから声が聴こえる。確かに、全員帰り仕度を始めているのだ。彼等だってそうだし、僕たちも帰りたいところだ。
「学年主任先生・・どうします?」
「お前らだけで・・・上がるか?」
「無理ですねえ~多分。あっ!先輩たち止めなくていいんですか?」
放送部の先輩たちは集音マイクを穴に近付け、鬼クマの“断末魔”が聴こえてくるのを待っていた。そして、新聞の先輩たちは、合宿所の中で“証拠写真”をパチパチと撮っていることだろう。
「いいさ!奴等にもスクープ必要なんだろ?」
「何だろと言われましても・・・」
「お前の差し金だろ?良かったわ!身内になれて・・・」
「僕も同じですねえ~」
そこへ理事長先生を乗せたさも“高級そうなハイヤー”が、合宿所のそばにブレーキ音を立てて止まった。
「あっあぁぁぁ~・・グランド整備が大変ですねえ~誰がやるんですか?」
「どうせ・・サッカー部は対外試合禁止になるだろうから、奴らにやらせるさ!」
「良かった!僕たち“遠征”で忙しいですから・・・」
目の前に停まったハイヤーから、運転手さんがドアを開ける暇もないくらいに、理事長先生が飛び出してきた。
「けしからん!熊田教官はどこかね!」
「理事長先生!こんにちわ!」
「おお!確か・・部長クンだったな!熊田教官はどこに居るのかね?」
「ご案内したほうがいいですか?」
僕は兄さんこと学年主任に向かって聞いた。首を縦に振ると、兄さんは軽く会釈したのち、校長先生たちを呼びに走っていった。
「お前等!ちょっと待っててくれ!頼むよ!理事長先生、ご案内しますから・・どうぞ!こちらへ」
「なんじゃ・・どこへ連れてゆく。」
「すぐそこです。足元に気を付けてください。カエルや蛇が出没しますし、ぬかるんでいるので・・・」
「蛇?んんでそんなもんがココに居るのだ?」
「さあ~判りません。熊田教官にお聞きになったらいかがです?どうぞ・・こちらに」
僕の手の先。本来ならないはずの穴を覗きこむ理事長先生。そこへ知らせを聞いて駆けつけてきた“狸”こと校長先生がわざわざ恐縮とばかりに頭を下げた。
「理事長先生!とんでもない事になりまして・・・」
「おお!校長先生!説明してくれんか?どうして・・・お・・じゃない。熊田クンが穴の中に居るのかね?」
「ここでは生徒も居りますので、あちらで今まで確認した事項を申し上げます。」
校長先生が今にも頭から湯気が立ちあがりそうな理事長先生を、合宿所へご案内した。
「なあ!部長!」
「何でしょうか?学年主任先生!」
「これから、緊急会議らしい。それで、先生方みんなそちらへ出席せねばならない。」
「でしょうねえ~」
「そうなると・・お前等しかここには居ない。」
「ですねえ~了解です。会議が終るまでに、片付けておきます!」
「お~い!みんな集合!」
「おう!」
僕の廻りに社会関係奉仕部。忍者部隊。具通過選抜チームが集まった。みんなと言っていいほど、鬼クマには竹刀で殴られている。殴られていないのは、大沢クンぐらいのものだけど、彼も親友であった渡辺クンを失っている。
「さてと・・まずは蛇の皆さんにご退場いただきますか?なあ・・佐々木!」
「そうだな?でもどうやって?」
「さっきと同じさ。竹竿刺しておけば、昇ってくるだろ?とりあえず、水一回止めてくれ!」
「了解!Y・赤沼。水止めてきてくれ!」
「ああ・・・」
僕たちは竹竿を穴の中に何本も立てた。集めた“青大将”は全部で20匹。まあ・・何匹かは鬼クマの下敷きになって死んでいるかもしれない。次々にスルスルと昇ってくる青大将。それらを登ってくるそばから、尻尾を掴んで振りまわす社会関係奉仕部の面々。グルングルンと振りまわし、ある程度弱ったらフェンスの外へ次々と投げてゆく。
「なあ~何匹目だ?」
「今・・16匹。残りは上がってきそうにないなぁ~」
「ところで・・鬼クマ生きているかな?」
「サオで叩いて見るか?」
「ああ・・・放水付きでな!」
「判った!」
普段のカタキとばかりにサオで鬼クマを叩く者。そして放水隊がjホースの筒先を揃えて鬼クマの顔面に放水を開始した。
「熊田きょうかぁぁぁぁぁぁん!生きてますかぁぁぁぁぁぁ・・・死んでいるんなら・・埋めますよぉぉぉぉぉぉ~」
その声が聴こえたのか熊田教官はしぶとく生きていた。ちょっと身体を揺さぶっていたのだ。
「生きてますかぁ?」
「生きてて悪いか!ボケ共!」
「おやまあ・・・口が悪い。今の状況判ります?生かすも殺すも僕たちの自由なんですよ?」
「て・・てめえら・・・」
「それに・・さっき、叔父さんでしたっけ?理事長先生がお見えになって穴を覗かれてゆきました。」
「何!り・・理事長!?・・叔父がかぁ?」
「ええ!それで、後始末を僕たちに託されて行ってしまいましたけど・・・どうします?」
「どうしますって・・馬鹿!ここから出せ!」
「全く、それが人に助けを求める人間の口からでた言葉とは思えませんね・・・埋めちゃいましょうか?」
「ば・・馬鹿!悪かった!助けてくれ!」
「そういえば・・蛇に咬まれませんでしたか?」
「あっちこっち咬まれた・・・」
「じゃあ・・やばいや!さっき蛇だけ出したんですけど・・ヤマガカシが居ましたから、動かないで!大人しくしててください。いいですね!」
「判った・・・」
「これから、監督を助け上げた方法を使いますが、まだ蛇が居るかもしれないので、ロープを投げ入れます。まず、太いロープで身体を結んでください。次にロープを輪っかにして足にそれぞれ掛けてくださいね!」
「判った・・・それで・・」
「あとは、注水しながら、引っ張り上げます!無理して登らないでください。毒が廻るといけないからぁ~」
「ああ・・・さっさと上げてくれ!」
放水隊が6本のホースを持って穴の廻りに待機した。先ほどと同じ様に梯子を穴の中央に掛けると僕は2本のザイルと綱引き用のロープを穴に投げ入れた。
「いいですかぁ~これから引っ張りあげますよぉぉぉ~」
「ああ・・やってくれ!」
6本のホースから、穴の中にどんどん水が入れられる。
「よし!引っ張れぇぇぇぇ~」
僕たちはそのまま鬼クマをストレートに救出する気は更々無かった。忍者部隊が細工したもう片方の綱引き用のロープ。僕の計算が正しければ、途中で過負荷を掛けてやれば切れる様に細工してあったし、二本投げ入れたザイルのうち、大沢クンが引っ張る方は、彼の手によってザイルが切られる様になっている。
それに・・・途中まで引き上げた後、何回かドロ水の中に落ちてもらうことになっている。
「よぉうし!もうちょっとだぁ~」
僕の掛け声に一斉にロープが離される。ニヤリと僕が笑った瞬間、鬼クマは怯えた眼をしながら、穴の奥へ落ちてゆく。悲鳴にもならない小さな声を上げながら頭から、泥水の中へ落ちて行ったのだ。
「ヤバイ!綱引きのロープが切れた!全員ザイルを引っ張れ!」
「おう!」
ちょっと持ちあがったとき一本のザイルが切られた。そのはずみで、また、鬼クマは泥水の中へ沈んでゆく。
そろそろ限界に近いはずだ。殺してしまったら、洒落にもならない。渾身の力で片足だけ結ばれている鬼クマを引っ張りあげる。途中、運が悪く。そう運が悪くである。そうでなければ・・・悪魔の申し子の怨念のせいである。
「ぎゃぁぁぁぁぁ・・・・」
鬼クマの悲鳴が響いた・・・穴の上に掛けられた梯子の上では、千切れた綱引きのロープを梯子に結ぶ作業のため、佐々木クンとYが乗っていて、結び終った途端、その悲劇は起きた。まあ・・サッカー部の監督は両足を、その不幸な事故により、骨折していたのだが、鬼クマは一本だけ綺麗に折れ曲がったのだ。
「教官!大丈夫ですかぁぁぁ~」
「寄るな!あっちへ行け!」
「そうですか・・お友達忘れてますよ!」
グランドに投げ出された熊田教官の顔の上に、哀れにも犠牲になった“青大将”の死骸を4匹乗せた。
死因はどう考えても、“圧迫死”だ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ・・殺される!」
「殺しませんよ!もう・・死んでますから・・その蛇!」
そう呟いた途端、合宿所のドアが開き、兄さんこと学年主任とキー先生が飛び出してきた。
「先生方!なんとか・・救出しましたぁ~」
「ご苦労!熊田教官!歩けます?」
「こ・・こいつらに足を折られたぁ~」
「やだな!事故ですよ・・・事故!なあ・・みんな!」
一斉に不敵な笑いを浮かべ、頷く救出チーム。兄さんもキー先生も笑いをこらえようがない。
何しろ、熊田教官のジャージはボロボロに裂け、ジャージと言うよりも、ボロ切れを纏っていると言った方が正しいくらいである。
「じゃあ・・教官!そろそろ始めますか?決闘!」
「か・・勘弁してくれ・・・」
「仕方ないな!じゃあ・・不戦勝でいいですね。お~い!担架持ってきてくれ!」
届いた担架に載せ、ついでにその腹に“青大将”の死骸を載せる。まあ、病院に運ぶ際にも、どんな蛇に咬まれたか?通知しなければならない・・・
「終ったな!」
「まだ・・お楽しみはこれからですよ!兄さん!」
僕はまだ何かやるのか?という顔の兄さんを促し、合宿所のドアを開けて、担架を見送った。
「お前・・・」
「男の子ですもん!徹底的にやれ!これ・・学校の方針でしたよね!」
苦笑いを浮かべる兄さんの腹の底は読める。多分、僕の兄さんになった事で、自分がターゲットにならないで済んだことを神様と優子に感謝しているに違いない。
「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第74話 “痴漢に仕立て上げられた・・・生贄”に続く・・・・
こっ骨折・・・痛そうです(`~´)
by inacyan (2010-02-25 22:44)
笑い事ではないんでしょうけど(^▽^;)
by maderon (2010-02-26 00:36)
うーん、壮絶なお話ですね><
by やまがたん (2010-02-26 06:17)