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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第75話 “痴漢に仕立て上げられた・・・生贄”② [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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“痴漢に仕立て上げられた・・・生贄”②

合宿所の隅々に散る僕たち。そこに先生が監視役に付く。勿論、生徒監禁雑居房と呼ばれる部屋も捜索させられる。何故、監禁雑居房かと言うと、窓には鉄格子ならぬ、金網が張られており、ドアには外から鍵が掛けられる部屋。まあ・・夜中にその辺をウロつかない様にと鬼クマが付けたらしい。南京錠が掛っている。

「ひでぇ~造り・・これじゃあ・・火事の時どーすんのかな?」
「そうだな・・・何回も言っているんだけどな!」
「兄さん。コレ!PTAにやられますよ!なあ!佐々木!」
「うん。うちの親父に言っておく!PTA総会で火だるまかな・・・」
「馬鹿!おい!弟!佐々木の口止めしてくれ!」
「だってよ!佐々木ぃ~貸しておけ!きっと・・信州で浴びるほど飲ませてくれるはずだ!」
「いいよ!先生!それで手を打ちますよ!」
「お・・お前等には・・敵わん!コレ撤去出来るか?」
「もちろん!出来ますよ!後で・・やっておきますから・・・」

僕と佐々木クンは兄さんと共に、生徒用の部屋に踏み込んだ。まあ、この部屋には僕たちも忍者部隊も何も仕掛けていない。本当はタバコの吸い殻に、ポケットウイスキーの空き瓶が転がっていたんだけど、綺麗に掃除しておいたのだ。そうしなきゃ・・とばっちりで対抗試合禁止になったら、いくら弱小運動部でも可哀そうだ。

「ここにはありませんねぇ~」
「そうだな!なあ・・弟!」
「なんですか?兄さん。」

僕は佐々木クンが南京錠を外すのを手伝いながら、聞き返した。

「まさかとは思うがコレで終わりじゃあるまい!」
「勿論・・・・さあ・・締めと行きましょうか!理事長先生にももうひと泡吹かさせねば・・・」

佐々木クンと兄さんを促し、階下へ降りる。勿論、生徒監禁用の南京錠も“証拠品”として理事長先生の前に並べねばならない。
僕たちが教官室に入ってゆくと、次から次へと“戦利品”を抱えた仲間達とあきれ顔の各クラスの担任たちが続く。そして、次々と理事長先生の立ちつくす前に、山の様に積み上げてゆく。

「これで全部かね?」
「この部屋以外は全部廻ったよな?みんな!」
「ああ・・・後はこの部屋の天井裏だけ・・・」
「理事長先生!申し訳けありませんが、この部屋も徹底的に調べる必要がありますので、そこ退いていただけますか?」
「何を言っているのかね?」
「はあ・・理事長先生の後ろにある押し入れとかまだ、見てませんし・・・・」
「そうか・・・そうだったな・・・」

理事長先生が仁王立ちになっていた押し入れの中に潜る佐々木クン。兄さんは押し入れの上の天井裏の板をどけた・・・

「うわぁ~」

兄さんを押しのける様に、仕掛けておいた秘密のアッコちゃんと名付けた。抱っこちゃん人形が、とある公立中学校のセーラー服を着たまま飛び出してきた。それと同時にビリビリに破いたセーラー服に引き裂かれた下着を詰め込んだビニール袋が転がり落ちた。

「おっ!ここにも・・何かあるぞ!」

佐々木クンはもうひと袋のビニール袋と写真部傑作作品の束を引っ張りだした。
僕はミサに合図を送り、ミサがカオリを突く。

「校長先生!私どもこれ以上は致しかねます。これで帰らせていただきますわ!」
「ひ・・ひとつ・・こ・・これは内密に願いたい!」
「いいえ!それは出来ません!警察に通報させていただきますわ!」
「そこを・・ひとつ・・・理事長先生!何か仰ってください!」
「まあ・・そのなんだ・・・ちょっとみなさん。事実関係を追及しますんで、少々待ってくれんか?佐山先生!皆さんをあちらへご案内して、お茶でも差しあげてくれんか?」
「はい。皆さんあちらへ・・・」
「ぶ・・部長クン!そして社会関係奉仕部の諸君!ちょ・・ちょっと外へ出ててくれんか?」
「どうしてです?先輩方はいいんですか?僕たち疑われたままですしねえ~警察呼びましょうか?」

僕は理事長先生に“爆弾”を投げつけた。そこを放送部の先輩たちは録音をし、新聞部の先輩たちは“証拠の山”の写真を撮るのに忙しかった。それすら眼中に入って居ないほど、完全に頭がいかれてしまったのだろう。

「キ・・キミタチ。理事長命令だ!ただちに止めたまえ!」
「横暴だ!佐々木!お前の親父に証拠の山渡して、PTA総会で吊るしあげてもらうか?」
「えっ!」

理事長先生は驚いたようだ。校長先生が理事長先生に耳うちした。多分、佐々木クンの親父がPTA会長であることも忘れてしまうくらい、カッカしているみたいだ。

「と・・とにかく、キミタチを疑ったことは・・謝らねばならん!この通りだ!」

理事長先生は僕たちに向かって深々と頭を下げている。校長先生まであわてて頭を下げているのが、妙におかしかった。

「キミたち!理事長先生に校長先生が謝っておられるんだ。そのぐらいにしておいてくれんか?」
「はい!学年主任先生がそうおっしゃるのなら・・いいな!みんな!先輩方も宜しいですね!」
「ああ・・・そうしておくか・・」
「すまん!ちょっと外へ出ててくれんか?」
「判りました校長先生!あっ!」
「どうした!部長!」
「水・・水・・出しっぱなしでしたぁ~止めなきゃ!失礼します!」

僕がお辞儀をすると仲間たちもそれに続いて飛び出してきた。立ちつくす僕たちの目の前はすっかりあたり一面
沼になってしまったグランドが拡がっていた。

「おい!被害が増える前に・・水止めなきゃ!」

ひとつの穴を満たすのに20分ほどの水量を流し込んでいたのだ。鬼クマを救出してから、すでに2時間以上経とうとしているわけで、とっくに・・テニスコート2面分くらいのグランドが水浸しになっている。

「了解!止めてくるわ!」
「ああ・・頼む!しかし・・どーすんのかねこれ!」
「いいんじゃない?汚いモンも全部流れてしまったし・・・」

僕たちがグランドに出来た“沼”を眺めていると、兄さんこと学年主任が飛び出してきた。

「どうだ?どうなったんだ・・・おまえら!」
「はあ・・・ご覧の通り、沼になっちゃいました!」
「ああ!こいつは・・・」
「どうしましょ?」
「知らん!どこから手をつければいいのか・・・とにかく、お前等の勝利だな!」
「はあ・・どうなるんですかね・・・さあな!誰かは責任を取らされるだろう!お前!何か言い残したことあるんじゃないのか?」
「誰にです?」
「元監督と熊田元教官にだ・・・」
「元?それじゃあ・・・」
「ああ・・懲戒免職だな熊田教官は・・監督はどうなるかだが・・・監督ではいられないはずだ・・・行って来い!」
「いいんですか?」
「ああ・・・今のうちに言いたいこと言っておけ!」
「はい!兄さん!」

僕は一礼すると合宿所に忍び込んだ。教官室を覗くと二人が転がされていた。

「失礼いたします」

僕は丁寧に一礼した。何しろ礼儀だけはうるさい学校なんだから、仕方がない。

「監督ぅ~いや、元でしたっけ?大丈夫ですか?痛むんじゃないんですか?」
「ふざけやがって・・・」
「あはは・・・ひとつ、いい事教えましょうか?これで2度目ですよねえ~今年一年で骨折されたの・・」
「それがどうした!」
「良く言うじゃないですか・・2度ある事は3度あるって・・・それに・・・」
「それに?なんだ!」
「3度目の正直って言いますからねぇ~こんな馬鹿を親分にしておくと・・いずれ、あの世かな!」

ニヤリと笑う僕の顔を見て突然震えだす監督。いや、元監督。ガタガタと震えだす。

「それと・・もうひとつ。僕。陰陽師なんですよ!お二人に呪いを掛けさせていただきましたので、」
「た・・助けてくれ!」
「ふ・・ふざけるな!おい!こんな馬鹿の言う事聞くんじゃない!叔父が何とかしてくれる!」
「そうですか?あんまり興奮されると・・毒が廻りますよ!何でしたら、また蛇を遣わせましょうか?教官は蛇が好物でしたよねえ~今度はちゃんとトドメをささせますから!監督にもね・・」
「ふ・・・ふざけるな・・・」
「そうですか?今、枕元に置いてある蛇生き返らせましょうか?」

僕が呪文を唱えようとすると・・・元監督は折れている手を一生懸命僕の方に差し伸べた。

「た・・助けてくれ!この通りだ!こんな馬鹿とは縁を切る。こいつとtsるんでいると碌な事がない!」
「何を~てめぇ!誰のお陰で・・クビにしてやる!ついでに!部長!お前もあいつらも纏めて退学だ!」
「そう出来るといいですね・・・熊田教官!」
「今何て言った?」
「さあねえ~熊田のおっさん!あんたは懲戒解雇らしいですよ!元監督は処分はこれかららしいですけど・・・」
「何を!・・うっ・・く・・・くるしい・・・」
「だから言ったでしょ!興奮するから蛇の毒が廻ったんですよ!今、先生方呼んできますから・・・」

僕は教官室を飛び出し、緊急ミーティング中の部屋へ飛び込んで怒鳴った。

「大変です。熊田教官の様子がおかしいんです!」
「何!こうしちゃおられません。理事長!救急車呼びますよ!」
「あんな馬鹿!死んでくれた方が・・・」
「何を言うんです。大事な姪御さんの旦那ですよ!田中先生!救急車呼んでくれたまえ!」
「はい!校長先生!」
「部長クン!悪いが門の外で救急車を誘導したまえ!佐山先生も・・・」
「はい!」
「承知しましたわ!行くわよ!部長!」
「それから・・看護婦の皆さん!申し訳ないんだが・・・」
「仕方ありませんわね・・・」

カオリが洋子とミサを促し、教官室へ向かい、僕は美希と一緒に門の方へ向かう。

「どうしたの?何かまたしたわけ?」
「ううん。ただね・・ちょっと脅かしただけ!蛇生き返らせるぞってね・・・俺、陰陽師だもん。ニセモンだけど」
「道理でね・・・ところで、毒蛇居たんだっけ?」
「居る訳ないでしょ!地区長もマムシは呉れなかったモン!」

門の外へ出ると、優子とミミが駆けてきた。忍者部隊の大沢クンも帰ったと見せかけて待っていてくれたのだ。

「お~い!部長ぉ~」
「おお!大沢!待っててくれたのか?」
「ああ・・全員に連絡網まわさなきゃ・・・で!首尾は?」
「上々だな!鬼クマは懲戒解雇だそうだ・・・」
「本当ですか?佐山先生!」
「ええ・・・あれだけ“犯人扱い”にされればね・・・キミタチの勝利!」
「やったぁ~みんなに連絡しておくわ!ところで、お前何してんの?」
「救急車待ってるの!鬼クマが呼吸がおかしいんだ!」
「ほっておけばいいのに・・」
「まあ・・そう思うけど・・・人命だからな、一応。じゃあ・・連絡頼む!」
「判ったぁ~じゃあ!佐山先生!失礼します!」

大沢クンはペコリと頭を下げると、林の向こうへ走って行った。彼の自宅は林の向こうの新興住宅地の中にあるのだ。遠くからサイレンが聴こえる。これで僕たち普通科1年は楽しいクリスマスをそれぞれ迎えられるはずだ。
僕はサイレンの音に耳を澄まし、鎮守の森に思いを馳せていた。これで、長かった僕たちの戦いは終止符を打つ。

「優子ぉ~みんな元気かな?」
「元気よ!私たちは・・・」
「そうじゃなくて・・・鶏と魚たち!」
「そうね!元気になるわ!あなたが帰ってくるんだから・・・」
「うん・・」

僕は道の真ん中に立ち、静かに遠いそらに沈診掛けている夕日を眺めた。身体はここにあるのだけど、僕の思いは先に鎮守の森へ帰ってゆく。

「やっほぉ~!」 僕は最後に勝利の雄たけびを上げたのだ。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第最終話 後始末に続く・・・・







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アイ

こんばんは。いつもありがとうございます。記事を楽しみにしています。
by アイ (2010-02-27 19:09) 

chunta

昔はみんな こんな高校生でしたが
最近はどうも 覇気が無いよね
みんな 内職してると聞きますよ
こういう「遊び」はしないみたい 笑
これも 草食男子時代の弊害?
by chunta (2010-02-27 21:59) 

かずっちゃ

オストドさま
ご無沙汰しております。
いつもご訪問していただいてありがとうございます。
オストドさまもご存知かもしれませんが、ワタシちと凹んでおりまして、オストドさまのところには全快してからと思い、今日になってしまいました。申し訳ありませんでした。
これからもよろしくお願いします!<(_ _)>
by かずっちゃ (2010-02-27 23:41) 

pandan

こちらこそいつもありがとうございます。

by pandan (2010-02-28 07:18) 

citron

いつもご訪問ありがとうございます。
最終話も楽しみにしています。おもしろくて
惹き付けられます。
by citron (2010-02-28 07:57) 

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