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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第4話  [ひとりごと]

はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

「成狼式の帰りに」 4

階下ではそろそろ・・・お客さんが来店しはじめたようだ。
でも・・・僕の出番までは・・まだ30分以上はタ~ップリあるのだ。

「さあてと・・・終ったぁ~」 

僕はテーブルの上にシャープペンを放り出しため息をひとつ吐いた。美希は解答集を見ながら、赤ペンを走らせる。

「やれば出来るじゃない[揺れるハート]・・・今日も・・いい出来ね。・・・ご褒美あげなくちゃいけないかな?」

そう言いながら僕を覗き込み、熱いキス。僕の脳みそはフル回転で計算を始めたんだけど・・・
さっき・・2回戦しているので、出番までの30分じゃ・・一戦は無理。それにまだ今日の楽譜の準備をしていない。

「さて・・ステージの準備しなきゃ・・・」
「あん[揺れるハート]もう・・いじわるなんだから・・」

美希はすっかり出鼻をくじかれたようだった様だったのだが、それはそれで仕方がないことだ。
だって・・・僕のステージの時間は決まっているし、アルバイト料を貰っていながら勉強の時間に充てられているのだから・・・

「しょうがないじゃん。あと・・30分で出番だもんね。今日も満席なんだし・・・」
「じゃあ・・私・・下に行って手伝ってくるか・・・紗江子からタ~ップリアルバイト料取らないと・・・」
「うん。でも・・・家賃タダにしてもらったじゃん。」

僕のアルバイト料と美希のアルバイト料で、家賃は相殺にしてもらっている。まあ・・レン’sナイトをやれば・・1晩で1週間分の売上と利益を紗江子は手にすることになっているわけだし・・・お互い損はない。
それに・・・食費とか洋服代とか美希は一銭も受け取らない。受け取っても僕の洋服を買ってきてしまう。

「そうね・・・」
「それに・・・チップだけでもかなりの額もらえるし・・・高校生のアルバイトでは破格だよ。」
「じゃあ・・手伝ってくるわね。」

下に降りて行こうとする美希を後ろから抱き締める僕。

「美希に一曲プレゼントするからね・・・ボズ・スギャッグスのWe’re all alone」
「私のためだけ[揺れるハート]?・・・」
「もちろん・・・」
「歌詞は英語?」
「残~念。発音が出来ませ~ん。日本語の訳詩があるの・・・それに、俺、この曲好きなんだよね・・・」
「うん。楽しみにしているわ[揺れるハート]

もう一度キスを交わすと美希は階下のお店に降りてゆき、僕は今日の曲の構成に頭をひねり、楽譜を順番に揃え、進行表を万一のために用意して、時間になったので、“制服”に身を包み、僕も階下へ降りてゆき、ピアノの前に座った。
もちろん・・・オープニングの曲は変わらないし、変えるつもりもなく・・・ミスターロンリーのまま・・・
このオープニングに3曲弾き終われば、“ごあいさつ”のスタイルも変えない。
(ミスターロンリーの音源はこちら・・・からどうぞ!)
もちろん・・・1曲目から歌うほど・・・僕はそこまで・・・図に乗れないから・・メロディーのみだけど・・・

「レンです。本日もレン’sナイトへお越しいただきましてありがとうございます。また・・本日も満席のご予約をいただきまして感謝いたします。では・・・本当はあんまり歌の方はちょっと・・・まあ・・ピアノの方がまだマシなんですけど・・どうしても・・・との声もあるとかないとか・・・それでは・・・いつもこんな僕を支えてくれる人へ・・・僕の好きな歌を贈りたいと思います。We’re all aloneを・・・聞いてください。」

僕の指先はゆっくりとイントロを刻みだしてゆく・・・そして僕は歌い出したのだ。

「静かに今。窓の外を濡らして震えれば、悲しみさえ忘れて煌めく。目を閉じて時のままに二人漂えば、何もかもが愛へと流れゆく。まるで世界が二人だけになったようで、抱いて温かいその腕で~。
移りゆく人生なら風に解き放ち、二人はゆくだろう。まるで世界が二人だけになったようで、抱いて温かいその腕で。We’re all alonne。all alone.まるで世界が二人ふだけになったようで抱いて温かい。その腕で~ We’re all alone。 」
(原曲の音源は・・・http://www.youtube.com/watch?v=NkZGAscEdLw・・・からどうぞ!)

歌い終わり、拍手の中、美希の方を見ると泪を流しながら僕に拍手お送ってくれていた。
これは・・・お客さんのために歌った歌ではなく、美希のためだけに歌った歌だ。
もちろん・・・紗江子のためにも・・止せばいいのに・・「愛のメモリー」も忘れない。
1ステージ1時間。30分ほどの休憩を挟んで1時間の予定だったんだけど・・・アンコールをいただき・・・
ノリまくり30分程の追加でこの日のステージは終了した。
午後11時半に営業を終了。お店の看板を店の中に入れ、ドアのカギを施錠する。
紗江子と美希は売上の計算をしている。もちろん・・・カクテルグラスを横に置いて・・・
僕はそんな二人のために・・・ムーンライトセレナーデとかを優しく弾くだけ・・・・

「終ったぁ~」 僕のチップを数えていた美希。
「こっちもぉ~」 売上を数え終わった紗江子。
「どう?儲かったぁ~?」
「ばっちりよぉ[揺れるハート]~アルバイト代弾むからね」
「だ・か・ら・・・家賃と相殺でいいよぉ~チップがあるし・・・・そうだ・・美希。チップは?」
「3日間トータルで10万円を超えましたぁ[揺れるハート]~」
「やったぁ~」
「うん。レンちゃんに飲ませてって置いて行った分も入れると・・・もっとあるけど・・・」
「それはいいよ・・・紗江子とっといて・・・」
「いいの?」
「うん。これでみんなにクリスマスプレゼント買えるなぁ~」
「何くれるの[揺れるハート]?」美希が微笑みながら聞いてきた。
「それは・・・ヒ・ミ・ツ・・・秘密のアッコちゃん。!」
「そうなの[揺れるハート]じゃあ・・聞かないけど・・・それより・・・ゆっくりとしましょうか?美希・・・」
「そうねえ[揺れるハート]そうしましょうか?紗江子[揺れるハート]

僕は二人の中に棲喰う何かを感じた・・・

「お・・俺寝るからね・・・もうクタクタなんだから・・・・」
「そうは問屋が卸さないってね・・・ねえ~美希。」「うん。私も火が点いちゃったもん[揺れるハート]

自業自得なんだけど・・・この際、叫ばせて貰うことにした・・・・

「ぎゃあ~」

僕は二人に両脇を抱え込まれ・・・2階の魔女の巣窟へ連れられてゆく。どうやって・・この窮地を脱すればいいのだろうか?まあ・・・何をやっても・・・無駄なような気がするけど・・・・



「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第5話へ・・・続く・・・ 















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