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「僕たちに明日はあるのか」 VOL5 [ぼくたちのシリーズ完結編]

-サプライズ 4-

この日はいつも厳しい。何しろ、時差の波を乗り越え、ついでに

太平洋を飛び越え、おまけに目が醒めてから、延々と続く大地を眺め

まあ、僕はこの間に、ギャレーで休憩中のCAのクルーミールを分けてもらったり、

「リンゴ食べる?」

「うさぎさんにしてくれるなら・・・」とか

まあ、僕よりお姉さんたちには違いないので、“特技”を使う。

偶に、美味しい思いもあるけど、「空砲」も多くなる。

まあ、「下手な鉄砲数打てば当たる」というけど、弾倉が空になる頃には、

数発の”命中率”になっているので、まあ、たのメンツよりは、マシなのかもしれない。

ギャレーで、お姉さま方にタバコをむしり取られ、まあ、飛行機が動き出す前に

「免税品」のタバコを数カートン持ってきて貰っている。

「添乗員さんは今晩はどこ泊まり?」

「酷いんだよね。この仕事。シカゴから、トロント。そして、ナイアガラまでバス」

「ご愁傷様!でも、トロントには・・待っているんでしょ?か・の・じょ!」

「居るわけ・・ない・・でしょ!」

僕は少々焦り気味になる。「強いて言えば、特定は居ないだけ」が正解なのだけど、

「さてと・・・この辺で退散しないと・・・いけないかな・・・」

この間に”早業”で、数人の連絡先は入手している。いや、手渡されている。

「じゃあ!ご馳走様!少し寝ないと・・・」

そんな「事」をしているから、寝不足になる。寝不足になるから、バスの中で寝る。

こんな生活は、「身体に良いわけはない。」

昨日は、朝起きて、一番のリムジンバスに乗り込んだのが、朝の6時だった。

8時にカウンターの一角を占拠して、受付を開始して、飛行機の出発は、12時。

十数時間のフライトを経て、シカゴ。そして、その4時間後に出発で、

トロントへ飛び、この日2回目の入国審査を経て、バスでホテルに入ったのが、

もう夜。ホテルのレストランで夕食を食べて、諸々の雑務をこなした。

今日は、朝から、ナイアガラ観光にトロント市内観光。

ナイアガラでは、1時間で1周する展望レストランで、

お客様には、景色と昼食を楽しんでいただいている中、僕は階下にある

ビュッフェレストランで、ガイド嬢を口説いているのか?

それとも、純粋に食事をしているだけなのかは、毎度の事になっていて、

トロント市内のレストランでは、巨大なロブスターと格闘して、

夕方に高級リムジン数台に分乗して、佐々木クンと白〇クンには、

一枚数十万円のミンクのコートを売りつけ、CNNタワーで夜景を楽しみ、

そして、今。僕はホテル最上階のバーで、ご機嫌になっている奥様を

連れ、すっかり毒気が抜かれた佐々木クンと白〇クンの五人じゃなくて、

ついでに、ガイド嬢も同席しているので、6人で飲んでいた。

「まあまあ・・・”乾杯”だな・・・お前らけれで・・・くっくっく・・・」

「あ?て・・てめえ~」

「奢るからさ!好きなの飲めっ!」

「いいのか?」

「ああ・・・その代わり、飲みすぎに“気をつけろよ”新婚さん!」

この日は売上が良かった。佐々木クンと白〇クンは、「破産」と喚いていたけど、

そんな事はどうでもいい話で、僕の懐は温かかった。

ついでに、お小遣いも別に貰ったので、奢るだけだけど・・・

「しかし・・・ジュニアは死ぬまで馬鹿だったな・・・」

「まあな・・・まさか、墓の前でお前らに遇うとは思わなかったけどな・・・」

「そうだな・・・墓の前でみんなで飲んだっけ・・・」

僕たちが飲んでいるのは、ジュニアが愛した「バーボン」だった。

その後、他愛もない話をして、”早々”に引き上げた。

何故なら・・・彼らは、新婚さんだし、僕にもこの後の「用事」があった。

翌日の朝。すっかり・・目の下にクマが出来ている。僕たち悪たれ連と

一段と輝きを増している奥様方とそして・・・が、居た。

「おう!・・・・」

「おう!じゃなかった・・お客様!ごゆっくりお休みいただけましたか?」

「お前も・同類だろ?」

「そうですねえ~多分。ところで・・・ハウメニー?」

「足りっかな?後、何泊だっけ?」

「本日はジャスパーでお泊りいただいて、明日からバンフで2泊。バンクバーで・・」

「一泊だろ!身体持つかな・・・」

「持てばいいですねえ~ビタミン剤で宜しければ・・・ホレ!」

黄色く見える太陽を見ながら、僕と佐々木クンと白〇クンは、僕が手に入れていた

「マムシトスッポンを粉にしたモノに、中国4千年の歴史の漢方薬」と

もしかしたら飲みすぎかもしれないけど、ビタミン剤を10錠ずつを

ミネラルウォーターで流し込んだのだ。

「お客様!そろそろバスにお乗りいただくお時間です。

僕たち「悪たれ連」は、ノロノロと絞首刑に向かう囚人の様にバスに乗り込んだ。

オマケになるけど、ガイド嬢の手元には、昨夜。僕が肩にかけた。ミンクのショールが

入った紙袋が握らてていたのは言うまでもない。

バスは、乗り込んだ途端。爆睡モードに入った「僕たち」とお客様を乗せ、

一路、トロント国際空港へ向けて走り出していた。

-サプライズ 5-に続く。




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