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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第61話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

こっほん・・開幕でございます。

僕です。どうやら、大丈夫みたいでした。まあ、ヘッポコ(未来の僕です)が直したので、性能は保証致しかねますが、多少、乗り心地は悪いんですが、開演とまいりましょう。
それでは、皆様、僕たち“悪たれ連”こと社会関係奉仕部の面々が一番かがやいていた・・
昭和50年代へご案内いたしたいと思います。
それでは、準備は宜しいですか?
では・・・ご一緒に・・・タ~イム・・スリップ・・・

「狂騒曲 第5番」(9)

僕以外の社会関係奉仕部の面々は揃いのツナギに着替えていた。
背中には、社会関係奉仕部の文字とオオカミの絵がプリントされている。
まあ、僕たちのユニフォームだ。僕は鎮守の森で畑や鶏たちの世話をしているときには、真っ赤なツナギを着ている。背中には、MIKO’Sの文字が入っている。出来れば、保護色が良かったのだけど、それに白い長靴を履き、首からは大体、ピンク色のタオルをぶら下げている。ついでに言えば防寒用のジャンパーも同じ色で揃えられている。まあ、鎮守の森以外での“校外活動”では、僕も狼’sのツナギを着る。
これは、佐々木クンのお父さんからの提供である。
まあ、佐々木クンの家には結構お世話になっている。何しろ、古典の景山のアホ教師を追放した時には、佐々木クンのお母さんの経営している古風な“連れ込み”を使用させてもらったし、今では僕たちの校外部室と化している佐々木クンのモノである。古ぼけたバラック小屋の提供とか、そうそう・・やはり、系列の葬儀社からは、棺桶と霊柩車の提供も受けた。今でも、佐々木クンの家の運送会社の、あるドライバーは僕たちに代わって、せっせと注文に応じた“ウラ本”を運んでくれているし、そう言えば、3年生への報復にも、佐々木クンのお父さんの愛人の店も使わせてもらった。
本当は社会関係奉仕部のメンバー全員で、楊ママの家の掃除をさせるつもりだったのだが、“例の黒服マネジャー”。そう、僕を“変な奴呼ばわりした奴に、何やら耳うちされ、裏庭へさっさと消えて行ってしまった。
僕は僕で・・楊ママと楊おじさんに・・嫌!と言いたくなるほど歓迎で抱きしめられていたので、どうにも出来なかったのだ。

「Q・・・着替えてらっしゃい!ミーの部屋覚えているわよね?」

僕はコクンと頷き、勝手知ったるセントラル階段を駆け上がり、ミーちゃんの部屋に入って行った。
そこだけは、時間の流れが止まったままだった・・・
そう・・・亡くなったあの日のまま・・・時間に置き忘れられた陽の当たる白い部屋の片隅のテーブルの上の壁には、幼かった僕とミーチャンの教会で撮った最後の写真が、大きく引き伸ばされ飾られていた。

「うっ・・・」 

僕は言葉を失った。そこには紛れもなく、天使の様に微笑んでいるミーちゃんと、ちょっとふてくされ気味で、顔を真っ赤に染めた幼き日の僕が写しだされていたのだ。

「あなた・・用意できたぁ~?」 

優子が部屋の外から声をかけてきた。まるで、ミーちゃんに声をかけられている気がしたのは、きのせいだろうか?

「いいや・・もうちょっと・・・ネ・・ネクタイがね・・・上手く結べないんだ・・・」
「しょうがないわねぇ~」

入ってきた優子を観て僕は正直驚いた。僕は壁に掛っている写真と優子を見比べた。
まるで・・・写真からミーチャンが抜けだし、成長している。

「ゆ・・優子ど・・どうしたの・・それ?」
「ああ・・これ?楊ママに無理やり着させられたのよ!似合う?」

一回転して見せる優子。そう言えば、ミーちゃんも同じ様に廻って僕に見せたっけ・・・・

「ま・・まあまあ・・かな・・・」
「ぷっ!・・・・」

突然優子が噴き出した。まるで、僕の答えを予測していたみたいに・・・・

「ど・・どうしたの?怒らないの?」
「楊ママの言った通りだったわ・・・どうせ、あなたは、まあまあかなって言うだろうって・・・」
「へっ?」
「ミーちゃんにもそう言ったんだって・・・あ・な・た・は・・・・」
「そう?じゃあ・・進歩のかけらもないのか・・あの時から・・・」
「さあ・・行きましょうか?もう・・2時間近く過ぎているの知っている?」
「えっ・・そ・・そんなにまだ、30分くらいかと思ってた・・・」
「どうしちゃったの?」
「解らない・・・じゃあ・・・行こうか?」
「うん。」

どうやら、楊ママは昨日のステージに飾ってあったミーチャンのウエディングドレスと同じ物を、優子のサイズでもオーダーしていたのだ。ただ・・・一点違うのは、翼だけが背中に無い点を除けばである。
優子の手を摂り、階段を静かに降りる。階下には、巫女’sの面々とリリーズである。紗江子と美希が、やはり楊ママが用意した真新しいチャイナドレスに身を包んでいた。勿論、試験を終えて駆けつけてきたミミも神妙な顔をして、同じ様にチャイナドレスに身を包んでいた。

「あれ?あいつらは?」
「庭掃除終えて、今、お店の掃除に引っ張っていかれたわ!」

僕の問いに美希が答える。まあ、こんな姿を見られたら、また、いくら奢らされるか解ったもんじゃない。

「そう・・・・」
「じゃあ・・行こうか?」
「Q・・・その前にお願いがあるの?」
「何を?ママ・・・」
「もう一度・・・もう一度だけミーにピアノ聴かせてやって欲しいの・・・」
「えっ?だ・・だって・・・ピアノは店・・・・」
「それがねえ~ココにあるのよ!」 

紗江子が当然と言う顔で僕に語った。

「えっ・・・ええ~ど・・どうやって・・・お店のはどうするの?」
「Q!あなたには・・新しいのを用意しておいたわ!ミーのピアノは返してちょうだい!」
「いいけど・・・どこにあるの?」
「それも・・・いつもの部屋・・・あなたが、ミーと一緒に遊んでいたサンルームに・・・」

僕たちは揃ってサンルームに移動した。そこには小さな祭壇が設けられていて、ミーちゃんは静かにそこに居た。

「優子・・・ミーをあなたが抱いて上げて・・」
「はい!ママ・・・」

優子の胸に大事に抱かれたミーちゃんのために、僕はもう一度だけ、小さな恋ノメロディーを特別にアレンジしたものを弾き、エリゼーのためにと最後にアンチェッド・メロディーを弾きながら歌った。
僕は優子からミーちゃんの骨壷が納まった小さな木箱を受け取り、ミーちゃんのために、書いた直筆の譜面と共にしっかり抱きしめた。その瞬間・・・

「ありがとう・・・」

僕の胸にミーちゃんの言葉が響き、僕はコクンと頷くと用意された車の助手席に乗り込んだ。
楊おじさんは耐えきれなくなったのか、突然に姿を隠し、店に戻っていったのだ。
お墓に着くと異様な光景だったろう。何しろ、タキシード姿の僕が先導されて木箱を抱き、ウェディングドレス姿の優子が後に続き、その後ろを楊ママが歩いているのだ。
僕は自らの手で、ミーちゃんをお墓に納めた。勿論、優子と楊ママに抱き締められてからではあったが・・・・
ここまでは、予想の範囲であった。まあ・・多少、予想からずれては居たけど・・楊パパの口癖の“無問題”の範囲かもしれない。
だが・・・この後、僕はとんでもない事になるのだが・・・・それはまた、次回・・・・

「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第62話へ・・・続く。
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乃亜

こんばんは~
何とか復活しました。

入院中、コメント有難うございました。
これからもお邪魔させていただきます~

by 乃亜 (2010-01-20 00:08) 

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