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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第2話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
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高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

風に吹かれて・・・②

「カオリさんちょっといい?」
「いいけど・・何?白○クンの剃毛もしなくちゃいけないしね・・・手術室に運ばなきゃいけないのよ?」
「判っているけど・・ちょっと!毛を剃るんなら・・コイツラにでもやらせておけばいいさ・・」

僕はカオリの腕を引っ張ると、白○の病室から引っ張り出し、階段の踊り場まで、腕を離さなかった。
白○クンが“母子家庭”なのは、入学したその次の日には、僕は知って居た。何しろ“委員長”の職務の一つに授業の円滑な進行補佐が含まれているのだ。例え、“腐りきったリンゴと腐りかけているリンゴ”の混合クラスでも、授業にやってくる先生は居る。全ての先生が“生徒の事情”を知っているわけではない。
持参される出席簿には、名前と学籍番号と出欠の印が付けられる欄しかない。
従って、先生方が自ら自爆するのは勝手だけど、生まれつきの病気を持っている奴とか、少々精神状態のおかしい奴。まあ、それを言えば僕たちのクラスにまともな奴などいないのだけれど、所謂“諸事情”を把握し、サポートするのも委員長の役目。入学式の翌日と翌々日に渡って僕は、担任であるキー先生に誓約書を書かされ、
“エンマ帳”の一部であるファイルを見せられたのだ。もし、僕が他言し、発覚すれば、僕の学籍番号は消される。退学なら、高校中退とでも書けるけど、中卒扱いにされてしまう。
その中に、退学して行った渡辺クンの病気についても書いてあったし、佐々木クンがなんでダブリーなのかも書いてあった。勿論、僕が父親しか居ないことも書いてあるくらいだから、白○クンが“母子家庭”であることも明記されていたのだ。


「一体どうしたの?」
「あのさぁ~言いにくいんだけど・・・そのぉ~」
「男でしょ!はっきり言いなさい。」
「うん。あのね・・・白○んとこ母子家庭でさ・・とても・・個室とか・・その・・・」
「もしかしてお金の心配しているの?」
「そうなんだ。一応、裏バイトで活動資金として貯めたお金なら、40万はあるけど・・・」
「あのね・・ここどこだと思っているのよ!」
「ボッタクリ病院!それで白○が入っている部屋はボッタクリ部屋・・・」
「怒るよ!」
「怒っているじゃん!」
「なんだかんだ言いながら・・あなた達は・そこまで心配しているのね?」
「うん・・・あいつんとこ・・・母子家庭でしょ・・・キツイと思ってね・・・」
「大丈夫よ!お金なら学校から貰ったからね・・」
「へっ?」
「口止め料だってさ・・全部で100万円」
「ワァ~オ!」
「それで払えばいいじゃない・・どうせあなた達に返すつもりだったんだし・・・」
「俺らも貰ったよ・・・30万円だったけかな・・・」
「とにかく・・・健康保険もあるし・・大丈夫!自己負担ゼロにすればいいんでしょ?ここは私の家の病院だし・・・」
「うん。そうしてくれると・・あっ!そうだった・・総婦長はお母さんだよね。院長はお父さんだし・・」
「そう言う事!その代わり・・」
「その代わり?」
「また!ボランティアよろしくね!全員分の着ぐるみ用意してあるから・・じゃあ行くわよ!」
「うん。」

カオリと僕が病室へ向かうとその途中・・・・

「ぎゃぁぁぁぁ・・」

白○クンの叫び声がした。慌てて様子を見に行くと、青○クンがカミソリを持って近づいた途端、薬が切れて目覚めた白○クンが叫んだのだ

「あ・・青!お前!馬鹿はよせ!」
「だって、部長がやれって言ったんじゃないか!」
「冗談だ!ボケ!大丈夫か?白・・・」
「ああ・・この馬鹿どこかへやってくれ・・イタタタ・・・」
「はい!見世物は終わり・・みんな廊下に出てて頂戴。バイキンだらけなんだから・・」

ナースの制服に着替えた優子がやってきた。

「ひでぇ~言われ方・・シャワー浴びて、全身消毒薬まで浴びたのに・・・」
「まあな・・・みんな!出てようぜ!まあ、青の馬鹿が大事なとこ。切らなくてよかった・・・」
「そうだな!部長!由香ちゃん2号に殺されかねなかった・・」
「そう言う事・・・・」
「ホラ!キミタチ行くわよ!」
「は~い!」
「行くよ!由香ちゃん!廊下で待っていよう!」
「うん・・白○のお兄ちゃん大丈夫?」
「そうさな・・こいつは殺しても死ぬやつじゃないからね・・大丈夫だよ・・行くよ!」

僕たちは廊下に出て、白○クンが運びだされる所を見送ることにした。僕たちの中には、誰も病院で手術を受けた事が無い。入院経験だって、僕が小学校の頃、通学のために乗っていたバスから、降りる際に高校生や中学生のお姉さま方に押されて、頭から道路に落っこちて、強制的に病院に入院させられたことぐらいしかない。
仲間たちに言わせると、パラダイスな生活だと言うけれど、小学生だった僕にとっては、毎日、窒息するくらいだった。何しろランドセルを背負っているだけでも、大変だったのに顔は、お姉さま方のお腹とか胸に強制的に埋められていたんだから・・まあ、今なら大歓迎だけどね。

病室のドアが開かれ、白○クンがストレッチャーに乗って出てきた。どうやら麻酔注射を打たれたらしく、半分意識が遠のきながら、僕たちにVサインをしてみせたから、多分大丈夫なんだろう。

「ついでに・・解剖してもらえ!」
「そうだな・・それより、脳みそ交換してもらえ・・・」

僕たちはワイワイ言いながら、それでも心の中で、さっさと元気になれよ!と言っていた。少なくとも、僕はそうだった。エレベーターには乗り切れないので、階段をダッシュして手術室のある階へ降りると、ちょうどエレベーターが到着して、“もうーちょうがない”いや・・なくなる白○クンが降ろされてきた。
手術室の入り口で、手術室のスタッフに引き継がれた白○クンはドアの向こうに消えていったのだ。

「おい!部長!金の話は・・・」
「ああ!佐々木!OKだよ・・」
「そうか・・良かった!」
「うん。学校側が例の件の口止め料に100万払うんだって・・・それでやってくれるってさ・・・」
「あん?俺ら・・30万じゃなかったけ?」
「確か・・美希・・じゃなかった・・・佐山先生!」
「なあに?」
「俺ら30万で・・ナース軍団には100万って本当ですか?」
「カオリね・・・でも、いいじゃない。30万でも多いって話しあったのよ・・・」
「まあね・・・俺らが仕組んだんだから・・・」
「そうそう・・それね!新調した作業服!いいじゃない。」
「でしょ・・・おい!全員並べ!」

僕たちは順番に一列に並び、背中を見せた。

「し・か・い・か・ん・け・い・ほ・う・し・ぶ・・・何か忘れてない?」
「小さい“や”でしょ?白の分・・」
「なるほどね・・・全員揃って社会関係奉仕部ね・・・」
「そう言う事・・・さて、諸君!」
「あん?」
「暇だよな・・・」
「だから・・なんだよ?」
「ガキ共のところ顔出すか?」
「いいけど・・着ぐるみねえぞ!」
「あるらしいんだ・・・全員分!」
「げっ!まじめなのか・・それ?」
「うん。ボランティアも条件なんだ・・・入院費チャラの・・・」
「じゃあ・・仕方ねえな!一丁やるか・・・」
「おう!」
「みんな・・じゃあ・・・専用待機所へ案内するわね・・・」

カオリと優子に促され僕たちは廊下のベンチから立ち上がった。さっきから、座ったり立ちあがったり結構忙しい。

「美希先生は・・・」
「うん。白○クンのお母さんが、もうすぐお見えになるでしょ・・・由香ちゃんとここで待っているわ」
「了解!社会関係奉仕部。只今より・・奉仕活動に入ります」
「はい。許可します。がんばってらっしゃい!白○クンの分まで・・・」
「はいっ!」
「はい!じゃあ・・みんな付いてきて頂戴!」

僕たちが案内されたのは、地下2階の物置を改装した部屋だった。丁度、真上には、泣く子も黙る“霊安室”がある。

「ここなの・・やだな!何か出そう・・・」
「文句言わないの・・・昔の宿直室だったのよ・・・でも・・」
「でも?」
「聞きたい?続き・・・・」
「い・・・今は聞きたくない気が・・なあ~みんな!」

僕が促すとみんな首を縦に振った。何にしろ・・薄気味が悪い。

「なあ!部長!お前・・神主なんだから・・お祓いしろよ!」
「大麻も持ってきてねえよ!衣装も全部な・・・」
「神泉ならあるわよ・・・」
「ホント?じゃあ・・やってみるか・・略式でいいかな?」
「やだ!正式にやれ!馬鹿!」
「判ったよ・・・お供えとかないけど・・いいか?神様聞いてくれるといいんだけど・・・」
「ちゃんと持ってきたわよ!それにね・・・」

優子が電気を付けると、そこはちゃんと僕がお祓いを出来る様になっていたのだ。

「早く・・着替えて」
「うん。ついでに・・白○の病気平癒も祈願しておこうか?なあ!みんな」

一同に異存はなかった。僕が神泉でとりあえず、形だけ身体を清め、衣装を身につけ、祓詞を奏上し始めた時、ちょうど白○クンの手術が始まったのだ。

「かけまくもかしこき いざなぎのおおかみ。つくしのひむかの たちばなのをどの・・・・かしこみかしこみもうす~」

お祓いを終え、僕たちは全員用意されていた着ぐるみを着こみはじめた。
僕は勿論、ピンクのうさぎさん。佐々木クンはトラ。青○クンはパンダ。犬になった奴やネコ。ありとあらゆる動物が終結したのだ。

「なあ・・様にならねえよ!」
「仕方ねえだろ!佐々木!オオカミの衣装は全部学校にあるんだから・・・」
「まあ・・な!青のパンダよりはマシだな・・・」
「そう言う事・・・準備運動してから・・ガキ共の病室廻るぞ!」
「おう!」

僕たちは着ぐるみの頭をすっぽりと被ると、病院の玄関でストレッチ運動を始めた。そこへ白○クンのお母さんを乗せた一台のタクシーが滑りこんで来たのだ。
何度か白○クンの家に泊めてもらい、ゴハンをご馳走になっている僕は、お母さんを知っている。僕は仲間達に合図を送ると、お母さんを囲み、そのまま手術室の前へ連れて行った・・・
キョトンとしたまま・・僕等に従うお母さん。だって・・荷物も全部取り上げ、僕が“無言”で運び、トラの佐々木クンとワンコになっている。Sが、両脇を抱えて連行したわけだ。

「みんなどうしたの?も・・もしかして・・白○クンのお母様ですか?」
「はい・・このたびはお手数おかけしまして・・・」
「私。顧問の佐山と言います。今・・手術が始まりまして・・そうそう・・あなた達!被りモノを取ってご挨拶しなさい。」
僕は白○クンのお母さんの荷物をベンチに置くと、着ぐるみの頭を取ってご挨拶する。

「おばさん!お久しぶりです・・」
「キミは・・委員長クンで部長なのよね・・」
「はい。その節はご馳走様でした。みんな仲間です。」
「あなた達・・何をしているの?」
「これも・・・社会関係奉仕の一環で、この子たち!子供たちの慰問をしているんです。」
「そうなの・・」
「はい!じゃあ・・一回り廻ってきます」
「頑張るのよ!白○クンの分も・・・」
「はい!」

僕たちはそれぞれ手分けして廻ることにした。何しろ、面会時間があと・・10分しかない。
それぞれが持ち場である病室を廻り、優子達が予め用意してあったお見舞いのメッセージカードをそれぞれに配った。
僕たちは“一仕事”を終えると、病院の裏手にある小高い丘で風に吹かれていた。
汗だくになり、火照った顔に冷たい風が心地よかった。

「なあ・・そろそろ・・手術終るんじゃねえか?」
「そうだな・・この格好で行くか?」
「いや、着替えて行こうぜ!あいつの作業服持ってさ・・・」
「そうだよな・・じゃあ・・行くか!」

僕たちは転がり落ちる様に丘を下り、病院に駆け込んだのだ。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第3話へ・・・続く
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