SSブログ

僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第12話   [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

-少年よ!大志を抱け ⑩-

「て・・てめえら・・殺す!」

僕はピンクのうさぎさんの着ぐるみの頭だけ外して貰い。酸素マスクを装着していた。
何しろ、30分のステージで終わるはずだったのだ!それを・・4バカが、アンコールを連発させたので、僕は限界ギリギリラインまで・・つまり、酸欠と身体中が、蒸し器の中に投入された気分で、ぶっ倒れる寸前まで、特別に組まれたステージ上に居なければならなかった。
優子が止めに入ってくれなければ、今夜は僕のお通夜になっていたかもしれない。

「悪ぃ~な!こいつら・・バカだから・・・」

佐々木クンをはじめ、トナカイ’sが僕の着ぐるみのジッパーを外し、青○は、氷嚢で僕のおでこを冷やしてくれている。

「大丈夫[揺れるハート]?」
「まあね!なんとか・・・それにコレ見ちゃうとねえ~頑張らないと・・・」

それは入院中の子供たちが書いてくれた僕たち社会関係奉仕部の旗だった。
真ん中の上にピンクのうさぎ。そして、その下敷きにされているのが狼さんたち。
真っ白いシーツの上に描かれて居て、各自それぞれからのありがとうのメッセージと手形が押してある。

「だよなぁ~!」
「なあ・・この担架に乗っている狼・・誰だと思う?」
「白○だな・・」
「じゃあ・・ここで腹出してひっくり返っているのは?」
「青だろ・・・」
「じゃあさ・・」

僕たちの話は尽きようとはしなかった。部屋に拡げられたシーツの絵をみんなで眺めていたのだ。
時計を眺め、僕の気がえの準備をしていた優子。
何しろ、さっきまではピンクのうさぎさん。今度はエセピアニストとして、タキシードに着替えて演奏するわけだ。
仲間たちは、それぞれ会場で、車いすの人や介助を必要とする人々を手伝い、ついでにクリスマスプレゼントとして用意されている。一輪の花を配る事になっている。

「あなた!そろそろ・・シャワー浴びて着替えないと・・・」
「うん。優子・・解った!」
「じゃあ!俺ら会場整理に行って来るわ!その前に白○のところへ行って・・・」
「ああ!思い切り笑わせてやれ!腹が裂けちまう様にな!」
「あなた!それにみんなも・・・」
「じょ・・冗談だよ!あいつ寂しがり屋だからな・・・そうそう!兄さんに気を付けろ!」
「解った!同じバイトなら出会いがある方がいいもんな!」
「そう言う事!」
「あなた!」
「やべ・・・じゃあな!」
「おう!」

僕はシャワー室に飛び込み、汗だくになった下着を脱ぎ棄てると、熱いシャワーを浴びながら考えた。

「う~ん。どうやって逃げるかな?どうせ・・碌な話じゃないよな?」

僕たちが一番最初に“社会関係奉仕部”として、校外活動を命じられたのは、校長先生の愛犬がお世話になっている動物病院のお引っ越しだった。まあ、捨てる寸前だった“ちょっと高級な絨毯”を貰ってきて、学園中どこを探しても、これに勝る絨毯は無いと言われるものを、僕たちの指定席でもあり、現在では、僕たちの部室兼顧問である兄さんこと学年主任や担任のキー先生。そして、僕らに最近好意にしてくれる先生方の憩いの場。まあ、換気扇はあるし、喫煙とお昼寝には丁度いいらしい。一応、募金箱を置いてあり、1回50円の使用料を、ご寄付いただいている。だが、これは僕たちが設置したものではなくて、兄さんが設置したものだ。
何しろ、僕たちの活動範囲は広い。交通費も馬鹿にはならない。学割を使ってもヒーフー言っているのが、現状だ。信州の村からも相当な金額やら、送迎の援助も受けているし、弱小運動部の予算を削り、校長先生のポケットマネーは勿論、兄さんや美希の顧問手当だって、相当な金額がつぎ込まれている。

「碌な話じゃないだろうけど・・・来年はもっと活動費かかりそうだしな・・・・」

僕たちは、ヤバイバイトから手を引いたのだ。まあ、裏本は供給ルートが断たれたわけだし、ホストクラブの方も手入れを受けそうだったので、アホ大学の縁も所縁もない馬鹿に押し付けた。これはには楊ママと任侠のSさんに絡んで貰ったというより、没収を喰らったのだ。まあ、ここから僕たちの名前が出ることもないし、楽器屋の悪徳店長も散々脅かされているから、懲りているはずだ。まあ、僕たちの誰かズルズルと引っ張っている尻尾を掴まれる恐れはない。まあ、他校の奴らは好きにさせたので、検挙されるにしてもそれは、自業自得というやつなんだそうだ。まあ、僕たちの学園の生徒で、お客さんであるどこかのマダムやOlなんかと手を切れないのもいるらしいのだが、それは各自“裏”で活動させている。そこまでは、僕たちは面倒をみることの必要性はない。

「あの人から貰うのは・・・優子に渡しているしな・・・結構、物入りだな。」

僕は、あの人。まあ、父親になった人なんだが、世間体を気にして、毎月10万円の生活費を貰っている。まあ、それで親の役目は果たしているらしいから、世の中面白い。
そのお金は、僕の奥さんである優子に渡している。最近、ご祈願やらなんやらでお金は入ってくるけど、その一部は優子の叔父さんのところから、仕入れてくる御札とかの費用も掛る。それに、ミサにだってお給料を払わなければ僕のプライドもある。本人はいらないと言うけれど、これだけは譲れない。
ピアノで貰えるチップが、僕のお昼ご飯や交通費、そして、僕の大切な人たちへのプレゼント代になる。
東京に居るときの生活費は、美希が出しているけど、家賃は僕がアルバイトをして払っている事になっている。
勿論、到底追いつけない額なんだろうけど、紗江子の好意に甘えているのが現実だ。

「う~ん!もうちょっと・・部費貰わないと・・大変だな・・・校長先生上げてくれないかな?」

僕はそう呟くと・・シャワー室から出た。それを待ちかねていたかの様に、僕の奥さんでもあり、鎮守の森の主である優子が僕の身体を手早く拭木上げると、微笑んで見せた。

「何かひとりごと言ってた?」
「うん・・ちょっとね。来年以降の活動費どう捻出するかね・・・」
「じゃあ・・バイト行くの?」
「俺は行ってもちょっとだけかな・・・お祓いもあるし・・紗江子のお店もあるしね・・・」
「スキーしたくないの?」
「全然!それより・・優子のそばが好き!」

優子は頬をバラ色に染めながらも、テレ隠しかどうか知らないけど、僕の腕を抓った。

「痛ぇ~」
「どうやら・・夢じゃないみたいね・・・」
「はあ?」
「夢だったら・・痛いわけないもん!」
「普通!自分のほっぺた抓るでしょ?」
「そうだったっけ・・それより・・早く準備しなきゃ・・・あれ?これ・・」
「うん!楊ママからのプレゼントだよ・・みんなの分も届いているよ!」
「お礼・・・・」
「いいの!また怒られるよ!一杯の娘が出来てうれしいんだからさ!」

僕は楊ママが用意してくれたタキシードの上着を着ると、さっきは感じなかった“異物”が内ポケットに入っているのを感じた。

「何か入ってる・・・」

そういいながら引っ張り出した封筒には、現金の束と手紙が入っていた。

「何だろ?」

そこには、僕の産みの母親が病気になった事。どうも精神的な病になったらしい旨と、ご祈願を宜しくと書いてあった。

「どうするの?」
「心情的に言えば、やりたくないよ!でもね・・・楊ママの頼みだし・・それだけあれば、年越し出来るしね。」
「じゃあ!やるのね?」
「仕方がないでしょ!神主が断るわけにはいかないもんね!優子!それ預かっておいて!」
「解ったわ・・あら・・もうすぐ出番!」
「はいよ!」

傍らに置いたバックから、譜面の束を取り出した。一応は覚えているつもりだけど、万一の用心のためだ。

「じゃあ!行って来る!」
「うん!」

僕は優子に見送られ、控室と言う名のナース軍団の休憩所を飛び出した。
勿論、向かうのは特設されたステージに鎮座しているピアノの前だ。僕のへたくそは演奏でも楽しみにしていてくれる人がいる。病院内をドタバタと駆け周り、訳のわからない着ぐるみ達の訪問を楽しみにしてくれている。おじいちゃんやおばあちゃんがそこにはいる。まあ、偶に羽目を外してナースさんに抱きつくけど、大抵、何十倍もの仕返しをされる仲間たちがいる。生まれてくる新しい命もあれば、人生の終焉を迎え、旅立ってゆく人もいる。
出会いもあれば、悲しい別れや嬉しい別れもここには凝縮されている。
編み物の得意なさつきおばあちゃんは、僕たちのイニシャルを聞きだし、僕たちにお揃いのマフラーを編んでくれた。それらが全て出来上がった翌日・・・おばあちゃんはこの世を去った。
ゴンじいちゃんは、どこかの会社のお偉いさんらしく、僕たちがノタノタと歩いていると、「腐らせるだけだから・・捨てちまうのは勿体ないだろ!」と果物を僕たちに食べさせるために、差し入れしてくれている。
ゴンじいちゃんは今、手術の真っ最中のはずだ。頑なに拒否してたんだけど、僕が子供たちに配った風船の余りを届けると、ニコっと微笑み、手術に同意したし、ロクスケさんは、狼’sに担ぎあげられ、リハビリ室へ強制連行された。何でも、元気になったら・・僕たちをブン殴るのが楽しみらしい。

「ガンバ[揺れるハート]!」
「うん!」

僕はミミから手渡されたピンクのうさぎさんの水筒から、神泉をゴクゴクと飲み干すと、予想をはるかに超える人々が集まっているステージへ上がる階段に足を掛けた。

「うっ!」
「どうしたの[揺れるハート]?」
「やけに・・多くない?大丈夫かな・・・」
「大丈夫!ホラこれ見て!」

手渡されたのは、手書きのポスターだった。そこには・・ちゃんと・・・

ネコ踏んじゃったレベルですので、温かい目で見守ってくださいと書いてあった。

「ねっ[揺れるハート]大丈夫でしょ?ちゃんと・・・書いておいたモン!あたし・・」
「なるほどね!少しは気分が明るくなったよ!サンキューミミ!」

僕はステージに駆けあがり、ピョコンと一礼すると、腰を降ろし、いつものステージ構成の始まりの曲。ミスターロンリーを奏で始め、この日のために用意したクリスマスソングを全て弾き終えた。
途中、2音ばかり外したがそれは、愛胸と言うものだろう。
何しろ、会場では仲間たちが、一輪の花を入院している患者さんたちに配りながら、着ぐるみを着ながらも僕の弾く曲に合わせ、おどけて見せたり、踊って見せたりしている。
僕は最後の曲を弾き終わると、仲間たちを全てステージ上に集め、拍手の中全員でピョコンと一礼をした。
控室に戻った僕たちは、また・・呼び戻される事になった。

「カーテンコールよ!みんな!早く![揺れるハート]
「お前等・その頭取っちまえ!」

兄さんが僕たちに呟いた。

「いいんですか?」
「ああ!どうだ!社会関係奉仕部も悪くないだろ?」
「確かにね!コソコソと悪さしてるよりも・・気分いいや!」

佐々木クンを始め、トナカイ’sや狼の着ぐるみを着た連中は頭を抱え、青○クンは付け髭を取り、駆けだした。

「ホラ!弟!お前も行け!」
「ええ!行きます!何となく校長先生がいつも言っている言葉が解る様な気が・・・」
「うん?」
「ボーイズ・ビー・アンビシャス!ですよ・・・じゃあ・・行ってきます!」

ステージのそばでは、仲間たちが待機していた。僕は仲間を集め、呟いた・・・

「なあ!お前等!アレ歌える?翼をください!」
「ああ!覚えさせられた奴だろ・・ナントカ・・な!・・」
「じゃあ!行くぞ!」
「おう!」

僕を先頭にサンタの青○クン。トナカイ’sの面々。鈴が気に入ったのか?良く解らないけど・・狼の着ぐるみに鈴を点けた狼’sの面々がステージ上へ次々と上がり、そして俄か聖歌隊のナースの面々もステージに上がってきた。そして全員で、“翼をください”を合唱して、ちょっと気の早いクリスマスコンサートは無事に終わった。
ただ・・・一点だけを除いて・・・僕はその場で胴上げされ、ステージの床へ落とされ、仲間たちに担ぎ上がられて、ステージを後にしたことを除けばだけど・・・・
大爆笑の渦の中、僕たちのクリスマス慰問は幕を降ろしたのだった。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第13話へ続く・・・
nice!(38)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:お笑い

nice! 38

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0