SSブログ

嘘のような本当の話「孤独死」VOL1 [不動産の真実 オーナーは見た。]

VOL1 「安否確認」

それは唐突にしかも、私はセミナー講師として赴いている会場で、

その報を受けた。

「社長!出ちゃいました。」管理会社のIクンからの連絡だった。

「出たって何が・・・水でも湧いたか?それとの夜逃げ?」

私の中には、「孤独死」が発生すると想定はされていない。

「残念ながら、孤独死です。」

「どこ?」

管理会社のIクンからの電話と言えば、物件は決まっている。

某県T市のワンルームアパート。

某人材派遣会社が、寮と事務所として建設されたものだ。

この時の私の「どこ?」は、「何号室?」と言う意味だ。

「1〇〇です。」

「1〇〇?ああ・・生活保護のおじいちゃん?」

「そうです。」

この入居者さんとは、色々面識がある。

私が物件を見に行くと、起こった事などを教えてくれる

情報屋さんでもあった。

「う~ん。起きたものは仕方がない。警察は?」

「現在、鑑識作業中で・・・」

「発見経緯は?」

私の手元には、色々なマニュアルがある。

新日本法規という所から、「こんなの買いますか?」と

ハガキが送られてくる中から、「必要だな」と判断した

そんなマニュアルが出番を待っている。

でも、出番は無いにこしたことはない。

「孤独死」のマニュアルもあるので、後は「法令違反」が

行われていないか・確認しなければならない。

つまり、家賃の不払いでロックを掛けるために行ったとしたら、

裁判では負けることになる可能性は高い。

つまり、「何故?貴方は知り得たのか?」と確認したわけだ。

今回のケースでは、昨年暮れから、配達されている荷物。

この物件には宅配ボックスを設置しているが、

入りきらない大きさだったらしい。

元損保マンである私は、「5W1H」に沿って、確認を取ってゆく。

いつ:安否確認日時

だれが:安否確認に訪れた管理会社社員名

どこで(どこへ):物件名 今回は判っているので「1〇〇号室」

何を:警察官立ち合いで安否確認のための立入。

どの様に:合鍵を使用して中に入った所、布団の中で亡くなっていた。

どうした?:119番通報を警察が行い、以後、検視等の作業

次に私はある確認をしなければならなかった。

「ところで・・・自殺や事件ではないよね?」

「警察の見解も事件性は少ないそうで・・・・」

例えば、事故や事件。自殺なら事故物件にあたる。

俗にいう「事故物件」となる。

自然死や病死なら、事故物件ではない。まあ、心理的瑕疵を

どの様にするかだろう。

今回は、発見日の翌々日に隣室への入居者が居るとのことで、

他のお部屋(日当たり等同条件の賃料の高い部屋)へのご提案。

勿論、賃料はそのまま。いくら、自然死とは言え、心理的瑕疵を

考慮することにした。

「あのさ・・・今度入居の・・・」

「そうですよね。明日でも電話してみます。」

「うん・・・203でもいいよ!同じ家賃で・・・嫌だろうし・・」

「お話してみます」

「ん・・・」

「それから・・・警察からなんですが・・・」

「何?」

「床が・・・・具体的に言うと汚いラーメン屋さんの床だと・・」

「君も入ったんだよね・・・」

「ええ・・・粘ってました。」

「ご遺族は?」

「緊急連絡先がイトコの方なんですけど、お出にならなくて・・・」

「役所は?」

「明日連絡してみます」

「遺族見つけないとね・・・遺品もあるわけだし・・・色々ね・・・」

「役所に頼むしかないですよね・・・」

「あと・・・頼んでいいかな?オレこの後、セミナーで講師なんで」

「了解です」

私が、詳細な報告を得たのは、翌日だった。

通常、私は週末はお仕事はしない。公私の区別を明確にしなければ、

多分、一年中仕事をしているかもしれない。

但し、今回の様に緊急性がある場合は別だ。

何故なら、「異臭が・・・」つまり、部屋の外で「異臭」が漂っている

つまり、死後時間が経過していると容易に推測できるからだ。

今回の場合、救急は「ご遺体」を運んではくれない。

血圧や心電図等「決められた手順」で死亡を確定させていく。

「で・・さぁ~ご遺体は・・・・」

「警察が運んでいきました。司法解剖とかで・・・」

「だよね~で・・・受理番号は?」

「確認しました。あと・・検視結果なんですが・・・」

「もう判ったの?」

「ええ・・・警察が教えてくれたのは、事故でも事件でもなく」

「自殺でもないよね?」

「ええ・・・そういういわけなので、後はお含みおきくださいって」

「困ったなあ~保険会社になんて説明しよう」

「あ・・・それからですね。ご遺族が見つかったそうで・・・」

「居たの?」

「妹さんだそうです・・・ご遺体も引き取られるそうで・・・」

「まあ・・・おじいちゃん良かったよね」

この時。いや・・・・何度も話もしたけど・・・

私と6歳しか離れていなかったことを、後日。ご遺族がご提供くださった

「死体検案書」(ドラマでしか見たことがなかったが・・)の写しを見て

びっくりすることになったのは、後日の話だった・・・

「孤独死」VOL2 保険に入っていて良かったことに続く・・・






nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。