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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第64話    [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

作戦A ①

僕と佐々木クンが住宅街を抜け、決死の覚悟で大通りを突っ切ると、廻りの景色は、のどかな農村?と言いたくなるほどに変わってゆく。

「大体さぁ~グランド遠いよな・・・そう思わねえか・・佐々木!」
「ああ・・そう思うけど仕方ねえよ!俺はホレ!あれがいつかは墜ちてくるんじゃねえかと・・・」

僕たちの頭上を自衛隊だか米軍なのか良く解らないけど、輸送機らしきものが、飛んでいる。
それも滑走路の延長上にあるわけで、離着陸の違いこそあるが、僕たちの頭上を通ってゆく。

「まあ・・確かにな!墜ちるんなら・・俺らの頭上には降ってこない事を祈るけどな・・・」
「まあ、だからグランドに出来るんだけどな・・他に買い手がいないから・・・」

佐々木クンの家は主たる事業は“不動産屋”なのだから、この辺の土地も扱っているそうだ。

「あっ!」
「おっと・・気を付けろ馬鹿!」
「ごめん!助かったよ・・・」

僕は何でもないところで転ぶくせがある。まあ、躓きやすいのだ。何しろ、ガキの頃に交通事故になって以来、僕の左右の足の長さは若干違う様な気がする。今も、砂利みちで僕はひっかかり、転びかけ、そこを佐々木クンが腕を引っ張って助けてくれたのだ。

「お~い!そこを歩いているのは・・委員長かぁ~」

後ろから声をかけられた・・振り向けば、忍者グループのリーダーである。吉田君と僕たち社会関係奉仕部に“強制転部”させられた、ヤマこと山口クンが並んでやってきた。

「おはよ!」
「何・・こけてんだ・・見てたぞ!」
「面目もねえ~」
「こいつ・・疲れてるんだわ!相当・・嫁さんに抜かれたらしいから・・・」
「ば・・馬鹿!佐々木っ!バラすな・・・」
「だろうな・・ホレ!」
「あん?」
「お前の朝ごはん!俺からのお祝!温いかもしれねえけど・・・」
「サンキュー!」
「ホレ!カバンよこせ・・・」

佐々木クンにまたカバンを預ける僕。

「ああ・・悪いな!」
「じゃあな・・先に行っているぞ!“Aは満開”だそうだ・・・」
「じゃあ・・手はず通り頼む!」
「ああ・・・それから・・・あっちも予定通りだからな!」
「あん?ああ・・・兄さんたちか・・・」
「そう言う事。じゃあな・・・先に暴れてるから・・・」
「おう!」

僕は手渡された“朝ごはん”つまり、ユンケルと赤まむしを紙袋から取り出し、飲みながら歩きだした。

「なあ~この看板おかしくねえか?」
「あん?」
「だって・・お前!こんなところに・・・この辺は痴漢が多発してますって・・・」
「ああ・・それか!忍者部隊の仕業!本当はアッチにあったんだけどな・・・」

そう言いながら、僕はこじんまりした木々の向こう側を指した。

「こいつが・・作戦成功のカギだよな・・・クククッ・・・」
「しかし・・・いいのかな・・この看板こんな所に・・・」
「いいんだよ・・・佐々木!・・・これらの罪も被ってもらうんだからな・・・」
「なるほどね・・お前が仲間で良かったわ!」
「こっちこそな・・そうでなきゃ・・今頃どっちかがクビでどっちかが・・入院してるぜ・・・」
「かもしれねえ・・・俺!後ねえからな・・・」
「だから・・兄さんが俺らの所に連れて来たんだろうが・・・」
「さっさと済ませて・・楽しいクリスマスを迎えようぜ!」
「ああ・・その前にコキ使うけどな・・・」

僕と佐々木クンがちんたらと木々の近くに歩いて行くと、数台の見覚えのある車が停まっていた。
僕たちの姿を見ると軽く、パッシングで合図を送ってくる。

「さてと・・お嬢様方もスタンバイしてくれてるみたいだぜ・・・」
「らしいな・・・テンション上がっちゃうな・・・」
「うんうん!各自健闘を祈る!」

「こらぁ~ちんたら歩いてないで急ぎなさい!門締めるわよぉ~」

ハンドマイクを握り、叫ぶのは美希こと佐山美希先生。僕たちの副顧問で、僕とは禁断の関係なのは、部の連中に全部バレテいる。

「おい・・なんで・・・美希先生いるんだ?」 佐々木クンが怪訝そうな顔で僕に尋ねる。作戦の全貌は全部彼等には喋って居ない。最悪の事態に陥れば、僕一人が責任を取ればいいことだからだ。群れを守るのもリーダーである僕の役目でもある。

「あん?言ってなかったけ?」
「聞いてねえぞ!」
「俺が校長に頼んで、許可貰ったんだ!養護班と言うか・・色々やってもらうからな・・・」
「後は?」
「校長も現れるさ!打ち合わせ通りに・・・午後にな!」
「じゃあ・・・その頃には・・・」
「ああ・・終っているはずさ・・・仕掛けておいた酒は“A”の成分しか入っていないからな・・・」
「それで?」
「ああ・・・あとで、Bを飲ませると・・奴らの腹の中で大変なことになるらしいけど・・・」
「どうやって?」
「佐々木少しは考えろよ!ナース軍団まで出張ってきているんだぞ・・」
「なるほどね・・急ぐか!」
「おう!」

佐々木クンと僕は駆けだし、ギリギリセーフでグランドの門を駆け抜けると、そこには美希の笑顔が迎えてくれまして・・・

「はい・キミたちまで・・セーフ[揺れるハート]オマケね・・
「おはようございます!佐山美希先生!」

何しろ、礼儀だけはうるさい学校なので、きちんおご挨拶をする。

「佐山先生・・質問があります!」
「よせよ・・」
「いいから・・・」
「何かな・・佐々木クン!」
「ば・・馬鹿じゃなかったオ・・でもない。“熊田教官”はどうなされたのですか?」
「あっち・・・」

美希が指さしている方を見ると、カオリ始め送り込んだナース軍団のために、“臨時救護所”の設営の準備に励んでいる馬鹿が2匹確かにそこに居まして・・・・

「他の先生方は?」
「それがねえ~何故か、バスがエンコしたらしくてね・・・さっき電話あったわ・・・」

美希は笑いを噛み殺しながら・・「あなたの仕業よね」と瞳で僕に尋ねているみたい。
勿論、僕の仕業ではありません。兄さんとの打ち合わせで忍者部隊が、少々バスに細工しただけ・・・
如何せん、僕たちの学園には、工業科もあるので、そんな細工ぐらいわけがない。
美希は、巫女’sの車でここまでやってきているのだ。

「わたし・・バスに乗らなくて良かったわ!」
「ですねえ~」
「そろそろやりますよ・・・」
「ええ・・じゃあ・・早く着替えてらっしゃい!」
「は~い!失礼いたします。」

僕たちはグランドの隅で着替えるしかない。まあ、着替えると言っても、殆どがジャージで集まってきている。
佐々木クンがそっちへ駆けてゆき、僕は必死に“いいところを見せようとしている馬鹿”を、冷やかしに救護所に向かって走って行った。

「鬼クマじゃなかった・・熊田教官おはようございます。」
「おう!おはよう・・・あいさつは出来る様になったな・・・」
「ええ・・お互い様ですけどね・・・」
「いいから・・あっちへいけ!」
「はぁ・・・少々どんな美人が来ているのか拝見しに・・・・お手伝いしましょうか?」
「いいから・・行け!馬鹿!」
「あらま・・・やだねえ~皆さ~ん気を付けてくださいね・・・下心みえみえですから・・・」
「馬鹿っ!余計な事言わずあっちへ行け・・・」
「やだなぁ~忘れちゃったんですか?確か・・タイマンの約束してましたよねえ~」
「そ・・そんなこと・・しているわけないだろ・・・」
「あらま・・嘘ばかり・・確か言ってましたよねえ~決闘するってお約束ですが?逃げるんですね?」
「てめぇ~」
「ほら・・本性が出てますよ!美人の皆さんの前ですよ・・今、やります?」

そこへ打ち合わせ通りにカオリが割って入る。

「あら[揺れるハート]先生逃げませんわよねえ~決闘を挑まれて逃げる男って最低・・・」
「逃げはせん!今日こそ・・血反吐吐かせて学園から叩きだしてやる。この問題児め!」
「じゃあ・・男のプライドに賭けて誓いますよねえ~そうだ・・子分も纏めてでいいですよ・・ハンデで・・」
「くっそぉ~」
「じゃあ・・始めますか?まだ・・他先生方見えてないんで・・・」
「何?」
「知りませんでしたか?おかしいですよね・・・バスがエンコしたらしいんです。」
「お前の仕業か・・・」
「やだなぁ~俺も部員全員、昨日は部活動だったんですよ・・・サッカー部の連中かな・・・」
「何っ!うちの部員がどうした?」
「ああ・・そう言えば監督でしたっけ?弱小サッカー部の・・・」
「てめぇ~」
「まあ・・監督のレベルがこんなもんですからねえ~俺ら恥かしいですよ・・・」
「くそぉ~覚えておけ・・ぶっ殺してやる!」
「お姉さま方、証人になってくださいね・・・先生と生徒ではなく、男同士の決闘の・・・」
「勿論[揺れるハート]
「じゃあ・・始めますか?」

そこへ新聞部と放送部の2年生がやってくる。勿論、これは打ち合わせしてある。報酬は“裏本3冊”だ。

「先生方お早うございます・・・」
「何だ!2年は今日は休みだろ・・・」
「ええ・・くそ生意気な1年が血反吐を吐く瞬間を撮らせていただきたいと・・・」
「何っ?」
「こいつら・・先輩を先輩と思って居ないらしく・・・」
「馬鹿ばかりだから仕方ありませんよ!先輩っ・・・あはは・・・」

僕は打ち合わせ通り、軽いジャブを出した・・・先輩方もシナリオ通りに動いてくれる。

「何お~お前ら、覚悟しておけよ・・・無様な模様を学校中にばらまいてやる・・」
「活躍の話でしょ・先輩!」
「お前・・・学校にいられなくしてやるからな・・・」
「そうだ!先輩!いいネタを提供しますよ・・・この後、熊田教官と監督と決闘するの・・バンバン撮って!」
「ほ・・・本当ですか?」
「嘘だと思ったら・・そこの美人の看護婦さんに聞けば?」
「ええ・・・男同士のプライドをかけての決闘するんだって・・」

ちょうどその頃、反対側のグランドの隅では乱闘が始まっていた。勿論、“フリ”である。
だが、グランドの隅から見れば、本当に殴り合っている様に見えるものだ。

「あっ・・あの馬鹿共・・おい!お前」
「はぁ?」
「いいから・・止めてこい!」
「そうですねえ~ありゃ無理でしょ・・・しばらくやらせておけばいいんじゃないんですか?」
「こりゃスクープだ!」

そう言うと先輩方は駆けてゆき・・・僕はまだそこに居た。

「なんで・・止めない!」
「止めてきてくださいではないんでしょうか?人に頼むんですから・・・」
「てめぇ~」
「まあ・・顔を立てて差しあげますよ・・・後、伝達事項あります?」
「ああ・・トイレはグランドの1か所だけだと伝えておけ・・・」
「はいはい・・こっちのトイレは?」
「女性用とする・・いいな?」
「じゃあ・・そう伝えてきますけど・・・こんあところで油売っていないで・・さっさと始めてくださいね・・・」
「解っておる!行け!」
「じゃあ・・美人のお姉さま方失礼いたします。」

僕は一礼すると乱闘騒ぎノフリをしている普通科300名の方へ駆けてゆく。
これが・・オペレーションAを実行せよと合図なのである。

「しょうがない・・あの馬鹿共止めてこないと・・どうせ・・怪我をして皆さんのところへ来る算段らしい・・・」
「大変ですねえ~そうだ!いいお薬持って来ましたわ・・・元気が出るお薬・・うふっ[揺れるハート]
「そ。。そうかね・・・」
「ええ・・あんあのすぐやっつけちゃいますよね・・・その逞しい腕で・・・」
「勿論!一発で決めてやりますわ・・・」
「じゃあ・・その後・・お食事にお誘いしてもいいかしら・・・[揺れるハート]
「おお!そうですな・・」

監督も洋子に騙され。鬼クマ共々、手渡された薬。粉薬と下剤を飲みこまされるはめになった。

「じゃあ・・止めに行くぞ!ついでに・・さっさと仕留めてなあ・・」
「そうですね・・・」

体育馬鹿はやはり体育馬鹿なのである。頭脳心理戦で高校生に負けるんだから、馬鹿と言われても仕方がないと僕は思う。
後は・・ゆっくりと料理させていただくだけだ・・・TheEndへのカウントダウンの針は確かに動き出した・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第65話へ続く・・・・



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コメント 3

yuuri37

うわ~長い!!
疲れましたわ・・・またお越しくださいね!
by yuuri37 (2010-02-10 01:26) 

の

ウチなら5日分の記事デスゥ~(^^)/
by (2010-02-10 01:51) 

乃亜

おはようございます。
いつもお気遣いありがとうございます、

長文、お疲れ様でした!(笑)
by 乃亜 (2010-02-10 11:15) 

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