僕たちに明日はあるのか VOL16 [ぼくたちのシリーズ完結編]
- ラストフライト2 -
トレーニングエリアから、クルーズモードへ入り、ケビンに操縦を交代する。
この辺まで来ると、特に、民間パイロットも、軍のパイロットたちも、
我先に着陸しようとやってくる。
それでなくても、トレイニーである僕の存在は彼らの妨げになる。
確かに、この時間は、ジェット機たちが、空を駆け巡り、その後流を喰らえば、
僕が操る腕では、墜落するのが関の山だ。
ケビンの操縦を横で眺めていると、いずれ僕もこのくらい出来る様になるのか?
いや、そんな日は来ない気がする。
「シン!ファイナルアプローチだ。ユーハブ!」
「へっ・・・あ・・・アイハブ!」
僕に再び操縦を代わった。無鉄砲としか言えないケビン。
「へっ?」
兄さんが小さく口を開いた。
多分、ケビン以外は、生きた心地がしないかもしれない。
昼間の空港は、もう慣れていて普通の顔をしているのだけど、
僕の目の間には真っ暗な世界にまるで空を舞う蛾をを誘っているかの様な、
ライトを信じ、そして、計器だけを頼りに降りてゆくしかない。
「シン!ノンハードライディング!」
僕の手の中は、汗がびっしょりで、喉はカラカラだ。
「ランウエイ、インサイト。ランディング」
僕の心臓は爆発しそうなくらいだ。
心の中で、「いいか。今日はコウノトリ。コウノトリの様に降りるんだ。」と
スロットルを絞り、機体姿勢に注意をとことん払い、今までこんなランディングを
したことはないと言えるくらい。ふんわりと着陸をした。
気が付けば、誘導路を経由して、いつの間にか駐機場まで帰ってきていた。
余談になるのだけど、その時。コントロールタワーで眺めていたのは、
僕とジュニアを落とした試験官だったそうだ。
エンジンを止め、最終チェックを終え、僕は機外へ出た。
まず、初めに降りてきたのは兄さんで、手を貸す振りをして、そのまま
地面と仲良くしてもらった。
次にミサを抱きかかえて降ろして、最後に優子を抱きかかえて、そのまま
事務所へ歩いてゆく。
「ねえ・・・重くない?」
「全然・・・でも・・・ちょっと太った?」
言い終えるか終えないかタイミングで、いいつの間にか囲まれていた
巫女’sにボコられる羽目になった。
すでに、地上の奴らは別ルートで、「驚愕の事実」を知らされていて、
僕を袋叩きにする準備はできていたらしい。
優子を降ろした瞬間。僕はシャンペンシャワーならぬ。コーラシャワーを浴び、
気が付けば宙に舞っていて、そのまま落とされボコボコ状態近くになりかけた瞬間
「てめぇ~ら。アタシの旦那に・・・」
その一言で、僕は解放された。
「さあお祝いだよな・・・部長!」と佐々木クンが何かを企んでいる。
「だよな・・・と言いたいところだけどさ、バイトあんだよ!」
「いつまで?」
「もうちょっと・・かな・・・あと。10日くらいか・・・多分。」
「うんうん・・・死ぬまではたらけ!パパだもんな・・・・」
「あ・・あのな・・・・」
「そこで飲ませてもらうからいいんだよ・・・・ジュニアも仲間呼ぶって・・・」
「も・・・もしかして?」
「決まってるだろ!お前の・・・オ・ゴ・リ・・・」
「げっ!」
「ミーもな。」ケビンも来る気満々らしい。
「勝手に・・してくれ・・・・」
そこへ・・・・
「Q・・・・この子ったら・・・・」
「げっ!マ・・ママ・・・」
横浜のママまでやってきていたとは知らなかった。
「優子に聞いたの・・・おめでとう!」
「あ・・・し・・・知っているわけ?」
「当たり前でしょう!」
その日の夜。僕がバイトしているクラブは、「関係者以外お断り」状態になり、
ついでに、僕とジュアを落とした試験官から、「コングチュレーション!」と
何かのカードをもらった。そのカードの存在が僕が判るのは、先の事。
クラブの中はお祭り騒ぎで、いつもと違うのは、優子が手にしているグラスには、
アルコール類が一切入っていない。
兄さんは僕たち悪たれ連の仕業にかかれば、赤子の手をひねるより簡単に、
スペシャルカクテルで早々に潰しておくことにした。
「で・・・どうするんだ・・・パパ!」
「そうねえ~金は稼がないといけませんわな・・・」
「学校は?」
「行くよ!ジュニアの面倒も見なければいけないらしいし・・・」
「ああ・・・」
ジュニアは、兄さんが東京に電話をして、入学が決まり、叔母さんが、
僕たちの学校のそばに偶然住んでいるので、そこから、通う事になり、
まあ、学校にとっては厄介者が増えると言うことで、社会関係奉仕部預かり
これが条件なのだから、仕方がない。
まあ、見た目だけで言えば、きっと僕たちの「ナンパ大作戦」では活躍を
してくれるハズ。まあ、僕はこれを機会にホステス養成学校だの、
売春婦養成学校だのそして、偶に相手にされるはずもないであろう。
お嬢様学校とかで行ってきた。ナンパ大作戦からは引退させてもらおうと思う。
何しろ、僕はパパになるわけだから、お金を稼がなくてはいけない。
「でさぁ・・・佐々木。頼みあんだよ!」
「あん?」
「部長引き受けてくんねえか・・・俺。バイトしないと・・・」
「みんなで土方やればいいじゃんか・・・」
「ノーサンキュだな。でも、ありがとう。」
僕は佐々木クンに久しぶりに頭を下げた。
-悪魔との取引 VOL1に続く -
トレーニングエリアから、クルーズモードへ入り、ケビンに操縦を交代する。
この辺まで来ると、特に、民間パイロットも、軍のパイロットたちも、
我先に着陸しようとやってくる。
それでなくても、トレイニーである僕の存在は彼らの妨げになる。
確かに、この時間は、ジェット機たちが、空を駆け巡り、その後流を喰らえば、
僕が操る腕では、墜落するのが関の山だ。
ケビンの操縦を横で眺めていると、いずれ僕もこのくらい出来る様になるのか?
いや、そんな日は来ない気がする。
「シン!ファイナルアプローチだ。ユーハブ!」
「へっ・・・あ・・・アイハブ!」
僕に再び操縦を代わった。無鉄砲としか言えないケビン。
「へっ?」
兄さんが小さく口を開いた。
多分、ケビン以外は、生きた心地がしないかもしれない。
昼間の空港は、もう慣れていて普通の顔をしているのだけど、
僕の目の間には真っ暗な世界にまるで空を舞う蛾をを誘っているかの様な、
ライトを信じ、そして、計器だけを頼りに降りてゆくしかない。
「シン!ノンハードライディング!」
僕の手の中は、汗がびっしょりで、喉はカラカラだ。
「ランウエイ、インサイト。ランディング」
僕の心臓は爆発しそうなくらいだ。
心の中で、「いいか。今日はコウノトリ。コウノトリの様に降りるんだ。」と
スロットルを絞り、機体姿勢に注意をとことん払い、今までこんなランディングを
したことはないと言えるくらい。ふんわりと着陸をした。
気が付けば、誘導路を経由して、いつの間にか駐機場まで帰ってきていた。
余談になるのだけど、その時。コントロールタワーで眺めていたのは、
僕とジュニアを落とした試験官だったそうだ。
エンジンを止め、最終チェックを終え、僕は機外へ出た。
まず、初めに降りてきたのは兄さんで、手を貸す振りをして、そのまま
地面と仲良くしてもらった。
次にミサを抱きかかえて降ろして、最後に優子を抱きかかえて、そのまま
事務所へ歩いてゆく。
「ねえ・・・重くない?」
「全然・・・でも・・・ちょっと太った?」
言い終えるか終えないかタイミングで、いいつの間にか囲まれていた
巫女’sにボコられる羽目になった。
すでに、地上の奴らは別ルートで、「驚愕の事実」を知らされていて、
僕を袋叩きにする準備はできていたらしい。
優子を降ろした瞬間。僕はシャンペンシャワーならぬ。コーラシャワーを浴び、
気が付けば宙に舞っていて、そのまま落とされボコボコ状態近くになりかけた瞬間
「てめぇ~ら。アタシの旦那に・・・」
その一言で、僕は解放された。
「さあお祝いだよな・・・部長!」と佐々木クンが何かを企んでいる。
「だよな・・・と言いたいところだけどさ、バイトあんだよ!」
「いつまで?」
「もうちょっと・・かな・・・あと。10日くらいか・・・多分。」
「うんうん・・・死ぬまではたらけ!パパだもんな・・・・」
「あ・・あのな・・・・」
「そこで飲ませてもらうからいいんだよ・・・・ジュニアも仲間呼ぶって・・・」
「も・・・もしかして?」
「決まってるだろ!お前の・・・オ・ゴ・リ・・・」
「げっ!」
「ミーもな。」ケビンも来る気満々らしい。
「勝手に・・してくれ・・・・」
そこへ・・・・
「Q・・・・この子ったら・・・・」
「げっ!マ・・ママ・・・」
横浜のママまでやってきていたとは知らなかった。
「優子に聞いたの・・・おめでとう!」
「あ・・・し・・・知っているわけ?」
「当たり前でしょう!」
その日の夜。僕がバイトしているクラブは、「関係者以外お断り」状態になり、
ついでに、僕とジュアを落とした試験官から、「コングチュレーション!」と
何かのカードをもらった。そのカードの存在が僕が判るのは、先の事。
クラブの中はお祭り騒ぎで、いつもと違うのは、優子が手にしているグラスには、
アルコール類が一切入っていない。
兄さんは僕たち悪たれ連の仕業にかかれば、赤子の手をひねるより簡単に、
スペシャルカクテルで早々に潰しておくことにした。
「で・・・どうするんだ・・・パパ!」
「そうねえ~金は稼がないといけませんわな・・・」
「学校は?」
「行くよ!ジュニアの面倒も見なければいけないらしいし・・・」
「ああ・・・」
ジュニアは、兄さんが東京に電話をして、入学が決まり、叔母さんが、
僕たちの学校のそばに偶然住んでいるので、そこから、通う事になり、
まあ、学校にとっては厄介者が増えると言うことで、社会関係奉仕部預かり
これが条件なのだから、仕方がない。
まあ、見た目だけで言えば、きっと僕たちの「ナンパ大作戦」では活躍を
してくれるハズ。まあ、僕はこれを機会にホステス養成学校だの、
売春婦養成学校だのそして、偶に相手にされるはずもないであろう。
お嬢様学校とかで行ってきた。ナンパ大作戦からは引退させてもらおうと思う。
何しろ、僕はパパになるわけだから、お金を稼がなくてはいけない。
「でさぁ・・・佐々木。頼みあんだよ!」
「あん?」
「部長引き受けてくんねえか・・・俺。バイトしないと・・・」
「みんなで土方やればいいじゃんか・・・」
「ノーサンキュだな。でも、ありがとう。」
僕は佐々木クンに久しぶりに頭を下げた。
-悪魔との取引 VOL1に続く -
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