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オストドの暴露話 「プロコンの鞄は、ドラえもんのポケットみたいなもの?③」  [旅行記・旅関係]

退屈な移動も何のその・・・①

ツアコンの必須は、勿論言うまでもないけど、お客様の安全第一。[わーい(嬉しい顔)]

“ガイド”でも“ポーター”でも“子守り”でも“姥捨て山案内役”でもない。

ましてや、“あの世への先達さん”ではない。[がく~(落胆した顔)][あせあせ(飛び散る汗)]

老人会のツアーが予定に組まれると、参加者のご家族(特に嫁さんからが多い!)からは、

“永遠に帰って来れない様にしてくださらない?”等・・・・

99.9%以上の確率で“懇願の眼差し”ならともかく、中には・・

「ちょっと!いいかしら!」と出発前の慌ただしさの中、それなりの金額が入っているんだろうな?と

思われる封筒を手にしているお嫁さんや息子さんもいる。

「はあ・・そう言う物は“受取れませんが・・・」

「いや、うちのおばあちゃんお酒好きだから・・・」

「それが何か?」

「飲み過ぎても止めないでくれない?」

「はあ・・・もしかして・・・」

「そのもしかしてよ!コレでいいでしょ?」

「お断りいたします。この話は聞かなかった事にしたほうがよさそうですね!」

そんな話が“裏”で交わされている事などご本人は知らない。

そもそも・・出発前にお客さんの顔と名前が一致するわけがない。仮にしてあげたくても、

どうにもならないのが、現実なのだ。

差し入れと称したお酒類もチェックを欠かせない。お客様自ら持ち込まれたモノ以外は、

予めビンに印を付け、差し入れ者の氏名を控えておく。

勿論、開封や開栓してあるものは“毒味”をしてからでないと、大切なお客様に飲ませるわけには、

いかない。毒見と称して当日の昼食会場に着く頃には、真っ赤な顔をした添乗員の出来上がり。

大体その前。休憩の度に、トイレに駆け込み、指を口の中に突っ込んで吐き出してはいるのだが・・

さて、話が大幅に脱線しかけたので、本線に戻させてもらうと・・・

ツアーコンダクターの職務は、安全にスムースな行程管理・確認など様々な職務がある。

中でも、“宴会芸”と観光スポットと観光スポットの間の移動中。お客様を退屈にさせてはならない。

プロコンと呼ばれる様になるには、ある種のエンターティナーを演じなければならないのだ。

サプライズはいいけど・・退屈は“NG”どころか、致命傷になりかねないし、[爆弾]

ツアー終了後、そのツアコンに降り注ぐ災難になる。

この“退屈”な時間をどう生かすか?それが“プロ”と“アマチュア”の違い。腕の見せ所になる。

-エラーコインと貢物は神様からの贈り物-

先般、どこぞの国で“わざと”エラーコインを製造した関係者が処分されたが、“とある国”では、

そんな“茶目っけ”が許される国がある。知らず知らずに流通している場合もあるし、

コインコレクターに収集されてしまう場合もある。

“運よく”数枚手に入れば、これがプロコンの最大の武器になる。

“珍しいモノ”を手に入れたいと言う欲求は、万人にあるらしい。むしろ、“興味ない”という変人は、

家で引き籠っていた方がマシだと思う。

何しろ、高いお金を払い、“どこの馬の骨”とも判らない、若造にいつ、どこで、どんな目に遇わされ、

時には生命の危険(実際にはリスクはほとんどない!)に晒さるかもしれない。

プンプン怒りながら帰るのであれば、家でじっとしている方が、よっぽどマシなんだから・・・[わーい(嬉しい顔)]

エラーコインは、マニアに流せば、相当な額がポケットに入るのは、事実。

それ故、“プロ”になりきれないツアコンは、後生大事にポケットにしまってしまうか、

オストドの様な阿漕な“プロコン”に、せいぜい5倍程度の価格で引き取られてしまう。

彼や彼女等は“目先の蠅”しか追えないのである。まあ、中には“献上品”として、

先輩であるプロコンに、差し出し、自らの窮地を一時的に救ってもらう馬鹿もいる。

例えば、カナダ8日間のツアーだとすると、“ナイアガラの滝とカナディアンロッキーの旅”になる。

ツアー初日。完全なる“移動日”。成田を12時に離陸したシカゴ行きのJAL(これが一番多かった)

この機内でプロコンであるオストドが行うのは、USドルの販売。ハネムナーの男性を集めた“講習会”

まあ、この講習会は、自己申告した方のみ対象で、ひっそりと行われる。

俄かジェントルマンを仕立て上げ、最低限のアナー講座である。

勿論、オストドは阿漕なプロコンだから、「成田離婚させてやる!」と思ったカップルの男性は、

講習会へ誘わないし、講習会に参加したカップルのお土産リストを入手して、親切を装いながら、

自分にリベートをくれる店へ言葉巧みに誘導する目的もある。[がく~(落胆した顔)][あせあせ(飛び散る汗)]

悲しいかな、フリーになる前。ツアコンの給料は、月20日働いても、10万円~15万円しかない。

だから、“R”と呼ばれるリベートと、お客様のチップが収入の大半を占め、“無税”になる。

従って往路の機内では“稼げる布石”を打っておかねばならないし、この講習会でお客様の信頼を

得ておかねばならないのである。

あとは、“自作”のツアーの見どころ(買い物情報も・・・)入った小冊子を1組のお客様に1冊ずつ

プレゼントして廻る。後は、出入国書類の作成と免税品のタバコを仕入れること。

時間に余裕があれば、“休憩中”のギャレーに闖入して、新人CAの実験台になりながら、

他愛もないおしゃべりをしながら、あわよくば“落ちかけている果実”をもぎ取る専念をして、

全然目を通していない“書類の山”をチェックして、1~2時間程度の睡眠を貪っていると、

「当機はまもなくシカゴ・オヘア国際空港へ着陸いたします」というアナウンスが流れる。

本来なら、アメリカなんぞに入国もしたくないし、トランジットもしたくないのだが、

JALの後援を得たツアーでは、日本の出入国では、JALを使わざるを得ないらしい。

オストドが機内で販売したUSドルは、そのトランジット時間にお客様がコーヒー一杯飲むために

必要なものなのだ。背に腹は代えられないお客様と、必然的に貯まる外貨処分の見事なコラボが

そこにはある。(勿論、必要でないお客様には売らないし、レートも割高になっている。)

ジャンボが到着したターミナルで降ろしてくれれば、そのまま乗り継いでいけるのだが、

日米関係のアレなのか?機体の右側に据え付けられた幅広タラップを降り、延々バスに揺られ、

真逆の位置にあった到着ターミナルに運ばれる。何百人ものお客が到着しても、開けられている

入国審査の窓口は少ない。酷いときには、到着後2時間近くかかったこともある。

その間、“探知犬”を釣れたガードマンがウロウロしながら、機体から持ち出された手荷物の匂い等

クンクン嗅いで歩いている。ここで、お客様を退屈させないのが、プロである。

オストドのそばに来た“探知犬”は、必ず立ち止まる。なぜなら、オストドの鞄には食べ物の匂いと

胡椒をタップリと染み込ませてある。

立ち止まった犬はオストドを見て、ガードマンを向く。

その時に、“探知犬”に向かって「ワン!」と吠える。

勿論、ガードマンの殆どは顔見知りになっているので、「またお前か!」という素振りも見せず、

オストドのエンタティナーショーに付き合ってくれる。

お客様の心配そうな顔が、大爆笑と共に終る頃、入国審査は終っているのだ。

ターンテーブルが吐き出す預け入れ荷物の数量と吐き出された荷物の数量をチェックする。

税関を抜け、航空会社毎のベルトコンベアーに次々に放り投げるのも、ツアコンと空港係員として

派遣されてきた“ど新人”のお仕事。1回だけ預け入れた荷物が1個無かった事がある。

JALの地上係員とバックヤードに潜り、幸い見つけ出せたが、ここまでで要する時間が、大体早くて

2時間。遅ければ3時間近くかかることもある。

それから、お役様全員のパスポートと1回お配りしてある航空券の綴りを回収するのもお仕事。

迷える子羊を誘導して、近道ではあるけど薄暗い職員用通路をトコトコと引っ張って歩く。

その時によって違うが、航空会社のカウンターでボーディングパスを発券してもらい終わると

、カフェテリア周辺で、迷える子羊の群れを一気に解放すわけだ。

このとき、お客様の再集合時間を伝えると、オストドと係員は職員用のカフェテリアに消えてしまい。

しばしの休息を取る。

大体、搭乗1時間30分前に設定した集合時間の30分前に集合場所に佇むオストドと係員。

次々に現れる迷える子羊の頭数を数える必要はない。

リストに基づき、輪ゴムで括ったパスポートとボーデイングパスを代表者に渡せばそれで済む。

済むことは済むのだが、一応、プロなので“指さし”をしながら、

ブツブツとニーシーローパーと数える。

セキュリティーチェックを終えると、ここからは一人で引っ張らねばならない。

来た事もない空港でも、引っ張るのは骨が折れる仕事。[もうやだ~(悲しい顔)]

キョロキョロと眼だけ動かしながら、目的ゲートを目指し、耳はダンボの耳にして歩く。

どんなお偉いさんでも、迷える子羊なので、一頭また一頭と搭乗口という柵の入り口から、

空飛ぶ棺桶じゃなかった機体という檻に押し込んでゆけばいいわけだが・・・

退屈な移動も何のその・・・②へ続く
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りぼん

@ラブ子ちゃんの この頃 [猫]に
貴重な・nice!~ コメント有難う御座いました
☆♪
広告に応援ありがとうございました
大変励みなりましたm(_ _)m
by りぼん (2010-03-18 10:50) 

chunta

ダンナの祖父は
温泉旅行のお風呂で亡くなりました
プカーッとね  苦笑
当然 同行してた同居の叔父と
ソコの家の婿が疑われましたよ
葬る気は無かったらしいですが
連れて行って 目を離したのは
やはり 同罪ですよね~
by chunta (2010-03-18 13:36) 

inacyan

家族の暗部が・・・さ~見えてまいりました(笑)
しかしどの道もプロは大変ですね(^^)
by inacyan (2010-03-18 17:43) 

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