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僕と“う”と“な”の物語 -第一章 第四話 ー   [僕と“う”と“な”の物語]

-神様の宿題 -

「ほい!コレなりよ・・・・」

僕は神様が寄越したという宿題の量を見てウンザリした。

何しろ、到底こなせる様な代物・・・ついでに言えば、量でもない。

「こ・・・こんなに出来るわけねえじゃん!」

「でも・・・やるなりよ!」

「ちょ・・ちょっと待て!今、記憶の糸を引き摺ってみるから・・・」

前に一度・・いや、何度か出された事が、その“宿題”の中に混ざっている。

「なあ!ちょっと・・・聞いてもいいか?」

「なんなり?あたち忙しいなりよ!」

「肉まん喰っているだけだろうが・・・」

「食べるのに忙しいなり!」

「あっそ・・・じゃなくて、増えてねえか?これ・・・」

「そりゃあ~増えるなりよ!」

「なんで?」

「先送りにした罰なりよ!」

「げっ!そういや・・昔!宿題忘れて・・・いや、やらなかったら倍にされたっけ・・・」

「そうなり!だから・・・やらなきゃ増えるなりよ!」

そう言い放つと“う”は、合図を送り、僕は居候を含め、3匹いや3頭にグルグルと

“見えない鎖”を僕の身体に巻きつけてゆく。

「お・・おいっ!ちょ・・・ちょっと・・待てっ!この薄情もの・・・」

「いいのかなり?記録するなりよ?」

「はい?なんだ・・・その手帳みたいなの・・・」

「コレなりか?お前の記録帳なりよ!」

「き・・記録?」

「閻魔帳なりね!」

「閻魔帳・・・どこかで・・・あっ!学生の頃。センコーの持ってた!」

「あれより数倍効き目あるなりよ!いや・・もっとなりか・・・」

「はあ?なんだそれ?」

「コレはなりね!神様への報告書なりよ・・・ええとぉ~悪口をほざいたと・・・」

“う”はペンをどこからか取出し、記入を始めた。

「ちょ・・ちょっと待て!くそ・・いや・・お狐様!」

「なんなり?待てじゃなくて待ってくださいなりよ!」

「そう・・・それ!待ってください。」(コレでいいんだろうが!クソ狐!)

「今回は勘弁するなりよ!」

「そ・・そうしていただけると・・・・」(覚えてろ!クソ狐!)

「じゃあ!ちゃんとやるなりよ!」

「あ・・あの・・・し・・質問がありますが!」

「なんなり?」

「どこからやれば・・・ガイドブックかスタートアップ教本みたいなものは・・・」

「あるなりよ!ハイ!コレ・・・」

“う”は僕に1冊の百科事典みたいな厚みのある本を差し出した。

いや、差し出したは適切な表現ではない。何しろ、僕の頭の中でしか読むことができない。

「ええとぉ~まずは・・・敬天愛人?なんだ・・これ?」

「それはなりね!“天を敬い人を愛する”と読むなりよ!」

「はいはい・・・・」(くそ・・・狐!)

「はいは一回でいいなり!分かったなりか?」

「はい。」(お・・・覚えてろっ!クソ狐・・・)

「天を敬い?ええと・・・これはやっているよな・・・最近、いやここ数年はちゃんと・・・」

僕はちゃんと・・・かどうかは別として、参拝しているし、僕は自分のためには祈らない。

毎日、神棚に向い、ちゃんとかどうかは疑わしいけど、自宅にいる限りは参拝している。

「なあ!敬天はOKだよな?」

「ぎりぎりなりね!問題は・・・・」

「そう。問題はその次だよなあ~愛人。sつまり、人を愛するか・・・」

「そこは出来てないなりね!」

「余計なお世話っ!俺・・・好き嫌い激しいからな・・・・」

「つまり、調和が取れないなりね!」

「はいはい・・なんとでも言ってくださいませ。」(大きなお世話だっ~の!クソ狐)

「大体なりね!辛抱が・・・・」

「足らないって言うんだろ?散々言われてここまで来たわ!」

「出る杭は打たれるなりが・・・・」

「いいか!出過ぎた杭は打たれることはない!」

「これからは・・・・」

「はいはい・・・あっ!そうだ!」

「話を逸らすのも悪い癖なりよ!」

「あのな・・・これ、この言葉。いただきぃ~」

「何にするなり?」

「会社の経営方針!」

「具体的にはどうするなりか?」

「お前らだって好き嫌いあるだろ?だから、俺も改めない!」

「変な理屈なりね!」

「だ・か・ら・・・支援を必要とする人に、会社の利益から支援をする。」

「まあ・・・及第点なり。」

神様の宿題で、ひとつ悩みが解決したのだから、宿題も悪くないものだ。

何しろ、会社の経営方針という骨格を授かることができた。

「さてと・・・次かぁ~厄介だな…」

僕はぶつぶつと言いながら、神様からの宿題を片づけ始めることにした。


僕と“う”と“な”の物語 -第一章 第五話 ー に続く
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