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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第64話    [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

作戦A ①

僕と佐々木クンが住宅街を抜け、決死の覚悟で大通りを突っ切ると、廻りの景色は、のどかな農村?と言いたくなるほどに変わってゆく。

「大体さぁ~グランド遠いよな・・・そう思わねえか・・佐々木!」
「ああ・・そう思うけど仕方ねえよ!俺はホレ!あれがいつかは墜ちてくるんじゃねえかと・・・」

僕たちの頭上を自衛隊だか米軍なのか良く解らないけど、輸送機らしきものが、飛んでいる。
それも滑走路の延長上にあるわけで、離着陸の違いこそあるが、僕たちの頭上を通ってゆく。

「まあ・・確かにな!墜ちるんなら・・俺らの頭上には降ってこない事を祈るけどな・・・」
「まあ、だからグランドに出来るんだけどな・・他に買い手がいないから・・・」

佐々木クンの家は主たる事業は“不動産屋”なのだから、この辺の土地も扱っているそうだ。

「あっ!」
「おっと・・気を付けろ馬鹿!」
「ごめん!助かったよ・・・」

僕は何でもないところで転ぶくせがある。まあ、躓きやすいのだ。何しろ、ガキの頃に交通事故になって以来、僕の左右の足の長さは若干違う様な気がする。今も、砂利みちで僕はひっかかり、転びかけ、そこを佐々木クンが腕を引っ張って助けてくれたのだ。

「お~い!そこを歩いているのは・・委員長かぁ~」

後ろから声をかけられた・・振り向けば、忍者グループのリーダーである。吉田君と僕たち社会関係奉仕部に“強制転部”させられた、ヤマこと山口クンが並んでやってきた。

「おはよ!」
「何・・こけてんだ・・見てたぞ!」
「面目もねえ~」
「こいつ・・疲れてるんだわ!相当・・嫁さんに抜かれたらしいから・・・」
「ば・・馬鹿!佐々木っ!バラすな・・・」
「だろうな・・ホレ!」
「あん?」
「お前の朝ごはん!俺からのお祝!温いかもしれねえけど・・・」
「サンキュー!」
「ホレ!カバンよこせ・・・」

佐々木クンにまたカバンを預ける僕。

「ああ・・悪いな!」
「じゃあな・・先に行っているぞ!“Aは満開”だそうだ・・・」
「じゃあ・・手はず通り頼む!」
「ああ・・・それから・・・あっちも予定通りだからな!」
「あん?ああ・・・兄さんたちか・・・」
「そう言う事。じゃあな・・・先に暴れてるから・・・」
「おう!」

僕は手渡された“朝ごはん”つまり、ユンケルと赤まむしを紙袋から取り出し、飲みながら歩きだした。

「なあ~この看板おかしくねえか?」
「あん?」
「だって・・お前!こんなところに・・・この辺は痴漢が多発してますって・・・」
「ああ・・それか!忍者部隊の仕業!本当はアッチにあったんだけどな・・・」

そう言いながら、僕はこじんまりした木々の向こう側を指した。

「こいつが・・作戦成功のカギだよな・・・クククッ・・・」
「しかし・・・いいのかな・・この看板こんな所に・・・」
「いいんだよ・・・佐々木!・・・これらの罪も被ってもらうんだからな・・・」
「なるほどね・・お前が仲間で良かったわ!」
「こっちこそな・・そうでなきゃ・・今頃どっちかがクビでどっちかが・・入院してるぜ・・・」
「かもしれねえ・・・俺!後ねえからな・・・」
「だから・・兄さんが俺らの所に連れて来たんだろうが・・・」
「さっさと済ませて・・楽しいクリスマスを迎えようぜ!」
「ああ・・その前にコキ使うけどな・・・」

僕と佐々木クンがちんたらと木々の近くに歩いて行くと、数台の見覚えのある車が停まっていた。
僕たちの姿を見ると軽く、パッシングで合図を送ってくる。

「さてと・・お嬢様方もスタンバイしてくれてるみたいだぜ・・・」
「らしいな・・・テンション上がっちゃうな・・・」
「うんうん!各自健闘を祈る!」

「こらぁ~ちんたら歩いてないで急ぎなさい!門締めるわよぉ~」

ハンドマイクを握り、叫ぶのは美希こと佐山美希先生。僕たちの副顧問で、僕とは禁断の関係なのは、部の連中に全部バレテいる。

「おい・・なんで・・・美希先生いるんだ?」 佐々木クンが怪訝そうな顔で僕に尋ねる。作戦の全貌は全部彼等には喋って居ない。最悪の事態に陥れば、僕一人が責任を取ればいいことだからだ。群れを守るのもリーダーである僕の役目でもある。

「あん?言ってなかったけ?」
「聞いてねえぞ!」
「俺が校長に頼んで、許可貰ったんだ!養護班と言うか・・色々やってもらうからな・・・」
「後は?」
「校長も現れるさ!打ち合わせ通りに・・・午後にな!」
「じゃあ・・・その頃には・・・」
「ああ・・終っているはずさ・・・仕掛けておいた酒は“A”の成分しか入っていないからな・・・」
「それで?」
「ああ・・・あとで、Bを飲ませると・・奴らの腹の中で大変なことになるらしいけど・・・」
「どうやって?」
「佐々木少しは考えろよ!ナース軍団まで出張ってきているんだぞ・・」
「なるほどね・・急ぐか!」
「おう!」

佐々木クンと僕は駆けだし、ギリギリセーフでグランドの門を駆け抜けると、そこには美希の笑顔が迎えてくれまして・・・

「はい・キミたちまで・・セーフ[揺れるハート]オマケね・・
「おはようございます!佐山美希先生!」

何しろ、礼儀だけはうるさい学校なので、きちんおご挨拶をする。

「佐山先生・・質問があります!」
「よせよ・・」
「いいから・・・」
「何かな・・佐々木クン!」
「ば・・馬鹿じゃなかったオ・・でもない。“熊田教官”はどうなされたのですか?」
「あっち・・・」

美希が指さしている方を見ると、カオリ始め送り込んだナース軍団のために、“臨時救護所”の設営の準備に励んでいる馬鹿が2匹確かにそこに居まして・・・・

「他の先生方は?」
「それがねえ~何故か、バスがエンコしたらしくてね・・・さっき電話あったわ・・・」

美希は笑いを噛み殺しながら・・「あなたの仕業よね」と瞳で僕に尋ねているみたい。
勿論、僕の仕業ではありません。兄さんとの打ち合わせで忍者部隊が、少々バスに細工しただけ・・・
如何せん、僕たちの学園には、工業科もあるので、そんな細工ぐらいわけがない。
美希は、巫女’sの車でここまでやってきているのだ。

「わたし・・バスに乗らなくて良かったわ!」
「ですねえ~」
「そろそろやりますよ・・・」
「ええ・・じゃあ・・早く着替えてらっしゃい!」
「は~い!失礼いたします。」

僕たちはグランドの隅で着替えるしかない。まあ、着替えると言っても、殆どがジャージで集まってきている。
佐々木クンがそっちへ駆けてゆき、僕は必死に“いいところを見せようとしている馬鹿”を、冷やかしに救護所に向かって走って行った。

「鬼クマじゃなかった・・熊田教官おはようございます。」
「おう!おはよう・・・あいさつは出来る様になったな・・・」
「ええ・・お互い様ですけどね・・・」
「いいから・・あっちへいけ!」
「はぁ・・・少々どんな美人が来ているのか拝見しに・・・・お手伝いしましょうか?」
「いいから・・行け!馬鹿!」
「あらま・・・やだねえ~皆さ~ん気を付けてくださいね・・・下心みえみえですから・・・」
「馬鹿っ!余計な事言わずあっちへ行け・・・」
「やだなぁ~忘れちゃったんですか?確か・・タイマンの約束してましたよねえ~」
「そ・・そんなこと・・しているわけないだろ・・・」
「あらま・・嘘ばかり・・確か言ってましたよねえ~決闘するってお約束ですが?逃げるんですね?」
「てめぇ~」
「ほら・・本性が出てますよ!美人の皆さんの前ですよ・・今、やります?」

そこへ打ち合わせ通りにカオリが割って入る。

「あら[揺れるハート]先生逃げませんわよねえ~決闘を挑まれて逃げる男って最低・・・」
「逃げはせん!今日こそ・・血反吐吐かせて学園から叩きだしてやる。この問題児め!」
「じゃあ・・男のプライドに賭けて誓いますよねえ~そうだ・・子分も纏めてでいいですよ・・ハンデで・・」
「くっそぉ~」
「じゃあ・・始めますか?まだ・・他先生方見えてないんで・・・」
「何?」
「知りませんでしたか?おかしいですよね・・・バスがエンコしたらしいんです。」
「お前の仕業か・・・」
「やだなぁ~俺も部員全員、昨日は部活動だったんですよ・・・サッカー部の連中かな・・・」
「何っ!うちの部員がどうした?」
「ああ・・そう言えば監督でしたっけ?弱小サッカー部の・・・」
「てめぇ~」
「まあ・・監督のレベルがこんなもんですからねえ~俺ら恥かしいですよ・・・」
「くそぉ~覚えておけ・・ぶっ殺してやる!」
「お姉さま方、証人になってくださいね・・・先生と生徒ではなく、男同士の決闘の・・・」
「勿論[揺れるハート]
「じゃあ・・始めますか?」

そこへ新聞部と放送部の2年生がやってくる。勿論、これは打ち合わせしてある。報酬は“裏本3冊”だ。

「先生方お早うございます・・・」
「何だ!2年は今日は休みだろ・・・」
「ええ・・くそ生意気な1年が血反吐を吐く瞬間を撮らせていただきたいと・・・」
「何っ?」
「こいつら・・先輩を先輩と思って居ないらしく・・・」
「馬鹿ばかりだから仕方ありませんよ!先輩っ・・・あはは・・・」

僕は打ち合わせ通り、軽いジャブを出した・・・先輩方もシナリオ通りに動いてくれる。

「何お~お前ら、覚悟しておけよ・・・無様な模様を学校中にばらまいてやる・・」
「活躍の話でしょ・先輩!」
「お前・・・学校にいられなくしてやるからな・・・」
「そうだ!先輩!いいネタを提供しますよ・・・この後、熊田教官と監督と決闘するの・・バンバン撮って!」
「ほ・・・本当ですか?」
「嘘だと思ったら・・そこの美人の看護婦さんに聞けば?」
「ええ・・・男同士のプライドをかけての決闘するんだって・・」

ちょうどその頃、反対側のグランドの隅では乱闘が始まっていた。勿論、“フリ”である。
だが、グランドの隅から見れば、本当に殴り合っている様に見えるものだ。

「あっ・・あの馬鹿共・・おい!お前」
「はぁ?」
「いいから・・止めてこい!」
「そうですねえ~ありゃ無理でしょ・・・しばらくやらせておけばいいんじゃないんですか?」
「こりゃスクープだ!」

そう言うと先輩方は駆けてゆき・・・僕はまだそこに居た。

「なんで・・止めない!」
「止めてきてくださいではないんでしょうか?人に頼むんですから・・・」
「てめぇ~」
「まあ・・顔を立てて差しあげますよ・・・後、伝達事項あります?」
「ああ・・トイレはグランドの1か所だけだと伝えておけ・・・」
「はいはい・・こっちのトイレは?」
「女性用とする・・いいな?」
「じゃあ・・そう伝えてきますけど・・・こんあところで油売っていないで・・さっさと始めてくださいね・・・」
「解っておる!行け!」
「じゃあ・・美人のお姉さま方失礼いたします。」

僕は一礼すると乱闘騒ぎノフリをしている普通科300名の方へ駆けてゆく。
これが・・オペレーションAを実行せよと合図なのである。

「しょうがない・・あの馬鹿共止めてこないと・・どうせ・・怪我をして皆さんのところへ来る算段らしい・・・」
「大変ですねえ~そうだ!いいお薬持って来ましたわ・・・元気が出るお薬・・うふっ[揺れるハート]
「そ。。そうかね・・・」
「ええ・・あんあのすぐやっつけちゃいますよね・・・その逞しい腕で・・・」
「勿論!一発で決めてやりますわ・・・」
「じゃあ・・その後・・お食事にお誘いしてもいいかしら・・・[揺れるハート]
「おお!そうですな・・」

監督も洋子に騙され。鬼クマ共々、手渡された薬。粉薬と下剤を飲みこまされるはめになった。

「じゃあ・・止めに行くぞ!ついでに・・さっさと仕留めてなあ・・」
「そうですね・・・」

体育馬鹿はやはり体育馬鹿なのである。頭脳心理戦で高校生に負けるんだから、馬鹿と言われても仕方がないと僕は思う。
後は・・ゆっくりと料理させていただくだけだ・・・TheEndへのカウントダウンの針は確かに動き出した・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第65話へ続く・・・・



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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第65話     [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

ご案内・・・本編は連載ものでございます。
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

ー作戦A ②-

僕は普通科300名の所へ駆けてゆきながら、ある異変に気が付いた。
殴り合いの“フリ”をしているだけのはずだが、これを機にいい機会だとばかりに、気に入らない奴を殴りつけているのもいる。まあ、やられた方もやられ放しにするわけがないので、“当然”の如く本格的な殴り合いに発展している。まあ・・最初から期待はしていなかったのだが、僕たちは大きな1枚の岩ではない。
立ち止まり、僕は“思案”した。そこへまるで地響きをたてながら、体育馬鹿の鬼クマがやってくる。
相変わらず、鈍足である。よくもまあ・・体育の先生になれたと言われるだけがある。

「ハァハァハァ・・ど・・どうした・・な・・なんで止めないのだ!」
「どこから・・手を付けますか?」
「どこからって・・お前委員長だろうが・・・」

今にも鬼クマはすごい形相で僕に殴り掛らんとしていた・・・

「はあ・・僕の言う事を聴くのは僕のクラスだけですけど・・・・」

そういいながら・・片手を上げると、僕のクラスB組だけは争い(もどきだけど・・・)を辞め、整列をした。

「止めましたけど・・・」
「他のクラスは・・・」
「さぁ~言う事聞くわけないでしょ・・・・」
「じゃあ・・・私が・・・」

言うが早いか馬鹿の子分は大馬鹿である。サッカー部の監督が乱闘の輪に分け入る様に入ってゆく。
勿論、そんなのは既に計算済みであり、監督は飛びこむと同時にその姿は消え、

「ぎゃぁぁぁぁ・・・」

叫び声を残し、ボロボロに集団リンチの渦に巻き込まれていった・・・

「だから・・言わんこっちゃない・・・で?どうします?」
「止められるか?」
「嫌ですねえ~監督の二の舞にはなりたくありませんから・・・」
「弱虫やろうめ・・・」

そう言いながら・・大乱闘の中へ飛び込んでゆく。鬼クマの姿があった。
勿論、僕のクラス全員が懇願の視線を送ってくるので、軽く頷く。それを合図に“社会関係奉仕部”以外の面々が争いの渦の中へ消えてゆく。

「なあ・・部長!」
「あん?なんだ・・佐々木!」
「止めなくていいのか?ここでTheEndじゃ寂しすぎるぜ・・・」
「そりゃそうだ・・もうちょっと・・“元気”で居てもらわねえと・・・」

そう言いながら僕は、美希に見える様に手を振った。
これは・・作戦Aを速やかに止めよ!と言う合図でもある。

「あんたたちいいかげんにしないと・・全員留年する羽目になるわよぉ~」

グランドに響き渡る声に一同静まり返る。グランドに横たわる“哀れな犠牲者”を残し、俺らは関係ないとばかりに気をつけの姿勢を取る。

「社会関係奉仕部は全員をただちに整列させること。全員は指示に従いなさい!」

再び、美希の声がグランドを駆け廻る。僕たちは“無事”だった者を整列させ、“名誉負傷”を負った戦士である仲間を救護所へ担いで行った。

「へへっ・・監督の野郎の腕をまたへし折っておいたぜ・・・」
「ば・・馬鹿・・黙ってろ!」

僕は忍者部隊のひとりを背負い、救護所へ引き摺って行った。

「お姉さま方・・・適当に治療宜しく・・・」
「解ったわ・・・」

カオリが僕に「しっかり飲ませて置いたわよ!」とばかりに、B薬が入っていた空きビンを振ってみせた。
僕は込み上げてくる笑いを必死に隠し、救護所のテントを後にし、仲間たちの待つグランドへ駆けてゆく。
まだ・・監督は起き上がれないで、自分の腕を押さえていた。
僕は仲間たちを引き連れ、鬼クマたちを引っ張って行かねばならない。まだまだ・・おネンネの時間ではない。

「監督ぅ~大丈夫ですかぁ・・・あっ・・・!」

元サッカー部のヤマが、トドメとばかりに、躓いたフリをして、監督の顔面をまるでサッカーボールの様に蹴り飛ばし、また今折ったばかりの腕と僕たちの特製下剤が詰まっている腹の上にドスンと落ちた。

「グッギャァァァァァァ・・・」

監督の断末魔が響いた。鬼クマは相当ケリを入れられたのか、全身が靴の後が付いており、唇を少々切っていた・・・

「て・・てめえら・・よくも・・かぁ~・・・ペっ!」

言いながら唾を吐いた途端、鬼クマの口から血と折れた歯が数本飛び出してゆく。

「俺ら何もしてないけどなぁ~なあ・・佐々木!」
「うんうん・・・何もやってない!」
「それで・・どうします?もう・・・開始時間過ぎてますけど・・・・やめましょうか?」
「ば・・馬鹿野郎!今度はお前等に血反吐を吐かせる番だ・・・」
「そうですか?それならいいんですけど・・監督は重傷の様ですが・・・」
「そうそう・・・もう止めて帰りませんか?」
「馬鹿野郎・・・その根性無しを立たせろ・・・」
「救護所へ運ばなくても・・・」
「いい!大丈夫だよな?俺が大丈夫だと言ったら、大丈夫なんだ・・・」
「大丈夫なんですね・・監督?」

僕はのしかかっているヤマをどけると、監督に意地悪く尋ねた。

「ああ・・・てめぇ・・つぶすまではな・・・・」
「でしょうねえ~美人のお姉さま方心配してましたよぉ~」

僕は意地悪く笑いながら監督の“折れている方”の腕を引き起こすフリをしながら、ついでに指の骨を一本折らせて貰う事に・・・だが、これはあくまでも偶然を装った必然の行為だ。

「おい!ヤマ!オカザキ!ちょっくら・・監督を支えてろ・・・熊札教官大丈夫ですか?」
「ああ・・」
「しかし・・汚くなっちゃいましたね・・・こんな無様な格好お姉さま方に見せれませんよ!」
「そ・・そうか?」
「ええ・・・少々我慢してくださいね・・ドロとホコリ落としますから・・・」
「すまん・・・」

僕たちは鬼クマを立たせると、泥やホコリを払う様にしながら、鬼クマジャージについた足跡等を思い切りよくはたき落としてゆく。

「教官・・救護へお運びした方が・・・」
「いいと言っているだろうが・・・お前らも整列しろ・・・」
「はい!」

僕たちは全員クラスの列の先頭に割り込む。勿論、委員長でもある僕は先頭に並ばねばならない。
鬼クマが怒り心頭でのっしのっしと歩き、その後ろをまるでペットのごとく腕を押さえた監督が続く。
“作戦A”をほぼ終え掛けているとき・・・先生方を乗せた“エンコしたはず”のバスが、ゆっくりとグランドの門をすり抜け、運動部の部室とその横にある今日だけは“女性専用”になっているトイレの入り口をまるで塞ぐかの様に停まろうとしている。

「部長ぉ・・・ちょっと経緯を説明して来て頂戴!驚かれるでしょうから・・」
「はい!」

僕は列を離れ、バスを降り出した先生方めがけて走ってゆく。各クラスの担任と学年主任である兄さんに事の次第を話す。まあ、各クラスの担任の中に好んで、」この場所へ来たのはまず居ない。
それに、全員の意思疎通は既に兄さんこと学年主任と僕たちの担任であるキー先生により、その意思は統一されている。つまり、このグランドには、鬼クマたちの味方など誰も居ない。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第66話 “オオカミ少年”へ続く・・・・   








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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第66話      [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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こっほん!

僕です。某私立学園高等部普通科1年B組。“通称、腐ったリンゴクラス”に所属していまして、一応、そこの組長と言うべきなのか、委員長をしております。まあ、言い換えれば、“怒られ役”そんな役です。
まあ、僕たちの将来は明るいんです。何しろ、地元では評判(悪い意味で・・)チンピラ養成学校ですので、
悪くてもチンピラ上手くいけば、ヤクザ屋さんの幹部にはなれるかもしれません。
何しろ、高校生で日本最大級のヤクザ屋さんの直系金バチから、「ホレ!御守り代わりだ!」と銀色のバッチを貰ってます。暴力団ではございません。“任侠”を重んじ、弱きを助け、悪党をやっつける。そんな組織です。
まあ、ひょんなことから優子と出会い、その後輩であるミサを、色ボケ代議士のアホ息子から救うべく、ひとつ暴力団を潰してしまいましたけど・・・何にしろ、身体の血が騒ぐんです。僕の身体には、野性の日本オオカミの血が流れているんですから、仕方ありません。
それでは・・・引き続き、“オオカミ少年”をお楽しみください。
僕たちが一番輝いていた時代。昭和50年代へ・・ご一緒に・・・タ~イムスリップ・・・・

オオカミ少年 ①

「もう一度聞くが!お前らから手は出してないんだな?」
「はい。学年主任先生・・・」

確かに“僕たち社会関係奉仕部”は先に手出しをしていない。そもそも・・僕だって多少面喰ったほどなのだ。
僕は、“フリ”をする様に通達したつもりだったのだが、忍者部隊が脚色していたのだ。
学年主任である兄さん。まあ・・皆さんご存じの僕の義理の兄?になる。そして、キー先生と、顔面を殴られ少々ケガをした、忍者部隊の大沢クンの担任が、彼へ事情聴取のために、救護所へ出向いてゆく。
僕も腕を掴まれているので、そのまま引っ張られてゆく。

「大沢!大丈夫か?」 

学年主任である兄さんが尋ねる。大沢クンは折角、いい匂いに囲まれ少々暴れすぎて疲れ果てていたので、仮設のベッドで睡眠を取っていたのだ・・・・

「ええ・・あっ!学年主任に田中先生・・そして皆川先生まで・・・おはようございます。」
「おまえ・・・大丈夫なのか?」

僕は彼にだけ解る様にサインを送った。まあ、サインを送るまではないのだけど、念のためにだ。

「いきなりですよ・・サッカー部の監督が殴りかかってきて・・・・」
「本当なのか?部長・・・」
「ええ・・・多分、何しろ・・300名も居るんですから・・・・それが、準備運動を兼ねて押しくらまんじゅうをしていたんです。」
「誰か・・証人がいればなぁ~」
「あっ・・あたし見てましたよ!」

そう言ったのは、ミサである。何しろ、この救護所にはカオリの病院関係者しかいない。
つまり、全部・・“僕”の関係者である。兄さんも知っているくせに、他の先生方の手前、知らないフリをしている。

「あなたが?」
「ええ・・・今どきの高校生もああいう事するんだなぁ~って見てたんです。」
「ここから・・・」
「ええ・・・そうですけど・・・」
「いきなり・・殴りかかった?」
「はいそうです・・・」

同じ質問は僕にもされるだろう。

「お前はどうしてた?」
「はい。遅刻ギリギリにグランドへ佐々木クンと一緒に到着しました。佐山先生が証人です。その後、お手伝いが必要かと思い、救護所へ参りました。」
「それで・・・」
「はい。熊田教官に大事な期末試験を妨害されまして、被害届は出させていただいております。その決着と言いますか、先生と生徒ではなく、男として、決闘を挑まれておりましたので、それを承諾しに参ったのです。」
「それでしたら、私たちが証人ですわ・・・」
「そうか・・まあ・・熊田教官の嫌がらせについては、後日、会議に取り上げられる。それで・・・」
「はい。グランドの隅で寒さを防ぐ意味で、押しくらまんじゅうが始まっていたので・・・」
「うんうん・・それで・・・」
「はい。熊田教官に止める様指示されましたが、生憎、僕には1-Bの生徒及び社会関係奉仕部の部員にしか、命令する権利も義務もありません。」
「そりゃそうだな・・」
「一応、駆けつけ、1ーBだけは、整列させました。」
「そこへ・・殴りこんできたんですよ・・・監督・・・」
「確かにそうなのか?」

そこへ美希こと佐山美希先生が、やってきた。

「先生方、おはようございます。バス直ったんですね・・・」
「ええ・・酷い悪戯する奴らがいるんですなぁ~そうだ、佐山先生ご覧になってました?」
「ええ・・女一人ではどうする事も出来ずオロオロしてましたわ・・・」
「そうでしょうな・・・」
「大体・・・マイクで整列と言えば彼等だって従ったはずです。」
「えっ!言わなかったのですか?」
「ええ・・いきなり殴りかかっていかれて・・・そうそう・・大丈夫?大沢クンだったわね・・[黒ハート]
「大丈夫だとな・・大沢!」 

僕はそろそろいい加減にしとけと合図を送る。まあ・・彼のおかげで、サッカー部の監督の腕を一本貰ったんだから、“殊勲賞”で超レアな裏本を一冊プレゼントすることにしよう。

「ええ・こんなことで・・体育の単位落としたくないですからね・・参加しますよ・・」

そういいながら、大沢クンが立ちあがろうとしたので、僕は彼に手を貸す。

「先生方いかが思われます?」
「そうですな・・・それで・・お前等はどうしてたんだ?」
「はい。学年主任先生から、僕たち社会関係奉仕部は、先生方の助手を命じられておりましたので・・・」
「うん。確かにそう命じたな・・・」
「そこで、事態収拾を図って居たんですけど、熊田教官が・・」
「体育科の熊田教官がどうした?」
「はあ・・他の生徒を殴りだしまして・・・」
「まったく・・あの人は“疫病神”としか言えないな・・・」
「そこで、仲間を守るべく、何しろ“校則”でいつ、いかなる時も友達を見捨ててはならない。とありますので・・」
「確かに、我が校の信条だな!」
「そこで・・・同級生を守るべく、体育科の馬鹿じゃなかった・・熊田教官と監督を抑えつけにかかったわけでして・・・」
「なるほど・・しかし、教官に向かって馬鹿とは口が過ぎているな・・」
「申し訳ありません。そこで・・・」
「ええ・・私がマイクで怒鳴ったんですわ・・」
「聴こえてましたよ・・・グランドの手前にまで響いてましたから・・・」
「お恥ずかしい限りで・・・」
「まあ、これが事実だとすると、どうやら“懲罰委員会”に掛けざるを得ないと思いますが・・・」
「そうですね・・・後ほど、校長先生がお見えになるので、協議しましょう。確か2時でしたな・・・」

そう言いながら、キー先生は、僕に背負向け後ろ手に組んだ指で、Vサインを出してみせた。
つまり、2時に校長先生が来る。そこで、決着をつけろと言うことらしい。

「あら・・キミもケガしているんじゃない・・・こっちへいらっしゃい。ばい菌が入るといけないから・・・」
「ありがとうございます。あっそうだ・・・取り押さえる際に少々、教官方も怪我されたらしくて・・・」
「じゃあ・・・呼んできてくれるかな?」
「それが、ココへご案内しようとしたんですが・・・俺はいい!の一点張りで・・・」
「そう・・じゃあ・・・とりあえず・・コレ!を飲んで貰っておいて・・・」
「じゃあ・・・それは私がお届けしましょうか?」
「いや・・・私が持って行きましょう!」

手を上げたキー先生の瞳の中に悪戯っ子の姿を僕は見逃さなかった。
きっと・・自分も“加担”したくてうずうずしているのだ。さすが、僕たちの学園の卒業生である。

「よし!部長治療終わったな?」
「はい・・」 おおげさに巻かれた包帯をした手を上げてみせた。
「じゃあ・・大沢と列に戻れ!そうだな・・・午前中は予定変更でお前等球技でもして身体を温めておけ!いいな!」
「いいんですか?」
「ああ・・その間に当事者に状況を確認せねばならん!」
「じゃあ・・私が放送をしておきますわ・・・」
「佐山先生。宜しくお願いいたします。」

兄さんこと学年主任はペコリと頭を下げ、僕と大沢クンに向かってウインクをして見せた・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第67話 オオカミ少年 ②へ続く・・・・  



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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第67話      [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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オオカミ少年 ②

「なあ~大沢!」
「なんだ?」
「お前もやるねえ~ただの秀才だけかと思ってたけど・・・」
「いいんだよ!短い青春楽しまなかったら、嘘だろ?」
「まあねえ~まあ・・いいや!もう一冊スペシャルプレゼントするからさ!」
「おう!」
「ついでに・・“被害届”だして学校に“貸し”作っておけ!」
「貸し?」
「ああ・・・推薦の時に返してもらえ!」
「いいねえ!早速、被害届出しておくわ!」

大沢クンは僕たちの学園に来るべき人間じゃなかった。本当は、もっと上位校に行けたのだが、本命の学校の入試で“とんでもないミス”をやらかして、その動揺を隠しきれずに、公立の進学校も受験失敗をして、僕たちの“ちんぴら養成学校”へ来ることになったらしい。本来は僕たちの“影部隊”である。忍者部隊にいるはずもない人間なんだが、どうも、親が“頭のネジを巻きすぎたらしく壊れてしまった”のだと本人は言っている。まさか、入学式で新入生代表。つまり、主席入学した奴とは思えない。まあ、彼の居るクラスは、僕たちの“腐ったリンゴ”クラスではなく、純粋培養クラスに所属しているのだが、2年生からは、“間違い”で理系に進む僕たちと同じクラスになるのかも知れないけど・・・・
今度の鬼クマ退治作戦においても、彼が一肌も二肌も脱いでくれたので、敵さんの“昨夜の行状”も全て、逐一報告が届いている。何しろ彼はこのグランドのすぐそばに住んでいるのだから・・・

美希こと佐山先生が、何やら鬼クマと弱小サッカー部の監督に“薬らしきもの”と紙コップを渡して、何やら喋っている。因みに仕掛けてあったお酒には、下剤ではなく、腸の働きを弱める。つまり、下痢止めが入っていたのだ。
佐々木のおばちゃん(僕たちの仲間の佐々木クンとは、関係ない)が、ただの下剤では面白くないだろうと一ひねり加えたモノ。一体、このおばちゃんの正体は何者なんだろう。現代版の魔女かもしれない。
何しろ、僕の棲家のある鎮守の森の集落に住む人々は、医者に行く前に必ず、このおばちゃんの作る薬の世話になっているし、僕もこのおばちゃんには、“酷い目”に合っている。
おばちゃんの作ってきた“強壮剤”というのか、精力剤と言えばいいのか?よく解らないけど、僕は手渡された一週間分の薬を飲んでしまったから、太陽が黄色く見えるほど、僕の本能は、目覚めてしまったのだ。
一週間分飲んでしまった僕が悪いのではない。佐々木のおばちゃんが「さっさと飲め!」と言うから、手渡されたモノを全部飲んでしまったわけで・・・先に用量をちゃんと説明してくれていれば、いくら僕だって、そんな事はしなかったと思うのだけど、自信はあまりない。
まあ、佐々木のおばちゃんが作った薬を溶かしこんでいるのが、第一ロケット。
さっき、飲ませた薬、本人たちは“精力剤”と思って飲んでいるのだが、これが二種類に分けた第二ロケット。
そして、今、美希が届けたのが、遅効性の下剤である第三ロケットだ。
効き目は遅いのだけど、その効能は抜群との事。一度、キー先生には悪いが、“人体実験”させてもらったら、朝飲んで3時間目までは、なんともなく。その後、午後最終授業である7時限目まで、トイレに籠ったきりだったそうだ。因みに、この時も大沢クンをはじめとする。忍者部隊が“暗躍”したのだ。

「よし!飲んだ!」
「何か言ったか?部長!」
「ああ・・大沢!きっちり時間計れよ!今から3時間くらいで効くだろ!」
「了解!」

薬を飲んだ鬼クマと弱小サッカー部の監督が、教職員用のプレハブもどきの“レストルーム”へ消えてゆく。
どうやら、学年主任である兄さんとキー先生こと僕たちの可哀そうな“田中先生”と他の普通科1年の担任たちに絞りあげられに行ったのだ。

「ええとぉ~社会関係奉仕部の部長!速やかに前に来て頂戴![黒ハート]
「は~い!」

僕は美希の元へ駆けてゆく。何しろ、300名の普通科1年をこれ以上、野放しにしておくと、寒空の中。本当に暴動が起きるかもしれない。

「はい!何でしょう・・・」
「計画通りに行ったわね!」
「ええ!後は・・仕上がりの待つばかり・・・」
「それより・・どうする?何をやらせようか?」
「そうですねえ~」

僕はグランドを見渡した・・・ここは、無駄に広いグランドである。何しろ1周800メートルもあるトラックがあるくらいだ。その他にもサブグランドが道の向こうに広がっている。きっと、自衛隊だかなんだか知らないけど、基地が閉鎖されれば、住宅地として売り出せば、ボロ儲け出来るに違いない。

「いいんじゃないんですか・・・そうだ!いっその事!ボール10個でドッチボール大会しましょうか?」
「ドッチボールねえ~」
「暴動抑えなきゃ・・それに・・・あと、2時間ちょっとで薬が効きだすと思うんで・・・」
「解ったわ・・・じゃあ・・・任せる!私もちょっと・・覗いて、救護所へ行かないと・・・」
「了解!」

僕は演台に駆けあがり、マイクを手にした。

「ええとぉ~諸君!寒いのにご苦労さまぁ~佐々木ぃ~2・3人で何でもいいからボール10個!」
「何でもいいんだな!」
「ああ・・・頼む!」

佐々木クンとY・白○がグランドの隅にある用具入れに駆けてゆく。

「ええとぉ~諸君!これから・・“ザ・サバイバル!ドッチボールを行う!ルールは簡単だ!A~Cまでの諸君は、Aチーム。D~Fまでの諸君はBチーム。佐々木クンがどんなボールを持ってくるか知らないけど・・・最後のひとりになった方が勝ち!使用するボールは段々、数が増える!いいな・・・」
「おう!」
「参加賞くらいあるんだろうな!」
「そうだな・・・勝ち残ったチームには、景品を出す!負けた方にもな!」

まあ・・元々。全員に1冊ずつ配って、僕たちは裏本のバイトを止めるつもりだった。最近、ルートがバレかかっているとの通告を受け、仕入れは既に止めている。在庫数は50種類にも及び、500冊を超えている。
まあ・・タップリ稼がせてもらったので、この辺が潮時かもしれない。ちょっと早いけどみんなに利益還元のクリスマスプレゼントだ。

「お~い!部長ぉ~こんなのしかなかったぜ・・・」
「佐々木ぃ~上等だよ・・・じゃあ・・・まずは・・・1個から始めるぞ!」
「おう!」

その頃、“レストハウス”では、今にも“殴り合い”に発展するんではと言うくらい、喧々諤々とやっていたらしい。
ちょっとだけ・・・覗いてみることにしよう。

「あのですね!先生方自分の立場お解りですかな?」

馬鹿な鬼クマはこう啖呵を切ったのだ。

「ええ!知ってますよ!少なくともあなたよりはね・・・」
「何を~」
「いいですか・・・何で、マイクを使わなかったのか?とお聞きしているんです。」
「田中先生でしたな・俺はは理事長の甥ですぞ・・・」
「だから、どうしたんです?」
「良くも・・私にそんな口が利けると・・・」
「何を言う・・関係ないことを喋る前に質問に答えたらどうなんだ!」

これにキー先生の我慢の尾が切れた。いや、切れたフリをしたのだ。

「あなたは、困ればすぐそれだ・・いいですか・・・・」

学年主任である兄さんは、やっと重たい口を開いた。

「私たちは教師や教官と言う職種の違いがあるにせよ、彼等は教え子です。」
「それが・・どうしました?」
「ここ最近、あなたの言動は異常過ぎる。退学した渡辺クンの例もあるし・・・」
「そうそう・・真昼間からお酒を飲んで絡んできましたわよねえ~熊田教官!あの時、階段から落ちたんでしたっけ?」
「そうなんですか?佐山先生!」
「ええ。私が社会関係奉仕部の部長クンと打ち合わせに出かける際でしたわ・・・」
「煩い!黙れっ!」
「いいえ・・黙りません!あの時、部長クンが落としたのではなく、あなたが勝手に階段を踏み外して落ちて行ったんですよ・・・それをこともあろうに・・試験の邪魔までされて・・・」
「えっ!そうなんですか?そりゃあ・・聞き捨てならないですな!うちのクラス委員長ですからな・・・」
「あいつらは嘘を言っているんだ!特に部長でしたっけ?あいつは嘘つきの塊だ!」
「そうですか?部長は悪さはしますけど、嘘は付かないんですよ・・」
「そうそう・・仮に彼があなたの仰るとおり、嘘つきだとしても・・大沢が嘘を付くはずがない。」

こんなやりとりが行われていたのは、後で教えてもらうとして、僕は10個目のボールを、コートに投げ入れた。

負け組は転がってきたボールを奪い合い、まだ“生き残っている”奴に敵、味方関係なく狙いを付け、投げ込んでいる。生きている奴にヒットすれば、生き代えれる“ゾンビ方式”ただ、手にしたボールには注意しなければならない。
サッカーボールは受ける方は、手を使って構わないのだが、投げる時には、蹴らなければならないし、
バレーボールは、蹴ってはいけない。ソフトテニスのボールは、投げた奴を打ち返し、誰かがコレをキャッチしなければ、そのまま生きて残れる。ドッチボールと言ってもソフト野球とサッカーとバレーボールが入り乱れている。
まあ、300名の心はひとつに纏まっている。心なしかコートが微妙に“レストハウス”に近づいている。
特にサッカー部とサッカー部出身のヤマに至ってはボールを持ってウロウロしている。
いずれ、グランドに出てくるであろう鬼クマとサッカー部の監督の姿が見えれば、強烈なシュートが襲う手筈になっているのだ。バレーボールは、バレー部がしっかり押さえこみ、その時を僕たちはわあわあ言いながらも、静かに待っている。“的役”である忍者部隊もそのときを待っている。3個のバレーボールと3個のサッカーボール。そして4個のソフトテニスの球が一斉に鬼クマと監督目指して・・あたかも、的外れの様に飛んでゆくのだ。

「なあ・・そろそろ・・時間じゃねえか?」

佐々木クンが僕の横にやってくる。

「ああ・・・確かにな!」
「効き目悪いのかな?」
「そりゃあ・・あれだけの体格だからな!キーとは違うって・・・」

“レストハウス”のドアが開き、美希が僕のそばを通り抜けながら・・・

そろそろ・・限界みたいよ!」

そう囁いて救護所へ向かてゆく。
予定通り、フィールドを横切り、慌てて救護所へ薬を貰いにでもいくのであろう。監督と鬼クマが飛び出してきた。
如何せん、まだゲームは続行中なのだ。予定通り忍者部隊の面々が、“おとり役”となり、ちょうどグランドを走り抜け様としていく鬼クマと監督めがけて渾身の力で“的をはずれたボール”は、新たな的目指して飛んでゆく。
何しろ、忍者部隊は全員。地面に転んだフリをしたのだ。
次々と“新たな的”目指して飛んでゆく球は、次々とヒットしてゆく。特にサッカー部の連中が蹴った球はことごとく、監督を直撃してゆき、鬼クマにはバレーボール3個とソウトテニスの強烈な打球が襲いかかる。
それでも、彼等は必死だったのだ。何しろ、じわじわ効きだした腹痛を止めなければ、僕たちに対抗すらできない。それで、救護所目指して駆けてゆく。

「しかし・・哀れなもんだ!」
「うんうん・・・効き目が遅かったけどな・・・」

兄さんが僕に合図を寄越した。そろそろ“休憩”タイムという作戦Bに取り掛かるときが来た様だ・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第68話 “穴の中へようこそ!”①へ続く・・・・・  
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第68話 “穴の中へようこそ!”① [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

 “穴の中へようこそ!”①

「すみませんが・・ちょっと・・腹具合が悪くて・・・」
「それはいけませんわね・・・・ハイ!コレ飲んでくださいね・・・うふふ[揺れるハート]

救護所でそんな会話が行われ、カオリが“第4段ロケット”となる強烈な下剤を手渡した時、僕は全員に“休憩”と言う名の作戦Bを伝えることにした。

「お~い!休憩だぞォ~昼飯とトイレ済ませろって・・・・」

マイクに向かって叫ぶ!忍者部隊は速攻でトイレ裏手に消える。4個あるトイレのうち2個を潰すためだ。
一応、水洗トイレなので、水さえ出なくすればいいわけで、忍者部隊にしてみれば、本屋でエロ本を買うより、易しいことだ。その間にトイレに予め選定されている“戦士”たちが並ぶ、残りの戦士たちはそれぞれあちらこちらへ移動しながら、グランド中に釣り糸を張り巡らせる。勿論、そのすぐそばに立っている。合宿所のトイレは既に潰してあるのだ。

学年主任である兄さんもキー先生を始めとする担任の先生方は、既に、バスの中に戻って、これから起こるであろう“悲劇”なのか、“喜劇”を半分予想しつつ、仕出し屋から届いている弁当にパクついているに違いない。
僕たちもそれぞれ・・持参した昼飯の弁当を食べる奴と移動販売の弁当を買う奴それぞれが、思い思いの場所に陣取っているとあたかも見せながら、鬼クマと監督が腹を押さえながら駆けてくるのを、今か今かと待ち望んでいるのだ。
仲間たちには、教えてないけど、“起爆スイッチ”として、必殺手作り弁当。大盛り二人前スペシャルを、洋子に用意させている。これには、あたかも見た眼、“精力”が付く様に見えるけど、楊ママ特製の速攻下剤のお薬のエキスを豊富に含ませてあるのだ。あとは、洋子とカオリのお色気作戦で、地獄への片道切符を握らせ、トイレまで、直線距離500m。“障害物だらけ競争”を二人に走ってもらうだけである。

「先生方はお昼召しあがらないんですか?」
「そうですわ。何か少しでも胃に入れられませんと・・・」

洋子が切り出し、カオリが続ける。

「いやぁ・・正直言って仕出しも飽きましてなあ~」
「そうですか・・そうだ。先生方に召し上がっていただこうとお弁当作ってきたんですけど・・・」
「ほほう・・美人手作りのお弁当とはありがたい・・なあ!」
「そうですね・・・」
「他の先生方の分もあるんですけど・・・」
「ああ・・あいつらには勿体ない。夕食に私共で頂きますよ・・・」
「ええ・・そうさせていただきましょう・・・」

直接手渡されて喜ぶ馬鹿二人。こう言っては悪いけど、この二人の素性を知ったら、逃げ出したくなるだろう。
何しろ、泣く子も黙るT女のスケ番のご出身なんだから・・・この二人に手渡された食べ物は、僕だって一応、クンクン匂いを嗅ぎ、隙を見ては池の鯉に毒味させなければ、食べない。それか、他の魔女連が食べて大丈夫そうだったら、初めて自分の胃袋に収める事にしているのだ。

「じゃあ・・ちょっくら・・起爆スイッチ押してくるわ!」

僕は立ち上がり、あちらこちらからの合図を確認して、佐々木クンに告げた。

「しくじるなよ!」
「解ってるって・・・後は頼むぞ!」
「了解っ!」

僕は近くにソロソロと近づく。何しろ油断するとこっちがワナに嵌りかねない。一歩ずつ足元を確かめ歩いてゆく。
そうしなければ、僕が“釣り糸地獄”の被害者になりかねないからだ。
忍者部隊がそっと僕の手に小型のFM受信機とイヤホンを渡してくれたおかげで、隠しマイクが拾ってくれている救護所のやり取りが僕の耳に飛び込んでくる。

「ほほう!旨そうだ・・精力もつきそうだな」
「ええ・・・」
「先生方、健康茶になさいます?それとも・・・お酒の方がいいかしら・・」
「酒とはありがたい・・いやぁ~とんでもなくタチの悪い生徒が居ましてな・・懲らしめて、退学にしてやろうとおもってるんですわ・・・あはは」
「あら・・そうですの!やはり先生方は素晴らしいですわ・・・じゃあ・・お酒を・・」
「拙くないですかねえ~」
「お茶で割れば問題はないだろ・・粕漬けを喰った事にしておけば・・・」
「そうですね・・・」
「じゃあ・・・差し入れにお持ちしたお酒をお茶割りで差し上げますわ・・・」

粕漬けなら弁当に入っているはずだ・・・僕が精魂込めて酒粕に鶏の優子たちの糞を混ぜ、ありとあらゆる雑草から抽出したエキスを練り込んである。そこに半分腐らせておいた鮭の切り身を漬けこんだ代物が・・・・
更に、ハンバーグには、ミミが養殖しているミミズをすり潰したモノだし、炒めものの中には、信州の村から由香ちゃん1号に送ってもらった。致死には至らないけれど、一口食べたら強烈な腹痛伴うと言われているキノコが入っているし、九尾の狐に頼んでちょっと病気になっている犬が舐めた鶏肉で作った唐揚げは、さぞ美味なことだろう。

「えっへん[揺れるハート]

ミサがわざと咳き込み、弁当が半分以上、鬼クマと監督の胃袋に収まったことを告げてきた。
いい頃合いである。ちょとからかいながら、トイレの詰まりを告げて作戦Bの実行に移す時が来たようだ。

「熊田教官!」
「なんだ・・嘘つき野郎か・・・何の用だ?」
「旨そうなもん食ってますねえ~弁当忘れてきちゃって・・移動販売も品切れだし、買ってきていいですかねえ」
「我慢しろ!弁当持って来ない奴が悪い。」
「そんなこと言わないで・・それ!一口でいいから下さいよぉ~」
「駄目だ!あっちへ行ってろ・・・」

二人揃って弁当箱を取られまいと隠す馬鹿。

「ケチなんだから・・・そうだ!お知らせしなきゃいけない事が発生したのを言うの忘れてました・・・」
「今度は何だ?」
「はあ・・トイレが2か所壊れてまして・・・ホラ!ご覧の有り様に・・・・」

僕が指さした方のトイレはすでに長蛇の列が出来ている。それをちらっと見ただけで、また弁当にとりかかかる
鼻の下を伸ばしきった馬鹿二人。カオリがどうよ!といいたげに微笑んだ。

「後で・・見に行く!お前はそこらで水でも飲んでろ・・・・」
「は~い・・・」
「あなたぁ~お弁当持ってきたわぁ~」

そこへ・・今着いたとばかりに優子がフェンス越しに声をかける。勿論、ミミもその他T女のお歴々で、僕の仲間たちととりあえず、カップルになっているちょっと怖~いお姉さま方までスタンバイしている。

「あのぉ~弁当貰ってきていいですかね・・うちのが届けてくれまして・・・」
「勝手にしろ!傍に来るな!メシが不味くなる・・・」
「はい。では・・・失礼して・・・」

僕は3メートルほどあるフェンスを乗り越え、優子の元へいく。

「サンキュー・・・いよいよ・・面白いものが始まるぞ!」
「ねえ・・アレ!食べてるわけ?」
「ああ・・美味そうに喰ってる。ミミご苦労さんだった!」
「うん[揺れるハート]

鬼クマとサッカー部の監督。馬鹿な二人が喰っているもの・・それは、村外れの呪われた家で、そこの調理器具を使い、更にミミが作った特製の調味料で調理されている。ミミには九尾の狐が憑依して、二人が食っている弁当を拵えたのだ。勿論、そこには九尾の狐の呪いもタップリ掛けられている。
何しろ、散々九尾の狐に協力しているんだから、こっちのも協力してもらっているわけだ。

「ああ・・腹減った。みんなで一緒に食べながら見学しようか?It's a showtime もうすぐはじまるし・・・」
「うん・・そうしよ!ミミ・・用意して・・[揺れるハート]
「は~い。」

僕と優子とミミは道路わきにピクニックシートを敷き、ミサが作ったであろう美味しいお昼ご飯にありついた。
何しろ、優子が作ったのではない事だけは確かな事。だって、優子と僕はグランドのある駅の2駅先にあるラブホで“せっせと”朝まで子作りに励んでいたわけだし、ミミは“スペシャル弁当”を作っていたんだし、洋子もカオリも奈々子も酔っぱらって、ミサとミミが運転する車で帰って行ったのだ。従って、このお昼ご飯のお弁当は、ミサの手作りに間違いがない。もうひとつ確証があるのは、この卵焼きの味付けは、ミサにしかできない。
それに、僕のお弁当箱にはある意味を込められたメッセージ的な要素のオカズが忍ばせてあったのだ。

「このお礼はちゃんとするからね・・・俺!律儀だしぃ~クックック・・・」

今日中に決着を付ければ、僕は鎮守の森へ帰れるのだ。そうすれば・・・バラ色なのか、地獄絵図なのか良く解らないけど・・・僕の居場所はそこにあるのだ。
僕を真ん中に優子とミミが並んで座り、受信機から流れてくる“救護所”でのカウントダウンがリアルタイムで流れてくる。

「あ・・・ああ・・美味しかった・・ちょ・・ちょっとトイレの様子見て来なきゃ・・・」
「そ・・そうですね・・ご・・ご馳走様でした・・・」

リアルタイムに流れてくる鬼クマとサッカー部監督の声。僕は微笑みながら・・カウントダウンを始める。

「5・4・3・・・あれ?フライングだぁ~」

一斉に立ち上がり、二人とも両方の手でお腹を押さえ、昼の余興。“釣り糸地獄障害物だらけ競争”が、始まった。その距離500メートル。必死に走るサッカー部の監督と鬼クマ。

「さて・・そろそろだぞ・・・」
「えっ?」
「転ぶからさ・・見てなよ!ホラ転んだ・・・」
「何か仕掛けてあるわけ?」
「グランドに釣り糸をね・・・ありゃ・・監督・・多分、もう一本の腕も折れたな・・あれは・・・」
「いいの?」
「いいの・・いいの・・・しかし・・・馬鹿だなあ・・・やっぱり体育馬鹿だわ・・あれ!」

僕は腹を抱えて笑った。勿論、グランド中に笑いが響く。釣り糸地獄で双方3回ずつ転び、最後の100メートルで、柔道部と相撲部の二人がモタモタと二人の前を横切る。
思わず、ミミは立ち上がり、フェンスに齧りついて見ている。

「どけぇ~どかんかぁ~」

何せ、400メートルは離れた所に居る僕にも聴こえるくらいだから、相当な声で怒鳴ったはずだ。
その二人が退くと・・今度はサッカーボールとバレーボールが二人の足元に投げられ、やっぱり足を取られ転ぶ羽目になる馬鹿が二人。

「て・・・てめぇら・・・」

勿論、仕掛けたのは悠然と昼飯を食っている奴の影に隠れた忍者たちの仕業である。
逃げる忍者が口ぐちに叫ぶ・・・・

「鬼さんこちら・・手の鳴るほうへ・・・」

その声にあわせてグランドに散らばった戦士たちが大声で手を叩きながら続く・・・

「鬼さんこちら・・手の鳴る方へ・・・」

僕は固唾を飲んで、最終障害物である戦士たちの間を眺めた。今では100名以上がトイレを待つフリをして並んでいる。その列に割り込もうとすれば、僕たちがせっせと掘り、片一方にはカエル。もう片一方には、青大将を忍ばせた落とし穴に落ちるしかない。多分、あの二人は期待に答えてくれるはずだ・・・
そう考えている矢先、二人の姿が見えなくなった。

「ワァ~やったぁ~」

グランド中から歓声が上がった。僕は弁当を食べ終わり、優子の膝枕で束の間の眠りの世界に入ることにした。
後は仲間たちに任かせておけばそれでいい。生き埋めにしようが知ったこっちゃない。
校長先生が着くまでなのか?それとも誰かに起こされるまで僕は眠りにつく事に決めた。
何しろ、昨夜と今朝の疲れが尾を引いているのだから・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第69話 “穴の中へようこそ!”②へ続く
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第69話 “穴の中へようこそ!”② [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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 “穴の中へようこそ!”②

“この恨み晴らさずにおくべきか!”これが、高等部普通科1年の合言葉である。
だから、普通科居年“体育スペシャル補修デー”と名付けられた。本来なら、テスト休みである。この期間に沸々と怒りと仕返し出来るこの時を全員で待っていたのだ。もしかしたら、体育の単位を落とすことになるかもしれないと忠告はしたのだけど、全員、「今、やらないでいつやるんだ!!」と言われた程である。
僕は優子の膝枕で寝ているとミミが起こしに来た。

「ねえ!止めなくていいの?」 僕の身体を揺さぶって起こす。
「な・・なにが?放っておけばいいんじゃない!」 僕は薄眼を開けた。
「だって・・・みんな砂場から砂運んでいるみたいだけど・・・」
「えっ?」

僕は優子の膝枕のまま遠く砂場の方を見ると全員が、砂場から確かに砂を救っては、“穴の中”に放りこんでいる。

「あはっ!本当だ・・・生き埋めにするだけだよ・・・掘りだすのは大変だけど・・・」
「いいの?あなた・・」
「うん!あれも作戦Bのうちさ・・・どうせ・・穴の中で・ドバーッだもん!臭いじゃん!」
「き・・汚いわねえ~」
「だけど・・青大将とカエルには可哀そうだけどね・・・あとで、水洗いしてやるか・・・」

その頃、穴の中では、どんなことが起こっているかは、容易に想像できる。
多分、蛇の穴に落ちたのは監督の方だろう。そうすれば、毒はないと思うけど、青大将を詰め込んだビニール袋は破れているはずだ。何匹かは踏み殺されているかもしれないけど、その他の仲間の蛇たちが驚いて今頃、監督に噛みついているだろう。僕としては鬼クマに蛇の穴に落ちて欲しかったのだが、予定は予定であって決定ではないのだから仕方がない。
ワァワァっと叫びながら次々に砂場の砂を救っては投げつけている様子を見ながら、僕はまた眠りの世界に落ちてゆく。

「なあ・・このまま穴塞いじゃえばいいじゃんか・・・」
「よせ!こんな奴ら殺しても、リスクが大きいだけだ・・・」

穴の縁では“作戦B”が進行している。勿論、完全に穴を塞ぎ、土をかけてローラーを曳いておけば、存在自体を消すことは出来る。だが、これは既に首から下だけ砂に埋もれ、なお且つ大量の砂を顔面や頭全体に浴びた
鬼クマとサッカー部の監督にとっては、生きた心地がしなかいだろう。
その一部始終は、放送部のビデオカメラと新聞部のカメラが撮影しているはずである。
先輩たちがわざわざお休みの日に来たのは、この有り様を取材するためだけではない。
このために、すっかり馴染みになったホステス養成学校のお姉さまをナンパして、コンパをセッティングしてあげてあるのだ。勿論、上手くいく保証は100%ない、ないばかりか、カモられるのがオチ。
ホステス養成学校のお姉さま方にしてみれば、その辺のエロジジイをカモるより、面白いと内諾をいただいているわけだけど、先輩方には言ってはいない。後は、男なんだから自分でナントカしてもらうしかない。
佐々木クンはちゃっかりと、彼のお母さんが経営してるラブホの割引券を配っていたけど、無駄になると僕は思う。
グランドに午後の授業を開始する音楽が流れ、兄さんこと学年主任を筆頭にバスの中で昼食を取り、外の騒ぎに気付かないフリをしていた・・担任たち。それに、美希がバスから下りてくる。

「あなた・・いいの?行かなくて?」
「いいの!呼びに来る事になっているからねえ~予定では・・・」

兄さんたちがグランドに向かう途中にある“釣り糸地獄”は撤去されているはずし、砂場もトンボが掛けられているハズ・・ここまでが忍者部隊に与えた役割である。

「全員・・整列しなさ~い!」

美希がマイクで喋る。勿論、僕がその場にいないことは、先刻承知している。
高等部普通科1年299名が並ぶ。そう僕だけはまだ優子の膝枕で寝ていることになっている。

「あれ~おかしいわね・・・誰か足りなくない?」
「おい!先頭に並んでいるはずのウチの委員長はどうした?」

そこで、すかさずYが手を上げる。

「なんだ!Y。発言してよろしい」 学年主任である兄さんが必死に笑いを堪えているのが目に浮かぶ。
「あそこで・・奥さんの膝枕で寝てますけど・・・」
「誰か・そうだな・・・佐々木!青○!白○!S!・・あの馬鹿を連れてこい!」
「は~い!」

4人が門をこじ開け、僕の許へ走ってくる。

「そうだ!誰か足りないと思ったら・・体育科の熊田教官と監督はどこへ・・・」
そこで、秀才ばかり集められたクラスの委員長であり、忍者部隊の大沢クンが手を上げた。

「なんだ?大沢・・・」
「はい。穴に落ちてますけど・・・教官たち・・・」
「何?」
「どうやら・・陥没でもしてたのか、何かの意図で用意されてたのか知りませんが、トイレのそばの穴に落ちてました。」
「それでどうした?」
「どうしたって・・・どう考えても助ける必要も義務もありませんし・・・」
「まあいい・・・案内しろ!」

その頃、走っているフリをしばがら、僕の所へ集合する佐々木クンと青○クンに白○クンにSクン。

「お~い!部長ぉ~」
「なんだ・・もう来やがったな・・さては、美希順番間違えたな・・・」
「何の事?美希先輩がどうかしたの?」
「な・・なんでもないよ・・・よぉ~ご苦労さん!で・・首尾は?」
「上々・・・監督がカエル地獄で鬼クマが蛇池地獄に落ちた・・・」
「あん?場所違うんじゃ・・・」
「ああ・・忍者部隊が作りなおしたんだとよ・・・・深さ4メートルにしたんだって・・・」
「それでか・・あいつららしいわ・・・」
「それに、コンパネじゃ割れないのが解ったとかで、ビニールシートにしたんだってよ・・・」
「さすが・・秀才が陣頭指揮を執る部隊だわ・・・」
「いこうぜ・・部長が締めなきゃ終んないぜ・・・」
「ああ・・作戦Bはな・・・後は、校長の到着を待って・・・作戦C開始と行こうぜ!」

僕たちが揃って門を通り抜けしばらくすると、グッドタイミングで校長を乗せた車が予定より早くやってきた。
門を広々と開け、深々とお辞儀をした。何しろ、“礼儀”だけはうるさい学校だから、それだけは嫌と言うほど身に染みている。今はすっかり味方につけたけど、まだ僕の兄さんになる前だった“学年主任”はじめ、キー先生に散々竹刀で“ケツバット”を喰らったのだ。
僕たちの前で、車が止まり、整列してお辞儀をしている僕たちに向かって窓を開けた校長先生が、話しかけてきた。

「諸君!今日も元気かね!」
「はい!校長先生!」
その姿を目撃してキー先生が走ってやってきた。

「おまえら・・さっさと集合せんか!」
「まあまあ・・田中先生!彼等はワシに挨拶をしておったのだよ・・・」
「そ・・そうですか・・本日はご苦労さまでございます。」
「何か変わったことはなかったかね?」
「はあ・・それが・・・色々ございまして・・・何でもグランドに穴が開いていて熊田教官と監督が落ちたとか」
「何?それは大変だ・・案内してくれるかね!そうだ・・キミタチの力を借りることになるかもしれん。社会関係奉仕部全員集合させてくれんか?」
「はい。佐々木・・全員呼んで来てくれ」
「ああ・・行ってまいります!」

車から降りる校長先生。勿論、ハイヤーである。ハイヤの運転手さんにバスの横に車を停めて待っていてもらうことにして、僕たちは先に立って案内するキー先生を先頭に校長先生の後ろを歩いている。
すると・・校長先生が思い出した様に僕たちにも聴こえる様に話し始める。

「どうだ!理事長もお見えになるからの・・・」

どうやら、この狸親父・・僕たちを利用して、次期理事長選挙に打って出るつもりらしい。
まあ、貸しを作っておけばちょっぴり窮屈な学園も、居心地がよくなるかもしれない。
何しろ、鬼クマこと熊田教官は正式は教師ではない。確か、講師のはず。それでも、ただ・・理事長の末妹のどう見ても出来そこないである娘を嫁さんにして、甥だと威張っているのだ。
そして、馬鹿大の後輩であり、サッカー部の監督として、自分の子分を引っ張ってきたのだと、体育科の鈴木教官が教えてくれたいたのだ。

「おい・・面白いことになりそうだな・・」
「黙ってろ・・青!」

突然、後ろを振り向いた前を歩く校長先生が、僕たちにVサインをして見せた。

「さて・・諸君!徹底的に原因究明しなければならんなぁ~!」

そう言いながら、校長先生の顔には、いつもの顔は消え失せ、どっちかと言うと悪魔の笑顔がそこにはあった。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第70話 穴の中と外は大騒ぎに続く・・・・










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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第70話 穴の中と外は大騒ぎ [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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- 穴の中と外は大騒ぎ -

校長先生のあとに続いて行く、僕と白○とS。そこに佐々木クンが呼んできた“仲間たち”全員が、走ってきた。
これで社会関係奉仕部全員集合である。
Yがそっと僕に“青大将”が一匹だけ入っている袋を渡してきた。ヘビとカエルじゃ余りにも不公平なので、
カエルの穴に落ちた監督にも、プレゼントをするためだ。
穴の近くに行くと、ニョロニョロと穴から出てきた“青大将”も数匹。鬼クマに踏み殺されずに済み、それぞれが突然落ちてきた“異様な物体”である。鬼クマにそれぞれ仕返しをしたらしい。
蛇のいる穴に竹サオを突っ込んだ大沢クン。まあ・・これも作戦のうちである。ニョロニョロと地面を這って、その場を逃げだそうとする“青大将”たち。だが、まだ一働きして貰わねば困る。

「おお!お前等・・いい所に来た。そいつらをどこかへやれ!」

兄さんは僕たちの姿を見ると声をかけてきた。勿論、兄さんにはそう言ってもらうべく、そう頼んだのは、昨夜、湯子とチェックインしたラブホテルからだったけど・・・

「はい!」

僕たちはそれぞれ用意してあった軍手を填め、ドサクサに紛れてビニール袋の中身も投げ出し、運よく捕まえた奴が尻尾を持ってグルングルンと振りまわしながら、穴のそばへゆく。
その隙に穴に差し込んだ竹さおは、既に大沢クンが抜いていた。

「お・・お前等ぁ~」
「アレ?どうしたんです?熊田教官!・・・おや・・こっちの穴には監督が居るんですけど・・・」

僕はわざと不思議そうな顔を見せ、グルングルンと振りまわしていた“青大将”を鬼クマめがけて投げつけた。
仲間たちも監督の穴ではなく、鬼クマの顔面めがけてやはりグルグルまわしている青大将を投げ込んだ。

「学年主任先生!蛇は元の穴に戻しました!」
「ふんぎゃあ~お・・俺は・・蛇が嫌いなんだぁ~」
「そうなんですか?誰でしたっけ?マムシを捕まえて生き血と肝を飲んで、かば焼きを喰ったと仰ったのは?」

僕たちが入学して間もない頃だった。初めての体育の授業に、鈴木教官と一緒に現れ、

「俺は自衛隊に居た事もある。そこではなぁ~マムシを捕まえて食うんだ!」

そう僕たちにほざいたのだ。それに好物がカエルの唐揚げだというので、カエルまでご用意したのだけれど・・・

「さて・・どうしてこんな穴がここにあるんだろうかの?学年主任、説明してくれんか?」
「はい。校長先生。まず・・この総合グランドは、体育科の熊田教官が、自ら買って出て管理されていらっしゃいます。」
「確かに・・・」
「それから、この穴は・・専門家の地学の先生である。佐山先生にご説明いただいた方がいいかもしれません。何しろ、私の専門外ですし、校長先生が来る寸前にこの様なことが起きたわけでして・・・」
「なるほど・・部長クン!佐山先生を呼んで来てくれんか?」
「はい・・」
「それから・・新聞部と放送部の連中が何でここに居るのかね?」
「はい。取材だそうです。熊田教官と監督に呼ばれたとか・・先輩方そうでしたよね・・・」
「そうなのかね?キミタチ・・・」
「はい。生意気な一年生を一日絞った後、血反吐吐かせるので、取材に来いと命令されてきました。そうしないと、両部を廃部させると脅かされました。」
「なるほど・・・部長クン!早く佐山先生を・・・」
「忘れてました。こちらに来ていただく様にお願いして参ります。」
「ああ・・そうしてくれたまえ!残りの諸君は、蛇等が穴の外へ出んよう見張って居てくれたまえ・・・」
「はい!」

僕たちは一斉に答え、僕はお辞儀をすると、“廻れ右”で演台の上に立ってこっちを眺めている美希を呼びに走る。
残りの連中は、“蛇等”が穴から這い出そうとしたら、穴の中へ押しやればいいのだ。

「待てよ?校長・・等って言ったよな?等には人間も含まれるんだよな?・・・・」

僕は笑いを堪え、グランドに整列して様子を眺めている。今回の“戦士”諸君の横を駆け抜け、美希の元へ走る。

「ハァハァハァ・・・さ・・佐山先生・・・こ・・・こう・・・校長先生が・お呼びです。しんどー」
「解ったわ!部長ご苦労さま・・・一緒に行ける?」
「ええ・・・面白いモノが見られますよ・・・」

美希は演台から降りると、走り始めた。僕より早いかもしれない。道理で僕はいつも捕まってしまうのだ。
残る普通科の仲間たちにVサインを送る。
そのとき・・・

「ぎゃぁぁぁぁ~」と鬼クマが叫んだ。

多分、グルグル振りまわして気絶させていた“青大将”が正気に返ったらしい。正気に返ったところで、鬼クマが埋まっているわけだから、鬼クマの顔に噛みついたりしたのだろう。

「こら早く来なさい!見損なうわよ・・・」
「は~い。」

僕は面白い場面を見損なうまいと、全速力で美希と穴のフチに行った時には、既に鬼クマは気絶しており、仲間たちが竹サオを使い、仕方がなく“青大将”を除けていたのだ・・・

「お待たせいたしました・・校長先生!」
「おお・・佐山先生。この穴なのだが・・どうしてここに開いているか解るかね?」
「さあ~良く解りませんので、ちょっと調べてみますわ・・・・」

そう言いながら、蛇の居ないほうの穴を丹念に調べてゆくフリをする。美希。

「校長先生!解りましたわ・・コレ!自然に開いた穴ではほぼありません。」
「そうかね?その理由は?」
「まず・・この辺の地面は・・簡単に言いますと、台地です。それに・・・」
「それに何かね?」
「はい・・誠に言いにくいのですが、誰かが掘った形跡があります。」
「本当なのかね?まさか・・キミたちではあるまい?」

僕たちは揃って首を横に振った。

「校長先生!この子たちではありません!試験期間中はご存じの結果を上げておりますし・・・」
「おお!そうじゃった!」
「それに・・昨日から部活を再開しておりますが、昨日は横浜まで私が引率しております。」
「そうですよ・・校長先生!それにココ熊田教官しかお持ちでないカギが無ければ、立ち入ることが出来ませんし」

そう付け加えたのは兄さんこと学年主任で、担任のキー先生を始め、全クラスの担任が頷いている。

「そうだったの・・いや・・すまん!」 校長先生は軽く僕たちに頭を下げた。
「いや・・・昔のコイツ等ななら疑われても仕方ないと思いますし・・・」

図に乗った担任である。キー先生。僕いや全員の胸に“一蓮托生のくせに”と・・・・

「じゃあ・・この穴は?」
「もしかして・・・いえ・・そんなことあり得ないと思いますけど・・・」
「何かね?佐山先生!何か隠しておいでの様じゃが・・・」
「隠すなんてとんでもございません。先生方、あの件に関係しているかもしれませんので、校長先生にご報告させていただいて宜しいですわね・・・」
「仕方ありませんな・・それは・・私が・・・」 兄さんが名乗りを上げた。

思わず・・どこかの田舎くさい芝居を見ている飢餓するのは僕だけだろうか?校長先生も相当、“狸”である。
まあ、校長先生がこの場に居なければ、僕たちは噴き出し、先生方も噴き出しているに違いない。

「何かね・・・」
「はい・・実は・・・いいな!部長!報告申し上げるぞ!」
「はい。」

僕は笑いを堪えるのが大変なのだ、いっそ鬼クマの穴じゃなくて、サッカー部の監督が埋まっている穴に向かって、「王様の耳はロバの耳」と叫びたいくらいなのだけど、一応、真面目な顔をして、頷きながら答えた。

「その事ですが、部長から報告を聴き、熊田教官にも確認しました。決闘の有無について、そこで我々教師が全力で阻止するつもりでございましたが、そもそも体育科の熊田教官とサッカー部監督が、ここにいる社会関係奉仕部の面々に、今まで散々嫌がらせをしたのは、校長先生もご存じだと思いますが・・・」
「ああ・・確かに、部長クンはじめ、全員かた被害届が提出されておるな!今度の理事会に図るつもりじゃったが・・」
「はい。更に挑発行為に及んでおりまして、彼も進退をかけて、男のプライドを守るために、体育科の熊田教官から、突きつけられた決闘を受ける事になっていたたのです。」
「本当かね?部長クン!」
「はい。本日、先生方をはじめ、生徒全員帰った後に・・・」
「校長先生!実は私とんでもない事を耳にしまして、熊田教官が“血反吐吐かせるとか、“殺してやる”とか・・・」
「本当かね!佐山先生。では・・この穴は?」
「多分・・万一の際にリンチにした後、彼を埋めるつもりだったのか・・定かではありませんが・・・」
「うむ。当校の不名誉極まりない。教師たるものが、生徒に決闘じゃと・・・それにこんな穴まで・・・許せん!」
「ええ!紛れもなくリンチですわ。彼一人に大の大人が2名も・・・」
「そこで、我々は帰るフリをして、すぐ止めに入り、この生徒である部長を守ろうと話し合っておりました。」
「なるほど・・賢明なる判断をしてくださっておったのだな!先生方に感謝申し上げる!」

いいかげんい猿芝居に疲れてきた時、かすかに漂っていた異臭がさらに匂いを増す。

「何だこの臭い匂いは・・・堪らん!」
「校長先生いかがいたしましょう?警察か消防でも呼びますか?」
「いいや・・それはまずい!何かいい案がなかね・・・」

これが、“作戦C”開始のキーワードだった。準備に準備を重ねた作戦Aそして馬鹿みたいに予定通り、
穴の底へ落ちている二人。これが、作戦B。ここまではうまく言った。
後は・・・地獄への片道切符を握らせるだけなのだ・・・・

「今頃・・鶏たち寒くないかな?」ポツンと僕が呟くと、
グランドを少し寒い風が吹きはじめだした。



「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第71話 “秘密のアッコちゃん”始動へ続く・・・・


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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第71話 “秘密のアッコちゃん”始動 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

こっほん!

僕です。本日もご来場いただきまして、ありがとうございます。
とうとう、“宿敵”である鬼クマとサッカー部の監督を生け捕りにしてしまいました。
まあ、ここまで“人望のない”教師は初めて見ました。まあ、「俺は理事長の甥っこだぞ!」とやっているから、同僚であるはずの先生方にも嫌われていたんですねえ~。こんな大人にならない様に僕たちもしなければなりませんね。[わーい(嬉しい顔)]
それでは・・開演の時間です。僕たちが一番輝いていた昭和50年代へタ~イムスリップ・・・・

- “秘密のアッコちゃん”始動 -

僕たちは、それこそ“言い逃れの出来ない”罠を忍者部隊と共に合宿所に仕掛けてある。
今回の罠のテーマは、わざわざ・・林の向こうの電柱から、引き離してきた“看板”。

この先!痴漢出没多発地帯!の看板。

確かに、この辺は夜道は暗い。僕たちの学園のグランドがあるせいか?それとも自衛隊だかなんだか知らないけど、その滑走路の延長上にあるこの一帯には、人家は疎ら。いや、全くないと言っても過言ではないと僕は思う。何しろ、グランドから見渡せば、ほとんど一面が畑であり、残る部分は欝蒼とした林と、その奥に開発された住宅地へ行く、細い道路があるだけだ。裏手の新興住宅地に行くには、駅からバスに乗るか車での送り迎えが必要なくらい遠回りしなければならないか、この細い道を細々と照らす灯りで歩くか、自転車に乗らねばならない。オートバイは駄目らしい。何しろ、林の向こうを流れる小さな川には、自転車と人間のみ通行出来る様になっている橋が架かっているだけで、車もバイクもそこを通りぬけることが出来ない。
そうなると、多少の危険があるかも知れないところを、通ってゆく人もいるわけだ。
だから、“この先!痴漢出没多発地帯!”と言う看板が電柱に括りつけられていたのだ。
それを忍者部隊が夜陰に紛れて、取り外し、グランドと駅を結ぶところにある電柱に括りつけたのだ。

「おい!部長!何とかなりそうか?」 

学年主任である兄さんもさうが、学生時代に演劇部だっただけはある。まあまあの演技力だ。

「そうですねえ~どうしても救出しなければ駄目ですかねえ~消防署か警察の仕事だと思うんですけど・・・」

僕は校長先生を見ながらそう答えた。

「いかんいかん!学校の恥だ・・なんとかならんか?」

校長先生も僕が予想していた答えをドンピsyで的中させてくれた。

「そうですねえ~校長先生がそう仰られるのなら・・・但し、水浸しになりますけど・・・」

僕たちの辞書には、救助という言葉はまだ載っていない。まあ・・臭いニオイを洗い流し、ついでに冷たい冷水を思う存分かけさせて貰う腹である。何しろ、運動部の連中は、真冬に頭から冷水を浴びせさせられ、行進やドリブル、その場で駆け足等をさせられているのだ。今回はその仕返しも頼まれている。

「そうかね・・まっ・・仕方なかろう!」
「学年主任先生・・あと道具が必要ですねえ~」
「何がいるんだ?」
「そうですね・・・救出した後どうします?怪我しているかもしれません。」
「そうだな!合宿所を使うか・・担架もあったはずだ・・・」
「あと・・スコップとロープと梯子。ホースも要りますけど・・・」
「解った!お前に任せる!指揮を取れ!」
「はい!大沢!悪いけど用具入れから綱引き用のロープ持ってきてくれ!」
「ああ・・・解った!」
「それからな・・・救護所へ行って看護婦さんたちにコッチへ来て貰ってくれ!」
「それだけか?」
「そうだな・・・そうだ!2・30人連れて来てくれないか?引っ張り上げねばいけないしな・・・」
「了解!」
「それと・・社会関係奉仕部全員ちょっと来てくれ!」

僕は全員にこれからの配置と“作業内容”を指示した。
まずは、救出班。別名“トドメを刺す”班。ここで一気にカタを付けねばならないからだ。
救出のドサクサ紛れにまだ無事だったら、両手両足を頂かねばならない。頂くと言っても骨折させるだけだけど、
要領は簡単である。間接部分で反対側に曲げてやれば済む話である。
次に、作戦C実行班。至る所に仕掛けておいたワナを次々と“爆発”させていくのだ。勿論、火薬や殺傷能力はない。それでは、僕たちにとって高リスクになってしまう。ここで言う爆発とは、合宿所に仕掛けてある様々な“ワナ”。これを次々と露呈させてゆき、最後は、秘密のアッコちゃんを登場させるのだ。
そもそも・・秘密のアッコちゃんが、僕たちの元へやってきたのは、僕たちの元服式の後だった。
青○クンの婚約者である由香ちゃん1号のお父様で、信州の村のエロ住職が、僕たちをトルコに連れて行ってくれた事がある。その後、佐々木クンのお父さんに頼まれて、お父さんの趣味の店。“大人のおもちゃ”を扱う店の商品入れ替えに、佐々木クンと青○クンそれにSクンとYクンが借りだされたときだった。
基本、僕たちは団体行動を取るのだが、その活動内容とかスケジュールの関係上、“分遣隊”が組織されるのだ。この時、倉庫の隅で発見された“過去の遺物”の箱。何でも南極○号とか書いてあったらしいのだが、
この遺物を発掘したのが、青○クンで、さっさと汚れたパケージを剥がして、膨らませたらしい。
まあ・・“抱っこちゃん人形”である。膨らませた顔を見て、佐々木クンが小学校の担任に似ていると言いだし、
つけられた名前が、その担任の先生の名前。敦子から、アッコちゃんになったわけだ。
まあ、そんな遺物。今更売れんだろう!と言う事で、発掘者である青○クンがタダで引き取ったのだ。
何でも聞くところによれば、“体温調整”も出来るとかの優れモノらしい。それを青○クンは毎晩の様に、合宿時以外、“夜のお伴”として重宝しているらしい。
今回の作戦にはうってつけの“アッコちゃん”(女子校生バージョン)だったので、取り上げるには苦労したけど、
佐々木クンの家のお店で新品を買ってプレゼントしたので、“アッコちゃん”は、最後のの役目を果たすべく、(無事なら青○クン持って帰るとのことだけど・・)
その、身体のサイズに合わせた悩ましい下着を付けさせ、T女軍団から提供してもらった、中学時代のセーラー服のうちから、サイズを選び丁寧に着せて、教官室の押し入れの天井裏に仕舞いこんであるのだ。
更に、紗江子のお店のお客やら皆さんから集めた大量の引きちぎった下着にストッキング。ついでに余ったセーラー服も引きちぎり。ゴミ袋3袋分も押し入れの隅やら、天井裏に隠しておいたし、更には、赤沼クンパパコレクションの秘蔵ブルーフィルムから、様々な女子校生モノを引っ張りだし、カセットテープに悲鳴等を録音しておいたモノや、写真部のなみなみならない努力?のお陰で、そのフィルムをモノクロで焼き付け、ちょっと古ぼけた風から、最新のモノまで用意して、あちらこちらに隠してあるし、ついでに青○コレクションの最強ガビガビ本を、新品と交換して布団の隙間やらに押し込んであるのだ。
名付けて・・秘密のアッコちゃん作戦である。何しろ、兄さんにさえ全容は打ち明けていない。
要は、この辺の痴漢騒ぎの犯人に、鬼クマと監督を仕立ててしまおうと計画した作戦が今始まるのだ。

「どうかなさいましたか?だれか怪我をされたとか・・・」

カオリが巫女’sを引き連れてやってきた。内々の処分では困るのだ。そのために、ここに彼女等が来れる様に、兄さんや美希。更に僕が動いたのだ。
第3者である彼女隊が、その場に居合わせれば、“学園の恥部”は駆除することが出来る。これで、僕の腕の中で倒れ、病院に運ばれて、退院と同時に退学届を出した渡辺クンのカタキお討つことが出来る。
それに、そろそろこの悪魔の申し子を学園に引きいれた理事長もやってくる。
校長先生の企みは面白くないけど、この際、共闘する方が、僕たちも今後活動しやすいのだ。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第71話 ”救出に名を借りた仕返し”に続く・・・・
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第72話 “救出に名を借りた仕返し” [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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“救出に名を借りた仕返し”

「しかし・・面白かった。何か胸のつかえが取れたと言うべきなのか・・・・」

グランドの門で“仕方がなく呼んだ救急車2台”を見送りながら、佐々木クンが呟いた。

「まあな!これであいつ等も終わりには違いない。さて・・後始末するか?佐々木・・・」

僕は程なく暮るであろう太陽を見ながら呟いた。

「そうだな!Yたちにばかりやらせちゃ申し訳ない!行こうぜ!部長!」
「ああ・・行こうか」

僕と佐々木クンはグランドの端から端まで、今日何回目かの全速力で駆けてゆく。
サッカー部の監督の両手両足は、全部折れていた。鬼クマだけは両手と右足だけ折らせてもらった。
まあ、あちらこちら“青大将”に噛まれ、呼吸が少々おかしくなったので、救急車を呼んだのだ。
理事長先生は、「そんな馬鹿のために呼ぶ必要はない!」と言っていたけど、僕もそう思うんだけど、大人には大人のルールがあるらしい。仕方なく救急車を呼び、鬼クマに踏み殺された“青大将”数匹をビニール袋に入れ、病院へ送ったのだ。

僕たちの救出はまずサッカー部の監督から行うことにしたのだ。救出に名を借り、穴に降りた元サッカー部の山口クンと白○クンは、穴に降りたと言うより、腰にロープを巻き付けて、僕たちが支えているので、監督の顔面めがけて、次々に飛び込んでは、監督の顔面と頭にそれぞれ蹴りをブチ込んだのだ。
Sと赤沼クンが手渡すスコップ。これをわざと(としか言い様がない)手を滑らせたフリをして、監督の頭の上に落としたり、砂をどけ様とスコップを動かす度に、スコップの柄が監督の後頭部や、少々薄くなってきている脳天に当たったのだ。

「お~い!駄目だ!ビクともしねえ~」
「そうかあ~じゃあ・・・水で浮かせるしかねえな!お前等、監督の廻り少し掘れるかぁ~」
「何とかやってみるわ・・・」

何しろ、監督も鬼クマも”蟻地獄”に落ちているのと一緒。掘っても掘っても砂は元の位置に戻ろうとする。

「お~い!何とかなりそうだから・・ロープくれ!梯子も・・」
「ああ・・・判った!」

僕と佐々木クンは綱引きに使うロープの先に、梯子を縛り付けると穴の中へ投げ入れた。勿論、仲間たちに当たる危険はない。何しろ“ちゃんと投入目標地点”を確認して投げ込んだのだ。
その頃、校長先生は次々と出てくるワナを握りしめ、合宿所で怒りを爆発させるフリをしていたのだ。

まず、集会所に転がっていた“僕たちが仕掛けた日本酒”の空き瓶を見つけ、緊急会議をするべく、ザブトンの山を崩したところで、キー先生がそこに仕掛けておいたガビガビになった無修正のエロ本を何冊か発見したのだし、教官室の押し入れから布団を取りだした“イースターラビット”こと、英語のリーダー担当のA組の担任は、
布団の隙間から今にも床一面にヒラヒラ舞い落ちる。モノクロ写真の束を発見していたのだ。
そのたびに、合宿所から、罵声ともこの世の終わりを告げる様な悲鳴が飛び交って、外で作業する僕たち社会関係奉仕部と普通科選抜チーム。そして兄さんこと学年主任と水道の蛇口に居て、僕からの合図を待っている美希の耳にはっきりと聴こえたのだ。

「やったな・・」
「シー!今は知らないフリしとけ!」
「そうだった・・・」

僕と佐々木クンは穴の淵に佇み、穴の中の様子を見ていたのだ。
打ち合わせ通りに、佐々木クンが声を掛ける。

「監督ぅ~大丈夫ですかぁ~生きてますかぁ~」
「な・・なんとかな・・・」
「少々冷たいだろうけど・・コレしかありませんので、我慢してくださいね!今から身体にロープを巻かせます。あと、浮力をts買って身体をうかせますので、ある程度自由になったら、両足を今から降ろすロープの輪っかに入れてください。そうすれば・・・引き上げられると思いますんで・・・判りましたかぁ~」
「ああ・・頼む。早く出してくれ!」
「よし・・ヤマ!白○ぅ~先にスコップを結わえ付けろ!」
「おう!」

僕はホースの先端を2本ロープに付けて降ろし、それを白○クンが受け取ると、ロープの先端にスコップを2本括りつけた。

「いいぞぉ~部長!」
「判ったぁ~引きあげるぞぉ~」

僕と佐々木クンが引っ張り上げたロープの先にぶら下げたスコップはものの見事に監督の頭に当たったらしい。

「痛ぇ~」と監督の声とほぼ同時に、「お~い!部長ぉ~タンマぁ~」との声が聴こえる。
「なんだぁ~」

その声と同時にスコップを縛ったロープを少々強引に持ち上げた後、“わざと”手が滑ったフリをしてスコップをまた、監督の頭の上に落とした。

「どうした?」
「スコップが監督に当たっちゃっているよぉ~後でいいんじゃない?」
「そうだな・・じゃあ・・・お前等ホースを監督のジャージの中へ・・そうそう・・・」

監督の胴体にはグルグル巻きにロープが巻かれ、その背中に二本のホースが山口クンの手により、
差し込まれたのだ。

「いいですか・・・監督!ロープもう一本降ろしますからその輪っかに足を入れるんですよ・・いいですね!」
「ああ・・判った!早く出せ!」
「じゃあ・・・ヤマ!白○順番に上がってこい!」

二人は行きがけの駄賃とばかりに、それぞれ砂に滑ったフリをして監督の頭を蹴飛ばし、穴の上に這い上がってきた。僕等は梯子を引っ張り上げ、スコップを回収した。

「よし!放水隊前へ・・・」

僕の掛け声と共にサッカー部に所属する普通科1年選抜4名がそれぞれ等距離になる様に穴の縁から、ホースの先端を潰しながら構えた。

「いいか・・・水圧で狙えよ!」 そう言うと僕は水道の蛇口に居る美希に合図を送った。
まずは・・4本の筒先から最大二開けた冷たい水が、穴の中の監督めがけて放水され、続いて背中に差し込んだ2本のホースが監督のジャージの中を水浸しにしてゆく。

「よし!梯子を渡せ!」
「合点承知」

穴の中央部に滑車代わりにする梯子が渡され、そこにロープが2本掛けられたのだ。

「監督ぅ~まだ・・足にロープ掛けられませんか?このままじゃ溺れちゃいますよぉ~」
「な・・なんとかやってみる!・・・・ヨシ!言われた通り足を通した!」

サッカー部の監督は水泳が上手ではない。一度、学校のプールで溺れかけた事があるのは、体育科の鈴木教官が愉快そうに僕に教えてくれていたのだ。だから、“溺れちゃう”の言葉には、めっきり弱いのだ。

「ヨシ!放水部隊はそのままドロを落とす様に・・いいぞ!みんなぁ~引っ張れぇ~」

少しずつ監督の身体は浮き出した。それに伴い破れたゴミ袋からカエルがピョンピョンと飛び出し、引きあげられてゆく監督の顔や身体の上に乗ってゆく。

「カ・・カエル苦手なんだ!なんとかしてくれぇ~」
「全く、文句が多いんですね・・・おい!カエルめがけて放水してやれ!」
「ああ・・判った!」

監督の顔をめがけて放水隊は筒先を揃えた。多分、小さなボヤくらいなら消せるのでは・と言うほどの腕前である。後で聞いた話だけど・・それぞれ・・練習に練習を重ねてきたらしいのだ。

「あっ!ヤバい!」

僕はわざと立てていた梯子を蹴り飛ばし梯子を倒した。

「マズイ!引っ張り上げろぉ~ロープが外れそうだぁ~」

佐々木クンが叫んだ!

そのとき・・不幸と言うべきか、監督に罰が下ったのか知らないけど、足の上がる速度の方が早かった。
まあ、無理もない話である。綱引きのロープは大量に水を含み、重くなっている。それに比べて、足を引っ張り上げているのは、登山用のザイルである。それを同じ人数に分かれて引っ張り上げているそこにテコの原理が働いてしまい・・ボキッ!という音と共に監督の膝が曲がるべき方向でない方に曲がった。そして・・・

「ぎゃぁぁぁぁ・・・」

監督の絶叫が響き渡り、つぃでに監督の身体を縛ってあったドープが解けて、監督は逆さ吊の刑になった。

「おい!ちょっとタンマぁ~いや・・・この際、引きあげろぉ~!」

何しろロープが解けたのである。それに穴に落ちる前に監督の腕は骨折していたのだ。
上から覗く間もなく、監督の頭は水没していた・・・それもドロドロの泥水である。中止すれば、水死しかねないし、折れてしまったものは仕方がない。そのまま上に引きあげることにしたのだ。

「上手く言ったな・・」
「馬鹿!後にしろ・・・」

何しろ、ここまでは計算通りだったのだが、監督の身体に巻き付けている綱引きのロープがほどけるとは、そこまでは僕の想定の範囲ではなかったのだ。
穴の中の水はどんどん溜まってゆく。監督の身体の半分はもう水没しているに等しかった。

「それ・・・もう一息だ・・・」

上がってきた監督の足を佐々木クンが引っ張り上げる。僕は佐々木クンが落ちない様に身体を支えた。

「か・・・監督。生きてます?」
「ゲホッツ・・・死んでたまるか・・」
「しぶといのか・・どうだか知りませんけど・・今、担架で運びますから・・・」
「おい!放水止め1いや・・一人だけ・・監督を洗ってくれ!後は担架!」
「おう!」

監督自慢の真っ白いジャジーは見る影もないほど、泥色に染まっていた。

「よし!担架で合宿所に運べ!いいな・・・サッカー部に最後のトドメを刺させることにしたのだ。
彼等は監督を持ち上げ、少し歩いたところで、一人がコケたフリをして、監督を担架毎地面に叩きつけた。

「ぎゃぁぁぁ~」

サッカー部の監督が穴から救いだされたのか、どうかは不明だけどその時、理事長先生を乗せた高級ハイヤーが門のところでクラクションを鳴らした・・・・

「おい!誰か・・門開けてこい!」

学年主任である兄さんは今にも、笑いを噴き出しそうな顔で、僕たちに指示をだした。

「大岩!青!悪いけど・・頼むわ!ついでに・・こっちへ誘導して来てくれ!」
「了解っ!」

僕は兄さんである学年主任こと僕たちの顧問の前に立った。

「学年主任先生!監督は救出しました・・もう帰っていいですかね?」
「もう一人いるだろうが・・・」
「助ける義理はありませんが・・・それに・・蛇がいるんですよ・・同じ方法は使えませんよ!」
「じゃあ・・どうする?」
「理事長先生にご判断いただきましょう!」
「そうするか!」
「とりあえず・・・水だけは入れておきますか?」
「ああ!そうしてくれ!」

僕たちは6本のホースを鬼クマの穴に入れた。サッカー部の監督の入っていた穴は既に底なし沼の様に穴の淵ギリギリまで水とドロが混ざり合っていたのだ。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第73話 “水責めの鬼クマと理事長先生の決断”に続く・・・



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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第73話 “水責めの鬼クマと理事長先生の決断” [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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“水責めの鬼クマと理事長先生の決断”

「あ~あ!腰痛ぇ~。帰っていいか!部長!」

あちらこちらから声が聴こえる。確かに、全員帰り仕度を始めているのだ。彼等だってそうだし、僕たちも帰りたいところだ。

「学年主任先生・・どうします?」
「お前らだけで・・・上がるか?」
「無理ですねえ~多分。あっ!先輩たち止めなくていいんですか?」

放送部の先輩たちは集音マイクを穴に近付け、鬼クマの“断末魔”が聴こえてくるのを待っていた。そして、新聞の先輩たちは、合宿所の中で“証拠写真”をパチパチと撮っていることだろう。

「いいさ!奴等にもスクープ必要なんだろ?」
「何だろと言われましても・・・」
「お前の差し金だろ?良かったわ!身内になれて・・・」
「僕も同じですねえ~」

そこへ理事長先生を乗せたさも“高級そうなハイヤー”が、合宿所のそばにブレーキ音を立てて止まった。

「あっあぁぁぁ~・・グランド整備が大変ですねえ~誰がやるんですか?」
「どうせ・・サッカー部は対外試合禁止になるだろうから、奴らにやらせるさ!」
「良かった!僕たち“遠征”で忙しいですから・・・」

目の前に停まったハイヤーから、運転手さんがドアを開ける暇もないくらいに、理事長先生が飛び出してきた。

「けしからん!熊田教官はどこかね!」
「理事長先生!こんにちわ!」
「おお!確か・・部長クンだったな!熊田教官はどこに居るのかね?」
「ご案内したほうがいいですか?」

僕は兄さんこと学年主任に向かって聞いた。首を縦に振ると、兄さんは軽く会釈したのち、校長先生たちを呼びに走っていった。

「お前等!ちょっと待っててくれ!頼むよ!理事長先生、ご案内しますから・・どうぞ!こちらへ」
「なんじゃ・・どこへ連れてゆく。」
「すぐそこです。足元に気を付けてください。カエルや蛇が出没しますし、ぬかるんでいるので・・・」
「蛇?んんでそんなもんがココに居るのだ?」
「さあ~判りません。熊田教官にお聞きになったらいかがです?どうぞ・・こちらに」

僕の手の先。本来ならないはずの穴を覗きこむ理事長先生。そこへ知らせを聞いて駆けつけてきた“狸”こと校長先生がわざわざ恐縮とばかりに頭を下げた。

「理事長先生!とんでもない事になりまして・・・」
「おお!校長先生!説明してくれんか?どうして・・・お・・じゃない。熊田クンが穴の中に居るのかね?」
「ここでは生徒も居りますので、あちらで今まで確認した事項を申し上げます。」

校長先生が今にも頭から湯気が立ちあがりそうな理事長先生を、合宿所へご案内した。

「なあ!部長!」
「何でしょうか?学年主任先生!」
「これから、緊急会議らしい。それで、先生方みんなそちらへ出席せねばならない。」
「でしょうねえ~」
「そうなると・・お前等しかここには居ない。」
「ですねえ~了解です。会議が終るまでに、片付けておきます!」

「お~い!みんな集合!」
「おう!」

僕の廻りに社会関係奉仕部。忍者部隊。具通過選抜チームが集まった。みんなと言っていいほど、鬼クマには竹刀で殴られている。殴られていないのは、大沢クンぐらいのものだけど、彼も親友であった渡辺クンを失っている。

「さてと・・まずは蛇の皆さんにご退場いただきますか?なあ・・佐々木!」
「そうだな?でもどうやって?」
「さっきと同じさ。竹竿刺しておけば、昇ってくるだろ?とりあえず、水一回止めてくれ!」
「了解!Y・赤沼。水止めてきてくれ!」
「ああ・・・」

僕たちは竹竿を穴の中に何本も立てた。集めた“青大将”は全部で20匹。まあ・・何匹かは鬼クマの下敷きになって死んでいるかもしれない。次々にスルスルと昇ってくる青大将。それらを登ってくるそばから、尻尾を掴んで振りまわす社会関係奉仕部の面々。グルングルンと振りまわし、ある程度弱ったらフェンスの外へ次々と投げてゆく。

「なあ~何匹目だ?」
「今・・16匹。残りは上がってきそうにないなぁ~」
「ところで・・鬼クマ生きているかな?」
「サオで叩いて見るか?」
「ああ・・・放水付きでな!」
「判った!」

普段のカタキとばかりにサオで鬼クマを叩く者。そして放水隊がjホースの筒先を揃えて鬼クマの顔面に放水を開始した。

「熊田きょうかぁぁぁぁぁぁん!生きてますかぁぁぁぁぁぁ・・・死んでいるんなら・・埋めますよぉぉぉぉぉぉ~」

その声が聴こえたのか熊田教官はしぶとく生きていた。ちょっと身体を揺さぶっていたのだ。

「生きてますかぁ?」
「生きてて悪いか!ボケ共!」
「おやまあ・・・口が悪い。今の状況判ります?生かすも殺すも僕たちの自由なんですよ?」
「て・・てめえら・・・」
「それに・・さっき、叔父さんでしたっけ?理事長先生がお見えになって穴を覗かれてゆきました。」
「何!り・・理事長!?・・叔父がかぁ?」
「ええ!それで、後始末を僕たちに託されて行ってしまいましたけど・・・どうします?」
「どうしますって・・馬鹿!ここから出せ!」
「全く、それが人に助けを求める人間の口からでた言葉とは思えませんね・・・埋めちゃいましょうか?」
「ば・・馬鹿!悪かった!助けてくれ!」
「そういえば・・蛇に咬まれませんでしたか?」
「あっちこっち咬まれた・・・」
「じゃあ・・やばいや!さっき蛇だけ出したんですけど・・ヤマガカシが居ましたから、動かないで!大人しくしててください。いいですね!」
「判った・・・」
「これから、監督を助け上げた方法を使いますが、まだ蛇が居るかもしれないので、ロープを投げ入れます。まず、太いロープで身体を結んでください。次にロープを輪っかにして足にそれぞれ掛けてくださいね!」
「判った・・・それで・・」
「あとは、注水しながら、引っ張り上げます!無理して登らないでください。毒が廻るといけないからぁ~」
「ああ・・・さっさと上げてくれ!」

放水隊が6本のホースを持って穴の廻りに待機した。先ほどと同じ様に梯子を穴の中央に掛けると僕は2本のザイルと綱引き用のロープを穴に投げ入れた。

「いいですかぁ~これから引っ張りあげますよぉぉぉ~」
「ああ・・やってくれ!」

6本のホースから、穴の中にどんどん水が入れられる。

「よし!引っ張れぇぇぇぇ~」

僕たちはそのまま鬼クマをストレートに救出する気は更々無かった。忍者部隊が細工したもう片方の綱引き用のロープ。僕の計算が正しければ、途中で過負荷を掛けてやれば切れる様に細工してあったし、二本投げ入れたザイルのうち、大沢クンが引っ張る方は、彼の手によってザイルが切られる様になっている。
それに・・・途中まで引き上げた後、何回かドロ水の中に落ちてもらうことになっている。

「よぉうし!もうちょっとだぁ~」

僕の掛け声に一斉にロープが離される。ニヤリと僕が笑った瞬間、鬼クマは怯えた眼をしながら、穴の奥へ落ちてゆく。悲鳴にもならない小さな声を上げながら頭から、泥水の中へ落ちて行ったのだ。

「ヤバイ!綱引きのロープが切れた!全員ザイルを引っ張れ!」
「おう!」

ちょっと持ちあがったとき一本のザイルが切られた。そのはずみで、また、鬼クマは泥水の中へ沈んでゆく。
そろそろ限界に近いはずだ。殺してしまったら、洒落にもならない。渾身の力で片足だけ結ばれている鬼クマを引っ張りあげる。途中、運が悪く。そう運が悪くである。そうでなければ・・・悪魔の申し子の怨念のせいである。

「ぎゃぁぁぁぁぁ・・・・」

鬼クマの悲鳴が響いた・・・穴の上に掛けられた梯子の上では、千切れた綱引きのロープを梯子に結ぶ作業のため、佐々木クンとYが乗っていて、結び終った途端、その悲劇は起きた。まあ・・サッカー部の監督は両足を、その不幸な事故により、骨折していたのだが、鬼クマは一本だけ綺麗に折れ曲がったのだ。

「教官!大丈夫ですかぁぁぁ~」
「寄るな!あっちへ行け!」
「そうですか・・お友達忘れてますよ!」

グランドに投げ出された熊田教官の顔の上に、哀れにも犠牲になった“青大将”の死骸を4匹乗せた。
死因はどう考えても、“圧迫死”だ。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ・・殺される!」
「殺しませんよ!もう・・死んでますから・・その蛇!」

そう呟いた途端、合宿所のドアが開き、兄さんこと学年主任とキー先生が飛び出してきた。

「先生方!なんとか・・救出しましたぁ~」
「ご苦労!熊田教官!歩けます?」
「こ・・こいつらに足を折られたぁ~」
「やだな!事故ですよ・・・事故!なあ・・みんな!」

一斉に不敵な笑いを浮かべ、頷く救出チーム。兄さんもキー先生も笑いをこらえようがない。
何しろ、熊田教官のジャージはボロボロに裂け、ジャージと言うよりも、ボロ切れを纏っていると言った方が正しいくらいである。

「じゃあ・・教官!そろそろ始めますか?決闘!」
「か・・勘弁してくれ・・・」
「仕方ないな!じゃあ・・不戦勝でいいですね。お~い!担架持ってきてくれ!」

届いた担架に載せ、ついでにその腹に“青大将”の死骸を載せる。まあ、病院に運ぶ際にも、どんな蛇に咬まれたか?通知しなければならない・・・

「終ったな!」
「まだ・・お楽しみはこれからですよ!兄さん!」

僕はまだ何かやるのか?という顔の兄さんを促し、合宿所のドアを開けて、担架を見送った。

「お前・・・」
「男の子ですもん!徹底的にやれ!これ・・学校の方針でしたよね!」

苦笑いを浮かべる兄さんの腹の底は読める。多分、僕の兄さんになった事で、自分がターゲットにならないで済んだことを神様と優子に感謝しているに違いない。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第74話 “痴漢に仕立て上げられた・・・生贄”に続く・・・・
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第74話 “痴漢に仕立て上げられた・・・生贄” [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

こっほん!

僕です。連日、大勢の皆様にお越しいただきありがとうございます。
少々やりすぎましたかねえ~?でも、歴代の生徒の恨みを積み重ねると、エベレストよりも高く、底はブラックホール並みに深いんです。鬼クマとサッカー部の監督の“愛の鞭”と本人達がほざいている。竹刀での”ケツバット”これを喰らうと、一日、椅子に腰かけるのも出来ないくらい痛いんです。時に“手元が狂った”とかで、骨にヒビが入り、病院に担ぎ込まれる生徒も出るほどです。そして、運びこまれる病院は、細い路地で挟んだお隣の病院。そうすると普段の仕返しを喰らう、犠牲者がおります。まあ、“今度産む”に水をたっぷり入れた。時には、カルピス(本物のカルピスです。エロ本に“飲ませているカルピスではありません!)を適量注ぎこみ、“丁度良い濃さ”(科学室から持ち出したビーカーで製作しております。)にしたものを、通勤のために、看護婦寮から出勤して行ったり、または、夜勤明けでグッタリして歩いているところを、狙って投げつけている。そんな僕たちが悪いのか?何せ・・伝統ですから、重んじなければなりません。
偶に“銀玉鉄砲”の玉を金色に着色したものを、お尻めがけて撃つ。馬鹿も居ます。
従って、少々身動きが不自由になって病院へ運ばれると、“恐怖の時間”が待っております。
まあ、あえて皆様には、どのような拷問?いや、快楽?が待っているかは、お教えしませんけど、良くてひん剥かれるか、悪ければ“生体実験”の実験台にされます。(お婿に行けなくなるとか・・・)
そういう事があるので、「出来れば別の病院に運んでくれ!」と懇願しても99.9%お隣に放り込まれます。
そこから、釈放された生徒は、皆、牙を抜かれています。よっぽど怖い目にあっているのでしょう。
おや?そろそろ・・開演のお時間の様でございます。それでは、皆様を僕たちが一番輝き、自分らしかった時代。昭和50年代へご案内させていただきます。それでは、最後までお付き合いください。
では、ご一緒に・・・タ~イム・・・スリップ・・・・

“痴漢に仕立て上げられた・・・生贄”①

「先生方・・ちょっと邪魔なんで退いてください!」
「あっ!ああ・・悪い!」

僕たちは教官用の部屋のドアを開け、担架に載せた鬼クマを合宿所の教官室に運びこむ。

「ぎゃぁぁぁぁ・・・」

手筈どおり、入り口近くに敷かれた布団の上には、サッカー部の監督が手早く濡れたジャージを切り裂かれ、
布団の上に転がされていたので、僕が監督の腹の上、そして、Yクンが監督の急所を同時に踏む。

「あっ!すいませ~ん。見えなかったので・・・・」

僕がそう言う間もなく佐々木クンが両足を踏み、青○クンがここぞとばかりに監督の折れている手をさらに蹴り飛ばす。

「お・・お前等、教師を何だと思っている?」
「はあ・・・教師せある先生方は敬ッておりますが、教官と監督は教師じゃありませんし・・・」
「てめえ~」
「あらま・・助けて差しあげたのに酷い言い方ですね・・・だから、天罰が当たるんですよ!おい!教官降ろすぞ!」
「ああ・・・」

その時である。こ僕と一緒に前方を持つYクンが同時に布団で足を滑らせたのである。そのまま尻もちをついた僕とYクン。”目標どおり”に鬼クマの重たい身体をサッカー部の監督の顔面の上に落とした。

「ふんぎゃぁぁぁぁ・・・」

何度も言うけれど、これは事故であり、不可抗力である。そもそも地球に重力が存在しているのが、悪いことだし、ついでに言わせてもらえば、鬼クマの体重が重すぎる。それに、サッカー部の監督がそこに寝ている方が悪い。

「痛ぇ~思い切り、尻ぶつけたぁぁぁぁ・・・」
「あっ!監督の上に落ちているぞ・・監督ぅ~大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけねえだろ・・・どけろ!」
「はいはい・・文句が多い人だねえ~」

面倒くさいのもあったし、持ち上げる気にもならなかったので、鬼クマの身体を引き摺り監督の上を通過している時だった。
鬼クマの腹の上に載せておいた“青大将”の死骸が監督の顔面に落ちたのだ。

「んぎゃぁぁぁぁ~」 

叫ぶ監督の姿。そしてボロボロにされた鬼クマ。新聞部や放送部の先輩たちの格好の餌になっている。

「監督!その蛇は死んでますよ!それと熊田教官!大人しく寝ているんですよ!毒廻ると大変ですからね!」
「ああ・・早く救急車呼んでくれ!」
「救急車ですか?必要あります?校長先生は消防にも警察にも頼るなと仰っておりましたけど・・・」

そこへ兄さんが理事長先生と校長先生を案内して入ってきた。

「汚いところですけど・・・・」
「ああ・・判っているっ!こんなもんがあるくらいだからな!」

理事長先生の手にしっかり握られているのは、ガビガビになった滅多に手に入らない。青○クン秘蔵コレクション。それに、写真部協力による。ブルーフィルムから、焼き付けたモノクロ写真の数々・・・
完全に理性のかけらもなくなり、ゆでダコみたいに顔を真っ赤にして、頭から湯気が上がっているかの様な理事長先生。どうやら、校長先生が狸なら、理事長先生はさしずめ、“ムジナ”。狐の様にずる賢いくせに、体系は狸である。

「この馬鹿共はどんな具合かね?何故、手当てせん!」
「お言葉を返す様ですが、私どもの契約では、生徒さんたちの応急手当てだけでございますし、医師法にも抵触しますので、これ以上の治療行為は出来ません!それに、そちらの方は蛇に咬まれておりますので、ここには血清もございませんわ!」
「完全にお二人とも骨折しておりますので、救急車で病院へ運ばれた方がよろしいですわね!」

カオリと洋子のダブル攻撃である。それでも、理事長先生は首を縦には振らない。
そこへ“天然KY”の異名をとる。Yクンの出番である。僕は見えない様にYのお尻をつついた。

「おっ!さすが教官室!いいラジカセあるぅ~」

机に置いてあるラジカセのスイッチを入れる。ちゃんとスイッチを入れれば、“絶妙なタイミング”で、放送部が苦心に苦心を重ね、ついでに前を思い切り膨らませて、ダビングしたカセットテープが仕掛けられている。

ミサが巧みに応急手当を装い、鬼クマの口に脱脂綿を詰めてゆく。それを合図にYが、スイッチを入れた・・・

「嫌ぁぁぁぁぁ~止めてぇぇぇぇぇぇ~」
「うるせえ!生きて居たければ、大人しくしろ!すぐに済ませてやる!
「イヤァァァァァァァ・・・・」

最大音量でその声は教官室に響き渡った。僕はまだ観てないけど、佐々木クンによれば、男優さんは鬼クマそっくりの身体つきで、声もそっくりだったそうだ。そこで、赤沼クンパパの秘蔵ブルーフィルムコレクションから、
同じ男優さんの作品から、チョイスしてあるのだ。

「アッアアア・・イヤァァァァァ~」

そこまで流れた時、兄さんが慌てたフリをして、スイッチを切った。ますます・・トサカに血が上った理事長先生。
もはや、冷静になれ!というのは無理な話なのかもしれない。何しろ、このグランドの総責任者は鬼クマであり、
管理・運営も鬼クマの仕事だ。

「おや・理事長先生・・何を持てらっしゃるんですか?ちょっと見せて下さいよ!」
「これか・・・ば・・馬鹿モン!キ・・キミタチが見るもんじゃない!」
「そ・・そうだとも!それより・・・理事長先生!コレで辻褄が・・・」

そこで、ちゃんとご褒美分の仕事をしてくださる先輩方。勿論、先輩方も鬼クマと監督には一杯の貸しがある。

「そ・・そう言えば校長先生!変なうわさ耳にしたんですけど・・・」
「なんだね?」
「はあ・・写真部の奴らが言ってたんですけど、熊田教官だったり、監督が未現像の撮影済みのフィルムを・・・」
「フィルムがどうしたんだね?」
「はぁ・・いいんですかね・・言っちゃって・・・」
「構わん!言いなさい!」
「はい!何でも写真部の奴にフィルム現像と写真焼き付けさせていたとか・・・言う事を聞かないと、俺は理事長の甥っこだから、写真部潰すのは簡単なんだと・・・」
「本当かね!熊田教官!監督!」

その頃、すでに二人とも口の中に大量の脱脂綿を詰め込まれていたので、声を出す事が出来ず、フルフルと首を横に振っている。
僕は発言を許可してもらうべく手を上げた。

「なんだね?部長クン!」
「はい。家探ししてみれば判るんじゃないんですか?学年主任先生!先生だったらどこに隠します?例えば、親にバレたくないモノとか・・・」
「そうだな・・・って、何を言わせるんだ!俺はそんな事・・・」
「してますよね?」
「ああ!判った!大体天井裏だとか・・押し入れの隅だな!これでいいか!」
「僕でもそうしますね・・・みんなも同じだろ?」
「ああ・・辞書くりぬいたりな・・・」
「どうします?校長先生!許可いただければ、探してみますけど・・・」
「いいですね?理事長!これが理事長の仰る生徒の罠なら・・ここには他にないはずですが・・・」
「す・・好きにしたまえ!」
「聞いた通りだ!理事長先生はキミタチを疑っている。ここの鍵は熊田教官と監督しか持っておらんのだが・・・
キミタチ自身の手で徹底的に“濡れ衣”であることを証明したまえ!」
「はい!みんな!聞いたな!徹底的に探せ!いや・・待てよ!学年主任先生!僕たちの持ち物検査してください!」
「そうだな!判った!並べ!」

僕たちは一列に並び、それぞれ持ちものにポケットの中まで、全て検査を受けた。何しろ、理事長先生、校長先生の前で僕たちは、何も持ち込んでいないことを証明してみせた。

「よし!何もない!校長先生!いいですね・・」
「よかろう!じゃあ・・諸君徹底的に探したまえ!そうじゃ・・先生方にも協力してもらって、生徒たちを監視してもらおう!」
「そうですね・・じゃあ・・始めましょう!いいか!全員降りかかった火の粉を払えよ!いいな!」
「おう!」

僕たちはそれぞれ・・思いつく場所を探り始めたのだ。まあ、僕たちが隠した場所は判るが、忍者部隊が更に仕掛けたトラップもある。

「あっ!あったぁぁぁ~」 

次から次へと発見されるカセットテープ。全て校長先生がその内容を確認しては、机の上に左右に分けて積み始めた。あのテープだけじゃ拙かろうと、歌謡曲とかのテープまできちんと僕たちは容易してあったのだから・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第75話 “痴漢に仕立て上げられた・・・生贄”②へ続く
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第75話 “痴漢に仕立て上げられた・・・生贄”② [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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“痴漢に仕立て上げられた・・・生贄”②

合宿所の隅々に散る僕たち。そこに先生が監視役に付く。勿論、生徒監禁雑居房と呼ばれる部屋も捜索させられる。何故、監禁雑居房かと言うと、窓には鉄格子ならぬ、金網が張られており、ドアには外から鍵が掛けられる部屋。まあ・・夜中にその辺をウロつかない様にと鬼クマが付けたらしい。南京錠が掛っている。

「ひでぇ~造り・・これじゃあ・・火事の時どーすんのかな?」
「そうだな・・・何回も言っているんだけどな!」
「兄さん。コレ!PTAにやられますよ!なあ!佐々木!」
「うん。うちの親父に言っておく!PTA総会で火だるまかな・・・」
「馬鹿!おい!弟!佐々木の口止めしてくれ!」
「だってよ!佐々木ぃ~貸しておけ!きっと・・信州で浴びるほど飲ませてくれるはずだ!」
「いいよ!先生!それで手を打ちますよ!」
「お・・お前等には・・敵わん!コレ撤去出来るか?」
「もちろん!出来ますよ!後で・・やっておきますから・・・」

僕と佐々木クンは兄さんと共に、生徒用の部屋に踏み込んだ。まあ、この部屋には僕たちも忍者部隊も何も仕掛けていない。本当はタバコの吸い殻に、ポケットウイスキーの空き瓶が転がっていたんだけど、綺麗に掃除しておいたのだ。そうしなきゃ・・とばっちりで対抗試合禁止になったら、いくら弱小運動部でも可哀そうだ。

「ここにはありませんねぇ~」
「そうだな!なあ・・弟!」
「なんですか?兄さん。」

僕は佐々木クンが南京錠を外すのを手伝いながら、聞き返した。

「まさかとは思うがコレで終わりじゃあるまい!」
「勿論・・・・さあ・・締めと行きましょうか!理事長先生にももうひと泡吹かさせねば・・・」

佐々木クンと兄さんを促し、階下へ降りる。勿論、生徒監禁用の南京錠も“証拠品”として理事長先生の前に並べねばならない。
僕たちが教官室に入ってゆくと、次から次へと“戦利品”を抱えた仲間達とあきれ顔の各クラスの担任たちが続く。そして、次々と理事長先生の立ちつくす前に、山の様に積み上げてゆく。

「これで全部かね?」
「この部屋以外は全部廻ったよな?みんな!」
「ああ・・・後はこの部屋の天井裏だけ・・・」
「理事長先生!申し訳けありませんが、この部屋も徹底的に調べる必要がありますので、そこ退いていただけますか?」
「何を言っているのかね?」
「はあ・・理事長先生の後ろにある押し入れとかまだ、見てませんし・・・・」
「そうか・・・そうだったな・・・」

理事長先生が仁王立ちになっていた押し入れの中に潜る佐々木クン。兄さんは押し入れの上の天井裏の板をどけた・・・

「うわぁ~」

兄さんを押しのける様に、仕掛けておいた秘密のアッコちゃんと名付けた。抱っこちゃん人形が、とある公立中学校のセーラー服を着たまま飛び出してきた。それと同時にビリビリに破いたセーラー服に引き裂かれた下着を詰め込んだビニール袋が転がり落ちた。

「おっ!ここにも・・何かあるぞ!」

佐々木クンはもうひと袋のビニール袋と写真部傑作作品の束を引っ張りだした。
僕はミサに合図を送り、ミサがカオリを突く。

「校長先生!私どもこれ以上は致しかねます。これで帰らせていただきますわ!」
「ひ・・ひとつ・・こ・・これは内密に願いたい!」
「いいえ!それは出来ません!警察に通報させていただきますわ!」
「そこを・・ひとつ・・・理事長先生!何か仰ってください!」
「まあ・・そのなんだ・・・ちょっとみなさん。事実関係を追及しますんで、少々待ってくれんか?佐山先生!皆さんをあちらへご案内して、お茶でも差しあげてくれんか?」
「はい。皆さんあちらへ・・・」
「ぶ・・部長クン!そして社会関係奉仕部の諸君!ちょ・・ちょっと外へ出ててくれんか?」
「どうしてです?先輩方はいいんですか?僕たち疑われたままですしねえ~警察呼びましょうか?」

僕は理事長先生に“爆弾”を投げつけた。そこを放送部の先輩たちは録音をし、新聞部の先輩たちは“証拠の山”の写真を撮るのに忙しかった。それすら眼中に入って居ないほど、完全に頭がいかれてしまったのだろう。

「キ・・キミタチ。理事長命令だ!ただちに止めたまえ!」
「横暴だ!佐々木!お前の親父に証拠の山渡して、PTA総会で吊るしあげてもらうか?」
「えっ!」

理事長先生は驚いたようだ。校長先生が理事長先生に耳うちした。多分、佐々木クンの親父がPTA会長であることも忘れてしまうくらい、カッカしているみたいだ。

「と・・とにかく、キミタチを疑ったことは・・謝らねばならん!この通りだ!」

理事長先生は僕たちに向かって深々と頭を下げている。校長先生まであわてて頭を下げているのが、妙におかしかった。

「キミたち!理事長先生に校長先生が謝っておられるんだ。そのぐらいにしておいてくれんか?」
「はい!学年主任先生がそうおっしゃるのなら・・いいな!みんな!先輩方も宜しいですね!」
「ああ・・・そうしておくか・・」
「すまん!ちょっと外へ出ててくれんか?」
「判りました校長先生!あっ!」
「どうした!部長!」
「水・・水・・出しっぱなしでしたぁ~止めなきゃ!失礼します!」

僕がお辞儀をすると仲間たちもそれに続いて飛び出してきた。立ちつくす僕たちの目の前はすっかりあたり一面
沼になってしまったグランドが拡がっていた。

「おい!被害が増える前に・・水止めなきゃ!」

ひとつの穴を満たすのに20分ほどの水量を流し込んでいたのだ。鬼クマを救出してから、すでに2時間以上経とうとしているわけで、とっくに・・テニスコート2面分くらいのグランドが水浸しになっている。

「了解!止めてくるわ!」
「ああ・・頼む!しかし・・どーすんのかねこれ!」
「いいんじゃない?汚いモンも全部流れてしまったし・・・」

僕たちがグランドに出来た“沼”を眺めていると、兄さんこと学年主任が飛び出してきた。

「どうだ?どうなったんだ・・・おまえら!」
「はあ・・・ご覧の通り、沼になっちゃいました!」
「ああ!こいつは・・・」
「どうしましょ?」
「知らん!どこから手をつければいいのか・・・とにかく、お前等の勝利だな!」
「はあ・・どうなるんですかね・・・さあな!誰かは責任を取らされるだろう!お前!何か言い残したことあるんじゃないのか?」
「誰にです?」
「元監督と熊田元教官にだ・・・」
「元?それじゃあ・・・」
「ああ・・懲戒免職だな熊田教官は・・監督はどうなるかだが・・・監督ではいられないはずだ・・・行って来い!」
「いいんですか?」
「ああ・・・今のうちに言いたいこと言っておけ!」
「はい!兄さん!」

僕は一礼すると合宿所に忍び込んだ。教官室を覗くと二人が転がされていた。

「失礼いたします」

僕は丁寧に一礼した。何しろ礼儀だけはうるさい学校なんだから、仕方がない。

「監督ぅ~いや、元でしたっけ?大丈夫ですか?痛むんじゃないんですか?」
「ふざけやがって・・・」
「あはは・・・ひとつ、いい事教えましょうか?これで2度目ですよねえ~今年一年で骨折されたの・・」
「それがどうした!」
「良く言うじゃないですか・・2度ある事は3度あるって・・・それに・・・」
「それに?なんだ!」
「3度目の正直って言いますからねぇ~こんな馬鹿を親分にしておくと・・いずれ、あの世かな!」

ニヤリと笑う僕の顔を見て突然震えだす監督。いや、元監督。ガタガタと震えだす。

「それと・・もうひとつ。僕。陰陽師なんですよ!お二人に呪いを掛けさせていただきましたので、」
「た・・助けてくれ!」
「ふ・・ふざけるな!おい!こんな馬鹿の言う事聞くんじゃない!叔父が何とかしてくれる!」
「そうですか?あんまり興奮されると・・毒が廻りますよ!何でしたら、また蛇を遣わせましょうか?教官は蛇が好物でしたよねえ~今度はちゃんとトドメをささせますから!監督にもね・・」
「ふ・・・ふざけるな・・・」
「そうですか?今、枕元に置いてある蛇生き返らせましょうか?」

僕が呪文を唱えようとすると・・・元監督は折れている手を一生懸命僕の方に差し伸べた。

「た・・助けてくれ!この通りだ!こんな馬鹿とは縁を切る。こいつとtsるんでいると碌な事がない!」
「何を~てめぇ!誰のお陰で・・クビにしてやる!ついでに!部長!お前もあいつらも纏めて退学だ!」
「そう出来るといいですね・・・熊田教官!」
「今何て言った?」
「さあねえ~熊田のおっさん!あんたは懲戒解雇らしいですよ!元監督は処分はこれかららしいですけど・・・」
「何を!・・うっ・・く・・・くるしい・・・」
「だから言ったでしょ!興奮するから蛇の毒が廻ったんですよ!今、先生方呼んできますから・・・」

僕は教官室を飛び出し、緊急ミーティング中の部屋へ飛び込んで怒鳴った。

「大変です。熊田教官の様子がおかしいんです!」
「何!こうしちゃおられません。理事長!救急車呼びますよ!」
「あんな馬鹿!死んでくれた方が・・・」
「何を言うんです。大事な姪御さんの旦那ですよ!田中先生!救急車呼んでくれたまえ!」
「はい!校長先生!」
「部長クン!悪いが門の外で救急車を誘導したまえ!佐山先生も・・・」
「はい!」
「承知しましたわ!行くわよ!部長!」
「それから・・看護婦の皆さん!申し訳ないんだが・・・」
「仕方ありませんわね・・・」

カオリが洋子とミサを促し、教官室へ向かい、僕は美希と一緒に門の方へ向かう。

「どうしたの?何かまたしたわけ?」
「ううん。ただね・・ちょっと脅かしただけ!蛇生き返らせるぞってね・・・俺、陰陽師だもん。ニセモンだけど」
「道理でね・・・ところで、毒蛇居たんだっけ?」
「居る訳ないでしょ!地区長もマムシは呉れなかったモン!」

門の外へ出ると、優子とミミが駆けてきた。忍者部隊の大沢クンも帰ったと見せかけて待っていてくれたのだ。

「お~い!部長ぉ~」
「おお!大沢!待っててくれたのか?」
「ああ・・全員に連絡網まわさなきゃ・・・で!首尾は?」
「上々だな!鬼クマは懲戒解雇だそうだ・・・」
「本当ですか?佐山先生!」
「ええ・・・あれだけ“犯人扱い”にされればね・・・キミタチの勝利!」
「やったぁ~みんなに連絡しておくわ!ところで、お前何してんの?」
「救急車待ってるの!鬼クマが呼吸がおかしいんだ!」
「ほっておけばいいのに・・」
「まあ・・そう思うけど・・・人命だからな、一応。じゃあ・・連絡頼む!」
「判ったぁ~じゃあ!佐山先生!失礼します!」

大沢クンはペコリと頭を下げると、林の向こうへ走って行った。彼の自宅は林の向こうの新興住宅地の中にあるのだ。遠くからサイレンが聴こえる。これで僕たち普通科1年は楽しいクリスマスをそれぞれ迎えられるはずだ。
僕はサイレンの音に耳を澄まし、鎮守の森に思いを馳せていた。これで、長かった僕たちの戦いは終止符を打つ。

「優子ぉ~みんな元気かな?」
「元気よ!私たちは・・・」
「そうじゃなくて・・・鶏と魚たち!」
「そうね!元気になるわ!あなたが帰ってくるんだから・・・」
「うん・・」

僕は道の真ん中に立ち、静かに遠いそらに沈診掛けている夕日を眺めた。身体はここにあるのだけど、僕の思いは先に鎮守の森へ帰ってゆく。

「やっほぉ~!」 僕は最後に勝利の雄たけびを上げたのだ。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第最終話 後始末に続く・・・・







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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第最終話 後始末 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

お待たせいたしました。
 
僕です。皆様大変お待たせいたしました。えっ?待ちくたびれて忘れたんですか?やだなぁ~
僕です。僕!判りませんか?じゃあ・・古いんですけど、人間の証明に出てくる西条八十バージョンでやりましょうか?

「皆さん 僕のあの頃どうしたんでしょうね? ええ・・あの僕が一番輝いていた頃。未来の僕が封印していた
あの一番輝いていた時代ですよ。皆さんもう忘れちゃったんですか?僕は記憶の片隅に追いやられていたんですよ。だけど、未来の僕が一時とはいえ、神様と縁を切っちゃったものだから・・・皆さん。僕は復活してきましたよ。未来の僕がネタがないって喚くものだから・・・」

思い出していただけました?まだですか?
ええとぉ~僕は某私立学園高等部普通科1年生です。それまで、一匹オオカミを気取ってましたけど、類は友を呼ぶ。次から次へと集まってきた。オオカミ集団のリーダーに、いつの間にか祭り上げられました。
あれは、1学期の期末試験が終わる寸前。僕たちが“ホステス養成学校”と呼んでいる所と、合同パーティーをやったんです。僕、あれほど大岩クンに言っていたんですけどね。「ムードが大事だからな!」って・・・
それを・・ぶち壊してくれたのが、大岩クン。未来の僕に聞いたんですけど、彼の長年の夢がかなって、変態産婦人科医なんだそうですね。それは良かった・・・患者さんは可哀そうですけど。
その“大岩クン”がパーティーの席で押し倒しちゃったから、大変。
おかげで、僕たち全員。保健所じゃなかった・・・学年主任の実家である鎮守の森に送り込まれたんです。
そこの鎮守の森にある小さな神社。僕はそこの巫女であえい、宿敵の学年主任の妹の優子と恋に落ちちゃったんです。今まで色々なことがありました。結婚式騒動やら、脱走劇。そうそう、僕たちのグループ名が、悪たれ連と名付けたのも優子でしたし、公称一人っ子。腹違い、種違いならゴマンという兄弟。その中でも、僕が一番上なんですけど、僕に待望の兄さんが出来たんです。昨日までは宿敵。今日からは兄さん。おかしな話なんですけど、仕方ありません。そう言えば、悪たれ連の仲間である青○クンも正式婚約しましたし、その婚約者である由香ちゃん1号のお父様に“元服”なるものを受け、おまけにトルコまで連れて行ってもらいました。
勿論、海外のじゃありません。お風呂の方ですね。それで、僕たちの仲間の大半は、オオカミ見習いから、オオカミに昇格したんだけど・・・思い出して貰えましたか?
どうやら、思い出して貰えた様ですね。それでは、大変お待たせいたしました。“時間旅行”の出発の準備が整った様です。それでは、ご一緒にタ~イム・・スリップ・・・・・・

後始末

理事長先生は、「救急車なんかいらん!」と仰ったんだけど、鬼クマが呼吸困難になったので、仕方なく救急車を呼んだ。まあ、はっきり言っておくけど、僕は弱った獲物は狩ることはない。少々脅かして呪文を唱えるフリをしただけ、兄さんが仕方がなく救急車を呼んだのだ。それぞれの救急車へ向かう途中、救急隊員さんに酸素マスクを付けられた鬼クマに向かい、サッカー部の監督は、「アンタとは縁を切る!俺は死にたくない!」と言ったそうだ。何しろ、僕たちはその頃、せっせとグランドに“別の穴”を掘りかけていた。

「ああ~楽しみ減っちゃたわ!」
「お前!マジにタイマン張る気だったの?」
「そんな訳ねえだろ!病院送りにしちまったのは、事実だけどさ・・・」
「お~い!部長に佐々木!ちょっとこっちに来い!」

兄さんが呼んでいるから、行かねばなるまい。だけど、僕は佐々木クンに告げておかねばならないことがあった。

「いいか!お前、知らんぷりしろよ!俺が一人で被るからさ・・・」
「でも・・・」
「いいんだよ・・それより、後頼んだぞ!」
「判った!お前が処分喰らったら・・暴動起こしてやる・・・」
「手加減しろよ!マッポ呼ばれちゃ勝ち目はねえからな・・」
「ああ・・了解!」
「じゃあ・・呼んでいるから行くか!」
「ああ・・行こうぜ!」

佐々木クンを先頭に僕は後を駆けだした。もしかしたら、これでもうこの忌々しいグランドとも別れられるかもしれない。僕の鞄の底には、昨夜、優子が寝てしまった後に書いた。退学届が入っている。
処分となれば、それを出すしかない。兄さんや協力してくれた仲間たちを誰ひとり巻き込む事を、僕は望んでもいないし、オオカミは仲間を裏切らない。群れを命がけで守るのも、オオカミのリーダーの役目だからだ。

僕と佐々木クンが合宿所の玄関に立つ兄さんのところへ駆けつけると、顔は宿敵だった頃のようにしかめっ面をしている。やはり、覚悟を決めなければならないみたいだ。

「お呼びですか?」
「ああ・・用があったから呼んだんだ!」
「何ですか?学年主任・・・」
「お前等!・・・よくも!やってくれた
「はっ?今なんて・・・」
「良くやったって誉めてんだ!」
「何だ・・怒られるのかと・・・」
「佐々木!お前はみんなを指揮して、穴掘りの続き・・」
「はい!」

佐々木クンは僕の背中を軽く叩くと、社会関係奉仕部に放送部と写真部の先輩方が掘らされている“別の穴”に向かって走って行った。

「兄さん!処分は?」 僕は走ってゆく佐々木クンを見ながら、ぽつんと言った。
「何がだ?お前等は何もしてない!そうだよな!」
「あの・・実は・・その・・・」
「何もしてない!そうしておけ!そうしないと・・全員処分を喰らう羽目になる。」
「はあ・・・僕、一人の退学届じゃ駄目ですかね・・・」
「いいんだよ!理事長だって校長だって叩けばホコリくらい出る。その証拠もあるしな・・・」
「そんなもんですかね?」
「ああ・・救急車騒動はちょっとやり過ぎだったけどな!」
「それで処分・・・・」
「ああ!弟!お前等は何もしていない。俺も、佐山先生もみんなだ・・・」
「ま・・まさか?鬼クマもですか?」
「いや、あの人は管理責任が問われ、懲戒解雇処分。何しろ生徒をリンチにしようとしたんだからな!」
「それで・・監督は?」
「ああ・・アレか・・・アレは・・」
「どうなるんです?」
「とりあえず、学校の用務員だな。いずれ、お前等が交渉するセミナーハウスの管理人だ!」
「ああ・・信州の村の人が可哀そうかも・・・ついでに、青○も・・・」
「そう言えば、青○は婿養子に行くんだっけ?」
「そうですよ・・・あいつ知ったら怒りそう!」
「いいか!迷惑にならない場所探せよ!そうそう・・あの“証拠物”・・・」
「焼却処分ですか?埋立?それとも・・あの・・・」
「何だ?とりあえず・・・埋めておこう!お前等が卒業するまではな・・・」
「はい!」
「よし!作業に行け!」
「はい!ご指導ありがとうございました。」

ぺこりと頭を下げると、グランドの片隅でせっせと穴を掘っている仲間たちの元へ駆けていく。
その頃、穴を掘りながら佐々木クンは、仲間達に暴動の企てを話していた。

「いいか!部長が処分喰らったら・・・」
「ああ!普通科1年全員で暴動だな・・・学校占拠するか?」
「過激派のマネか?」
「ああ・・徹底抗戦だ!部長を守るぞ!」
「面白そうだな!」
「ああ・・食糧と水とか手配しなきゃな・・・」
「お前等!俺ら2年も参加するぜ!」
「いいんですか?先輩!」
「ああ!英雄守らなきゃ・・・OBに殺されちまうからな!」

そんな会話が飛び交っていたとは、露知らず僕は仲間達のところまで、あと数十歩というところで、
グランドの中に設置してある“標石”に躓きこけた。

「おい!また・・あいつ!」
「仕方ねえな!最後まで格好良く決めれねえのか!あの馬鹿!」
「担いでくるか?」
「ああ!」

僕は瞬く間に担ぎ上げられ、そのまま空中を舞っている・・1回・・また1回・・・
地球に重力が無ければ、僕の身体はそのまま宇宙を漂うゴミになっていたかもしれないが、万有引力の法則に従って、その都度、仲間の手の中に落ちてゆく。

「ちょ・・ちょっと待て!落とすなよ!」
「知らねえよ!そんなもん・・・」

仲間達が呟いた途端、僕の身体は地面に叩きつけられ、砂埃が舞う。

「痛ぇ~な!毎度毎度・・・単細胞な奴らめ!」
「まあな!それよりどうするって?」
「ああ!俺らが卒業するまで埋めとけってよ!」
「なんで?」
「さあな!青・・残念な知らせが二つばかりある。」
「何だ?二つもあるのかよ!」
「ああ!一点は監督な!セミナーハウスの管理人らしいぜ!」
「げっ!俺やだぜ!面倒みるの・・」
「判ってる!どこか近い様で遠いところに土地をみつけよう。それと・・」
「まだ、あるのか?」
「ああ・・ふたつって言ったろ!お前の大事な秘密じゃなくなったけど・・アッコちゃんな・・・」
「ま・・まさか埋めるのか?」
「そのまさかだ・・まあ・・埋めたフ事にしておくのも悪くないけどな・・ホレ!」

僕はポケットから、グランドの門の合い鍵を取り出して、青○クンに投げた。

「俺からのプレゼント!まあ・・美希も一緒だけどな!作っておいたんだ!」
「良かったぁ~俺のアッコちゃん埋めちまうのかと・・・」
「新しいの1個買ってやったろ!アレはどうした?」
「1個よりも2個だよやっぱり・・・」
「あっそ・・やっぱり・・お前はエロ坊主にしかならねえな・・」

僕たちはグランドの隅から隅まで落ちている枯れ葉を拾って来ると、それらを敷き詰め、ガビガビの青○クンの所有物だった裏本とお姉さま方からかき集め、ボボボロに引き裂いたセーラー服に洋服、下着が詰まったビニール袋を載せ、そこにカセットテープと写真を幾重にもビニール袋に入れ、丁寧に葬った。
そして、秘密だったはずのアッコちゃんは、着せられているセーラー服と下着を外されると、青○クンとYが小さく畳み始め、とりあえず、一緒にビニール袋に押し込み、埋蔵物の上に載せた。

「キミタチぃ~終ったぁ~?」

そう言いながら、美希こと佐山美希先生が僕たちのところへやってきた。

「ええ・・・終りました。」
「じゃあ・・・いいわ!ちゃんと・・埋めるのよ!いいわね!青○クン・・・」

そう言うと、合宿所へ向かって戻って言った。多分、まだ会議中なのだろう。なにせ、口止め工作が残っているのだ。

「なあ・・いいのかな?」
「いいんじゃないか・・青!抜いておけ!今のうちに・・・」

青○クンは、落ち葉を掻きわけ、アッコちゃんを発掘して、フェンスの外へ一旦、投げ隠した。
まあ、それが賢明な策なんだろう。もしかしたら、抜き打ちの持ち物検査があるかもしれない。

「だけどよ!なんで・・美希先生知って居るんだ?あっ!お前・・教えたろ?」
「うん!やりながらだけどな・・覚えていたか・・あはは・・・」
「あははじゃねえよ!それより、ヤバイもんほかにねえか?」
「佐々木!気が利くねえ~ついでに・・俺の退学届も埋めておくか!」
「そうしろ!」

僕が鞄の底から取り出した退学届をビリビリに佐々木クンが破き、穴に投げ入れた。
それと同時に僕たちは折角、掘った穴をまた丁寧に埋めていった。

「なあ!青!」
「なんだ?部長!」
「お前馬鹿じゃねえか?」
「何で!」
「何でじゃねえよ!秘密のアッコちゃん投げたところ、さっき、蛇投げたとこだぜ!」
「あっ!」
「諦めろ!蛇に咬まれたくなかったらな・・・」
「なんとかならないかな?」
「そうだなぁ~無理じゃねえの?」
「ちくしょう・・・投げる前に言ってくれ!」
「今、気が付いただけ・・・」
「ところで、合宿いつからだっけ?」
「ああ・・・明後日からな!楽しいクリスマスパーティー付きだ!」
「ところで・・先輩方のは?」
「そうだった・・・先輩方ぁ~今夜7時からパーティーですけど・・いいんですかぁ~」

慌てて帰ってゆく先輩方。多分、着替える時間はない。まあ、ドロだらけで行ってちょうだい。
ちゃんと準備、お膳立てはしたんだから、文句を言われる覚えはない。

「あはは・・・どう?」
「いいねえ~先輩方大丈夫かね?」
「無理に決まってるだろ・・あの“最強お姉さま軍団”だぜ・・・」
「いいや・・佐々木!判らねえよ!カモれるだけカモって良いと言っておいたから・・・あはは!」
「まあ、いいんじゃない!大事な後輩連中にナンパさせるんだから、天罰だよな!」
「そう言う事!じゃあ・・帰るか?俺達も・・」
「ああ・・部長は鎮守の森に帰るのか?」
「まあな!帰る場所はそこしかないだろ?」
「美希センセーは?」
「一緒さ!ついでに紗江子も明日来るみたいだし・・・」

僕は優子とミミと一緒に一足先に鎮守の森へ帰る。美希はカオリや洋子そして、ミサと一緒に鎮守の森へ帰ってくる手筈になっている。

「じゃあな!明後日。遅れるなよ!1時にいつもの場所!アレ用意して来いよ!じゃあな!」
「ああ・・じゃあな・・」

去ってゆく仲間を見送り、僕は優子とミミが待つ車に駆けこんだ。疲れ果てた僕は優子にもたれかかり、いつの間にか眠ってしまったらしい。ミミは僕を起こさない様に慎重に運転をしてくれたらしい。
少し開けた窓から、懐かしい匂いが飛び込んで来た。僕は鼻をひくひくさせ、その香りが、鎮守の森のある村を吹き渡る風の匂いだと感じると、目が醒めた。

「良く寝てたわね[揺れるハート]
「まあね!昨夜、誰かさんにほとんど寝かせてもらえなかったからね・・・」
「馬鹿!知らない[揺れるハート]!」

ミミが笑いながら、クラクションを鳴らした。それは、鎮守の森に響き渡り、僕の帰りを告げる音だった。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦!へ続く・・・・







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「僕たちの・・・・なか書に代えて・・・」 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

なか書きに代えて

空飛ぶ食欲魔人ことオストドでございます。

僕たちのシリーズ編を読んで頂いているも名様へごあいさつ。

そして、ちょっとだけ・・・今後の展開についてお話させていただきたいと思います。

人生には、出会いそして別れ。必ず、色々な場面でやってきます。

このお話で出てくる“僕”。つまり、私自身でございますが、それは同様でございます。

多分、皆様の中には、?マークが一杯浮かんでいることでしょう。

何故?神主にならなかったのか。何故?ライフラインエンジニアになったのか?

何故?自分の事を祈らずに、他人である皆様のために、祈りをささげるのか?

今、過去の僕は記憶の片隅で静かに眠りについています。

“過去の僕”は、その都度の“僕”であり、どんな事が起きるのか?彼には全てを語っていません。

ときどき・・ナビゲーターとして、皆様の前に現れる“僕”は、その日、その日の僕で、

今の私ではありません。

今の私が明日を知らない様に、過去の僕も明日を知ることが出来ません。

後悔して悔むこともたびたび、これからのお話の中で出てきます。

別に、格好良く見せるだけなら、輝いていた部分だけお話すれば、それで終わりを迎える事になります。

本当を言えば、今の私はちょっぴり後悔しているのが、真実。

ただ、がむしゃらに突っ走ってきた時代を、中間地点に差し掛かる前に振り返りたいと思います。

今の私には、過去の贖罪による。大きなそして押しつぶされそうなくらい思い十字架。

そして、手枷と足枷を填められている。皆様にお見せできるはずのないモノを背負って、毎日を

必死に一歩ずつ歩いています。

一生懸命“生きること”そして、“皆様のために祈る事”それが、私に与えられた“宿命”なのです。

過去の僕は、自分の運命を呪いました。そして、悪魔に心を売ったわけですが、

それらのせいで、私は多くの罪を犯し、そして、それらのせいで、私は多くの大事なものを

失って来たのです。

どこまで書くのか?いや、どこまで皆様にお話をするのか?

今の私には、解りません。

ただ・・ひとつだけ言えるのは、今の私があるのは、過去の僕によって形成され、様々な犠牲と、

運命という川の流れによって、造り上げられたもの。

「死んでしまえば、楽になれる。」 そう考えたのは、小学校4年生。わずか、10歳の時。

入水自殺をしかけた事もあります。その時、助けられた人から、与えられた“力”が、今、

私の背中をグイグイ押して、歩かせ様としています。

過去の僕は、“自分の弱さ”を認めることができませんでした。

いや、つい最近までそうだったのかもしれません。

自分の弱さを認めることが、本当の強さであることを、恥ずかしながら、最近、教えられました。

“櫛の歯が抜けていく様に”仲間も病に倒れたり、事故により、この世を去ったのもいます。

また、仲間の中には、最愛の人を失い。絶望の海に投げ出され、必死にもがき苦しんだのもいます。

本来なら、“僕たちの鬼クマ退治”でお話を終えるのが、一番だと思っておりましたが、

ここまでお話しさせていただいて、一方的に終わるのは“自分の弱さ”を認めないことになります。

ここからのお話は、シリアスな場面。もちろん、僕たちのやりたい放題。そして、僕が払わねばならない

大きなツケが襲って来るわけです。

今の私があるのは、このお話に出てくる“仲間”そして、出会ってきた多くの人々のおかげです。

先日、仲間から呼び出しを受け出かけてきました。

「お前・・どこまで書くんだ?」

彼等は彼等なりに、過去の僕がどんな目に遭ってきたきたのか?その生き証人でもあります。

「もう・・・この辺でいいんじゃないか?」

そう私を諭してくれる仲間。ありがたい事です。多分、彼等は彼等なんりに私を心配しているのか?

それとも、これ以上波風立てないでくれ!という必死の願いもそこには、見え隠れするわけです。

「いや・・やっぱり、中途半端はよくないと思うんだが・・・」 そう答える。私。

「お前。乗り越えられるのか?大丈夫か?」 多分、彼等は私が自ら命を絶つ。

そんな心配をしているのかもしれません。

でも、私はそんな弱い部分は、深い海の底に沈めてきました。

もうちょっと、彼等の過去と自分の過去には、頑張ってもらわねばなりません。

それが、神様が今の私に与えた“試練”なら、乗り越えられるはずです。

神様が人々に与える“試練”。それは、その人が持つ本来の力を出せば、乗り越えられる壁。

ただ、“乗り越えて見せる”という勇気。この勇気こそが、その人の持つ“強さ”を示すもの。

諦めたら、そこで終わりです。”高い所から低い所へ流れるがごとく”こんな人生よりも、

多くの人々に“そこへ聳え立つ”大きな壁を乗り越えてもらえる様に、私の応援でもあります。

自分の弱さをさらけ出し、そしてその試練を乗り越え、また、新しい壁をよじ登る。

力尽きた時、やがて、神様の元へ帰る許しを得られるのでしょう。

多分、この“なか書きに代えて”が皆様のお目に触れるころには、私は次の壁をよじ登り、

そこにある全てのものを受け入れ、また一歩歩いている頃です。

言い換えれば、ゴールの淡い光に向かって、真っ暗な中を歩いている自分が居ます。

でも、それは自らが選択したものであり、誰にもどうしようもない事。

どうか、こんな馬鹿でも一生懸命歩いている。負けてたまるか!

そうお考えいただき、馬鹿馬鹿しいお話にお付き合い頂ければ、幸いでございます。

親愛なる読者の皆様へ・・・皆様のご健勝、ご多幸、諸願成就をご祈念しつつ・・・

空飛ぶ食欲魔人ことオストド 拝



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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第1話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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風に吹かれて・・・①

「おい!余所見していると・・落ちるぞ!・・あっ!馬鹿!」

その途端、地区長の家の屋根に登って屋根瓦を修理していた白○クンが落ちた。
入学試験や進級試験にも落ちた事はなかった白○クンが落ちたのは、由香ちゃん2号の積極的アプローチに、墜落してからだから、ほんの数か月前。もっとも、彼は本命校の入試の時は、一家揃って“寝坊”をしたせいで、受験できなかったらしい。それ以来、彼の家の目覚まし時計は電気式から、アナログ式に換えたそうだが・・・

「おい!白○生きているか?」
「ああ・・なんとかな・・・い・・痛ぇ~」
「どこか痛めたか?骨折ったんじゃないんだろうな・・・」

僕はその頃ちょうど鶏小屋で“お嬢様”方に戦いを挑まれていたのだ。

「てめぇ~締めて・・水焚きか焼き鳥にすんぞぉ~」
「コケッ!(やれるもんならやってみろ!)」

鶏の優子・ミサ・カオリ・洋子・奈々子・美希・紗江子にミミ。そして、唯一の雄鶏である委員長。これらは僕の事を覚えているし、最近は養殖しているミミズのご褒美の代わりに、偶に玉子をくれる。
言うことを聞かないのが、“新参者”とここで産まれた成鳥になりかけているヒヨコ共だ。
僕は“MIKO’S”と背中にプリントされている赤いツナギを着こみ、手伝ってくれているSや青○と共に、鶏たちに攻撃されているのだ。

「ったく・・どこの馬鹿だよ!こんなにメスばかり増やしやがって・・」
「知るかボケぇ~こっちが聞きたいくらいだ!」

人間であり、僕の奥さんである優子に聞いたところによると、“委員長”は一生懸命頑張ったみたいだ。
優子が卵を温めだしたのは、僕も知っているけど、その後、ミサはじめカオリ・奈々子・洋子と順番に卵を温めだしたらしい。生まれたヒヨコたちは、1か所に集められ、オスとメスに分けられ、オスのヒヨコは地区長の家に引き取られ、メスだけが残されたのだが、その他に村の人々が“手に負えない”雌鶏”を次々に持ち込んだらしい。

「おまえ!卵だけは困らないんじゃないか?痛ぇ~また蹴っ飛ばされたぞ!」
「そういう時はだ・・こうするんだ!」

僕は持ち込んだお菓子の缶の蓋で、飛び蹴りを僕に喰らわせ様とした“優子2世”をひっぱたいてみせた。
優子2世が僕にやられると、親鶏の優子が僕に突進してきた。

「やべえ~逃げるぞ!青!そのバケツに入っているミミズをバラ撒け!逃げるが勝ちだ!」
「おう!」

とりあえず、掃除を終え、新しい藁をたっぷり敷いてやり、エサと水を与え終わり、あらかた卵を奪取し終えたから、これでヨシとしなければならない。これ以上、鶏が増える様であれば、僕たちはもう一軒鶏小屋を建てねばならないだろう。
ばら撒かれた“ミミズ”は鶏たちの大好物だ。”三歩歩けば忘れる鳥頭”とは、良く言ったもの。
鶏たちは僕たちへの攻撃を止め、ばら撒かれた“ミミズ”をくちばしで器用に咥えると、そのままゴックンと飲み干してゆく。

「やだやだ・・俺。しばらくはスパゲティー食いたくない!」
「俺もだ・・」
「そうか?お前等都会っ子はコレだから・・・・」
「うるせえ~この野蛮人!」
「なんだと・・・やるか?」
「望むところだぼけぇ~」
「まあまあ・・エロ神主とエロ坊主が争っているんじゃねえよ・・・んっ?何か聴こえねえか?」
「ああ・・救急車のサイレンみたいだな・・・」

僕たちは収穫した卵の汚れを落とし、白菜と埋めておいた大根と人参を掘り出し、畑に引いてある水でそれらを洗っていた。勿論、水道の水ではない。鎮守の森に湧き出る“神泉”僕にとっては・・いや、選ばれた者には不思議な力を与える水。そして、それ以外の者にとっては、ただの地下水である。

「なあ・・この水だよな?お前に不思議な力与えるの・・・」
「うん。お前等には判るまい!」
「判って堪るか!でも、ハーレム暮らしはいいよな・・」
「“隣の・・・アレなんだっけ?部長?」
「あのなぁ・・S!だからお前は赤点スレスレなんだよ!“隣の芝生は蒼く見える”だろ!」
「そうそう・・それ・・・」
「しかし・・なんでそんな・・・まあ、確かにな・・・そのうち“腹上死”するかも・・・」
「ほざきやがれ!」

その言葉と同時に僕の頭には、洗いたての大根が青○によって、投げつけられた。
勿論、僕は洗ったばかりの白菜を青○クンに投げつけたのだけど・・・・
そこへお揃いのツナギを着こんだ優子が駆けてきた。優子は優子でもこの森には、一人と一羽と1匹の優子がいる。鶏の優子と鯉の優子である。

「あ・・あなたぁ~大変よぉ~」
「あん?優子!どうかした?」
「あのねえ・・・白○クンが屋根から落ちて・・・」
「へえ~あの馬鹿!とうとう落ちたか1これで懲りるんじゃねえか?なあ・・青にS・・・」
「そうそう・・いい薬だから放っておけばいいんだ・・・」
「何を呑気な事言っているのよ・・・」
「生きてるんでしょ?」
「そりゃあ~生きているけど・・・」
「じゃあ・・傷口舐めとけば治るよ・・もしかして?さっきの・・救急車?」
「そう!病院に運んだのよ・・・」
「これであの馬鹿・・少しは頭よくなるかもよ?」
「そうだな・・・」
「何言っているのよ!」
「だから・・生きているんでしょ?腕の一本や足の一本は・・・」
「そうそう!他ならぬ由香ちゃん2号のためだもん!」
「そーいえばさ!あいつ!お揃いのセーターとでかいぬいぐるみ買って来たよな!」
「うんうん・・あの馬鹿!馬鹿のひとつ覚えかな・・電車を降りてきた時、卒倒しそうになったぞ・・・」
「ああ・・俺ら一緒に行動するの恥かしかったんだぜ・・・」
「あのねえ~黙って聞いてたら・・仲間でしょ?」
「うん。仲間だよ!だから。あいつは屋根から落ちたくらいじゃ死なないし、怪我も大したことはない。」
「違うのよ!盲腸かもしれないって・・・・」
「はぁ?盲腸?・・つくづく・・あの馬鹿らしいわ・・・笑いすぎて腹が痛い。」
「うん。」
「俺もだ・・・」

優子はあきれ顔をして、腰に手を当てた。もうそろそろ・・冗談を止めないとどんなしっぺ返しが襲って来るか?僕には容易に判った。

「どうせ!運ぶのならカオリのところでしょ?」
「うんそうだけど・・・」
「美希は?」
「美希先輩はミサと一緒に車で病院へ行ったわ・・」
「そんじゃあ~手術するのかな?」
「そうかもしれないわね・・・・」

僕は妙案が浮かんだ。手術となればアソコの毛を剃るわけだ。これは見逃す手はない!

「なあ!俺ら仲間だよな!」

僕はSと青○にだけ見える様にウインクしてみせた。

「ああ・・行かねばなるまい。」
「行こうぜ!弱っているところを助けあわなくちゃ!」
「まあな・・・優子!全員で行くから車出せる?」
「ええ・・・佐々木クンたちも同じ考えみたいよ・・・言わなくてもあなたたちの企みは判るもの・・・」
「だよねえ~」

僕たちが病院に優子の車で駆けつけると、地区長の軽トラと由香ちゃん2号のママの車が並んで停まって居た。
そこへ、村の中から拾いあげられた仲間達が、村のマイクロバスで到着した。

「お前等・・・汚ねえなぁ~」
「お互い様だろ!」
「あなたたち・・こっちへいらっしゃい。シャワー浴びて、コレに着替えて頂戴!」

僕たちはドロだらけの作業服で駆けつけたのだ。理事長先生からせしめたお金で、真新しい作業服が優子の車のトランクに人数分入っている。その背中には背番号ならぬ、ひらがなが一文字ずつ入っている。
全員が順番に並べば、“しゃかいかんけいほうしぶ”と読むことが出来る。

「しかし・・・“ゃ”がねえと様にならねえよな」
「うん!そう思う・・・」

白○クンの作業服には、“ゃ”の文字。このまま欠けてしまうと、“しかいかんけいほうしぶ”になってしまう。

「なあ・・白○の家に連絡取れたのか?」
「ああ・・お袋さんが親父さんに連絡するらしいけど・・・あいつんち!母子家庭じゃん・・」
「そうだっけ?」
「ああ・・コレがコレでこうなって別れたらしいぜ!」

そう言うと佐々木クンが右と左の小指をぶつけ合って見せた・・・

「なるほどね・・・手術費てどれくらいかかるのかな?」
「知らねえ。でも、2、30万掛るんじゃないか?」
「だな・・おい会計!裏金どれだけある?」
「在庫叩いたし、あっちは手を引いたから・・40くらいかな?」
「じゃあ・・・入院費は払えるな・・」
「まあな!」

僕たちはシャワー室を出て、真新しい作業服に着替えると白○クンの病室に向かった。
どうやら、薬が効いているらしく、スヤスヤと眠っている。由香ちゃん2号は、白○クンの首に縋って泣いている。

「やれやれ・・心配して来てみたら眠ってやがる!腹立つな?」
「ああ・・」
「一丁・・やります?」
「いや・・止めておこうぜ!お前等。地区長の家で世話になってるんだから・・・由香ちゃん2号に怨まれると」
「そうか!そうだよな・・」
「そういうこと!」

僕たちは病院の屋上に駆け上がった。

「おい!並べ!白の作業服・・・」
「ああ・・判ってる!」

“しゃかいかんけいほうしぶ”の順に並ぶと、僕たちは沈みゆく夕日に向かって怒鳴った・・・

「白○の馬鹿野郎ぉ~さっさと・・元気になって戻ってこい!」

「ったく・・・しょうがない奴だな・・・」
「ああ・・もうちょーがない奴だ・・・」
「お前!ここまで来てそれかよ・・・かかれ!」

白○クンをタコ殴りにする代わりに、空気の読めないYクンがボコボコにされる。
そんな僕たちに吹き付ける風がちょっと冷たい。

「なあ~部長!」
「あん?」
「そろそろ・・始まるんじゃねか?」
「そうだった・・大事なショー見学しなくちゃ!」
「そうそう・・風に吹かれてると、俺らが風邪をひく・・」
「大丈夫だ!青○!お前だけは風邪引かねえよ!」
「なんで?」
「馬鹿は風邪をひかねえからな・・・いくぞ!」

僕を先頭に階段室へ駆けてゆく。そしてドタドタと階段を駆け降りてゆき、白○クンの病室へ入ってゆくと、
そこではまさに・・・”彼にとっては“地獄絵図”であり、僕らにとっては“興味津津”の儀式が今まさに始められ様としていた。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第2話へ続く・・・・
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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第2話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
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高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

風に吹かれて・・・②

「カオリさんちょっといい?」
「いいけど・・何?白○クンの剃毛もしなくちゃいけないしね・・・手術室に運ばなきゃいけないのよ?」
「判っているけど・・ちょっと!毛を剃るんなら・・コイツラにでもやらせておけばいいさ・・」

僕はカオリの腕を引っ張ると、白○の病室から引っ張り出し、階段の踊り場まで、腕を離さなかった。
白○クンが“母子家庭”なのは、入学したその次の日には、僕は知って居た。何しろ“委員長”の職務の一つに授業の円滑な進行補佐が含まれているのだ。例え、“腐りきったリンゴと腐りかけているリンゴ”の混合クラスでも、授業にやってくる先生は居る。全ての先生が“生徒の事情”を知っているわけではない。
持参される出席簿には、名前と学籍番号と出欠の印が付けられる欄しかない。
従って、先生方が自ら自爆するのは勝手だけど、生まれつきの病気を持っている奴とか、少々精神状態のおかしい奴。まあ、それを言えば僕たちのクラスにまともな奴などいないのだけれど、所謂“諸事情”を把握し、サポートするのも委員長の役目。入学式の翌日と翌々日に渡って僕は、担任であるキー先生に誓約書を書かされ、
“エンマ帳”の一部であるファイルを見せられたのだ。もし、僕が他言し、発覚すれば、僕の学籍番号は消される。退学なら、高校中退とでも書けるけど、中卒扱いにされてしまう。
その中に、退学して行った渡辺クンの病気についても書いてあったし、佐々木クンがなんでダブリーなのかも書いてあった。勿論、僕が父親しか居ないことも書いてあるくらいだから、白○クンが“母子家庭”であることも明記されていたのだ。


「一体どうしたの?」
「あのさぁ~言いにくいんだけど・・・そのぉ~」
「男でしょ!はっきり言いなさい。」
「うん。あのね・・・白○んとこ母子家庭でさ・・とても・・個室とか・・その・・・」
「もしかしてお金の心配しているの?」
「そうなんだ。一応、裏バイトで活動資金として貯めたお金なら、40万はあるけど・・・」
「あのね・・ここどこだと思っているのよ!」
「ボッタクリ病院!それで白○が入っている部屋はボッタクリ部屋・・・」
「怒るよ!」
「怒っているじゃん!」
「なんだかんだ言いながら・・あなた達は・そこまで心配しているのね?」
「うん・・・あいつんとこ・・・母子家庭でしょ・・・キツイと思ってね・・・」
「大丈夫よ!お金なら学校から貰ったからね・・」
「へっ?」
「口止め料だってさ・・全部で100万円」
「ワァ~オ!」
「それで払えばいいじゃない・・どうせあなた達に返すつもりだったんだし・・・」
「俺らも貰ったよ・・・30万円だったけかな・・・」
「とにかく・・・健康保険もあるし・・大丈夫!自己負担ゼロにすればいいんでしょ?ここは私の家の病院だし・・・」
「うん。そうしてくれると・・あっ!そうだった・・総婦長はお母さんだよね。院長はお父さんだし・・」
「そう言う事!その代わり・・」
「その代わり?」
「また!ボランティアよろしくね!全員分の着ぐるみ用意してあるから・・じゃあ行くわよ!」
「うん。」

カオリと僕が病室へ向かうとその途中・・・・

「ぎゃぁぁぁぁ・・」

白○クンの叫び声がした。慌てて様子を見に行くと、青○クンがカミソリを持って近づいた途端、薬が切れて目覚めた白○クンが叫んだのだ

「あ・・青!お前!馬鹿はよせ!」
「だって、部長がやれって言ったんじゃないか!」
「冗談だ!ボケ!大丈夫か?白・・・」
「ああ・・この馬鹿どこかへやってくれ・・イタタタ・・・」
「はい!見世物は終わり・・みんな廊下に出てて頂戴。バイキンだらけなんだから・・」

ナースの制服に着替えた優子がやってきた。

「ひでぇ~言われ方・・シャワー浴びて、全身消毒薬まで浴びたのに・・・」
「まあな・・・みんな!出てようぜ!まあ、青の馬鹿が大事なとこ。切らなくてよかった・・・」
「そうだな!部長!由香ちゃん2号に殺されかねなかった・・」
「そう言う事・・・・」
「ホラ!キミタチ行くわよ!」
「は~い!」
「行くよ!由香ちゃん!廊下で待っていよう!」
「うん・・白○のお兄ちゃん大丈夫?」
「そうさな・・こいつは殺しても死ぬやつじゃないからね・・大丈夫だよ・・行くよ!」

僕たちは廊下に出て、白○クンが運びだされる所を見送ることにした。僕たちの中には、誰も病院で手術を受けた事が無い。入院経験だって、僕が小学校の頃、通学のために乗っていたバスから、降りる際に高校生や中学生のお姉さま方に押されて、頭から道路に落っこちて、強制的に病院に入院させられたことぐらいしかない。
仲間たちに言わせると、パラダイスな生活だと言うけれど、小学生だった僕にとっては、毎日、窒息するくらいだった。何しろランドセルを背負っているだけでも、大変だったのに顔は、お姉さま方のお腹とか胸に強制的に埋められていたんだから・・まあ、今なら大歓迎だけどね。

病室のドアが開かれ、白○クンがストレッチャーに乗って出てきた。どうやら麻酔注射を打たれたらしく、半分意識が遠のきながら、僕たちにVサインをしてみせたから、多分大丈夫なんだろう。

「ついでに・・解剖してもらえ!」
「そうだな・・それより、脳みそ交換してもらえ・・・」

僕たちはワイワイ言いながら、それでも心の中で、さっさと元気になれよ!と言っていた。少なくとも、僕はそうだった。エレベーターには乗り切れないので、階段をダッシュして手術室のある階へ降りると、ちょうどエレベーターが到着して、“もうーちょうがない”いや・・なくなる白○クンが降ろされてきた。
手術室の入り口で、手術室のスタッフに引き継がれた白○クンはドアの向こうに消えていったのだ。

「おい!部長!金の話は・・・」
「ああ!佐々木!OKだよ・・」
「そうか・・良かった!」
「うん。学校側が例の件の口止め料に100万払うんだって・・・それでやってくれるってさ・・・」
「あん?俺ら・・30万じゃなかったけ?」
「確か・・美希・・じゃなかった・・・佐山先生!」
「なあに?」
「俺ら30万で・・ナース軍団には100万って本当ですか?」
「カオリね・・・でも、いいじゃない。30万でも多いって話しあったのよ・・・」
「まあね・・・俺らが仕組んだんだから・・・」
「そうそう・・それね!新調した作業服!いいじゃない。」
「でしょ・・・おい!全員並べ!」

僕たちは順番に一列に並び、背中を見せた。

「し・か・い・か・ん・け・い・ほ・う・し・ぶ・・・何か忘れてない?」
「小さい“や”でしょ?白の分・・」
「なるほどね・・・全員揃って社会関係奉仕部ね・・・」
「そう言う事・・・さて、諸君!」
「あん?」
「暇だよな・・・」
「だから・・なんだよ?」
「ガキ共のところ顔出すか?」
「いいけど・・着ぐるみねえぞ!」
「あるらしいんだ・・・全員分!」
「げっ!まじめなのか・・それ?」
「うん。ボランティアも条件なんだ・・・入院費チャラの・・・」
「じゃあ・・仕方ねえな!一丁やるか・・・」
「おう!」
「みんな・・じゃあ・・・専用待機所へ案内するわね・・・」

カオリと優子に促され僕たちは廊下のベンチから立ち上がった。さっきから、座ったり立ちあがったり結構忙しい。

「美希先生は・・・」
「うん。白○クンのお母さんが、もうすぐお見えになるでしょ・・・由香ちゃんとここで待っているわ」
「了解!社会関係奉仕部。只今より・・奉仕活動に入ります」
「はい。許可します。がんばってらっしゃい!白○クンの分まで・・・」
「はいっ!」
「はい!じゃあ・・みんな付いてきて頂戴!」

僕たちが案内されたのは、地下2階の物置を改装した部屋だった。丁度、真上には、泣く子も黙る“霊安室”がある。

「ここなの・・やだな!何か出そう・・・」
「文句言わないの・・・昔の宿直室だったのよ・・・でも・・」
「でも?」
「聞きたい?続き・・・・」
「い・・・今は聞きたくない気が・・なあ~みんな!」

僕が促すとみんな首を縦に振った。何にしろ・・薄気味が悪い。

「なあ!部長!お前・・神主なんだから・・お祓いしろよ!」
「大麻も持ってきてねえよ!衣装も全部な・・・」
「神泉ならあるわよ・・・」
「ホント?じゃあ・・やってみるか・・略式でいいかな?」
「やだ!正式にやれ!馬鹿!」
「判ったよ・・・お供えとかないけど・・いいか?神様聞いてくれるといいんだけど・・・」
「ちゃんと持ってきたわよ!それにね・・・」

優子が電気を付けると、そこはちゃんと僕がお祓いを出来る様になっていたのだ。

「早く・・着替えて」
「うん。ついでに・・白○の病気平癒も祈願しておこうか?なあ!みんな」

一同に異存はなかった。僕が神泉でとりあえず、形だけ身体を清め、衣装を身につけ、祓詞を奏上し始めた時、ちょうど白○クンの手術が始まったのだ。

「かけまくもかしこき いざなぎのおおかみ。つくしのひむかの たちばなのをどの・・・・かしこみかしこみもうす~」

お祓いを終え、僕たちは全員用意されていた着ぐるみを着こみはじめた。
僕は勿論、ピンクのうさぎさん。佐々木クンはトラ。青○クンはパンダ。犬になった奴やネコ。ありとあらゆる動物が終結したのだ。

「なあ・・様にならねえよ!」
「仕方ねえだろ!佐々木!オオカミの衣装は全部学校にあるんだから・・・」
「まあ・・な!青のパンダよりはマシだな・・・」
「そう言う事・・・準備運動してから・・ガキ共の病室廻るぞ!」
「おう!」

僕たちは着ぐるみの頭をすっぽりと被ると、病院の玄関でストレッチ運動を始めた。そこへ白○クンのお母さんを乗せた一台のタクシーが滑りこんで来たのだ。
何度か白○クンの家に泊めてもらい、ゴハンをご馳走になっている僕は、お母さんを知っている。僕は仲間達に合図を送ると、お母さんを囲み、そのまま手術室の前へ連れて行った・・・
キョトンとしたまま・・僕等に従うお母さん。だって・・荷物も全部取り上げ、僕が“無言”で運び、トラの佐々木クンとワンコになっている。Sが、両脇を抱えて連行したわけだ。

「みんなどうしたの?も・・もしかして・・白○クンのお母様ですか?」
「はい・・このたびはお手数おかけしまして・・・」
「私。顧問の佐山と言います。今・・手術が始まりまして・・そうそう・・あなた達!被りモノを取ってご挨拶しなさい。」
僕は白○クンのお母さんの荷物をベンチに置くと、着ぐるみの頭を取ってご挨拶する。

「おばさん!お久しぶりです・・」
「キミは・・委員長クンで部長なのよね・・」
「はい。その節はご馳走様でした。みんな仲間です。」
「あなた達・・何をしているの?」
「これも・・・社会関係奉仕の一環で、この子たち!子供たちの慰問をしているんです。」
「そうなの・・」
「はい!じゃあ・・一回り廻ってきます」
「頑張るのよ!白○クンの分も・・・」
「はい!」

僕たちはそれぞれ手分けして廻ることにした。何しろ、面会時間があと・・10分しかない。
それぞれが持ち場である病室を廻り、優子達が予め用意してあったお見舞いのメッセージカードをそれぞれに配った。
僕たちは“一仕事”を終えると、病院の裏手にある小高い丘で風に吹かれていた。
汗だくになり、火照った顔に冷たい風が心地よかった。

「なあ・・そろそろ・・手術終るんじゃねえか?」
「そうだな・・この格好で行くか?」
「いや、着替えて行こうぜ!あいつの作業服持ってさ・・・」
「そうだよな・・じゃあ・・行くか!」

僕たちは転がり落ちる様に丘を下り、病院に駆け込んだのだ。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第3話へ・・・続く
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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第3話  [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

風に吹かれて・・・③

僕たちが病室に戻ってもまだ・・白○クンは手術台に縛られていたらしい・・・
何故判ったのか?病室には誰も居なかったからだ。
僕たちは持参した白○クンの新しい作業服をハンガーに引っかけ、カーテンレールに吊るした。
つぃでに、1階にある花屋さんからタダで貰った“でっかい花束”をベッドの枕の上におき、
それぞれが書いたメッセージカードを貼り付け、ついでに枕の下には、お見舞いの品の代わりに、青○クンが肌身離さず持っていた“特選”のウラ本を入れておく。これで、少なくとも白○クンの入院生活は、退屈しないであろう。

「なあ、手術上手く行っているのかな?」
「どうだろ・・医者の腕はいいらしいよ・・・地区長が言ってたけど・・・」

僕はそう答えた瞬間。病室のドアが開き、見知らぬおっさんが入ってきた。いかにもエリートでございます。そんな感じの身なりで、どこかで調達してきたのか、見舞いの果物籠を下げ、あたりをキョロキョロ見ながらはいってきた。

「キ・・・キミタチは一体・・・」
「おっさんこそどこの何者?」
「ここは・・白○忠彦の病室じゃ・・・」
「そうですけど・・・もしかして?白○クンの・・・クソオヤジ・・・」
「失礼な!忠彦の父ですが・・・キミタチは?ここで何をしている?」
「同級生で、友人で、同じ部活仲間で・・・まあ、腐れ縁?」
「まあ・・そんあとこだろうな・・佐々木!はじめまして!一応、部長をしております・・・・」

僕は慇懃無礼な挨拶をした。この身勝手なおっさんのせいで、白○クンのお母さんは苦労しているし、白○クンだって、本当ならしなくていい苦労をしているの。つぃでの、言わせてもらえば僕たちだって白○クンの入院費を心配する必要が無いのだ。

「あのぉ~」
「何だね?」
「帰ってもらえませんか?白○クンだってそういうはずですし、いつも言っているんで、顔を見たら、ぶっ殺したくなるって・・・」
「部長の言うとおりだよ!おっさん!余計あいつの具合が悪くなっちまう!帰れ!」
「そうだ!帰れ!」
「帰れ・・それ!帰れ!」
「じゃあ・・聞くが?入院費は誰が払うのかね?こんな部屋代あいつに払えるわけない。」
「おっさんが心配することねえよ!」
「みんな・・いいから、黙れ!いいですか・・・・」

僕は僕たちがこの病院のボランティアとして働いている見返りに治療費が掛らないこと。そして、白○クンも同じ事を言うだろうと言う事を説明した。

「お願いですから帰ってください。こいつらを止めれるうちに帰ってください。こいつら、まあ、僕もですけど、仲間のためなら命がけでやりますからね・・・止めるんなら・・・おじさんも命賭けてもらいますよ・・・」
「じゃあ・・コレ渡してくれんか?」

白○クンの元と言っていい。お父さんだったおっさんは、果物籠と懐から、銀行の封筒を取り出した。

「だ・か・ら・・受け取るわけ行かないんですよ!あいつに怒られちまうんで・・・」
「しかしだね・・・」
「だったら・・もっと父親らしい事したらどうです?あいつが母子家庭でどれだけ嫌な思いしたか解りますか?」
「しかし・・・」
「今日のところはお引き取りください。もうすぐアイツは・・白○はここへ帰ってきます。本当に悪いと思うのなら帰ってください。あいつが元気な時に、ボコボコにされる各語で逢いにきてください。それが出来ないのなら・・・」
「ど・・どうする気かね・・・」
「僕たちがあいつの代わりに・・・・・」

その時、病室のドアが開き地区長が中に入ってきた。多分、ドアの表で僕たちの話を聞いていたに違いない。
一緒に入ってきたのは、兄さんだった。サッカー部は当面活動自粛になったので、僕たちの様子を見に来たのだろう。
何かいいたげな兄さんを制し、地区長が僕たちに笑いかけながら話し始めた。

「なんじゃ・・騒々しい。廊下の向こうまで聴こえとる。その方はどなたじゃな?神主・・・」
「あっ!はい・・地区長。白○クンのお父さんだと名乗る方です。今、お引き取り頂くところで・・・」
「白○忠彦の父で、白○恵一と申します。いつも愚息がお世話になっているそうで・・・」
「何・・世話等しとらんよ!彼等がみんな村のために働いてくれとるんじゃ・・・」
「こ・・この・・ガ・・・じゃない。子供たちが・・・」
「そうじゃ!痛んだ屋根を直したり、収穫の手伝いその他色々とな・・・特に、彼はこの村の鎮守様の神主じゃ・・・まだ、代行じゃがの・・・村の神事を司っているんじゃ・・何なら村人全員で相手になっても良いがの・・」
「えっ!悪さばかりしていると聞いておりましたが・・・」
「以前はそうじゃったらしいが、今では改心してな!社会関係奉仕部で活躍しているのじゃ・・」
「そうなんですか・・・」
「ああ・・特にこの病院では、入院している子供たちのみならず、大人たちも病気や怪我を忘れさせる働きをしておる。」
「そうなんですか・・・」
「ああ・・だから、お帰りくださらんか?彼等が元の悪に戻る前にの・・・」
「は・・はい・・・しかし・・治療費とか・・・」
「心配いらん。彼等は充分その働きをして、それで治療費は賄えるでの・・・」
「帰れ!さもないと・・・」
「青!よせっ!さっさと帰ってください。僕は陰陽師です。あなたに呪いを掛ける事も出来ます。」
「お・・陰陽師?」
「そうじゃ・・彼は、この地方に伝わる。神の力をコントロールすることが出来る。帰りなされ・・・これが最後の忠告じゃ・・・その果物籠を持ってな・・・」

兄さんがその人の腕を引っ張って、病室をでてゆく。多分、僕たちの我慢の限界を感じたのだろう。
多分、仲間達が手を出さなくても、僕一人でこのおっさんをボロ雑巾みたいにしてしまうのは、簡単なことだ。
刃物を持ったチンピラでさえ、僕一人に急襲され、餌食になったのだ。
兄さんは白○クンのお父さんの身を案じたのではなく、僕のそして仲間達の身を案じたのだ。

「おや・・もう帰ってきたようじゃ・・」

ストレッチャーが転がる音と、由香ちゃん2号の声が聴こえる。少なくとも、白○クンは、霊安室に運ばれることなく僕たちの元へ帰って来たのだ。ドアが開けられ、由香ちゃん2号と共に白○クンが飛び込んで来た。

「なんだ・・無事生還しちゃったぜ・・・」
「誰だよ!霊安室行きかもって言ったの・・・」
「クソ坊主だろ!ご丁寧に戒名まで付けたのにな・・・」
「お・・おまえら・・・」

僕は白○クンの耳元で・・「枕の下バレるなよ・・」と耳うちすると、仲間たちを促して外へでた。病室の床で寝るからという白○クンのお母さんは、由香ちゃん2号に押し切られ、地区長の家に泊まることになった。まあ、多分、将来、嫁姑問題は起きないはずだ。今夜は由香ちゃん2号と一緒にお風呂に入るそうだ。白○クンの様子を見て、2~3日滞在して帰るらしい。
僕は優子と美希と一緒に帰り、ミサは白○クンのお母さんと由香ちゃん2号を送ってゆくことになった。
仲間達は村のマイクロバスで、兄さんが運転して帰ってゆく。兄さんも地区長の家に泊まりこみ、僕等の監視というのか、僕たちにコキ使われるために残った。
地区長は寄り合いに行かねばと軽トラでパタパタとどこかへ飛んでゆき、みんなを見送った僕と優子そして美希は、大分冷たくなった風に吹かれていた。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第4話 へ続く・・・・
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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第4話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
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こっほん!

僕です。皆様・・大変ご無沙汰しておりました。未来の僕大丈夫なんでしょうか?
今日も・・設計図と言うんですか?アレを見て・・う~んと唸って寝ちゃいました。
全く仕方がないやつです。折角、想い出の海に静かに漂っていた僕を、無理やり叩き起こしておきながら、忙しいんだよ!とパタパタ走りまわっていたなと思ったら、睡眠薬を飲んで寝ちゃうんです。
今の僕はお酒を飲んでいますけど、未来の僕は飲んでいません。何でも、飲み過ぎで身体を壊したとか・・
僕が言うのもへんな話ですけど、“自業自得”になるんでしょうね・・・
頭に来たので、仲間達と夢の中で暴れてやりました。登山道を走りまわり、つぃでに遠泳まで・・ウンウン魘されておりましたので、相当ダメージは受けているはずです。
さて、お話は僕が住んでいる。鎮守の森。別名、魔女たちの巣窟。この小さな森が一応、僕の縄張りです。
忘れられちゃっているかもしれないので、何故、都会の片隅で大暴れしていた僕がこの森に住む様になったことをもう一度お話ししたいと思います。
あれは・・・僕がまだ写真部の幽霊部員だった頃ののお話し。僕は何故か?まあ、素行が悪かったから、希望する学校へ入れてもらえなかったんだと思いますが、それでも某私立学園高等部普通科に入学することができたんです。まあ、一応、進学校と言われてますが、僕たちに言わせれば、“チンピラ養成学校”。男子校です。
僕たちは伝統あるエロ写真をせっせと焼き増ししては、同級生たちに3枚千円とかでノーカットを売っておりました。まあ、ご来場の皆様には、ハハン!アレか?と判っていただけると思います。さて・・僕が売り付けた中に大岩クンというこの“騒動劇”を起こした張本人がいるわけですが、折角セッティングした・・ホステス養成学校の女子をコンパの席で押し倒した(一応・・未遂でおわりましたけどね・・)ことから、お話しは始まりました。
“停学”なんざ特別のお休みと考えている僕たち。まあ、出席日数だけ注意していれば事が済みます。
宿敵であった学年主任。今ではひょんな事で、僕のお兄さんになり、保護者代行になってますけど、その学年主任と担任の話で、待望の夏休み直前の試験休み初日に、学校へ呼び出され、翌日には学年主任の実家がある鎮守の森での“矯正”に送り出されたわけです。
本当は僕たち。新島とか海に行って、ナンパ三昧を送るはずだったんですが、大岩クンの“せい”でこんな事になったわけです。この鎮守の森に送り込まれた僕たち。散々な目に遭いました。何しろ、鎮守の森の主は、今では僕の奥さんになってますが、“泣く子も黙るT女の元スケ番”ついでに・・そこへ終結する元スケ番のお姉さまたち。そりゃあ~僕たちも本気で殴りかかれば制圧できたかもしれませんが、僕たちは女子を殴る拳も、蹴る足も持っていません。そして・・僕はそのリーダー挌である巫女の優子と恋に落ちちゃったから、大騒動です。
犬も歩けば棒に当たる。僕たちは日本オオカミの末裔ですから・・イヌみたいなもの・・・
僕たちの運命はガラリと変わりました。退学予定筆頭者だった僕たち悪たれ連。それが、いつの間にか学校の名誉のために働く“社会関係奉仕部”にされちゃったわけですから、一応、兄さんこと学年主任と担任の“矯正”という目論みは当たったみたいです。巫女とその・・・何がどうして・・こうなったわけになったので、僕は、巫女である優子の叔父さんに“にわか仕込み”を受けて、魔女の巣窟じゃなかった・・鎮守の森の小さな神社の神主代行になったんです。まあ、村の人々は、優子の叔父さんのお祓いより、僕のお祓いのほうが、効き目があると言って下さって、皆さん僕を神主と呼んでいます。学校では委員長に部長。そして・・神主。
そうそう・・小さい頃から習っていたピアノのお陰で、エセピアニストもやってます。
おや?そろそろ・・開演のお時間の様ですね・・・長話しちゃって・・すみません。
それでは、僕たちが一番輝いていた・・・昭和50年代へ皆様をご案内させていただきましょう・・・・
時間旅行のいいところは、好きなタイミングで止められること・・
皆様・・それでは、ご一緒に・・タ~イム・・スリップ・・・・・・


-少年よ!大志を抱け ①-

「なあ!どうするよ・・部長!」
「何がだ?青・・・」
「何がじゃねえよ・・クリスマスパーティー!予定が狂っちゃったじゃねえかよ・・・」
「あっ!言うの忘れてた・・由香ちゃん1号も来るからな!」
「げっ!誰だ?呼んだ馬鹿・・・・」

僕たちは社務所の集会室で車座になって、今後の善後策を協議していた。何しろ、予定外に白○クンが入院しちゃった(ただの盲腸だけど・・)わけで、白○クン抜きでもパーティーをやるべきか話し合っていたのだ。
そこへ・・・運が悪くと言うのか?優子とミサが夜食のサンドイッチとコーヒーをもって入って来た。

「あら・・私じゃないわよ!」 優子はどうやらドアの向こうで聴いていたらしかった。
「私でーす。由香ちゃんから電話があったから・・・」

そう答えたのはミサだった。感の鋭い由香ちゃん1号が、束の間の自由を満喫しようとした青○クンの動きを察知と言うか、そもそもとっくに試験休みでそのまま冬休みに突入しようとしているのに、クリスマスの当日まで、信州へ行かない青○クンの動きは完全に読まれていたのだ。

「青!諦めろ・・・わざわざ・・婚約者である由香ちゃんが出てくるんだぞ!どこかでデートしてろ!」
「それがねえ~あなた!また・・うちに遊びに来るって・・・」
「あっそ!部屋は・・・」
「あたしの部屋を貸すことにしたわ!青○クン!ついでに・・由香ちゃんのお父様から電話があって・・・」
「何だと言ってました?」
「手を出したら、春には熊のエサにしてやるって!うふっ[揺れるハート]
「あ・・あ!青!お前・・つくづくツキに見放されているわ・・・新品のなんだっけ?佐々木・・・」
「エリちゃん!」
「そうだった・・エリちゃんで我慢しておけ・・・そうだ!アッコちゃんは?」
「救出してきたさ・・・」
「なるほど・・・じゃあ・・・2体で我慢しておけ!それか、熊ノエサ覚悟するかどっちかだぞ・・なあ!」
「うんうん・・・いざとなったら口裏合わせてやるよ!」
「そうそう・・・青と由香ちゃん1号は・・・二人きりで楽しんで来ればいいじゃん・・・」
「チクらないか?」
「安心しろ!青!バラすときはお前と由香ちゃん1号の結婚式でバラすから・・・」

まあ、僕は関係が無い。相手には不自由はしない。いや、むしろ・・魔女の巣窟に居るわけだから、僕は夜な夜なと言うべきか、昼間だろうと・・“生き血”を吸い上げられている。

「それじゃあ・・ええと・・・青は由香ちゃん1号の相手をすること・・・」
「異議なし!」
「白○はどうせ・・接着剤だから退院は早いと思うし、由香ちゃん2号とラブラブだし・・・」
「まあな・・・どこまであいつが理性保てるか?そこにかかっているけど・・・」
「そうだ!部長!パーティー会場は?白○の入院費払ったら・・金足らないんじゃ・・・」
「心配するな・・スナック楓・・・・岡崎っ!お前が肉体労働で払うことになったから・・・」
「はぁ?何だそれ・・・・」

社会関係奉仕部の面々が夕食を終え、鎮守の森に集結する間。僕は楓に優子と美希と共に出かけていっていたのだ。パーティーの費用の支払いがあるわけで、最初は僕との要求だったのだけど、優子と美希の猛反対で岡崎クンを始め数名が生贄に差し出されることになったわけだ。

「岡崎!いいか?俺ら何部だ?」
「社会関係奉仕部だけど・・・」
「だろ?奉仕部ってついているよな・・・困っている人を助けるのが、俺らの仕事じゃん!」
「そうだけど・・・」
「それにな!期限付きレンタルだから・・1週間でいいんだよ・・・」

残りのメンバーは腹を抱えて笑っている。可哀そうに何も知らない奴が笑っているのだ。

「お前等!笑っている場合じゃないぞ!佐伯!Y!赤沼!お前らもだ・・・」
「へっ?」
「4人で一人の女を相手にするのか?よっぽど・・・」
「なあ!Y。勘違いしている様だから言っておくけど、肉体労働するのは“昼間”だぞ・・・」
「だから・・昼間エッチラホッチラ交代で頑張るんだろ?」
「ったく・・・交代じゃねえよ!お前等全員でやるんだ!ボケ!」
「はぁ?そんなに・・好き物なの?」
「頭痛ぇ~・・・そっちを頑張るんじゃねえよ!判らないけど・・・とりあえず・・楓のママの実家。」
「実家でやるのか?」
「馬鹿!やるには違いないけど・・・新居への引っ越し!100メートルくらいをお前等が荷物運ぶの・・・」
「なんだ・・喰われちゃうのかと・・・」

真相を話せば、1週間。24時間x7日間だから168時間の僕を“完全レンタル”を要求されたのだったが、これ以上身体が持たないので、イキのいい4名をその代わりに・・新居の引っ越しの手伝いに出すことで、同意してもらっているわけだ。

「さて・・諸君!問題はだ・・・もうひとつある。」
「何が?」
「馬鹿!白○の母ちゃんだよ・・・」
「ああ・・それなら・・休み3日しかないんだってさ・・明後日帰るらしい。」
「そうか・・・まあ、白○は由香ちゃん2号に預けておいて・・・」
「うん。そうだな・・・未来の嫁さんだっけ?部長!」
「一応・・・結婚式の予約入っているけど・・・」
「だろ?終業式は・・サボれるのか?」
「駄目だってさ・・また、俺ら何か表彰されるらしい・・・」

本当は“部活動”の名目で、そのまま逃げ切るつもりだったのだけれど、兄さんが校長先生からの伝言を伝えに来たのだ。まあ、校長先生も“目の上のタンコブ”を失脚させることが出来そうだと言うことで、気を良くしたらしいのだ。終業式に僕たちは“壇上のオオカミ”となり、2学期の各種届いている感謝状。(中には個人宛にも贈ってくださっているらしい・・・)やら、賞状を沢山貰わねばならないらしい。ついでに、僕は学年トップと部活動評価で最優秀生徒賞なるものを受け取るらしいのだ。

「あ・・あ・・・逃げ切れねえのか?」
「まあな!クリスマスパーティー後は、自主解散。イブに学校に再集合な!じゃあ・・解散するか」

僕は車座になっているみんなを促し、みんあはそれぞれ手に懐中電灯を持ち、地区長の家へ帰って行った。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第5話へ・・・続く。
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僕たちのクリスマスパーティー大作戦!第5話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
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高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

こっほん!

皆様・・お久しぶり!僕です。酷い奴ですね・・未来の僕。自分で言うのもなんですが、成長の兆しが見えないと言うのか、退化しているとでも言うのか・・・僕が記憶と言う深い海の底にある貝の様に寝ていたんですけど、
無理やり叩き起しておいて・・「しばらく書く気しないんだ・・ゴメン!」そう言ったまま黙っちゃいましたけど・・・
何かあったのでしょうか?まあ、大体の想像はつきますけどね・・・何せ、未来の僕の姿ですから・・・
でも、こんなに髪の毛が少なくなると・・あの時、忠告を聞いておけばよかったかな?と思いますが、それは未来の僕が考えればいいことですので、放っておくことにしまして・・・駄目ですよ!未来の僕すぐ図に乗りますからね・・それでなくても、「ネタがねえんだよ!頼むよ!」と僕を引き摺りだした張本人。
何やら・・ブツブツ言いながら、鞄一杯の訳のわからない計算書と図面と言うんですか?変な記号や様々な形のマーク。それに・・線もこう見ると一杯あるんですね・・・そんなもんを見ながら・・・ソファーで寝ちゃいましたので、
その間僕が勝手にお話しを進めちゃいましょう・・・
それでは、皆さん!時間旅行のお時間が来た様でございます。準備は宜しいでしょうか?
僕たちが一番輝いていた昭和50年代へ・・・タ~イム・・スリップ・・・・・

-少年よ大志を抱け②-

鎮守の森は魔女の巣窟に違いない。僕はそう思うときがある。
何しろ、この森に棲むことを許されているオスは、エセ神主である僕(正式には、神主代行なんだけど、村の人々に駐在さんまで、僕を神主と呼ぶ。自慢ではないけど、大神主である僕の奥さんの優子の叔父さんより、ご祈願の効き目はいいらしい・・・)と、鶏の委員長ぐらいである。庭にある池の鯉たちは黒いのが一匹。これは委員長で、後は目立つのから、優子・ミサ・カオリ・奈々子・洋子・美希・紗江子・ミミと名付けているのが、神泉を流し込まれた池で優雅に泳いでいる。
そう言えば・・僕たちがこの森へ初めて来た時、僕たちは全員池に放り込まれたことがある。
少々寝不足の眼をこすりながら、僕は朝の日課の境内の掃除を始めた。

「神主!精が出るのう・・お早うさん!」

振り返ってみると、村の放送局とあだ名を持ち、怪しげな漢方薬を煎じる。関戸のおばちゃんが立っていた。
僕はちょっと・・・背中に冷たいものが流れるのを感じた。何しろ、関戸のおばちゃんの薬の効き目は凄まじく
寝不足になっているのも、おばちゃんの薬と神泉が生み出す・・不思議な力が僕に作用するからだ・

「あっ!お早うございます。関戸の・・おば・・痛ぇ~・・・また、舌を噛んじゃった・・・」
「よいよい・・どうせ、くそばばじゃからの・・・」
「そ・・そんなことは・・・それより、どうなされたんです?」
「まだかの?」
「何がです?」
「この・・馬鹿モン!赤ん坊じゃ!」
「さあ・・・どうなんでしょ?僕が妊娠するわけではありませんし・・・」
「あたりまえじゃ!ちゃんと・・頑張ってるのか?」
「はぁ・・・・朝っぱらから何を言われるんですか・・・優子なら社務所に居ますから・・・」
「そうかの・・じゃあ・・・ちょっくら・・寄らせてもらうか・・・」

冗談じゃない!僕は腹の中で呟いた。この関戸のおばば。僕を人体実験にしているんじゃないんだろうか?
ちゃんと・・用量・用法は言いつけどおり、守って飲んでいるにも関わらず、僕の腰は今にも崩れそうなくらい・・・
夜のお務めをちゃんとどころか、フル活動するぐらい頑張ったんだから・・・・

「お~い!部長ぉ~」

岡崎と赤沼。それにYと佐伯がやってきた。今日から彼等は、泊まりこみでスナック楓のママさんであり、優子の知人の実家のお引っ越しとか様々な雑用をこなすため、村からちょっと離れた所へ行く。

「おお!おはよう!お前等・・もう出発?」
「らしいな・・・車で迎えに来てくれたから・・・」 代表して佐伯が僕に答えた。
「そんでさ・・学年主任じゃなかった・・お前の兄さんで顧問が、美希センセーに挨拶して来いって・・・」
「あっそ!まだ寝てるんじゃない?昨夜・・盛り上がってたからなぁ~」

僕は手にした竹箒で母屋を指しながら答えた。

「そうか・・じゃあ・・行って来るって伝えておいてくれ!」
「了解!そうだ・・・お前等・・・ここだけの話なんだけど・・・耳貸せ!耳っ!」

スナック楓のママは5人姉妹の長女。まあ、女系家族と言うやつで一番下の妹が僕たちと同じ年齢。
4番目が高3.3番目が20歳。2番目が21歳なのを教えた。

「いい・・クリスマスプレゼントだろ?いいところ・・見せてこい!」
「悪いねえ~いつも・・いつも・・・」
「良いってことよ・・・但し!がっつくなよ!・・・・」
「了解!行ってきま~す。」
「おう!くれぐれも・・粗相が無い様にな!」

スキップしばがら帰ってゆく・・・哀れな生贄の背中に僕は祈らざるを得なかった。

「神様!どうか・・迷える子羊を・・じゃなかった。オオカミクンたちを導きたまえ・・・・」
「こらぁ[揺れるハート]~ここは神社でしょ!まったく・・・」
「あっ!ミサ・・おはよう。」
「うん。お早う。ごはん出来たけど・・・言っちゃったの[揺れるハート]?」
「ううん・・・言わなかった。言える訳ないでしょ・・・全員、玉潰しの常習者だって・・・」
「大丈夫かしら[揺れるハート]
「さあ・・・神の御心に縋るしかあるまい・・・あいつら、クリスチャンだもん!確か・・・」

僕とミサは並んで・・十字を切った。後は彼等次第である。世の中そんなに甘くない。

「ボーイズ・ビー・アンビシャスか・・・やつら・・生きてパーティーに帰って来れるかな・・・あはは!」
「ねえ[揺れるハート]
「うん?」
「デートな約束忘れてないわよね[揺れるハート]?」
「勿論・・・いつがいいかな・・・どこがいい?ホテル予約しなきゃ・・・」
「馬鹿ぁ[揺れるハート]
「馬鹿で悪うございました・・・今日、お祓いあるんだっけ?」
「うん・・・悪いんだけど・・・そうだ!今日、実家に行ってくるわね[揺れるハート]
「誕生日だったよね?お母さんの・・・プレゼント用意してあるよ!ついでに弟たちの分も・・・」
「ありがとう。みんな喜ぶわ[揺れるハート]!」
「うん・・渡しておいてくれる?そういえば・・美希と紗江子も実家に顔出しに行くんだっけ?」
「ええ!そうよ[揺れるハート]
「カオリは・・準夜勤でしょ?洋子と奈々子は日勤・・・優子もお仕事だし・・・そうなると・・ミミだけか・・」
「うん。ミミに任せておいたから・・お昼ごはんとか・・」
「解った!ところで・・朝ごはん何?」
「さあ・・なんでしょう?ミミが作っていたから・・知らないわ[揺れるハート]
「じゃあ・・社務所覗いてくるか・・まだ・・おばば居るんでしょ?」
「まだね[揺れるハート]!」

集めた落ち葉を袋に押し込むと僕はひとつため息をついた・・・
関戸のおばちゃんは、また何やら怪しげな袋をぶら下げていたからだ・・・・

「あいつらの心配より、こっちの身のほうが心配だな・・・」
「何か言った[揺れるハート]?」
「ううん。ひとりごと・・先に行ってて・・・こいつを仕舞ってくるからね・・・」
「解ったわ[揺れるハート]・・・早く来ないと・・・」
「無くなっちゃうでしょ・・・生存競争激しいもんな・・・・」

僕は掃除用具を仕舞い、落ち葉の入った袋を抱え、ミミズのいる肥料小屋へ走りだした。
真っ黒な・・目玉焼きとミミスペシャルの訳のわからない飲み物だけは、口にするまいと心に決めて・・・・


僕たちのクリスマスパーティー大作戦!第6話へ・・・つづく・・・

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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第6話に入るまえに・・・ [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

-連載再開のご挨拶-

空飛ぶ食欲魔人ことオストドでございます。
本日より、いよいよ・・・中年になったオストドの昔話が再開することになりました。
何故、オストドが他人のために祈るのか?他愛もない昔話でございますが、一介のありふれた(やや・・いや、大分でございますが、枠からはみ出た)高校生のお話しでございます。
無理やり、記憶、そして忘却の彼方、楽しかった事。計り知れないこころの傷、深い悲しみ。そんな深い海の奥底に眠る。名もない貝。厳重に封印してしまったはずだった・・昔の想い出の数々・・・
まるで、タイムカプセルだったかの様に、開いちゃった(多少・・無理やり開けた感もありますが・・)
少々、多忙だったために、この際、また封印しちゃおうか?とも思いましたが、夜な夜なオストドの頭の中で暴れだす。若き日の自分と仲間達。
多分、この連載が完結するころには、オストドが何故、人のために祈るのか?何故、それが自らが課した贖罪なのか?お解りいただけるかと思います。
多分、完結までお付き合いいただくと、「なんだ!あんにゃろぉ~当然の贖罪だ!」と思われるかもしれません。
ジャンル分けについても悩みましたが、このまま・・馬鹿は馬鹿だったと・・笑い飛ばしていただくために、敢えてお笑いのジャンルとさせていただきます。
不定期連載になる可能性も充分ございますが、これからもひとつ・・・宜しくお願い致します。
それでは・・・高校生時代の自分にバトンタッチさせていただきます。

こっほん・・

僕です。お忘れになっちゃいました?でしょう!まったく・・未来の僕は、自分で言うのも変ですけど、とんでもねえヤロウです。僕が撒いたタネとはいえ、皆様に御心配やら、御迷惑をおかけしているのではないのかと・・・
じゃあ・・ここで、もう一度。簡単に自己紹介と登場人物のご紹介。って・・・・まずは・・・僕からですね。

僕は、都内にある某私立学園の1年生です。多分、頭はそんなに悪くなかったはずです。小学生まではね!
何しろ、“御三家”と言われる有名中学の合格者ですからね!凄いでしょ?
僕がグレたと言うより、少々脱線生活を送りだしたのは、中学生からが本格的ですね。
補導歴は・・今のところ、ひとケタは維持してます。一番最初は・・小学校の高学年でした。生きているのが嫌になっちゃって、始業式をサボって“東京駅”をウロウロしていたら・・綺麗なお姉さまに声をかけられたのが、最初ですね・・・連れて行かれたのが、“家出少年少女保護所”でしたから・・・
大体、大人って身勝手な生き物ですよね。子供の事を考えないんだから、僕は生まれる前から、捨てられる運命だったらしいんです。引き取られた先が、産みの母親の姉夫婦のところ。今考えると酷い母親でしたね。
まあ・・それはおいおい説明させていただきますね。そうすれば・・なるほどね!と頷いていただけるかもしれませんし・・・。さて、御三家の中学に合格したんですけど、僕はその学校へ行きませんでした。まあ、育ての父親に小学校時代5年も担任だった先生が、「あいつのいいところが潰されちゃいます」と言ってくれたそうです。
今となっては感謝してますねえ~。その受かった学校も・・そして、僕も・・・絶対、学校始まって以来の不祥事を起こしていたはずですから・・・
ええと・・中学時代は一匹オオカミと言えばいいんですけど・・どっちかと言うと“はぐれオオカミ”でした。
連日、騒ぎおこしてましたからねえ~そんなわけで、僕の内申点は酷いもの。
そんな僕が“運よく”と言えばいいんでしょうね。進学したのが、一応、進学校と呼ばれている学園。
まあ、僕たちに言わせれば、チンピラ養成学校と呼んでいます。チンピラの世界に進むには、100%の進学率?です。僕たちが入学する前は、偏差値で言うと・・50前後で入れましたが、僕たちの学年の平均偏差値は、65だったそうです。有名進学校の入試を失敗した奴。(病気はしょうがないとしても、寝坊はねえ~)
とか、運悪く通う羽目になった奴。(僕。共学が良かったなぁ~)中学から持ち上がりで上がってきた馬鹿。
(定期テストに抜き打ちテストではいつもほぼ全員最下位を争っています)
そんな学園生活でして、取りあえず、僕はクラスの委員長をしています。入学式当日。
「おめえら!誰か立候補するまで、家に帰さねえからな!」と担任である。キー先生の一言。
僕。予定があったんで・・つい。「やります!」と言っちゃいました。
じゃあ・・ここで、担任のキー先生についてお話しましょう。
鬼太郎御存じですか?あれの目付きにソックリで、それにキーキー言うもんだから、キー先生。
僕たちの尻拭い係りみたいなもんです。先生曰く、「腐ったリンゴと腐りかけのリンゴ」それが、僕たちのクラス全員です。問題児ばかり集められたんでしょうねきっと。でも、先生には感謝もしてもらわなくちゃいけません。
僕たちが、試験休みに起こした“騒動”もそうですが、それまでも・・せっせと・・ホステス養成学校の生徒を口説いちゃそのたびに・・・謝りに行って・・・今では、あちらの担当の女先生と恋人になれたんですからねえ~
そうそう・・忘れちゃいけないのが、学年主任。ひょんな事から今では僕の義理の兄になっちゃて、すっかり、僕たちの群れのリーダーと言いますか、雑用係兼折衝係みたいなものをやってますけど、最初は僕たちの宿敵的な存在でした。特に僕なんか入学式(出席させてもらえませんでしたけど)早々、生活指導室の常連で、毎日授業を受けているより、タバコの煙が蔓延している狭い檻で、お説教を喰らってました。
ええと・・今日まで、停学処分が・・3日と1週間の2回喰らいました。でも、本当はいい先生なんですよ。僕たちには、「退学にするぞ!このやろう!」なんて言ってたくせに、職員会議とかでは、一生懸命僕たちの援護射撃をしてくれて、まあ・・チンピラになるのも一興かと思っておりましたけど。
そうだ!ひょんな事と言いましたよね!あれは・・・そう夏休み目前の事だったんです。

ひょんな事。そう・・鎮守の森に僕たちが送り込まれた事件?あれが僕の人生そのものを狂わせたのか?
それともそうなる運命だったのか?定かではありません。
巫女であった優子と結ばれて、僕は大きく生まれ変わりました。そして・・仲間たちも。
まあ、話せば長くなるので、ここで終わりますけど・・・最後に・・・皆様にお願いがございます。
これからも、僕は皆様をタイムトラベルの旅へ御案内させていただきますが、その際、凶器の持ち込み、乱入は御遠慮いただいております。
それでは、皆様。僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第6話でまた・・お会いしましょう!
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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第6話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
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こっほん!

僕です。やっと・・再開なんだそうで・・・未来の僕が言うのには、「お前の尻拭いいつまでさせんじゃぁ~」ですって・・・おかしいですよね?だから、僕言ってやりました。「自分で歩いてきた道だろうがぁ~おっさん!」って・・
そうしたら、未来の僕。急に大人しくなっちゃって・・・おかしいなぁ?と思ってたら・・寝ちゃいました。
まあ、未来の僕が寝ていようと構いません。皆様をこれから、僕たちが一番輝いていた時代へ御案内しているうちに、起き出して・・また、ヘンテコな記号や図形をパソコンで描くんでしょうねえ~
そうそう・・僕もやりましたよ・・パソコンに譜面データーを打ち込んで、そうすると・・シンセサイザーが自動演奏するんです。ボッタクリの楽器屋の店長に言われてやりましたよ。でも、今は簡単なんですね。ビックリです。
おや?いよいよ・・・開演の準備が整った様です。先ほど御注意してありますけど、武器の持ち込み、乱入、ついでに・・現代のものを持ちこまないでくださいね。
それでは・・皆様!準備はよろしいでしょうか?じゃあ・・・御一緒に昭和50年代。僕たちが輝いていた時代へ、
タ~イムスリップ・・・・

-少年よ!大志を抱け ③-

いい畑には、いい肥料。ついでに、ミミズを養殖している。ここに鶏の委員長初め、優子やミサ、カオリ、奈々子、洋子、美希に紗江子、ミミ。ついでに・・いつの間にか増えたメスたち。それらの糞を集め、落ち葉と一緒にミミズのエサにしている。このミミズは畑の土に帰るのもいるし、鶏たちのエサにもなる。
僕は集めてきた落ち葉をこの養殖桶に落としながら考えた。

「あいつら・・見境なく押し倒さねえだろうな?・・まあ、いいか・・八つ裂きにされるのがオチだろうけど・・・」

正確に言えば、僕は岡崎、赤沼、Y、佐伯の4人を“パーティー代”の見返り、まあ、生贄としてスナック楓のママに売り飛ばしたのだ。後は僕がこの鎮守の森に居る間は、楓ママの店でアルバイトをすることになっている。
それで、クリスマスパーティーの費用を全部賄うのだ。
白○は入院中だし、佐々木班長をはじめとする土木班は、痛んだ農道と言うかあぜ道の修理に、引っ張って行かれている。

「さてと・・朝ごはん喰いに行って・・・お祓いの準備するか・・・あっ!関戸のオババまだいるかな?」

手にしたバケツに入れたミミズをそれぞれ・・たっぷりと敷いておいた藁の寝床にいる鶏たちに配ってやり、
エサ入れには、タップリの穀物を入れ、飲み水を代えてやる。小屋への梯子段を外し、小屋のある高床へ上がる入り口を塞ぐ。厳重に張りめぐらしたネット。考えられるだけの蛇除けに、ネズミ返し。会心の設計で建てたもの。春にはヒヨコが増えるかもしれない。

「あっ!そうだ・・大根と白菜がいるんだったけ・・・」

僕は畑に立ち寄り、白菜を2つ。大根を2本貯蔵用の穴から取り出して、蓋を閉めた。

「これでよし・・・」

両腕に白菜二つ、大根2本をぶら下げて、母屋へ戻った。僕と優子の寝室にしているのは、渡り廊下で結ばれている別棟。母屋には1階にミサの部屋、洋子の部屋、奈々子の部屋があり、その他に客間が一つに台所と居間とちょっと大きめのなんとか詰め込めば10人は入れるお風呂とユニットバスがひとつ。二階は、カオリの部屋と兄さんが使っていた部屋がミミの部屋になり、あとは優子の部屋がある。
僕がここに居ないときには、優子は自分の部屋を使う。
こじんまりした作りに思える社務所の奥は結構広い。集会場には、紗江子のお店から運んで来られたピアノがあるし、ちょっとしたカラクリ仕掛けの建物になっている。
母屋の勝手口に廻り、大根と白菜をおく。あとで、井戸からくみ上げた神泉で洗ってから、持ち込む。

「ミミ・・まだいるの?関戸の・・・」
「ええ・・お待ちかね!」
「あちゃぁ~」

僕は覚悟を決めて、社務所へ廻った。窓からこっそり覗くと、応接のテーブルの上には、怪しげな得たいの知れないモノが所狭しと並べられ、観念した優子が一生懸命メモを取っていた。

「お・・お待たせしました。」
「やれやれ・・いつまで待たせるのかと・・・」
「すみません。で・・・なんです・・それ?」

僕の目に映るのは、絶対に口には入れないと、瞬時に心に誓ったほどだ。

「これはのう・・・」
「ま・まさか・・煎じて飲めとか喰えって言わないですよね?」
「当たり前じゃ!これは・・我が家秘伝の薬草での・・入浴時に使うのじゃ・・・」
「だ・・誰がですか?」

僕は身構えた。とてもじゃないけど・・・そんあもんが浮かんだ風呂には入りたくない。
いっその事、庭の池か裏を流れる小川に浸かった方がマシである。

「お主ではない!お主のはこれじゃ・・・」
「前のまだ・・残ってますけど・・・」
「これはのう・・・ここぞと言う時に飲むんじゃ!」
「ここぞ?」

優子は真っ赤な顔をしていた。どうやらこの薬の効き目について聴かされていたらしい。

「あ・・あなた!私そろそろ行かないと・・・」
「あっ!そうか・・」
「おばちゃん!ありがとうございます。私・・・病院へ行かないと・・・」
「おお!もうこんな時間になったか・・わしも戻らねば・・・いいか!ここぞじゃぞ!ここぞ・・・コレ貰って行く!」

そう言うなり、関戸のオババ。僕が例の薬。そう・・鬼クマを追いだす際に調合してもらった薬のお礼にと買ってきた。羊羹が入った紙袋を下げて帰って行った。

「ふう・・帰ったか・・・ところで、ここぞって何?」
「し・・知らない!朝っぱらから聴かないでよ・・・」
「何で?気になるじゃん!」
「馬鹿っ!今夜覚悟しておいてね!あたし明日休みだからね・・うふっ[揺れるハート]
「えっ!・・ああ!そう言う事・・・それで・・コレらは?」
「女性用!だから・・心配いらないわ!じゃあ・・行ってきます。後で病院へ来てね!」
「えっ?」
「えじゃないでしょう・・今日はピンクのうさぎさんのコンサートでしょ!」

僕は記憶の紐を手繰り始めた。そうだった。確かに僕の記憶の中には、それがインプットされており、ちゃんとお子ちゃま向けの譜面も用意して来てある。

「そうでした。でも・・・どうやって行くの?」
「ミミの車でね・・・ウフッ[揺れるハート]

それしか方法は無い。いや、正確にはある。1時間に一本のバスを待って乗りついで行くか、タクシーを呼ぶという事も出来る。運が良ければ、村の人に駅まで乗せて行ってもらえるかもしれないし、もっと運が良ければ、病院まで直行してもらえるかもしれない。
優子の車まで見送り出ると、ミミまで出てくる。どうやら、全員もう出かけたみたいで、残りはミミの車と優子の車が停まっているだけ・・・

「じゃあ・・3時ね!ミミお願ね!」
「はい・・行ってらっしゃい!」
「じゃあ・・あとで・・・」

優子が車を発進させ、クラクションをひとつ残して、出かけて行った。車が見えなくなり、僕とミミは母屋へ戻てゆく。

「ねえ!ミミ!朝ごはん」
「用意出来てるけど・・・」
「まさか・・また、焦がしてないよね!」
「えへへ・・大丈夫。新しいフライパン買ったもん。」

テーブルには、ベーコンエッグにシャキシャキのサラダ。焚きたてのご飯とお味噌汁が用意されていた。
でも・・ひとつだけ、言わせて貰うと・・・・

「ねえ!ミミ!・・コレ何?ドロドロの・・・液体。」

僕の指はミミがミキサーから注いだ・・・何とも言えない色。強いて言えばペパーミント色に近いと言えば近い物体を指さした。

「失礼ねえ~ミミスペシャルバージョン。初お披露目の健康ジュースよ!」
「飲んで・・死なない?」
「たぶんね!皆さん召しあがったけど・・大丈夫みたいよ」
「あっそう・・・」

僕は恐る恐る口を付けて、一口、また一口と視線はテーブルの反対側に座り、身を乗り出してくる胸元から見えるミミの胸に釘付けになりながら・・・グラスの中身を飲み干した。

「どう?[揺れるハート]
「美味しい・・・・と言っていいのか、なんかザラザラ感が・・」
「おかしいわねえ~もう一杯飲んで![揺れるハート]
「いいけど・・・そうだ!今日のお祓いって・・・何?」
「えへへ・・あたしの・・・」
「ミミの?何をお願いするの?一応さ、効果があがっているのは・・・・」

僕のお祓いが今取りあえず効果が上がっているのは、病気平癒と交通安全、子宝祈願に安産祈願等である。

「あのね!子宝祈願がいいかな?」
「えっ!そりゃあ・・・いいけど・・・相手は」

ミミは黙って僕を指さした。

「ご・・御冗談でしょ?」
「うん!冗談!・・・ええとぉ~諸願成就お願いできるかな?」
「いいよ・・・でも・・ミミからはお金取れないや・・・」
「ちゃんと払うよ!」
「いいよ!優子とかミサもそう言ってなかった?」
「うん・・言ってたけど・・・」
「でしょ!いいよ!美味しい朝食とかのお礼でさ・・・」
「じゃあ・・もっと美味しくしちゃおうかな?横に行ってもいい?」
「いいけど・・・」

僕はこの時、この後どうなるかその事を知らなかった。
少々風が出てきたみたいだ。鎮守の森の木々たちがおしゃべりを楽しんでいるかのように、風に震えていた。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第7話へ・・・続く。














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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第7話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
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-少年よ!大志を抱け ④-

「うっ・・ミミ・・やっぱりコレおかしくない?」

僕は隣に移ってきたミミが差し出したグラスを持ち、横目はすっかりミミの胸元から覗く、桃・・いや
これはパパイヤかマンゴーかと言ったミミの胸に視線は、つい釘付けになる。
この鎮守の森に棲む魔女たち。正確にはMIKO’s。おまけに彼女らの先輩である。リリーズの二人を足しても、
おっぱいの大きさはダントツ。しかもV字ネックなんか着られたものなら、視線はついそっちへ行ってしまうのは、
ヤリタイ盛りなんだから仕方がない。

「そぉ?おかしいなぁ~どれどれ・・・」

ミミは僕のグラスに口を付け、一口、口に含み、そのまま僕の首に手をかけ、僕に口移しで飲ませた。

「どぉ?美味しくなった?」
「な・・なったけど・・・コレ!本当に飲んだ?みんな?」
「ええとぉ~正確に言うと・・お姉さん方が飲んだのは・・そうだ!リリーズのお二人が全部飲んじゃったんでぇ~作りなおしたんだけど・・・アレ・・・あっ![揺れるハート]

その時、丁度いいタイミングと言うか、社務所の電話が鳴りだした。

「あっ・・電話!ちょっと出てくるわね!」

そう言い残して席を立って行く、ミミ。僕は手持無沙汰なのと空腹に耐えかね、猛然とあさごはんを口に、次から次へと押し込みながら・・考えた。あっ!ってのが・・気になる。何せ、台所には、得体のしれないモノが多く存在している。”僕用”と書かれたタッパーが数種類。中にはどう考えても人体実験か?と思いたくもなる“訳のわからない漢方の素材がゴロゴロしているし、調味料棚の横には、二匹のマムシが入っているお酒の瓶に、楊ママがどこで手に入れたのか定かでないけど、トラのアレが入った・・漢方薬酒とでも言えばいいのかが陳列している。

「ん?あ・・アレだ・・・アレ・・が入っているんだ・・多分。ミミ・・また間違えたんだ・・・」

その時、社務所から戻ってきたミミがひょっこりと台所に顔を出した。

「電話よぉ~佐々木クンから[揺れるハート]・・・」
「佐々木?解った・・ミミ。悪いけど・・水持ってきて!」

僕は社務所へ走りながらミミに告げた。何しろ・・ノドが熱い。いや・・身体が火照っているのだ。

「もしもし・・・」
「もしもしじゃねえよ・・馬鹿!」

佐々木クンは機嫌が悪かった。多分・・ミミに文句の一つでも言われたのかもしれない。

「なんだよ・・朝っぱらから・・・」
「今日!コンサートだったんじゃねえか・・・聴いてねえぞ!」
「あれ?言わなかったっけ?それで?メシ喰っているんだぞ・・俺」
「こっちは・まだ喰ってねえよ!さっき・・ミサさんから電話があって・・・」
「なんだって?」
「お前が伝えるの忘れてる様な気がするってさ!」

そこへミミがグラスに入れた水。神泉を持ってやってきた。そして僕の背中に胸を押しあてながら、話を聴きだそうとする。

「あっそ・・お前等は・・ええとぉ~ちょっと待てくれ!水飲むから・・・」
「ああ・・さっさと飲め!」

僕は手渡された神泉を一気に飲み干した。どうも僕のおっちょこちょいは直っていない。それでなくてもさっき、
タッパーの蓋が開いていたのだ。関戸のオババ特製の奴。それでなくても、懲りなければいけないわけなんだけど、関戸のオババ特製に神泉。僕は神様に祈った。どうか・・夜まで爆発しませんようにと・・・

「おい!いつまで水飲んでんだ馬鹿!」 

電話から佐々木クンが怒鳴っているのが聴こえてきた。

「ああ・・悪い!」
「俺ら会場の準備もあるし、先に言ってるわ!どうせ・・また・・やらされるんだろ?」
「まあな!俺一人で着ぐるみなんて冗談じゃないし・・そうだ!ついでによ!白○・・・」
「解ってる!散々笑わせてやるよ!腹の縫い目裂けちまう様に!じゃあな!忘れんなよ!」
「何を?」
「病院に来る事をだよ・・・」
「了解っ!」

僕が受話器を電話に戻すと、ミミは僕の腕をその桃級じゃない。パパイヤかマンギーのような胸に、押し抱く。

「もういいんでしょ!朝ごはん食べよ[揺れるハート]
「うん・・・」

僕の脳みその中では、もう一人の自分が準備体操を始めていた。何しろ、理性の自分は半分、いや8割方眠っている。それでなくても、思考回路は99.9%本能の僕が司っている。

「今日は・・私のだから、3時までは・・[揺れるハート]

そう言うと僕の腕を離さないまま、社務所の鍵を掛け、カーテンを閉めた。もちろん・・“本日のお祓い等の受付は終了しました”と書かれている木板を、見える様に掲げてある。
理性の僕はひとつ確認しておかなければならない事があった。

「ねえ!ミミ・・卒業試験あったんでしょ?数学と物理どうだった?」
「えへへ・・卒業決定した!お陰様で・・教え方上手いね!」
「それを言うのなら・・山賭けでしょ?みんなには?」
「うん。真っ先に伝えたかったんだぁ~みんなには後でね[揺れるハート]
「良かった!じゃあ・・お祝あげなきゃ・・」
「うん!こっちは・・お礼[揺れるハート]
「ミミ!おまでとう!」
「ありがとう!・・・あ・な・た[揺れるハート]

僕とミミの影はひとつになり・・そのまま、僕はミミにソファーに押し倒された。

「ケ・セラセラ・・なんとかなるさ・・・」

僕はそう呟き・・もう一人の自分。本能の自分に身を委ね、理性の僕は安全回路だけを残して、
思考を停止させていった・・・


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第8話へ・・・続く
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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第8話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
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-少年よ!大志を抱け ⑤-

「ねえ!ミミ・・ここじゃ・・やばいんじゃない?朝ごはんも途中だしね・・」

本能の僕は危険を察知した。まあ、一応、社務所はどっちかと言うと、プライベートゾーンではないわけで、
少し、僕も大人になった?のだろうか・・・

「あっ!・・つい。神聖な場所よね[揺れるハート]
「まあ、神聖と言えば・・あっちもそうなるかもしれないけどね・・・」

そう言いながらも僕の手は言う事を聞かず、ミミのセーターの裾から既に中に入っており、既にブラのホックは外し折っている。

「じゃあ!ご飯たべに行こう!ねっ!お姫様だっこしてくれる?[揺れるハート]
「いいけど・・何キロ?」
「やあねえ~何キロも運べ!って言ってないでしょ[揺れるハート]

ミミは何キロを何キロメートルと勘違いしたふりをして、話題を代えようとしていた。まあ、ここはもうちょっと突っ込んでみたくなるのが、おっちょこちょいでどじでまぬけな僕なんだから仕方がない。

「だ・か・ら・何キロ?一応、制限設けてあるんで・・・・」
「もしかして・・こらぁ~いい度胸しているわね[揺れるハート]
「お陰様で・・そうじゃなきゃ・・怖いお姉さま方。相手に出来ないもん!」

そう言いながらも僕はミミを抱き寄せると、そのまま腰を落とし、抱え上げた。

「うん!大丈夫!増えてない!」
「えっ?」
「あのね!何回。ミミを運んだか・・ちゃんと頭に記憶しているわけ!」
「馬鹿ぁ~[揺れるハート]

ミミは僕んの頭を軽くではあったが、ポカスカと殴りだした。

「ごめん!」
「許して欲しかったら・・ちゃんと運んで!それにずうっとキスしてて[揺れるハート]
「お安い御用かな・・・」

そのままミミを台所まで運んでゆく僕。そっと床にミミを降ろす。

「ねえ!座って[揺れるハート]

僕を椅子を引くとそのまま座り、ミミは僕の膝の上と言うより、僕の僕自身の上にそのお尻を密着させるかの様に座った。

「ミミ!これじゃあ・・食べれないよ!」
「私が食べさせてあげる。その代わり・・・」
「その代わり?」
「私にも食べさせて[揺れるハート]

ミミはその口に食事を含み、軽く咀嚼して、僕の口に流し込む。僕はそれを飲み干すと今度は僕の番。
それらが繰り返され、僕たちは一杯の高茶を分け合ってお互いがそれを飲み干し、朝食は終わった。
みつめあうミミと僕の瞳。そう言えば誰かが言っていたっけ?“瞳は全てを語る”って・・・

自然とまた二人の唇はそのままお互いを貪り始めてゆく。
長いキスの後、そっとミミが僕の首を抱き耳元呟く。

「ねえ[揺れるハート]洗いものしなきゃ、お洗濯も[揺れるハート]
「そういえば・・大根白菜持て来たんだっけ・・洗って来ないと・・」

僕は勝手口から外に出て、土のついた白菜と大根をゴシゴシと洗い流した途端、また・・喉を襲うヒリヒリと熱いものを感じた。

「うっ!・・まただ・・・」

僕は蛇口に被りつき、次から次へと水を胃袋へ流し込んだ。ただ、その水が“神泉”であった事を僕は、忘れていた。突然、身体が金縛りに近い状態となり、あっちの神様が僕の身体の中で目を覚ましたものだから、貯まらない。僕は大根と白菜お抱え、台所に戻ると、洗いものをしていたミミの後ろから抱きついた。

「ミミ・・我慢出来ないよ!」
「実は私もなの[揺れるハート]

僕とミミはそのまま廊下を駆け抜け、階段を駆け上がり、ミミの部屋へたどり着くと、まるでオオカミいや、自然の掟に従い、お互いおを求めあい・・・僕はミミの神秘の森に眠る泉。奥底から溢れてくる泉の中に・・・
2度・・僕の僕自身から分身であるお魚さんたちを放った。

「はぁはぁはぁ・・・・しまった。タバコ持ってくれば・・・」
「あるよ!灰皿もタバコもね。そうだ・・tyっと早いけど・・ハイ!クリスマスプレゼント[揺れるハート]
「えっ?ありがとう・・・」

僕が受け取った箱の中には、趣味のいいライターが1個入っていた。僕がタバコに手を伸ばそうとすると、ミミはそれを制し、タバコを咥えるとソノライターで火を点け、僕の口にそのまま押し込んでくる。
僕は天井を見上げたまま、ミミに全てを任せて、タバコの煙を眺めていた。

「ねえ[揺れるハート]
「うん?」
「あのね・・あたしにも曲頂戴!あたしだけの・・・」
「それが願いなの?」
「一個はね・・欲張りなんだ!あたし・・・」
「いいよ・・何がいいかな・・・・あっそうだ。アレがいいや!アレンジしなおせば・・・」
「えっ?」
「ちょっと・・曲と詞アレンジするからね!その間に洗濯しちゃうといいや・・・」
「うん[揺れるハート]

僕は階段を駆け降り、社務所奥にある集会場においてあるピアノに向かった。

「やっぱり・・アレでしょ!でも・・原曲知ったら怒るかな?」

そう言いながら・・も僕はkilling me softly やさしく歌って 歌のお兄さんバージョンを編曲し始め、歌詞の一部を置き換えることにした。何しろ替え歌はお手の物だ。
僕は歌詞の部分から着手し始めた。あとは、若干メロディーラインを代え、ピアノソロに仕立てれば済む。

「ええとぉ~歌詞はと・・・」

♪どこからとなく 聴こえてくる
あの歌声が恋を誘う。
一目会いたい! 思いは募る
美しいヒトに違いないだろう。
澄んだ青い目としなやかな指に少し寂しさを浮かべてるだろう。

姿の見えぬ恋人よ!
どこへ手紙を出せばいいの?
愛の言葉を温めるだけ
美しいヒトに違いないだろう。
バラの様に頬染めて笑うのか?時には涙ぐみ空を見るだろう。

美しいヒトに違いないだろう。
栗色の髪をそよ風に揺らし、窓際に座って歌っているだろう。
歌ってるだろう・・WWW・・WWW・・WWW

確かこうだったはずだ。

僕は・・メロディにその歌詞を載せ歌いはじめ、若干ミミだけのためのアレンジを加えていった。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第9話へ続く・・・
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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第9話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

-少年よ!大志を抱け ⑥-

「出来たぁ~」  

僕が叫ぶのとほぼ同時に、ミミが現れた。まあ、集会場のそばにある。洗濯物を干す場所にいたわけだから、
何度もメロディーラインを代え、歌詞を直しているのを聴きながら、ミミは一手に洗濯すべきものを、洗濯、それらを次々と干していたのだ。

「聴いてたわ!いい歌をありがとう![揺れるハート]
「どういたしまして!と言いたいところだけど・・大半パクリだからね!それでもいい?」
「うん[揺れるハート]!もう一度歌って[揺れるハート]

僕はちょっとアレンジを施したやさしく歌ってをピアノで弾きだした。

♪きみの声が優しく話しかける
苦しんでいる僕の心を知る様に
君と出会えた。だけど遅かった。
美しいヒトよ!違いないんだろうね。
甘える僕をしなやかな指で、今もそっと包み込んでくれる。・・・・・♪

「どう?言っておくけど・・本当にパクリだからね!大半・・・・」
「いいんだぁ~それでも[揺れるハート]
「一応・・これ・・男バージョンだからね!後で怒りだす前にいっておくけど・・・」
「えっ?」
「実はさ・・・これ女性バージョンが原曲でね・・・勿論、男性バージョンもあるけど・・・」

僕は原曲の歌詞について説明しだした。僕が説明する内容をフンフンと聴くミミ。

「いつかは・・想い出になるのかしら[揺れるハート]
「そうかもね!いつの日にか、僕たちは離れる日が来るんだろうから・・・」
「この曲を聴いたらあなたの事。思いだすわ!きっと・・ねえ[揺れるハート]
「んっ?」
「お昼はマックでもいい?遅めで[揺れるハート]
「いいけど・・・何?」
「あのね・・あの・・その[揺れるハート]
「だから何?」
「もう!馬鹿ぁ~[揺れるハート]ね?上に行こっ?」

二人の影がもう少しでひとつになろうとした時、まあ、間が悪いと言えばいいのか?
鎮守の森の入り口から、クラクションが2回。聴こえて来た。

「あ~んもう[揺れるハート]
「誰だろ?ここの住人か関係者だよねえ~ええとぉ・・・・」

そう言いながら僕は鎮守の森へ入ってくる車をみた。

「おかしいな・!あれ・・ま・・まさか・・楊ママだぁ~呼んだの・」
「呼ばないけど時々いらっしゃるの!・・・あっ!お風呂入ってきて!」
「何で?迎えに出なきゃ!」
「鏡を見て!早く[揺れるハート]お迎えは私が・・」

鏡を覗きこむと、僕は小さく「あっ!」と声を上げると、バタバタとお風呂場へ駆けこんだ。
いつもは、口紅なんて滅多に付けていないミミだけど、僕の顔にもそして首にも、いっぱいだ・・・

「やばいよな!・・・お風呂入ってくるミミ着替え頼むね!」

僕は風呂場ん美飛び込みくまなくさっきの"余韻”を洗い流した。

「やべぇとこだった!まあ、感づかれているだろうけど・・・ふう・・・」

僕はひとつため息をついて、身体んついた石鹸を洗い流すと、湯船に飛び込んだ。

「ぎゃぁ~冷てぇ~」

僕の絶叫が風呂場に響いた。ユニットバスなら、スイッチひとつでお湯は出る。しかし、僕が飛び込んだのは、大きい風呂のほうであり、"まだ沸かされてなかった”ただの神泉を満たしただけの湯船だったのだ。
そのとき、風呂場のドアが開けられ、ミミが顔を覗かせた。

「ごめんね!お風呂・・・水だったわよね!」
「まあね・・・ママは?」
「今・・居間にお通しして、お茶をお出ししたところ・・・」
「解った!ところで・・それは?」

僕は熱いシャワーを浴びながらミミが抱えていた包みが気になった。

「編んでいたセーターがやっと編みあがったの!着てくれる?」
「うん!ありがとう・・・」
「じゃあ・・あたし呼ばれているから行くね!」
「うん・・解った!」

念入りに鏡を覗き込み、落とし忘れgないかチェックし、確認を終えると、ママを待たせるわけにはいかないので、手早く身体を拭きあげ、ミミお手製のセーターに身を包みこみ、僕はママの待つ居間へ向かって、駆け出した。

僕たちのクリスマスパーティー大作戦!第10話へ続く・・・・・



















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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第10話  [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
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-少年よ!大志を抱け ⑦-

「はっ!・・・ヤバイ様な気がする。逃げ出した方が・・・・」

居間に向かい駆けだしていた僕だが、急ブレーキを掛けたのだけど、間に合わなかった。
いや、正確に言えば、“慣性の法則”という厄介な代物と、せっせとワックス掛けを施している廊下。
ついでに、優子が買ってきたスリッパらしきもの。これが滑るわ滑る。

「こらぁ~廊下を走るな!って何回言ったら解るの!」

優子の言葉が思いだされた。自分だって走るくせに、魔女の巣窟である鎮守の森では、“公務”以外、
僕は半分以上諦めの境地に達していた。奥さんである優子だってそうだし、カオリ、洋子、奈々子、ミサにミミ。
ついでに、当たり前の様にやってくる様になったリリーズの面々。全てが、僕より年上。しかも、女性なんだから、仮に腕力に訴えても、ここに巣くう魔女たちは、泣く子も黙るし、ヤクザでさえビビる。ついでに、何故か解らないけど、警察関係者の奥さんに収まっているのまで、T女のスケ番グループのOGたちだ。
多分、彼女たちに一斉に襲いかかられたら、ライオンを相手に素手で戦っている様なものだろうし、僕は女性を殴る拳は持っていない。だから、朝のトイレ争奪戦もレディーファーストにしているわけだし、間に合いそうもなければ、畑に直行して、小用なら済ませれば済む。

「これで、あなたをはじめ、みんな走れなくなるわね!」

その言葉を思い出した途端・・・

「あっ!」

僕の身体は、滑る廊下と滑るスリッパらしきもの。つまり、摩擦係数が少ないものと、厄介な法則に従い、
ドタン!と大きな音がした瞬間。僕の目から火花が飛び散ったのだ。

「痛ぇ~」 

でも、僕の身体は既に、方向転換を試み、ソロリソロリと逃げだそうとしていた。気づかれなければ逃げ出すのに限る。僕の本能が身体に命じていたのだ。幸い、楊ママは気が付かなかったはずだ。ミミがキャアキャア言いながら喜んでいる。それ!今のうち・・・・逃げだそうとしたその瞬間。

「Q!逃げる気じゃないわよね!」

久しぶりに楊ママの迫力のある声が響いた。そして、その瞬間、閉められていた襖が開いたのだ。

「に・・逃げる?そ・・そんな事・・・」
「しようとしてたでしょ?こっちへ入りなさい!」

こうなっては、逃げるどころの話ではない。魔女たちのボス挌になっているわけだし、僕の横浜のママでもあり、産みの母親の先輩でもあり、育ての母親の同級生でもあって、僕の初恋の人だったミーチャンのお母さんでもある。

「ったく・・俺って世界一不幸かも・・・」
「Q太郎!聴こえてるよ!馬鹿言ってないで早く来なさい!」
「はいはい・・おまけにはい!」

ぼ奥が部屋に入ってゆくとそこには、うず高く積まれた衣装ケースや、ダンボールがあった。

「あん?」

外を見ると、トラックが一台。鎮守の森から出て行こうとしていた。

「あちゃぁ~ママぁ~これは?」
「みんなへのクリスマスプレゼント!文句は言わせないわよ!」
「別に・・言うつもりも、ヘチマもなんにも出てこないけどね・・・はああああ・・・・」
「ミミ!着替え終わったら出てきなさい!」
「はぁ~い!」
「えっ?」
「いいから・・・ここに座りなさい。落ち着きがないんだから、昔のまんま!」

楊ママが指さす所へ大人しく座ると、またいつもの様に抱きしめられる。僕。

「ママ!」
「あはは・・引っ掛かった!」
「あのね!」

そこへ襖が開き、ミミがちょっと恥ずかしそうに入ってきた。まあ、ここの森に巣くう魔女たちは、ママの娘みたいなもの。後で聴いた話なんだけど、僕が居ない時にもちょくちょくやってきては、どうやって処理するのか?と言うくらいの大量の中華菓子を手土産に来ているらしい。

「どお?ミミ?」
「ちょ・・ちょっと・・胸が苦しいかも・・です。」
「おかしいわねぇ~あなた!またおっぱい大きくなったの?」
「は・・はい。多分・・・」
「あはは・・・そー言えばそうかも!努力の甲斐があったかな?」

僕はお腹を抱えて笑いだし、ついでにタタミの海を笑い転げ、半分、お尻の痛さに転がり廻っていた。
何故かと言うと、楊ママに思い切りお尻を抓られたからだ。

「なるほどねえ~ねえ!ミミ!」
「はい!なんでしょう・・・」
「こんなののどこが良かったわけ?」
「どこがと言われても・・・」
「酷いや!ママ!失礼しちゃうな・・まったく・・・」
「失礼なのは、Q!あなたの方でしょ!ミミに声かけられないの?」
「何て?」
「綺麗だとか可愛いとかいろいろあるでしょ?」
「あのね!ママ・・みんな美人だし可愛いでしょ?」

僕は楊ママに一矢報いることにした。ミミは顔を真っ赤にしながら立ちつくしたままだ。

「まあね・・・そう言われればそうだけど・・・」
「でしょ?ただひとつだけ・・・欠点があるけどね・・・」
「へえ~聴かせて貰いたいわね?ミミもそう思うわよね?」

ミミも真っ赤な顔をしながら、コクンと頷き、ママが僕の腕をしっかり握った。

「さあ!聴かせてもらおうかな?Q!」
「あのね!一人一人の時はいいんだけどね。時々ね!ゴラ゛ァッ~って追いかけてくるんだよね!」
「それはあなたが何か悪さした時じゃないの?」
「ええとぉ~鬼ババって言うと・・・」
「でしょ!女の子にそんな事言ってはいけません!いいわね?」
「はぁ~い!」
「いい?ミミ!これからもこの子頼むわね!悪い口使ったら・・・」
「どうすればいいんですか?」「そうねえ~木にぶら下げるか・・好きにしていいからね!」
「はい!」

どうやら僕は、突かなくていい藪を引っ掻き廻し、蛇。それも、大蛇を出してしまったらしい。

「あちゃぁ~ママ!そんな事許したら・・本気でやるよ!ここの・・元・・・」
「元何かな?Q!私もそうだけど?」
「でした・・・」
「ほら!あなたのの持って来たんだから、来て見せて頂戴っ!ミミ・・手伝って上げて・・・」
「はい!」
「げっ!」
「わたしは言ったわ!みんなのってね!」
「いこっ!」

ミミは僕の腕を楊ママから受け取るとその鎮守の森一番の大きいおっぱいの上に抱きしめると、僕を隣の部屋へ連れて行った。
さっきから僕は深いスリットから出た美味しそうなミミの脚線美が気になって仕方が無かったのだ。
隣の部屋へ移動して、僕はミミを抱きしめた。

「ねえ!ミミ・・俺やりたくなっちゃった」

ミミの耳元で囁くと、ミミは真っ赤な顔をしながら、僕の耳元で囁き返した

「あたしも・・でも・・ねっ[揺れるハート]
「だよね・・」

僕はミミを抱きしめ二つのシルエットが一つになり、そして僕はミミに、身ぐるみを剥がされはじめた。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第11話へ続く




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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第11話  [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
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高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

空飛ぶ食欲魔人ことオストドでございます。只今、爆走モード&メビウスの輪状態でございます。 来月早々には、通常モードに戻る予定えございます。しばらく、皆様のところへご答礼訪問が出来ていない状態でございますが、何卒、お忘れなき様お願い申し上げる次第でございます。なお、通常モードに移行しても、しばらくは・・熊さんやらカモシカさんを追いかけまわしたり・・(つまり、山の中のお仕事)に行ったり、演習場を這いつくばりながら・・・現場調査したり(的にされるのは・・もうコリゴリです。[もうやだ~(悲しい顔)])、今・・どこかの空港で作っている滑走路付近に上陸したり・・・どこかの航空会社の格納庫の屋根にしがみついているか、這いつくばるお仕事が・・・・はっきり言わせて頂くと・・・鬼が島や刑務所の方がラクだと思います。[もうやだ~(悲しい顔)]そう言えば、もう大分経ちますが、毎日とある・・拘置所へ出入りをして、お仕事をしていたときは、“未決囚”の方の方が、イイモン食べてましたけど・・あと・・クソ暑いさなか、お仕事も出来ず、延々安全大会を、灼熱地獄の中行っていた時もございました。(死刑執行だった様で・・立ち入り禁止だったんです。) それでは、皆様のご健勝とご多幸及び、諸願成就を祈念しつつ・・

こっほん!

僕です。皆様大変おまたせいたしました。未来の僕は相変わらずの様ですねえ~
そういえば・・暫くぶりに呼び出されたと思ったら、説教を喰らいました。
未来の僕に言わせると・・「お前の下半身の人格のなさに困っているんだわ!」とか・・・
嫌ですねえ~他人事みたいに言うんですよ?だって・・未来の僕は僕がおっさんになったわけですもんね。
さて、それでは、未来の僕に代わりまして、皆様にご挨拶しなきゃいけませんね!本当に世話のかかる奴ですが、皆さん!宜しくお願い致しますね!えっ?挨拶いらない?・・・そうですか、じゃあ・・僕と一緒に未来の僕が頭を抱えてウンウン唸っているのを笑いながら、先に時間旅行に行っちゃいましょう!
行き先は、僕と仲間たちが一番輝いていた時代。昭和50年代へ皆様をご案内いたしましょう。
ここで注意をひとつふたつ・・・
まずは、ちゃんと・・僕と一緒に行動してくださいね!勝手に何処かへ行っちゃうと・・置き去りになります。
それから、凶器に武器などは・・要りません。安全は・・そうですね・・多分、保証されると思いますが・・・
万一に備えて、家の戸締り、火の始末くらいはしておいてくださいね!
おや?そろそろ・・時間旅行の準備が整った様です。では・・ご一緒に・・・タ~イム・・スリップ・・・・・

-少年よ!大志を抱け ⑧-

「どお?」 

僕は楊ママが用意してくれた。真新しいタキシードに身を包んでいた。

「うん!いいわね!サイズもピッタリ・・・さすが私の息子なだけはあるわ・・・」

楊ママは僕の廻りをグルグルと廻り、ついでに持参したカメラで僕を撮り始めた。

「でしょ?高校生活終わったら・・ママのところで働くかな!あの黒服の代わりに・・・」
「駄目!ちゃんと・・大学くらい行きなさい!」
「冗談!神学部に行かなきゃね・・神主になるんだもん!」
「そうね!でも・・お父さんの会社はいいの?」
「ああ・・あの人の所かぁ~いいんじゃない?興味ないしね。今だってお金だけ貰ってるもん!」
「もしかして・・全然帰ってないの?」
「全然・・・」
僕は首を横に思い切りブンブン振ってママに見せた。
「もう・・随分経つけどね!帰ってくるな!って言われてるし・・居心地悪いから・・・」
「呆れた!あの人そんな事を言ったの?」
「いいんじゃない?洗濯だって自分でしてたしね。ごはんだって作って貰えなかったし、家のお風呂だって入れて貰えなかったしね・・・」
「あの人って・・そんな人だったの?」
「まあ、あの人は話題にしたら怒りだすし、でもどっちかと言うと・・家政婦と名が付く・・ブルドックかな・・・」
「Q・・ブルドックって・・・」
「ああ!あの人が引っ張りこんだ飲み屋のコレ!Yが名付けたんだよ!似てるって・・」 

僕は小指を立ててみせた・・・

「い・・一体いつからそんな生活・・・」
「そうねえ~小学校を卒業して・・・・中学1年で前の家政婦のおばさんが身体を壊して辞めたとき以降で・・・ああ!思いだした。中学2年くらいだったかな・・最初はね!あの人が居る時は出てきたんだけどね・・晩ご飯」

僕は洗いざらい・・但し。一部を除いて、楊ママに告げる事にした。まあ、ママを通じて僕の本当の母親や、男と駆け落ちした育ての母親にも流れるのを承知しているけど・・・

「それで?」
「何が?」
「それでどうやってたわけ?教えて頂戴!」
「教えてッて言われても・・・出てくる晩ご飯は冷凍食品かお惣菜だったけど・・・」
「そうじゃなくて・・その後!」
「ああ!その後ね!あの人が・・多分、唆されたんじゃない?お前は好き嫌いが多いからだ!とか言いだして・・・」
「それで?」
「うん。お金貰ってね!毎日・・近くの食堂とかマックとかで食べてさ・・」
「うんうん・・それから?」
「一旦、家に戻って・・洗濯物と参考書と着替え持って・・先ずは銭湯のコインランドリーに洗濯物入れるでしょ?」
「その後は?」
「うん!銭湯に入って・・そうだ!ママ・・ロッカー借りてたんだよ!個人用!ちゃんと石鹸とか置いておけるの!いいでしょう!そうだ!それから、洗い上がった洗濯物を乾燥機に入れるの・・そこで勉強してた!」
「ず~っとそうしてたわけ?」
「する訳ないでしょう?水は高いところから低いところに流れるんだよ!ママだって解るでしょ?」
「だ・・だいたいわね・・・」

楊ママは溢れてくる涙を拭こうともせず・・僕が母親に捨てられたあの日からの、僕がどう過ごしたのか全てを聴きだした。ミミはその場に蹲ると大粒の涙をボロボロ流していた

「Q!何で・・す・・すぐ来なかったの・・・」
「どこへ?」
「うちに!」
「忘れてたんだよ・・ママ!でも、もういいじゃん!今は・・・ねえ。ママ!涙拭いてくれる?そうしないと・・このおニューのタキシードが・・それに・・そこで泣いているミミもね!」
「そ・・そうね!」

楊ママがバックから慌ててハンカチを取り出し、涙を拭き、ついでにミミの涙も拭っていた。
その時・・柱に架かっている時計が、まるで・・

「もうすぐ出発しないと知らないぞ!」

そう聴こえるかの様に鳴りだした。

「いけねえ~ママ!今日さぁ~忙しいんだよ。病院でね・・・」
「うん知ってるわ!優子から電話があって聞いたわ!是非、宜しければいらして下さいって・・・」
「なるほどね・・それでか・・」
「それより・・Q!お昼はどうするの?」
「マックでも食べようかと・・・ママ食べた事ないでしょ?一緒に食べる?美味しいよぉ~中毒になるくらい。まあ、ママのチャーハンには勝てないけどね・・・」
「Q!チャーハン食べる?」
「食べたいけど・・時間ないからねえ~3時から出番だしね!2ステージやるの!後は夜もね・・聴いていくでしょ?」
「そうね!そうだ!パパから伝言!寂しがってるわよ!」
「楊パパ?」
「そう・・いつ来るんだって!」
「ええとねえ~クリスマス空けにはみんなで行く!それでいいでしょ?」

僕はミサとデートする約束があった。ミサだけ一日早く来てもらい、デートしてその翌日全員集合すればいい話だ。

「解ったわ!ついでに・・前日のホテル取っておいてあげるわ!デートあるんでしょ?」
「うっ!」
「大体ね!横浜で私の耳に入らないとでもまだ思っているのかしら・・この子は・・」
「でした・・以後、気を付けます!」
「そうね!お嬢さんを連れ込んでいいところじゃないわね・・・港の見える・・・」
「ママぁ!」
「ついでに・・お洋服も買ったのよねえ~元町・・・」「勘弁してよぉ!」
「いい?Q!」
「はい・・・・」
「これからは・・ちゃんとした所に泊まる。いいわね!」
「了解!これからは・・ママに取って貰います!面倒ないし・・・横浜以外にすれば良かった
「それがいいわね!んっ?何か最後に言わなかった?」
「いいえ・・・」
「そう・・・じゃあ行きましょうか?Qが中毒になっている。マックとやら食べてみましょうか・・・」

僕はタキシードを脱ぎに行き・・ブツブツ呟いた・・・

「だから!横浜DEデートは嫌だったんだよな!」と・・・・

窓の外を見ると鎮守の森の木々がまるで僕を笑うかの様に、風に揺れている。
脱いだタキシードをいつの間にかやってきたミミが、ハンガーに掛けてくれる。

「ねえ!衣装はコレにする?」
「そうだね・・2部と夜はね・・・」
「そうよねえ~ピンクのうさぎさんじゃ・・タキシード入らないものね!」

そう言いながミミは僕に抱きつき耳元で囁いた・・・

「ねえ!今度は私も横浜でデートね」

僕は頷くしかなかった・・窓の外の鎮守の森の殆ど葉っぱの落ちた木々は、ますます僕を嘲り笑うかの様に揺れていた。

僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第12話 へ続く・・・
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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第11話  [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
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-少年よ!大志を抱け ⑨-

「おっす!・・あん?お前ら何て格好してんだ?」
「うるせー!俺らだってこんなもん着たくねえや!」
「おっ!その声は青○かぁ~似合うぞ!サンタの衣装!でも・・ブカブカじゃんそれ!]
「ああ・・これからこの詰めモン詰めるんだよ!」
「フ~ン!なるほどね。でも、それより・・南極1号でも詰めとけばいいじゃん!」
「それ!もう・・話題済みだぜ・・部長!」
「おっ!佐々木かぁ~そのトナカイ!似合うぞ!それで原宿歩いてたら。。パープリンなら引っ掛かる!」
「てめえぇ~」
「少なくとも・・淋ちゃんや梅ちゃんにはならねえよ!それより・・俺が売り払った4バカは?」

僕が“更衣室”に入ってゆくと、売り払った4バカ。岡崎・赤沼・佐伯そしてY以外、みんなそれぞれ病院が用意しておいた衣装・・つまり、着ぐるみもあれば、普通のサンタの衣装に着替え始めていた。

「あん?知らねえけど・・・」 狼’sならぬ・・サンタとトナカイ一同が答えた。
「あいつら・・まさかもう・・ご馳走にありついているのかな?」
「あん?どういうことだ?」
「ああ・・言ってなかったけどな・・美人姉妹のところに売り払ったの・・5人姉妹のところへね・・」
「てめぇ~
「うっそぉ~」
「冗談じゃねえぞ!俺ら汗水流してんのに・・・
「佐々木ぃ~大丈夫だよ!みんな・・泣く子も黙る・・」
「なるほどね!と・・言うことは・・・だよな?」
「そう言う事!やつら可哀そうに・・仮に夜バイ仕掛けて失敗したら、翌日には埋められてるかもな!」
「あはは・・・成功するわけないじゃん!」
「だろ?4バカにはいい薬だよなぁ~」

そのとき・・バタン!とドアが開き、4バカ。
つまり、岡崎を先頭にY・佐伯・赤沼が飛び込んで来た。どうやら聞き耳を立てていた様だ。僕は振りかえったのがいけなかったのか?咄嗟の判断を誤ったのか?笑いながら振り返った途端、モロにみぞおちに一発ケリを喰らい、ついでに4バカ連中にボコボコに袋叩きにされ、声を上げる間もなく、ロープでグルグル巻きにされ、口には猿轡の代わりに、転がっていたナースキャップを押しこまれた。

「んぐっ・・・」
「言い気味だ!ザマアミロ!」

そう言いながら連中は僕にクリーニング回収用の袋を被せ、さらにロープで縛り上げ、僕は思い切りよく、畳の上に放り投げられ転がっていた。
その時であったドアがコンコンとノックされ、救いの女神である優子が顔を出した。

「みんなぁ~仕度出来た?あれ・・うちのヒトは?」
「さあ・・おい!さっさと行かなきゃな!」

ゾロゾロと出て行こうとする佐々木たち狼’sならぬ・・トナカイ達。サンタ役の青○クンはせっせと詰め物を詰め込んでいたらしい。らしいと言うのは、僕は頭から袋を被せられ、畳の上に転がったままだからだ。

「ちょっと待ちなさい!ええとぉ~岡崎クン!赤沼クン!佐伯クン!Yクン!あんたたち・・顔に何か書いてあるわよ!ウチのヒトはどこかしら・・・・」

そこで、全員の視線が畳に転がされている。クリーニング袋ついでに言えば、ナースたちの白衣だらけの中に放り込まれている僕に釘づけになったらしい。

「あんたたち!また怒らせたいみたいね・・・クリスマスプレゼントはあなたたちが五体満足でいられる様に祈っておいたほうがいいわね・・・それより・・早く出しなさい!」
「俺らは関係ないですからね・・この4バカ達がやったんだから・・・」
「連帯責任に決まってるでしょ!早くしなさい!」
「しょうがねえな・・生きてるかな?まだ・・・」
そういいながら・・ロープを解きはじめ、僕は袋から取り出され、ロープが解かれて、猿轡の代わりのナースキャップが取り除かれたのだ。

「優子ぉ~助かったよ・・コイツら・・・リーダーをなんだと思ってるんだまったく・・・」
「大丈夫[揺れるハート]?」
「まあねえ~化粧品の匂いが充満してたけどね・・そうだ!佐々木・・耳を貸せ!トナカイ’sもそこのまぬけサンタもな!」
「なるほどね・・良い子の楽しいクリスマスね!」

そう言うなり・・一斉に4頭の哀れな生贄に蒸れが飛びかかり、瞬く間にロープで縛り上げた。

「で・・どうすんの?」
「決まってるじゃん!トナカイ’sの下僕だな・・悪い子にはプレゼントないだろ?」
「いいねえ~」
「さてと・・4バカ諸君!君たちには悪い子役をやってもらおう。何、簡単だよ!トナカイの代わりにソリを引いてもらえばいいだけさ・・・ちょっと・・4バカ集まれ!」

僕は怨まれる事はない。何しろ美人姉妹それも5人も居る所に、4頭の狼のちょっと出来そこないを送っただけだ。ただ、全員がスケ番グループか元スケ番なだけであり、彼等は彼女らとひとつ屋根の下で、例え、馬車馬の様に働かされても・・一緒に居られるわけだ。こんな最高?のプレゼントを贈ったのに、僕は袋叩きにされたわけだ。

「いいか?お前等は俺が選りすぐったんだぞ!地区長の所より、美人と一緒の屋根の下の方がいいだろ・・まったく・・恩を仇で返しやがって」
「そ・・そういわれれば・・」
「だろ?運が良ければヤレるかもしれないし・・・」
「だよなぁ~」
「もっと・・運が良ければ代わりばんこで・・な!」
「解った!リーダーじゃなかった・・部長!悪い!ちゃんと働くよ!悪い子にはプレゼントなしだもんな!」
「そう言うことだ!佐々木ぃはじめ・・トナカイ’s。ソリの準備出来たか?」
「ああ!バッッチリだ!」

要らなくなった台車の上に、これまた要らなくなった古い材木で造ったソリの枠組みを載せ、綺麗にペイントを施したもの。ここにフカフカのクッションを敷き、青○サンタが、子供たちへのプレゼントを持って乗りこむ。

「ほらぁ~トナカイさんたち!忘れてるわよ!鈴とお鼻!」

佐々木を始め、トナカイ7sは頷くと悪い子の鼻に真っ赤なお鼻の代わりに、口紅で真赤に悪い子たち4バカの鼻を丸く塗った。

「ついでにさ・・鈴も付けてやれよ!可哀そうだろ!」

僕は畳の上で笑いこけ、哀れな悪い子たちはトナカイ’sに引っ立てられながら、部屋を出て行き、青○サンタを乗せたソリを鈴の音を響かせた。

「HOHOHO・・・・・」

青○サンタは一声あげ・・子供たちへのプレゼントとして、僕たちが予め用意した。まあ・・真っ当な稼ぎ方ではないけど、クレヨンと画用紙の包みを大量に詰め込み、今まさに出発しようとしていた時だった。
廊下の向こうから、カオリに案内されながら、兄さんこと学年主任が現れた。

「あっ!あれ・・兄さんだ・・何しに来たんだ?」
「俺らへのプレゼントじゃねえか?」
「馬鹿だねえ~青!クリスマスには嫌でも会うんだぞ!」
「じゃあ・・何だ!あれ?」

兄さんこと学年主任は、ニコニコしながらやってきた。手には紙袋を一杯ぶら下げてやってきた。

「お~い!お前ら・・似合っているぞ!」

やっと兄さんが僕たちに気づき手を上げて話しかけてきた。どうやら、カオリの色っぽいお尻。鎮守の森に潜む魔女として、2番目に大きいおっぱい。因みに一番はミミだけど・・色気で言えば、カオリには勝てない。まあ、青いリンゴと成熟したリンゴくらいの違いはある。まあ、リンゴに例えれば、僕たちは腐ったか腐りかけているリンゴだけど・・・
それをしげしげと後ろを歩いて見てきたわけだから、僕たちになかなか気付かなかったのだ。

「大きなお世話だよな・・・」 

佐々木クンが僕の耳元で囁いた。

「うん・・小さな親切じゃなくて・・更に大きな迷惑が降りかかりそうだけど・・・」
「だよなぁ~」

僕たちはため息をひとつ吐きだした。

「どうしたんです?兄さんじゃなかった・・学年主任先生・・」
「ん?おお!弟・・じゃあ・・あのサンタは誰だ?」
「エロ坊主ですけど・・・」
「それを言うなら・・エロエロ坊主見習いですけど・・だろ?部長!」
「まあな!」
「そうか!サンタとトナカイは解るけどな!なんだ・・この4人の馬鹿・・・」

兄さんは指さしながら必死に笑いを堪えていた。

「あのですね・・悪い子役ですよ!いい子にはプレゼントを悪い子にはお仕置きをですよ・・」
「なるほどな・・そうだお前等に土産があってな・・・」
「もうすぐ・・出番なんですよ!こいつらは病室を廻って子供たちにプレゼント配り!」
「そうか!弟!お前は?」
「ええと・・ピンクのうさぎさんノミニコンサートと普通のミニコンサートの演奏があって・・」
「なるほど・・頑張りたまえ!そうだ!白○はどうだ?」
「どうなんでしょ!昨日切腹しましたからね!あとで・・また笑わせてやろうかと・・・」
「なるほどな!」
「兄さん!手に持っているの何です?」
「ああ・・これか・・いいのと悪いのとどっちが聞きたい?」
「出来ればいいのだけで・・・」
「そうもいかん!じゃあ・・悪い方かな・・・お前等スキー場の手伝いだ!」
「はあ?スキー場って・・あの雪を滑るスキーですよね?」
「ああ!そいつだ!俺の先輩がやっている所なんだが・・・そこの手伝いな!」

僕たちの予感は当たったらしい。そういえば・・兄さんは山岳部を復活させるとか言ってたっけ・・・

「それで?いいニュースは?」
「うん!それだ!まずは・・バイト代が出る。一人4000円。」
「ケチじゃん!なあ・・・」
「そう言うな!佐々木!3食に寝る所に休憩時間にはスキーがタダで出来る。」
「それだけじゃない様な気もするんですけど・・・」
「察しがいいな!まあ・・その件はゆっくり後で話した様がよさそうだ!」
「ですよねえ~」

兄さんが僕にだけ解る合図を寄越した。いつの間にか優子が外へ出てきて聴き耳を立てていたのだ。

「それじゃあ!諸君!頑張るんだぞ!俺は白○を見舞って来る!」
「あらぁ~兄さん!逃げなくてもいいんじゃない・そのお話し聴かせていただこうかしら[揺れるハート]
「そ・・そんな事より、弟の仕度がさきじゃないのか?」
「やだぁ~忘れてたわ!早く仕度しなきゃ[揺れるハート]・・・」
「う・・うん・・・じゃあ!お前らほどほどに元気良くな!行けっ!途中で落とすなよ!サンタ!」
「おう!了解!」
「HOHOHOHO・・・」

青○サンタが出発の合図を出し、トナカイ’sと悪い子4バカが一斉にソリを引っ張り始め、鈴の音が廊下に響き渡った。僕は優子に腕を引っ張れ、更衣室へ入り、兄さんは白○の病室へ向かうべく、その場から逃げだしていった。

僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第12話へ続く・・・・






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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第12話   [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-はじめのご挨拶-
このお話は連載シリーズになっております。
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
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高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

-少年よ!大志を抱け ⑩-

「て・・てめえら・・殺す!」

僕はピンクのうさぎさんの着ぐるみの頭だけ外して貰い。酸素マスクを装着していた。
何しろ、30分のステージで終わるはずだったのだ!それを・・4バカが、アンコールを連発させたので、僕は限界ギリギリラインまで・・つまり、酸欠と身体中が、蒸し器の中に投入された気分で、ぶっ倒れる寸前まで、特別に組まれたステージ上に居なければならなかった。
優子が止めに入ってくれなければ、今夜は僕のお通夜になっていたかもしれない。

「悪ぃ~な!こいつら・・バカだから・・・」

佐々木クンをはじめ、トナカイ’sが僕の着ぐるみのジッパーを外し、青○は、氷嚢で僕のおでこを冷やしてくれている。

「大丈夫[揺れるハート]?」
「まあね!なんとか・・・それにコレ見ちゃうとねえ~頑張らないと・・・」

それは入院中の子供たちが書いてくれた僕たち社会関係奉仕部の旗だった。
真ん中の上にピンクのうさぎ。そして、その下敷きにされているのが狼さんたち。
真っ白いシーツの上に描かれて居て、各自それぞれからのありがとうのメッセージと手形が押してある。

「だよなぁ~!」
「なあ・・この担架に乗っている狼・・誰だと思う?」
「白○だな・・」
「じゃあ・・ここで腹出してひっくり返っているのは?」
「青だろ・・・」
「じゃあさ・・」

僕たちの話は尽きようとはしなかった。部屋に拡げられたシーツの絵をみんなで眺めていたのだ。
時計を眺め、僕の気がえの準備をしていた優子。
何しろ、さっきまではピンクのうさぎさん。今度はエセピアニストとして、タキシードに着替えて演奏するわけだ。
仲間たちは、それぞれ会場で、車いすの人や介助を必要とする人々を手伝い、ついでにクリスマスプレゼントとして用意されている。一輪の花を配る事になっている。

「あなた!そろそろ・・シャワー浴びて着替えないと・・・」
「うん。優子・・解った!」
「じゃあ!俺ら会場整理に行って来るわ!その前に白○のところへ行って・・・」
「ああ!思い切り笑わせてやれ!腹が裂けちまう様にな!」
「あなた!それにみんなも・・・」
「じょ・・冗談だよ!あいつ寂しがり屋だからな・・・そうそう!兄さんに気を付けろ!」
「解った!同じバイトなら出会いがある方がいいもんな!」
「そう言う事!」
「あなた!」
「やべ・・・じゃあな!」
「おう!」

僕はシャワー室に飛び込み、汗だくになった下着を脱ぎ棄てると、熱いシャワーを浴びながら考えた。

「う~ん。どうやって逃げるかな?どうせ・・碌な話じゃないよな?」

僕たちが一番最初に“社会関係奉仕部”として、校外活動を命じられたのは、校長先生の愛犬がお世話になっている動物病院のお引っ越しだった。まあ、捨てる寸前だった“ちょっと高級な絨毯”を貰ってきて、学園中どこを探しても、これに勝る絨毯は無いと言われるものを、僕たちの指定席でもあり、現在では、僕たちの部室兼顧問である兄さんこと学年主任や担任のキー先生。そして、僕らに最近好意にしてくれる先生方の憩いの場。まあ、換気扇はあるし、喫煙とお昼寝には丁度いいらしい。一応、募金箱を置いてあり、1回50円の使用料を、ご寄付いただいている。だが、これは僕たちが設置したものではなくて、兄さんが設置したものだ。
何しろ、僕たちの活動範囲は広い。交通費も馬鹿にはならない。学割を使ってもヒーフー言っているのが、現状だ。信州の村からも相当な金額やら、送迎の援助も受けているし、弱小運動部の予算を削り、校長先生のポケットマネーは勿論、兄さんや美希の顧問手当だって、相当な金額がつぎ込まれている。

「碌な話じゃないだろうけど・・・来年はもっと活動費かかりそうだしな・・・・」

僕たちは、ヤバイバイトから手を引いたのだ。まあ、裏本は供給ルートが断たれたわけだし、ホストクラブの方も手入れを受けそうだったので、アホ大学の縁も所縁もない馬鹿に押し付けた。これはには楊ママと任侠のSさんに絡んで貰ったというより、没収を喰らったのだ。まあ、ここから僕たちの名前が出ることもないし、楽器屋の悪徳店長も散々脅かされているから、懲りているはずだ。まあ、僕たちの誰かズルズルと引っ張っている尻尾を掴まれる恐れはない。まあ、他校の奴らは好きにさせたので、検挙されるにしてもそれは、自業自得というやつなんだそうだ。まあ、僕たちの学園の生徒で、お客さんであるどこかのマダムやOlなんかと手を切れないのもいるらしいのだが、それは各自“裏”で活動させている。そこまでは、僕たちは面倒をみることの必要性はない。

「あの人から貰うのは・・・優子に渡しているしな・・・結構、物入りだな。」

僕は、あの人。まあ、父親になった人なんだが、世間体を気にして、毎月10万円の生活費を貰っている。まあ、それで親の役目は果たしているらしいから、世の中面白い。
そのお金は、僕の奥さんである優子に渡している。最近、ご祈願やらなんやらでお金は入ってくるけど、その一部は優子の叔父さんのところから、仕入れてくる御札とかの費用も掛る。それに、ミサにだってお給料を払わなければ僕のプライドもある。本人はいらないと言うけれど、これだけは譲れない。
ピアノで貰えるチップが、僕のお昼ご飯や交通費、そして、僕の大切な人たちへのプレゼント代になる。
東京に居るときの生活費は、美希が出しているけど、家賃は僕がアルバイトをして払っている事になっている。
勿論、到底追いつけない額なんだろうけど、紗江子の好意に甘えているのが現実だ。

「う~ん!もうちょっと・・部費貰わないと・・大変だな・・・校長先生上げてくれないかな?」

僕はそう呟くと・・シャワー室から出た。それを待ちかねていたかの様に、僕の奥さんでもあり、鎮守の森の主である優子が僕の身体を手早く拭木上げると、微笑んで見せた。

「何かひとりごと言ってた?」
「うん・・ちょっとね。来年以降の活動費どう捻出するかね・・・」
「じゃあ・・バイト行くの?」
「俺は行ってもちょっとだけかな・・・お祓いもあるし・・紗江子のお店もあるしね・・・」
「スキーしたくないの?」
「全然!それより・・優子のそばが好き!」

優子は頬をバラ色に染めながらも、テレ隠しかどうか知らないけど、僕の腕を抓った。

「痛ぇ~」
「どうやら・・夢じゃないみたいね・・・」
「はあ?」
「夢だったら・・痛いわけないもん!」
「普通!自分のほっぺた抓るでしょ?」
「そうだったっけ・・それより・・早く準備しなきゃ・・・あれ?これ・・」
「うん!楊ママからのプレゼントだよ・・みんなの分も届いているよ!」
「お礼・・・・」
「いいの!また怒られるよ!一杯の娘が出来てうれしいんだからさ!」

僕は楊ママが用意してくれたタキシードの上着を着ると、さっきは感じなかった“異物”が内ポケットに入っているのを感じた。

「何か入ってる・・・」

そういいながら引っ張り出した封筒には、現金の束と手紙が入っていた。

「何だろ?」

そこには、僕の産みの母親が病気になった事。どうも精神的な病になったらしい旨と、ご祈願を宜しくと書いてあった。

「どうするの?」
「心情的に言えば、やりたくないよ!でもね・・・楊ママの頼みだし・・それだけあれば、年越し出来るしね。」
「じゃあ!やるのね?」
「仕方がないでしょ!神主が断るわけにはいかないもんね!優子!それ預かっておいて!」
「解ったわ・・あら・・もうすぐ出番!」
「はいよ!」

傍らに置いたバックから、譜面の束を取り出した。一応は覚えているつもりだけど、万一の用心のためだ。

「じゃあ!行って来る!」
「うん!」

僕は優子に見送られ、控室と言う名のナース軍団の休憩所を飛び出した。
勿論、向かうのは特設されたステージに鎮座しているピアノの前だ。僕のへたくそは演奏でも楽しみにしていてくれる人がいる。病院内をドタバタと駆け周り、訳のわからない着ぐるみ達の訪問を楽しみにしてくれている。おじいちゃんやおばあちゃんがそこにはいる。まあ、偶に羽目を外してナースさんに抱きつくけど、大抵、何十倍もの仕返しをされる仲間たちがいる。生まれてくる新しい命もあれば、人生の終焉を迎え、旅立ってゆく人もいる。
出会いもあれば、悲しい別れや嬉しい別れもここには凝縮されている。
編み物の得意なさつきおばあちゃんは、僕たちのイニシャルを聞きだし、僕たちにお揃いのマフラーを編んでくれた。それらが全て出来上がった翌日・・・おばあちゃんはこの世を去った。
ゴンじいちゃんは、どこかの会社のお偉いさんらしく、僕たちがノタノタと歩いていると、「腐らせるだけだから・・捨てちまうのは勿体ないだろ!」と果物を僕たちに食べさせるために、差し入れしてくれている。
ゴンじいちゃんは今、手術の真っ最中のはずだ。頑なに拒否してたんだけど、僕が子供たちに配った風船の余りを届けると、ニコっと微笑み、手術に同意したし、ロクスケさんは、狼’sに担ぎあげられ、リハビリ室へ強制連行された。何でも、元気になったら・・僕たちをブン殴るのが楽しみらしい。

「ガンバ[揺れるハート]!」
「うん!」

僕はミミから手渡されたピンクのうさぎさんの水筒から、神泉をゴクゴクと飲み干すと、予想をはるかに超える人々が集まっているステージへ上がる階段に足を掛けた。

「うっ!」
「どうしたの[揺れるハート]?」
「やけに・・多くない?大丈夫かな・・・」
「大丈夫!ホラこれ見て!」

手渡されたのは、手書きのポスターだった。そこには・・ちゃんと・・・

ネコ踏んじゃったレベルですので、温かい目で見守ってくださいと書いてあった。

「ねっ[揺れるハート]大丈夫でしょ?ちゃんと・・・書いておいたモン!あたし・・」
「なるほどね!少しは気分が明るくなったよ!サンキューミミ!」

僕はステージに駆けあがり、ピョコンと一礼すると、腰を降ろし、いつものステージ構成の始まりの曲。ミスターロンリーを奏で始め、この日のために用意したクリスマスソングを全て弾き終えた。
途中、2音ばかり外したがそれは、愛胸と言うものだろう。
何しろ、会場では仲間たちが、一輪の花を入院している患者さんたちに配りながら、着ぐるみを着ながらも僕の弾く曲に合わせ、おどけて見せたり、踊って見せたりしている。
僕は最後の曲を弾き終わると、仲間たちを全てステージ上に集め、拍手の中全員でピョコンと一礼をした。
控室に戻った僕たちは、また・・呼び戻される事になった。

「カーテンコールよ!みんな!早く![揺れるハート]
「お前等・その頭取っちまえ!」

兄さんが僕たちに呟いた。

「いいんですか?」
「ああ!どうだ!社会関係奉仕部も悪くないだろ?」
「確かにね!コソコソと悪さしてるよりも・・気分いいや!」

佐々木クンを始め、トナカイ’sや狼の着ぐるみを着た連中は頭を抱え、青○クンは付け髭を取り、駆けだした。

「ホラ!弟!お前も行け!」
「ええ!行きます!何となく校長先生がいつも言っている言葉が解る様な気が・・・」
「うん?」
「ボーイズ・ビー・アンビシャス!ですよ・・・じゃあ・・行ってきます!」

ステージのそばでは、仲間たちが待機していた。僕は仲間を集め、呟いた・・・

「なあ!お前等!アレ歌える?翼をください!」
「ああ!覚えさせられた奴だろ・・ナントカ・・な!・・」
「じゃあ!行くぞ!」
「おう!」

僕を先頭にサンタの青○クン。トナカイ’sの面々。鈴が気に入ったのか?良く解らないけど・・狼の着ぐるみに鈴を点けた狼’sの面々がステージ上へ次々と上がり、そして俄か聖歌隊のナースの面々もステージに上がってきた。そして全員で、“翼をください”を合唱して、ちょっと気の早いクリスマスコンサートは無事に終わった。
ただ・・・一点だけを除いて・・・僕はその場で胴上げされ、ステージの床へ落とされ、仲間たちに担ぎ上がられて、ステージを後にしたことを除けばだけど・・・・
大爆笑の渦の中、僕たちのクリスマス慰問は幕を降ろしたのだった。


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第13話へ続く・・・
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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第13話   [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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こっほん!

僕です。皆様!僕たちの笑いあり、涙あり(多分・・バカバカしくて先行きを不安に感じ、涙する親)、そしてちょっとだけ(大分かなぁ~)おませで、ヤリタイ放題、の青春(性春では・・あるかぁ~やっぱり!)劇場へようこそ!
もし、はじめての方がいらっしゃるといけませんので・・簡単に自己紹介をさせていただきますね。
僕は、オリンピックの年に誰にも歓迎されない子供として、この世に生を受けたんです。まあ、本当の血を分けた祖母にさえ嫌われて育ちましたから。でも、ご心配は無用です。やられたらやり返せ、それも千倍にして返せ!これが僕の生き方ですから、近くで捕まえてきたカナヘビやら、カエルを祖母の布団の中に放り込んだり、家中の廊下にワックスを塗る罰を喰らったときは、祖母の部屋の前だけご丁寧にワックスをたっぷりとサービスしたり
そうそう・・こんな事もありました。小さな小川の向こうに祖母の畑があったんで、そこへ渡る丸太を渡しただけの橋?をずらして置いたり・・これはおじいちゃんに見つかって、直されてしまいました。だけど、怒られませんでしたね。祖父は僕が受けている“差別”(お小遣いとかおやつの分け前とか)をちゃんと見てたんですね。
僕は今、某私立学園の高等部普通科の1年生。僕が天使の仮面を脱いだのが、小学校4年生の時。聴きたくもない話を無理やり聴かされ、大泣きに泣いて、涙が枯れる頃には、僕・・悪魔と契約してたんです。
僕は、まずはその話を無理やり聴かせた養父の妹一家を呪いました。その家族に災いが一杯降り注ぐことをです。その1年後、叔父にあたる人は、ガンで急逝。一家は僕が取りあえず属する旧家(何でも、名家なんで)の親族一同がら追放までされる羽目になったんです。丁度、養母が養父と離婚した頃のお話しです。その後の僕は“生きるすべ”だけを学んだ気がします。皆さんは信じられないでしょうが、文房具ひとつ買うために、ノート一冊幾らとメモを書いておくと、そのメモと引き換えにお金がテーブルの上に置かれる様になりました。
まだ、それでもかろうじて家政婦さんが居たので、ちゃんとごはんを食べる事も出来ましたし、洗濯もお風呂も寝る場所もあったんです。僕の生活が一変したのは、中学生の頃だったと思います。僕、名門中学校に合格してたんです。本人である僕が知ったのは、小学校1年生の時の担任の先生からの一枚のはがきでした。
たかだか名門中学校に受かったぐらいで、出身小学校名、名前が新聞に載ったそうで、それを読んだ先生が嬉しくて、僕にハガキを呉れたからです。それと同時に養父が家に連れてきたのが、ブルドックです。
命名したのは、Yクン。ご飯も養父が居る時は出てきますが、冷凍食品か買ってきたお惣菜をエサとして与えられておりました。家のお風呂にも入れてもらえなくて、銭湯に通い出し、コインランドリーで自分で洗濯してたんです。その頃からですね。僕の生活。つまり、高いところにある水の流れは低いところへ流れてゆく。
僕は墜ちるところまで、墜ちてやろうと心に決め、自宅にもあまり寄りつかなくなりました。ある日。養父から一枚のキャッシュカードが渡され、「俺に迷惑を掛けるな!金だけは恵んでやる!」こう言われて僕は、生きるだけのために、そして養父の見栄だけのために学校へ通っているんです。
僕たちの学園では全て毎回の試験結果とか成績表は郵送されるんです。多分、今頃2学期の成績表が手元に届いているでしょう。試験成績は満点。賞罰事項も書ききれないと思いますけど・・・
おやっ?そろそろ・・・開演の時間になった様です。皆さんをご案内するタイムトンネルも準備出来た様です。
それでは僕たちが一番輝いていた時代。昭和50年代へ皆様をご案内いたします。
注意事項を申し上げます。
時間旅行中は僕から決して離れないでくださいね!置きざりになる方もいらっしゃいます。
それから、僕たちの乱闘には決して乱入しないでくださいね。もし、乱入されると時空にひずみが生じるかもしれません。そうなるとみなさんにご迷惑がかかります。
それでは・・ご覚悟宜しいですか?では参りましょうか?ご一緒に・・・タ~イムスリップ・・・・・

ロマンティックな夜になるといいんだけどね・・・①

「レン!お疲れ様!何か飲む?」 

僕は隣接する町の外れ、いや正確に言えば村の中と言った方がいいのかもしれないけど、ちょっとした通りに面したスナック。まあ、ヤクザでさえ避けて通り、知らずにふらりと寄った客から、暴利を貪っていると言う噂が高い
T女の卒業生で、元スケ番で僕の奥さんである優子や鎮守の森に巣くう魔女をはじめとする。まあ、廻りのお客の大半。t分、99.9%は間違いなく元々怖~いお姉さま方の行きつけのお店であるスナック楓で、第一部のステージを終えていた。僕がパーティー費用にと売り払った4バカがボーイとして、首に付けた鈴をシャンシャン鳴らしながら、客席のお姉さま方にせっせと飲み物を運んだり、時にはほっぺたにキスされたり・・時には胸倉を掴まれながらも・・かいがいしく?とは言わないけど、とにかくコキ使われていた。

「そうねえ~」

僕はカウンターの止まり木に腰かけ思案した。優子たちは楊ママの話を熱心に聴いていた。

「あのね!母乳のジントニック割・・・」
「残念ねえ~今日は母乳出る娘はと・・やっぱり居ないわ!」
「だろうねえ~言ってみただけ・・・」
「わたしのでよければ幾らでも吸わせてあげるけどね[揺れるハート]
「ま・・間に合ってます!」
「失礼しちゃうけど・・そうよねえ~あれだけ居ればね!でも・・いつかいらっしゃいね!吸いたくなったら・・・」
「うん!」
「で・・何がいいかしら?いつものコークハイ?」
「ブラッディーマリー頂戴!」
「渋いの飲むわね・・・」
「ソルティードッグでもいいかな・・ええと・・・」

僕は優子や楊ママの座っているテーブルを窺った。僕の視線に気付いたらしく・・優子が僕を手招きしている。

「ママ!やっぱり・・コーラ、大きいジョッキで!拙いかもしれないからさ・・・」
「解ったわ!」
「潰しておいてくれれば良かったのに・・・・・・」
「まあね!ほら睨んでる!コレ持って行きなさいね!サービスなんだから・・・」
「ありがと・・・」

僕は生ビール用のジョッキにコーラをなみなみと注いでもらい、両手で抱えて、優子たちが座っているテーブルに運んで行った。

「ふうっ!」
「Q・・お疲れ様!良かったわよ・・・」
「ママにそう言って貰えると・・図に載っちゃうけどね!」
「でも・・また、一音外してる!」
「バレたか・・・・仕方無いんだよね!耳で覚えちゃったもん」
「えっ!呼んだ?」

ミミは既に優子たちに潰されかけていた。正式採用と正式に卒業の目安がたったからだ。ミミはT女を卒業後、カオリの家で経営している。総合病院で働きながら、夜学で看護婦になるべく学校へ通うことになっている。まあ、ミミの成績もさることながら、家庭の事情とか色々ある。ミミは僕が耳と言ったのをミミと聴き間違えていたのだ。

「来年の春になったら、ミミも寮に移らないといけないわねえ~」
「そうなの?」
「えっ!そうなんですか?」

僕とミミはほぼ同時に優子に尋ねた。

「うん!ミミは看護学生のための病院の寮に入るの!決まりだからね・・・」
「優子さんの時はどうだったんですか?」
「あたしは・・・・」
「姉さんは家の事情もあったし・・あたしの先輩だったし・・・」

カオリが代わりに答えた。

「ずるいですよぉ~何とかなりませんか?一生懸命やりますから・・・」
「優子!どうにかしてあげられないかしら?」
「はい・・楊ママがおっしゃるんでしたら・・カオリ!・・・・」
「はい!仕方ありませんね・・・母と父に交渉しますよ!その代わり・・・」
「解ってます!一生懸命・・・ええと・・・2足のくつ・・・」
「ミミ!2足のわらじ・・・」
「そうそう・・2足のわらじで頑張ります!」
「これで決まりだね・・」

僕は手にしたジョッキをグイグイと飲み干した。

「駄目よ!そんなにグイグイ飲んじゃ駄目!」
「何でさ・・・もうじき出番なんだよ?」
「お酒入っているでしょ?」
「ざんねんでした・・ただのコーラでした・・・」

僕はママ特製のコーラを飲んでいたのだ。ちょっぴりだけ・・そう、ウイスキーを混ぜてある特製コーラだ。

「そう?それならいいけど・・・」
「さてと・・次ノステージに行って来るね!オーイ!ボーイくん!なんだ・・赤か・・」
「悪かったな!片付けていいのか?」
「ああ・・頼む!」

僕は通りかかった赤沼クンにジョッキを渡し、証拠隠滅のために渡した。彼は首に付けた鈴をシャンシャンと鳴らし、ジョッキを片付けて行った。

「ではと・・そうだ!何かリクエストあります?」

僕は道化師のマネをしながら、おどけて聴いて見た。

「あたしは・・・あの曲!歌入りで・・・・」
「あたしも・・さっきの・・・」
「解った!優子はアレで・・ミミはアレね!他には?」
「あたしも・・・」
「聴くだけヤボでしょ?」
「ご尤もでございました・・・それでは・・流れるかどうかお楽しみに・・・・」

僕は深々と一礼すると・・ステージに舞い戻った。勿論、一曲目は決まっている。
オープニングナンバーである。”ミスターロンリー”だ。
弾き始めると同時に僕はスポットライトを浴びるのだ・・・


僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第14話へ続く











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僕たちのクリスマスパーティー大作戦! 第14話  [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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ロマンティックな夜になるといいんだけどね・・・②

「なあ!部長の奴。頑張ってるかな?」
「佐々木ぃ~何の話しているんだ?」
「やだな!先生でしょ!早く赤ん坊の顔見せろって言ったじゃないですか?」
「俺が・・・そんな事言ったか?」
「言いましたとも・・・なあ!みんな!」
「言った・・言った・・・それで、部長も頑張るって宣言したからなぁ~」

地区長の家の母屋では、“麦のジュース”が振る舞われ、更にお米を発酵させた“透明なジュース”の大瓶が、
1本また1本と空いてゆく。

「お前等に酒を飲ませるわけにはいかないからな!これはジュースだ!いいな!」

佐々木クンが率いている。地区長の家残留組に“異存”はなかった。特に、透明なお米を発酵させたジュースは、さっき学年主任である。兄さんが、僕から巻きあげて帰っていったのだ。

「しかし・・出来ねえもんだな・・」
「何をだ佐々木ぃ~」
「やだな!先生!赤ん坊でしょ・・・そろそろ・・お腹大きくなり始めてもおかしくないと・・・」
「バカタレ!犬や猫じゃあるまいし・・・そうだろ!佐々木!」
「大丈夫ですよ!部長も優子さんもイヌ科ですよ・・・オオカミだから・・・」
「ったく・・お前等の頭の中身はそれだけしかねえのか?」
「ええお陰様で・・・今頃アォォォォォォ~ンかな?」
「ったく・・・あいつはともかく、お前等までは勘弁しろよ!」
「了解っす・・・多分ですよ・・・お約束できませんが・・なあ!みんな!」
「てめえら・・・まさか・・・」

佐々木クンの推理?は当たっていた。僕は一生懸命せっせと・・・励んでいた。まあ、やるな!と言われたって“ヤリタイ盛り”なわけで、数撃てば当たるかもしれない。何しろ、関戸のオババにこれ以上変な薬を飲まされては、アッチコッチに子オオカミが生まれても困る。いや、別に困りはしないけど、やっぱり、優子が僕の奥さんなわけで、優子が見事“ご懐妊”になって貰わねば困るのだ。

「ねえ!先生!」
「あん?」
「先生は結婚しないんですか?キー先生みたいに上手く行くといいですねえ~」
「し・知るか!お前等の面倒みるだけで、コッチは大変なんだぞ!」
「おい!聞いたか?じゃあ・・スキー場のバイト断るか?」
「だな・・・」
「お・・お前等・・・」
「知ってますよ!吐いた方がラクになりますよ!優子さんから聴いたもの・・・」
「優子が?あの・・馬鹿妹めっ!」

後で佐々木クンから聴いた話によれば、兄さんの顔は真っ赤に染まっていたらしい。兄さんは大学時代に山岳部に所属しており、無二の親友で山で遭難死した守さんの妹で、兄さんから見れば妹みたいな存在だった純子さんと街で再会。まあ、再会と言うより、“呼び出された”のだ。何でも、純子さんは、ご両親ともうひとりのお兄さんで、やはり兄さんの山岳部時代の大先輩である進さんと守さんが死んだ山が見える場所で、ロッジを経営していたのだ。

「絶対・・唆されたんだわ!」
「ば・・馬鹿!お前等に山の魅力を・・・・」
「もう充分に、俺ら山登りしてますよ・・・」
「そう言うな!お前等社会関係奉仕部だろ?人助けが・・・」
「顧問を助けろと?」
「そう言うことだ・・・」
「バイト代・・安くねえかな・・・」
「いいのか?お前等・・・折角、女子校のスキー教室があるからと思ったんだが・・」
「早く言って下さいよぉ~そう言うことは・・・なあ!みんな!」
「そうそう・・・」
「そうだよな?俺が神様に見えるだろ?」
「はい!」
「文句言わずに働くな?」
「働きます!」
「バイト代は遠征費用として没収するがいいな?」
「結構です!」
「解ったら早く寝ろ!それからクリスマスパーティーするんだってな?」
「ええ!明日の夜ですけど」
「あんまり・・羽目を外すなよ!俺は明日の朝帰らねばならん。」
「わっかりましたぁ~」

その頃、僕は“一戦”を終え、優子に更なる情報と言う奴を聴きだしていたのだ。

「それで・・・あの兄さんがね・・あはは・・・」

僕は布団の上で、腹を抱えて笑っていた。優子は小ぶりの二つの桃の下で、腕組みをして、笑い転げる僕を睨んでいた。

「笑いごとじゃないわよ!」
「いいじゃん!そう言う事なら“協力”しなきゃな!お互い“持ちつ持たれつだ”から・・・・」
「でも・・・」
「デモもへったくれもないじゃん!あの兄さんがね・・・あはは!明日が楽しみ!」
「何か企んでいそうな顔ね?」
「判る?」
「もちろん!」

兄さんの彼女だった純子さんが僕たちに会いに来るのだ。それも明日。そのまま帰るのは大変なので、鎮守の森に滞在してもらうか?地区長の家に泊まってもらうことになっている。

「青○の二代目にしてみるか・・・でも、兄さんが学校辞めたら困るしな・・・上手く行って・・・」
「そうねえ~幸せになってくれるのならいいけど・・・“歯止め役”いなくなっちゃうもんね!」
「純子さんはロッジ辞めそうもないんでしょ?」
「そうじゃなきゃ・・断らないと思うんだけど・・・」
「へっ?」
「昔、プロポーズしたのよ!兄さん・・・」
「それで・・断られたと・・・」
「早い話はね。でも、彼女も未だ独身だし・・・」
「そんじゃあ~くっつけちゃって・・但し、俺らが卒業した後、学校辞めてもらってロッジへ行かせるか?」
「出来るかな?」
「んなもん!楽勝じゃん!なるほどね・・腕が鳴る鳴る法隆寺・・・」
「それを言うなら、鐘が鳴る鳴るでしょ・・・」
「そうとも言うけど・・・優子!ちょっと耳貸して・・」
「ミミ?ミミは貸せないわよ物じゃないし・・・」
「あっちのミミじゃないの!優子の耳!全く・・ミミに改名でもしてもらおうかな?イヤリングの耳!

僕は優子の耳元で作戦の概要だけ説明した。優子はウンウンと頷きながら、ニヤリと笑った。

「それで行こうか?」
「でしょ?しかし・・あの兄さんがねえ~山岳部だったとは思えないよ・・」
「昔はアレでも鳴らしたのよ・・・遭難しかけても自力で帰ってきたし・・・」
「兄さんが山男なら、俺らカモシカ並みだな。いや、オオカミだから当たり前か・・・」
「そう言わないの!ビールの飲み過ぎかしら?」
「だね・・・あのお腹はヤバイよ!まあ、いいや・・・で?どっちに賭ける?」
「何が?」
「決まってるじゃん!兄さんと純子さん・・上手く行くかどうか?」
「そりゃあ・・上手く行って欲しいけど・・・」
「うん。俺も・・・でもねえ~難しいな!兄さんの場合。」
「どこがかしら?」
「おっちょこちょいでしょ!まぬけでしょ!まあ~アレだけ不器用なのみた事が無い!」
「酷いわね!一応、あたしの兄さんなんだけど・・・」
「だから、オマケしておいたけどね。でも、俺らは好きだよ!兄さんは・・・」
「昔は天敵だったんじゃ・・・」
「昔はね!そうだ!感謝しなきゃいけないな・・鎮守の森に送ってくれたの兄さんだもんね!」
「そうねえ~あの時は面白かったわ[揺れるハート]・・・」
「あっ!そうだ・・あの時は大変お世話になりまして・・・」

僕は布団の上にちょこんと正座をすると頭を下げた。優子は今にも噴き出しそうな顔をしている。

「いいえ・・こちらこそ!大量のプレゼントにカエルをいただいて・・・あはっ[揺れるハート]
「いえいえ・・こちらこそ!水風呂に池で泳がせていただいたり、プレゼントのお返しを頂いたり・・・」
「そうだったわね・・色々あったわ。」
「まあ、こうして鎮守の森に優子といられるのも兄さんのおかげ・・・山でお守してくるよ!」
「どうやって?」
「ひ・み・つ!それよりさ・・・」

僕は優子を抱きしめると廻りの期待に応えるべく、2回戦に突入していった。その頃、佐々木クンたちは軽く1ケースのビールを空け、兄さんに山の魅力とかを大量に吹き込まれていたのだ。後で聴いた話によれば、僕たちは全員、登山部も掛け持ちになったらしい。社会関係奉仕部として、山登りをしながらゴミを拾い集めるのだそうだ。僕と優子の息遣いが荒くなり、鎮守の森に差し込む月の明かりに照らされながら、僕と優子の影はひとつになったままだった。

ロマンティックな夜になるといいんだけどね・・・③へ続く

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