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高1の冬・・・ちょっとえっちな話。 ブログトップ
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第36話          [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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「嵐の前触れ・・・」8

「お願いだから・・・試験期間中だけは・・大人しくしていてね。」
「うん。我慢する・・・」

優子の声が頭の中を木霊のようにグルグル廻っている。紗江子もそんなことを言っていたし、次々に電話を代わったミサや洋子、奈々子、カオリ・・・それにミミまでが同じ様な事を言うから、耳にタコが出来るくらい。
いつもより、早目にベッドへ入ったものの・・その言葉が次から次へと声色が代わり、なかなか寝付けない。
美希が洗濯や掃除、それに夜食の下ごしらえに、“禁断の巣”に戻っている間に僕は2度も紗江子の中に、僕の“僕自身”を突きたて・・そして僕の分身を放った。そして・・最近、僕が東京に居るときは必ず、“レン’sナイト”営業に代わる紗江子の店で2時間のステージをこなし、アンコールを5曲も弾き、美希と二人で手を繋ぎ、”禁断の巣”に戻り、台所仕事をしている美希の後ろ姿に発情して、1度後ろから襲いかかり、僕は美希の中に僕の分身を放ち、ノートを眺めながら、美希の作ってくれた夜食を腹に収め、美希の出す問題に全てに答えた。
そして・・二人でお風呂に入り、僕と美希はいつものようにベッドへいつもより、早くベッドへ潜り込んだのだ。
本当なら・・クタクタなはずなのに・・なかなか寝付かれない。まあ・・・散々お世話になった“教則本”を切りぬいたり、拡げたりして、僕たちは罠を作った。その罠に捧げられた・・貴重なコレクションの祟りなんだろうか・・・
僕はなかなか・・寝つかれず、ベッドで頻繁に寝がえりを打つ。

「眠れないの[揺れるハート]?」
「うん。おかしいよね。こんなに試験勉強なんかしたのは久しぶりだし、やることは全てやったんだけど・・・興奮しているのかな?なかなか・・眠れないんだよね・・・」
「そう[揺れるハート]・・・じゃあ・・・いらっしゃい[揺れるハート]!」

ベッド再度の淡いピンクのルームランプの灯りが揺れ、美希は静かにネグリジェのボタンを外しながら、僕に微笑みかけてくる。まあ・・挑まれて断ったら男が廃る。それに僕はヤリタイ盛りの16歳。
僕は美希に挑みかかり、美希の身体に再び“We’re all alone”のメロディをしっかり刻み込んだ。
その夜、僕は都合3回、紗江子を入れると5回もそれぞれの神秘の泉の中に、僕の僕自身を突きたて、そして僕の分身であるお魚さんたちを放った。
僕は美希の神秘の泉の中に僕の僕自身が咥えこまれたまま、美希の胸に抱かれて・・・そのまま深い眠りに落ちて行ったのだ。

翌朝、僕は泥沼に陥ったように寝ていたらしい。僕よりも早く目覚めた美希はシャワーを浴び、前夜の名残を洗い流し、出勤のための化粧を施し、僕のために朝食を作りだしていた。
僕は、早目にセットしておいた目ざまし時計の音に、目覚めそして、開け放たれたリビングダイニングから漂う”朝食の香り”に寝ぼけ眼のまま・・ベッドから這いだし、リビングダイニングへのそのそと出て行った。

「おはよう・・美希。」 真剣な表情でフライパンのベーコンエッグに集中している美希の後ろから、僕は抱きついた。
「おはよう[揺れるハート]・・よく眠れてたみたいだったわ。シャワー浴びてきたほうがいいわね・・・」
「うん。」

シャワーを浴び、脱衣所に出ると美希がバスタオルを拡げて待っていた。美希は僕の身体を手早く拭きあげる。
僕はバスローブとガウンを身につけ、美希に促され食卓に付いた。
テーブルに用意されていたベーコンエッグ・クロワッサン・サラダオレンジジュース・コーヒー。そして、僕の命の源になりつつある・・“神泉”が用意されていた。
僕はそれらを全て平らげ・・・そして・・美希が用意しておいてくれた・・“通学服”に着替えた。
美希は、僕の首にネクタイを結びながら・・・

「お願いだから・・・試験期間中だけは・・・我慢して頂戴!」と繰り返して言う。
そして、そのたびに・・僕は頷くのだ。

「解ってるよ・・美希。鬼クマなんか眼中に置かないからね。何せ・・試験期間中は“あちらの天下”だもんな」
「うん[揺れるハート]。本当は試験監督も阻止したかったんだけど・・・」
「大丈夫!みんなにも相手にするな!って言ってあるし・・・その代わり・・・・」
「うん。“試験”が終われば・・・自由に暴れまわっていいわ[揺れるハート]。他の先生方も楽しみにしている方もいらしゃるもの・・・あなたの担任の田中先生とか・・・」
「へえ~キー先生がね。」
「そうみたいね[揺れるハート]ねえ・・ひとつ聞きたいんだけど・・・なんで・・キーって言うの?」
「いつも・・キーキーうるさいじゃん!入学式の日なんか俺らのクラスの解放・・他のクラスより2時間後だよ・・」
「ああ・・それで・・あなたが委員長に立候補したわけね[揺れるハート]!」
「そうしなかったら・・・翌朝まで帰れそうになかったもん。あの目はマジだった・・・」
「だって・・あなたたちのクラスだけでしょ?入学式に出られなかったメンバー・・・」
「そう言えば・・そうだわ。おかげで・・全員“社会関係奉仕部”だもんね。お世話になっております。」
「いえいえ・・・お世話させていただいております。」
「さてと・・ちょっと早いけど学校へ行くかぁ~」
「うん[揺れるハート]途中までよね・・・一緒に行けるの!」
「まあね。いつもそうだもの・・・・あいつらは口が堅いからいいけど・・・」
「くれぐれも・・・」
「うん。解っている!辛抱するさ・・・試験期間中だけは・・・」
「じゃあ・・行きましょう[揺れるハート]
「うん。」

駅までは一緒に行くけど、僕は一本後の電車に乗る。そして・・途中で乗り換えてしまう。
そうすれば・・利用の駅は違うので、学校関係者にバレる心配はまずない。

「そうだ・・・薬局のおばちゃんとこに寄って行こう!」

僕はつぶやくと・・薬局へ寄り道をすることに・・・冷蔵庫の中の常備が切れていたし、まあ・・体力測定とか、スポーツ選手ではないから・・ドーピング検査が仮にあったって・・関係はない。

「おばちゃ~ん。いつものセット頂戴!」
「あいよぉ~久しぶりだね。また“遠征”に行っていたのかい?」
「うん。今日から・・期末試験だからさ・・“お勉強合宿”してたの・・・赤点取ったら・・・大変だからさ!」
「うんうん。飲んでいくかい?」
「うん。飲んでゆく・・・」

僕はユンケルと赤まむしをチャンポンにして・・オマケに貰ったビタミン剤と共に喉に流し込む。

「じゃあね・・おばちゃん!」
「あ・・忘れるところだった・・・何でも“静香”のママが顔を見せたら、寄ってくれるようにって・・伝言」
「うん。どうせ・・昼飯食べに行くから・・・・」
「じゃあ・・試験頑張るんだよ!そうだ・・はい・・これ!おまけ・・・」
「いいの?おばちゃん!ありがとう・・・」

僕はいつものセットを1セット“タダ”でもらい、学校への道のりを歩いてゆく。そして学校へ入る前に、いつも僕がこける場所で待ち構えていた仲間たちと合流する。

「お早う!」
「おう!部長・・やけに早いじゃん!」
「まあな・・偶にはこんなこともある。それより・・・試験期間中は大人しくしてろよ・・・特に・・佐々木」
「解っているって・・・今度、ダブったら・・後ねえからな!」
「みんな・・覚えただろうな!」
「ああ~適当に・・・8割くらいな。」
「まあ・・満点続出じゃぁ~バレるしな・・・みんな一緒のとこ間違えるなよ!」
「解っているって・・それより・・・鬼クマの野郎張り切っているみたいだぜ・・・・」
「この際・・”慇懃無礼”で行こうか?」
「そうだな・・じゃあ・・行くか!」

僕たちは正門でやはり・・・木刀を持って立ちつくす鬼クマに礼儀正しく・・・

「おはようございます。熊田教官!」とあいさつをした。
「おぷ!お前らは教室じゃねえ~会議室での試験だ。この俺様がお前らの化けの皮剥がしてやる!俺が良いと言うまで・・・そこへ並んで立っておけ!」
「はい!」

僕たちは正門のそばに立ち、カバンから“予想問題”を取り出して見ているフリをした。そこへ・・・

「よせよせ・・・無駄だぁ~!お前らの頭じゃ・・・落第する野に決まっておろうが・・・」
「そうですか?じゃあ・・止めるか?悪あがき・・・」
「そうだな・・・」

そこへ兄さんが現れ・・・僕たちを正門が閉まると同時に会議室へ引率してゆく。その後ろから、鬼クマが木刀を肩に背負ってノッシノッシと歩いてくる。美希は試験問題が入った厳重に封印された封筒を持っている。
僕たちは会議室にバラバラに座らされ、鬼クマが封印を破り・・その用紙を配るよう美希に命じたのだ。



「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第37話へ・・・続く・・・







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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第37話          [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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「嵐の前触れ・・・」9

「いいかぁ~お前ら!注意事項を言っておく。私語は禁止だ。それにカンニング行為は、即退学処分にしてやる」
「熊田教官!ひとつ宜しいですか?」 美希が耐えかねたようだ。
「ええ~どうぞ・・佐山先生。私は監視役ですから・・監督は学年主任とあなただ・・・」
「解りましたわ。みんな・・ちゃんと“普段の実力”を全部出し切りなさい・・いいわね?」
「はい!」
「それから・・先生は何か仰られることはございませんか?」 

美希は兄さんこと学年主任へ振った。多分・・僕たちへの“暗号文”が含まれるはずだ。

「ええ・・じゃあ・・ひとつ。“君たちの行い”は全て“監視”されている。他の者の試験の邪魔をしないように忠告しておく。もし・・そのような“不届き者”がいれば・・後日、“処分”されることになる。以上」

僕は頭を傾げた・・君たちの行い?僕たちは、試験に臨むだけだ。それに・・・監視?ここには何もないはずだ・・
それに・・・仲間の試験の邪魔をする馬鹿はいない。
必死に僕は・・・頭の中で兄さんの暗号文章の組みたてに入った。
「解ったぞ!あれは・・僕たちじゃなくて・・・鬼クマへの警告なんだ・・・」 僕は心の中でつぶやいた。
つまり・・・君たちの行いは、鬼クマも含まれるはずだ。監視は監視役ときっと僕たちのために“隠しマイク”でもしかけてあるのだろう。カセットテープなら60分は片面録音できる。それに、僕たちは仲間の邪魔をしない。つまり、鬼クマが、僕たちの試験の邪魔をすれば、”証拠となるテープ”が職員会議や理事会に提出されるんだろう。

「それじゃあ~みんな。筆記用具は、全てこちらで用意したものを使うこと。全部カバンにしまいなさい。」

まあ・・・マークシート方式なので、僕たちが普段使うシャーペン(シャープペンシル)では、“判読不能”に
なりやすい。そこで・・学校側は”手作業”を余儀なくされる。そこで・・・僕たちの成績の改ざんをしたのではないか?と鬼クマがちゃちゃを入れ、全校生徒に学校側が用意した鉛筆3本と消しゴムが1個配られることになったらしかった・・・そららさえも・・・各自名前を書いた封筒に入れ、学校側へ預けるという面倒な措置が行われたのだ。何しろ“カンペ作戦”はイタチゴッコみたいなもの・・・だから、学校側も鉛筆に、細工すら出来ない様にしているのだろう。
僕の予想いや・・大方の予想通りと言うべきか、それとも全員の予想が的中したと言ったほうが、“正しい”のか早速・・1時限目から・・“鬼クマの嫌がらせ”行為は始まった。それも、僕に集中しての攻撃。
まあ・・予想通り何しろ・・この前、大衆の面前で“階段落ち”の恥をかかせている訳だし、昨日は昨日で、散々やり込めている。
鬼クマは会議室の中を、木刀を片手にのっしのっし歩き・・・まあ・・その姿は美希がこっそり・・カメラで写真に収めていたが・・・兄さんは僕のそばに置いてある机に座り、カセットテープレコーダーのスイッチを入れたらしい。
鬼クマは、僕の机のそばまで来ると、”わざと”転びそうになりながら、僕の座っている机にぶつかってくる。
それでも・・・平然として(内心は殴りかかりたいところだけど・・)問題を斜め読みに読みとばし・・・それでも・・ウンウン唸るマネをして見せる。その間に仲間たちを鬼クマの攻撃から守るのが、神様が与えた試練なのだ。
平然としてみせているわけだから・・・今度は大きくぶつかりながら・・・一応・・・

「済まんなぁ~部長ぉ~」 

僕に言う。それでも・・・“私語”は禁止なわけだから軽く会釈をする。そう・・・慇懃無礼な態度だ。
仲間達は早々と試験を終えているみたいだ。
僕はそれまでのスピードブレーキを開放させる。つまり、ちんたらやっていたのを・・一気にマークシートに、
写し終える。

「なんだ?部長・・解らないから適当に塗ったのか?ん?それとも・・お前は馬鹿なんだな・・・」

僕は美希のコールを待っていただけだ・・・

「あと10分!出来た人から提出して退出しなさい。」

僕は最後に解答用紙を提出すると、手をあげ“発言許可”を求めた。

「はい。部長。いいわよ・・・全員退出したから・・・・」
「はい。ありがとうございます。熊田教官!」
「なんだ?」
「ご自信がおありでしたら、参考までに解いてご覧になったらいかがです?まあ・・国立レベルの問題ですけど・・・ね。それも・・・下の下。あっ!熊田教官は体育大学でしたよね・・・それじゃあ・・・ご無理ですね・・・」
「なんだとぉ~」

その間に美希は慌てて解答用紙を封筒に入れ、封印をする。つまり・・・採点機にかけるまでこの封印は破かれないようになっている。

「さ・・佐山先生!部長の答案見せてください。」
「あらぁ~残念ですけど・・もう封印してしまいましたわ・・・」
「そうですよ・・熊田教官!あなたが・・主張されたんでしたよね・・・“改ざん”出来ない様に封印すべしと・・」

鬼クマは何も言わずに、会議室を出て行った。第一ラウンドは引き分けが微妙な判定だろうけど・・・・

「おい!無茶するな!これ以上挑発してどうするつもりだ・・・」
「そうよ!さっさと・・封印シール貼っちゃったから良かったけど・・・」
「大丈夫ですよ・・・録音出来ました?」
「ああ・・・解っていたのか・・ばっちり・・録れているいるはずだ。」
「こっちもね・・・時計を入れて邪魔している様子バッチリ・・撮影したもの・・・」
「ありがとうございます。」
「うん。あと・・1時間だけ辛抱しろ・・・いいな!」
「はい。芸術の試験は・・・音楽室ですからねえ~それに・・試験は準備室だろうし・・・」
「じゃあ・・・ノートを見ておきなさい・・いいわね!」

さて・・・次の時間はどんな手を使ってくるのだろう・・・とっても楽しみな僕。
どうせ・・あとで・・1000倍にしてお返しするから・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第37話へ・・・続く・・・・
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第38話            [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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こっほん!

僕です。やっぱり・・未来の僕はどうしようもない奴になっているみたい。(想像通りですけど・・・)
多分・・・30は当たり前・・40になっても女の子を追い回していそうな・・
まあ・・・僕たち・次の出番に備えているのに・・・未来の僕どうしちゃったんでしょうねえ~
えっ?なんですか?・・・ああ・・やっぱりねぇ~そんなところでしょうねえ~
そろそろ・・・尻でもけっとばして来なくてはいけませんよねぇ~
何せ・・・僕たち“悪たれ連”を蘇らせたのは・・・未来の僕なんですから・・・
おや?レディース軍団が殴りこみにいったようですけど・・・(オ~イ!始まるってよぉ~)
佐々木クンが“準備OK)の合図を送ってきました。
それでは・・皆様“時間旅行”の準備はよろしいでしょうか?
僕たちが一番輝いていた時代・・昭和50年代へ・・・タ~イム・・・スリップ・・・・

「嵐の前触れ・・・」10

「さぁ~て・・次のテスト・・・どんな手を使って来ると思う?」

僕は佐々木クンが差し出したジュースを受け取りながら聞いてみた。

「そうだなぁ~今度はお前だけじゃなく・・・俺らにも仕掛けてくるんじゃないか?」
「うん。さっき・・お前らが外へ出た後、提出してから恥かかせてやったから・・・・」
「ドアの外で耳を当てて聞いてた。あいつに出来るわけないじゃん。運動馬鹿なんだから・・・」
「でも・・よく“教職”取れたよなぁ~そこが不思議なんだけどな。」
「ああ・・・親父の情報によると・・理事長があっちこっち手を廻したらしいけどな・・・」
「道理で・・・縁故採用だもんな・・・それより・・・お前ら・・・」
「解っている!何をされても・・我慢すればいいんだろ!」
「そう言う事・・・・」

僕たちは、試験会場である会議室に勝手にはいることは許されない。まあ・・・これも鬼クマの陰謀のひとつ。
まあ・・何せ“礼儀”だけはうるさい学校だから、会議室の前で大人しく入室許可が出るまで、立っていなければならない。
美希が次の試験の問題を持って降りてきた。兄さん事・・学年主任は階段を飛ぶように降りてきた。
多分、“採点室”がある2階に居たらしい。

「ようし・・・お前ら入室していいぞ!」
「はい!」

そうは答えたものの・・・“鬼クマ”は姿を見せない。代わりに体育科の鈴木教官がやってきた。

「おや?鈴木教官どうしたんですの?確か・・監視役は熊田教官のはずですよねえ~」
「佐山先生・・そうなんですけど・・・熊田教官は“採点”が気になるみたいで・・・お前が行って来いと言われたものですから・・・・」
「そうなんですの?ま・さ・か・・・“改ざん”はしてませんわよねえ~」

美希は、鬼クマが僕の答案を改ざんするんではと思ったらしい。そこへすかさず・・兄さんが割り込む。
僕たちは知らん顔をしてそれぞれ割り当てられた机に座るのだけだ。

「大丈夫ですよ・・佐山先生。ここにいる生徒の答案が、機械にかけられるのを監視してきましたから・・・」
「そうなんですか・・・」
「ええ・・・そうなんです。校長先生の立会の元にね。」

そう言いながら兄さんこと学年主任は、僕たちに微笑んで見せた。
つまり・・鬼クマがいくら“権力”を使って・・僕たちの採点結果を、改ざんしようとしても、校長先生が防波堤になってくれている。それに、全て外部業者に委託されている機械の運営は、鬼クマがいくら喚こうが、無駄なこと。
多分・・・僕たちの点数がはじき出されるのを、“茫然”とみているだけに違いない。
物理の問題は、数値が違っていただけだから・・楽勝。まあ・・問題を考える人も大変なんだろうなぁ~
まあ・・校長の狸親父の弱みは“大量”に握っているので、まあ・・裏切ることはしないだろう。
裏切られたら・・表に帰っちゃうもんね僕たち。全部・・・洗いざらい喋ったら・・大変だろうなぁ~校長先生も・・・

「はい・・・じゃあ・・筆記用具を先に配るわね。今のうちに鉛筆を削る人は削っておくこと・・・」
「は~い!」

僕たちは自分の名前が書いてある(自分で書いたんだけど・・・)封筒から、鉛筆と消しゴムを取り出すと、一斉に鉛筆削りに向かった。まあ・・幸いなのは電動式だからいいけど・・・まあ・・ボンナイフでもカッターでも、ドスだって何だって・・僕は使いこなせるけど・・・・
歴史の試験は世界史と日本史がチャンポンになっちゃっている。まあ・・・他のクラスでは、ちゃんと授業が行われているらしいが・・・僕たちのクラスは先生が・・真っ先に授業を放棄しちゃったので、大抵・・プリントを配られて終り・・・・僕たちが居てもいなくても・・・まあ・・いなければ“自習時間”は少なくなってきているらしいが・・・

「それじゃあ~全員開封終わったわね・・・はい!始めなさい・・・・」

鈴木教官は僕たちの味方。だって・・・お隣の病院の看護婦さんと仲良くなりたいらしく・・僕たちを肉まんで“買収”したくらいだから・・・まあ・・・しょうがないから・・・誰かを怪我でもさせて・・付添で言って来るしかあるまい。
だから・・鈴木教官は“チェック表”に封印確認のサインをすると・・・椅子に座ったまま・・僕たちがやっている問題を眺めては・・ため息を吐いた・・・きっと・・解らないんだろう・・・・
まあ・・・兄さんが何やら耳打ちしているから・・きっと・・兄さんは鈴木教官を仲間に取り込んだのに違いない。
だって・・鬼クマ以外にサッカー部の監督しか来ないなんて不自然すぎるもの・・・8人中6人が休暇願なんて出すわけもないし・・確率から言ってもおかしい。きっと・・・兄さんが“休ませた”にちがいないんだと確信した僕。
後で・・聞いてみようっと!
まあ・・・歴史は1個だけ引っ掛かったと言うより・・解らなかった・・・まあ・・・100点じゃなくてもいいやと適当に答えておけばいい。何しろ・・4択問題だから・・・僕が100点を取るとすれば・・可能性は25%だ・・・確率から言えば・・・

「はい・・10分前!出来た人は提出して・・・退席していいわよ!」

僕たちは次々に席を立つ。もちろん筆記用具は封筒にしまい、今日の日付印の入っている封印シールを貼る。
それと一緒に試験の答案を提出すれば・・本日の残りは、遠征で忙しかったので、受けていない“芸術”の試験を受けに、それぞれ選択している各教室へ向かう。僕たち12頭のオオカミは7名が音楽を選択しており、5名は美術だ。
それぞれ・・・と言っても校舎の端に並んでいる教室へ向け、最上階までダッシュで登る。
音楽を選択している僕たちは、楽器演奏と歌の試験。美術を選択している奴は、デッサン画の提出。
歌の課題曲は、「エーデルワイス」。まあ・・・どんぐりの背比べと言ったところ。
呼吸を整える暇も与えられずに・・・まあ・・・与えられても無駄だけど・・・一人一人呼ばれて音楽準備室に入り、
先生の弾くピアノ伴奏に合わせて・・・歌う。僕は出席番号順なので、最後から2番目だった。
ちなみに・・・トリを務めたのはYクン。

「じゃあ・・次は楽器の演奏だが・・・何がいい!」

僕以外はみんな・・ギターを選択。僕は“スモーク・オン・ザ・ウォーター”くらいしかギターは弾けない。

「じゃあ・・・ギター組から弾いてもらおうかな?委員長はピアノでいいんだな?」
「はい。それくらいしか・・・」

ギター組が、“ほぼ壊滅状態”で次から次へと処理される。

「じゃあ・・頑張れよ!サイレント!」
「ああ・・・サイレント!」

僕たちはこの後、“静香”で昼飯を食べる事になっている。どうせ・・みんな“僕のつけ”で食べる。
そして・・僕は満腹状態になった後、“食べられちゃう”わけだが・・・・・

「委員長!君の番だ。君はピアノだったね?」
「はい。でも・・怒られる前に言っておきますけど・・・クラシックは弾けません。猫ふんじゃったレベルですから・・・」
「じゃあ・・・君の好きな曲を弾いてごらん。譜面はなしだからね・・・それが決まりだから・・・」
「はい・・・」

僕はグランドピアノの前に座った。譜面がない。つまり・・暗譜している曲を弾くしかない。

「1曲できたら・・20点で5曲で100点。まあ・・キミは・・歌が60点だったから・・・7曲弾ければ・・満点だな。」
「な・・・7曲ですか?」
「そう・・・クラッシックなら・・・1曲30点だったけどね・・・・」
「あのぉ~先生!間違いは・・・」
「ああ・・多少の音を外すのは認めるからね・・・」
「はい。」

僕はココを紗江子の店のステージだと思う事にした。7曲なら・・約30分のステージだ。
僕は“ミスターロンリー”“秋のささやき”“渚のアデリーヌ”“ムーンライトセレナーデ”を弾き・・・続いて
“We’re all alone”を弾き始めたときだった。それまで・・・目を閉じて聴いていた先生が僕にストップを掛けた。

「キミ・・この曲の歌歌えるかい?」
「はい・・・ただ・・日本語訳なら・・・」
「じゃあ・・・日本語の歌入りで弾いてみたまえ・・・」
「はい?」
「それで・・・キミの歌の試験の点数も考えよう!」
「はい・・・」

僕は最初から弾き直し、歌付きで終えると・・・先生は立ちあがり、僕の背中をポン!と叩いた。

「よし!満点!もういいぞ!」
「はい。ありがとうございます。」

まあ・・僕は普段“散々弾いている”曲で満点を貰った。生まれて初めて・・・音楽で満点を取った瞬間だった。

「ご指導ありがとうございました・・・」
「うん。気を付けて帰りたまえ・・・」
「はい!」

僕は音楽室を出たところで、美術室から出てきた。佐伯クン・佐々木クン・Sクン・白○クンにばったり会った。

「おう!部長!どうだった?」
「まあな・・なんとか・・・お前らは?」
「うん・・・明日の放課後までに提出だってさ・・・・」

各自・・スケッチブックを持っている。僕たちは揃って校門をすり抜け、サイレント・・静香へ向かう。

「なあ・・・明日はなんだっけ!」
「英語のオンパレード!」
「グラマーにリーダーだっけ?」
「馬鹿!リーダーにグラマー」
「それより・・腹減らねえか?」
「うん。頭使うと腹が減るよな・・・」

僕たちはダッシュして静香へ飛び込んでいく。

「静香さぁ~ん。パワーランチ・・・・」
「スペシャル大盛りでしょ?今・・作っているから[揺れるハート]・・・」

静香の眼が解っているんでしょうねと妖しく光ったのを、僕は見過ごさなかった・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第39話へ・・・続く・・・
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第39話              [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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「嵐の前触れ・・・」11

「みんなぁ~出来たわよぉ~取りに来て頂戴[揺れるハート]!」
「は~い!」

僕たちはそれぞれ・・・山盛りのピラフにナポリタン。カレーがかかっていて、エビフライにハンバーグ。
そして生姜焼きにサラダ。どっさり盛りつけられた・・・重量2Kgは優に越えている大皿を・・バケツリレー方式で運んでゆく。

テーブルにはふた皿しか乗らない。それに・・・スープカップというよりは・・どんぶりに近いスープをバケツリレー方式でテーブルに乗せると・・・もはや・・隙間はないに等しいくらいだ。

「ふう[揺れるハート]これで・・ネタ切れだから・・SOLDOUTの看板出さなきゃ!」
「もう・・閉店?」 僕は口に一杯方張りながら尋ねた。
「うん。常連さんたちは・・とっくに帰ったしねえ~そうだ・・誰か実験台になってくれない[揺れるハート]
「実験台ねえ~じゃあ・・ここは部長しかいねえよな・・・」 佐々木クンは、ひとごとのように言う。
「あん?なんで・・・俺が実験台なわけ?」
「どうせ・・お前この後・・ピアノのレッスンあんだろ?」
「そりゃそうだけど・・・・」
「俺ら・・美術組はデッサンもしなきゃいけねぇ~しよ。あっちの準備もあんだよ!」
「そうかぁ~例の奴の仕入れか?」
「そういう事!大変なんだぜ・・・今、時期じゃねえから・・・」

僕と佐々木クンの話しを興味部下そうに静香が、コーヒーカップを片手に聞いている。

「なあに?あっちの準備って・・佐々木クン・・・」
「うちらの学校に嫌な奴がいるんですよ・・・体育科に・・・」
「ああ・・弟が言ってたわ・・・病院おくりにしたのがいるって・・・」
「そう!そいつ・・・鬼クマ・・・熊田って言うんですけど・・・・」
「もしかして・・・熊みたいにのっしのっし歩いて・・どう見ても学校の先生に見えない奴じゃない?」
「知っているんですか?静香さん。」
「ええ・・・以前、ちょっとねぇ~色々・・・言いたい放題いってくれてさぁ~あたしの料理に・・・」
「来た事あるんですか?」
「うん。一度だけね。・・・二度と来るな!って塩を撒いたことがあるわ。ここの商店街でも君たち以上にに嫌われているかな・・・・」
「ひ・・ひどいですよ・・・・」
「ごめんねぇ~。それは以前の君たちの事。最近は随分・・評判いいわよ[揺れるハート]・・・」
「ええ。おかげさまで・・・前を通る寸前にシャッターを閉められる事はなくなりましたけど・・・」
「それで・・・その先生じゃない・・あの馬鹿をギャフン!とでも言わせるのかしら?」
「ギャフンどころじゃ・・・済ませないっす。今日だって・・部長の試験の邪魔してたからなぁ~」
「そうなの?」
「まあ・・・そういうことですね。でも・・1000倍にして返しますからねぇ~恩じゃなくて・・怨は・・・」
「それで・・・成績は・・まだ判らないわね・・・」
「音楽はでましたけどね・・・」
「そうだ!部長・・お前何点だって?」
「100点だけど・・・それが?」
「歌だって・・酷かったじゃないか!」
「うん。ピアノでカバーしたもの・・・」
「許せるか!・みんな・・・」
「許せな~い!」 

いつも・・思うんだけど・・こういう時は結束力が強いのが僕たち社会関係奉仕部。特に僕に関しては、みんなの意見が何故か・・一致する。

「解ったよぉ~じゃあ・・・実験台になればいいんだろ・・・なりますよ・・・静香さん。」
「そう?じゃあ・・・みんあ今日のお代はサービスするから・・・残りの試験頑張るのよ!」
「明日も・・・あるんだよな・・・試験・・・・」 Yがぽつんとつぶやく・・・
「えっ?明日もあるの?明日は・・・お休みだけど・・・いいわ。明日もお昼ごはん用意しておいてあげる[揺れるハート]
「わ~い!」

みんなは嬉しそうだが・・・僕はどうなるんだろう・・・・この後・・・・

「それより・・・鬼クマのやろう・・2時間目結局来なかったじゃん・・どうなっちゃったんだろう・・・」
「さあな・・・明日は来るかな?」
「どうだろう。まあ~来たら来たで・・・慇懃無礼でいいじゃん。」
「そうだな・・・」
「そういえば・・サッカー部の監督。腕だけだっけ・・・骨折したの?」
「おしかったよなぁ~あと・・10数メートルだけ、タイヤが持ってくれれば・・・永遠に顔を見ずに済んだのに・・・」
「でもよ!何で・・サッカー部の合宿中に・・合宿地とは違うところで事故ったわけ?」
「ああ・・・それは俺が・・・」 

元サッカー部の岡崎クンの話によれば、合宿場所近郊にあるホテルに愛人」を滞在させていて・・・・監督は建前上、合宿するところにいることになっているけど・・・練習が終わると、いや・・練習中にも待たせてある愛人の元に通っているらしい。
従って、体育会系というか、僕たちの学園自体そうなんだけど、中1は“奴隷見習い”中2は“奴隷”中3は“奴隷頭”高1は“平民”高2は“富豪”高3は“天皇”そして・・OBは建前・・・神様扱い。こんな図式になるわけだ。
まあ・・・中等部出身者は高等部から入学した奴より・・・偉い事になっている。
だから・・・僕たちは“帰宅部”を選んだわけだったんだけど・・・・(別名、幽霊部員とも言う・・・)
OBはOBで偉そうにするために・・・せっせと貢物・・じゃなくて差し入れを持って、合宿所を訪れる。
まあ・・神様とはなっているけど・・・一部では、“納税義務者”とか“差し入れ馬鹿”と呼ばれている。
監督がいなければ・・・臨時コーチであるOBの天下。一応、“礼儀だけはうるさい学校”に通う僕たちは、ちょっとした発言のしすぎから・・・一晩、廊下で正座をさせられたりとか・・・様々な制裁を受ける。
それが・・・“伝統”なんだから・・・仕方がないのだろう。

「道理でねぇ~・・・それで判ったよ・・・・」 佐々木クンがポツンとつぶやく。
「でも・・よく・・・あそこまで持ったよなぁ~・・・」
「うん。ちょっと緩め方甘かったんだよ・・やった奴。」
「ああ・・それ!俺!」
「えっ・・・岡崎?」
「うん。でも監督・・すぐスタンドでガソリン入れたらしくて・・・増し締めしたんだって・・・」
「じゃあ~誰だろ・・・やらかしたの?」
「あくまでも・・・噂だけどな・・・OBらしいぞ!」
「OBがか?・・・・」
「ああ・・・あいつ・・・相当恨まれているもん。」
「違いない・・・・」

まあ・・・それは・・・サッカー部の“問題”で僕たちには関係がないことだからどうでもいいこと・・・
食べ終えたお皿を各自流し台にもってゆく。まあ・・お客様でないので、それは仕方がない。
僕は、お店の弊店準備を手伝い、それから・・・"実験台”とそして・・・いつものお勤めが待っているんだろう

「じゃあ・・・部長!“静香さんの実験台”ちゃんと務めろよ・・・」
「そうだぞ!・・・俺らの明日の昼飯がかかっているんだから・・・」
「解った!さっさと・・・失せろ!」
「じゃあなぁ~静香さん。ご馳走様!“煮るなり焼くなり好きにしていいっすからねえ~」
「もちろん・・・お料理にはしないけどね・・・みんなぁ~明日もちゃんと来るのよぉ[揺れるハート]~」

仲間達はそれぞれ・・・“任務”を帯びて帰ってゆき、僕は店に残されたのだった。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第40話へ・・・続く 
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第40話                [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。


「嵐の前触れ・・・」12

静香の実験台とは・・・新作で売り出す予定の“パンプキンパイ”と“アップルパイ”の味見係・・・・
それでなくても・・・一応、“辛党”系の僕にはよく味が解らなかった。まあ・・・かぼちゃとリンゴの区別が付いただけ・・・

「どお[揺れるハート]?」
「よく解らない!強いて言えば・・・」
「言えばぁ[揺れるハート]?」
「うん。俺たちに味見係は、無理だよぉ~まあ・・・リンゴとかぼちゃの違いくらいかな・・解ったのは・・・」
「そう・・・・」 

ちょっと落ち込む静香。本当は美味しいと言えばよかったんだろうけど・・・正直・・・僕はパイ系列は苦手なんだ。

「あっ!そうだ・・・両刀使いが居るよ・・・身近に・・・・」
先生でしょ[揺れるハート]あの・・・あなたたちが一度連れてきた・・・・」
「うん。美希・・・なら・・・」
「美希?」
「間違えた・・佐山美希先生なら・・・両方いけるから判るかも・・・・」
「美希ねえ~あなたたちは・・先生を呼び捨てにしているのかな?」
「あ・・あの・・そのぉ~」
「確か・・あなたは奥さんがいるのよねえ?」
「うん・・・一応・・・まだ未入籍だけど・・・」
「奥さんに言いつけちゃおうか?」

僕の顔をその胸に抱きながら・・耳元でささやく。まあ・・実験台になる前に・・お昼ごはんをご馳走になり・・・
お店の片付けを手伝って・・・静香の部屋のベッドの上に、今、僕は居るのだ。シャワーを浴びる間もなく、お店の上にある静香の部屋へ入るや否や・・僕の唇は静香に塞がれ・・・そしてそのまま・・ベッドに押し倒された格好になり、一戦を済ませたのだ。それから・・僕はシャワーを浴び、ガウンに着替えると、特製ドリンンクを飲まされて、パイが仕上がるまで・・スタインウェイを弾いていたのだ。
それから・・僕は“実験台”と称して・・・静香の口移しでパイを2種類食べさせられたわけだ。
大体・・・パイの最終仕上げを終え、シャワーを浴び、スケスケの赤いスリップとお揃いのパンティー姿で、軽くガウンを羽織っているだけの・・姿で口移しで食べさせられても・・・よく解らないと言うのか・・・目の前に透けて見える“美味しいさくらんぼう”の方が気になって仕方がないのは、当然のこと・・・
それに・・・僕の弱みを握ったつもりだろうけど・・・僕は奥さんである優子に、身柄をレンタルされている身だもの
その事は・・・別に僕の弱みにはならない。

「残念でした!俺・・レンタルされてるもん。」
「えっ[揺れるハート]?」
「あのねえ~色々あってね。今度・・じっくり話すけど・・・俺・・学校があるじゃん?」
「まあねえ~今日は試験だったし[揺れるハート]
「うん。それで・・月曜日から木曜日まではレンタルされているの・・・」
「よく解らないわ[揺れるハート]
「解らなくていいの・・“事実は小説より奇なり”だし・・・こうして・・・静香とこういう関係になったのだって・・・」
「そうよねえ[揺れるハート]・・・・」
「でしょ?俺ら・・・入学式の後からず~っと通っていたけど・・・そんな風にならなかったじゃん!」
「うん[揺れるハート]不思議なのよねえ~弟の同級生だもんね・・あなた[揺れるハート]
「うん・・・それよりさ・・・またやりたくなっちゃうんだけどね。そんな風にされると・・・」
「馬鹿ねえ~こっちはそのつもりなんだから[揺れるハート]

またもや・・・“濃い一戦2を終え、僕の僕自身が静香の中に、僕のぶんしんであるお魚さんたちを放ち終え、シャワーを浴びる。

「やべえ~こんな時間かぁ~急がなくっちゃ!」
「もう?明日も待ってるからね[揺れるハート]
「うん。」

静香が作ったアップルパイとパンプキンパイの残りを袋にtsめてもらい、僕が静香のマンションの部屋を飛び出したのが、丁度・・午後4時。何しろ・・・午後5時からは紗江子の店でアルバイトがある。商店街をダッシュで駆け抜けるも・・・薬局の前で急ブレーキを掛ける僕・・・

「やっぱ・・・栄養補給しとかないとな・・・おばちゃ~ん。いつもの!」
「あいよぉ~」

おばちゃんが差し出すユンケルと赤まむしついでに・・・ビタミン剤を大量に貰い、飲み干す。

「そういえば・・・兄ちゃん!」
「ん?」 僕は腰に手を当てて・・・コキュコキュ飲みほしたビンをカウンタへ置いた。
「あれ・・効いたかい?」
「あれ?・・ああ・・・例のね・・・効くよ!あれ・・・」
「そうかい・・・じゃあ・・・次はこれを試してみて・・・・」
「また・・・実験台なわけ?まあ・・・いいけどね。」
「タダとは言わないよ・・・今日のお代はサービスするから・・・」
「解った!そうとなれば・・断るわけにはいかなよな・・・・俺、社会奉仕部だもん。」

おばちゃんから渡された妖しげな箱に入ったものを、カバンに押し込む僕。

「兄ちゃん!明日は休みだろ?」
「本当はね・・・でも試験だから・・・明日は学校あるんだよ・・・」
「じゃあ・・・明日、感想が聴けるかな?」
「生きてればね・・・・」
「えっ!」
「“過労死”寸前だもの・・・・」
「大丈夫!まだ・・若いんだから・・・一晩、二晩寝なくても・・・・」
「そんなもんだよね・・・じゃあ・・おばちゃん・・明日も来ることになると思うけど・・・」
「はいよ・・待っているからね!」

僕は薬局を飛び出し・・駅で切符を買って改札口を抜け、階段を駆け上がった。
そこには・・・見慣れた姿いや、遭いたくない奴。鬼クマが電車を待っていたのだが、いsつものふてぶてしさが見当たらない。何しろ・・礼儀だけは煩い学校へ通っている身としては、挨拶しなければならない。

「熊田教官!こんにちは。今・・お帰りですか?」
「な・・なんだ・・・部長か・・・」
「採点立ち会われていたんですか?二限目もお会いできるかと思っていたんですけど・・・」
「ああ・・・お前らの答案が採点され・・吐きだされるのをな・・・・」
「如何でした?お気に召していただけましたでしょうか?」
「そんなことはどうでもいい。お前・・今まで何をしてた?」
「はい。学校の図書館は使用禁止なので、“別の図書館”で勉強してました。」
「お前の家は・・こっちじゃあるまい。」
「ええ・・・塾に通っていますので・・・」
「そうか・・・」
「ところで・・・熊田教官はこちら方面へお住まいなんですか?」
「いや・・・叔父・・いや理事長に呼ばれてな・・お宅へお伺いするところだ・・・」
「そうですか・・・それはお疲れのところ大変ですね。」
「ああ・・・それより・・・」
「はい?」
「塾も結構だが・・・身体鍛えとけよ・・・お前ら・・特にお前は徹底的にしごいてやるからな・・・」
「はい。ありがとうございます。それから・・・」
「ん?なんだ?」
「ついでに・・・この間の続きもやりましょうね・・・サドンレスで・・・では・・電車が来ましたので失礼します。」
「おう!後で吠え面かかせてやる。まあ・・せいぜい・・・残りの試験頑張るんだな!」
「はい!」

鬼クマは僕と別方向へ向かう電車に乗り込み、僕は紗江子の店へ向かうべく、電車に乗り込んだ。

「ふう・・いやな野郎にまた遭っちゃった。でも・・・ちゃんと宣戦布告はしたし・・・いいか!」

鬼クマは・・体育馬鹿。つまり・・・腕力だけしか能がないらしい。でも・・僕たちには鬼クマにない知恵がある。
“策略”だって・・・“罠”だって・・・立派な作戦のひとつだ。それに、鬼クマは勘違いしているようだが、鬼クマとその配下のサッカー部監督の味方は、当日グランドにはいない。他の先生方だって鬼クマとその配下の醜態をその目に焼き付けるためにくるわけだし・・・養護班は全部こちら側の人間。それに・・・万一に備え、レディース軍団を率いた僕の奥さんも周辺でいつでも突入できるように準備をしている。
“孤立無援”の体育馬鹿を懲らしめ、出来れば学校から追い出す。僕たちの作戦は着々と進んでいる。
まあ・・・“勝てば官軍、負ければ賊軍”と言う言葉もあるくらいだ。
徹底的に弱らせてから・・・鬼クマとタイマン勝負をするつもりだけど・・・兄さん邪魔をしないだろうな?
今頃・・・鎮守の森はどんな風が吹いているのだろうか・・・・

「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第41話へ・・・続く 
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第41話                  [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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「嵐の前触れ・・・」13

東京での居場所は・・奥さんである優子に指定を受けている僕。まあ・・・“野放し状態”より、ちゃんとした?所へお預けの身にしておいたほうがいいと判断したんだろう。多分・・・・
そうでなきゃ・・・僕が預けられている(レンタルされていると言った方が正しい!)のは、住まいは美希の所で、ついでに紗江子のお店で、僕はアルバイトをしている。まあ・・“猫ふんじゃった”レベルなんだけど、それでも・・
“レン’sナイト”は、常に満席になっている。だから・・・チップのみ貰って、アルバイト料は美希と僕が住んでいる
紗江子が“慰謝料”としてふんだくった(本人は貰ったと言っているけど・・・ふんだくったと僕は思っている。)
マンションの“家賃”にして貰っている。だって・・・美希は僕が食費とかを渡そうとしても受け取らないし、悲しい顔をするからだ。因みに・・このお二人さんは、僕の奥さんの高校時代の先輩で、元スケ番。
そう言えば・・・鎮守の森に住んでいる僕の奥さんをはじめ・・・奇妙な同居人たちは、元スケ番と現役スケ番。
それも・・・泣く子も黙るしヤーサンさえ避けて通るT女のスケ番軍団だ。そして・・僕はその鎮守の森に住んでいた兄さんこと学年主任の妹と恋に落ち、結ばれ・・僕はその鎮守の森にある小さな神社の神主代行に・・・
今でもよく解らないんだけど・・・資格持ってなくてもいいんだろうか?まあ・・・管轄する優子の叔父さんが、いいと言っているし、優子の兄さんで、僕たちの天敵だった学年主任は、一応“有資格者”が良いと言っている。
それに・・何故だか僕の体質のせいなんだろうか?僕のお祓いやご祈祷は、そんじょそこらの神主さんより効き目があるらしいし、その鎮守の森の氏子さんたちが、僕で良いと言っているからいいんだろう・・多分。
「家に帰ってくるな!」と言われて(まあ・・その前も帰ってなかったんだけど・・)以来、そう言えば一度も本当の家(寝に帰るだけが・・家ならば・・)には、帰っていない。僕の持っているキャッシュカードには、降ろせばすぐお金が“補充”されている。まあ・・食費その他モロモロで月に10万円くらい入金されるので、それは優子に生活費として渡している。まあ・・・野菜も卵も自給自足体制になっているし、氏子さんたちからも奉納と称して、野菜やお米、塩等大量に頂いているので、買うのはほんのわずかなもの。それに・・優子も看護婦生活に戻り、巫女兼留守番係のミサに、洋子・奈々子・カオリは看護婦だし、最近、同居しだしたミミも今度の春から、カオリの家の病院で働きながら、看護学校へ通うことに決まっているのだ。

「ふう!まあ・・こんな生活も悪くはないよな!」とひとりごとを呟き、乗り換えの駅で、電車へ乗りこむと・・
「レン!丁度いいところに乗ってきたわね[揺れるハート]・・・」

紗江子が偶然乗っていた電車に、僕は乗り込んだのだ。紗江子は、アメ横へ“乾き物”とお店で出すおつまみの材料を買い出しに行った帰りだったのだ。

「さ・・紗江子・・・」
「はい!これお店までよろしくね[揺れるハート]!」
「うん・・・いいけど・・・買いすぎじゃない?」
「いいの!値切ったら・・・オマケが沢山ついてきちゃって・・・・」

そう言いながら・・紗江子は僕のカバンを僕の手から奪うと・・代わりに大きな紙袋に大量に詰め込まれた・・
おつまみ類が入ったものを僕に押しつけてきた。

「しかし・・・レンのカバンになにが入っているのかな[揺れるハート]
「あ・・開けちゃ駄目!何か・・変な薬を薬局のおばちゃんが寄越したから・・・」
「また・・変な薬の実験台[揺れるハート]?」
「うん・・・あっ!そうだ・・・行きつけの喫茶店のママの実験材料も入っている・・・」
「何それ[揺れるハート]?」
「うん・・・アップルパイとパンプキンパイらしいんだけど・・・俺あんまり好きじゃないから・・・味が解らなくて・・」
「もしかして・・・私たちに食べさせる気[揺れるハート]?」
「うん。ご名答!。紗江子も美希も甘いもの食べながら・・お酒飲めるじゃん!・・・」
「まあね。それで・・このカバンからいい匂いが漂っているわけね[揺れるハート]
「うん。そう・・・ついでに・・・今日のステージの練習もスタインウェイでバッチリしてきたし・・・」
「そう。じゃあ・・本番前の練習はいらないわね[揺れるハート]?」

紗江子の瞳が輝き、僕を見つめる。どうやら・・また・・藪を突いてヘビを出しちゃったみたい・・・薬局でユンケルと赤マムシ飲んできて良かった。あとは・・“野となれ山となれ”だ。

「後は何が入っているのかな[揺れるハート]?」
「うん。水筒でしょ・・ペンケースと予想問題集と・・・お守り!」
「お守り?」
「うん・・・自分でご祈祷して自分で持っているんだから・・洒落にもならないけど・・・・」

紗江子の店がある駅のプラットフォームへ電車が滑り込む。紗江子が持っていた大きな紙袋を二つ・・・
まるで・・“宝物”のように抱え込む僕。僕のカバンを持ち・・・僕の眼の代わりになり手を引っ張る紗江子。
何せ・・・僕の視界は塞がれているし、この袋に入っている“乾き物”類が、お客さんに出され、そして僕はアルバイト料とツップを貰えるのだ。

「レン!キップはどこにしまったの[揺れるハート]
「うん・・・ズボンのポケットだけど・・・・」

紗江子は僕のスボンのポケットに、当然とばかりに手を入れ・・・キップを探り出し、改札口で自分のキップと一緒に差し出した。ヨタヨタと商店街を抜け、紗江子の店へ・・まるで連行されているようだ。
だって・・・手を弾いてもらわなきゃ・・肉屋さんとか薬屋さん・・・最近、常連になりつつある洋食屋さんの看板や
買い物で行きかう人々や自転車に何度ぶつかりそうになったことだろう。
紗江子のお店に誘導され中へ入ると、僕は抱えていた大きな紙袋をカウンターへ投げ出し、代わりにカバンを受け取った。

「ふう!無事に着いた。」
「そうね・・・レン!上で“お勉強”しておいた方がいいわね。片付けが終わったら、行くから[揺れるハート]!」
「うん。あっ・・そうだ・・今日も1ステージでいいんだよね?」
「そうねえ~2ステージお願いできる?そのほうが・・売上あがるのよねえ~」
「うん。俺はいいけど・・・美希に聞いておいて!」
「えへへ・・もうきいてあるわ。2ステージOKだって。それとねえ~」
「んっ?」
「2科目共満点だって・・・」
「そうすると・・・芸術も満点もらったから・・・3科目満点だ・・・」
「じゃあ・・・残りは9科目ね・・・全部満点だったら・・・特別なご褒美あげちゃおうかなぁ~」
「本当?でも・・・無理だわ。保健体育は・・ペーパーはなんとかなっても・・・実技がね。」
「何で[揺れるハート]?」
「うん・・・帰りにしっかり・・喧嘩売ってきたから・・・体育科の馬鹿に・・・」
「例の標的ね?」
「そう。あっ!そういえば・・地区長。ヘビ・・捕まえておいてくれたかな・・・」
「ヘビ?あのニョロニョロした奴・・・」
「そう・・・ヘビにカエルに・・・その他色々・・プレゼントするんだ・・・・」
「どうするのか見てみたいけど・・・毒へびじゃないわよね?」
「多分ね。まあ・・・噛まれても死にはしないよ・・・よく言うでしょ“憎まれっ子世に憚る”って・・・」

僕はカバンを抱えると、二階への階段を駆け上がり、邪魔くさいジャケットを脱ぎ捨てると、紗江子のベッドに腹ばいになりながら・・・カバンに詰まっている薬局のおばちゃんが寄越した袋と静香が持たせたアップルパイとパンプキンパイの包みを取り出した。

「まあ・・・目を通すだけ・・・通しておくか・・・」

僕はノートを拡げながらも・・薬局のおばちゃんが寄越した妖しげな薬の入った袋が気になりだした。
その袋を取り出して・・・中に入っていた小箱を取り出し、しげしげと・・眺めたそして・・・

「なんだこりゃぁ~」 僕の声は下まで届いたらしい。
「レン!うるさいわよぉ~静かにお勉強出来ないの[揺れるハート]?」
「だ・・だってぇ~」

その箱には・・“塗るだけでビンビンと書かれてあったのだ。今の僕には特に必要がないものだ。まあ・・将来的にはどうなるか解らないけど・・・僕の僕自身にはあっちの神様はご降臨されっぱなしだし・・・
どう考えても必要性はない。その時・・僕の頭はピィ~ンと閃いた。

「これも・・・使えるかぁ~でも・・“新品”を置いておいても意味がないしな・・・“使用した形跡”を作っておくか!」

僕は・・・今回の作戦の詳細をノートに書き始めることにした。

「多分・・・前日に乗り込んであいつら・・例のお酒飲むよなぁ~速攻性ではなく・・・なるべく遅くでるようにしてもらった・・・下剤入りのお酒・・・それで・・・ええとぉ~落とし穴は掘っておいたし・・・そこへ・・・ビニール袋に詰め替えて・・・それで・・・一応、親切心で・・・部屋に運んでと・・・よし完成!」

「レン!お勉強はどう[揺れるハート]?」
「うん。まあ・・大体はね・・・何しろ・・・マークシート方式だから・・・」
「そう[揺れるハート]!今・・・美希から電話があって・・あと2時間くらいかかるらしいわ・・・」
「なんで?」
「うん。あなた・・試験妨害受けたんだって?」
「まあ・・・あれが・・そういうことになるのかな?」
「それで・・・“欠席裁判”の職員会議をするんだって・・・」
「なるほどね・・・兄さんの差し金だな・・・早速動いてくれたか・・・」
「でも・・妨害を受けて100点なんて大したものよね。」
「そりゃあ~出る問題も80%解っているし・・・そのために合宿もしたしね・・・・」
「じゃあ・・・別のお勉強もしましょうか[揺れるハート]?でもその前にシャワーを浴びなきゃ・・・」
「お・俺は・・・浴びたもの・・・あっ!」
「ふぅ~ん。いつ浴びたのかしら[揺れるハート]?」
「あ・・朝・・学校へ行く前・・・」

これは・・あながち嘘ではない。僕はちゃんと朝シャワーを浴びた。まあ・・カラスの行水だけど・・・
本当のことを言えば・・・直近はさっき・・・マンションの静香の部屋で浴びてきたばかりなのだけど・・・

「うふふ[揺れるハート]じゃあ・・・そう言うことにしておいてあげてもいいけどね。ちゃんとお勉強を頑張ればね・・・美希にもナイショにしておくわ[揺れるハート]
「・・・・・・何で・・」
「何か言ったかしら[揺れるハート]?」
「ううん・・何も・・・あっ!そうだ・・・何か入れ物貸して・・・」
「何よぉ~突然・・・」
「うん。これをね。例の作戦に使おうかと・・・新品じゃ意味がないし・・あっ!そうだ・・あと・・頼みが・・・・」

僕は薬局のおばちゃんが寄越した薬の箱を差し出した。僕の手から薬の箱を受け取った紗江子は噴き出した。

「プッ!な・・何よぉ~これ・・・“塗るだけでビンビン”って書いてあるわ[揺れるハート]
「でしょ?それから・・・新品でいいんだけど・・いらない下着くれない?」
「どうするの[揺れるハート]?まさか・・女装するとか?」
「するわけないでしょ。ちょっと“乱暴に破いた”ようにして・・・そしてこの薬を使いかけに見せかけて、鬼クマの部屋の隅っこにでも隠しておくんだ・・・そうすれば・・・」
「例の作戦も上手くいくわけね?」
「そう言う事。美希からも貰っておくか・・・サイズが違ったほうがあれば・・・色々・・・面白い事になるぞ・・・」
「悪党ねえ~あなたたち・・・」
「うん。そうかも。渡辺の無念も晴らさなきゃならないしね・・・でも・・俺ら“正義の仮面”なんだけどな・・・・」
「いいわ。新品じゃ・・まずいわ。そうだ・・・色々あった方がいいのよねえ~」
「うん。数が多ければ・・・ね!」
「じゃあ・・・あっちこっち手配してあげるわ[揺れるハート]その・・“幸運な先生へのプレゼント”」
「メルシーボクー」
「じゃあ・・・お勉強はじめましょう[揺れるハート]
「う・・うん。」

僕はユンケルと赤まむしが効いていることを祈った。
でも、ベッドサイドのテーブルには、“神泉”で作った氷を入れたグラス。そこには、“神泉”が注ぎ込まれていて・・その横にはユンケルと赤まむしがちゃんと・・鎮座していた。

「あっ!これが・・例のパイね。そうすると・・ここで浴びたのかな?」
「だ・か・ら・・・・違うってば・・・朝、学校へ行く前!」
「解っているわよぉ~。優子には黙っておくから・・・」
「優子?じゃなくて・・・」
「はいはい・・・二人だけの秘密にしておくわ!みんなには・・・ナイショにしておく[揺れるハート]

紗江子は僕の傍らにおいてあったパイを冷蔵庫へしまうと・・・僕の腕をとり、バスルームへ引っ張ってゆく。
僕は自分で自分を呪った。「いいか・・・これを墓穴を掘ると言うんだぞ・・覚えておけよ!」と・・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第42話へ・・・続く・・・  


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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第42話                  [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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「嵐の前触れ・・・」14

僕は誰を恨めばいいのだろう?僕はお店の制服に着替えながら考えた。
何故なら・・体力は限界点に達し、ヘトヘトだし、脳みそも疲れきっている。
薬局のおばちゃん?それとも・・・自分自身の本能を恨めばいいのだろうか?
まあ・・ひとつだけ言えることは、“塗るだけでビンビンの使用2は、今の僕には必要がないと言うことだけだ。
面白がって、僕の僕自身に塗ったのは紗江子だから、紗江子の腰が抜けちゃったのは、僕の責任ではない。
但し・・・それは1ラウンド目だけど・・・
僕は、紗江子の事をそういえば、殆ど知らない。知っているのは、優子の先輩で元“スケ番”。そして、禁断の関係である美希の親友で、僕をアルバイトに雇っているお店の経営者兼オーナー。そして、僕と美希の禁断の巣の持ち主。その巣と言うマンションは、別れたと言うより、結婚する前だから、婚約破棄の慰謝料に分捕ったものだけど・・・
お互い・・一糸纏わぬ姿でベットの中で、何故か僕は“英語の勉強”をさせられていた。
紗江子は“英語だけは得意なのよ”とばかりに・・・僕に解りやすく教えてくれたのだから、人はみかけに寄らない。
まあ・・解りやすく教えてくれたお礼に、2ラウンド目に突入したとき、さっきのお礼も兼ねてクリームを塗っちゃったものだから、紗江子は腰が完全に参ってしまったらしい。車で言えば・・ほぼ新車が一瞬にして中古車になっちゃったと言えばいいのだろうか?僕は2ラウンド目の延長戦。つまり、抜かず2発射を行い、都合3回も紗江子の中に、僕の分身であるお魚さんたちを放出したのだ。
ただ・・・紗江子も美希もそうだけど、奥さんである優子や鎮守の森に棲む魔女たち。別名、巫女’sや、静香もそうだし・・・僕は知らぬ間に生き血を吸われているのか?解らないけれど、そのたびに艶っぽくなってゆくのは、
何でだろう。まあ・・・それは永遠の謎だ。
だが、ひとつはっきりしたのは、“英語は教室で学ぶものではなく、ベッドで学んだほうがいい!”ということだ。
その方が・・・僕の僅かな脳みそに確かに刻まれることだろう・・・たぶん。

「レン!お腹空いたでしょう[揺れるハート]?」
「うん・・・飢死するかも・・・・」
「どうする?美希はと・・・もうすぐ来るわね!来なくてもいいけど・・・」

紗江子は開店準備に入っている。何せ・・・レン’sナイトは“手の込んだ料理は出さない事になっている。
何せ・・・ワンドリンク付きで2500円の入場料。後はドリンクだっておつまみだって・・・500円均一らしい。
らしい・・と言うのは、僕は出番以外は、2階に籠っちゃう~知らない。その間に“制服”を着替えたり、休憩を取る
レン’sナイトだけは、明瞭会計。但し、男性客はお断りになっている。
普段の営業は、間違えて入ってきた男性客は“暴利”を貪られることになっているらしいから、来るわけがない。
何せ、お客さんの中には、“婦警さん”が沢山いる。僕にいつも1杯差し入れをしてくれる美奈さんもその一人だ。

「う~ん。そんな事を言っていると・・・・」

噂をすれば影とはこの事を言うのだろう。ほどなくして・・・美希が店に駆け込んでくる。

「ただいまぁ[揺れるハート]~」
「お帰り・・・美希!」
「お帰り!・・・腹減ったぁ~」

紗江子と美希は顔を見合わせ・・笑いだした。だって・・・僕の腹時計が丁度、夕食の時間を告げるように、
「グゥゥゥゥ~」と鳴き出したからだ。

「もう・・限界みたいね・・レン[揺れるハート]!」
「うん・・・お腹ペコペコ・・・・」
「大丈夫よ・・・・」紗江子が言いだしたとき・・・
[るんるん]カラン~カラ~ン[るんるん]とドアが開き・・「お待ちどう様ぁ~」とお隣の洋食屋さんから、“出前”が運ばれて来たのだ。ジュウジュウ~と鳴っている・・ステーキ皿には、特大ニカットされたサーロインステーキが、皿からこぼれ落ちそうな大きさで乗っているし、僕の好物のカキフライがこれ以上・・乗せられないんじゃないか?というくらいお皿に乗っていて・・・別のお皿には、やはりどっちのほうが大きいのか?と思われるくらいのエビフライが、載っかっている。

「ハイ。レン!今日・・3科目満点のお祝よ[揺れるハート]。」
「いいの?紗江子ぉ~ありがとう・・・・」
「3科目って・・・あなた・・・音楽も満点だったの?」
「うん。歌は相変わらずだからねえ~1曲何点だったか・・・その分ピアノで稼いできた。」

僕は特大ステーキにフォークを突きたてると、ナイフで切りながら答えた。

「道理で・・・音楽の先生が、もしかしたら・・我が校初の音大入学が出るかもって・・・あなたの事だったのね[揺れるハート]・・・」
「オーバーな・・・俺、音大は行かないよ!まして・・受かる訳けないじゃん。」
「いいじゃない・・・レン!受けてみるだけでも[揺れるハート]・・・」
「受けるだけ無駄!どうせ受かったとしても、行かせてくれないよ。・・・K中の時もそうだった・・・小4から観たいテレビも我慢して入試の過去問やったりして・・・受かったけど・・・・」
「えっ・・・K中って・・・お隣の駅の・・・」
「そう・・・他にはないよね。確か競争率・・・ん十倍だったんだけど・・・」
「どうして?あなたのお父さんお金持ちでしょ?」
「まあね。私立の小学校へ行っていたくらいだから・・・」
「じゃあ・・どうして・・・」
「さあね・・・いいんじゃない。済んじゃったことだし・・・」

僕はそれっきり黙りこくると・・ひたすら餓えたノラの様に・・・目の前にある食べ物を胃袋へ押し込んでゆく。
多分、小学校で5年間お世話になった先生が、僕を見抜いていたのだろう。僕はもしかしたら・・・“気が狂ったフリをして・・電車に飛び込んでいたかもしれないと・・・・その実僕はそうするつもりだったのだ。
それを知っていた神様が、小学校の担任にそう告げてくださったのかもしれない。
受かったのに行けなかった。それから・・・僕は“勉強=無駄な事”と思考回路にインプトしてしまったのだろう。

「さてと・・・腹ごなしにちょっと・・弾こうかな・・・何がいい?でも・・その前に・・・」

まずは・・・このピアノの持ち主であった・・ミーチャンへの鎮魂を込めて、エリーゼのためにを弾く。
そして・・ミーチャンと同じ所で音を外す。いくら・・・直そうとしても直らない。いや・・・直したくないのが、僕の本音なんだろう。そもそも・・・僕がピアノを習う羽目になったのは、ミーチャンの影響だった。僕は横浜のママの家に遊びにいくたび・・・この曲を聴かされたのだ。何十回も・・・まあ・・・“門前の小僧ナントヤラ”で覚えちゃったんだから・・・いくら・・楽譜を見ても・・指が勝手に“音を外す”これじゃあ・・・音大なんか受かるわけもない。
僕のピアノの先生は、歌劇団所属のピアニストで、厳しい先生だった。最初は普通の・・その辺の生徒と同じ扱いだったのだが、そのうち・・・特別レッスン室行きとなり・・・延々と“クラッシック”を弾かされたわけで・・・
そうなれば・・・僕は先生の目と耳を盗み・・・ジャズとかポピュラーミュージックを弾くのが、日課になったのだ。
ただ・・・このエリーゼのためにだけは・・・別なのだが・・・・
紗江子の店にミーチャンのピアノが運ばれてくるまで、このピアノは楊ママの“哀しい思い出の品”だった。
それが・・・今ではミーチャンと僕のピアノになったのだから、必ず僕は“レクイエム”のために・・・この曲を弾く。
美希と紗江子のそれぞれのリクエストを弾いていると・・開店時間になろうとしていた。
紗江子はいつものように・・開店を告げる看板に灯りを灯し、そしてドアに“レン’sナイト”のプレートを掲げ、美希は“型物美希”の仮面を脱ぐべく、2階へ駆けあがり“お色直し”をしはじめた。
僕は・・コークハイがそそがれたグラスを持って、同じく2階へゆき・・・今日のステージの構成の再確認をしたのだった・・・・・

「ねえ~美希!明日も・・・鬼クマの野郎・・邪魔しに来ると思う?」
「まあ・・来れないわね。あなたたちの大ファンが理事長にすぐ電話してたもの[揺れるハート]・・・」
「大ファン?誰・・・それ・・・」
「校長先生に決まっているでしょう!退学寸前の劣等生が今じゃ・・・学校一の優等生だもの[揺れるハート]・・・」
「何で・・そうなるのかな?」
「うちの・・校則知らないの?」
「だから・・・生徒手帳なんか読んでいる奴なんかいないって!そんな奇特な奴いたら・・お目に掛りたいもの」
「まあね。あなたたちは今じゃ・・“学校名誉製造機”みたいなものなの・・・・感謝状が一杯来てるわ[揺れるハート]
「まあ・・・そのための社会関係奉仕部だもんね。そうか・・・それで・・優等生ね・・・」
「そうね。それに・・・それに授業点数は、あなたたちには自動的に合格点が付くから・・・それに・・試験の成績も上がったし[揺れるハート]・・・」
「うん・・美希のおかげだな。感謝・感激・雛あられ・・・」
「茶化さないの・・・それで・・明日からは鬼クマじゃなくて・・熊田教官は中等部の試験監督に廻されて・・・」
「中等部のやつら・・可哀そう!」
「まあ・・・いずれ・・“退治”しちゃうのよねえ~“正義の仮面部隊”[揺れるハート]・・・・」
「さあねえ~退治されるかするか解らないけどね・・・」
「大丈夫!職員会議の結論は言えないけど・・・当日の敵は2名だけよ[揺れるハート]
「後は?」
「任せておいて[揺れるハート]

美希は意味ありげにウインクした。多分・・兄さんこと学年主任と美希が相当手回しをしたらしい。
中等部の連中には可哀そうだが・・・その処分内容によっては・・・“無期限ストライキ”とか方法は一杯ある。
そんなことを考えていると・・・・

「あらやだぁ~これ・・“塗るだけでビンビン”って・・・」
 そういいながら・・美希は紗江子のベッドサイドテーブルの上にある“例の箱”を取り上げた。
何せ・・僕は出番まで・・・紗江子のベッドの上で寝っ転がりながら・・譜面を眺めているのだ。
「あっ・・それ・・・」
「ふう~ん。まあ・・いいわ。あとで・・・試してみようかな[揺れるハート]
「知らないからね・・・俺!どんなに・・なっちゃっても・・・」
「ウエルカムよ・・・ユーアンダースタン[揺れるハート]?」
「イ・・イエス!アンダスタン・・・・」

どうやら・・僕は“墓穴”を自ら掘るのが好きというより・・・当たり前になっているみたいだ。

美希ぃ~早く・・・手伝ってちょうだい!」

紗江子が下から怒鳴っている・・どうやら・お客さんたちが次から次へとご来店のようだ。

「今・・行くわぁ~」

紗江子の呼ぶ声に答えると、僕に軽くキスをして、美希は階下へ降りてゆき、僕は出番に備えて再び譜面に目を通し始めたのだ。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第43話へ続く・・・ 
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第43話                  [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

こっほん!

僕です。大変ご無沙汰をしておりまして・・・申し訳けございません。
何せ・・・ちょっと“タイムスリップ”の装置が壊れてしまったので、“修理”をしておりました。
まあ・・・その修理の期間中・・・未来の僕は何をしていたのやら・・・さっぱり解りませんが、観客の皆様にご迷惑をおかけしていたかもしれません。その点につきましては、未来の僕になりかわり、深くお詫び申し上げます。
さて・・・どうやら・・・会場を見渡すと、“新しいお客様”もおいでくださっているみたいですね。
本来なら・・・“延々”と・・そう1週間くらいかければ全部お話出来るんですけど・・・不眠不休になっちゃいますし、「バカ野郎!」と罵られるのは解っていますので・・・そんな“暴挙”はしません。
しませんけど、「内容が解らん!」と言われるのがオチですので・・・
初めてお越しいただいたお客様は・・・コチラ[TV]・・・から、お入りください。
それでは・・・やっと“修理”が終わったみたい。(戻ってこれるか解りませんけど・・・)
僕たち“悪たれ連”が一番輝いていた・・・あの頃へご一緒にタ~イム・・スリップ・・・・・

「嵐の前触れ・・・」15

僕が来るであろう方角を見ながら・・・佐々木クンがつぶやく。

「たっくぅ~部長の奴・・試験中だって解っているのかな・・・・」
「大丈夫だろ!・・おお・・あそこ・・・ほら・・・ヨロヨロ歩いている・・あれ部長じゃん!」

僕は来るべく道を歩いてはいなかった。何せ・・・“昨夜の疲労困憊”で満員電車には、耐えられる体力なんぞ持ち合わせていなかった。唯一の救いは、“禁断の巣”に豊富に“神泉”と、赤まむしとユンケルが“備蓄”されていたので、それらの“パワー”を得ても・・こうして歩いているのが不思議なくらいだ。
何せ・・・僕の中のもう一人の自分。つまり、“僕の本能”とご降臨されっぱなしの・・あっちの神様でさえ、疲れ果ててねむっているくらい。だから、僕の身体は今“理性”の僕が司る0.1%にも満たない脳の命令で身体を動かしているにすぎない。

「ちくしょう~あのおばちゃん・・・人の身体をなんだと思ってやがる!それに・・・リリーズも・・・・」

僕はひとりごとをぶつぶついいながら・・・タクシーから放り出された大通りから、延々1キロ近くも、時にはよろめき、時には・・ぶっ倒れそうになり、カバンから“ユンケル”と”赤まむしを取り出しては、まるで・・燃料のように喉に流し込み、水筒に詰めてきた“神泉”をガブガブと飲みながら・・やっと学校まで100メートルくらいの距離まで、歩いてきたのだ。

「なあ~あいつ・・まさかとは思うけど・・・一晩中“子作り”に励んでいたんじゃねえか?」
「どうやら・・そのようだな・・・でも・・・担いできたほうが良さそうだぜ・・・」
「そりゃそうだ・・・今日の昼メシ・・部長の奢りだな・・」
「当たり前じゃんか・・行くぞ!」

ものの数分で僕は、“まるで荷物”の様に・・・まあ・・確かに“お荷物状態”だけど・・担ぎあげられ・・・
ギリギリで校門を駆け抜けた仲間達には・・・一応、感謝しておこう。

「い・・いつも済まないね・・・ゴホゴホッ!」
「いいってことよ!今日の昼飯で相殺するから・・・サイレントのパワーランチでな!」とSがほざく。
「あっ!思い出した。そもそも・・・お前らのおかげ・・じゃなかったせいで・・・」
「ん?何か言ったか?部長・・・」 Yが抱えている僕の頭を小突来ながら言う・・
「そうそう・・・静香さんにピアノ教えているんだろ・・・ピアノ!」 大岩も静香のファンのひとりだ。もし、“二人の関係“がバレたら・・・僕は簾巻きにされ、綾瀬川に投げ込まれかねない。
「そうだな!この疲労困憊状態とは・・結びつかない・・ハズだよな!ぶ・ちょ・う・・・・」 
「ま・・・そ・・そうだけど・・・・」
「じゃあいいじゃん。それとも・・・何か言いたい事あるか?」 佐々木クンは執念深いタチかもしれない。

まあ・・最初は佐々木クンの彼女だった。“ミミ”とやっちゃったのは事実だから・・・しょうがない。
僕が部長をやっている“社会関係奉仕部”は別名「悪たれ連合」とか、「悪魔関係集団」とか陰で言われているらしい。正確には「腐りきったリンゴ達」と言ったほうが正確なんだが、まあ・・・ちょっとだけ“特技”を持っている。
まず・・・血統が・・・日本オオカミの末裔であること。そして・・様々なことに対応できる能力があること。
僕はそのまま仲間に担ぎあげられたまま・・僕たちの試験会場(教室に僕たちの居場所はない)である。
会議室で試験を受ける。まあ・・・学校はおろか近隣と一部地方だけの“アイドルグループ”だから仕方ない。

「みんなぁ~お早う[揺れるハート]
「あっ・・美希センセーおはようございます。今日は一段と輝いて見えますねぇ~」
「ありがと!佐々木クン。でも・・・そんなお世辞を言っても・・加点はしてあげられないけどね」

みんな口々に「お早うございます」と挨拶をしながら美希を眺めていた。そして・・・“疲労困憊”の原因が解ったらしく・・・僕を床に落とした。

「イテェ~降ろすんなら静かにやれ・・・馬鹿・・・・」

僕は腰を擦りながらも美希を見た。確かに佐々木クンが言うとおり、今日の美希は色っぽい腰つきでえ更に
キラキラと光り輝いている様に見える。そりゃそうだろう・・・あれだけ・・・僕から“性力”じゃなかった。“精力”をタ~ップリ吸収しているのだから・・・・それも1回どころじゃなく・・・“抜か2や抜か32どころの話ではない。
リリーズには、二人合計で10回以上も・・・一晩で“性力”じゃない“精力”を吸い上げた吸血魔女みたいなものだ。まあ・・・薬局のおばちゃんが、“塗るだけでビンビン”なんてクリームを寄越すからこういう羽目になったのだが・・・
まあ・・・そのおかげで、紗江子から英語を頭に叩き込まれ、所謂“夜のお勉強”と“本当の試験勉強”も兼ねていたのだから・・・まあ・・いいか!と考えておく。
何せ・・・“英語嫌いな奴には最低な一日”はまず間違いがない。グラマー&リーダーなんてどこの馬鹿がこのように組み合わせたのだろう。
そこへ・・・“死に損ない”であるサッカー部の監督がやってきた。なんでも・・脚と腕にボルトが入っているらしい。

「よし!お前ら・・中に入れ!」
「あれ?今日は熊田教官じゃありませんの?」 
「おや?中等部の佐山・・先生でしたな・・・中等部の先生が何故?」
「ええ・・この子たち“社会関係奉仕部”の副顧問ですから・・それより・・おケガの方はも宜しいのですか?」
「ええ。まあ・・」

鬼クマは中等部へ廻されたので、どうやら・・一人しかいない子分を送り込んで来たようだ。
まあ・・・ちょっと悪戯を仕掛けておいて・・・損はない。佐々木クンのカバンには、“釣り糸”が仕入れてある。
今週の土曜日つまり明日だけど、僕たちはまた“仕掛け”を作りにグランドへ行くことになっている。
まあ・・病院へ逆戻りしてもらうしかない。何せ・・・サッカー部の監督だけど・・・「監督が居ない方が勝てる」と言う“珍事”もある。まあ・・兄さんこと学年主任が“指揮”した方がハッスルプレーの続出らしい。

「遅くなりました」 そう言いながら兄さんが封印された問題を持って会議室に飛び込んで来た。
これで役者は全部揃った・・・僕は手を挙げた。

「何だ?部長・・・」
「試験前に言っておきたいことがあるんですが、宜しいですか?」
「そうか・・・佐山先生。ご異存は?」
「そうですね・・まだ時間があるからよろしいんじゃありませんか?」
「よし!部長!発言を許す」
「ありがとうございます。昨日の試験の時、体育科の熊田教官に“試験妨害”されました。正式にその旨をお届したいのですが・・・」
「うむ。確かに・・そのような事実ありましたね。佐山先生。」
「ええ。そうですわね。私そう思いますわ。」
「じゃあ・・・後で、書類として残すから試験終了後、残っている様に・・いいな!」
「はい。今日も・・そんな妨害があるんでしょうか?」

そこへすかさず・・佐々木クンが手を挙げた。

「何だ・・佐々木。お前も何かあるのか?」
「はい。昨日帰宅後、父にその旨を報告しましたら、PTA会長として臨時総会を開催して、学校側を糾弾すると申しておりましたが・・・まさかとは思いますが、本日もあるんですか?僕も・・・被害届を出したいと思います。」
「なるほど・・・困りましたね?佐山先生。」
「そうですわね。他に被害届出したい人はいる?」

全員手を挙げる。勿論・・これは“仕込み”・・・

「困りましたね。今日の試験。どうしましょう・・・・」
「そうですね。お前ら・・・試験はどうする?受けれるか?」

勿論・・イエスである。そうでなきゃ・・・“追試”に追いやられてしまう。僕たちは勿論、受ける気満々だ。

「はい!受けさせて頂きます。」
「そうか・・・監督・・じゃなかった与田教官。“妨害行為”はしませんよね?」
「ど・・どうとるかは生徒次第ですが・・・そうですか・・熊田教官いや・・体育科を・・・」
「そのようですわね。私・・校長先生と相談してまいりますわ。」
「そうしてください。そうだな・・・試験は30分遅らせることにします。いいですね。」
「私には異存はありませんわ。」
「与田教官!私も校長先生のところへ行ってまいりますので、監視願えますか?」
「わかりました・・そうしましょう。」

美希と兄さんこと学年主任が揃って校長室へ向かうべく出て行った後、予想通りの展開になった。
まあ・・・大人と言うのは随分汚い手を使うものだ。

「お前ら・・・こんなことしてタダで済むと思っているのか?」
「済まないでしょうねえ~済ますつもりもありませんし・・・・」
「監督ぅ~今度はこそ死にますよ・・確実にね!俺ら・・クビになったって・・・構わないもんなぁ~」
「お・・お前ら。話し合えば解る!どうだ・・・」
「嫌ですねえ~はっきり言って・・・」
「お前ら・・・体育科敵に廻して卒業出来ると思うのか?」
「だ・か・ら・・・クビになっても構わないわけだから・・・いいじゃないですか・・・体育デーが楽しみだな。」
「うんうん。20キロもマラソンさせてくれるらしいぜ・・・」
「それと・・行軍もあるらしいじゃん。夜の・・・まあ・・・月夜ばかりが夜じゃないってか・・・・」
「そうだ・・熊田教官は来るんですよね?俺・・タイマン勝負するんですから・・逃げるなよ!って伝えておいてください。」
「なんだとぉ~お前正気か?」
「ええ・・売られた喧嘩なんで・・・知ってます?この間・・駅の階段転げ落ちたの?」
「いや・・・」
「何なら・・・与田教官も助勢して構いませんよ?俺ら・・・いつも・・一人で5~6人は潰してますから・・・」
「お前ら・・・・そこをどけ!」
「どくわけには行かないよなぁ~」
「ああ・・・いっそ・・・病院送りに先にしちゃおうか・・・・」
「いいねえ~センセーうでと脚でしたっけ・・・ボルト入っているの・・・確か右でしたよね?」
「お前ら・・・卑怯だぞ!」
「そうですか?“権威”振りまわしているほうが卑怯だと思いますけど・・・」
「そうだな・・・最近、イノシシとしかやってないもんな!骨全て・・複雑骨折でもしてもらおうか?」

そのとき・・ドアを叩く音がした。どうやら美希が「戻ったわよと言う合図を送ってきたようだ。
僕たちは与田教官を囲ったまま・・・受け入れの準備をしていた。

「あらぁ~与田教官どうなさったんですかぁ~生徒たちと楽しそうですねえ~」
「あっ本当だ・・・いいですなあ~与田教官。人望があって・・・こいつら心配してたんですよぉ~そうだよな!」

兄さんいや学年主任は笑いを堪えるのが必至。だって・・・慕っている図式じゃないのは、明らかだから・・・
「ええ。今・・与田教官にお見舞い申し上げていたんです。そうですよね・・教官!」 僕は代表して答えた。
「え・・ええ・・・こいつら・・怪我の心配してくれてまして・・・ありがたいことです。」
「ほら座席に戻りなさい。今・・校長先生がお見えになられるから・・・」
「あらぁ~与田教官。お加減でもお悪いんですか?無理されずに・・・保健室に行かれたほうが・・・」
「い・・いえ・・・大丈夫です。」

ドアをノックする音が聞こえて校長先生が入ってきた。僕はすかさず号令をかけ、全員立ち上がり、朝のご挨拶をした。

「うむ。お早う!ん?与田教官。具合が悪そうじゃないか・・無理しちゃいかん。保健室へ行きなさい。」

校長先生には逆らえない。与田教官は、兄さんこと学年主任に、半ば強制的に保健室へ連れて行かれた。
廊下で・・・「痛い!」と言う声が聞こえたから、多分・・いやわざと
痛めている脚か腕を攻撃したのだろう。

「さて・・・諸君。君たちの訴えを聴いた。学校側としては色々あるもので、“昨日”のことだけはどうか穏便に計ってもらいたい。まあ・・・どこかの正義仮面が“ダニ退治”してくれればいいのだが、どうだろう!昨日のことは私の監督不行き届きで済ませてもらえないだろうか?どうかね?部長・・・・」
「はい。校長先生がそうおっしゃるのなら・・・条件によっては・・・」
「条件?」
「はい。学校の名誉のためあちらこちらへ遠征をしておりまして、あんまり・・親にも迷惑もかけられませんし・・」
「部費かね?」
「いえ・・・遠征費を稼ぐために、校則違反なのは承知なんですが、アルバイトを許可願えませんでしょうか?それでなくても、顧問の両先生にはすでにそれなりの金額をご負担いただいてまして・・・・」
「そうなのかね?佐山先生・・・」
「はい。それなりに・・・・」
「そうか・・・君たちの先生や親への思いを汲みいれよう!君たちのアルバイトを許可して、部費ももうちょっとだけだが・・工面しようじゃないか・・・」
「ありがとうございます。みんな・・校長先生の寛大なお計らいに感謝して水に流そう・・・」
「はい。校長先生。ありがとうございます。よろしくお願いいたします!」

ドサクサに紛れて・・アルバイトの正式許可と部費の増額を認めさせた。これで・・遠慮なく“部活動”にも専念できるわけだ。

「じゃあ・・諸君!試験頑張りたまえ!体育科には私が眼を光らせておく。じゃあ・・佐山先生宜しく!」
「はい。校長先生。」

呆気にとられている美希を残し、校長先生は出て行った。“ダニ退治”の許可も置いて・・・・
しばらくして・・・我に返った美希は僕たちを見廻しながら・・ため息を吐いた。

「ふう~しかし・・・みんな悪党ねえ~敵に廻らなくて良かったわ[揺れるハート]
そこへ・・兄さんじゃなかった学年主任が保健室から戻ってきた。

「お~い!お前ら・・よくやった・・・あはは・・・」
「あははじゃありませんよぉ~ドサクサに紛れて・・・アルバイトの許可と部費の増額まで手に入れちゃったんですよ」
「本当か?お前ら・・・」
「オフコース!だって・・・徹底的にやれって・・・先生の口癖でしょ?」
「まあな・・・じゃあ・・・あと・・10分したら・・試験始めましょうか?」
「そうですわね。“ちゃんといい点”取るのよぉ~さもないと・・・・」
「解ってま~す。」

会議室は僕らの笑い声に満ち溢れていたのだ・・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第44話  「用意周到」へ続く・・・・




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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第44話                    [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
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高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

用意周到・・・1

僕たちはそれぞれ・・・試験問題に没頭して、出来不出来はこの際どうでもよい。
まあ・・・“ぬり絵”ことマークシートを間違いなくきちんと塗っていれば間違いはない。
ただ・・・リーダーで2問とグラマーで3問引っかけ問題が出ていた。

「ええとぉ~これ・・何だったけかな・・・・」 

僕は自問自答を繰り返していた。確かに“夜”というべきか“夕方”と言えばいいのか解らないが、ベッドの上で“レッスン”を受けたはずなのに・・・出てこない。
それもそのはずだ。僕は、その時“出してしまった”のだから、覚えていない。

「まあ・・・適当に塗るしかあるまい。後は・・・“運”次第だな・・・・」

一生懸命“ABCのレッスンをしてくれた紗江子”には、申し訳けないけど“出しちゃったんだから出てこない”のは、当然と言えば当然。自然の摂理みたいなものだろう。

「はい。20分前。出来た人は提出して出ていいわよ!」

その声に全員・・・まるで“燃え尽きた残灰”のように提出した。

「な・・なんなのよ・・みんな!ちゃんとやったんでしょうね?まあ・・いいわ。じゃあ・・・帰っていいわ!」

僕たちはそれぞれの封筒に鉛筆と消しゴムを仕舞い、提出して正門から堂々と下校してゆく。

「さてと・・・部長の奢りデパワーランチを喰って・・・」
「おい!本気か?昨日だって・・・俺。散々な目にあったんだぜ・・・・」
「本気に決まってるだろ・・・・」
「おかげで・・・アルバイト料はお前らの胃袋に消えるけど・・それより・・明日も大変だぜ!数学のオンパレード!大丈夫なんだろうな・・・・」
「まあ・・・やるしかないよな。ノルマ・・・80だっけ?」
「バカ!90だろ・・・俺ら理数系に行くんだから・・・嫌だけど・・・」 

Yが答える。何しろ・・1学期の数学は、見事に赤点を喰らったのだから・・・

「ちょっとヤバいかもな・・・分けてやってくれればいいのに。」 
「うん。今日は・・死ぬ気でやらねえと・・・キーの奴と大魔神にギャフンと言わせてやろうぜ!」
「おう!」
「お前らはいいよ・・・何てったって・・平均偏差値60以上だったんだろ・・入試の時・・・」

佐々木クンがつぶやいた。彼は僕たちの1コ上。つまり、ダブリー。因みに彼らの時は、平均偏差値50で楽勝に入れた学校が、僕たちの学園なのだ。特に中等部からではなく、“外部”入学者はみんな“本命”落ちをしてしょうがなく通っているやつらだ。まあ・・僕もその一人。その年は平均偏差値60以上に跳ね上がったのだ。

「あのなぁ~佐々木・・・まあ・・いいや・・それより・・・メシだな・・メシ。そう言えば、俺さぁ~何も喰ってなかったわ・・朝から・・・」
「じゃあ・・・さっさと行こうぜ・・・」

佐々木クンがもんなに目配せをすると・・僕はまた“荷物”の様に担がれる。まあ・・・何せ、色々と騒動があって
もうじき・・ランチタイム戦争になる。その前に僕たちは“指定席”を確保せねばならないからだ。
“本日二度目”のお荷物状態で・・喫茶静香になだれ込む。社会関係奉仕部の面々。

「静香さ~ん。パワーランチ大盛り12個ねぇ~」
「はぁ~い。今日は誰の奢りかな?まあ・・・聞くまでもないわね・・・・」
「そう・・・こいつの奢り!」

そう言いながら、僕を床に落とす奴等。

「痛ぇなぁ~人にタカるんだから・・・もうちょっと静かに下ろせ・・・馬鹿・・・・」

僕たちは“静香”の裏メニューもパワーランチ(内容が微妙に変わる・・・つまり・・余り物処理)を食べながら、それぞれノートを拡げ、明日の“数学三昧”の試験に備えていると、美希が飛び込んで来た。
まあ・・美希は、一度連れてきたことがあるので、この場所を知っていたのだが・・・

「居たわね~やっぱり・・・」
「何かご用ですか?」 

まあ・・ここでは“公式の場”では、美希は先生で僕は生徒だ。仲間達にはとっくに“禁断の関係はバレている”まあ・・・そのバレた時の教訓を生かして、二人きりでどこかへ出かけるときは、美希は“別人28号”に化けるし、僕はサングラスを掛けている。だが、僕の長~くなりすぎた引き摺って歩いている尻尾は隠しようがない。
仲間屋いも必死で笑いを堪えながら、“パワーランチ”を口一杯方張りながら、一応・・ノートを開いて明日の試験勉強をしている。

「用があるから来たんでしょう!校長先生からお昼ごはん代貰って来たの!」
「???」 僕たちは首を捻った。何故なら・・・校長先生は“ケチ”で有名だからだ。
「先生!ご注文は?」「ええとぉ~何がお薦めなの?部長・・・・」
「何でも美味しいよ・・・」
「じゃあ・・・そうねえ~Aランチをお願いします。」
「はい・・・少々お待ちください。キミタチ食べ終わったらお皿を持ってきてね!」
「は~い!」

食べ終わった連中はそれぞれ・・お皿をカウンターへ返し、それぞれカバンを抱えあげた。

「じゃあ・・部長!悪いけど・・先に帰るぞ・・・俺ら“勉強会”があるから・・・」
「ああ・・・じゃあ・・明日な!」
「みんなぁ~ちゃんと・・お勉強するのよ・・・」「は~い!死ぬ気でがんばりま~す。」

みんなが出ていった後、美希のAランチが運ばれてきた。

「ねえ~あたし・・今日は早く帰れるんだけど・・・一緒に帰らない[揺れるハート]?」
「いいけど・・・どれくらい?」
「そうねえ~一旦、学校に帰って・・3時には終わるから・・・」
「じゃあ・・・3時過ぎにマックでいい?」
「うん[揺れるハート]でも・・それまでどうしてるの?」
「ええとぉ~アルバイトでピアノのレッスンをして・・・あっ!そうだ・・薬局のおばちゃんとこに顔をだして・・・」
「アルバイト?まだ・・稼ぎ足りないの[揺れるハート]?」
「ううん。違うの・・スタインウェイが弾けるからね。いいアルバイトでしょ?まあ・・俺には“猫に小判・豚に真珠”」
「へぇ~そう!てっきり・・“猫にかつおぶし”かと思っていたわ[揺れるハート]!」
「ば・・馬鹿なことを・・・言っちゃあいけないよ。」

僕は一瞬、“雉も鳴かずば撃たれまいに”という言葉を思い出した。きっと・・未来永劫に渡って僕は悩むことになりんだろう・・・・

「まぁ・・“詮索”はこの辺にしておいて・・・それに詮索出来る立場じゃないものね[揺れるハート]
「いいんじゃない?優子から正式にレンタルされてるもの・・・俺!」

一瞬、悲しそうな表情を見せる美希。確かに僕は優子の旦那になる。何せ結婚式を“3回も”やった(本当は、1回だけで良かったと思うんだけど・・・まず、一回目が鎮守の森。二回目が信州の山間の村でもやって、三回目は軽井沢で“モデル”と騙されて兄さんこと学年主任の差し金で一回やった。だけど・・・まだ戸籍上は法律の関係でどうしようもない。)

「そういえば・・あなたのそのぉ~何て言うのかな。天職と言うべきか・・その不思議な力は生まれつきなの[揺れるハート]?」
「いいや・・・違う!いや・・良く解らない。気が付いたらこうなっていたんだけど。」

そもそも・・僕が“神主代行”になったのは、ひょんなことだった。“事実は小説より奇なり”と言うけど、僕はそのような運命という定めを持っていたのだろうか?優子と結ばれる前までは、“神泉”を浴びても(落とされての間違い・・・だよな。一発目は確か・・庭の池だもの・・・)僕には何ら影響がなかったんだけど、そうだ!確かあの時からだ。優子と結ばれて、鎮守の村のご近所の関戸のおババに見つかって、(その辺はこちらから・・・[TV])そうだ・・野菜を持って現れたんだっけ・・・それで、“訪問客ラッシュ”になって、一回目の結婚式をしたんだっけ?そして・・いざ・・“初夜”(まあ、既にやっちゃっていたし、その晩もやっちゃったからいいけど・・・)ってときに・・大岩たちの馬鹿が“大脱走”騒ぎを起こして、そうだ・・・談合坂SAだったっけ?兄さんに打ち明けて、“許し”てもらったんだよな・・・そうだ。それであの馬鹿たちが、クマにでも喰われておけばよかったのに、優子の「折角の初夜」発言で、山間の村でまた・・結婚式をさせられたんだよな。確か・・“龍神様”の裁きを受けて・・どんちゃん騒ぎをしてくれて・・・そのあとお化け騒動とか色々あって・・・でも待てよ?いつから僕は・・パワーを身に付けたんだっけ・・・

「どうしたの[揺れるハート]?黙りこくっちゃって・・・」
「うん・・・思い出している途中なんだ・・・いつからかな?と思って・・・」
「それで・・思い出したぁ[揺れるハート]?」
「もうちょっと・・・」

そのあと・・・そうだ。ついでだからって・・・ハネムーンに行ったんだったけ・・・兄さんの“策略”だけど・・・
楽しかったな・・まだ・・あのの写真使っているのかな?そうだ・・・思い出した。あのときだ。

「思い出したぁ~」
「えっ?」
「うん・・・信州の村の人々からお祝貰ったの。奉納のお酒と一緒にね。それで・・・優子の叔父さんに俄か仕込みで“お祓い”を習ったの・・・それからだわ・・・俺・・・・」

そう・・僕は神様にお仕えする“巫女”を神様から奪った。そうして・・・今の僕がいるのだ。
優子の叔父さんに散々小突かれ(多分・・・10発は喰らった)、物置にあった本を読み漁り、僕はちょっとだけ陰陽師の真似ごとまでできるようになった。
これも・・そもそも僕に与えられた運命だったのか、特異体質なのか?特に“神泉”を意識すればするほど、僕はその神の泉により様々なパワーを得ることができるみたいだ。時に僕は意識していないのだが、時折、金色に輝くオーラを発するときがある。それこそが、神様に選ばれたいや・・・いや、呪われた?等どうでもいいけど、不思議な力が僕を包み込む。
そうじゃなかったら・・九尾の女狐との対峙で、僕は命すらおとしていたに違いない。
唯一、僕が解ることは僕の身体に“ニホンオオカミ”の血が流れている。古来より、オオカミは神様のお使いなのだ。僕はその役目を果たしているのだろう。

「ねえ・・・また黙りこくっちゃって・・大丈夫[揺れるハート]?」
「うん。美希・・・時間は?」
「あっ!いけない。じゃあ~マックでね[揺れるハート]!」
「うん。」
「“鰹節”食べすぎない様に[揺れるハート]・・・」
「ば・・・馬鹿なことを・・・」

美希はAランチを食べ終え、コーヒーを飲み干すと、僕たちのランチ代を含めて、静香にお金を払うと飛び出していった。
気が付くと、店内は誰一人お客はなくなり、静香はドアにクローズの看板を掲げ、僕にウインクした。

「さて・・・“猫ちゃんの鰹節”を差し上げなくっちゃ[揺れるハート]!」


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第45話へ・・・続く
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第45話                     [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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こっほん!

僕です。僕たちみんな準備を終えて待っているのに、“未来の僕”は相変わらず・・いい加減な奴のようです。
今頃・・飲んだくれているんでしょうか?(飲んでません!・・・“飲めない身体”になっちゃったから・・・)
それとも・・まだ、飽きずに女の子を追いかけまわしているんでしょうか?(最近は、なるべく・・自粛中です。)
まあ・・未来の僕はこれから行く道ですから、僕が代わりに皆様にお詫び申し上げます。(うんうん・・お前が一生懸命“勉強”しな方から・・苦労してるんだろうが・・)
何か・・さっきから・・・変な“声”が聞こえるようですが・・・気にしないでくださいね!
さて・・・これから皆様を“僕たちが一番輝いていた時代”昭和50年代へご案内いたします。
それでは・・時間旅行の準備はよろしいでしょうか?それでは・・ご一緒に・・タ~イムスリップ・・・

用意周到・・・2

「猫ちゃんねえ~まあ・・いいけど・・・」 僕は挑まれた勝負を投げ出したりしない。
どんな強敵だって・・・正面攻撃が効かなければ、“背後”からも襲う。
何せ・・・僕の身体の中には、ニホンオオカミの血が流れている。だから、どんな手を使っても相手を倒す。
時には“ボロボロ”のまるでボロ雑巾みたいになることがあるけど、意外に僕は“執念深い”。
相手の“弱点”だってやる時は徹底的にやるのが、僕の主義だ。
僕を猫に例えるなんて・・・静香は思い知らされることになるはずだ。何せ・・・僕のカバンには、“神泉”もあるし、薬局のおばちゃんに貰った“例のクリーム”もある。まあ・・・体力は温存しとかなきゃいけないけど、どっちが“子猫”なのか思い知らせておいたほうがいいかもしれない。

「さぁ~入ってちょうだい。猫ちゃん!」

僕の理性の回路は安全装置が働いた。全て・・本能の僕に委ねることにした。

「ねえ[揺れるハート]シャワーに入るでしょ?」
「いや・・・オオカミモードに突入しちゃったからね・・・俺。」
「えっ[揺れるハート]!ちょ・・ちょっと・・・あん[揺れるハート]

僕の僕自身は全身の血液をひたすら集めようとしている。そこへ・・・例のクリーム効果が重なれば、賢明な方ならどうなったか・・・解るだろう。時間にして・・・約1時間。僕は“ひたすら”静香の神秘の泉に僕の僕自身を突きたてていた。インターバルなんか必要がない。いつもはちょっと“手加減”をしたりしているのだが、僕の中で何かがはじけ飛んだのだ。2度。僕は静香の神秘の泉にお魚さんたちを放流した。ついでに・・“極上の鍵盤”で僕は今夜のリハーサルも兼ねてしまったほどだ。
静香の白い身体はシーツの海を渡る波のようぬゆらゆら動き、そして・・・夜の海に映る月のように、静香の身体から染み出た汗は光っていた。
満足したのだろうか?静香は静かに眠りの世界に入っていったようだ。
僕はそぉ~っとベッドを抜けだし、脱ぎ散らかした洋服を身に付けると、静かに部屋の外へ出て、鍵を掛けた。

「さぁ~てと・・あっ!薬局のおばちゃんに文句言わなきゃ・・・」

僕は全速力で薬局へ飛び込んでゆく・・・

「おや?兄ちゃん・・・どうしたんだい・・・そんなに慌てて・・・」
「じ・・・時間がね・・・それより、アレ!効きすぎ!おかげで・・・“散々”な目にあったよぉ~」
「“散々”じゃないだろ・・・いい思いしたんじゃないのかい?」
「そうとも言うけどねぇ~その辺のおっさん連中で試した方がよかったんじゃない?」
「相当効いたかい?そうかい・・じゃあ・・・今度・・・取り扱ってみるとして・・・・今度はコレ!」
「はい?またぁ~“実験台なの?」

おばちゃんに渡された袋を覗くと、中には“今度産む”が・・・・僕には必要がありません。

「おばちゃん!コレ・・必要ないんだけど・・・水風船くらいしか・・・・」
「えっ!兄ちゃん・・・・まさか・・・・」
「そのまさかだよ・・・まあ・・いいか。悪戯に使えるかぁ~おばちゃん。これ・・悪戯に使ってもいい?」
「悪戯って・・・まだ・・“水爆弾”やっているんじゃあるまい?」
「ああ・・・あれはね。もう・・卒業したの。いつまでもガキみたいなことやってられないでしょ・・・・」
「じゃあ・・どうするんだい!」
「うん・・・おばちゃん・・うちの学校の熊田教官知ってる?」
「ああ・・・あいつか・・うちの店への出入りは断ったくらいだ。あんな嫌な奴いないね・・・」
「でしょ?それに・・・ちょっとした悪戯仕掛けるの・・・」
「いいねえ~じゃあ・・・それに使いな!」
「本当?おばちゃん。」
「ああ・・・じゃあ・・・兄ちゃんには・・ヨシ!実験台のお礼にコレ持って行きな!頑張るんだよぉ~」
「頑張る?って何を・・・・」
「馬鹿だねえ~“お勉強”と奉仕活動!」
「了解!ありがとう・・・おばちゃん。」

僕はおばちゃんにいつものセット・・・赤まむしとユンケルを5本ずつもらいカバンに押し込んjだ。

「じゃあねえ~おばちゃん。そのうち・・・結果報告するからねえ~」
「ああ・・“朗報”を待ってるよ!ギャフンと言わせてやりな!そうすりゃ・・この商店街のみんなの気分が晴れるからねえ~」
「うん。あっ!いけねえ~待ち合わせしてるんだった・・・じゃあね!」

僕は薬局を飛び出し、全速力で美希との待ち合わせ場所である。マックへ走りながら考えた。
薬局のおばちゃんに貰った“今度産む”の“有効活用”の方法だ。

「水爆弾じゃ・・・あんまり・・効き目ないよな・・・佐々木クンが色々・・大人のおもちゃを仕込んでくるし・・そうだ!」

僕は“悪知恵”だけはすぐ浮かんでくる。“悪知恵”だけで大学へ入れてくれるのなら、どこの大学でも入れるだけのモノは浮かんでくる。

「未使用状態じゃ面白くないし・・やっぱ・・・“使い終わり状態”だよなぁ~それを・・・ごちゃまぜにしてと・・・」

ぶつぶつ独り言を言いながら全速力で駆けこんで、危うく店の前に居た美希を、はね飛ばすところで、急ブレーキを掛ける僕。

「こらぁ~遅いぞぉ~5分遅刻[揺れるハート]!」
「あっ!・・み・・美希・・・・センセー・・・ヒィ~く・・苦しい~」
「時間は守らないといけないでしょ!学校では・・・教えてなかったっけ[揺れるハート]?」
「な・・習って・・・・な・・い・・と・・・」
「まあ・・・全速力で駆けてきたみたいだから・・許してあげる。さあ・・行きましょうか?」
「行く?」
「馬鹿ぁ[揺れるハート]帰りましょうなんて言えないでしょ・・・」

小声でささやく美希。そうだった・・“障子に目あり・・壁に耳あり”だったっけ・・・・僕と美希は“禁断の関係”お互いにバレたら・・・そこ(学校)に居場所が無くなるに違いない。

「はい。・・これ・・・許可証[揺れるハート]

それは、校長先生が発行してくれた“水戸黄門の印籠”みたいなもの。つまり・・・“アルバイトをしてもいいよ”と言うお墨付き。何しろ、僕たちの学園は一応、アルバイト禁止の校則がある。但し、校長先生が許可した場合には、担当教諭が、アルバイト先を確認した場合のみ、許可されることになっているのだ。
許可証には、“担当顧問の許可したもの”全てしてもよい。と書いてある。

「どぉ[揺れるハート]これ・・・」
「ありがとうございす。コレで“鬼に金棒”かな・・・」
「一応・・・言っておくけど・・・許可するのは、“ピアノ演奏およびレッスンだけ”だからね[揺れるハート]
「それと・・・特別活動許可証[揺れるハート]
「えっ?」
「あのねえ~試験期間中は、全面部活動禁止じゃない・・・知らなかったの[揺れるハート]?」
「そうでした・・・」
「でしょう?だから・・ついでに許可貰っておいたの・・・グランドのそばに紗江子の親戚の家があってね・・・そこのお手伝いすることになっているわ・・・」
「つ・ま・り・・そう言う事?」
「うん。そう言う事[揺れるハート]・・これでグランド周辺に居ても言いわけが出来るでしょう[揺れるハート]

僕と美希の行き先は、僕のアルバイト先。つまり、紗江子の店。一応、誰に見られても言い訳が立つ。
何しろ、許可証には、“担当教諭”が確認した場合と書いてあるし、担任のキー先生は、美希・・つまり、佐山美希先生に委任をした格好になっている。何せ、僕たち社会関係奉仕部の副顧問だから、一緒に行動していても問題はない。
そりゃあ~禁断の巣で張りこまれてたら、“アウト”だけれど・・幸い、ご近所には、ウチの学園の関係者はいない。まあ・・いたとしても、“滅多に制服に身を通すことのない”僕。何せ、学校の制服はロッカーに仕舞いこんだままだし・・・

「明日は数学よね?確か・・2科目[揺れるハート]

駅から禁断の巣のあるマンションへの坂を登りながら、美希が切り出してきた。まあ・・・アルバイトの時間までまだ時間がある。僕はその間“数学”の予想問題をもう一度だけ解く。その間に美希は着替えをしたり、化粧を直したりするんだろう。

「うん。そうだけど・・・それが?」
「あのね。キー先生からの伝言。詳しくは言えないけど・・トラップには気を付けろって・・・」
「トラップね。・・つまり、予想問題の数値が代わるだけじゃないってことだな・・・」
「みんなにはどうしようか?」
「うん。後で・・電話しておく。どうせ・・・赤沼んちでの“勉強会”だろうし・・・」
「“勉強会”?本気で・・・勉強しているわけじゃ・・・・」
「あるわけないじゃん!それより・・・」

僕と美希はいつの間にか部屋の前にたどり着いていた。カギを開ける僕の腕は、さっきから・・・美希のおっぱいが押しつけられている。僕は部屋のドアを開けて履いていた靴を履き捨てるように脱ぐと、美希を抱きあげ一目散にベッドルームへ向かった。

「こらぁ[揺れるハート]お勉強しなきゃ・・・」
「うん。するよ。ベッドの中でね。」

先に挑発してきたのは美希のほうだ。それに・・僕はヤリタイ盛りの16歳なんだから・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第46話へ・・・続く 

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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第46話                       [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

こっほん!

僕です。ちょっとばかり・・・ご無沙汰いたしました。
僕たち・・・酷い学校に入学(強制収容の間違い・・・かな?)したみたいです。
何せ・・・日曜日にまで“試験”をやる学校ですもん。
お陰様で・・・試験は一応・今のところ・・全科目“満点”です。まあ・・・お兄様である学年主任のおかげなんですけど・・・みんなも今のところ・・“赤点”はありません。まあ・・・普段の心がけが良い!(悪いの間違いです)
からでしょうが・・・“赤点”を喰らうとすれば・・これから起こる“珍事”(謀略です・・)で、体育科のボスである。
鬼クマ退治の報復くらいでしょうが・・・・
では・・・そろそろ・・開演の時間が来たようです。因みに・・助勢はいりません。何せ・・普通科300名+各クラス担任+関係者一同VS“学園のゴミ”鬼クマこと熊田教官とサッカー部監督の与田教官。
まあ・・ご声援だけで結構でございます。それでは・・・僕たち“悪たれ連”が一番輝いていた時代へ・・・
ご一緒にタイムスリップしていただく前に・・・
はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

それでは・・・ご一緒に・・昭和50年代へ・・・タ~イムスリップ・・・・・・

用意周到・・・3

「あなたぁ~地区長から、“例の差し入れ”もらってきたわぁ[揺れるハート]~」
「ありがと・・・これで・・仕上げは完了!吠え面かかせてやる。」

僕たちは先日掘っておいた落とし穴“2個”の中に、それぞれの中身を別々に投げ込み・・一応、かき集めておいた・・・落ち葉をその上から“布団代わり”にタ~ップリかけておいてやった。

「よし・・これで準備は完了かな?佐々木ぃ~」 

僕は傍らで薄いベニヤで蓋をして砂をかぶせて、痕跡を隠している佐々木クンに声を掛けた。

「ああ・・・あとは、“科学部”に依頼して作ったこの“特製カルピス”を仕掛けて・・っと・・」

2mm足らずのベニヤ板の下は深さがタ~プリ2メートル以上ある落とし穴が掘ってある。
底には・・・石と石で挟んだ“かんしゃく玉”が大量に仕込んである。その1メートルほど上にもう一枚薄ベニヤを敷き(この細工には苦労したケド・・・)そのうえにそれぞれの穴に“カエル”と“青大将”にお入りいただき・・落ち葉を入れて・・僕ら特製の“2段落とし穴”が完成したのだ。

「おい!青・・いい加減に“アオイちゃん”を放しやがれ・・・」
「だってよぉ~新品じゃん・・勿体なくねえか?」

“アオイちゃん”と名付けたのは、白○クンだった。何でも中学時代の担任の女性教諭にそっくりだったそうで、その名前を戴いたのだけど・・・佐々木クンの“提供品”のダッチワイフを一生懸命膨らましていたのは、青○クンだった・・・

「いいから・・よこせよ・・・それに合う・・“衣装”着せるんだから・・・」

Yがそれをひったくり・・僕が“苦心”して集めた(別に・・盗んだわけではなく・・ご提供してもらった)数々の女性物の下着(ほとんど・・新品に近いモノや着古し等・・様々)を着せる。

「ヨシ!あとは・・・ビリビリに破いてビニール袋に押し込んで“例の場所”に隠しておけ!」
「了解!」
「例のブツは?」
「ああ・・・・青○秘蔵コレクションは、先日で“完売”したからな・・・ちょっくら“細工”して混ぜておいた。」
「OK!・・・後は忍者部隊の活躍だな・・・・」
「ああ~俺も“ひと暴れ”させてもらう」
「佐々木!それは駄目だ!俺らはダブれるけど・・・お前は後がないじゃんか・・・大人しくしておけよ!」
「でも・・それじゃぁ~」
「いいんだよ・・それで・・・お前には“黒子”を頼む!」
「例のやつだな?」
「ああ・・・釣り糸作戦の実行指揮を取れ!」
「解った・・・・」

試験後、“普通科1年”だけの“魔の体力勝負!地獄のサドンレス”と名付けられた4日間。
毎日・・毎日・・走らされたりなんてしたくない。これは、“恒例行事”ではない。
僕への復讐のために計画された“特別行事”なのだ。よっぽど・・・“階段落ち”をさせたりしたことを根に持っている。如何せん理事長の“甥っこ”だから、校長先生も許可しないわけにはいかなかったらしい。
要は・・・その“恨み”を晴らすため、僕を孤立させようと企んでのことなのだが、“敵”がそう来るのなら、その“裏”をかくだけだ。何せ・・この作戦のために僕たちは、“貴重な財源”を投入した。
つまり・・・普通科1年全員に無償で1冊ずつ・・裏本を献上して協力を要請したし、科学部にはホステス養成学校との合同コンパをセッティングしたりした。僕は僕で・・・“提供品”を集めるために、無償で働かされたし・・・
チップの代わりに“ご提供”を受けたのだ。
“忍者部隊”には、各自裏本2冊ずつ、“報酬”を払ってある。

「終ったぁ[揺れるハート]?みんな・・・おやつの差し入れ!」

僕たちがせっせと・・“罠”を作っている間。優子と美希は「そんなもんまでぇ~」と言いながらどこかへ言っちゃったんだけど・・・僕たちの“おやつ”のビッグマックの買い出しに行ったのだった。

「ありがとぉ~優子ぉ~!」
「あたしじゃないわ・・・お金を出したのは・・美希先輩!」
「そんじゃぁ・・・」
「ありがとうございま~す。美希センセー」
「いいのよ・・・後で校長に出させるから・・・ウフフ[揺れるハート]
「いただきまぁ~す。」

僕たちは一斉にまるで・・早食い選手権のようにビックマック&フィレオフィッシュに喰らいついたのだ。

「そうだぁ[揺れるハート]美希先輩・・・ウチの・・成績どうなんですか?教えてくれなくて・・・・」
「言ってないの?部長・・・」
「・・・・」

僕の口の中には大量のモノが詰め込まれているわけで・・喋るに喋れない状態。従ってコクンと頷くことしか出来なかった。

「優子・・そんなに心配?」「あっ・・・に・・兄さんの立場も・・そのぉ~」
「やだやだ・・ウチの・・だって・・・あの優子さんがだよ・・こうも変わるのか?」
「そうだなぁ~これが・・俺らを池に放りこんだ・・あの優子さんだぜ・・・」
「あらぁ~何でしたら・・・お隣の自衛隊の滑走路に並べてあげましょうか?」
「お・・おまえら・・よせ!本質は変わって・・あっ!」 

優子が横目で睨んでいる。ここは大人しくしておいたほうがベストだろう。

「あなたまで・・・で・・・どうなんですか?」
「いいわ・・教えてあげる!今のところ・・パーフェクトよ!」
「ぱ・・パフェクトって・・・まさか・・・」
「そのまさかよ・・オール100点!今のところね。」
「あなたぁ~すごい[揺れるハート]!」
「兄さんに恥だけは搔かせられないもの・・・・・・ヨシ!そんじゃまぁ~準備終わったし!」
「そうだなぁ~試験もあと2日!頑張んなきゃな!」
「ああ~その後は楽しいクリスマス会もあるし・・・」
「えっ!あのぉ~俺・・・・」
「解ってるよ!青!お前は先に信州に行け!」
「いいのか?」
「ああ・・邪魔するほど野暮じゃねえ~よ!」
「そうそう・・・行っていいからな!た・だ・し・・・赤点取ったらお前!補習があるけど・・・」
「そうなったら・・俺、殺されかねぇ~」
「大丈夫だって・・・残り死ぬ気でやればな・・・ですよね?美希センセー」

僕は美希にみんなの心配を払拭するために、教えてやって!と目で合図を送った。

「しょうがないわねえ~今日までの所は、今のところ大丈夫よ!みんな・・・・」
「ヨシ!じゃあ~解散するか!」
「オウ!部長・・お前・・どうすんの?」
「うん。ちょっとな・・・用があるからお前ら先に帰ってろよ!じゃあ・・明日な!」

今日は紗江子の店はお休み。それに、僕の奥さんがここに来ている。美希はみんなを纏めると先に帰ってゆくことになっている。僕は束の間の“水入らず”の時間を過ごし、明日の朝、優子と校門でいつものパフォーマンスを行うのだ。どうせ、鬼クマが校門にいるはずなので、ちょっくら・・・挑発してお乞うと言う作戦なわけだ。

「じゃぁ[揺れるハート]優子ぉ~ちゃんと“勉強”もさせるのよ!」
「はい!美希先輩・・・」
「“勉強”ねえ~何を勉強するんだか・・・じゃあな!部長ぉ!」
「ああ・・しっかりやれよ!」

そう言いながら僕は考えた。「本当に・・勉強する時間あんのかな?」と・・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第47話へ続く・・・・ 
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第47話   [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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用意周到・・・4

「なあ~そろそろ来るころだよな!」 朝飯が割の肉饅を頬張りながら誰にとでもなく、佐々木クンが聞いた。

「ああ・・もうすぐ・・来るだろ!きっと・・・」
同じく社会関係奉仕部面々は肉饅を頬張っているので、Yが代表して答えた。

「あの馬鹿・・・昨夜ちゃんと勉強したのかな?」

「当たり前だろ!少なくともあっちの方のお勉強はしているはずだが・・・」

「赤・・・それを言っちゃぁ~お終いだって・・・俺たちだってそうじゃんか・・・」

「まあ・・な!」

「しかし・・俺ら“部長思いだよな!」

「ああ・・これだけ飲ませれば足りるだろ・・・」

佐々木クンはポン!とカバンを叩いた。中には・・ユンケルと赤まむしのセットが6セットも入っていたのだ。

「でもよ・・あの馬鹿どうするのかね?ガキ出来ちゃったら・・・」

「ああ・・・俺も聞いた事あんだけど・・・学校辞めて働くらしいぜ・・・」

「そうなのか・佐々木!」

「ああ・・・そう言っていた!あ・・あれ・・・優子さんの車だろ?」

「ああ・・本当だ・・・・」


正門そばで僕の到着を待ちうけている“社会奉仕部”の面々。
何しろ・・遅刻したら試験を受けさせてもらえない校則になっている。そうなれば、1科目につき、1万円を払って追試を受けねばならないことになっている。
何故?僕が知っている科と言えば、Yが1学期赤点を喰らったのだ。その時の追試はレポート提出。
それを何故か・・・僕がやらされていた。まあ・・・静香のパワー^ランチ10食で手を打ったけど・・・
集まったギャラリーの前に“わざわざ”車を横付けにしてもらい。颯爽と助手席から降りる僕。
勿論、優子も運転席から降りてきて・・・恒例の・・・と思った瞬間!

「え~1-Bの委員長に告ぐ!至急教務員室へ出頭するように・・・」

こういう邪魔をするのは、兄さんしかいない。僕と鬼クマの即時対決を避けようとしているらしい。
勿論、そんな事はよ~く解っているのだが、ギャラリーから一斉のブーイングが響く。
僕はみんなの期待は裏切らない。ちょっと教務室の方を見上げながら、優子を抱きしめ、しばしお別れのキスをする。教務室の窓が開き、兄さんがマイクを握り締めている方にVサインを送る。

「社会奉仕部・・すぐに部長を捕獲して連れてこ~い!」

その声に反応するように、「やだぁ~!」と響く声。

「全く兄さんには呆れるわ!校内放送私物化だよ・・あれ!」
「そうねえ~そのうち馬に蹴られるんだわ・・ねえ・・もう一回[揺れるハート]
「うん。人の恋路を邪魔する奴はって奴だな・・・」

もう一度、お別れのキスをすると・・・僕は文字通り・・赤鬼になりかけている鬼クマの横を悠然と通り過ぎる。
勿論、僕の廻りには社会奉仕部の連中とギャラリー諸君に包囲されていて、いくら・・鬼クマでもてが出せない。

「おい!馬鹿部長ちょっと待て!」
「なあ~誰か呼んだか?」
「さあなぁ~きっと空耳だろ・・・・」
「待てと言っているだろうがぁ~何様のつもりだ貴様!」
「ああ・・・熊田教官おはようございます。どうしたんですか?血圧上げ過ぎると・・・大変な事になりますけど」
「佐々木ぃ~貴様!」
「佐々木・・どけ!熊公。俺に用があるんだってよ・・・」

僕は前に立ち塞がる佐々木を押しのける。勿論全員臨戦態勢に入る。

「おはようございます。熊田教官!何しろ眼中になかったもので・・失礼しました」
「て・・てめえ~」
「やりますか?ここで・・・俺はいつでもいいんですけどねえ~」

そこへ兄さんこと学年主任が駆けつけてきた。勿論、担任のキー先生もだ。ついでに・・体育科からも鈴木教官を始め何人も飛び出してきては、怒り心頭の鬼クマを抑え込む。

「てめぇ~体育デーの時血反吐吐かせてやるからな!」
「あらま・・・仮にも教官がそんな言葉を吐かれるとは・・なあ・・佐々木!」
「そうだな!親父に言ってPTAの緊急総会でも開いてもらうか・・・」
「いや・・いっそのこと・・体育デーに決着つけましょうね・・・ク・マ・ダ・・教官!」
「てめぇ~」

必死に鬼クマを抑える体育科の教官。何せ鬼クマは木刀を握りしめている。あんなもの屁ではない。
兄さんとキー先生は自分達が盾になりばがら、僕たちを諭す。

「ほら・・お前らさっさと中へ入れ馬鹿共がぁ~
「は~い。保健所に連絡しておいた方がいいんじゃないんですか?狂犬病患者がいるって・・・」
「そうだな!ついでに・・・精神病院にも連絡しておくか?」
「ああ・・あとは、警察も呼んでおくか・・・」
「馬鹿野郎!いい加減に試験会場へ入れ!」

兄さんは僕にだけ解る合図を送ってきた。つまり・・・これで充分だ!と言う合図だ。
僕は昨夜、優子と泊まったラブホから、兄さんに電話を掛け、一悶着起こすと前もって連絡していたのだ。
勿論、緊急連絡網で普通科1年全員VS鬼クマ&サッカー部監督の戦いは既に、伝達されていた。
僕の廻りを囲んでいたのは、その中から選抜された戦闘部隊だったのを鬼クマは知らない。
何せ・・全員のカバンには、メリケン他様々な武器や弾薬が収まっていたのだ。まあ、弾薬と言っても、生卵の中身を取り出し、“特製ブレンド”された香辛料各種とか、ペンキを詰め込んだモノとか、缶詰の蓋で拵えた手裏剣状のものとか、まあ・・どんな乱闘にも使えるモノが、あちらこちらの“教室”と言う秘密工場で生産されていたのだ。
僕たちは“専用試験会場”に入り、試験を受けた。もちろん、兄さんと美希じゃなかった・・佐山美希センセーと体育科の鈴木教官と校長先生の監視下に行われることになっている。

「みんなぁ~お早う!」
「お早うございます。佐山先生!」
「ええとぉ~試験前に校長先生からお話があるから・・・」
「はい!」

美希が退き、代わりに校長先生が教壇に立った。

「起立!」

ぼくの掛け声に全員が立ちあがる。

「礼っ!」
「校長先生!おはようございます。」
「うむ。諸君!お早う!部長!皆を着席させなさい!」
「はい!着席っ!」

僕たちは全員指定された場所に座る。背筋をピーンと伸ばし、両手はヒザの上におく。

「うむ。これが・・あの・・まあいい。諸君昨日までの成績は良かった!それに連日のように学校側にも謝辞の言葉やお礼状や感謝状までいただいておる。特に、諸君は学校の栄誉のためにボランティア活動に従事しておるのに関わらず・・・・・」
「あのぉ~校長先生・・もうすぐ試験開始時間なんですが・・・」

美希がすかさず止めに入ってくれる。何せ校長の話は長い。炎天下の校庭でやられたら、僕たちの殆どは熱射病になってしまうだろう。

「おお・・そうかすまん。それでは諸君あと二日だ!文武両道の精神で頑張ってくれたまえ以上!」
「起立!校長先生に礼っ!」
「ご指導ありがとうございました。」
「うむ。そうだ。部長!」
「はい。何でしょうか?校長先生!」
「試験が終わったら、私のところへ来るようにいいね!」
「はいっ!」
「それじゃ~筆記用具配るわね!」
「はいっ!」

僕たちは学校から貸与された鉛筆と消しゴムを入れてある封筒を受け取り、それぞれが鉛筆削りで鉛筆を削り、試験に備えた。
鉛筆を削り終え、座席に着くと封印がされているのを確認された試験問題と用紙が配られる。

「はい・・じゃあ・・今から制限時間50分。始めなさい」

僕たちは黙々と試験用紙に向き合いだした。しばらくして、顔を上げた僕は、どうやら自身に満ち溢れた顔をしていたらしい。試験終了10分前のことだった・・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第48話へ続く・・・  
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第48話                          [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

こっほん!

僕です。久しぶりに皆様の前にやってきました。
何せ・・未来の僕はとんでもないヤローです。まあ・・自分の口で言うのも何ですけど・・・
人を眠りから醒ましておいて、しょっちゅうあっちこっちに出かけているようです。
さて・・・僕たちの傍若無人はまだまだ続きます。何せ、男子校に間違えて(多分・・・)入学しちゃったもので、
目の前はお先真っ暗な青春という道を突っ走ってきました。
一応、後期も僕がクラスの委員長を務めてますけど、有名無実。殆どは副委員長に仕事(掛け声くらいですが)を任せています。何しろ、僕は委員長に部長。ついでにエセ神主にエセピアニスト。おまけに奥さんもいれば、その他にも巫女’sの飼い犬。・・一応、純日本オオカミの血は流れているんです。
僕の奥さんは、今でこそ僕たちの最大の理解者兼、僕の保護者代わり(お預かりさせられている)学年主任であり、僕たち“社会関係奉仕部”(別名を悪たれ連と言いますが・・・)の顧問の妹。姉さん女房です。
まだ16歳の僕が何故奥さんがいるのか?そもそもの発端は、皆さんが言う“合コン”つまり、女子高との合同コンパを開いたときに、節操のない大岩クンが、“押し倒し事件”を起こした事に発端があるんです。
“停学処分”も僕たちは特別なお休みとしてしか、捉えてませんので、本当は“自宅謹慎”なんですが、あっちこっちに出没する始末。つまり、学校から在宅確認の電話があってもほとんどいません。
まあ、居れば居たで散々ギャースカやられるものですので、「まだ・・少年院の方がマシ!」と言っていたくらいです。さて、そんな訳で僕たちは「お前らなんか保健所が処分してくれるかぁ~」と言われ、強制労働のために、
天敵でもあった兄さんの実家の神社に放り込まれたわけです。そこの神社を切り盛りしていたのが、僕の奥さんで、元ナースの巫女。おまけに言わせていただければ、泣く子も黙る。ヤクザやチンピラも避けて通る。元T女のスケ番の出身。ついでに言わせていただければ、僕が神主代行(まだ資格がないんで神主ではありません)の神社のある鎮守の森に巣食う巫女’sは全員・・・・。もうひとつおまけに言えば、僕たちの学園のオールドミスと呼んでいた佐山美希先生(僕の東京での生活拠点になっております。何しろ、奥さんである優子に正式にリースされちゃったもので・・・)も、僕の奥さんの先輩。ついでに美希先生のお友達で、僕がエセピアニストとして、アルバイトしている“ぼったくりバー”(男性客にだけ・・・一応、会員制でリーズナブルなお店の経営者、紗江子さん(ついでに・・・僕と美希の禁断の巣のオーナーで、同じくリースされちゃっている人)も、優子の先輩です。
まあ・・女難と言えばそう聞こえるかもしれませんが、結構楽しいものです。慣れてしまえば・・・・
おや?そろそろ・・開演の準備が整った様です。なお、新顔の方が少々いらっしゃるみたいですので、その方はどうぞ別のタイムマシーンをご用意いたしましたので、そちらへお乗り換えください。
それでは・・・僕たち悪たれ連が一番輝いていた昭和50年代へ戻りたいと思います。
では、ご一緒に・・・タ~イムスリップ・・・・・

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用意周到・・・5

「ああ・・終った終った・・・なあ!部長ぉ~メシどうする?」 
「どうするって・・佐々木ぃ~お前等、また俺のツケで喰う気か?」
「当たり前だろ!なあ・・Y」
「そうだな・・・それくらいして貰わないと・・・どうせ!またタダ働きさせる気だろ?」
「わ・・解ったよ!じゃあ~メシ喰いに行くか!そう言えば俺、朝飯食ってなかったっけ・・・・」

ゾロゾロと僕たち社会関係奉仕部の面々用の試験会場を出る。ここは、普段職員会議等に使われている場所。
その途端、僕の右の耳は千切れてしまうんじゃないかというくらいの強さで引っ張られる。

「あらぁ~どこに行くのかしら[揺れるハート]試験が終わったら校長先生のところへ、出頭だったはずよねえ~」
「い・・痛ぇ~。み・・美希・・・せ・・・・」
「ここは学校なんだから、ちゃんと先生って呼びなさい[揺れるハート]
「は・・はい・・・」
「みんなぁ~部長の奢りで一杯食べてらっしゃい!ほらぁ~行くわよ[揺れるハート]「は~い!」
「じゃあな!部長ぉ~先に喰ってるからな!」
「お・・俺の分残しておけよ!佐々木ぃ~」
「ああ・・伝えておく!」

まだ右耳を引っ張られている僕の姿がそこにある。まだ・・放してもらえない。

「ほら・・・行くわよ![揺れるハート]
「行くわよって・・校長室あっちですよ・・・・」
「そうね!でも校長先生は来客中なの!それまで私の監視下なの[揺れるハート]
「か・・監視下って・・どこに・・・」
「聞くまでもないでしょ・・ばかぁ[揺れるハート]

勿論、行き先は地学準備室。まあ・・ここなら、誰も近寄らないし、そもそもこの階は試験期間中、生徒の立ち入りは許されていない。まあ・・・美希は一応、先生(中等部だけど・・)で、僕たちの副顧問だから、仮に他の先生方や生徒に会っても、「また・・あのアホ!何かしでかしたか?」で済むわけだ。これが、部室(旧生徒指導室)だったら、高等部の教務員室のど真ん前だし、今じゃ僕たちの部室なんだけど、兄さんやキー先生をはじめとする
喫煙家たちのオアシスになっているのだ。

「はは~ん!解ったぞ!」
「な・・何よ[揺れるハート]何を考えているのよ・・・この・・・」
「単細胞!って言いたいんでしょ?でも顔に書いてあるけど・・・」
「ご名答・・・さっさと入りなさい[揺れるハート]
「はい!失礼いたします。」
「もう・・ばかぁ[揺れるハート]

美希はドアのカギを掛け、いつの間にか取りつけられているドアチェーンを掛ける。もうひとつ地学室に繋がっているドアの鍵は一応掛けてあるのだけど、それも確かめる美希。

「ウフフ[揺れるハート]校長先生から電話が掛ってくるまで時間があるの!いらっしゃい[揺れるハート]

そう言いながら、美希はジャケットを脱ぎ、ブラウスのボタンをひとつずつ外してゆく。
まあ・・・ここまで挑まれては、男が廃る。それでなくても、僕は16歳。健全・なヤリタイ盛りの高校1年生だ。
美希の挑発で、僕の僕自身は全身の血液を集め出す。まあ・・・禁断の園での営みもいいけど、スリルとサスペンスが漂う準備室での営みは、クセになる。まあ・・・麻薬ってこんなものに違いない。
喘ぎ声を押し殺す美希。勿論、僕も声を発しない。僕が美希の神秘の泉の奥底にタ~ップリと僕の分身のお魚さんたちを、放流してそのまま繋がっている時に、校長先生から電話が掛って来たのだ。
鳴り響く電話の受話器に手を伸ばす美希そして繋がったままの僕。

「はい・・・ああ・・校長先生。はい・・・10分後ですね。はい・・畏まりました。連れてお伺いしますわ。」

必至に平静さを装う美希の顔。電話に出た瞬間に僕はまた腰を動かし始めちゃったのだ・・・・
電話を切った美希は僕を睨みつける。

「こらぁ[揺れるハート]電話中に何て事するのよぉ~」
「だって・・・暇だったんだもの・・・」
「もう[揺れるハート]今夜覚悟しておきなさ。それより・・早く服を着て頂戴。校長先生がお待ちなんだから・・・・」
「あんな・・狸待たせておけばいいんだ!」
「た・・狸?」
「うん。酷い目にあったもん。校長の狸に騙されて、動物病院の引っ越しに駆り出されたし・・・」
「そうだったっけ?」
「そう・・・だから部室に校長室より、いい絨毯敷いてあるでしょ?あれ・・・いらないからって貰って来た!」
「どおりで・・・」
「えっ!」
「あのね[揺れるハート]学校のセミナーハウスの件だと思うの・・校長先生の話。」
「セミナーハウス?まさか建てるの?うちの村だったら・・断るよ!冗談じゃない・・・」
「何でかしら?」
「卒業してまで・・・後輩が来ると思うとぞっとするもの・・・面倒みるのやだもん!」
「ほら解ったら、服を着てちょうだい[揺れるハート]
「了解!セミナーハウスはうちの地区には断るからね・・・」
「解ったわ!」
「そうだ・・信州に押しつけよう・・・青○に・・・・」
「いいのかしら?」
「いいんじゃない・・・今度、和尚に相談してみる!うんうんこれこそ・・・社会奉仕!」
「そんなことより・・早く洋服着なきゃ[揺れるハート]
「そうだった・・・でも・・・収まれ!この馬鹿!」

僕は天を向いている僕の僕自身に向かって怒る。非常に苦労しながら、下着を穿き、洋服に袖を通す。
美希も慌てて身づくろいをしながら、テッィシュで僕の顔を拭く。どうやら・・美希の口紅が僕の顔じゅうについていたらしい。

「ほら[揺れるハート]いくわよ・・・」
「あ~ん!狸爺の馬鹿ぁ~」 

走りたいけど・・・僕の僕自身がまだ機会あればと隙を窺っている(男性なら解ってもらえますよね?)
これじゃあ・・走るのに邪魔。

「何してるの・・いくわよ[揺れるハート]

そう言いながら・・今度は左耳を掴む美希。

「痛いってば・・・美希!」
「もう・・学校でしょ・・ここ・・・何て言うんだっけ?」
「オールドミス!」
「切り落とされたい?」
「ええとぉ~佐山先生!痛いので放してくれませんか?」
「駄目!逃げる気でしょ?」
「そりゃあ・・・お腹も減ったし・・・・」
「我慢しなさい・・・男の子なんだから[揺れるハート]

左耳を引っ張りながら、校長室へ向かって走っていく美希。僕はやはり同じ速度で走っていかねばならないけど、身長は僕の方が大きい。従て中腰で走らされる僕の身にもなってほしいものだけど・・・
幸い、美希は通路を駆け抜けると、エレベーターに向かってくれたので、助かった。
そうでなきゃ・・・階段で団子状態で落ちるのは必至だったはずだ。
エレベーター(教員及び“護送中の囚人じゃなくて生徒”それに荷物用)に乗り込むと、美希が訪ねてきた。

「ねえ[揺れるハート]今日の予定は?」
「うん。借金払いに行かなきゃ・・・皿洗いとピアノのレッスンをして、今日のステージの練習もさせてもらて・・・」
「いつも通りね[揺れるハート]?」
「うん。いつも通り・・・」
「遠征は?」
「うん。クリスマス会もあるから・・全員で鎮守の森。奴らは地区長の家に泊まって・・・」
「それから?」
「俺は神社があるからね。また二班体制かな。年末・年始は・・・信州でも当てにされてるし・・・」
「じゃあ・・優子のお兄さんが神社?」
「いいや・・信州でしょ!温泉もあるし・・・美希・・センセイがこっちの引率。その後、信州に合流!」
「優子・・知っているの?」
「うん。優子が是非にって・・・なんでもT女の歴代の新年会もやるって・・・」
「そう!じゃあ・・・紗江子も呼ばなきゃね・・・」
「それは・・今日、優子が言いに行っているはずだけど・・・あっ!もう着くよ!」
「そうね[揺れるハート]・・・それより・・あっち収まった?」
「な・・なんとか・・それより、今晩・・楽しみにしておいて!」
「馬鹿ぁ[揺れるハート]学校よ・・ここ!そっちこそ覚悟しなさい!ダブル攻撃だからね!」
「ふんぎゃぁ~!」

学校のエレベーターはノロイ。やっと一階に着く寸前。美希の爪が僕の僕自身を思いきり抓ったのだ。
今度は耳ではなく・・腕を押さえられ、美希の胸のプニプニ感を味わいながら校長室へ連行される僕。

「いい?校長先生に失礼のない様にお話しするのよ[揺れるハート]!」
「はい。佐山美希先生!ご指導ありがとうございます!」
「宜しい・・では行くわよ[揺れるハート]!」

美希が校長室のドアをノックしようとした瞬間。校長室のドアが開いた。まるで見張られている様に、ドンピシャのタイミングでドアが開いた。出てきたのは鬼クマこと熊田教官だった。

「何だ!おまえ何かやらかしたのか?」
「熊田教官!違います。校長先生から呼ばれたから来たんですわ!」

僕の代わりに美希が答えながら、僕の前を塞ぐ様に割って入った。

「佐山先生もたいへんですなぁ~こんな馬鹿共のお守をさせられているんですから・・・」
「あらぁ~ご存じありませんの?社会関係奉仕部全員。昨日までのテスト成績。上位を占めていますけど・・・」
「それが怪しいんですよ・・・こいつら・・いつも赤点か赤点すれすれ・・そこの馬鹿くらいでしょ・・そこそこ成績がいい・・まあ・・どういう手でカンニング下の化・・知りませんが・・・・」
「鬼クマぁ~て・・」 僕は我慢の限界を感じた・いや・・堪忍袋の緒が切れかかっていたのだ。
「いいから黙りなさい。部長!」
「はい。」
「いいですか?確か熊田教官の御発案でしたわよねえ~外部業者に試験問題作成させたの。それに、もし、この子たちがカンニングをしたとすれば、問題漏洩は我々教師か、その業者ですよねえ~」
「そ・・それはそうですが・・・・」
「それに・・体育科からも監視が来てましたし・・・先生も来られましたわよねえ~確か・・・お邪魔されてた様ですが・・・」
「うっ!」
「因みに・・当日の試験監督責任者として、この子を始め、全生徒から被害届を受理してますので、御処分を覚悟されたほうが宜しいかと・・・」
「わ・・私をだれだと思っている・・私は・・り・・理事長の・・・」
「勘違いされていらっしゃる様ですね。既にPTA臨時総会もあるかもしれませんわ。そうなれば・・・理事長もお考えされるでしょう・・・では、校長先生にその件も含めて呼ばれてますので、失礼いたします。」

僕と美希の横を抜けながら鬼クマは足を止め、僕をにらんだ。

「てめぇ~覚えていろ!血反吐を吐かせた上、学校から追い出してやる」
「そっちこそな!ハンデをくれてやって勝てなきゃ嘘だぜ・・筋肉馬鹿!」
「な・・何だとう!」
「失礼します!熊田教官。校長先生に呼ばれているので、ご指導ありがとうございました!」

その時・・ひょっこりと校長の狸が顔を出した。多分、盗み聞きをしていたに違いない。

「おお!入りたまえ!我が校の救世主である。部長クン。それと佐山先生も同席願いたい。熊田教官はくれぐれも頼みましたぞ・・・いいですな!」
「は・・はい・・・失礼いたします。」

鬼クマはその場を去って行った。狸おやじの校長先生は、僕にウインクして見せた。

「さあ・・さあ・・入りたまえ・・・・」
「失礼いたします!高等部普通科1年B組委員長、社会関係奉仕部部長。入室許可願います。」
「うむ。許可する・・・そこへ腰かけたまえ!」
「はい。」
「さあ・・佐山先生もじゃ・・・」
「はい・・失礼いたします。」

校長室では兄さんこと学年主任も呼ばれており、僕は校長先生の向かい側。そしてその横には、美希が腰をおろした。

「いやぁ~待たせたのぉ~佐山先生。よくぞ捕まえておいてくれましたな・・・」
「いいえ・・・そんな・・・」
「あ・・あのぉ・・校長先生!」
「何だね・・・部長クン!」
「僕が呼ばれた理由が・・よく解らないのですが・・・・」
「それはだな・・・部長!校長先生のご依頼があるそうなんだ」

兄さんが校長先生に代わって答えた。もう・・こうなっては俎板の鯉だ。じたばたしても仕方が無い。
僕は腹を括るしかないのだろう・・・・

「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第49話へ・・・続く  


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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第49話                           [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

こっほん

僕です。久しぶりの登場です。何しろ未来の僕は自分で言うのも変な話ですけど、大馬鹿ヤロウです。
無理やり・・表舞台に引っ張り上げておきながら、自分はどこかへ行っちゃうんですから・・・
頭にきたので・・・グースカと寝ている未来の僕の夢の中で大暴れしてやりました。
勿論、僕の仲間達も出演陣みんなで・・・・
相当・・あわてていたのでしょう・・ガバっと飛び起き、枕元の酸素水ですか・・そんなものをゴクゴク飲んでいましたが、ソレカラベランダに出て一服して、トイレに籠って寝ていました・・・やっぱり・・馬鹿です。
何しろ、許容量ギリギリの眠るための薬を飲んでいるんですから、意識が無くなるのは、当たり前の話。
ちょっとばっかり・・・ここのところ出番が少なくなってましたので、驚かせておきました。
それでは・・・観客の皆様大変お待たせいたしました。
まもなく・・・僕たちの鬼クマ退治第49章の始まりです。
それでは、僕たちが一番輝いていた時代・・・昭和50年代へ皆様をご案内いたします。
では、ご一緒にタ~イムスリップ・・・・・

校長先生が狸と言われる理由

僕は長椅子に美希じゃなくて・・学校だから、佐山美希先生と並んで座らされた。
目の前には校長先生、そして、学年主任である僕の奥さんの兄さんが座っている。
でっぷりしたお腹。長身なんだけど・・・お腹は出ているし、顔は丸に近い。目の廻りに模様を付ければ、
狸そっくりなんだけど、もうひとつ狸と言われる理由がある。

「いやあ~キミタチには感謝しているよ。学校の名誉のために頑張ってくれていて・・・この通りだ」

軽く頭を下げる校長先生。こpれにコロっと騙されるのが多い。僕が口を開こうとした瞬間、美希じゃなくて佐山美希先生が軽く僕を制して、口を開く。

「あのぉ~校長先生。明日も試験ですし・・・」
「おっとそうじゃったの・・・さっき速報を聞いた・・今のところ全科目満点だとか・・・」
「はぁ・・・・ま・・まぐれですね・・きっと・・・山が当たっただけだと思いますが・・・・」
「いや・・社会関係奉仕部として活動する様になってキミタチは真面目な生徒になったようじゃ・・・」

ふざけるなと言いたいところだったが、腹の中で言うだけに留めておく。兄さんや美希に迷惑を掛けるわけにはいかないもの・・・・

「あのぉ~今日は何で呼ばれたのでしょうか?」
「あのなぁ~」 

兄さんが怒ったフリをしている。何せ僕にしか解らない合図を送ってきているからだ。

「まあまあ・・・確か今部長クンは、先生のご実家で神主の修行されてるんでしたな?」
「はい!結構素質はあるみたいで、叔父が色々と・・・」
「そうでしたか・・・地区の皆さんにも可愛がられている様で・・・」
「ええ・・まあ・・・」
「いずれ・・妹さんと?」
「らしい・・ですね。」
「その時は、わたしが仲人でも・・・・」
「あ・・あのぉ~校長先生・・」
「「なんじゃね?わしじゃ不服かな?」
「い・・いえ・・・あのぉ~入籍だけなんで・・・多分・・・」
「そうか・・じゃあ・・わしがキミの保証人になってやろう・・・」
「はぁ・・・・ありがとうございます。」

やっぱり・・狸は狸・・それも煮ても焼いても喰えない狸親父だ・・・・腹の中でつぶやいた途端・・・・

「実はな・・・」 (ほぉ~ら、来なさったぞ! 僕は身構えた)
「何でしょう?」
「うん・・・まだ発表の段階じゃないんだが・・・セミナーハウスを建てようかと・・・」
「そうですか・・・まさか・・・僕たちにそれを建てろとは言いませんよね・・校長先生!」
「まあ・・建設はな・・・その前に・・何処に建てるかだな・・・」
「うちの地区には、土地はありませんよ・・・・そうだなぁ~そうだ・・信州がいいんじゃないんでしょうか?」
「信州?」
「はい・・僕たちが遠征に行っている村です。青○君はそこの村の住職にいずれなるから丁度いいのでは?」
「信州のう・・・・そうだ・・先生方はどう思われますかな?」

僕は兄さんに解る合図を送った。この際、青○クンには悪いけど、卒業してまでこの学園の生徒の面倒なんかみたくない。

「そ・・そうですわね。あそこはいいところですわ。温泉もございますし・・・ねえ・・先生・・・」

美希は同意する様、兄さんこと学年主任に促してくれる。
兄さんも僕の意図を理解してくれたらしい。

「ええ・・いいところですよ。社会関係奉仕部がいい関係を築いてますし、校長先生もお疲れになった時等にいい温泉もあります。それに土地の取得にかかる費用も・・・」
「そうかね・・・じゃあ・・・部長クン1」
「はい?」
「今度また遠征に行くんじゃろ?」
「はい。クリスマスまでは、うちの地区で各家のお手伝い。その後2班体制で、1班は信州へ1班はうちの地区ですね。正月が明けたら全員信州に入りますけど・・・・」
「うんうん・・・人様のために働くなんてとてもいい事じゃ・・・そうだもう部費はなかろう・・・・」
「はい・・・出来ればぞのぉ~」
「よし考えよう!先生方・・お二人は引率じゃな?」
「そうなりますわ。私が通しで学年主任には、信州班をお願いする形ですね・・」
「そうなのかね?」
「はい・・・サッカー部の試合とかありますので・・・そう願えたらと・・・・」
「そこでじゃ・・・信州の村でセミナーハウスの建設の交渉を頼んでいいかね?」
「はい・・じゃあ・・・村の住職にお願いしてみます。」
「そうしてくれたまえ・・・・それと・・もうひとつ・・・」
「何でしょう校長先生。」
「わしゃぁ~正義仮面が活躍してダニ退治を期待しておるんだがね・・・・」
「はぁ・・・僕たちじゃありませんが・・・・」
「そうなのかね・・・まあ・・・頼んでおいてくれんか・・・正義仮面にな・・・・」

やっぱり・・校長先生は狸親父なのだ。まあ・・お互いの利害関係が一致している部分くらい協力しておくのも悪くない。ダニ退治・・つまり、鬼クマとついでにサッカー部の監督も退治していいと許可をくれているものだ。
そろそろ・・・静香に駆けつけないと大変な事になる。お昼ごはん抜きに僕の“借金”がかさんでしまう。

「あ・・あのぉ~校長先生」
「何じゃね?」
「このあと・・・ピアノのレッスンと明日の試験勉強があるんですが・・・」
「そうか・・・キミはピアノを弾けるらしいな・・・音楽の吉田先生が言っておった。我が校から音大へ行けるかもっての・・・・」
「それでしたら・・無理だと・・・クラッシックは苦手なんです。」
「そうか・・まあ・・良かろう!キミは帰っていいぞ!先生方は残って下され・・部費を増額せねば・・・」

僕はやっと解放された。ソファーから立ち上がり、校長室の出口へと向かう。

「校長先生、学年主任先生。佐山先生・・ご指導ありがとうございました。失礼いたします。」
「うむ。ボーイズビーアンビシャスじゃ・・・頑張るんじゃ・・何事も為さねば成功はしないのだから・・・」
「はい!」

深々と頭を下げてでてゆく僕。校長室を出て生徒通用門へ向かう。どうも調子が狂ってしまう。

「あの・・狸・・やっぱり煮ても焼いても喰えねえ~」

ぶつぶつ言いながら廊下を歩いてゆく。とにかく静香で僕の奢りで喰っている仲間たちの元へ向かわなければ
ならない。

「お~い!ちょっと待て!」

兄さんが小走りに走ってきた。まあ・・義理とはいえ弟だし、僕の保護者代わりを務めて貰っているので、泊まらないわけにはいかない。

「ああ・・・学年主・・」
「馬鹿野郎・・兄さんでいい・・・」
「はい・・兄さんどうしたんです?」
「どうしたもこうしたも・・・逃げたな?」
「だって・・卒業しても面倒なんか見られませんよ・・・兄さんだって帰れなくなるかもしれませんよ・・・」
「そ・・そうだが・・・信州のあの村にか?」
「そうですね・・・出来ればそれか・・近郊でもいいですよね・・・いっそ登山部でも作って・・・・」

どうも僕は口が軽いというのか口がすべってしまうらしい。ニヤッと笑った兄さん。

「じゃあ・・・作るか!お前ら登山部な・・・山登り得意だもんな・・・イノシシも捕ったし・・・」
「あれは・・猟師のおじさんの鉄砲が運よくあたっただけで・・・」
「まあ・・今度、一緒に富士山にでも登るか・・・気持ちいいぞぉ~」
「た・・多分・・死んじゃうかと・・・・」
「大丈夫だ・・お前らなら・・・よし1次の夏山シーズンに登るからな・・・全員で・・・・」
「ぜ・・全員?」
「そう・・・お前ら全員と俺とでな・・いやぁ~楽しみだ・・・あはは・・・」
「に・・兄さん・・・あ・・あの・・確かキノコ運びの時・・・・」
「ああ・・・俺、大学で登山部だったんだぞ・・・知らなかったか?」

僕はブンブンと首えお横に振るった・・・そういえば・・・兄さんの部屋に泊まったときにやけに山の写真が一杯あったのは・・これだったのか・・・・

「と・・とにかく登山部には参加しません!優子に怒られそうだし・・・」
「まあ・・あいつには解らんだろうな・・・山の魅力・・いいんだぞ・・山って・・・」
「そ・・そんなにいいんですか?」
「ああ!登った者にしか解らん!達成感と爽快感・・・・」
「そうですかぁ~あっ行かなきゃ・・・」
「バイトか?」
「ええ・・あいつら僕のツケで飲み食いしているんで・・・」
「そうか・・ほれ!」
「何です?」
「いいから・・・みんなで栄養のあるモン喰っとけ・・・・」
「いいんですか?」
「ああ・・お前らのおかげでな・・・臨時手当が出た。そのお裾分けだ・・お裾分け・・・」
「ありがとうございます!みんな喜びます!」
「ああ・・・明日も頑張れとみんなに伝えておいてくれ・・・・じゃあな・・」
「はい!」

兄さんが僕に握らせたのは、1万円札が2枚。多分・・今日の支払いはこれで足りるはずだけど・・・
立ち去る兄さんを見送り、僕は仲間たちが待つ、静香目指して走って行った・・・・

「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第50話へ続く・・・・

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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第50話                            [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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生徒通用門と呼ばれる正門が閉じられている。まあ・・こんな時間まで残っているのは、僕くらいだから仕方がない。こうなれば、事務員室横の門を抜けるしかない。
ここを通るときには、生徒手帳を出す決まりがある。まあ・・遅刻すれば、ここで生徒手帳を没収されたりして、
担任である。キー先生からお小言を喰らうわけだ。
まあ・・きょうは、校長の狸じゃなかった・・校長先生に校長室に呼ばれたわけだから、すんなり通れるハズだが・・

「失礼いたします。」 僕は事務員室の小窓を開けながら言った。
「高等部1年B組委員長・・・下校のために通過させていただきます。」

僕は生徒手帳とそれにくっつけてあるクラス委員長のバッジを見せた。

「キミは何のために今まで校内におったのだ・・・」
「はい。校長先生に校長室に呼ばれてご指導いただきましたので・・・」
「ちょっと待ってなさい!確認しなければならない。生徒手帳をこちらへ・・・」

仕方がない僕は生徒手帳を窓口に差し出す。

「ははん・・キミが噂の・・・」
「はい?」
「いや・・・何でもない。ちょっと待ってなさい!」
「はい・・・」

どうやら校長室に電話を掛けているようだが、電話には出ない。トイレにでも行ったのだろうか?

「本当に校長先生にご指導受けたのか?」 

事務員は僕を疑り深く見る。そんな事を言われても事実は事実なんだから仕方がない。

「校長先生お出にならないのですか?それなら学年主任先生と中等部の佐山先生も同席されましたが・・」
「本当かね?何で・・高等部のキミに・・・待てよ・・・キミは社会関係奉仕部の部長だったな・・・」
「はぁ・・・そのようですね・・・いつの間にか、部長にされていたので、自覚はありませんが・・・」
「ちょっと・・待ちなさい。ちゃんと通行許可書を貰って来なければ通行させれない決まりだからね・・・」

僕たちの学園はくだらない決まりが一杯ある。こんなことなら、裏門に廻ってそこを乗り越えるか、塀をよじ登ったほうが早かったにちがいないが、後の祭りだ・・・・

「・・・はあ・・お願いしますよ・・・じゃあ・・・」

電話を切る事務員。こいつはキツネ顔をしている。ペイペイのくせに上司には、ゴマをすり、僕たち生徒にはいばり散らかしている嫌な奴だ。

「今・・佐山先生が通行許可書を持ってくるから待ってなさい!」
「はぁ・・・」

そこへ美希が紙切れを一枚持って走ってやってきた。

「お待たせ・・部長。私忘れちゃって・・・ハァハァハァ・・・」

美希が窓口に差し出した通行許可書は、美希でも学年主任でもなく、校長先生が書いたモノだった。
事務員が慌てふためく姿がそこにはあった。

「け・・結構です。今後、このせ・生徒じゃなく、部長クンは、この門を教職員と同じ様に通過していいと・・」
「へっ?な・・なんて言いました?」
「あのね!校長先生が特例を出したの。自由に通行出来る許可証をキミは手に入れたわけ・・・・」
「そうなんですか?」

僕は窓口の事務員にニヤリと笑いながら聞いた。

「う・・うむ。ちょっちょっと待ってなさい。と・・特記事項に書いておく!」
「はい・・汗掻いておられる様ですが、お身体の具合でも悪いんですか?」
「う・・うるさい。とにかく待ってなさい!」

事務員は僕の生徒手帳の特記事項に教職員用門の通行許可の文面を写し、学校長である校長先生の印を押して、僕に投げ返してきた。

「こ・・今度から見せなくてよろしいからな・・えっへん!」

精一杯僕に向かって威張る事務員は滑稽でおかしかったけど、ここで笑う訳にはいかない。
何せ・・礼儀だけはうるさい学園なのだ。

「はい。ありがとうございました。」

深々と一礼した。きっと、あの狸校長先生は、まだ他に僕たちに何かさせようとしているのだろう。
そうでなきゃ・・・こんな水戸黄門の印籠みたいな特権を僕に与えるはずはない。
何しろ・・・早退届はもちろん、遅刻も何も付かないなんて信じられない特権だからだ。

「ねえ・・部長!」
「はい?」
「みんな集まっているのよね・・打ち合わせに・・・」

事務員に見えない様に僕に合図を送ってくる美希・・・・

「はい・・まだ居ると思いますが・・・」
「じゃあ・・あたしも一緒に行くから待っててくれる?」
「あ・・あのう・・・その後レッスンが・・・」

レッスン・・まあ確かにレッスンだが・・・ピアノではないけど・・・

「今日はお休み!いいわね・・・」
「はぁ・・・」
「それとも、レッスンしなきゃいけない理由でもあるの?」
「あ・・ありません!」

本当のことを言うわけにも行きません。だって美希や紗江子は僕を奥さんである優子から正式にレンタルしてますけど・・・静香はレンタルの許可を得てませんので・・・・

「でしょ・・・じゃあ・・ちょっと待ってて・・・」
「ここでですか?」
「決まってるでしょ!すぐ来るから・・・・」

多分・・いや絶対にバレている・・・僕はそう直感した。まあ・・バレたらバレた時だ。何せ九尾の女狐との約束だし、多分・・なんとかしてくれるのだろう。

「お待たせ・・さあみんな待ちくたびれているわよ・・行きましょう[揺れるハート]
「い・・行くって・・どこへですか?」
「キミタチの食堂兼第二部室でしょ?」
「はぁ・・・・」
「それにね・・・校長先生から伝言も預かってるのよ・・・」
「まだ・・・他に・・・」
「いいから・・行くわよ・・・」

僕は腕を引き摺られ静香へ歩いてゆく。まあ・・知らない人が見れば、万引き犯が婦人警官に捕まった図かそんなところにしか見られないだろうけど・・・・・

「こんちわぁ~」
「あら[揺れるハート]・・・部長遅かったわね・・ってさ・佐山先生もご一緒でしたか・・・」
「ええ!いつもうちの生徒がお世話になりまして・・・まだおります?」
「ええ・・・いつものテーブルに・・・部長クンはいつものね・・・」
「はい・・・」
「佐山先生は何を差し上げましょうか?」
「本日のランチをお願いいたしますわ・・・」
「はい。ではお席の方でお待ちください。」
「あのぉ~」
「ほら・・そっちは後・・・作戦会議始めるわよ・・・・」
「はぁ・・・」

僕はまた・・腕を掴まれ仲間たちの居るテーブルに引っ張って行かれた・・・・・



「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第51話へ続く・・・・  





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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第51話                             [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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「美希センセーまずいっすよ!変装もなしに・・あれほど言ったでしょ!」

呑気にランチを終え、コーヒーカップに手を出しながら、佐々木クンが言う。
まあ、僕と美希の関係はすっかりこの面々には、バレバレになっている。

「ば・・馬鹿・・ち・・違うわよ!作戦会議でしょ・・・それから、校長先生からのメッセージ預かってきたの!」
「まあまあ・・・美希先生!解ってますって・・・むきにならなくても・・・」
「あのねぇ~」
「あのなぁ~」

美希と僕は同時に答えた。

「あっ!そうだ・・部長。あたしちょっと静香さんと話あるから・・例の件話しておいてくれる?」
「ラ・・ラジャー」

美希は静香のいるカウンターへ向かって言った。僕はヤバイと思ったけど、ここで騒ぎを大きくするわけにはいかない。

「な・・・何だよ!部長勿体ぶってないで話せよ!」
「う・・うん・・・あのな・・グッドとバッドどっちがいい?」

僕は佐々木クンに促されて話始めた。

「そうだな・・まず・・グッドから聞こうか!」 Yが横に座った僕の腹を突っつきながら言う。
「よ・・よせよ・・・Y。じゃあ・・バッドニュースからだ。」
「だ・か・ら・・・グッドから話せって!」
「そうだ・・いいニュースの方がいいじゃん。」
「そうか・・・じゃあ・・グッドニュースからな・・・」

僕はまず、部費の増額の件を話しを始めた。これには、全員が喜んだ!何しろ遠征費用も馬鹿にならない。
まあ・・・裏収入は結構あるのだけれど、最近、手入れが厳しくなってきているので、大ぴらにはウラ本販売やホスト派遣業もままならない。そろそろ・・・一時休止案が出ていたくらいだから・・・
次にダニ退治については、承認を得たことを話すことにした。まあ・・普通科1年全員の総意でもある。

「そんで・・・バッドニュースってのは?」 

青○クンが目の前に置かれたレモンスカッシュのストローを口に近付けながら聞いてくる。

「本当に聞きたいのか?」 僕はあたりを見渡しながら聞いた。勿論、全員が頷く。
「じゃあ・・しょうがない・・・実はな・・・校長がセミナーハウスを建てると言いだしたんだ・・・」
「それのどこがバッドニュースなんだ?」
「う~ん。実はな・・・青!お前の所の村に候補地を探せと・・・」
「ブッファ~・・・」

青○クンが口に含んだレモンスカッシュを吐きだした・・噎せたのだろう。

「き・・汚ねえなぁ~青!なんで吹き出すんだよ・・・」
「そうだよ・・バッドより・・グッドじゃねえか・・それ!」
「あのな・・何で・・・うちの村なんだよ・・馬鹿!」
「いいか・・青よく聞け!お前の所の村・・年中人手不足だろ?」
「まあな・・・」
「学校のセミナーハウス建ってみろ・・・後輩共をコキ使えるんだぜ・・・」
「なんか騙されているような・・・」
「騙してなんかないぞ!・・・それに、村おこしにもなるだろ・・・お前の婿入りのご祝儀だ1」
「そんなもんか・・悪いな・・・でも、それじゃ・・グッドじゃんか・・・」
「それがだな・・・兄さんじゃなかった・・学年主任が・・・」
「いいよ!兄さんでややっこしいからさ!」
「うん・・あのな・・登山部を作るそうだ・・・」
「勝手にやってもらえばいいだろう・・・なあ・・みんな!」 佐々木クンの声に一同頷く。
「それがだ・・・俺ら全員部員にされちまった・・・」
「はぁ?」
「何で・・・」
「もしかして・・この馬鹿!悪魔に魂売り渡したな。俺らの・・・」
「ごめん・・・だが、考えてみろ!俺ら信州で何をやった?」
「山登りしてキノコの収穫・・・」
「だろ・・・これも遠征費用稼ぎだと思ってくれ!」
「思えねえ~」
「当分・・お前の奢りだからな・・昼飯!」
「ああ・・・そう言えば兄さんが、お前らにメシ食わせろって・・・」

僕はポケットから一万円札を二枚とりだした。そして、それを会計担当の佐々木クンに渡した。

「解ったよ・・登ればいいんだろ・・登れば・・でどこに登るって?」
「ふ・・富士山かららしいけど・・・」
「まあ・・しょうがねえよな・・散々、飲ませてもらっているもんな・・・」 赤沼クンをはじめみんなが頷いている。

僕はみんなと話しながらも、半分いや気持ちの大半はカウンターでの美希と静香の会話が気になってしょうがない。何しろ騒動勃発だけは避けたい。せめて、仲間たちにバレたら、僕はグルグルに簾巻きにされ、綾瀬川へ投げ込まれるかもしれないのだ。

「なあ・・部長・・・聞いているのか?」
「う・・うん?」
「しょうがねえなぁ~こいつ!優子さんという奥さんが居ながら・・・」
「ホントホント・・・」
「あ・・あのなぁ~お前らは満腹だろうけど・・俺のランチはどうなるんだろう?って思っているわけで・・・」
「解ってるよ!冗談だ冗談・・・それよりよ・・写真部と放送部も全面協力だってよ・・・」
「あん?どんな手使ったんだ?」
「ああ・・・この間ネガが手に入ったじゃん・・」
「この間?」
「ああ・・あれか・・・ヤー公叩きつぶしたときの・・・」
「うん。あれをレンタルすることにしたんだ・・・」
「ほう・・じゃあ・・写真部儲かるなぁ~」
「それで・・放送部は?」
「ああ・・・そっちは赤沼の親父の秘蔵ブルーフィルムを・・・・」
「まさか・・かっぱらってきたのか?」
「違うわ!カセットに音声を録音したの・・・・」
「なるほどね・・・写真部と放送部のアルバイトか・・」
「まあ・・そんなところ・・・・」
「それで?」
「俺らは全員体育じゃん!」
「当たり前だよな・・普通科1年全員だからな・・・」
「そこでだ・・先輩諸氏の出番・・・・それに忍者部隊が暗躍している・・・」
「しかし・・あいつらもやるねえ~報酬は?」
「ああ・・在庫から売れ残りを・・・20冊」
「いいねえ~決戦が楽しみだな・・・」

そこへカウンターで話し終えたのか、よく解らないけど美希がニコニコとした顔で戻ってきた。

「ランチ出来たってよ・・あっちで食べてきなさい!」
「は~い。み・・・美希センセイの分は?」
「あたし?あっちで食べてきちゃった・・・」
「うっ・・・俺が一番後廻しなのね・・・まあ・・いつものことか・・・・」

まあ・・残るも地獄、行くも地獄。それなら・・いっそ自爆してとカウンターへ向かう。
何故か静香が微笑んでいるのは何故だろう・・・僕には解せなかったけど・・二人の間に何かあったに違いない。

「それじゃあ・・食べてくる!」
「おう!俺ら・・帰るわ!」
「へっ?」
「美女二人にタ~ップリ可愛がってもらうんだな!じゃあな!」
「おい!金・・・」
「ここはお前の奢りだろ・・ねえ・・美希先生!」
「そうね・・・アルバイト代で払ってもらえばいいわ!」
「そんじゃあ・・お前もちゃんと勉強するんだぞ!」
「大きなお世話だ!おまえらこそ・・・やっておけよ!」
「ああ・・・じゃあ・・明日な!」
「ああ・・・じゃあな!」

一体・・僕はどうなるんだろう・・・まあ・・なるようにしかならない!腹を括って静香の差し出すパワーランチをがつがつ食べ始めたのだ・・・それが狂騒曲の幕開けとも知らないで・・・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第52話 「狂騒曲 第5番」へ続く・・・・
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第52話                              [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

ご挨拶申し上げます

オストドでございます!誰でも消してしまいたい過去はあるもの。
そして・・それをまた、懐かしむと気が来るはず。
特に・・悪たれ連(最近は883会・・パパサン会と名乗っておりますが・・・悪たれは変わりません)の面々。
各自、散々奥さま方に責めあげられているそうでございますが、そんなの知ったこっちゃありません。
何しろ・・Sは“犯罪者”ですし、(普通・・20歳以上も若い嫁さん貰うかぁ~)とか。
悪徳不動産屋の佐々木クンは、「てめぇ~そのうち埋めてやるからな・・」とか脅しを掛けてきますが、
「へん!やれるもんならやってみろ!馬ぁ~鹿!」と切り返すオストド。
「おまえが送検されてくる日を楽しみにしているわ!」とほざいている判事になった奴とかには「本名書かれないだけ有り難く思え!」とやり返し・・・、変態産婦人科や変態小児科の両クンは、「お願いだから病院名は書かないでくれ!」と懇願するので、「最近の行状バラすか?」と更に脅し・・・住職になった青○クンに至っては、後輩連中の面倒まで見させられ、様々な行いをバラされて、(でも殆どの村民は知っているけど・・・あはは)顔面蒼白になり、「お前が死んだ時は地獄へ送ってくれるわ!」と言ってきておりますけど・・・お構いなし。
何しろ・・・これ以上のネタがどこにあると・・・”馬耳東風”のオストド。
それでは・・まだまだ・・僕たちの悪行三昧は続きます。お暇つぶしにでも読んでやってくださいませ・・・

それから・・・ここで業務連絡!「お~い!今度の秘境ツアー参加出来なくなったから、お前等だけで行って来い!」 以上・・・業務連絡でした・・・でも何しに行くんですかね~タイの奥地から国境を超えるとか・・・

はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
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高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

「狂騒曲 第5番」(1)

ここ静香では、僕たちは自分達が食べたお皿をカウンターへ返却することになっている。
まあ・・一般のお客さんは別だけど、僕たちは“特別価格”(何故か・・僕のツケ。まあ・・ミサ救出の際は、みんなに助けてもらったのだから文句は言えないけど・・・)なんだから仕方がない。

「ねえ・・静香さん・・ツケどのくらいある?」
「そうねえ~10レッスン分くらいかな・・・」
「あの野郎共・・・そんなに・・・」
「冗談!佐々木クンがお金置いて行ったわ・・ほら・・・」

どうやら・・僕がちょっとトイレに行っている間に、佐々木クンは僕が兄さんから預かったお金2万円を置いていったらしい。

「ふう・・佐々木の奴・・・」
「いい仲間よね・・・」
「まあね・・・」

何しろ・・がつがつ食べて居たのだけど、トイレに急用を思い出したのだ。何しろ、試験が終り、地学準備室へ拉致され、その後、校長室に拉致されたのだから、トイレへ行っている暇がなかったのだから・・・・

「お釣りあるけど・・・」
「いいよ・・預けておく。どうせ奴ら・・また喰いにくるからね・・俺もだけど・・・・」
「そう・・じゃあ・・預かっておくけど・・・・」
「そ・・それより・・・今日のレッスンなんだけど・・・」
「解ってるわ!上で待ってて[揺れるハート]
「あの・・・」
「冗談!私ねアレなの・・・」
「あれ?・・・」
「馬鹿!アレなの・・月に1回の・・・」
「なんだ・・・アレね・・・」
「そう・・・大変なんだからね・・・」
「ふ~ん。俺・・男でよかった!」

そこへ僕と入れ違いにトイレに行った美希が戻ってきて、ニコニコしながら僕の横に座った。

「まだ・・食べてるの?」
「見りゃ解るでしょ・・・まだ半分以上残ってるし・・・」
「こらぁ・・部長クン!先生でしょ・・・」
「そうでした・・。ご覧になればお解りだと思いますが、まだ半分以上残っておりますので・・・」
「よろしい!しっかり食べる様に・・」
「はい・・・」
「ところで・・先生。何かお飲みになられますか?勿論・・支払いは・・・」

ちらっと僕の方を悪戯っ子の様な微笑みを浮かべて見る静香・・・
そして・・美希も僕に微笑みかけた

「いいのかしら?ご馳走になって・・・」
「どうぞどうぞ!どうせ・・学年主任先生から・・ふんだくった・・じゃなくて、頂戴したお金ですから・・・」
「じゃあねえ~カフェロワイヤルを・・・」
「げっ!」
「何か言ったかしら?部長ぉ[揺れるハート]
「な・・何も・・・・」
「頂いてよろしいでかしら[揺れるハート]?」
「ど・・どうぞ!」
「じゃあ・・静香さんカフェロワイヤル下さるかしら?」
「はい・・・部長クンはどうする?」
「特製ブレンドで・・・・」
「はいはい・・・先生は濃い目がいい様ですね・・・」
「ええ・・・」

いつの間にか仲良くなっている二人。まあ・・九尾の女狐のおかげなのだろうけど・・・後で高い借金を払うことになるかもしれない・・・

「あら・・美味しい!」
「でしょう・・・豆は厳選したものだし、ブランデーもコレ・・・」

僕にはお値段がよく解らないけど・・・瓶から判断すると・・結構、高級なんだろう。

「わぁ~なるほどね・・・さっさと・・食べないと何杯も飲んじゃうからね・・・」
「やばっ・・・」

僕はガツガツではなく・・ひょいぱくひょいぱくと口に運ぶ・・・何せ、美希に昼間からお酒を飲ませると、碌な目に遭わないのだ・・・でもちょっと待てよ!九尾だよな・・・僕は食べる手を止め、指折り数えだした・・・

「優子でしょ、ミサ、カオリ、奈々子、洋子にミミそれに美希に紗江子・そんで加奈さん・・静香。あれ・・一本多いじゃん・・・」

「どうしたの?食べる手を止めて・・・」  

静香が僕に悪戯っ子の様な微笑みを浮かべ尋ねてくる・・・・

「いや・・数がね・・・」
「何の?」
「何でも・・・」
「お代りください・・・」

美希がお代りを要求している。まあ、後でどうせ姿を現すんだから、またふん縛って聞きだせばいいことだ。それより・・さっさと食べないとそれこそ・・・僕の身が持たなくなる可能性がある。

「先生、学校に戻るんじゃないんですか?」
「ううん。今日は直帰だから・・・」
「なるほど・・・・」
「それより・・食べ終わった?」

食べ終わったというより・・丸飲みした状態だ・・・おかげで胃袋が悲鳴を上げはじめている・・・

「はあ・・ですから・・コーヒー飲んでますけど・・・」
「じゃあ・・・帰ってお勉強して・・・練習しないとね・・・」
「へっ!」
「あれ?言ってなかったっけ!横浜のママも来るし、静香さんもお誘いしたの・・」
「えっ!えぇぇぇぇぇ~き・・今日もステージあるの?聴いてないよ!」
「当たり前でしょ!言ってないもの・・レン’sナイト・・・じゃあ・・・静香さんまたあとで・・・」
「ええ・・楽しみにしてますわ!じゃあ・・部長じゃなくて・・・レンちゃん!期待しているからね・・・」
「はぁぁぁ・・・ごちそうさま・・・でした・・・

僕はぶつぶつ文句を言いながら歩いた。とてもピアノを弾く精神状態じゃない。
それに・・・ちょっと寝不足気味なんだから、体力が持つか解らない。それに構成もまったく考えていない。

「こらぁ[揺れるハート]男の子でしょ・・・ちゃんと前を向いて・・胸張って歩きなさい。」
「う・・・美希・・の頭に何か付いている気がしてきた・・・・」
「えっ!何か言った?」
「いいえ・・ひとりごとですが・・・」
「そう!ひとりごとなのね。そうだったら・・聴こえない様に言うことね[揺れるハート]・・・ほら!タクシーで帰るわよ!」
「へっ!」
「もう!・・・今朝の事忘れたんじゃないんでしょうね・・・」
「ああ・・なるほど・・・今、鬼クマが居たらコテンパンにやっっちゃうかも・・・」
「でしょ?だ・か・ら・・タクシーで帰るの!」

そう言うと・・美希は駅の方ではなく、大通りの方へ僕を誘った。そして通り掛ったタクシーを拾い、僕をその中へ押し込んだのだ。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第53話 「狂騒曲第5番」(2)へ・・・続く 


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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第53話                              [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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こっほん!

僕です・・・前回はそろそろ出番だなぁ~と思っていたら、未来の僕に思い切り殴られて、猿轡をはめられてしまいました。そして・・「ほら出番!」と舞台に引き摺られていきました・・・
今回は、未来の僕を夢の中を彷徨う間に懲らしめておきました。さんざんうなされていた様です。ザマアミロ!
さて・・僕たちのファンの皆様。僕は大事な事をひとつ忘れておりました。
今、紗江子の店で弾いているピアノ・・・これミーちゃんのピアノは先刻ご承知だと思います。
今日はミーちゃんのお誕生日でもあり、命日だったこともすっかり忘れていました。
ミーちゃんは僕の初恋だったのかもしれません。そんな大事な人の命日を忘れ、誕生日も忘れるなんて僕どうかしていたのでしょうか?
いえ・・・違います。わざと忘れたフリをしていたのです。大好きだったミーちゃんの事忘れるはずがありません。
そして・・・僕は不思議な体験をするのです。
それでは・・皆様をご案内する時間が来たようです。
僕たちが一番輝いていた時代。昭和50年代へ・・・タ~イムスリップ・・・・・

「狂騒曲 第5番」(2)

タクシーに乗り込んでから、美希はずっと黙ったままだった。運転手に聞かれた行き先だけは告げたまま。
ちょっと態度がおかしいけど、僕は僕で隅田川を渡る橋の上から、ぼんやり車窓を眺めていた。
突然、まるで堰が切れた様に美希は僕に問いかけてきた。

「ねえ・・今日何の日か知ってる?」
「さあ・・・・美希の誕生日でも優子でもないし・・・巫女’sの誕生日でもないし・・・ましてや紗江子の・・・」
「馬鹿!」
「へっ?どういう意味・・・」
「馬鹿だから・・馬鹿って言ったの!」
「どうせ・・馬鹿ですよ・・・馬鹿で悪かったわ!フン!」
「そうしても思い出せないの?」
「どうせ・・馬鹿だもの・・・馬鹿だから思い出せるはずないじゃん!」
「まあ・・いいわ。ゆっくり思い出しなさい!」
「思い出せと言われてもねえ~ヒントくらいくれてもいいじゃない!」
「ヒントねえ・・・ピアノ・お誕生日・・・楊ママ」
「楊ママ?横浜の・・・でも、楊ママの誕生日は・・・えっとぉ~今日じゃないのは、確かだけど・・・」
「惜しいわ・・・他には?」
「ええとぉ~たしか横浜のパパは・・5月5日の子供の日だし・・・ねえ・・運転手さん知っている?」

こともあろうにタクシーの運転手さんに聞いても解るはずがないのだげど、いいヒントを貰えた。

「えっ!さ・・さあね~お子さんとかじゃないの・・・・」

僕にふいに聴かれた運転手さんは迷惑だったのだろう。でもチラチラこっちをルームミラーで見てたくらいだから、そりゃそうだわ・・・・はっきり言って、美希と僕じゃ釣り合わないもの年齢から言っても、多分、運転手さんにはちょっと年の離れた兄弟くらいにしか見えないだろうけど・・・

「お子さん・・・お子さんねえ~・・・・あっ!」
「解ったかな?」
「も・・もしかして・・・」
「その・・もしかしてよ・・・今日でしょう・・・」
「うん。」

それきり僕は黙りこんでしまった。美希もそれ以上何も言おうとはしなかった。
今日は・・・ミーちゃんの誕生日。そして天国へ召された日でもあるのだ。
タクシーの後部座席載せ持たれに深く、その身を預けるとめを閉じた。そして、記憶の紐を手繰りはじめたのだ

そう・・・あれは・・・あの事故がそもそもの引き金だったのかもしれない。逆に言えば、あの事故でミーチャンに、恐ろしい病魔が静かに進行していたのを教えてくれたのかもしれない。
忘れもしないあの日・・・・・

「あっ!Qちゃん危ない!」

僕はミーチャンに突き飛ばされた。僕は交通事故で骨折をして、右足を折ってしばらくしてして、歩けるようにさって、ミーチャンの家に遊びに行った。あの日・・・・
僕は道端の草むらに倒れ泣いていた。そしてミーチャンは僕の身代わりに車に撥ねられた。
二人で確か手をつないでお買い物に行く途中のことだった。満足にまだ走ることもできなかった僕。
そして庇ってくれたミーチャン。怪我は大したことはなかったのだが、それっきりミーチャンは病院から出ることが出来ずに死んだ。まるで僕の身代わりになる様に・・・・
それからの僕はどうしたのか覚えていない。

「ねえ・・どうしたの?涙拭きなさい・・・・」

美希は僕にハンカチを差し出した。だけど、僕は洋服の袖で涙を拭いたのだった。

「べ・・別に・・・涙なんかじゃないって・・汗!」
「そうね・・汗ね。本当は、横浜のママに口止めされていたんだけど・・・・」
「いいよ!何で忘れちゃったんだろう・・・こんな大事な事・・・・」

そう言えば・・・僕は育ての母親に連れられて何度も病院にも足を運んだ。ミーチャンと一緒に病院の中を探検したり、花壇のある芝生で遊んだりしていた。そして・・・その日。急を聞いた母親が僕を病院に連れて行った。
そこまではおぼろげに思い出されるのだが・・・その後の記憶が飛んでいる。
それからは、楊ママの事を横浜のママと言い、楊おじさんを横浜のパパと呼んでいた・・・

「また・・食べたくなっちゃったな・・楊ママのチャーハン」
「そう・・・・楊ママのチャーハンは私じゃ作れないモノね。」
「うん。」

楊ママの作るチャーハンは楊ママにしか作れない。美希が作れば美希のチャーハンだし、優子が作れば優子ノチャーハンになってしまう。ミサだって紗江子だって巫女’sのみんながチャレンジしたけど・・・作れない。
僕はミーチャンのお墓参りをここのところしていないのを思い出した。ミーチャンのお墓は高台にあり、そこに眠っているのだ。

「そうだ・・・美希。」
「なあに?」
「明日時間ある?」
「食べに行くのね?」
「うん・・・紗江子も誘って・・・巫女’sは来れるかな?ミーチャンのお墓参りをして・・・」
「実はね・・・言っちゃっていいのかなぁ~」
「えっ?言ってよ!」
「明日・・みんなお呼ばれしているのよ・・・」
「俺・・聴いてないよ?」
「言ってないもの・・・・」
「あっそう・・・でも・・・あいつら・・・」
「社会奉仕部みんなもよ・・・」
「みんなに言ってないよ・・俺!」
「私が佐々木クンに言っておいたわ!大事な決戦の前にご馳走してくださるんですって・・・」
「あいつらには・・高級すぎるよ・・・」
「酷い言い方ね。でも・・泣いたカラスがもう笑ったみたいね・・」
「だ。か・ら・・泣いてないって・・・」
「はいはい・・内緒にしておくわ!」
「じゃあ・・ついでに楊ママの家の大掃除させようかな?」
「そうね・・その間にミーチャンのお墓参りね?」

コクンと頷く僕。何せあいつら全員墓参りに突き合わせたら、墓地に眠る人々が騒々しいと思うだろう。
タクシー僕と美希の住むマンションに横付けされ、僕は美希が小さく折りたたんで渡した1万円札でタクシー代を払った。そういえば・・いつも美希は僕にお金を握らせ、僕に支払いをさせる。

タクシーを降り、僕は紗江子の所へ行こうとした。今日はまだ練習をしていない。

「こらぁ・・どこへ行くのかな[揺れるハート]?」
「紗江子のところ・・・れ・・練習しなきゃ・・・」
「練習でしょ・・家でも出来るわよねえ~」
「ま・・そうだけど・・・」

エレクトーンの最新型が、美希と僕の禁断の巣にはあるのだ。まあ・・時折、禁断の巣は宴会場にもなるし、その後決まって・・その・・・何だ紗江子も泊まってゆくわけで・・・・

「それに[揺れるハート]・・・」

そう言うなり僕の腕を掴んだ美希。しっかり僕の腕は美希の胸にファ気抱えられている。

「お勉強もあるでしょ?明日の試験2科目分・・・それに着替えなきゃ[揺れるハート]・・・」
「そ・・それだけだよね・・・」

そう言いながら僕はもう一人の本能の僕に言い聞かせようとしているのだが、如何せん・・本能の僕は僕でありながらも、コントロールが効かないし、あっちの神様もすっかり僕の身体が居心地がいいのかご光臨されたままなのだ。

「まだ・・他にもやることあると思うけど・・うふっ[揺れるハート]

美希の瞳がキランと光る。多分・・・学校での続きだろうけど・・・そんな気分じゃないんだけど・・・
あっちの神様ともう一人の僕は黙ってないだろうな・・・多分・・・・
僕は慌てて話題を代えることにした。

「そ・・そうだ・・・今日はレン’sナイトだよね?」
「そうよ・・スペシャルナイトだって・・・」
「2時間?」
「違うわ・・・1時間ステージ[揺れるハート]
「ホッ!・・・」 僕はため息をひとつ付いた・・・
「残念でした・・・1時間ステージを3回だって[揺れるハート]・・・」
「げっ!」
「だってしょうがないじゃない。少しは紗江子にも儲けさせないと・・・後が怖いわよ[揺れるハート]
「まあねえ~家賃分働きますか・・・」

昨日は優子が来たのでお休みしたわけで、それでなくても・・・遠征にでるわけで・・・

「それにチップも稼げるでしょ[揺れるハート]?」
「まあねえ~一杯あれば嬉しいな・・・お花も買えるし・・色々モノ入りだもの・・・」
「はい!そうと決まれば・・・お勉強と練習ね・・・あと[揺れるハート]・・・」
「後?後って?」
「馬鹿!・・・いいの・・とにかくお家に行きましょ[揺れるハート]・・・」

僕は美希に引き摺られるようにマンションの玄関を入ってゆく。まあ・・明日の科目の勉強は済ませてある。
と・・言うことは?
僕の僕自身はムクムクと起き上がりだし、本能の僕はそろそろ代われ!ボケェ~と理性の僕を蹴っ飛ばす。
まあ・・なる様にしkならないのが、宿命ならそれにしたがうしかあるまい・・・今は・・・
何せ・・僕は16歳ヤリタイ盛りなんだし・・野性のオオカミの血が騒ぐ。僕の中には、日本オオカミの血がながれている。ここで逃げ出したら男の股間じゃなくて沽券に関わる。それに挑まれればどんな戦いでも勝利するのが、オオカミ集団のボスの役目だ。

「まあ・・いいや・・後はよろしくな!」
「えっ・何か言ったかしら[揺れるハート]
「いや・・何も」

理性の僕は安全回路だけをオープンにしたまま、本能の僕と入れ替わることにしたのだ。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第54話 「狂騒曲 第5番」(3)へ・・続く・・・・






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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第54話   [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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開演前のご挨拶を申し上げますね!

美希でございます!全く・・・人の迷惑も顧みないで・・・今、楽屋で大喧嘩の真っ最中なんです。
ちょっと・・・覗いて見ますか?全く・・・いくつになっても我がままなんですね・・・

「なあ~いいだろ!もうネタねえんだからさ・・・」
「ふざけんなよ!おっさん・・それでなくてもこき使いやがって・・・都合の良い時ばかりに・・・」
「なんだとぉ~てめぇ~おまえが、まともじゃなかったから・・あとで後悔させられているんだろうが・・」
「知ったこっちゃねえよ・・この馬鹿!」
「てめぇ~表に出ろ!」
「おっさん・・・まだ懲りねえのか?やってやろうじゃんか・・」
「こらぁ~いい加減にしなさい!二人とも・・じゃなかった貴方達は・・一心同体でしょ!」
「おや・・美希?こんないい女だったっけ?」
「てめぇ~俺の女に・・・」
「だ・か・ら・・・いい加減にしなさい!皆さんご覧になってるの・・」
「えっ!・・・」
「えぇぇぇぇ~やば・・じゃあな!あと・・宜しく!」

こっほん!

僕です・・むさ苦しいところをお見せいたしました。何しろ未来の僕はとんでもないヤロウです。これが僕の未来の姿とは・・・泣きたくなるくらいですが・・・・ゥゥゥゥゥゥ
あっ!み・・美希が睨んでる。怖いんですよねえ~女性って・・・僕怖いモノなんかないんですけど、女性が怖くなってきました。別に落語の“饅頭が怖い”じゃないけど・・・おっさん・・じゃなかった・・・未来の僕が言ってました。
女性ほど変わるものはないと・・・まあ・・それはそれで未来のおっさんになった僕に全て押し付けるといたしまして、当分は好き勝手に暴れさせてもらうことにさせてもらいます。何しろあのおっさん・・じゃなかった未来の僕には、無理やり・・引っ張り出されてきたわけですから・・・仕返しをしなければ気が済みませんもの・・・
さて・・・当分は僕たちの出番だそうでございます!何しろ・・・「ネタ切れだぁ~」と言ってましたので、しばらくは皆様をぼくたちが一番輝いていた時代をご覧いただきたいと思います。おや・・・あのおっさんじゃなかった・・未来の僕が代われ!と合図を送ってきていますけど、無視して・・・それでは・・皆様!開演の時間でございます!
しばらく・・時間旅行の旅にお付き合いください。
それでは・・ご一緒に・・・タ~イムスリップ~

「狂騒曲 第5番」(3)

僕はひたすらに坂道を駆けて降りる。ときどき転びそうになるけど、転んでいては間に合わない。
息が持つのか解らないけど・・・あと・・1分。そうしなきゃ・・・僕は“遅刻”扱いにされてしまう。

[るんるん]カラン~カラ~ン[るんるん]

紗江子の店に駆けこむ僕。カウンターでは頭からちょっと角が生えかかった紗江子が微笑んでいる。

「セ・・セーフでしょ?」
「あら[揺れるハート]残念ねえ~アウト!よ[揺れるハート]
「そ・・そんなぁ~い・・一生懸命走ってきたのに・・・・」
「まあ・・いいわ!走ってきたのに免じて許してあげる![揺れるハート]
「ふう~」
「あれ?美希は?」
「美希?ノックアウトしてきた・・・」
「そう![揺れるハート]じゃあ・・電話してきたのは誰かな?うふふ[揺れるハート]
「えっ?」
「美希がね・・・電話してきたの・・・レンが遅れるかもって[揺れるハート]・・・」
「な・・なんだ・・走って損した・・・」
「練習は?」
「うん・・・終った!でもエレクトーンだからね・・・」
「じゃあ・・ちょっと練習してて頂戴!あたし・・・ちょっと出かけてくるから[揺れるハート]・・・」
「うん・・・」

紗江子は用意しておいてくれた、僕専用の神泉で作った氷をグラスに入れ、そこへやはり優子が運んで来てくれていた“神泉”を注ぎこみ、ミーチャンノピアノのそばに置いた小さなテーブルに置いて店から出かけて行った。

「ったく・・・ノックダウンしたつもりだったんだけど・・・」

僕は紗江子を見送りながら静かにピアノの前に座り、ゴクゴクと神泉を飲み干した。

「さてと・・・うあっぱりアレかな!ミーチャンが教えてくれた・・・」 独り言をポツンとつぶやき、
ピカピカに磨きあげられているピアノに座った。紗江子が調律師さんを頼んでくれたのだろうか?
音色が一味違う気がする。例え弾いている曲が“ネコ踏んじゃった 身勝手編曲”でもだ。
“ネコ踏んじゃった”をジャズ調やらバラード調に身勝手に編曲したものだけど・・・なかなかの音色に変わっている。

「やっぱり・・タッチが違うんだよな・・・」

神泉で作った氷を1個口に押し込む。次はミーチャンへのレクイエム。ミーチャンが好きだったエリーゼのためにを弾く。やはり・・・いつもミーチャンが間違えていた場所と同じ所を1音だけ外してしまう。

「あれ?さっきは・・エレクトーンで弾けたんだけどな・・何でだろう?」

何度弾き直しても、同じ所を1音外してしまう。多分、僕はピアノを弾くミーチャンの横に座り、その音が耳に残っているらしい。

「これじゃあ・・やっぱり・・音大は無理だわ!・・・あはは・・」

そこへドアを叩く音がした。僕はピアノを離れ、ドアを開けるとそこには、両手どころではない。花屋さんの店員さんも連れて紗江子が大量の花を買って来たのだ。

「な・・・一体・・・どうしたの?」
「もう・・今日!ご命日でしょ?お誕生日もだけど・・・」
「あっ!ミ・・・ミーチャンの・・・」
「そう!ほら店員さんも忙しいんだから・・・早く受け取って差し上げて・・・・」
「う・・・うん」

僕は店員さんが「抱えていた1本ずつ包まれていたミーチャンの好きだったバラの花を大量に受け取った。
多分、紗江子と美希が花屋さんに頼んで置いてくれたのだろう。僕は心の中で頭を下げずにはいられなかった。

「さ・・紗江子・・あのぉ~・・・・」
「どう?ピアノ・・音色良くなったでしょ?」
「うん・・紗江子が頼んでくれたの?」
「違うわ!楊ママよ・・・ママから依頼があったって・・・調律師さんが来てくださって・・・」
「そう・・でも・・1音外しちゃうんだよ・・いくら弾いてもね・・・」
「エリーゼのために・・ね・・・いいのよそれで・・・それでいいの[揺れるハート]

僕はピアノの前に戻り、今日だけのそれも第一部だけのために構成した曲を弾きだした。
これはお客さんには失礼なんだけど、客さんのためではなく、天国のミーチャンに届けとばかりに慌てて練習してきた曲だ。

「やっぱり・・譜面見なきゃ・・駄目だな・・・」
「そう・・・それならそうしないとね・・・今日はレン’s&ミーチャンナイトだからね!」
「えっ!」
「ミーチャンも聴きに来るわ・・・」
「だって・・ミーチャンは・・・」
「それでも来るの!楊ママの腕に抱かれてね・・・ほら、お風呂沸いているからお風呂に入って、着替えてらっしゃい。楊ママが今夜だけのためにステージ衣装用意して下さったわ!」
「えっ・えええ・・・今日だけの?」
「そう・・・厳密に言えば第一部だけのためにね・・・」

僕は2階へ駆けあがった。そこに用意されていた衣装は、黒いタキシード。シルクのドレスシャツ、そして見覚えのあるような蝶ネクタイ。だけど・・それを何処で見たのか?まだ思い出せないでいる自分がもどかしい。
僕は美希が編んでくれたセーターや洋服を脱ぎ棄てると紗江子の部屋のバスルームの浴槽に飛び込んだ。
そこにはミーチャンの好きだったバラの花ビラが一杯浮かんでいた・・・・
いつもなら、乱入してくるはずの紗江子は姿を見せなかった。僕はバラの香りにむせながらもミーチャンとの楽しかったあの頃の記憶の糸をひっぱりだそうとしていた。

「ど・・どこだったっけ・・・見覚えあるんだよな・・・・」

カラスの行水でバスルームから出るとそこには、紗江子が微笑んで立っていた。また、Uターンさせられるのだろうか?と思っていたら、今日は勘弁してくれるみたいだ。まあ・・・さっきマンションで美希に散々ゴシゴシと洗われていたので、これ以上やられたら僕の皮膚は剥がれてしまうかもしれない。

「はい・・いいわ・・・ちゃんと拭きなさい。」

いつもなら丁寧に拭きあげてくれるのだが、僕の頭にポンとバスタオルを投げかけると、紗江子はさっさと出て行ってしまった。別に拭いてくれなくても自分でそれぐらい出来るから一向に構わないけど・・・
どうやら、僕がお風呂に入っている間に美希も来たみたいだ・・ドアの外ではきゃぁきゃぁいいながら、着替えているみたいだ。

「あれ?おかしいわねえ~」
「うん・・・なかなかチャックが閉まらないわ」

ドアを開けて外へ出て見ると二人してやはり、楊ママが用意したのだろう。新しいチャイナドレスに着替えているのだが、チャックが閉まらなくて悪戦苦闘しているみたいだ。

「どうしたの?」
「そ・・・それが・・ファ・・ファスナーが・・・」 美希が答える。
「おんやぁ~!御二人さんお太りになったんじゃない?」

僕はバスタオルで頭を拭きながら何気にそう言いながら、冷蔵庫から“神泉”を入れたボトルを取りだし、振り返った途端・・・僕の両目から火花が散った。パシ~ンという音と共に、紗江子と美希の息があったコンビネーションプレイで両方の頬にビンタを喰らい、ついでにお腹に一発ずつボディーブローを喰らったのだ。

「ゴホッ!」
「あのねえ~女の子に太ったは言っちゃいけない言葉でしょ・・・」
「お・・女の子?女の子は暴力振るわないけど・・・女の子は・・・」
「そうね・・でも・・女性にも禁句よ・・・気にしているんだから・・あ~ん!」
「あのぉ~タキシードが届いたということは・・中華菓子も来なかった?大量に・・・」
「うん。全部食べちゃったけど・・・二人で・・」
「それだわ・・・お二人さんお風呂でダイエットしてくれば?まあ・・無理やりなら嵌めてあげるけど・・・」

紗江子と美希はお互い顔を見合わせていた。そして歌利して無言でコクンと頷く。

「いいわ・・無理やりでもいいからファスナーを上げて頂戴・・・」
「二人とも?」

コクンと頷く二人。

「じゃあ・・・二人共息を停めて・・・大体・・サイズを偽るから・・・」
「また・・やられたい?」 紗江子の頭に角がまた生え出した。
「・・・・・」

ブルンブルンと首を横に振る僕。どうも僕は言わなくていいことを言いすぎる性格の持ち主らしい。
なんとか二人のファスナーを上げることが出来た。

「ハイ・・お終い。でも・・・ちょっとダイエットは必要・・・あっ!」

ぼくの前に仁王立ちになる二人。二人は顔を見合わせ、コクンと頷く。そして僕に頬笑みかけた。

「じゃあ~あとで、ダイエットに協力してもらわなくちゃねえ~美希。」
「そうねえ~頑張ってもらわないと・・・」
「えっ!」

僕は絶句した。それでなくても今日だけで学校で一回戦、マンションで二回戦も戦いをしたのだ。

「えっええええええ~」
「決まり!頑張ってもらわなきゃ・・ねえ~紗江子」

どうやら・・僕は地雷を立て続けに踏んだらしかった。後は、本能の僕とあっちの神様に頼るしかないようだ。
僕は覚悟を決めてコクンと頷いた。そして楊ママが用意してくれたシルクのドレスシャツに袖を通していった。



「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第55話  ;「狂騒曲 第5番」(4)へ続く・・・


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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第55話    [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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(回顧録)

「いい?これかrは振り返っちゃ駄目!前だけを見つめて歩いて行きなさい!いいわね・・・」
そう言われて・・ガムシャラに歩いてというより・・・小走りに走ってきました。
勿論、平坦な道ではなく・・・デコボコ道だったり、時には道なき道を切り開き、今日までひたすらに“我が道”を進んできましたが、人生もそろそろ・・中間地点。まだまだ・・これから進んで行きますが、ちょっとだけ立ち止まって
振り返ってみました。お恥ずかしい限りですけど・・・それでは、幼き日に封印しちゃった部分をちょっとだけ、振り返ってみたいと思います。

「狂騒曲 第5番」(4)

今日はいつもの営業でも“レン’sナイト”でもない。特別な一夜限りのスペシャルデー。
何しろ・・今日は、僕の初恋の人の誕生日。そして命日でもある。亡くなった日。僕はそこに確かにいたし、
動かず、喋らなくなり、段々冷たくなってゆきミーチャンを見つめ、泣きじゃくっていた記憶が蘇ってくる。

「でも・・どうして・・・今夜だけのためのタキシードを作ってくれたんだろう」

僕は不思議でならなかった。ステージ用の衣装なら、紗江子が4着も用意してくれているし、楊ママからも2着も届いている。楊ママとは、僕が横浜のママと呼んでいる。ミーチャンのお母さんである。
ミーチャンが亡くなってから、僕は楊ママと楊おじさんの家には遊びに行っていない。それでも、育ての母親に捨てられたあの日まで、僕は中華街にある横浜のパパとママのお店にしょっちゅう連れて行かれた。
楊おじさんに抱っこされ、厨房で楊ママが造ってくれたママのチャーハン。
そう言えば・・・楊おじさんは、「マイサン・・・Q太郎は息子だから・・・」と言っていたし、楊ママも僕を実の息子の様に可愛がってくれている。

「そうだ・・・今日はあの曲もいれなきゃ・・・ミーチャンも来るってどういう意味なんだろう・・・」

僕は、譜面を入れたカゴを引っ掻き廻し、“小さな恋のメロディー”の譜面を探していた。

「あった・・あった・・・これだ!」

紗江子ノベッドにひっくり返りながら・・楽譜をめくる。なんとかこれなら弾けるかもしれない。まあ・・多少のアレンジが必要だけど・・・
あとは曲のイメージをもう一度、掴んでおかねばならない。紗江子は譜面と一緒にレコードを買ってきてくれるので、ヘッドホンを付けて聴く。何度も聴いているうちに僕は涙腺が壊れちゃったんじゃないかと・・大粒の涙が溢れてとまらなかった。僕は突然頭に閃いたアレンジを五線紙に書きだした。マア・・アレンジと言っても、一部の部分をピアノバージョンに変えただけだけど・・・

僕は書きあげた譜面をテーブルに投げ出し、洗面台に向かう。ドレスシャツの袖ををめくり上げ、顔を洗い、鏡に向かい無理やり笑顔を作ってみた。そこには、僕でない僕が無理やり笑っているように見える。
書きあげた譜面と第一部用の譜面を持って階段を駆け降りる。

「こらぁ~階段は走っちゃ駄目だっていつも言っているわよねぇ~校則にも載っているけど[揺れるハート] 

美希が洗いあげた花瓶に薔薇の花束を移し換えながら言う。
それを聞いた紗江子は、思わず落としそうになったグラスを慌てて拾いながら続ける。

「えっ!高校生にもなって・・・まだ言われているの?小学生みたい[揺れるハート]・・・」
「小学生で悪うございました!ちょ・・ちょっとね・・・アレンジしたから・・・聴いてくれる?」

僕はピアノに座ると、今、一部アレンジし直し、書きあげた“小さな恋のメロディー”を弾きだした。
美希と紗江子は客席の前に座り、僕の奏でるピアノの音色を聴いてくたたのだ。
精一杯アレンジした曲を披露した僕は二人に率直な意見を聞いてみようと思った。


「どお?これ・・ミーチャンに捧げようと思うんだけどね・・・」
「・・・・・・」
「何もないの?」

店の照明は間接照明とピアノに向けられているスポットライト。そして各テーブルにはキャンドルがあるのだが、
今は灯していない。僕はピアノを離れると、二人の座っている客席のテーブルに向かった。

「ねえ・・どう?どうだった?」
「そ・・そうね・・・いいんじゃない・・ねえ~美希」
「う・・うん。羨ましいわ・・ミーチャン。そう・・・思わない?紗江子」
「う・・うん。」
「えっ?」

二人に近づき顔を覗き込む僕。二人の頬をとどめなく涙が溢れている。

「あっ!泣いてる!」
「ば・・ばか・・違うわよ!あ・・汗よ・・ねえ~美希。」
「そ・・そうよ!汗に決まってるでしょ・・・お化粧直さなくちゃ・・・」
「あのう・・・・・」

僕はまだ感想を聞いていない。ステージまであと少しの時間しか手直しの時間はない。

「良かったわ!とっても[揺れるハート]・・・・」

そう言うなり僕を抱きしめる美希。

「うん。これならミーチャン喜ぶわねきっと[揺れるハート]・・・」

今度は紗江子胸に抱きしめられる僕。

「えへへ・・・そう!今夜だけの1曲。スペシャルバージョン」
「じゃあ・・・もう弾かないの?この曲」

僕の顔を覗き込む美希。

「うん。直筆のこの譜面は明日ミーチャンのお墓に置いてくる!」
「そう・・・ミーチャンのためだけの曲ね・・・」
「まあね・・・」

お化粧直しに立ち上がる二人。この時まだ僕は知らなかったのだが、ピアノの向こう側には布を掛けた何かが置いてあった。何しろピアノの後ろの赤いサテンと同じ布だったので、解らなかったのだけれど・・・
二階へ足早に上がってゆく美希。そして紗江子が続く。何しろ、僕が東京に居ない時には、大抵、美希は紗江子の家に泊まるわけだから、お化粧道具もちゃんと用意されている。
ふと紗江子は階段を上がりかけたと思ったら、また降りてきた。そして僕にこう囁いたのだ。

「いい?レン。楊ママがお見えになったら、カウンターの上にある花束をお渡しするのよ・・・」
「なんで?」
「お馬鹿!今日はミーチャンのお誕生日でしょ!ミーチャンも連れられてくるから・・・」
「????」

そこが解らないんだ。だって・・ミーチャンはもう亡くなっちゃっているんだもの・・・

「いいから・・・お渡ししなさい!いいわね!」
「う・・うん・・・」
「それから・・・お見えになるまで・・・もっと心をこめて・・練習しときなさい。いいわね・」
「うん。解った!」

紗江子はそう言い残すと、二階へ上がってゆき、僕はピアノに戻り、第一部で引っ掛かりそうな所。特にどうしても1音外してしまう。エリーゼのためにと、小さな恋のメロディーを弾きまくったのだった。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」第56章 「狂騒曲 第5番」(5)へ続く・・・・





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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第56話    [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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「狂騒曲 第5番」(5)

小さい頃、ミーチャンに感化されたのか、育ての母親によってなのか?定かではないけど、僕はピアノを習い
そのうち反抗期に入ると、変曲に目醒めた。編曲ではなく・・・変曲。
そっちの方が僕には似合っていると思う。だから、恩師でもあるピアノの先生からも見限られたことになったのだが、どうも原曲どおりに弾かないのが、僕の悪いクセ・・まあ・・音楽の試験だけは原曲通り弾いたけど、虫酸が走る気がした。でも、絵はど下手だし、楽勝コースの芸術単位は、美術か音楽しかない。
音楽コースを選択したけど、これもギターかピアノしかなかった。だから僕はピアノコースに行くしかなかった。
何しろ・・・ギターのコードなんて3つくらいしか覚えてないし・・・・

「まいったな・・・やっぱり1音だけ外れるな・・・」 

ぽつんとつぶやき、タバコを取り出し、火を点けようとした時に、お店の前に車が停まる音が響いた。それとほぼ同時にドアの音がバタンとドアを閉めるおとが聴こえた。
僕は咥えていたタバコを床に落とし、それが転がりピアノの下に転がっていったので、慌ててそれを拾おうとして、ピアノの下に潜り込んだ時・・・

♪カラ~ンカラ~ン♪

店のドアが開き・・・大事そうに胸に何やら包みを抱えた、横浜のママ。楊ママがお店に入ってきたのだ。

「Q・・・Q太郎・・何処に居るの?」
「マ・・ママ!ここ!」

僕はピアノの下に潜り込んでいたのを忘れ、立ち上がりかけ・・・・思い切り、頭をピアノにぶつけた。
濁った音が店内に響き渡るほどにぶつけた。おかげで目から火花が飛びだしたんじゃないか?と思うくらいだ。

「い・・痛ぇ~」
「Q・・相変わらず・・・かくれんぼが好きみたいねえ~」
「そ・・そんなんじゃなくて・・・ああ~痛かった」

僕は頭を擦りながらピアノの下から這い出た。

「昔と同じだわ・・・あの時もそうだったわ・・・」
「あの時?覚えてないんだ・・・断片的にしかね・・・」
「Q・・・着てくれたのね・・そのタキシード・・・」
「ああ・・・ママ・・ありがとう。わざわざ・・・作ってもらって・・・」
「上着は?」
「ああ・・・ちょっと待って!」

僕はカウンターの上に置いた上着を着こみ、その横に用意してあった花束を、楊ママに差し出した。

「ママ・・これ!ミーチャンに・・・」
「ありがとう!でも・・・ミーに渡してやってちょうだい。」
「えっ・・だ・・だって・・・」

ママは胸に大事に抱えていた包みをほどき、そこから小さな木箱を取りだすと、僕に手渡した。

「Q・・ミーよ!あなたの胸に抱いてやってちょうだい。あの時の様に・・・」
「ミ・・・ミーチャン?だ・・だってお墓の中じゃなかったの?」
「覚えてないの?Q・・あなた小さな身体でミーの骨壷をしっかり抱いてお墓に入れさせ様としなかったわ・・・」
「そうだっけ?」
「ええ・・あれからね・・私。ミーをお墓に納めなかったの・・・でも、今日で生きていれば20歳。」
「そうか・・・それで・・・ミーチャン!」

僕はミーチャンの小さな骨壷の収まったちいさな木箱を抱きしめた。

「ミーチャンごめん!ごめんね・・・お誕生日おめでとう・・・・」
「Q・・・ありがとう!明日お墓に納めるわ。」
「僕も行くよ!試験があるから・・午後になっちゃうけどね。ねえ・・・ママ。」
「なあに?」
「良く・・思い出せないんだけど・・・僕・・庭を壊しちゃったというか・・・・その・・・・」
「ああ・・・あなた・・お庭に咲いていた薔薇の花を全部捥いできちゃって・・・ミーの眠る棺にいれたの・・・」
「そ・・そんな事したの・・・」
「うん。あっちこっち傷だらけになりながらね・・・そうだ。明日貴方の手でお墓に納めて頂戴!」
「いいの?」
「ええ・・その方がミーも喜ぶでしょう・・・」

あとからママ・・横浜のママに聞いた話によれば、僕は庭に咲いていた薔薇を手当たり次第、もぎとり棺に納められたミーチャンにもぎ取って持ち切れなくなれば棺に入れ、またもぎ取っては、棺に詰め込んでいたらしいのだ。
そこのところは全く記憶に残っていなかったのだけれど・・・・・
僕は抱きしめていたミーチャンの骨壷が収められた小さな木箱を楊ママに促されて返した。

「Q・・・ありがとう。良く似合ってるわ・・そのタキシード・・・」「そう?あっ・・・もうひとつ聴きたかったんだ・・・このタキシード見たと言うより昔着たようなな・・・」
「そうね・・・あの時と同じデザインで作って貰ったんだもの・・・」
「えっ!」

丁度その時、2階から紗江子と美希が化粧直しを終え、階下に降りてくる。

「もう・・レン!ママがお越しになられたんだったら・・呼んでちょうだいって言わなかった?」
「そうだったっけ?」
「楊ママ・・・お越しいただきまして・・・・」
「いらっしゃいませ・・・」
「今日は無理を言ってごめんなさいね・・・用意大変だったでしょう?」
「いいえ・・とんでもごじません!」

僕・・ついに噴き出しちゃった・・だって楊ママと紗江子が米つきバッタみたいに頭を下げているんだもの。
その時、僕のお尻に激痛が走った・・

「痛い・・痛いってばぁ~」

美希が僕のお尻を思い切り、抓ったのだ。僕はその手から逃れると・・お尻を擦りながら、ミーチャンに話しかけた。

「ねえ~ミーチャン。酷いと思わない?ミーチャンはこんな酷いことしないよねえ~」

ミーチャンは当然答えるわけがない。ただ・・紗江子と美希が口を揃えて言った。

「するに決まってるわ!ねえ~ママ・・・」「そうねえ~Qじゃなかった・・このお店ではレンよね・・・レン!悪い子はお仕置きされて当然だからね!」


第57話 「狂騒曲 第5番」(6) へ続く・・・・




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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第57話     [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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こっほん!

僕です!先日は大変お見苦しい点をお見せしちゃいました。何しろ未来の僕はとんでもないヤローでございます!(大きなお世話だ!馬鹿ヤロウ!)
さて・・・僕は嫌だ!と言ったんです。未来の僕に・・・そうしたら「ネタ切れなんだ!頼む!」と押し切られちゃいまして・・・出来れば、踏みこんでもらいたくない領域だったんですが・・・・
わざわざ・・・こんなに引っ張らなくてもいいかと思うんですけどね・・・大体、本編からかけ離れていますから
さて、皆様もご存じのとおり、僕は高校1年生です。ついでにエセ神主だとかエセ陰陽師色々やってますが、
本職は某私立学園高等部1年B組の委員長で、社会関係奉仕部の部長。そして悪たれ連のリーダー。
つまり・・・怒られ役であります。ひょんな事。そう・・・大岩クン。今では黒岩クンになっちゃっているそうですが、
彼が合同コンパ・・・皆様の時代では合コンと言うんだそうでございますが、そこで、ムラムラと来ちゃった大岩クンのおかげというべきなのか、そもそもの原因だというべきなのか、でも、彼に言わせると僕が、写真部の幽霊部員として、ノーカットを5枚1000円で売りつけたのがそもそもの原因とか・・・
まあ・・・そんなことがそもそもの始まり、僕たちは“停学=特別なお休み”としか取っていませんでしたので、
強制収容所・・・なんでも、保健所では引き取ってくれないとかで、学年主任こと兄さんになっちゃった先生の実家へ強制収容され、僕はそこの巫女であり学年主任の妹と結ばれたのは、ご説明もいりませんよね・・・
さて・・・ちょっとここで・・・確認しておきたい事が・・・「おーい!本当にこの後もご案内しなきゃいけないのか?」
(当たり前だろ・・・宜しく!)どうも・・・未来の僕は全てをさらけ出す決心をした様でございます。
それなら・・仕方ありません。それではこれから皆様を僕たちが一番輝いていた時代へご案内させていただきます
それでは・・・ご一緒にタ~イム・・スリップ・・・・

「狂騒曲 第5番」(6)

「ねえ・・ママ。まだ教えてもらってないんだけど・・・」

僕はお尻をさすったまま尋ねた。だって・・美希思い切り僕のお尻を抓ったのだから、・・・・

「あはは・・・そうだったわね!二人ともまだ話してないの?」

美希も紗江子も首を横に振った。二人は僕のタキシードの意味を知っていたのだろう。
楊ママは僕とミーチャンのピアノ。まあ元々ミーチャンのピアノなんだけど、その向こう側を覆い隠しておいた赤いサテンの布を取った。

「Q太郎・・こっちへいらっしゃい!悪いけど・・紗江子さん!灯りを・・・」「はい・・・」

そういいながら、紗江子は静かに、壁に手を伸ばし、そっとピアノ用とば別のスポットライトの灯りを灯し、僕に頷いて見せる。僕は楊ママのそばに近寄ると、そこには、今、僕が来ているタキシードと全く同じデザインの、何やら懐かしい匂いの感じる小さな男の子のマネキン人形よりちょっと大きめの女の子のマネキン人形が立っていた。その女の子のマネキン人形は、かわいらしい白いまるでウエディングドレス。そして、そのせなかには小さな真っ白い翼が付けられていた。

「あっ!」 

僕は小さく叫んだ。封印されていた記憶の扉が開けられたそんな思いだった。

「思い出してくれたかしら?」
「うん。これ・・・僕が来ていたタキシード」

それはミーチャンが亡くなる少し前だったかもしれない。ミーチャンはほんのひとときだけ、帰宅を許されたのだ。
今思えば、神様がミーチャンに与えた僅かな残りの時間。僕は確かに今、着ているタキシードと同じデザインのタキシードを着て、小さな教会の前でやはり、ここに飾られている白いウエディングドレスみたいなまるで天使のようなドレスを着たミーチャンと一緒に写真を撮っれ貰ったのを覚えている。

「確か・・・楊ママの家で着替えたんだよね・・・それで・・ピアノの下に隠れたんだ。」
「思い出してくれたのね・・・」

僕は普段とは違う格好にさせられ、それが不満だったのかそれとも照れていたのだろうか、今はこの紗江子の店で弾いているピアノ。そうミーチャンのピアノの下に隠れていたのだ。そして、ドレスアップしたミーチャント迎えの車に並んで座って、小さな教会に行ったのだ。
そのとき一緒に取った写真がミーチャンの最後の写真となった。その写真はミーチャンの遺影となった。
僕はタキシードそしてミーチャンはそのドレスを着たまま、楊ママの家に戻り、そして・・・・しばらくの時が過ぎ、
ミーチャンはそのまま天国へ一人で旅立っていってしまったのだ。僕や楊ママや楊パパを残して・・・
走馬灯のように僕の頭の中はグルグルトミーチャンと一緒に遊んだ頃の影像が映し出され、そして消えてゆく。
簿記の瞳からは、幾粒もの涙が溢れそして頬を流れ墜ちてゆく。

「ねえ。何か欲しいものある?」
「ううん・・・ミーチャンは?」
「わたしはねえ!空を自由に飛べる翼が欲しいの・・・」

その写真が撮られる数日前だったのだろうか、僕は白い病室のベッドに、ミーチャンと並んで座り、そんな話をしていたのだ。だから、こんなドレスを楊ママが用意した。のだろう・・・・

「ねえ・・ママおかしいよ!確かミーちゃんはこのドレスを着て旅立ったはず・・・・」
「うん。2着作って置いたの・・・これはミーガあなたと一緒に写真を撮ったときのドレス・・・・」
「えっ!何で・・・・」
「ミーがね。2着同じのを欲しいって・・・」
「そうだったの・・・・知らなかった。ママの家にあれ以来行ってなかったから・・・・」
「ずうっと・・・お部屋に飾っておいたわ・・・そしてこれからも・・・・」
「うん。それで・・・僕の今夜のタキシード・・・・」
「ええ。そうよ・・・」

そう言いながら・・・ママはバックの中から小さなフォトスタンドに収まったあの時の写真を、取り出し僕に見せてくれた。そこにはちょっとはにかんだ僕とまるで天使みたいに微笑んでいるミーちゃんが、仲良く写されていた写真だった。

「Q太郎・・いや・・お店ではレンね・・・顔を洗ってらっしゃい。そろそろ・・お客様が来る時間でしょ?」

楊ママは優しく僕に微笑みながら、大事な写真をくるんでいたハンカチで僕の頬を伝わる名もだを拭き、そしてその写真を静かにピアノの上に置いた。紗江子はその写真のそばにそっと用意していた花瓶一杯の薔薇の花束を置く、そして美希がマネキンの女の子にあの時のようにそっと一輪の薔薇の花をまるで握らせるかのようにそっと持たせたのだ。

「ほら・・早くしないと・・・出番まで休んできなさい。」

楊ママは僕を優しく抱きしめ、そして2階への階段へ僕の背中を押した。僕はそのまま2階へ駆けあがると
また顔を洗うことになった。
多分、紗江子か美希が用意しておいてくれたのだろう。神泉を入れたボトルの水を飲み干し、スペシャルナイトのための曲の構成を入れ替え出した。
いつもなら、ミスターロンリーから始まる所を、猫ふんじゃったスペシャルバージョンに置き換え、エリーゼのためにそして、小さな恋のメロディーとアンチェッド・メロディー等の構成にすることに決めた。最後の曲は翼をください。
タキシードの上着を丁寧にハンガーに掛けると、僕はベッドに横たわり、ミーチャンに話しかけた・・・

「ねえ・・ミーチャン。力を貸してね。どうしてもエリーゼのためにを弾きたいんだけど・・一音外れるんだ!」

その時。ベッドサイトの一輪刺しに刺されていた薔薇が静かに頷くように揺れた。
人が聞いたら、偶然だと笑うかもしれないが、僕にはまるで「うん」と頷くミーチャンがそこに立っている様な錯覚を覚えたのだ。

どのくらい時間が経ったのだろう。

「レン!時間よ!」 

紗江子が呼ぶ声が聴こえる。僕は一輪刺しからその薔薇を抜きとり、優しく話しかけた。

「ミーチャン・・・ミーチャンのために弾くからね・・僕が捧げるレクイエムだ・・」

僕はその薔薇の花に優しくキスするとタキシードの胸にその薔薇の花を刺し、階下へ降りてゆく。
その日のステージで、僕は最初で最後のエリーゼのためにを間違えることなくピアノで弾き終えた。
それ以来、僕はステージでエリーゼのためにを弾かないじょとに決めた。
勿論、このピアノを弾くときには、ミーチャンだけのために弾く。しかし、お客さんのためには、もうこの曲は弾く事はないだろう。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第58話 「狂騒曲 第5番」(6)へ続く・・・・
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第58話      [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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「狂騒曲 第5番」(7)

「おばちゃ~ん!いつものちょうだい!」
「はいよぉ~おや?今日は早いし、見違えちゃった格好しているね・・・」
「うん・・・今日、試験が終わったら、ちょっとね・・・」

僕はまた日常の生活に戻っている。いや、敢えて日常生活を演じているのかもしれない。
僕は、夕べ一睡もしていない。ベつに試験勉強していたわけでもない。朝まで紗江子や美希のダイエット運動に協力していたわけでもない。昨夜はご来店いただいたお客さんたちに、1輪ずつ赤い薔薇の花を、スペシャルナイトのため・・つまりミータyンとのお別れ会にお越しいただいたお客さんたちにプレゼントをした。
彼女たち(紗江子の店は男性入店禁止・・いや、ぼったくられる事になっている)は、それぞれ・・・ミーチャンに対して、ぬいぐるみやら、お花等を持ってきてくれた。第2部・第3部と終り、閉店後、僕は楊ママの車まで、ミーチャンを抱きしめ、車に乗った楊ママに小さな骨壷が収まった木箱を渡した。
楊ママを載せた車を見送り、ぼくはもう一度、もう一度、ソノステージのために用意されたタキシードに身を包み、
ミーチャンだけのために夜明けが来るまで、話しかけたり、曲を弾けるだけ弾きまくっていたのだ。そこにまだミーチャンが居ている気がしてならなかった。

「レン!少しは寝なきゃ・・・」
「ううん。このまま・・試験を受けに行くよ!」
「そう・・・解ったわ・・・」

紗江子は僕を心配して降りてきてくれたのだろう。美希はすっかり酔っぱらって寝ちゃった・・
何しろ、2階まで担ぎあげたのは、僕がひょいと担ぎあげたんだから・・・
紗江子が特別なタキシード一式を持って行ってくれると言うので、僕は黒いジャケットに身を包み、滅多にしない
ネクタイを結んだ。嫌・・正直に言えば、美希に結んでもらい・・・それを紗江子が直してくれたのだけど・・・

「お~い!部長ぉ~」 

声をかけてきたのは、佐々木クンだった。いつもは絶対に袖を通さないはずの制服を着こんでいる。

「おお~佐々木ィ~おはよ!ど・・どうしたんだ・・制服なんか着て!」
「ああ・・これ!お前以外部員全員制服着用だってよ・・」
「はぁ?」
「今日はご招待だろ?」
「まあな・・・その前に草むしりもやってもらうけど・・・」
「だろうと思った・・・ミーチャンだっけ?」
「うん。今日・・納骨するんだ!ハタチになったからね・・・」
「そうか・・それでか・・」
「うん。」

僕は紙袋からユンケルと赤まむしのいつものセットを取り出した。佐々木クンは僕のカバンをさりげなく持ってくれる。

「悪いな!」
「いいってことよ!それよりさ・・・お前寝てないんじゃないか?」
「まあな・・一晩中・・ミーチャンのために弾きまくったからな・・ピアノ・・・」
「そうか・・」
「ああ・・・」

佐々木クンと僕は学校へ向かって歩いていた。そこへYやS・白○・青○・赤沼・大岩・佐伯とそれぞれが制服を着こんで、次々と合流してくる。正門のそばでは、山口・遠藤・岡崎が僕たちを、待っていた。
彼らも制服を着こんでいる。

「なあ・・・お前ら、頭どうかしちゃったのか?」
「あん?お前の指示じゃないの?」
「はぁ?するわけないじゃん・・・ああ・・そうか・・美希・・・佐山先生の差し金だな・・・」
「高級中華喰わせてくれるんだろ?」
「ああ・・勿体ないって言ったんだけどな・・・お前ら質より量だろ?」
「何でも・・ちゃんと制服着て来ないと連れて行かないって・・・」
「そうか・・・そんな事言ってたのか?」

僕たちは揃って生徒通用門になっている正門を抜けた。そこにはまだ腕に包帯を巻いているサッカー部の監督と鬼クマこと体育科の熊田教官が木刀片手に、僕たちの前に立ちふさがってきた。

「なんだ・・お前ら気が狂ったのか?」
「ああ・・おはようございます!熊田教官とその子分で弱小サッカー部の監督」
「何だ・・その言い草はまともな挨拶すらできねえのか?」
「ええ・・出来ませんね!一応・・おはようございますって言いました。ふつうの先生方は、おはようと返ってきますけど?」 
「ああ・・・そうだったな・・おはよう!これでいいんだな・・・」
「そうですね・・・言っておきますが僕たち気は狂ってませんので・・・」
「じゃあ・・どうしたんだ・・その格好」

確かに普段は好き勝手な格好で登校している僕たち。僕に限って言えば、制服はロッカーに投げ込んであるので、ロッカーの肥やしになっているかもしれない。

「ああ・・・こいつらですか?ちょっと不幸があったものですから、それに、今日納骨なんで・・・」
「お前は?」
「はあ・・ネクタイだけ代えますよ。一応、コレ礼服なんで・・・」

多分、物影から観ていたのであろう美希が僕たちと鬼クマそしてその子分の間に割って入る様にやってきた。

「みんな!お早う!」
「佐山先生!お早うございます!」

僕たちは鬼クマ達の前で、深々と頭を下げて声を併せた。

「おはようございます!体育科の熊田教官と確か野口監督でしたわねサッカー部の・・・」
「ああ・・佐山先生。よくこんな馬鹿共を手慣られましたな・・お見事・・」
「そうですか?いい子たちばかりですよ・・・学校の名誉のために心を入れ替え頑張っていますので・・・」
「ほほう・・・まあ・・そのようですな!足元を掬われない様にご注意ください・・」
「ええ!ご忠告ありがとうございます!それで・・この子たちが何故、ここに留め置かれているのでしょう?」
「いや・・普段とは違う格好なもので・・・」
「当然ですわ!部長・今日は納骨だったわね?」
「はい。試験が終わったら式に参列しなければいけませんので・・・」
「それじゃあ・・熊田教官宜しいかしら?この子たち引き取って・・・」
「いいでしょう・・・」
「じゃあ・・みんな試験最終日頑張るのよ!いいわね?」
「はい!」

僕たちは教室へ向かわず、いつもの試験会場となる会議室へ向かう。
厳重な監視の元、試験を受けるのだ。まあ・・・一部のつまり、鬼クマとその子分のサッカー部監督の野口のおっさんだけだが、僕たちの成績に関して、異議申し立てを行ったのもあるし、そもそも・・これでもかと押し込まれた教室で今更試験を受ける気がない。
昨日までの成績では、僕は8科目すべて100点を取っているし、赤点組だったY・S・白○でさえも、平均点をすべてはるかに超えている。僕たちの平均点は95点くらいになる計算だろう。
まあ、僕たちの年はそれまで偏差値55以上あれば楽勝だったのだが、最低点合格者で偏差値60以上とハイレベルになっている。まあ・・要領のいい奴とか、トップ高の滑り止めに入学した奴とかひしめき合っている。
その中で僕たち“社会関係奉仕部”とはなっているが、元々悪たれ連は、要領がいい奴とおっちょこちょいの奴
それに、中学時代、先公に盾付いて、試験ではトップだったけど、授業点を減点され、内申書をボロクソ書かれたのは、僕と本当は1年先輩の佐々木クンだけだ。

会議室の前まで来ると兄さん・・じゃなかった・・学校では、学年主任が待っていた。

「おう!おはよう!」
「おはようございます!」
「よし!お前ら中へ入れ!」

兄さんが開けたドアの向こうには、校長先生と理事長のクソったれ・・・つまり、鬼クマのおじだか何だか知らないけど、蹴ったクソ悪いのが僕たちの到着を待っていた。
本当は、理事長なんかに挨拶もしたくないんだけど・・・兄さんや美希、それに校長先生の立場を考えるとそうもいかない。

「整列!」 僕の掛け声に一同横に並ぶ。まあ・・他の連中も面白くはないだろう。
「理事長先生と校長先生に礼っ!」 
「理事長先生。校長先生お早うございます!」
「うむ・・お早う」 と理事長が答える
「お早う!諸君!今日も頑張りたまえ!」 と校長の狸親父が僕に合図を送る。
「彼らかね?校長・・・」
「はい!我が校の名誉を高め、なお且つ最近ではその学力向上も素晴らしく、我が校の誇りです。」
「そうかね・・・私が聴いていたのとちょっと違う気が・・・」

「そりゃそうでしょうねえ~あんたの甥だか何だか知らないけど、僕たちの天敵なんだから・・・・」

僕は、腹の中で答えた。みんなもそれぞれそう腹の中で答えたらしいのだが・・・後で聞いた話によれば・・・

「まあ・・いいだろ・・・校長・・・」
「はい?」
「彼らの試験を見学させて貰えるかね?」
「そうですね・・・部長クンいいかね?」

いいも悪いもない。別にカンニングなんざしていないし、一応・・正々堂々と試験は受けている。

「はい!」
「何・・ほんの少々見せてもらおうと思ってのことだがね・・・」
「校長先生!」

僕は手を上げ発言を求めた。理事長が見学するとしても席が用意されていないのに気が付いたからだ。

「何かね?部長クン・・」
「はい!理事長先生のお席はいかがなさいますか?」
「そうだったの・・・じゃあ・・私の椅子を運んで来てもらおうか?頼めるかね?」
「はい!そうさせていただきます。」

僕は横に立っていた佐々木クンを突き一緒に校長室へ行く事にした。勿論、学年主任である兄さんも一緒に行く。廊下を校長室へ向かいながら、僕は佐々木クンに囁いた。

「なあ~佐々木!何でクソ理事長が居るんだ?」
「さあ~解らねえ~」

そこへ兄さんが小声で教えてくれる。

「あのなぁ~お前らほどほどの点数にしとけ!って言ったろ・・・特に・・お前だ・・弟・・じゃなかった部長!」
「僕ですか?」
「ああ・・・何も全科目満点取る馬鹿が何処に居る?」
「そう言うもんですかぁ~」
「ああ・・・理事長が東大合格者がでるかもしれん!と喜んでなぁ~」
「無理っす!東大には神学部ありましたっけ?僕・・神主になるんですよ・・・」
「馬鹿!理事長は東大医学部へ入れたいらしい・・・」
「無理でしょう・・僕が医学部なんか行くわけが・・・」
「解っている。そこでだ・・今日のテストは60点くらいにしておけ!いいな・・・後はなんとかするから・・・」
「了解です・・でも・・佐山先生は満点とれと・・・」「ああ・・・その点は打ち合わせしておいた・・・佐々木もそこそこにしておけ!いいな!」
「はい!」

僕と佐々木クンは校長室から校長先生の椅子を運び出し、会議室へ持ってゆきセットした。

「みんなぁ~試験開始まで、おトイレとか済ませておきなさい!」

美希は美希で僕に合図を送ってきた。つまり、僕たちが学年トップクラスを走るのはキケンなのだろう。

「ああ・・そうだな・・・その間に問題用紙及び筆記用具を配っておく、各自鞄は後ろへ置いておくこと!」

僕たちは指示に従い、来客用ではない生徒専用のトイレへ行くフリをして、階段の下に集まる。
ちゃんと伝達しておかねばならない。何しろ、学校側に変な期待を持たれても、僕たちは自分で自分の首を絞めるわけにはいかない。

「あのな・・・黙って聞け!兄・・じゃなかった・・顧問である学年主任からの伝達だ。」
「あん?」 

いつも空気の読めない奴が居る。大体はYクンなんだけど・・青○クンだ。

「あのな・・・今日の試験60%ぐらいにしとけよ・・・Y・S・白以外は・・・」
「なんでだ?」
「あのな・・理事長のおっさん勘違いしているらしい。」

成績は大体が上位クラスに所属している。これでは拙いことになる。僕たちは300名余りいる。
その中で、間違えて50位以内に入ると大変なことになる。因みにトップは僕。ベスト50に全員入ってしまっているのだ。僕たちは意図的に50位から落ちねばならない。幸いな事に今日は文系のテスト。理系に進級する僕たちには、無縁な科目。

「いいか・・・Y・S・白○・・お前らは80%狙い。残りは60%だ・・・」
「なんで?」
「馬鹿か佐伯!Y・S・白○は、前回赤点組だったんだぞ!」
「あっそうか・・進級が危うくなるな・・・」
「そうだ!俺らは60%にすればベスト50位からは脱落出来る。強いてはクマ公に油断を与えるんだ。」
「なるほど・・・そう言う事」
「ああ!そうしてわざと・・“化けの皮”が剥がれたふりをして・・明日にはオトシマエをきっちり付ける!」
「よし!それじゃあ・・戻るぞ・・いいな!Y・S・白○お前らは死ぬ気でやれ!」

僕たちは会議室と言う試験場へ戻る。試験監督は美希。そしてサポートが学年主任である兄さん。
そして、体育科の鈴木教官が顔を揃え、そこに校長先生と理事長が加わる。

「失礼いたします!全員揃いましたので、入室許可願います」
「入室を許可します。全員指定された場所を黒板で確認して座りなさいね」

美希の少し緊張した声が返ってくる。僕の指定された場所は、理事長の座る椅子の前が指定されている。
校長先生の前の席は佐々木クン。つまり、僕たちは“言いわけ”が出来る席に座ることになる。
僕たちは確認を終え、それぞれの席に座り、用意されていた真新しい鉛筆と消しゴムを確認する。

「はい!じゃあ・・これから古文の試験を行います。制限時間は50分。用意・・・始め!」

僕たちは裏返された試験問題と答案を一斉にひっくり返し、それぞれ自分の番号と名前を書き始めていた。
番号もマークしていかなくてはいけない。静まり返った試験会場に鉛筆の音だけが響き渡る。。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第59話  「狂騒曲 第5番」(8)へ続く・・・・
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第59話       [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

はじめてお越しの方は・・・コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
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高1の秋編は・・・コチラ・・・からお読みください。

高1の冬編は・・・コチラ・・・からお読みください。

「狂騒曲 第5番」(8)

理事長先生をはじめ、校長先生、体育科の鈴木教官。それに、顧問で学年主任である僕の兄さん。そして、美希こと佐山美希先生の監視の下、僕たちは黙々と試験用紙に向かっている。
コツコツとマークシートを塗る度にかすかに聞こえる音と、ゴシゴシと塗っては消し、消しては塗っている音さえ、
聞こえてくる。特に僕なんかさっきから理事長先生に答案を覗きこまれたり、異様な圧力を受けている。
まあ・・幸いなのは、マークシート式のテストになったことだけ。特に赤点組であるY・S・白○の3名にとっては、
適当に塗っても25%は正答するはずなんだけど・・・・

「あと・・10分!出来た人から提出していいわ!」

僕はひっかけ問題にひっかかった。それが気付いたのは、試験会場である会議室を出てからだ。
わざと間違えたつもりが、問題を100%読んでいなかったので、適当にマークしたところが全て正答になってしまったのに、気が付いた。
ぞろぞろ出てくる仲間たち。まあ・・彼等にあとで詫びねばならないだろう。何しろ・・・60%くらいに押さえたはずだったのに・・・全問正解になってしまったのだから・・・
そこへ兄さんこと学年主任が顔を出す。僕は兄さんに先に報告しないと拙い事になる。

「あのぉ~先生ちょっとよろしいですか?」
「おう・・残りのはみんな教室へ戻れ!」
「は~い!」

社会関係奉仕部のメンバーは、各自鞄を持ち、本来の教室へ戻ってゆく。30分後のHRのためだ。

「どうした?青い顔をして・・・解った!部室へ行くか・・・」
「はい。」

僕は兄さんに連れられ僕たちの部室。まあ元々通い慣れた生活指導室が、今僕たちの部室になっている。
兄さんはいつもの様に・・生徒指導中の札をぶら下げると、僕を中へ招き入れた。

「一体・・どうした?」
「や・・やっちゃいました・・・」
「何を?今度は何をやらかしたんだ?」
「あのぉ~引っかけ問題・・・・」
「ああ・・あれか?よく出来ているだろ・・」
「はぁ・・・あそこなんですけど・・・採点40点ですよね・・」
「ああ・・そうだが?」
「引っ掛かりまして・・・適当に塗ったら・・全部当たっている気がするんです・・・」
「えっ?問題見せて見ろ・・・・」
「はい・・・」

僕は2時間分の問題用紙に回答した答えを書いているので、それを兄さんの前に、鞄から取り出し並べた。
しばらく・・兄さんは問題と自分のポケットから取り出した答えとを見比べていた。

「はぁぁぁぁ・・・普通、引っ掛かるだろうが・・・」
「はぁ~そのつもりで・・・適当にマーキングしちゃったら・・・」
「やばいな・・・お前パーフェクト叩きだしちゃったぞ・・・」
「はぁ・・どうしましょ?」
「どうしましょって・・・もう採点機械に投入されている頃だし・・・」
「ですよね・・・」
「まあ・・いい。そうだな・・・いいか!理事長とか校長に聞かれたら、解らなかったから適当に塗ったら当たっちゃいましたとでも言っておけ!いいな!」
「はい!」
「まあ・・でも・・・よくやった!」
「はい[グッド(上向き矢印)]?」
「馬鹿!お前。今までオール100点で終えた試験あったか?」
「全然・・・」
「まあ・・優子は喜ぶ!うん!よし!教室へ行け!確かその後アレだったな?」
「はい。」
「俺はちょっと会議があっていけないが・・・みんなに宜しく伝えておいてくれ!」
「解りました・・失礼いたします。兄さん。」
「ああ・・弟!この調子で行け!行ける所まで・・・」
「はい!」

僕は仲間たちの待つ本来の教室へ駆けてゆく。何しろやっちまったものは仕方がない。後は野となれ山となれ!これが僕の生き方なんだから・・・
教室へ駆け込む僕。周りを社会関係奉仕部の面々と忍者部隊が取り囲む。

「みんな!明日はよろしくなぁ~」
「おう!釣り糸作戦な!」

僕たちは透明の釣り糸で運命共同体になる。つまり、グランド中に釣り糸というワナを仕掛ける。
予め仕込んである下剤入りのお酒うを今晩飲むに違いない。そして養護部隊で派遣される巫女’sが、体育デーと名を借りた標的になっている僕へのシゴキにが始まる前に、即効性の強力下剤を飲ます算段になっている。僕らの釣り糸作戦で、蹴躓き、そして落とし穴に落ちる算段になっているのだが、どうやら忍者部隊は更にワナを増やしたらしい。

「よ~し!お前らせきにつけぇ~委員長!」
「はい!起立」
「礼っ!」
「着席!」

僕たちはそれぞれの席につく。まあ僕たちは教室にいることすら珍しいので、固められている。
1列6名で2列12名。そこへ僕達は固められている。まあ・・各教科の先生もそこの2列が空いていれば、

「ああ・・あいつらは”部活中”か」

そう解る仕組みになっている。本来なら、明日から僕達は試験休みに突入するはずなのに、体育科の鬼クマの馬鹿な計画のせいで、普通科300名みんな頭に来ている。もちろん・・普通科の担任たちも頭に来ているに違いない。
何しろ、くそ寒いグランドで3日間。そのあと、夜間行軍で学校まで歩いて帰ることになっている。
まあ・・担任の先生達も黙認するか、僕達の味方につくことになっているらしい。
そこへ・・半分以上、兄さんこと学年主任の校内放送が、僕達普通科の1年生のエリアだけ響いた。

「社会関係奉仕部諸君は、至急担任より、プリントを受け取ったら、玄関に集合!」

僕達は担任のキー先生の前に、並び一枚ずつプリントを受け取った。まあ・・明日からの注意事項が記載されている。体育科作成のプリント1枚。
そこには大きい字でこう書かれてあった。

“武器及びそれらに準ずるモノは持ちこんではならない!”

そんなもの必要がない。もう・・“既に仕込んである”のだ。それぞれ・・「お先に失礼いたします!」と担任のキー先生に頭を下げ、教室を出て行こうとすると、キー先生に呼び止められる。

「お前ら~解ってんだろうな!俺明後日から・・・」
「は~い!先生の恋路の邪魔はしませ~ん!」
「なら宜しい!明日で決着付けろよ・・・今のは俺のひとりごとだが・・・ついでに言えば普通科担任一同そう願っている。」
「了解で~す!」 僕らは声を揃える。明日グランドに来る教職員は全て僕たちの味方らしい。まあ・・あれだけ、“権威”(理事長の甥っこ)を振りまわしていたら、嫌われるのが当然と言えば当然。それに、渡辺クンのカタキも討たねばならない。
僕は、ドヤドヤと階段を駆け降りる寸前の仲間を呼びとめた。

「ちょーーちょっと待ってくれ!」
「あん?まさか・・中華喰わせない気じゃ・・」
「違うんだ・・・お前らあの引っかけ問題気が付いた奴いるか?」

ブンブン首を横にふる。社会関係奉仕部の連中。何しろ、試験のための合宿と称して、試験勉強ではなく、例のごとく“大人の勉強”に精を出していたらしい。

「あのさぁ~俺も後で気づいたんだけど・・・全部、適当に塗ってたら・・・全問正解しちまった・・ごめん!」
「いいよ・・・フカヒレ一品追加で・・なぁ~みんな!」
「佐々木ぃ~」
「おう!もう1品更に付けてくれたら・・水に流す!」
「解った・・死ぬまで喰え!」
「おう!」

僕たちが階段を降りてゆくと、正門の来客用駐車場には、楊ママ差し回しのマイクロバスと優子の車とカオリの車が並んで停まっていた。

「優子ぉ~それにみんなも来てくれたの・・アレ?ミミは?」
「うん。ミミも今日が試験最終日だから、電車で後から来るって・・・」
「ふう~ん。ミミ・・数学と物理どうだろう?」
「大丈夫でしょ・・アナタがしっかり教えたんだもの・・・」
「まあね・・・それじゃぁ~行こうか?」

そこへ美希が息を切らしながら飛んでくる。

「はぁはぁはぁ・・・顧問忘れてゆく気?」
「あはっ!忘れてたぁ~」
「もう!優子!躾がなってないわよ!」
「済みません・・先輩。」
「おお・・怖っ・・俺・・バスでいいかな?」
「駄目っ!」
「なんだよ・・お前らまで・・・俺、部長じゃ・・・」
「ああ・・だけど・・・駄目!嫁さんの尻に敷かれてろ!」
「おい・・青・赤沼・・お前らまで言うか?特に・・青!覚えてろよ!」

カオリの車には、洋子・奈々子・ミサが乗り込む。優子の車には、僕と優子それにリリーズの紗江子と美希が乗り込む。マイクロバスには社会関係奉仕部の連中が、遠足と勘違いしているんではないかと思うくらいはしゃぎこみながら乗りこんでゆく。後で聞いた話では、お菓子とジュースが山の様に積み込まれていたらしいが・・・
マイクロバスを先頭に楊ママの待つ横浜の街へ車列を組んで進んでゆく。
そして・・今日。僕はミーチャンの骨壷をそっとお墓に入れる役目が待っているのだ。


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第60話  「狂騒曲 第5番」(9)へ続く・・・・








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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第60話        [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

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こっほん!

僕です。いつもご来場いただいている皆様。大変お待たせいたしました。
何しろ、未来の僕はいい加減な奴です。自分で言うのも変な話なんですけど・・・
折角、記憶の片隅という海に、想い出と言うボートに乗って漂っている僕を無理やり、そう無理やりでございます。僕の了承も得ないで勝手に、そう勝手に引っ張りだして来まして・・・・とんでもないヤローでございます。
何しろ・・ネタが無くなると泣きついてくる有様。一体、日本オオカミの血はどこへ行ったんでしょう。
あっ!はじめてのお客様がいらっしゃる様でございます。
もし宜しければ・・・僕が何故、高校生1年でこんな羽目になったのか?どうぞ夏編の劇場へお越しいただけると、お解りいただけると思います。
ええとぉ~皆様のいらっしゃる世界と、僕の存在する世界は次元が少しずれているんです。
皆様の世界では、僕。正確には未来の僕は、空飛ぶ食欲魔人とかオストドと名乗っているそうでございますが、
僕の“世界”では、委員長とか部長、それに神主とかアナタとかレンやQ太郎と呼ばれています。
大体・・・みんな僕の本名を呼びません。まあ・・ほとんど忘れられちゃっているんでしょう多分・・・・
ええとぉ~それから・・・僕が乗ってきたタイムマシーンが壊れちゃったらしいので、今回は残念ながら僕の“世界”へ皆様を御案内できません。
そこで・・・今までのお話をちょっと整理してみたいと思います。何しろ、未来の僕は、「今夜、娘が来るんで後よろしくな!」とどこかへ行っちゃいましたので・・・・どうやら・・女の子なんですね。僕の子供・・・・
まあ・・いいや・・・どこからお話しましょうか?そうですねえ~

まずは自己紹介から勝手にさせてもらいます。

本名:僕です。自分でも名前忘れちゃいましたね・・・星座はてんびん座。血液型はA型です。
好きなモノは、女の子。多分未来の僕も変わっていないと思いますけど・・・
嫌いなモノは、一杯ありますので、省略と・・・
好きな教科?好きではありませんけど、数学と物理だけは自信があります。
嫌いな教科?特にありません。強いてあげるなら・・道徳が嫌いでした。

まあ・・どこにでもいる高校1年生です。某私立学園の高等部普通科に通っています。最近は、学校には殆ど居ません。“課外活動”に専念してます。何しろ、小さい村の鎮守の森の神主代行をやって居ます。
そうそう・・その辺からこのお話はスタートしているんでしたよね。
でもちょっとだけ遡ると僕が悪たれになったのは、いつ頃だったんでしょうか?
ああ・・思い出した。僕・・中学受験をしたんです。皆さんも御存じの都内でも一番難関校。
ええとぉ~確か・・そうそう・・西日暮里の駅のすぐそばにある学校。
そこに僕受かったんです。信じられないでしょ?僕だって信じられません。でも、僕が一応、育てられているらしい、父が受けさせるだけ受けさせておいて行かしてくれなかったんですね。小学校の担任の先生が、反対してくれたらしくて・・・それからですかねえ~僕、勉強嫌いになったのは、まあ要領だけはいいので、そこそこの点数を取れますけど・・・
中学時代は“一匹オオカミ”を気取ってました。“売られた喧嘩は買う”“やられたら千倍にしてやり返す”
あのぉ~もしかして・・・未来の僕が皆様に御迷惑をおかけしてませんか?もし・・もしも御迷惑をおかけしている様でしたら、僕が謝っておきます・・・ごめんなさい。
さてと・・そうそう・・何故、僕が“悪たれ連”ノリーダーにされたのか?お話しておきたいと思います。
“似たもの同士”って奴でしょうか?僕は第一希望等ことごとく落ち、内申点が悪かったんでしょうねえ~
中学の時先生を締めちゃいましたので・・・やっと潜り込んだ学校。これでも、進学率は高いんだそうで・・・
でも、御近所の皆様も僕たちも、「チンピラ養成学校」と呼んでおりますけどね。
ここで入学式のときですね。僕は制服を着ていなかったので、入れてもらえませんでしたし、遅刻者とかもそうでした。その中で、“同じ匂いを持つ者”と言うことで、まずYクンとそれから大岩クンや佐伯クン、白○クンに赤沼クン。青○クンにSクン。と次々と同じ日本オオカミの血が流れる“一匹オオカミ”が運命の悪戯で終結してしまいました。僕は早く帰りたいために委員長に立候補していたので、とりあえず、真っ先に怒られる役目としてリーダーを引き受けさせられたのが、事の発端。そう・・大岩クンがあんな騒ぎを起こさなければ、僕たちは停学は特別なお休みで済ませていられたんですが・・・

僕たちはある事件をきっかけに学年主任の実家である鎮守の森の小さな神社へ送りこまれたのが、1学期の期末試験が終り、試験休みのときでした。そこで、強制労働の刑を喰らったんです。
そもそも、兄さんじゃなかったその頃はまだ宿敵だった。学年主任の妹と僕は結ばれてしまいました。
まあ、いsつまでも隠し通せるはずもなく、村中の皆さんに祝福されました。そして、最大の難関であった兄さんへ報告したのが、談合坂SA。信州へ強制連行された4名のオオカミたちの脱走劇の時です。
多分、その時からだと思いますが、兄さんこと学年主任が僕たちの“引率者”となり、また、僕の身元引受人にもなってくれましたし、様々な騒動が次から次へと・・
今では、僕。社会関係奉仕部の部長にさせられているんです。おかしいでしょ?悪たれが奉仕活動ですからね。まあ、それが僕たちがストレートで進級できる最後の道だったんですけど・・・・

おや?すみません。未来の僕が戻ってきて呼んでいます。多分・・あんまり話すな!と言うことでしょう。
それでは・・・皆様・・・・またお会い出来る日を楽しみに・・って・・・・

「お~い!未来の僕ぅ~どうやって帰ればいいんだぁ~」


「狂騒曲 第5番」(9)へ本当に続く・・・


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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 番外編 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

こっほん!

僕です。いつもご来場いただいておりまして、誠にありがとうございます。

僕は某私立学園高等学校普通科1年生です。

理由があって、過去へ戻るタイムマシーンが原因不明の故障を起こしたみたいです。

全く・・・未来の僕は本当にエンジニアなのかどうか怪しいものがあります。

今、未来の僕は眠りこけているので、その間に本体をちょっと借りまして皆様へご挨拶と・・・・

そう言えば・・・昨日、未来の僕は“雪だるま”になったとか申しておりましたが、本当なんですかね?

「いつになったら・・直るんだよ!ボケぇ~」と尋ねたところ、

「そうさなぁ~1月の後半くらいかな?それまで見学していればいいじゃないか・・・」

そう、未来の僕は申しておりました。

おっちょこちょいでドジでマヌケ!ついでに・・フサフサしていた髪の毛は無くなりかけ・・・・

ついでに言わせてもらうと・・スマートなはずだった僕の見る影もなく、すっかり“おっさん化”。

まあ・・ちゃんと引き継いでいるのは、悪い部分のようですね。

まあ・・・未来の僕も近いうちになんとか直すと約束してましたので、その日が来ることを信じて

僕はあっちこっち見て回ることにします。

そういうことで、「僕たちの・・・・」シリーズは、しばらくお休みとなると思います。

それで・・もし・・・もしも・・・もしも・・・

僕たちのドタバタ劇をご覧になっても良いと言うご奇特な方がいらっしゃれば・・・・

只今、リバイバル公演中ですので、宜しくお願いいたします。

それでは、皆様、またお会い出来る日まで・・・・・

あっ!忘れてましたけど・・・皆様、良いお年をお迎えください。

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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 番外編 「まもなく上演いたします!」 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

-こっほん-

僕です。大変ご無沙汰しておりました。
タイムマシーンが壊れてしまった間、色々見物させていただいておりました。
未来の僕の奥さんもそして僕の娘も見ることができました。
幸いだと思うのは、息子でなかったこと。多分、未来の僕が一番安堵していたのではないでしょうか?
何しろ、僕の仲間たちの息子軍団を見ると、絶対僕たち以上の悪さをしそうなガキに成長してます。
これが、兄さんこと学年主任が教えてくれた“因果応報”なんでしょう。
そう言えば、先日、未来の僕は“拉致”されて行ったと皆さんに報告していたみたいですが、正確に言うと、
“拉致”ではなく、“拉致る”方が正しかった様です。

さて、おやぁ~しばらく顔を出さないうちに随分、観客の皆様も代わられたみたいですので、簡単にここまでのあらすじをお話したいと思います。
まずは、礼儀だけはうるさい学校に通っておりますので、簡単な自己紹介をさせていただきます。

本名は・・・・です。何でも、個人情報ですか?そんな余計なものがるので、未来の僕は救われるのでしょう。
大体、僕を本名で呼ぶのはいません。鎮守の森では、神主とかアナタと呼ばれます。
学校では、委員長とか、部長とかみんな好き勝手に呼んでいます。
先生達も校長先生も僕を本名では呼びません。大体、部長と呼ばれることが多くなってきました。
僕は、某私立学園高等部1年生。先日、誕生日を迎えた16歳です。星座はてんびん座、血液型は知りません。
多分、ABかBだと思っておりましたが、簡易検査キットを使い、生物の授業で“実験”してみたところ、A型だそうです。誰も信用しませんけど・・・
僕がこの学園に迷い込んだ(入学ですね・・)のは、本命の高校に入学させてもらえなかったからです。
まあ、中学の時の生活態度やら、諸々勘案されてのことだと思います。
中学時代は、友達とつるむ事は殆どなく、“一匹オオカミ”を気取っておりました。
何しろ、僕の身体の中には、日本オオカミの血が流れているのです。
そうでなきゃ、狂犬病かもしれませんが・・・
さて、迷い込んだ学園は、一応、進学校らしいのですが、僕たちは“チンピラ養成学校”と呼んでいます。
その中でも、僕たちは“超”が付くくらい鼻つまみ者だったんです。
先生方は、入学式終了後、殆ど授業に来ません。来ても、勝手に喋り勝手に帰ってゆきます。
まあ、“礼儀”だけはうるさいので、挨拶だけはきちんとしております。ついでに、窓の下を通る看護婦さんたちに
今度産む爆弾を投げつけたり、色々悪さを仕掛けておりました。まあ、運悪く怪我をして隣にある病院に運ばれると、逆襲されることも多々あります。まあ、“類は友を呼ぶ”という言葉がありますが、あながち嘘ではない様です。いつの間にか、僕には7頭の仲間が出来ました。順にご紹介すると、出席番号1番青○クン。
彼は、お寺の住職の息子です。つい、先日、彼の父親のお友達の信州のお寺の住職の娘である。由香ちゃん1号と婚約を正式にしました。
次が、出席番号2番。赤沼クンです。彼は宝石屋の跡取りになるはずです。僕たちの(最近は行ってませんね)活動拠点になって居ます。何しろ、彼の両親は滅多に家に居ません。おじさんの秘蔵8mmフィルムの鑑賞場所にもなってますし、試験前は一応、試験勉強合宿の場所でもあります。
次が、大岩クン。出席番号は・・解らなくなっちゃいましたぁ~何しろ、最近、出席を取ってませんので、そもそも
大岩クンが、“騒動”を起こしてくれたおかげ?なのか、せい?なのか、解りませんが、僕たちの運命はガラっと変わりました。あの日、折角、セッティングした僕の苦労も知らずに、コンパの相手のホステス養成学校の女の子お押し倒そうとした事件がきっかけなんです。因みに産婦人科の医者になるとほざいています。
次に、佐伯クン。彼はやはり、医者の息子です。確か小児科と内科をやっているとか、まだ遊びに行った事がありません。何しろ、彼のお父さんは注射器を持って追っかけまわしてくるそうなので、病気でもない限り、近づきたくありません。次が白○クン。彼はおっちょこちょいです。僕の鎮守の森の氏子総代の孫に好かれています。
本人も満更ではない様で、ペアルックを着ていることがあります。ただ、相手は小学生ですので、この先どうなるか解りませんが、取りあえず、結婚式の予約を承っております。次が、Sクンです。彼は両親が学校の先生です。そのくせ、頭の出来は悪いと僕は思います。そうでなきゃ、赤点なんぞ取れません。
最後がYクンです。彼は掴みどころのない奴です。いつの間にか、僕と最初に仲間になりました。
これが、最初の悪たれ連の総メンバーです。後で、ダブリーの佐々木クンが仲間に加わります。
多分、コイツ等とツルンでなければ・・・あの日、コンパなんぞ開催していなかったら、僕の人生はまたちがっていたかもしれません。そう・・あの日を境に変わったんです。特に僕は大きく変わる事になりました。

そうそう・・僕の話が途中でした。
僕は今、小さな村の集落にある鎮守の森に住んでいます。そこは、僕たちの天敵であった学年主任の実家。
僕はそこで恋に落ちたんです。相手はなんと“天敵の妹”看護婦の資格を持つ、巫女さんでした。
でしたと言うのは、ひょんなことから、結ばれてしまい・・・籍こそ入ってませんが僕の奥さんです。
ご近所にばれたのは、“歩くスピーカー”の関戸のおばばによるもの。このおばば、僕には魔法使いに思えてなりません。様々な“妙薬”を届けてくるんです。その日の晩は大変でした。僕は村中から押し寄せた村民の皆さんに“お披露目”され、ご祝儀と言うのか拝観料と言えばいいのか?沢山のお祝いをいただきました。
おかげで、奥さん・・優子と言いますが、彼女のおじさんである大神主に徹底的に仕込まれ、この鎮守の森の小さな神社を預かる身になりました。ゆくゆくは神学部へ進んで僕は正式に神主になるんでしょうが、それまでは神主代行。でも、村中の人々が言うには、僕が“祝詞”を奉上すると、効き目がいいと言って下さいます。

さて、思い起こせばいろいろな事がありました。いよいよ・・鬼クマとの対決が近付いてきています。
一体全体どうなるのか?いよいよ・・・僕たちのシリーズが再開されます。
どうやら、タイムマシーンが直った様ですので、ちょっと戻ってきます。
何しろ、皆さんをご案内できるかどうか確かめねばなりません。
すぐ・・戻って来れるとおもいますので、それまで・・・僕たちがどんな事をしでかしてきたのか?
ご覧頂いてお待ちください。

それでは・・・行ってまいります!

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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第61話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

こっほん・・開幕でございます。

僕です。どうやら、大丈夫みたいでした。まあ、ヘッポコ(未来の僕です)が直したので、性能は保証致しかねますが、多少、乗り心地は悪いんですが、開演とまいりましょう。
それでは、皆様、僕たち“悪たれ連”こと社会関係奉仕部の面々が一番かがやいていた・・
昭和50年代へご案内いたしたいと思います。
それでは、準備は宜しいですか?
では・・・ご一緒に・・・タ~イム・・スリップ・・・

「狂騒曲 第5番」(9)

僕以外の社会関係奉仕部の面々は揃いのツナギに着替えていた。
背中には、社会関係奉仕部の文字とオオカミの絵がプリントされている。
まあ、僕たちのユニフォームだ。僕は鎮守の森で畑や鶏たちの世話をしているときには、真っ赤なツナギを着ている。背中には、MIKO’Sの文字が入っている。出来れば、保護色が良かったのだけど、それに白い長靴を履き、首からは大体、ピンク色のタオルをぶら下げている。ついでに言えば防寒用のジャンパーも同じ色で揃えられている。まあ、鎮守の森以外での“校外活動”では、僕も狼’sのツナギを着る。
これは、佐々木クンのお父さんからの提供である。
まあ、佐々木クンの家には結構お世話になっている。何しろ、古典の景山のアホ教師を追放した時には、佐々木クンのお母さんの経営している古風な“連れ込み”を使用させてもらったし、今では僕たちの校外部室と化している佐々木クンのモノである。古ぼけたバラック小屋の提供とか、そうそう・・やはり、系列の葬儀社からは、棺桶と霊柩車の提供も受けた。今でも、佐々木クンの家の運送会社の、あるドライバーは僕たちに代わって、せっせと注文に応じた“ウラ本”を運んでくれているし、そう言えば、3年生への報復にも、佐々木クンのお父さんの愛人の店も使わせてもらった。
本当は社会関係奉仕部のメンバー全員で、楊ママの家の掃除をさせるつもりだったのだが、“例の黒服マネジャー”。そう、僕を“変な奴呼ばわりした奴に、何やら耳うちされ、裏庭へさっさと消えて行ってしまった。
僕は僕で・・楊ママと楊おじさんに・・嫌!と言いたくなるほど歓迎で抱きしめられていたので、どうにも出来なかったのだ。

「Q・・・着替えてらっしゃい!ミーの部屋覚えているわよね?」

僕はコクンと頷き、勝手知ったるセントラル階段を駆け上がり、ミーちゃんの部屋に入って行った。
そこだけは、時間の流れが止まったままだった・・・
そう・・・亡くなったあの日のまま・・・時間に置き忘れられた陽の当たる白い部屋の片隅のテーブルの上の壁には、幼かった僕とミーチャンの教会で撮った最後の写真が、大きく引き伸ばされ飾られていた。

「うっ・・・」 

僕は言葉を失った。そこには紛れもなく、天使の様に微笑んでいるミーちゃんと、ちょっとふてくされ気味で、顔を真っ赤に染めた幼き日の僕が写しだされていたのだ。

「あなた・・用意できたぁ~?」 

優子が部屋の外から声をかけてきた。まるで、ミーちゃんに声をかけられている気がしたのは、きのせいだろうか?

「いいや・・もうちょっと・・・ネ・・ネクタイがね・・・上手く結べないんだ・・・」
「しょうがないわねぇ~」

入ってきた優子を観て僕は正直驚いた。僕は壁に掛っている写真と優子を見比べた。
まるで・・・写真からミーチャンが抜けだし、成長している。

「ゆ・・優子ど・・どうしたの・・それ?」
「ああ・・これ?楊ママに無理やり着させられたのよ!似合う?」

一回転して見せる優子。そう言えば、ミーちゃんも同じ様に廻って僕に見せたっけ・・・・

「ま・・まあまあ・・かな・・・」
「ぷっ!・・・・」

突然優子が噴き出した。まるで、僕の答えを予測していたみたいに・・・・

「ど・・どうしたの?怒らないの?」
「楊ママの言った通りだったわ・・・どうせ、あなたは、まあまあかなって言うだろうって・・・」
「へっ?」
「ミーちゃんにもそう言ったんだって・・・あ・な・た・は・・・・」
「そう?じゃあ・・進歩のかけらもないのか・・あの時から・・・」
「さあ・・行きましょうか?もう・・2時間近く過ぎているの知っている?」
「えっ・・そ・・そんなにまだ、30分くらいかと思ってた・・・」
「どうしちゃったの?」
「解らない・・・じゃあ・・・行こうか?」
「うん。」

どうやら、楊ママは昨日のステージに飾ってあったミーチャンのウエディングドレスと同じ物を、優子のサイズでもオーダーしていたのだ。ただ・・・一点違うのは、翼だけが背中に無い点を除けばである。
優子の手を摂り、階段を静かに降りる。階下には、巫女’sの面々とリリーズである。紗江子と美希が、やはり楊ママが用意した真新しいチャイナドレスに身を包んでいた。勿論、試験を終えて駆けつけてきたミミも神妙な顔をして、同じ様にチャイナドレスに身を包んでいた。

「あれ?あいつらは?」
「庭掃除終えて、今、お店の掃除に引っ張っていかれたわ!」

僕の問いに美希が答える。まあ、こんな姿を見られたら、また、いくら奢らされるか解ったもんじゃない。

「そう・・・・」
「じゃあ・・行こうか?」
「Q・・・その前にお願いがあるの?」
「何を?ママ・・・」
「もう一度・・・もう一度だけミーにピアノ聴かせてやって欲しいの・・・」
「えっ?だ・・だって・・・ピアノは店・・・・」
「それがねえ~ココにあるのよ!」 

紗江子が当然と言う顔で僕に語った。

「えっ・・・ええ~ど・・どうやって・・・お店のはどうするの?」
「Q!あなたには・・新しいのを用意しておいたわ!ミーのピアノは返してちょうだい!」
「いいけど・・・どこにあるの?」
「それも・・・いつもの部屋・・・あなたが、ミーと一緒に遊んでいたサンルームに・・・」

僕たちは揃ってサンルームに移動した。そこには小さな祭壇が設けられていて、ミーちゃんは静かにそこに居た。

「優子・・・ミーをあなたが抱いて上げて・・」
「はい!ママ・・・」

優子の胸に大事に抱かれたミーちゃんのために、僕はもう一度だけ、小さな恋ノメロディーを特別にアレンジしたものを弾き、エリゼーのためにと最後にアンチェッド・メロディーを弾きながら歌った。
僕は優子からミーちゃんの骨壷が納まった小さな木箱を受け取り、ミーちゃんのために、書いた直筆の譜面と共にしっかり抱きしめた。その瞬間・・・

「ありがとう・・・」

僕の胸にミーちゃんの言葉が響き、僕はコクンと頷くと用意された車の助手席に乗り込んだ。
楊おじさんは耐えきれなくなったのか、突然に姿を隠し、店に戻っていったのだ。
お墓に着くと異様な光景だったろう。何しろ、タキシード姿の僕が先導されて木箱を抱き、ウェディングドレス姿の優子が後に続き、その後ろを楊ママが歩いているのだ。
僕は自らの手で、ミーちゃんをお墓に納めた。勿論、優子と楊ママに抱き締められてからではあったが・・・・
ここまでは、予想の範囲であった。まあ・・多少、予想からずれては居たけど・・楊パパの口癖の“無問題”の範囲かもしれない。
だが・・・この後、僕はとんでもない事になるのだが・・・・それはまた、次回・・・・

「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第62話へ・・・続く。
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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第62話  [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

回顧録

空飛ぶ食欲魔人ことオストドでございます。

いつも大勢の皆様にご訪問いただき、誠にありがとうございます。
特に先日は、過去最大のアクセスをいただきました。
本当にありがとうございます。<(_ _)>

オストドこと私が、何故?昔の事を書きだしたのか?
はっきりとは覚えていません。多分、そうしなければならない理由がそこにあるのかもしれません。
ただ、ひとつ言えることは、何故、人々のためにオストドが、祈りをささげているのか?
何故、自分のために祈らないのか?その答えが徐々に明らかにされてゆくはずです。
愛をさすらう旅を終え、ふと考えさせられることがあります。
「愛とは一体何だろう?」と・・・この答えを見つけるためにも書きだしたのかもしれません。
まあ、ネタが切れたせいも多少あります。(← 信憑性は高い!)
過去の僕を引っ張りだしてきて、どう料理する気なのか?自分でも解りません。
ただ、いつの日か“記憶という海の底に静かに眠る貝”になるのか?
それとも・・その辺を吹いている小さな風になるのでしょう。
“絶望”という崖の淵にも立たされることも、司会進行役の過去の僕はまだ知りません。
それこそ“運命”という物。
最近、一日、一日が短く感じられる様になってきました。そろそろ・・折り返し地点が近づいているのでしょう。
兄さんこと学年主任が僕にくれた言葉があります。

「愛され様とすることより、愛する様になりなさい。例え、世界中を敵に廻してでも、お前ならその力があるし、愛の深さ、尊さを一番解っているはずだから・・・」

それでは、そろそろ・・・過去の僕が戻ってくるお時間の様でございます。どうぞ最後まで僕たちのドタバタ劇を、
お楽しみいただきたいと思います。

-楊ママの願い ①-

「ウッス!昨日は面白かったわ!」
「佐々木ぃ~俺は面白くなかったんだが・・・」
「まあまあ・・固い事言わずに・・ホレ!いつものやつ。これ飲んで決戦に備えておけって・・・」
「コレ!だけで済ます気じゃねえだろうな?まあ・・ありがたく貰っておくけど・・・」
「だろうなぁ~やつれてねえか?やりすぎだ!馬鹿・・・」
「大きなお世話・・・しかし、太陽が黄色く見えるわ!ほかの奴らは?」
「ああ・・先に行っている。A+B+C=Z作戦のためにな!荷物持ってやるから・・流しこめ!全部!」

僕は佐々木クンに荷物を預け、受け取った袋を覗きこむと、何やら怪しげな物体といつものユンケルと赤まむしがセットで入っています。

「なあ・・佐々木!まさかとは思うんだが、コレ!」
「ああ~それね!うちの親父が飲んでいる奴。“即効ビンビン”だってよ・・・」
「中身なんだ?」
「虎のアレ!とからしいぜ・・・漢方薬だってよ・・・」
「何粒飲むんだ?一箱が・・ええとぉ~150粒って書いてあるけど、全部か?」
「馬鹿!10粒って書いてあるだろ?」

その時点で僕もう20粒も飲み込んだ後だったんです。まあ、“昨夜”いや昨日一日で“疲れて”ますので、
ちょうどいいと思いますが・・・・
佐々木クンと僕は最寄り駅からの道をポコポコと歩いています。多分、このままのペースで行けば、“ギリギリ”に到着することになります。何しろ、“とある作戦を遂行”するにあたり、全員揃って仲良くアヒルの行進みたいな事は出来ません。

「しかし・・お前ら知っていたのなら、言えよな!心の準備があるだろうが!」
「佐山センセーに口止めされてたんだ・・・」
「ち・・畜生!み・・じゃねえや・・佐山センセーには、後で、貸しは返して貰うとしてだ・・・」
「しょーがねえじゃん!お前が楊ママだっけ?呼ばなかったのが悪い!」
「悪いって・・全部、俺の知らねえところで用意されてたんだぞ・・・」
「そうだったか?そこのところは、俺知らねえもん。」
「あのな!一回目は、バレちまって・・・見世物状態だったし・・・」
「うんうん・・らしいな!」
「2回目は、信州の村でやらされたし・・・」
「見たかったわ!お前が龍神の滝に打たれているところ・・・」
「ボケッ!見世物じゃねえよ!3回目は写真のモデルだって騙されて・・軽井沢の教会だぞ!」
「いいねえ~都合・・・4回か、昨日の入れて・・・」
「ああ・・・」
「そんで、正式に籍入れる時は?」
「多分、しない!見世物はコリゴリだわ!」

そうなんです。僕と優子は、昨日、4回目ですよ!4回目の結婚式をさせられたんですから・・・
それでは、ちょっとだけ時間を遡ってみましょうか・・・・

僕は、ミーちゃんのお骨をお墓に納めました。寂しくない様にと一緒に撮った最後の写真と僕がアレンジして直筆で書いた譜面を一緒に・・・。優子が、ミーちゃんの大好きだった、バラの花をお墓に備えている間、僕は空を見上げておりました。真っ青な空にひとつだけ、ぽつんと浮かぶ雲にミーちゃんが乗っているのでは?そう思えてならなかったのです。

「しっかり掃除しているかなぁ~ママ!やってなかったら・・残飯でいいからね!あいつらには・・・」
「Qったら!ちゃんとしてくれているわよ・・・・それより、行きましょうか?」
「行く?ああ・・・一回、家に帰るんだっけ?じゃあ・・ミーちゃんまた来るからね!」

僕は軽く手を合わせるとスタスタと出口へ向かうと、そこには、見慣れたマイクロバスが停まっておりまして、
勿論、僕の仲間たちが霊園の出口をウロウロと・・・まるで、「檻の中に閉じ込められたオオカミだわ!」と、
そこへ合流しようとした瞬間、仮にも、部長でもあり、リーダー挌である僕に牙を剥く狼’sの面々。

「ウゥゥゥゥゥ~」
「どうした?佐々木!Y!S!佐伯に・・みんな大丈夫か?悪いモン拾い喰いしたんじゃ・・・・」

多分、楊ママが合図を送ったのでしょう。僕は抵抗する間もなく、手足を縛られ、ロープでグルグル巻きに・・・

「て・・てめえ等・・気でも狂ったのか?それとも裏切りか?」

僕の叫びも虚しく、猿轡まで嵌められ、目隠しまでされたので、見当がつきませんが、どのくらい走ったのでしょう。ただ・・ひたすらに、その間くすぐり続けられていたことだけは覚えております。
この分は後ほど、きっちりと仕返しさせていただくとして、僕は一体どこへ連れて行かれるのか?
それだけが気がかりでございました。
まあ、棺桶に放り込まれたわけではないので、保健所かどこかであって、火葬場ではないことだけは確かに言えますね・・・何しろ、優子も居る訳で・・・僕だけ行き場所を知らないみたいです。

「ほらぁ~部長ぉ~着いたぞ!自分で降りれるか?」

無茶苦茶を言う佐々木クンです。何し、僕は後ろ手に縛り上げられ、両足だって縛られてます。

「ウゥゥゥゥゥゥ~」 

唸りながら首を横にブンブン振る僕。

「大人しくする?」 今度はミサです。まあ、いずれキッチリとこの借りは返すことを肝に銘じて僕は首を縦にブンブン振るしかありません。
先ずは目隠しと足だけは自由にしてもらいましたが、胴体にグルグル巻かれたロープと猿轡。ついでに縛られている手はそのまま・・・車を降りた僕の目の前にはどこかで見覚えのある景色が拡がっておりまして・・・
頭上から懐かしいような声が聴こえてきました。

「相変わらずじゃのう・・・あの時とちっとも変らん!変わったのは背が伸びたくらいじゃな・・・」
「神父様。このたびは我儘を聴いていただきましてありがとうございます。」

楊ママがなにやら企んでいるみたいです。見上げるとそこには、初老のどこかで会った記憶のある神父様が、
立っており、

「Q・・・まだ解らない?あの時の神父様よ・・・」

楊ママが僕の猿轡を外しながら僕に聴いて来たのです。

「へっ?くそぉ~ジジイ!」
「相変わらず・・・言葉遣いまでそのままじゃ・・・」

僕の頭の中はグルグル廻り始め、やっと思い当たるフシが・・・・

「もしかして・・あの時の?」
「そうじゃ・・・散々・・けっとばされた・・クソジジイじゃ・・・」
「あっ!思い出した・・・ところで、何でまた・・こんなところに?」
「楊さんに頼まれての!お主の結婚式を行うんじゃ・・・」
「何でまた・・・もう!充分なんですけど・・・」
「ほれ!式の準備が始まるまで控室で大人しく待ってなさい。みんな・・連れて行ってくれんかの?」
「はい!」

こうして僕は、囚人のごとく新郎控室に連れて行かれ、椅子に“固定”されてしまったのです。
優子の方は、直前に言い聞かされていたらしく、やはり新婦控室で、楊ママが手配した美容師さんにあれやこれやと“施されていた”そうでございます。

「じゃあ・・・楽しみにしてるからな!ぶ・ちょ・う・・・じゃなかった・・・新郎!」
「さ・・佐々木ぃ~てめぇ~」
「ほほう・・お前!自分のおかれた立場解ってる?手足も動かせねえだろうが?」
「佐々木ぃ~」
「諸君!どうやら・・うちのリーダーは解ってないみたいだぞ・・・アーユーレディ?」
「ちょ・・・ちょっとタンマ!」

そこへ“地獄に仏”とばかりに、リリーズがドアを開けて入ってきました。
その後ろから、今回の一件の首謀者である楊ママも・・・・


「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第63話へ・・・続く。

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「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第63話 [高1の冬・・・ちょっとえっちな話。]

こっほん!

僕です。皆様には、大変お待たせして申し訳ございません。
何しろ、未来の僕が申すには、イロイロあるんだよぉ~とほざいておりました。
僕は、皆様ご存じの通り、某私立高等学校普通科1年生。ちょっと前に16歳になったばかりです。
ひょんなことから、鎮守の森の神主代行(村の方々は、神主と呼びますけど、僕まだ必要な資格を持ってません)をしています。それまでは、やりたい放題したい放題の、何処にでもいる高校生(ちょっとだけですよ・・外れてたの)それから、僕の運命はガラリと姿を変えました。
えっ?ひょんな事を説明しろですか?まあ・・・ヤリタイ盛りと言えばいいのでしょうか?
そうですねえ・・・説明だけでも長くなりますので、コチラ・・・からお読みください。途中から読まれても・・・ご理解いただけないと思います。
(コチラをクリックしていただければ・・・飛びますので・・)
また・・・画面左側のカテゴリーからもお入りいただけます・・・・

まあ、ナニ事も経験。楽しい夏休みでございました。そうそう・・僕に奥さんが出来たんです。皆さん知ってますよね?それで、天敵だったはずの学年主任が、僕の義理の兄さんになってしまったので、僕たちはますますヒートアップしてます。
そうそう・・今は、僕たち悪たれ連も改心しまして、社会関係奉仕部と名付けられた、部活動に全力投球してます。まあ、学校に居ても寝てるか、悪戯するか、先生を脅すかくらいしかしませんので、学校側に体よく追い払われたみたいな感もありますけど、僕そこの部長もしてます。
えっ?何でそうなった?・・・そうですねえ~その方は、この辺へどうぞ!
コチラ・・・からお読みください。

そうそう・・青○クンが婚約した(多分、後で後悔すると思うんですけど・・どっちかが・・)おかげで、僕たち元服とか言う昔の“成人式”みたいなお祝をしてもらいました。
もし・・その辺を知らない方は・・・コチラ・・・からお読みください。
もうすぐクリスマスになろうとしています。街には至る所にクリスマスソングが流れてきていて・・・
でも、楽しみの前に“学園の大掃除”をしなければなりません。何しろ、売られた喧嘩は全て買え!
これが、僕たちのポリシーみたいなものです。

おや?どうやら、開演の準備が整った様でございます。
それでは、僕たちが一番輝いていた時代へ、皆様をご案内したいと思います。
では、ご一緒にタ~イム・・スリップ・・・・

-楊ママの願い ②-

「しかし・・・美味かったわ!昨日の中華・・・」
「そりゃあそうだわ!高級中華だもんな・・・」
「いいのかな?ご馳走になりっぱなしで・・・」
「いいんだよ・・・佐々木!でも、お前ら・・あの後どうした?」
「まあな・・・みんなで・・・吉原へ直行!」
「ったく・・・お前ら尻尾掴まれるなよ・・後々面倒なんだから・・・」
「了解!・・・しかし・・・面白かった!」
「何が?」
「お前のまじめな顔・・・」
「ふ・・ふざけんじゃねえぞ!お前らだっていずれ・・・くそぉ~」
「そう言えば・・もう一回やるんだろ?」
「何を・・・」
「何をじゃねえよ!籍入れる時に結婚式・・・」
「もう・・コリゴリ!お前もその時になれば解るよ・・・ふうっ・・・」

飲み終わったユンケルと赤まむしの便を紙袋に入れ、佐々木クンからバックを受け取る僕。
段々・・腹が立ってきました。そうです・・コイツ等に胴上げされ、地面に落とさかけたんですから・・・

新郎立会人と言うべきか、胴体にロープを巻かれたまま・・・まるで、死刑執行台へ引き摺られていく“死刑囚”のごとく、僕は祭壇の前に進み、ようやくロープを解かれたんです。
ありがたいかどうかはこの際別にして、牧師さんの説教も終わり、同じ教会であの日、ミーちゃんと撮った様にポーズを、あれやこれやと直され、無事写真撮影も終わった時・・・・

「おい!やっぱり・・アレやらなきゃ!」
「だよなぁ~佐々木ぃ~」

ジリジリと僕に近づく社会関係奉仕部の面々。もちろん彼等の中には企みがあったのは言うまでもないこと。
何しろ、僕だって彼等と同じ立場なら絶対にやりかねません。

「あっ!お前ら・・・」

僕が声を上げかけた時には、手遅れで僕は空中を舞っており・・・

「ば・・馬鹿や・・・あっ!」

地球上に生息している以上、万有引力の法則には逆らえません。宙に舞えば落ちるのは、当たり前。
彼等の手の中に2度、3度と落ちた時、僕は地面に激突するんじゃないか?と思えた瞬間。

「痛ぇ~てめえら・・よくも・・・・」

僕の声は笑いの中かき消され、幸い佐々木クンとSが手を持っていてくれたおかげで、頭を打つことはありませんでしたが、お尻から芝生の上に着地させられたんです。

「んもう!あんたたち・・うちの人に何するのよぉ~」

優子が慌てて飛んできました。勿論、そこのところも計算済みだったらしく、優子が僕を抱き起そうとした瞬間。

「あっ!」
「あっ!あんたたちぃ~覚えてらっしゃい!」
その声も虚しく、僕と優子は一つにグルグルとロープで巻かれまして・・・

「一丁あがりぃ~!」

全員、グルだったんです。まあ、仲間連中や巫女’sにリリーズの面々からの祝福みたいなものです。
その後、楊ママのお店で散々、飲み食いした連中を尻目に・・・・
優子と僕は(この時点では・オマケ扱い!)楊ママに呼ばれ、ママの部屋へ、

「優子・・・これ!貰って頂戴!」

楊ママは言いだしたら聴きません。いくら、優子でも巫女’sが束になっても敵いません。
まあ、楊ママに我儘を言えるとすれば、僕だけですが・・・・

「ねえ・・あなた!そうしよう・・・・」
「何が?貰っておけば・・・・どうせ・・たいした・・・げっ!」

優子に渡そうとしていたのは、楊家の家宝でもある指輪・・・・

「マ・・ママ!落ち付いて・・・」
「いいの!Qの奥さんに渡すことに主人も賛成しているんだから・・・・」
「駄目だよぉ~優子には・・・・・豚に真珠。猫に小判・・」

睨まれているのを気付かなかった僕。必死に断わりの言葉をさがしており、

「ええとぉ~痛ぇ~

“豚に真珠”が悪かったのか?猫に小判が悪かったのか?
僕。まともな断わりの文句が出なかったので、咄嗟にそう言いましたが、時すでに遅く、優子の爪が僕のお尻に喰いこんでいたわけでして・・・・

「あら・・・この子はもう!」

僕はお尻をさすりながら、こう言うのが精一杯でして・・・

「ママ!ママが死んだら貰いにいくから・・それでいいでしょ?」
「Qっ!人を勝手に・・・」
「わたしからもお願いしますわ・・・楊ママ!」
「そうそう・・・スケ番に説教・・・
「Qっ!」
「あなた!」

ほぼ同時に僕のお尻に手が・・・

「ふんぎゃぁぁぁぁぁぁぁ~」

お尻を押さえながら飛びあがる僕。シングルでも痛いのに・・・ダブル攻撃を喰らい、ノックダウン寸前。
これ以上ここに居たら殺されかねないおそれがある。

「じゃあ・・ママ!俺向こうに戻るわ・・・」
「わ・・わたしも・・・」
「まだ続きがあるの・・・実はね!Q・・・・」
「また良からぬ事だな・・どうせ、あのひとが来たんでしょ?」
「ええ・・それでこれをって・・・・」

差し出されたのは、結構厚みのある束。正直それだけあれば、神社の運営費には事欠きませんが・・・

「いらない!手切れ金なら、この間貰った・・・」
「それとこれとは・・・」
「一緒!どうしてもと言うのなら、もうママのところへは来ない!返しておいて・・・」
「わ・・解ったわ!・・・頑固ねえ~誰に似たのかしら・・・」
「多分!楊ママにでしょ・・・もういい?」
「優子・・・この子の事・・・色々面倒掛けると思うけど・・・」
「はい。」
「優子・・・・そろそろ・・着替えて帰らないと・・・あいつら、明日大丈夫かな?」
「明日だったわよね・・・」
「うん。そ・・そうだ!ママ・・・お祝頂戴っ!」
「何が欲しいの?」
「ママの・・・チャーハン!」
「はいはい・・・・」

楊ママが、厨房へチャーハンを作りに行っている間に、僕はタキシードやら、ドレスシャツを脱ぎ棄て、
別に誂えてくれていたジャケットとスラックスに着替えることにした。
優子もウエディングドレスから、楊ママが用意してくれたチャイナドレスに着替え始める。

「Q・・出来たわよ・・・」

楊ママがワゴンを押して入ってきた時、僕と優子は寄り添い、マネキンに着せたさっきまで着ていたウエディングドレスとタキシードを眺めていた・・・・これも、ミーちゃんの部屋に飾られるのだ。

「あとは・・早く赤ちゃんの顔見せてね!」
「はぁ?ママまで・・・プレッシャーかけるわけ?」

僕の問いには答えず、楊ママは優子い話し出した。

「女の子がいいわねぇ~男の子はQで沢山・・・」
「えっ・・・そ・・・・そんなぁ~!」
「いい?優子!女の子ね。男の子だったら・・Qみたいになったら・・大変よ!」
「ひ・・ひでぇ~」
「あなた!ひでぇ~じゃなくて・・・酷いでしょ?」
「そうだった・・酷いよ!ママ。俺って意外とマトモだと思うけど・・・」
「これだもの・・・優子!くれぐれも宜しくね!」
「はい・・・でも、赤ちゃんは・・そのぉ・・・・・」
「解ってるわ!Q!頑張りなさいよ!」
「へっ?」

まあ・・廻りの期待には答えたいとは思うのだけれど・・こればかりは・・・

「ふうぅぅぅぅぅ・・・」

僕はひとつため息を吐いた。
何しろ・・明日は“A+B+C=Z”作戦決行日である。僕としては睡眠不足は避けたいけど、そうはいかないんだろうなと覚悟を決めた。
A=あんたら・・・ B=馬鹿よね・・・・C=C調言葉に騙されて・・・Z=これ以上はもう後がない!
これで・・・鬼クマとサッカー部の監督はもう・・・The・Endなのだから・・・・

「僕たちの・・・鬼クマ退治」 第64話へ続く・・・・ 
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